JP5882042B2 - 魚肉ソーセージの着色方法 - Google Patents
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Description
しかし近年の天然嗜好に伴い、合成着色料は消費者に敬遠される傾向がある。コチニール色素は、食品への使用経歴が長い天然色素であり、熱や光に対して非常に安定性が高いため、魚肉ソーセージを着色する色素として最も多く使用されているが、エンジムシから抽出された動物由来の色素である点で、消費者より敬遠される場合がある。また、コチニール色素は、アントラキノン系色素の構造に由来する特徴から、微細な小骨に色素が吸着し、ピンク色の斑点が発生する場合もある。
例えば、特許文献1にかかる技術は、生畜肉の如く加熱処理により鮮赤色が退色して褐色化する模様(色調変化)を再現する技術であるため、本技術を魚肉ソーセージに応用するとレトルト殺菌時に茶褐色となってしまう。
また、クチナシ赤色素も、本来の色調自体がやや暗い赤紫色〜赤色を呈している上、レトルト殺菌処理を行うことにより、褐色を帯びた紫赤〜赤色となり、特許文献2に開示された技術をもってしても、十分に鮮やかで明るい赤色に魚肉ソーセージを着色することができなかった。
更に、調味料や糖質を含有する魚肉ソーセージは、副原料として添加した調味料由来のアミノ酸類や糖質がレトルト殺菌により褐変し、着色対象となるベースの色自体が暗い色調となりやすく、単に白色のベースを赤色に着色する以上に、鮮やかな明るい色調に着色すること、及び赤色色素由来の赤味を発色させることが困難であった。
項1.下記式1及び2を満たす、レトルト殺菌処理される魚肉ソーセージの着色方法。
(式1)0.02≦A≦0.2
(式2)0.0003≦B/A≦0.1
A:色価を50に換算した場合のクチナシ赤色素の添加量(質量%)、
B:リコピンの添加量(質量%)。
項2.更に下記式3を満たす、項1に記載の魚肉ソーセージの着色方法;
(式3)A+10B≧0.03
項3.アミノ酸類及び/又は糖質を含有する、項1又は2に記載の魚肉ソーセージの着色方法。
項4.魚肉すり身に、下記式1及び2を満たす、クチナシ赤色素及びリコピンを添加した後にレトルト殺菌処理を行う魚肉ソーセージの製造方法。
(式1)0.02≦A≦0.2
(式2)0.0003≦B/A≦0.1
A:色価を50に換算した場合のクチナシ赤色素の添加量(質量%)、
B:リコピンの添加量(質量%)。
項5.クチナシ赤色素及びリコピンを含有し、下記式4を満たす、魚肉ソーセージ用着色料製剤。
(式4)0.0003≦b/a≦0.1
a:色価を50に換算した場合のクチナシ赤色素の含量(質量%)、
b:リコピンの含量(質量%)。
(式1):0.02≦A≦0.2
(式2):0.0003≦B/A≦0.1
A:色価を50に換算した場合のクチナシ赤色素の添加量(質量%)
B:リコピンの添加量(質量%)
A、Bはいずれも魚肉ソーセージに対する添加量である。
なお、本発明において、「赤色」とは、マンセル表色系においてR(赤味)を帯びた色(YR(黄赤)〜R(赤)〜RP(紫赤))を指す。
クチナシ赤色素の添加量が上記範囲よりも少ない場合、魚肉ソーセージの発色が不十分となり、添加量が多くなると色調が暗くなりすぎて好ましくない。
B/Aは、リコピン添加量B(質量%)をクチナシ赤色素添加量A(色価50換算、質量%)で除した値である。B/Aが0.0003を下回るとリコピンの発色効果が得られず暗い色調となり、0.1を上回るとクチナシ赤色素の発色効果が得られなくなる。
なお、本発明では好ましくはリコピンとして、結晶化したリコピンを含有するリコピン製剤や、セルロースを併用したリコピン製剤を使用することで、より赤い色調に魚肉ソーセージを着色することが可能である。
(式3)A+10B>0.03、好ましくは0.035≦A+10B≦0.2、更に好ましくは0.045≦A+10B≦0.15。
上記式3を満たすことにより、より鮮やかで明るい赤色に魚肉ソーセージを着色することができる。
一般的に魚肉ソーセージは魚肉のすり身を基本材料として用いるが、例えば調味料や糖質を含有する魚肉ソーセージは、調味料由来のアミノ酸類や糖質がレトルト殺菌により褐変し、着色対象となる魚肉ソーセージのベースの色自体が暗い色調となりやすい。着色対象となるベースの色が褐色を帯びると赤味を発現させることが一層困難となるが、本発明では、糖質及び/又はアミノ酸類を含有する魚肉ソーセージであっても、鮮やかで明るい赤味を発現させることが可能である。
