JP2016198007A - カロテノイドおよびカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】カロテノイド含有飲食品の光、加熱または経時変化に起因する香味や香気の劣化に対して、抑制効果に優れ且つ安全性が高い劣化抑制剤の提供。【解決手段】不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物を有効成分とする、β−カロテン、リコペン又はアスタキサンチン等のカロテノイド及びカロテノイド含有飲食品の、光、加熱又は経時変化に起因する香味劣化抑制剤、香味劣化抑制剤と食品用香料を含有する香料組成物、及び香料組成物を含有するカロテノイド含有飲食品。【選択図】なし
Description
本発明は、緑黄色野菜等に含まれる色素であるカロテノイドおよびカロテノイドを含有する飲食品の香味又は香気の劣化抑制剤及び劣化抑制方法に関する。
近年の加工技術の進歩に伴い、緑黄色野菜などの栄養素を、いつでも簡便に摂取できるようになってきた。
しかし、その反面、加工時の高温殺菌処理、プラスチック容器による流通時の光や酸素透過性の影響など、これまでにない環境において、栄養素の他に、美味しさ、外観などを維持しなければならなくなってきた。
特に、緑黄色野菜の栄養素として知られるカロテノイドの酸化は、製品の品質に及ぼす影響が大きいことが知られている。これは、化学構造中に多数の不飽和結合を有するカロテノイドが、光や酸素などの外的要因による酸化を受けやすいことに起因している。(非特許文献1)。
しかし、その反面、加工時の高温殺菌処理、プラスチック容器による流通時の光や酸素透過性の影響など、これまでにない環境において、栄養素の他に、美味しさ、外観などを維持しなければならなくなってきた。
特に、緑黄色野菜の栄養素として知られるカロテノイドの酸化は、製品の品質に及ぼす影響が大きいことが知られている。これは、化学構造中に多数の不飽和結合を有するカロテノイドが、光や酸素などの外的要因による酸化を受けやすいことに起因している。(非特許文献1)。
そのため、これまでにカロテノイドの褪色防止のために、緑茶焙煎物抽出液を有効成分とするカロテノイドの分解防止剤(特許文献1)、ヤマモモ抽出物(特許文献2)、シトラス系果実の果皮由来のクマリン類縁体混合物(特許文献3)、乳蛋白質加水分解物(特許文献4)などの各種食品成分によるカロテノイド色素の安定化技術、また、カロテノイドと油脂と抗酸化剤を混合することでカロテノイドを安定化させる製剤技術(特許文献5)などの種々の方法が考えられてきた。
しかし、いずれの技術も、カロテノイドの褪色にのみ着目しているが、カロテノイド由来の香味劣化には着目していない。
つまり、従来はカロテノイド含有飲食品のカロテノイド由来の香味劣化に関しては、褪色のような十分な対策や配慮が講じられていなかったのであるが、昨今、消費者の食品の美味しさに対する関心の高まりを反映して、カロテノイドの劣化に起因する飲食品の香味劣化を抑制することが新たな課題となっている。
そこで、カロテノイドおよびカロテノイドを含有する飲食品の製造又は流通段階における、加熱、光暴露、酸化等の諸要因による香味劣化を効果的に抑制できる安全で簡便な手段の提供が要望されている。
つまり、従来はカロテノイド含有飲食品のカロテノイド由来の香味劣化に関しては、褪色のような十分な対策や配慮が講じられていなかったのであるが、昨今、消費者の食品の美味しさに対する関心の高まりを反映して、カロテノイドの劣化に起因する飲食品の香味劣化を抑制することが新たな課題となっている。
そこで、カロテノイドおよびカロテノイドを含有する飲食品の製造又は流通段階における、加熱、光暴露、酸化等の諸要因による香味劣化を効果的に抑制できる安全で簡便な手段の提供が要望されている。
綱島賀代子「β−カロチン−脂肪系の光劣化について」、家政学雑誌、Vol. 24(6)、 p. 504-508、 1973
本発明は、従来技術では十分に考慮されていなかった新たな技術を提供しようとするものであり、カロテノイド含有飲食品の光、加熱又は経時変化などに起因する香味や香気の劣化に対して、抑制効果に優れ且つ食経験が豊富という点から安全性が高い植物由来の劣化抑制剤を提供することである。
本発明者らは、カロテノイド含有飲食品の光、加熱または経時変化による劣化とその抑制方法について詳細に検討した結果、不発酵茶抽出液を酸化酵素で処理することによって得られる生成物が顕著な効果を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物を有効成分とするカロテノイドおよびカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制剤。
(2)カロテノイドがβ−カロテン、リコペン又はアスタキサンチンである上記の香味劣化抑制剤。
(3)香味劣化が、光、加熱又は経時変化に起因する香味劣化である上記の香味劣化抑制剤。
(4)上記の香味劣化抑制剤と食品用香料を含有することを特徴とする香料組成物。
(5)上記の香味劣化抑制剤又は香料組成物を含有することを特徴とするカロテノイド含有飲食品。
(6)カロテノイドと、不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物の配合割合が質量比で、0.25〜1000となる上記(5)のカロテノイド含有飲食品。
(7)上記の香味劣化抑制剤又は香料組成物をカロテノイド含有飲食品に添加することによるカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制方法。
(8)カロテノイドと、不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物の配合割合が質量比で、0.25〜1000となるように添加することを特徴とする上記(7)のカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制方法。
