JP6226605B2 - 赤色の褪色が抑制された加温用赤色飲料 - Google Patents

赤色の褪色が抑制された加温用赤色飲料 Download PDF

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Description

本発明は、飲料に赤色色素を用いて、良好な赤色の色調を付与するとともに、該赤色飲料の製造、流通、保存における該赤色の色調の褪色を抑制した加温用赤色飲料、及び該加温用赤色飲料の製造方法に関し、特に、飲料の製造に際して、リコピン色素とクチナシ赤色素からなる天然赤色色素を用い、飲料に良好な赤色の色調を付与するとともに、該飲料の製造や、加温販売のような流通、保存における加温に対しても、赤色飲料の赤色の褪色を抑制した加温用赤色飲料、及びその製造方法を提供することに関する。
近年、バラエティにとんだ飲料が提供される中で、色素を添加することによって色調を制御した飲料が提供されている。飲料の着色には合成色素や天然色素が用いられているが、健康志向の高まりから、最近では天然色素が主に用いられるようになっている。しかし、天然色素は、合成色素と比べて一般的に安定性が低く、熱、光、酸素などによって、褪色や変色を生じ易く、中でも、リコピン色素、アントシアニン色素、クチナシ赤色素、ベニバナ赤色素、ビートレッド等の赤色の天然色素は褪色等を生じ易いものが多い。そのため、色素を含む飲料、特に赤色の色素を含む飲料は、流通過程を経て消費者に届くまでに褪色して、視覚的に劣化してしまうという問題があった。そこで、飲料中の色素の褪色を防止するために、従来より、様々な方法が開示されている。
例えば、特許文献1には、長期間に渡り液状調味料の安定な色調を得るために、天然果実から得られた果汁を含む液状調味料に、ビタミンCとクチナシ赤色素を添加することにより長期間に渡り安定な色調を得る方法について、特許文献2には、飲食品等中のシアニジン系色素、カルコン系色素、またはイリドイド系色素の褪色防止のために、それらの色素にプロアントシアニジンを特定割合で混合させて飲食品等に添加する方法について、特許文献3には、飲食物等における色素、特に天然色素の退色を抑制するために、飲食物等にヒドロキシチロソールを添加する方法について、特許文献4には、飲食物中の天然色素の退色を抑制するために、羅布麻抽出物を飲食物に添加する方法について開示されている。
また、特許文献5には、飲料中の天然色素の退色を抑制するために、飲料に鉄イオンを添加する方法について、特許文献6には、飲食品中の配合赤色色素の褪色防止のために、N−メチルアントラニル酸メチルを飲食品中に添加する方法について、特許文献7には、飲食品中のアントシアニン色素の退色を防止するために、トコフェロールを含有する水及び/又は多価アルコール中油型の乳化組成物を飲食品に添加する方法について開示されている。これらは、天然色素を飲食物の着色に用いるに際して、該色素の退色を抑制し、色調の保持を図るものであるが、いずれも基本的には色素の退色を抑制するために、該色素以外の色素の色を安定化する物質の添加を必要とするものである。
飲食品の着色において、赤色は飲食品の嗜好性を増す代表的な色調であり、上記のとおり、従来から飲食品の着色に多くの天然赤色色素が用いられている。その赤色色素の一つとして、リコピン色素がある。リコピンは、トマトに含まれ、また、ハマナシ、カキ、スイカ等に含まれるカロチノイド系色素であり、これらの原料からの抽出、精製によって製造され、各種の抽出、精製方法が開示されている。また、トマト等から、リコピンを純度、色調高く製造する方法も開示されている(特許文献8、特許文献9)。リコピンは、水に殆ど溶けない脂溶性の物質であり、これを赤色天然色素として用いる場合には、乳化剤を用いたり(特許文献10)、サイクロデキストリンに抱接させたりして(特許文献11)水溶性リコピン製剤として用いられている。
リコピンは、赤色天然色素として、飲食品への利用が期待されるほか、近年、その健康機能も見出されており、その飲食品への利用が注目されている。しかし、その利用にあたっては、前記のとおり、その天然色素の場合に起こる色調の褪色の問題があり、その飲食品におけるリコピンの本来の赤色の色調を保持することが難しいという問題がある。そこで、リコピンを含有する色素を含む着色組成物の褪色を抑制する方法として、ビタミンKを含有させる方法も開示されている(特許文献12)。しかし、該方法は、その味覚への影響から、飲料等への利用に適するものではなかった。
