JP2013203710A - 葉酸配合製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】内容物である、葉酸を配合した組成物が光によって変質することがなく、また組成物の状態を容器に外から視認することが可能な、組成物が容器に充填されてなる葉酸配合製品を提供する。
【解決手段】葉酸を含む組成物を下記式(1)及び(2)の光透過条件を同時に満たす容器に充填した葉酸配合製品である。好ましくはさらに下記式(3)の光透過条件を同時に満たす容器に充填されたものである。



(上記式(1)(2)(3)中、λは光の波長(単位:nm)を示し、f(λ)は容器を透過する光の波長λについての透過率の関数を示したものである。)
【選択図】なし

Description

本発明は、葉酸を配合した組成物を特定の容器に充填してなる製品に関し、より詳細には、葉酸の光による劣化を防ぐことができる製品に関する。
葉酸はビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸とも呼ばれ、アミノ酸やタンパク質、赤血球や核酸の合成などに関与する、生体にとって必要不可欠な栄養素である。葉酸は人体においてde novo合成されないため、食事等によって摂取する必要がある。葉酸の効果について近年特に注目されているのは、母体の妊娠時の葉酸欠乏により、神経管異常の新生児が生まれる確率が増えるが、葉酸の投与によりこれを予防できることである(非特許文献1)。また、葉酸がガン、特に上皮性のガンに対して防御作用を示すとする報告もなされており(非特許文献2)、葉酸の重要性が再認識されつつある。そのため、厚生労働省では一般成人で240μg/日、妊婦で440μg/日の葉酸を摂取することを推奨している。葉酸はほうれん草等の野菜や果物に多く含まれているが、その含有量は1日の必要量に対しては低いものであり、必要とされる葉酸全てを食事から摂取することは難しいことが多い。したがって、葉酸を配合した栄養補助食品等が開発され、特に妊娠中の女性にはサプリメントが汎用されている。
一方、葉酸は皮膚においては、損傷を受けたDNAを修復する効果を有し、特に紫外線によって引き起こされるDNA損傷を予防・修復するために有効であることが報告されている。(特許文献1)。また、還元型葉酸である7,8−ジヒドロ葉酸はメラノサイト表面上のc−kitレセプターに対するSCFの結合を特異的に阻害し、メラニンの過剰生成に伴う皮膚の褐色化やシミ・ソバカスの発生の予防又は改善効果を有することが報告されている(特許文献2)。
上述のとおり、様々な疾病や現象の予防や治療、健康の維持に葉酸が有用であることが報告され、近年、葉酸を摂取、外用等する必要性・重要性が益々高まっているが、葉酸は不安定な化合物であり、葉酸を配合した組成物、特に水性組成物の安定性を確保するのは非常に困難である。
葉酸が安定に存在し得るのは弱酸性から中性領域の限られた領域である。また、葉酸は光や熱によっても容易に分解する(非特許文献3)ので、冷暗所において適切に保存しなければ組成物中の葉酸含有量は経時的に低下し、変色や沈殿を生じてしまう。そのため、葉酸を配合した飲料や点滴剤、化粧料等は、商品として店頭陳列され強い光にさらされた場合等には保存安定性に大きな問題があった。
そのため、容器の遮光性を高める様々な方法が提案されてきた。耐光性の劣るビタミン類を配合した組成物の容器の遮光性を高める方法としては、例えば、透明なペットボトルの全体を熱収縮性ラベルで覆う方法(特許文献4)、透明飲料用容器に外装するシュリンクラベルにインクを多層塗布する方法(特許文献5および特許文献6)、白色又は乳白色のシュリンクフィルムの裏面に黒色の印刷をする方法(特許文献7)等が挙げられる。しかし、これでは容器の外側からは内容物の状態が確認できないため使用時に不便であり、審美的でなかった。
一方で、光に弱いハイドロキノン配糖体を、容器外からの視認性を確保しつつ光による変色等を防ぐために特定の光透過条件を満たす容器に充填する技術も知られている(特許文献8)。しかし、容器外側からの視認性を確保しつつ葉酸の光安定性を確保する技術は知られていない。
特開2002−212077号公報 特開2008−31094号公報 特開2006−262735号公報 特開2004−256143号公報 特開2001−125488号公報 特開2001−192084号公報 特開2003−26252号公報 特開2003−70535公報 Pediat.Gastroenterol. Nutr. 1995 vol.20 4−16 Nutr. Cancer 1994 vol.22:101− J Biol Chem. 1949 vol.180(1):389−398
本発明は、容器外からの視認性を確保しつつ、組成物中の葉酸の光による劣化を防ぐことができる葉酸配合製品を提供するものである。
本発明らは、前記課題を解決するため、鋭意検討した結果、葉酸を含む組成物を特定の光透過条件を同時に有する容器に充填することにより、葉酸の光による劣化を防ぐことができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕葉酸を配合した組成物を、下記式(1)及び(2)の条件を同時に満たす容器に充填することを特徴とする葉酸配合製品。
(上記式(1)(2)中、λは光の波長(単位:nm)を示し、f(λ)は容器を透過する光の波長λについての透過率の関数を示したものである。)
〔2〕前記組成物がさらに上記式(3)の条件を同時に満たすことを特徴とする〔1〕記載の葉酸配合製品。