(1)不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物を有効成分とするカロテノイドおよびカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制剤。
(2)カロテノイドがβ−カロテン、リコペン又はアスタキサンチンである上記の香味劣化抑制剤。
(3)香味劣化が、光、加熱又は経時変化に起因する香味劣化である上記の香味劣化抑制剤。
(4)上記の香味劣化抑制剤と食品用香料を含有することを特徴とする香料組成物。
(5)上記の香味劣化抑制剤又は香料組成物を含有することを特徴とするカロテノイド含有飲食品。
(6)カロテノイドと、不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物の配合割合が質量比で、0.25〜1000となる上記(5)のカロテノイド含有飲食品。
(7)上記の香味劣化抑制剤又は香料組成物をカロテノイド含有飲食品に添加することによるカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制方法。
(8)カロテノイドと、不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物の配合割合が質量比で、0.25〜1000となるように添加することを特徴とする上記(7)のカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制方法。
本発明の香味劣化抑制剤は、カロテノイドおよびカロテノイド含有飲食品の光、加熱または経時変化などに起因する香味や香気の劣化に対して抑制効果に優れる。
さらに、本発明の香味劣化抑制剤は、古来より飲用に供され食経験が豊富な不発酵茶を原材料とし、また、食品分野で長期にわたって使用され実績のある酸化酵素(特にラッカーゼ)を使用しているので安全性が高い。
さらに、本発明の香味劣化抑制剤は、古来より飲用に供され食経験が豊富な不発酵茶を原材料とし、また、食品分野で長期にわたって使用され実績のある酸化酵素(特にラッカーゼ)を使用しているので安全性が高い。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
〔1〕香味劣化抑制剤
(1)原材料
本発明に使用する不発酵茶抽出液成分は、ツバキ科の常緑樹である茶(カメリア シネンシス;Camellia sinensis)の葉、茎、芽に対して、水又は極性有機溶媒を用いて抽出することによって得ることが出来る。
茶は品種、産地を問わず使用することができ、生茶葉又は飲料用として前処理を施した茶葉を利用することができる。
〔1〕香味劣化抑制剤
(1)原材料
本発明に使用する不発酵茶抽出液成分は、ツバキ科の常緑樹である茶(カメリア シネンシス;Camellia sinensis)の葉、茎、芽に対して、水又は極性有機溶媒を用いて抽出することによって得ることが出来る。
茶は品種、産地を問わず使用することができ、生茶葉又は飲料用として前処理を施した茶葉を利用することができる。
また、抽出に用いる有機溶媒は含水物であっても良く、極性有機溶媒としては、アルコール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。中でも人体への安全性と取扱易さの点から水またはエタノール、プロパノール、ブタノールのような炭素数2〜4の脂肪族アルコールが好ましく、特に水又はエタノール又はこれらの混合物(1〜95%のエタノール水溶液)が望ましい。
抽出に用いる溶媒の量は任意に選択できるが、一般には上記原材料1質量部に対し溶媒量2〜200質量部を使用する。
抽出に用いる溶媒の量は任意に選択できるが、一般には上記原材料1質量部に対し溶媒量2〜200質量部を使用する。
(2)抽出方法
抽出方法としては、溶媒の種類、量等により種々の方法を採用することができる。例えば前記原材料を溶媒中に入れ、浸漬法又は加熱還流法で抽出することができる。なお浸漬法による場合は加熱条件下、室温又は冷却条件下のいずれであってもよい。
また抽出成分の収率の向上や抽出後の分離精製工程を効率よく行うために、抽出中、もしくは抽出後の溶液に対してペクチナーゼ、セルラーゼ、タンナーゼなどの加水分解酵素を用いてもよい。
次いで、溶媒に不溶な残渣を除去して抽出液を得るが、残渣除去方法としては遠心分離、濾過、圧搾等の各種固液分離手段を用いることができる。
抽出方法としては、溶媒の種類、量等により種々の方法を採用することができる。例えば前記原材料を溶媒中に入れ、浸漬法又は加熱還流法で抽出することができる。なお浸漬法による場合は加熱条件下、室温又は冷却条件下のいずれであってもよい。
また抽出成分の収率の向上や抽出後の分離精製工程を効率よく行うために、抽出中、もしくは抽出後の溶液に対してペクチナーゼ、セルラーゼ、タンナーゼなどの加水分解酵素を用いてもよい。
次いで、溶媒に不溶な残渣を除去して抽出液を得るが、残渣除去方法としては遠心分離、濾過、圧搾等の各種固液分離手段を用いることができる。
(3)酸化酵素処理
本発明に適用する酸化酵素としてポリフェノールオキシダーゼやペルオキシダーゼなどを挙げることができ、ポリフェノールオキシダーゼの利用が好適である。
具体的には、ラッカーゼ(EC 1.10.3.2)、カテコラーゼ(EC 1.10.3.1)、チロシナーゼ(EC1.14.18.1)などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で又は2種以上を併用することができる。これらの酵素の由来については特に制限は無く、例えば茶類をはじめとする各種植物由来、動物由来、細菌由来のものが挙げることができる。