一方で、飲料類の赤色着色を付与する天然赤色色素の利用として、クチナシ赤色色素の利用が知られている(特許文献13)。しかし、その利用にあたっては、リコピンの場合と同様、その天然色素の場合に起こる色調の褪色の問題があり、そのための褪色防止方法も開示されている。例えば、前記特許文献1に開示されたように、クチナシ赤色色素にビタミンCを含有させ、長期保存に対して、良好かつ安全な色調を得る方法が知られている。しかし、前記するように該色素以外の色素の色を安定化する物質の添加を必要とするものであり、その褪色抑制効果も必ずしも満足のできるものとはなっていない。
特に、飲料の流通販売において加温が行われる加温用飲料では、チルド用飲料の場合と比べて、赤色等の色素の褪色は加速してしまうため、上記のような従来の天然赤色色素の添加では、加温状態での流通に十分耐えうる赤色等の飲料の製造は困難であった。着色飲料の場合は、その商品アピールのために、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトル容器など、透明容器に入れて流通、販売する形態が採られるが、該流通、販売形態において、特に加温用の流通、販売形態においては、赤色色調の褪色が目立つため、そのような形態の色素含有飲料を製造・販売することは実用上困難であった。
特開平5−244896号公報。 特開2002−338844号公報。 特開2005−60534号公報。 特開2005−87147号公報。 特開2009−136187号公報。 特開2010−130992号公報。 特開2012−75340号公報。 特開平9−183914号公報。 特開平10−324816号公報。 特開平8−113723号公報。 特開平8−259829号公報。 特開2005−162952号公報。 特開2009−178068号公報。
本発明の課題は、飲料に赤色色素を用いて、良好な赤色の色調を付与するとともに、該赤色飲料の製造、流通、保存における該赤色の色調の褪色を抑制した加温用赤色飲料、及び該加温用赤色飲料の製造方法を提供すること、特に、飲料の製造や、加温販売のような流通、保存における加温に対しても、赤色飲料の赤色の褪色を抑制し、製造時の赤色を安定的に保持可能な加温用赤色飲料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、天然赤色色素を用い、飲料の本来の味覚をそこなうことなく、飲料に良好な赤色の色調を付与するとともに、該赤色飲料の製造、流通、保存においても、該赤色の色調の褪色を抑制し、製造時の赤色を安定的に保持可能な加温用赤色飲料の提供について、鋭意検討する中で、天然赤色色素として、リコピン色素及びクチナシ赤色素を用い、赤色飲料の製造に際して、該色素を所定の割合で、飲料に添加、配合することにより、飲料に良好な赤色の色調を付与するとともに、該赤色飲料の製造、流通、保存においても、該赤色の色調の褪色を抑制し、製造時の赤色を安定的に保持可能な加温用赤色飲料を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、赤色色素を添加した飲料の製造に際して、リコピン色素とクチナシ赤色素を1:0.05〜1:1の濃度比率で添加、配合することにより、赤色の褪色が抑制された加温用赤色飲料を製造することからなる。本発明の加温用赤色飲料は、リコピン色素とクチナシ赤色素からなる天然赤色色素の併用により、飲料に良好な赤色の色調を付与するとともに、飲料の製造時の加温や、流通販売時の加温に対しても、飲料の赤色の色調の褪色を抑制し、製造時の赤色を安定的に保持することが可能である。
本発明の加温用赤色飲料の製造方法は、各種の飲料に対して適用することができ、特に、飲料のpHが、3.5以下に調整された酸性飲料に好適に適用することができる。本発明の加温用赤色飲料は、流通販売時の加温に対しても、飲料の赤色の色調の褪色を抑制し、製造時の赤色を安定的に保持することが可能であることから、特に、加温用容器詰飲料に対して、好適に適用することができる。また、本発明の加温用赤色飲料は、良好な赤色の色調の商品アピールのために、透明容器詰飲料として提供することが望ましい。
本発明は、本発明の加温用赤色飲料の製造方法によって製造された、良好な赤色の色調と、該赤色飲料の製造、流通、保存において、その赤色の色調の褪色が抑制された加温用赤色飲料自体の発明を包含する。また、本発明は、赤色色素を添加した飲料の製造に際して、リコピン色素とクチナシ赤色素を1:0.05〜1:1の濃度比率で添加、配合することにより、飲料の赤色の褪色を抑制することを特徴とする加温用赤色飲料における赤色の褪色を防止する方法の発明を包含する。