アミノ酸としては、アミノ基及びカルボキシル基を有する有機化合物並びにその塩が挙げられ、例えばグルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム等を例示できる。アミノ酸を含有する調味料としては、上記アミノ酸を単独ないし複数混合したもの、動植物および酵母からの抽出物またはその濃縮物(であるエキス調味料)、動植物性タンパク質および酵母を酵素や酸で加水分解したもの(であるタンパク質加水分解物)、酒、みりん、醤油、ソースなど(醸造系調味料)、およびこれらの混合物またはアミノ酸との混合物を例示できる。
本発明において糖質とは、アルデヒド基またはケトン基を持つ多価アルコールである糖、およびその誘導体をいい、例えば砂糖、水あめ、ぶどう糖や、酒類、みりんに由来する糖などが例示できる。
(式4)0.0003≦b/a≦0.1
a:色価を50に換算した場合のクチナシ赤色素の含量(質量%)、
b:リコピンの含量(質量%)。
a、bはいずれも着色料製剤中の含量である。
表2に示す天然色素を用いて魚肉ソーセージを着色した。具体的には、表1に示す原材料をカッターにて最終温度8℃まで擂り上げ、これを無通気性ケーシングに充填した。次いで、60gあたり121℃15分レトルト処理を行い、着色された魚肉ソーセージを調製した。得られた魚肉ソーセージに関し、目視による色調評価、並びにLab値測定を行った。結果を表3に示す。なお、参考例1及び2の魚肉ソーセージはレトルト処理の代わりに、ボイル殺菌を行った。具体的には、60gずつケーシングに充填したソーセージを90℃で40分加熱殺菌(ボイル殺菌)し、魚肉ソーセージを調製した。
一方、クチナシ赤色素に対するリコピンの添加量(B/A)が0.00025である比較例1の魚肉ソーセージはL値が51と低く、暗く濃い紫味の赤色となり、(B/A)が12である比較例2の魚肉ソーセージは、黄味が強く、鮮やかな赤色や明るい赤色に着色することができなかった。
比較例4は、クチナシ赤色素にアスコルビン酸(ビタミンC)を併用した例である(特許文献2)。比較例3及び比較例4のLab値を比較しても、色調に大きな差異はなく、ビタミンCを併用しても鮮やかで明るい赤色に魚肉ソーセージを着色することができなかった。比較例5はリコピンを単独使用した例であるが、魚肉ソーセージが橙色に着色され、鮮やかで明るい赤色に着色することができなかった。
以上より、本発明の課題及び効果は、レトルト殺菌といった過酷な殺菌条件下で製造される魚肉ソーセージ特有の課題、効果であることが示された。
得られた魚肉ソーセージは、いずれも明るい赤色、鮮やかな赤色に着色されていたが、実施例6の魚肉ソーセージは実施例7及び8と比較して発色がやや薄く、(式3:A+10B)は0.035以上であることが望ましいことが判明した。
なかでも、A+10Bが0.065の実施例7の魚肉ソーセージが最も明るさと鮮やかさのバランスのとれた色調であった。
実験例1と同様にして魚肉ソーセージを調製した。具体的には、表1に示す原材料をカッターにて最終温度8℃まで擂り上げ、これを無通気性ケーシングに充填した。次いで、60gあたり121℃15分レトルト処理を行い、着色された魚肉ソーセージを調製した。使用した天然色素及び結果を表4に示した。
Claims (5)
- 下記式1及び2を満たす、レトルト殺菌処理される魚肉ソーセージの着色方法。
(式1)0.02≦A≦0.2
(式2)0.0003≦B/A≦0.1
A:色価を50に換算した場合のクチナシ赤色素の添加量(質量%)、
B:リコピンの添加量(質量%)。 - 更に下記式3を満たす、請求項1に記載の魚肉ソーセージの着色方法;
(式3)A+10B≧0.03 - 魚肉ソーセージがアミノ酸類及び/又は糖質を含有する、請求項1又は2に記載の魚肉ソーセージの着色方法。
- 魚肉すり身に、下記式1及び2を満たす、クチナシ赤色素及びリコピンを添加した後にレトルト殺菌処理を行う魚肉ソーセージの製造方法。
(式1)0.02≦A≦0.2
(式2)0.0003≦B/A≦0.1
A:色価を50に換算した場合のクチナシ赤色素の添加量(質量%)、
B:リコピンの添加量(質量%)。 - クチナシ赤色素及びリコピンを含有し、下記式4を満たす、魚肉ソーセージ用着色料製剤。
(式4)0.0003≦b/a≦0.1
a:色価を50に換算した場合のクチナシ赤色素の含量(質量%)、
b:リコピンの含量(質量%)。
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