これらの中で、特にラッカーゼは産業用酵素としての汎用性、実績もあり、その酸化能も高いため好ましく使用できる。例えば市販されている「ラッカーゼ ダイワ Y120(商品名)」(大和化成株式会社製)や「Denilite II S(商品名)」(ノボザイムズ ジャパン株式会社製)など使用することができる。また、酵素は必ずしも精製する必要はなく、粗酵素の状態でも使用できる。
本発明に適用する酸化酵素としてポリフェノールオキシダーゼやペルオキシダーゼなどを挙げることができ、ポリフェノールオキシダーゼの利用が好適である。
具体的には、ラッカーゼ(EC 1.10.3.2)、カテコラーゼ(EC 1.10.3.1)、チロシナーゼ(EC1.14.18.1)などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で又は2種以上を併用することができる。これらの酵素の由来については特に制限は無く、例えば茶類をはじめとする各種植物由来、動物由来、細菌由来のものが挙げることができる。
これらの中で、特にラッカーゼは産業用酵素としての汎用性、実績もあり、その酸化能も高いため好ましく使用できる。例えば市販されている「ラッカーゼ ダイワ Y120(商品名)」(大和化成株式会社製)や「Denilite II S(商品名)」(ノボザイムズ ジャパン株式会社製)など使用することができる。また、酵素は必ずしも精製する必要はなく、粗酵素の状態でも使用できる。
酵素の使用量に関しては、使用する酵素量を、有効な酵素タンパク質の量で換算した場合、茶抽出液中の固形分100gに対して0.001〜5gであり、好ましくは0.01〜0.5gである。
酵素処理における反応温度は約0〜90℃、好ましくは約25〜75℃の範囲で、反応時間は約5分〜48時間、好ましくは約10分〜6時間作用させる方法を例示することができる。
また、酵素処理後は、50%以上エタノール水溶液中で30分間以上、加熱還流して酵素を失活処理することが好ましい。
酵素処理における反応温度は約0〜90℃、好ましくは約25〜75℃の範囲で、反応時間は約5分〜48時間、好ましくは約10分〜6時間作用させる方法を例示することができる。
また、酵素処理後は、50%以上エタノール水溶液中で30分間以上、加熱還流して酵素を失活処理することが好ましい。
(4)精製処理
上記の酸化酵素処理液は、さらに脱色、脱臭等の精製処理を施すなどして利用することも可能である。精製処理には活性炭、アルミナ、シリカゲルや多孔性のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる合成樹脂吸着剤、メタクリル酸エステル系多孔性重合樹脂、ゲル型合成吸着剤などが使用できる。
精製用の合成樹脂吸着剤としては、例えば三菱化学株式会社製「ダイヤイオンHP−20(商品名)」、「ダイヤイオンSP−70(商品名)」やオルガノ株式会社製「アンバーライトXAD−2(商品名)」、アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社製「セファデックスLH−20(商品名)」などが使用できる。また、以上の群から選ばれる1種または2種以上の処理を組み合わせてもよい。
上記の酸化酵素処理液は、さらに脱色、脱臭等の精製処理を施すなどして利用することも可能である。精製処理には活性炭、アルミナ、シリカゲルや多孔性のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる合成樹脂吸着剤、メタクリル酸エステル系多孔性重合樹脂、ゲル型合成吸着剤などが使用できる。
精製用の合成樹脂吸着剤としては、例えば三菱化学株式会社製「ダイヤイオンHP−20(商品名)」、「ダイヤイオンSP−70(商品名)」やオルガノ株式会社製「アンバーライトXAD−2(商品名)」、アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社製「セファデックスLH−20(商品名)」などが使用できる。また、以上の群から選ばれる1種または2種以上の処理を組み合わせてもよい。
(5)製剤化
上記の酸化酵素処理液又はその精製物は、そのまま香味劣化抑制剤として飲食品等に配合できるが、用途に応じて、以下のように製剤化して使用することもできる。
例えば、水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の(混合)溶剤に適当な濃度で溶解させて(具体的には、水/エタノール、水/エタノール/グリセリン、水/グリセリン等の混合溶剤)液剤とする。またはデキストリン、シュークロース、ペクチン、キチン等を加えることもでき、これらをさらに濃縮してペースト状とすることもできる。
また、各溶液に賦形剤(デキストリン等)を添加し噴霧乾燥によりパウダー状にすることも可能である。さらに上記液剤を乳化剤とともに油脂等に添加して分散させることにより、油溶性の液剤とすることもでき、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。
上記の酸化酵素処理液又はその精製物は、そのまま香味劣化抑制剤として飲食品等に配合できるが、用途に応じて、以下のように製剤化して使用することもできる。
例えば、水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の(混合)溶剤に適当な濃度で溶解させて(具体的には、水/エタノール、水/エタノール/グリセリン、水/グリセリン等の混合溶剤)液剤とする。またはデキストリン、シュークロース、ペクチン、キチン等を加えることもでき、これらをさらに濃縮してペースト状とすることもできる。
また、各溶液に賦形剤(デキストリン等)を添加し噴霧乾燥によりパウダー状にすることも可能である。さらに上記液剤を乳化剤とともに油脂等に添加して分散させることにより、油溶性の液剤とすることもでき、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。