すなわち、具体的には本発明は、(1)赤色色素を添加した飲料の製造に際して、リコピン色素とクチナシ赤色素を1:0.05〜1:1の濃度比率で添加、配合したことを特徴とする赤色の褪色が抑制された加温用赤色飲料の製造方法や、(2)飲料が、pH3.5以下に調整された酸性飲料であることを特徴とする上記(1)に記載の加温用赤色飲料の製造方法や、(3)飲料が、容器詰飲料であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の加温用赤色飲料の製造方法や、(4)飲料が、透明容器詰飲料であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の加温用赤色飲料の製造方法や、(5)上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の加温用赤色飲料の製造方法によって製造された赤色の褪色が抑制された加温用赤色飲料からなる。
また、本発明は、(6)赤色色素を添加した飲料の製造に際して、リコピン色素とクチナシ赤色素を1:0.05〜1:1の濃度比率で添加、配合することにより、飲料の赤色の褪色を抑制することを特徴とする加温用赤色飲料における赤色の褪色を防止する方法からなる。
本発明は、飲料に天然赤色色素を用いて、良好な赤色の色調を付与するとともに、該赤色飲料の製造、流通、保存における赤色の色調の褪色を抑制し、製造時の赤色を安定的に保持可能な加温用赤色飲料を提供する。本発明の加温用赤色飲料は、飲料の製造や、加温販売のような流通、保存における加温に対しても、その赤色の色調の褪色を抑制することができ、また、天然赤色色素の併用による赤色の色調の付与であることから、飲料自体の良好な味覚を保持することができる。
本発明の実施例における、加温状態下での赤色飲料の褪色試験において、初発の各サンプル飲料(A−1〜A−6)の液色を表す図面である。 本発明の実施例における、加温状態下での赤色飲料の褪色試験において、保存開始から2週間後の各サンプル飲料(A−1〜A−6)の液色を表す図面である。
本発明は、赤色色素を添加した飲料の製造に際して、リコピン色素とクチナシ赤色素を1:0.05〜1:1の濃度比率で添加、配合することにより、赤色の褪色が抑制された加温用赤色飲料を製造することからなる。
本発明で用いるリコピン色素は、トマト、スイカ、柿、ピンクグレープフルーツなどの、リコピン色素を含有する野菜や果物から、単離、精製することによって調製することができる。リコピン色素の単離、精製は、公知の方法を用いることができる。リコピン色素の精製の程度は特に限定されるものではなく、リコピン含有組成物のようなものであってもよい。また、市販されているリコピン色素を利用することもできる。市販のリコピン色素として、例えば、リコピン18(協和発酵バイオ社製)などを挙げることができる。
本発明で用いるクチナシ赤色素としては、一般に流通しているものを利用することができる。クチナシ赤色素は、従来から食品等の着色料として広く使用されており、クチナシ(Gardenia augusta merrillまたはGardenia jasminoides Ellis)の果実を、水やアルコールで抽出して得られたイリドイド配糖体のエステル加水分解物と蛋白質分解物の混合物に、β−グルコシダーゼを転化した後、分離して得ることができる。また、市販されているクチナシ赤色素を利用することができる。市販のクチナシ赤色素として、例えば、サンレッド(登録商標)シリーズ(三栄源エフ・エフ・アイ社製)等を挙げることができる。
本発明においては、加温用赤色飲料のpHを3.5以下、好ましくは2.0〜3.5の範囲内、より好ましくは2.9〜3.5の範囲内とすることができる。本発明において、リコピン色素及びクチナシ赤色素の飲料への添加方法及び添加順序は特に限定されないが、両赤色色素を飲料の原料液調製段階において添加、配合することが好ましい。リコピン色素とクチナシ赤色素の濃度比率は、1:0.05〜1:1の範囲内に調整される。より好ましくは1:0.1〜1:0.5の範囲内に調整される。
本発明において、加温用赤色飲料中又はその原料液中に含有させるリコピン色素や、クチナシ赤色素の量は、各飲料における赤色の色調付与の程度を考慮して、適宜決定できるが、例えば、飲料全量に対して、リコピン色素とクチナシ赤色素の合計量として、0.001〜0.2質量%の範囲を採用することができる。
本発明の加温用赤色飲料は、飲料製造時、或いは、流通販売時における加温に対して、その赤色の褪色を抑制することができる。流通販売時における加温は、通常、50〜70℃の範囲内の温度に調整され、消費者に提供されている。