〔2〕カロテノイド含有飲食品
本発明の香味劣化抑制剤は、カロテノイド含有飲食品に適用される。
カロテノイド(Carotenoid)は、高等植物のクロロプラストの中にクロロフィルと共に存在する脂溶性色素である。ニンジン、カボチャ、ホウレンソウ、コマツナ、トマト、ピーマンといった緑黄色野菜に存在する黄、橙、赤色の色素群として知られている。
カロテノイドは、炭素と水素のみからなるカロテン類と、酸素原子を分子中に有するキサントフィル類に分かれ、前者のグループにはα−カロテン、β−カロテン、リコペン等が含まれ、後者のグループにはアスタキサンチン、ルテイン等が含まれる。
本発明の香味劣化抑制剤は、カロテノイド含有飲食品に適用される。
カロテノイド(Carotenoid)は、高等植物のクロロプラストの中にクロロフィルと共に存在する脂溶性色素である。ニンジン、カボチャ、ホウレンソウ、コマツナ、トマト、ピーマンといった緑黄色野菜に存在する黄、橙、赤色の色素群として知られている。
カロテノイドは、炭素と水素のみからなるカロテン類と、酸素原子を分子中に有するキサントフィル類に分かれ、前者のグループにはα−カロテン、β−カロテン、リコペン等が含まれ、後者のグループにはアスタキサンチン、ルテイン等が含まれる。
β−カロテンが多く含まれる野菜として、シソ、モロヘイヤ、ニンジン、パセリ、バジル、ホウレンソウ、アシタバ、ヨモギ、シュンギク、カボチャ、コマツナ、レタス、セロリ、ブロッコリー、ケール、クレソン、インゲンマメ、有色甘藷、ハクサイ、キャベツ、ラディッシュ等を挙げることができる。
リコペンが多く含まれる野菜として、トマト、ニンジン、ナス、ピーマン等を挙げることができる。
アスタキサンチンは、主にエビ、カニ等の甲殻類、サケ、マスの身、タイ、コイの表皮に含まれている。
リコペンが多く含まれる野菜として、トマト、ニンジン、ナス、ピーマン等を挙げることができる。
アスタキサンチンは、主にエビ、カニ等の甲殻類、サケ、マスの身、タイ、コイの表皮に含まれている。
本発明におけるカロテノイド含有飲食品は、例えば、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマト果汁飲料、トマトピューレ、トマトペースト、トマトケチャップ、チリソース、トマトソリッドパック(トマト缶詰)などのトマト加工品の他、ニンジンジュース、ニンジン缶詰、ニンジンジャム、ニンジンゼリー等のニンジン加工品、カボチャスープ、パンプキンパイ等のカボチャ加工品、ホウレンソウポタージュ等のホウレンソウ加工品、野菜ジュース、ゲルプリン、スナック、またクッキーなどの焼き菓子等を例示することができる。
野菜ジュースは野菜を磨り潰すなどしてジュースにしたものであり、トマトジュースと野菜汁を混ぜ合わせたトマトミックスジュース、ニンジンジュースと野菜汁を混ぜ合わせたニンジンミックスジュースが製品として一般的であるが、最近は、野菜と果汁を混ぜた果実・野菜ミックスジュースも市販されている。上記のトマトミックスジュースは、例えば、トマトジュースを主原料として、これにセロリ、ニンジン、パセリ、ホウレンソウ、赤カブ、レッドキャベツその他の野菜汁と、レモン果汁、食塩、香辛料、糖類等を混合したもので、トマト以外の野菜汁が容量の10%以上を含有しているものである。
本発明の香味劣化抑制剤を適用してその効果が発揮される飲食品は、β−カロテン、リコペン、アスタキサンチン等のカロテノイドを多量に含有する飲食品であり、たとえ含有されていても微量である場合は期待される効果はもたらされない。そのため、例えば100%オレンジュジュース等の100%果汁飲料はもとより、カロテノイド含有野菜汁と果汁を含む果実・野菜ミックスジュースであっても野菜汁が少ないもの(例えば1%未満のもの)は、本発明におけるカロテノイド含有飲食品の対象外として扱うのが適当である。
〔2〕香料組成物
本発明の香味劣化抑制剤は、各種の食品用香料と組み合わせ、香料組成物として上記カロテノイド含有飲食品に適用することができる。
組み合わせる食品用香料は、例えば以下の香料である。
本発明の香味劣化抑制剤と組み合わせる香料は、天然香料(植物性天然香料、動物性天然香料)及び合成香料の別を問わず、これらの香料を構成する香味成分が含まれる。
本発明の香味劣化抑制剤は、各種の食品用香料と組み合わせ、香料組成物として上記カロテノイド含有飲食品に適用することができる。
組み合わせる食品用香料は、例えば以下の香料である。
本発明の香味劣化抑制剤と組み合わせる香料は、天然香料(植物性天然香料、動物性天然香料)及び合成香料の別を問わず、これらの香料を構成する香味成分が含まれる。
例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ等のシトラス系香料;アップル、グレープ、ピーチ等のフルーツ系香料;バター、チーズ、ヨーグルト等のデイリー系香料;バニラ系香料;紅茶や緑茶などの茶系香料;コーヒー系香料;ミント系香料;ハーブ、コショウ、ワサビ等のスパイス系香料;ビーフ、ポーク、チキン等のミート系香料;魚貝類、甲殻類等の水産物系香料;ワイン、ウイスキー、ブランデー等の洋酒系香料;バラ、ラベンダー、ジャスミン等のフラワー系香料;オニオン、ガーリック、キャベツ等の野菜系香料;その他の香料を構成する香味成分をあげることができる。
また、香料組成物中における香味劣化抑制剤の配合比は、本発明の効果を発揮する限り特に制限されないが、飲食品への通常使用量が0.01〜1.0質量%である香料組成物の場合、当該香料組成物に対して0.001〜10質量%の割合で含まれることが好ましい。
本発明の香味劣化抑制剤又は当該香味劣化抑制剤を含む香料組成物は、カロテノイド含有飲食品の製造過程で適宜添加することができる。
添加量については、添加対象の種類により異なるが、飲食品中において、カロテノイドと、不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物の配合割合が質量比(カロテノイド/不発酵茶処理生成物)で0.25〜1000、好ましくは0.25〜500となるように添加することが好ましい。
添加量については、添加対象の種類により異なるが、飲食品中において、カロテノイドと、不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物の配合割合が質量比(カロテノイド/不発酵茶処理生成物)で0.25〜1000、好ましくは0.25〜500となるように添加することが好ましい。
ここで、本発明において香味とは、飲食品等の経口組成物の嗅覚で感じる香りと、口腔から鼻腔に抜けた部分で感じる風味を合わせたものをいう。香味には飲食品等の経口組成物が本来有している香味と、香料を添加することにより経口組成物に付与された香味の両方を含む。香気とは、香料を添加することにより付された、主に嗅覚で感じる香りをいう。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
〔抽出例1〕(酵素処理エキスの製造)
乾燥した緑茶葉100gに、水を2000g加え1時間加熱還流した。不溶物を濾過により除去した後、濾液(固形分量は1.5〜2.5%)に対してラッカーゼ(大和化成株式会社製「ラッカーゼ ダイワ Y120(商品名)」)を0.04g添加し、55℃で4時間反応させた。
この酵素処理溶液を濃縮した後、95%エタノール溶液を300g添加し30分間、加熱還流し、酵素失活処理を行った。
溶液を−15℃で冷却後、不溶物を濾過により除去した後、減圧濃縮、凍結乾燥を行い、濃暗褐色の粉末16.9g(以下「酵素処理エキス」と言う)を得た。
乾燥した緑茶葉100gに、水を2000g加え1時間加熱還流した。不溶物を濾過により除去した後、濾液(固形分量は1.5〜2.5%)に対してラッカーゼ(大和化成株式会社製「ラッカーゼ ダイワ Y120(商品名)」)を0.04g添加し、55℃で4時間反応させた。
この酵素処理溶液を濃縮した後、95%エタノール溶液を300g添加し30分間、加熱還流し、酵素失活処理を行った。
溶液を−15℃で冷却後、不溶物を濾過により除去した後、減圧濃縮、凍結乾燥を行い、濃暗褐色の粉末16.9g(以下「酵素処理エキス」と言う)を得た。
この抽出物の物性は以下のとおりである。
a)紫外線吸収スペクトルを図1に示す(測定濃度:10ppm、希釈溶剤:70%エタノール溶液)。
λmax:203nm、267nm
b)溶解性:水に可溶、50〜70%エタノールに易溶、エタノールに不溶
a)紫外線吸収スペクトルを図1に示す(測定濃度:10ppm、希釈溶剤:70%エタノール溶液)。
λmax:203nm、267nm
b)溶解性:水に可溶、50〜70%エタノールに易溶、エタノールに不溶
〔抽出例2〕 (紅茶抽出物の製造)
紅茶葉50gに50%エタノール水溶液500gを加え、1時間加熱還流した。不溶物を濾過により除去した後、濾液を減圧濃縮、凍結乾燥し褐色の粉末(以下「紅茶抽出物」という)15.1gを得た。
紅茶葉50gに50%エタノール水溶液500gを加え、1時間加熱還流した。不溶物を濾過により除去した後、濾液を減圧濃縮、凍結乾燥し褐色の粉末(以下「紅茶抽出物」という)15.1gを得た。
〔試験例A〕
(評価用のβ−カロテン含有シロップの調製)
上記の酵素処理エキスをβ−カロテン含有シロップに添加して、香味劣化抑制効果を検討した。
グラニュー糖、クエン酸を所定量配合したシロップに、ヤヱガキ醗酵技研株式会社製の食品用色素「OCLイエローBC-ES」(β−カロテン濃度1%)と0.2%酵素処理エキス(抽出例1の粉末を水で0.2%濃度にしたもの)を、表1の各処方で配合し、70℃で10分間の加熱殺菌を行い、実施例A1〜A6と比較例A1〜A3のβ−カロテン含有シロップを調製した。
(評価用のβ−カロテン含有シロップの調製)
上記の酵素処理エキスをβ−カロテン含有シロップに添加して、香味劣化抑制効果を検討した。
グラニュー糖、クエン酸を所定量配合したシロップに、ヤヱガキ醗酵技研株式会社製の食品用色素「OCLイエローBC-ES」(β−カロテン濃度1%)と0.2%酵素処理エキス(抽出例1の粉末を水で0.2%濃度にしたもの)を、表1の各処方で配合し、70℃で10分間の加熱殺菌を行い、実施例A1〜A6と比較例A1〜A3のβ−カロテン含有シロップを調製した。
(官能評価方法)
加熱殺菌によるβ−カロテンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、下記の5段階で行った。
非常に強く感じる:5点
強く感じる :4点
感じる :3点
若干感じる :2点
感じない :1点
加熱殺菌によるβ−カロテンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、下記の5段階で行った。
非常に強く感じる:5点
強く感じる :4点
感じる :3点
若干感じる :2点
感じない :1点
〔試験例B〕
(評価用の人参ジュースの調製)
6倍濃縮人参ジュース(日本果実加工株式会社製)とグラニュー糖でブリックス(Bx)6.2に調整した人参ジュースに、0.2%酵素処理エキスを表2の各処方で配合し、121℃で10分間の加熱殺菌を行い、実施例B1〜B6と比較例B1〜B3の人参ジュースを調製した。
(評価用の人参ジュースの調製)
6倍濃縮人参ジュース(日本果実加工株式会社製)とグラニュー糖でブリックス(Bx)6.2に調整した人参ジュースに、0.2%酵素処理エキスを表2の各処方で配合し、121℃で10分間の加熱殺菌を行い、実施例B1〜B6と比較例B1〜B3の人参ジュースを調製した。
(官能評価方法)
加熱殺菌によるβ−カロテンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