本発明における加温用赤色飲料としては、各種の飲料を対象とすることができるが、具体的には果汁入り飲料等の果実飲料、茶系飲料、乳飲料、機能性飲料などを挙げることができる。特に、好ましくは、果汁入り飲料等のpH3.5以下に調整される酸性飲料を挙げることができる。
本発明において、加温用赤色飲料又はその原料液には、本発明の効果をそこなわない範囲で、リコピン色素とクチナシ赤色素以外の赤色色素を更に含有させることができる。かかる他の赤色色素としては、赤色色素を含む果汁を好ましく挙げることができる。かかる赤色色素を含む果汁として、イチゴ、ブドウ、プラム、アセロラ、ラズベリー、クランベリー、ブラックベリー、チェリー、プルーン、モモ、ネクタリン、あんず、いちじく、柿、スイカ、グァバ、ブラックカラント、トマト、グーズベリー、ハスカップ、エルダーベリー、アサイー、リンゴンベリー(コケモモ)、チョークベリー等の果汁を好ましく挙げることができる。
本発明の加温用赤色飲料は、容器詰飲料として製品化することができ、特に、加温用容器詰飲料として製品化することができる。本発明における加温用赤色飲料の赤色の色調を商品アピールとして、流通、販売に供するためには、特に、PETボトルのような透明容器に詰められた透明容器詰め飲料として、製品化することが好ましい。
本発明における加温用赤色飲料の製造において、飲料自体の製造原料、添加成分、及び、製造方法等は、従来の飲料の製造におけるものと変わるところはなく、その添加剤も、甘味料、酸味料、香料、安定化剤、着色料、抗酸化剤等の適宜の添加剤を用いることができる。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[赤色素の安定性の検討・評価1]
<方法>
各種赤色素の安定性を検討及び評価するために、以下の試験を行った。まず、以下の表1に示す配合(数値は質量%)の原材料で飲料ベースA(無果汁)及び飲料ベースB(グレープ果汁入り)を作製した。なお、飲料ベースBに添加したグレープ果汁は濃縮果汁であり、ストレート果汁に換算すると、6質量%となる。また、グレープ果汁は赤色色素を含む果汁である。
A、Bそれぞれの飲料ベースに対して、アントシアニン色素、リコピン色素、クチナシ赤色素を以下の表2に示す配合(数値は質量%)で添加して、A−1からA−6及びB−1からB−6の計12種類のサンプル飲料を作製した。
前述の12種類のサンプル飲料を、UHT殺菌装置にて加熱殺菌した後、それぞれのサンプル飲料をPETボトルに充填した。それらのPETボトルをインキュベーターにて60℃で8日間又は2週間保存した。その後B−1からB−6の6種類のサンプル飲料の可視光線透過率を、分光測色計CM-3500d(コニカミノルタ社製)にて測定した。なお、測定径は30mm、正反射光処理はSCI、セルは20mmを用いて、可視光線透過率の測定を行い、対照(PETボトルに充填直後の初発の各サンプル飲料)との色差Δa(赤−緑方向の色の変化)を算出した。また、インキュベーターにて保存を開始してから2週間後の前述の12種類のサンプル飲料について、対照となる初発の各サンプル飲料との間の赤色の液色差に関する官能評価を実施した。かかる官能評価は、液色差に関して精通した3人のパネラーにより実施した。官能評価の評価基準は、赤色の色差が少ない順、すなわち、赤色の褪色が少ない順に、◎、○、△、×の4段階で評価した。
<結果>
保存開始から8日間後及び2週間後における各サンプル飲料の、対照(PETボトルに充填直後の初発の各サンプル飲料)との色差(Δa)を、分光測色計の各測定値から算出した結果を以下の表3に示す。
表3の結果から分かるように、リコピン色素とクチナシ赤色素を併用したサンプル飲料(B−5、B−6)では、アントシアニン色素、リコピン色素、クチナシ赤色素をそれぞれ単品で配合したサンプル飲料(B−1〜B−4)と比較してΔaの減少が少なく、加温状態下における赤色飲料の赤色の褪色が抑制されていることが示された。
また、保存開始から2週間後における各サンプル飲料の、対照(PETボトルに充填直後の初発の各サンプル飲料)との間の赤色の液色差を、パネラーにより官能評価(定性評価)した結果を以下の表4(A−1〜A−6)及び表5(B−1〜B−6)に示す。なお、初発の段階で赤色色素及び赤色果汁のいずれも含んでいないサンプル飲料(A−1)については、赤色の液色差は評価できないため、「−」(評価不能)とした。また、A−1〜A−6については、初発の各サンプル飲料の液色を図1に示し、保存開始から2週間後の各サンプル飲料の液色を図2に示す。図1、図2のいずれにおいても、左からA−1、A−2、A−3、A−4、A−5、A−6を表す。