加熱殺菌によるβ−カロテンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
〔試験例C〕
(評価用のβ−カロテン含有ゼリーの調製)
加温溶解したゲル化剤(旭東化学産業株式会社製「ユニアガーLAX-100」)に、グラニュー糖、酸味料(クエン酸、クエン酸Na)、食品用色素「OCLイエローBC-ES」(ヤヱガキ醗酵技研株式会社製、β−カロテン濃度1%)を添加溶解し、0.2%酵素処理エキスを表2の各処方で配合し、すみやかにゼリーカップに充填し、85℃で20分間の加熱殺菌を行い、実施例C1〜C6と比較例C1〜C3のゼリー菓子を調製した。
(評価用のβ−カロテン含有ゼリーの調製)
加温溶解したゲル化剤(旭東化学産業株式会社製「ユニアガーLAX-100」)に、グラニュー糖、酸味料(クエン酸、クエン酸Na)、食品用色素「OCLイエローBC-ES」(ヤヱガキ醗酵技研株式会社製、β−カロテン濃度1%)を添加溶解し、0.2%酵素処理エキスを表2の各処方で配合し、すみやかにゼリーカップに充填し、85℃で20分間の加熱殺菌を行い、実施例C1〜C6と比較例C1〜C3のゼリー菓子を調製した。
(官能評価方法)
加熱殺菌によるβ−カロテンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
加熱殺菌によるβ−カロテンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
〔試験例D〕
(評価用のリコペン含有シロップの調製)
グラニュー糖、クエン酸を所定量配合した糖と酸の混合液に、ヤヱガキ醗酵技研株式会社製の食品用色素「トマトレッドBS20」(リコペン濃度2%)と0.2%酵素処理エキスを、表4の処方例で配合し、70℃で10分間の加熱殺菌を行い、実施例D1〜D6と比較例D1〜D3の糖酸シロップを調製した。
(評価用のリコペン含有シロップの調製)
グラニュー糖、クエン酸を所定量配合した糖と酸の混合液に、ヤヱガキ醗酵技研株式会社製の食品用色素「トマトレッドBS20」(リコペン濃度2%)と0.2%酵素処理エキスを、表4の処方例で配合し、70℃で10分間の加熱殺菌を行い、実施例D1〜D6と比較例D1〜D3の糖酸シロップを調製した。
(官能評価方法)
光照射(10℃保管で、15,000ルクスの光に1週間暴露)によるリコペンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
光照射(10℃保管で、15,000ルクスの光に1週間暴露)によるリコペンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
〔試験例E〕
(評価用のトマトジュースの調製)
12倍濃縮トマトジュース(ライコレッド社製)とグラニュー糖でブリックス(Bx)5.2に調整したトマトジュースに、0.2%酵素処理エキスを、表5の処方で配合し、85℃で30分間の加熱殺菌を行い、実施例E1〜E6と比較例E1〜E3のトマトジュースを調製した。
(評価用のトマトジュースの調製)
12倍濃縮トマトジュース(ライコレッド社製)とグラニュー糖でブリックス(Bx)5.2に調整したトマトジュースに、0.2%酵素処理エキスを、表5の処方で配合し、85℃で30分間の加熱殺菌を行い、実施例E1〜E6と比較例E1〜E3のトマトジュースを調製した。
(官能評価方法)
光照射(10℃保管で、15,000ルクスの光に1週間暴露)によるリコペンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
光照射(10℃保管で、15,000ルクスの光に1週間暴露)によるリコペンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
〔試験例F〕
(評価用のリコペン含有ゼリーの調製)
加温溶解したゲル化剤(旭東化学産業株式会社製「ユニアガーLAX-100」)に、グラニュー糖、酸味料(クエン酸、クエン酸Na)、ヤヱガキ醗酵技研株式会社製の食品用色素「トマトレッドBS20」(リコペン濃度2%)を添加溶解し、すみやかにゼリーカップに充填し、85℃で20分間の加熱殺菌を行い、実施例F1〜F6と比較例F1〜F3の糖酸ゼリーを調製した。
(評価用のリコペン含有ゼリーの調製)
加温溶解したゲル化剤(旭東化学産業株式会社製「ユニアガーLAX-100」)に、グラニュー糖、酸味料(クエン酸、クエン酸Na)、ヤヱガキ醗酵技研株式会社製の食品用色素「トマトレッドBS20」(リコペン濃度2%)を添加溶解し、すみやかにゼリーカップに充填し、85℃で20分間の加熱殺菌を行い、実施例F1〜F6と比較例F1〜F3の糖酸ゼリーを調製した。
(官能評価方法)
光照射(10℃保管で、15,000ルクスの光に1週間暴露)によるリコペンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
光照射(10℃保管で、15,000ルクスの光に1週間暴露)によるリコペンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
〔試験例G〕
(評価用のアスタキサンチン含有シロップの調製)
グラニュー糖、クエン酸を所定量配合した糖と酸の混合液に、武田紙器株式会社製の「アスタッツECS」(アスタキサンチン濃度2%)と0.2%酵素処理エキスを、表7の処方で配合し、70℃で10分間の加熱殺菌を行い、実施例G1〜G6と比較例G1〜G3の糖酸シロップを調製した。
(評価用のアスタキサンチン含有シロップの調製)
グラニュー糖、クエン酸を所定量配合した糖と酸の混合液に、武田紙器株式会社製の「アスタッツECS」(アスタキサンチン濃度2%)と0.2%酵素処理エキスを、表7の処方で配合し、70℃で10分間の加熱殺菌を行い、実施例G1〜G6と比較例G1〜G3の糖酸シロップを調製した。
(官能評価方法)
加熱虐待試験(50℃で4日間保管)によるアスタキサンチンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
加熱虐待試験(50℃で4日間保管)によるアスタキサンチンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
〔試験例H〕 分子量分布の測定
抽出例1の酵素処理エキスについて、サイズ排除クロマトグラフィーにて分子量分布測定を行った。
酵素処理エキスのクロマトグラムを図2に示す。また、分子量分布の測定結果を表8に示す。
測定機器と測定条件は以下のとおりである。
機器:Waters 2690
カラム:Asahipak GS−320+620+220(7.6mm i.d. ×10mm)+(7.6mm i.d. ×500mm)×2
溶離液:蒸留水+0.05%アジ化ナトリウム
流速:1mL/min
検出器:RI (Refractive Index) 検出器、PDA (Photo Diode Array) 検出器
注入量:100μL
カラム温度:40℃
分子量分布は下記の標準溶液を用いて作成した較正曲線から求めた。
標準液1:プルラン水溶液(プルランMW 800000、100000、20000、6000、ブドウ糖の各0.01%混合溶液) (Polymer Laboratories社製)
標準液2:ポリエチレングリコール水溶液(PEG MW 10000、4000、2000、600、ブドウ糖の各0.01%混合溶液) (Shodex社製)
抽出例1の酵素処理エキスについて、サイズ排除クロマトグラフィーにて分子量分布測定を行った。
酵素処理エキスのクロマトグラムを図2に示す。また、分子量分布の測定結果を表8に示す。
測定機器と測定条件は以下のとおりである。
機器:Waters 2690
カラム:Asahipak GS−320+620+220(7.6mm i.d. ×10mm)+(7.6mm i.d. ×500mm)×2
溶離液:蒸留水+0.05%アジ化ナトリウム
流速:1mL/min
検出器:RI (Refractive Index) 検出器、PDA (Photo Diode Array) 検出器
注入量:100μL
カラム温度:40℃
分子量分布は下記の標準溶液を用いて作成した較正曲線から求めた。
標準液1:プルラン水溶液(プルランMW 800000、100000、20000、6000、ブドウ糖の各0.01%混合溶液) (Polymer Laboratories社製)
標準液2:ポリエチレングリコール水溶液(PEG MW 10000、4000、2000、600、ブドウ糖の各0.01%混合溶液) (Shodex社製)
〔試験例I〕 総ポリフェノール含量の測定
本発明の抽出例1の酵素処理エキスと既存の抗酸化素材である紅茶抽出物の総ポリフェノール含量を、Folin-Denis法を用いて以下のとおり測定した。
この方法は、タンニン様化合物のフェノール性水酸基がアルカリ溶液中でモリブテン酸を還元することで生じる青色を比色定量するものである。
各試料を純水で50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppmになるように調整したものを100μl用意し、そこに下記のFolin-Denis試薬を100μlずつ加えて2分間攪拌した後3分間室温にて静置した。次いで、10%(W/V)炭酸水素ナトリウム溶液を100μlずつ加え、2分間攪拌してから暗所で1時間反応させた。さらに、マイクロプレートリーダーで655nmの吸光度を測定し、タンニン酸を用いた検量線により各試料のポリフェノール濃度を算出した。
本発明の抽出例1の酵素処理エキスと既存の抗酸化素材である紅茶抽出物の総ポリフェノール含量を、Folin-Denis法を用いて以下のとおり測定した。
この方法は、タンニン様化合物のフェノール性水酸基がアルカリ溶液中でモリブテン酸を還元することで生じる青色を比色定量するものである。
各試料を純水で50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppmになるように調整したものを100μl用意し、そこに下記のFolin-Denis試薬を100μlずつ加えて2分間攪拌した後3分間室温にて静置した。次いで、10%(W/V)炭酸水素ナトリウム溶液を100μlずつ加え、2分間攪拌してから暗所で1時間反応させた。さらに、マイクロプレートリーダーで655nmの吸光度を測定し、タンニン酸を用いた検量線により各試料のポリフェノール濃度を算出した。
Folin-Denis試薬の調製: タングステン酸ナトリウム100g、リンモリブテン酸20g、リン酸50ml、水750mlを混合し、2時間、加熱還流し、放冷後、水を加え全量を1000mlとする。
結果を表9に示す。
結果を表9に示す。
〔試験例H〕
(評価用の人参ジュースの調製)
6倍濃縮人参ジュース(日本果実加工株式会社製)とグラニュー糖でブリックス(Bx)6.2に調整した人参ジュースに、0.2%酵素処理エキスおよび0.5%紅茶抽出物を表10の各処方で配合し、70℃で10分間の加熱殺菌を行い、比較例H1および実施例H1の人参ジュースを調製した。
(評価用の人参ジュースの調製)
6倍濃縮人参ジュース(日本果実加工株式会社製)とグラニュー糖でブリックス(Bx)6.2に調整した人参ジュースに、0.2%酵素処理エキスおよび0.5%紅茶抽出物を表10の各処方で配合し、70℃で10分間の加熱殺菌を行い、比較例H1および実施例H1の人参ジュースを調製した。
(官能評価方法)
加熱殺菌によるβ−カロテンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
加熱殺菌によるβ−カロテンの劣化香味を、訓練されたパネラー3名で評価した。評価は、試験例Aと同様の5段階評価で行った。