上記表4、図1及び表5の結果から、赤色を有する飲料は、果汁を含んでいない場合(A−1〜A−6)であっても、果汁を含んでいる場合(B−1〜B−6)であっても、アントシアニン色素、リコピン色素、クチナシ赤色素をそれぞれ単品で配合したサンプル飲料(A−1〜A−4や、B−1〜B−4)と比較して、リコピン色素とクチナシ赤色素を併用したサンプル飲料(A−5、A−6、B−5、B−6)では、赤色の色調が安定的であることが分かった。すなわち、リコピン色素とクチナシ赤色素を併用すると、加温状態下における赤色飲料の赤色の褪色を抑制し得ることが示された。これら両色素を併用した場合のこの赤色褪色抑制効果は、リコピン色素とクチナシ赤色素を1:0.1あるいは1:0.5の濃度比率で用いた場合に得られることが示されたが、1:0.1〜1:0.5の範囲内の濃度比率や、さらには1:0.05〜1:1くらいの範囲内の濃度比率でも得られると考えられる。なお、上記の両色素を併用した場合の赤色褪色抑制効果は、ぶどう果汁のような赤色の果汁を含んでいる場合に、より顕著に認められた(表5におけるB−5及びB−6)。
[赤色色素の安定性の検討・評価2]
<方法>
上記実施例1の実験により、リコピン色素とクチナシ赤色素を併用すると、加温状態下における赤色飲料の赤色の褪色を抑制し得ることが示された。そこで次に、pHが赤色の褪色に与える影響を検討及び評価するために、以下の試験を行った。まず、以下の表6に示す配合(数値は質量%)の原材料で飲料ベースX(pH2.9)、飲料ベースY(pH3.5)及び飲料ベースZ(pH3.9)を作製した。なお、飲料ベースX〜Zに添加したグレープ果汁いずれも濃縮果汁であり、ストレート果汁に換算すると、いずれも6質量%となる。また、グレープ果汁は赤色色素を含む果汁である。
X〜Zのそれぞれの飲料ベースに対して、リコピン色素、クチナシ赤色素を以下の表7に示す配合(数値は質量%)で添加して、X−1からX−3、Y−1からY−3、及び、Z−1からZ−3の計9種類のサンプル飲料を作製した。
前述の9種類のサンプル飲料を、UHT殺菌装置にて加熱殺菌した後、それぞれのサンプル飲料をPETボトルに充填した。それらのPETボトルをインキュベーターにて60℃で1週間保存した後、これら9種類のサンプル飲料について、対照となる初発の各サンプル飲料との間の赤色の液色差に関する官能評価を実施した。かかる官能評価は、液色差に関して精通した3人のパネラーにより実施した。官能評価の評価基準は、赤色の色差が少ない順、すなわち、赤色の褪色が少ない順に、◎、○、△、×の4段階で評価した。
<結果>
保存開始から8日後における各サンプル飲料の、対照(PETボトルに充填直後の初発の各サンプル飲料)との間の赤色の液色差を、パネラーにより官能評価(定性評価)した結果を以下の表8(X−1〜X−3)、表9(Y−1〜Y−3)及び表10(Z−1〜Z−3)に示す。
上記表8〜表10の結果から、加温状態下の赤色飲料においてリコピン色素とクチナシ赤色素を併用した場合の赤色褪色抑制効果は、pH2.9、pH3.5及びpH3.9のいずれでも確認できたが、pH3.5以下であることが好ましいことが分かった。これら両色素を併用した場合のこの赤色褪色抑制効果は、リコピン色素とクチナシ赤色素を1:0.1あるいは1:0.5の濃度比率で用いた場合に得られることが示されたが、1:0.1〜1:0.5の範囲内の濃度比率や、さらには1:0.05〜1:1くらいの範囲内の濃度比率でも得られると考えられる。
本発明は、加温用の赤色飲料において、流通、保存時の赤色の褪色を抑制し、製造時の赤色を安定的に保持可能な加温用赤色飲料を提供する。そして、本発明の加温用赤色飲料においては、リコピン色素及びクチナシ赤色素を併用添加し、かつ、pHを3.5以下とすることにより、流通、保存時の赤色の褪色を抑制することができ、製造時の赤色を安定的に保持し得る加温用赤色飲料を提供する。

Claims (2)

  1. 赤色色素を添加した飲料の製造に際して、リコピン色素とクチナシ赤色素を1:0.05〜1:1の濃度比率で添加、配合し、及び、飲料のpHを3.5以下に調整して酸性飲料としたことを特徴とする赤色の褪色が抑制された加温用透明容器詰赤色飲料の製造方法。
  2. 赤色色素を添加した飲料の製造に際して、リコピン色素とクチナシ赤色素を1:0.05〜1:1の濃度比率で添加、配合し、及び、飲料のpHを3.5以下に調整して酸性飲料とすることにより、飲料の赤色の褪色を抑制することを特徴とする加温用透明容器詰赤色飲料における赤色の褪色を防止する方法。
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