前記の試験例A〜Gによって、本発明の抽出例1の酵素処理エキスは、カロテイノドおよびカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制に高い効果を示すことが明らかになった。
一方、表9および試験例Hより、酵素処理エキスは、ポリフェノール含量が既存の抗酸化剤である紅茶抽出物(カテキンが酸化重合したポリフェノールを含む)より少ないにもかかわらず、高いカロテノイドの劣化香味抑制効果を有することが明らかになった。つまり、本発明の酵素処理エキスは、既存の香味劣化抑制剤のようなポリフェノール主体の抗酸化作用とは異なるメカニズムによって香味又は香気の劣化抑制作用を発揮したものと推測される。
一方、表9および試験例Hより、酵素処理エキスは、ポリフェノール含量が既存の抗酸化剤である紅茶抽出物(カテキンが酸化重合したポリフェノールを含む)より少ないにもかかわらず、高いカロテノイドの劣化香味抑制効果を有することが明らかになった。つまり、本発明の酵素処理エキスは、既存の香味劣化抑制剤のようなポリフェノール主体の抗酸化作用とは異なるメカニズムによって香味又は香気の劣化抑制作用を発揮したものと推測される。
Claims (8)
- 不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物を有効成分とするカロテノイドおよびカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制剤。
- カロテノイドがβ−カロテン、リコペン又はアスタキサンチンである請求項1記載の香味劣化抑制剤。
- 香味劣化が、光、加熱又は経時変化に起因する香味劣化である請求項1記載の香味劣化抑制剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の香味劣化抑制剤と食品用香料を含有することを特徴とする香料組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の香味劣化抑制剤又は請求項4に記載の香料組成物を含有することを特徴とするカロテノイド含有飲食品。
- カロテノイドと、不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物の配合割合が質量比で、0.25〜1000となる請求項5記載のカロテノイド含有飲食品。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の香味劣化抑制剤又は請求項4に記載の香料組成物を、カロテノイド含有飲食品に添加することによるカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制方法。
- カロテノイドと、不発酵茶抽出液をラッカーゼで処理することによって得られる生成物の配合割合が質量比で、0.25〜1000となるように添加することを特徴とする請求項7記載のカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制方法。
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---|---|---|---|
JP2015078850A JP2016198007A (ja) | 2015-04-08 | 2015-04-08 | カロテノイドおよびカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制剤 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019208455A (ja) * | 2018-06-06 | 2019-12-12 | 株式会社明治 | カボチャ含有食品用光劣化臭マスキング剤、該マスキング剤を含むカボチャ含有食品及びその製造方法、並びにカボチャ含有食品の光劣化臭のマスキング方法 |
JP7445285B2 (ja) | 2019-12-13 | 2024-03-07 | 日本メナード化粧品株式会社 | カロテノイド含有食品 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009011271A1 (ja) * | 2007-07-13 | 2009-01-22 | Ogawa & Co., Ltd. | 香味又は香気の劣化抑制剤 |
-
2015
- 2015-04-08 JP JP2015078850A patent/JP2016198007A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009011271A1 (ja) * | 2007-07-13 | 2009-01-22 | Ogawa & Co., Ltd. | 香味又は香気の劣化抑制剤 |
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Title |
---|
食品成分表2014, vol. p. 92, 93, JPN6019001594, 10 February 2014 (2014-02-10) * |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019208455A (ja) * | 2018-06-06 | 2019-12-12 | 株式会社明治 | カボチャ含有食品用光劣化臭マスキング剤、該マスキング剤を含むカボチャ含有食品及びその製造方法、並びにカボチャ含有食品の光劣化臭のマスキング方法 |
JP7128467B2 (ja) | 2018-06-06 | 2022-08-31 | 株式会社明治 | カボチャ含有食品用光劣化臭マスキング剤、該マスキング剤を含むカボチャ含有食品及びその製造方法、並びにカボチャ含有食品の光劣化臭のマスキング方法 |
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