(上記式(3)中、λは光の波長(単位:nm)を示し、f(λ)は容器を透過する光の波長λについての透過率の関数を示したものである。)
〔3〕前記組成物がさらにリジン、アルギニン、トリプトファン、ヒドロキプロリン及びこれらの塩から選ばれる1種以上のアミノ酸を配合したことを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の葉酸配合製品。
〔4〕前記組成物が皮膚外用剤であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕いずれかに記載の葉酸配合製品。
〔5〕前記組成物が化粧料であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕いずれかに記載の葉酸配合製品。
本発明によれば、組成物が光に対して安定で、かつ容器外側から内の組成物を視認することができる葉酸配合製品を得ることが可能となる。また、本発明の葉酸配合製品の容器は、従来より光をカットするために行われている容器自体に紫外線吸収剤を混ぜ合わせるといった煩雑さを解消し、低コストで製造可能なものである。
No.1〜No.12(実施例1〜7、比較例1〜5)の12種類の容器の光透過率スペクトルを示す図である。 実施例8の容器の光透過率スペクトルを示す図である。
以下に、本発明の実施の態様について説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明に用いられる葉酸は、葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、5位及び/又は10位が置換された置換テトラヒドロ葉酸、及び重合型のリグルタミル葉酸(2から8のグルタミン酸残基を有する)を意味する。具体例としては、葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)、7,8−ジヒドロ葉酸、5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸、5−メチルテトラヒドロ葉酸、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸、5,10−メテニルテトラヒドロ葉酸、5,10−ホルムイミノテトラヒドロ葉酸、5−ホルミルテトラヒドロ葉酸(ロイコボリン)、5−ホルミルイミノテトラヒドロ葉酸、10−ホルミルテトラヒドロ葉酸、重合型のポリグルタミル葉酸(2から8のグルタミン酸残基を有する)、それらのエステル体、及びそれらの塩、それらの混合物を挙げることができる。重合型のポリグルタミル葉酸としては、例えば、5−ホルムイミノ−(6S)−テトラヒドロ葉酸等のテトラヒドロ葉酸のジグルタミル、トリグルタミル、テトラグルタミル、ペンタグルタミルおよびヘキサグルタミル誘導体等を挙げることができる。また、特に限定のない限り、用語「葉酸」は、両方のエナンチオマー(αS)および(αR)を包含し、そしてテトラヒドロ葉酸については、そのジアステレオマー((6S,αS)、(6S,αR)、(6R,αS)および(6R,αR))を包含する。
プテロイルモノグルタミン酸は、日本薬局方又は食品添加物規格に収載された「葉酸」に相当する合成品がBASF武田ビタミン株式会社及びディー・エス・エムジャパン株式会社等から入手できる。また、食物由来の場合は、緑茶、烏龍茶、紅茶等の茶類、大豆、ソラマメ等の豆類、からし菜、ほうれん草、みずかけ菜、なば菜、グリーンアスパラガス、春菊、サツマイモ、ブロッコリー、チンゲン菜等の野菜、いちご、パパイヤ、オレンジ、ミカン等の果物類から定法に従って抽出したものが使用可能である。これら植物からの葉酸抽出は、茶葉の場合は、温水乃至熱湯で抽出することによって、豆類、野菜類、果物類の場合は、搾汁液から不溶性画分を除き、抽出液を回収することによって達成される。
本発明の葉酸としては、光に対する安定性が高いこと及び生体内での利用率が高いことから、合成品のプテロイルモノグルタミン酸が最も好ましい。
本発明の葉酸の配合量は組成物中、0.00001〜1質量%(以下、「%」と略記する)が好ましく、0.0001〜0.5%がより好ましく、0.01〜0.2%が特に好ましい。この範囲であると、葉酸の有用性をより発揮させながら、効果的に葉酸の安定化をはかることができる。
本発明の葉酸配合製品は、葉酸を含む組成物が下記式(1)(2)の光透過条件を同時に満たす容器に充填されたものである。また、好ましくはさらに下記式(3)の光透過条件を同時に満たす容器に充填されたものである。
上記式(1)(2)(3)中、λは光の波長(単位:nm)を示し、f(λ)は容器を透過する光の波長λについての透過率の関数を示したものである。たとえば式(1)は、区間〔380,500〕上で定義される変数λの関数fの定積分値を、区間の差で除し、100を乗じた値(単位%T)である。すなわち、fのグラフとλ軸、およびλ=380とλ=500で囲まれるλT平面の領域の符号付面積を、該区間の平均透過率(%T)に換算したものである。
上記式(1)により特定される条件を満たす容器は、380〜500nmの範囲の各波長における光の平均透過率が7%以下である。このため、該容器は、紫外線を含む近紫外領域の波長を遮断することができ、中に充填された葉酸配合組成物が光によって変色や変質等を起こすことがない。
上記式(2)により特定される条件を満たす容器は、500〜700nmの範囲の各波長における光の平均透過率が5%以上である。このため、該容器は内容物の視認をするのに十分な光を透過するため、充填された組成物の状態や量等を容器の外から容易に視認することができ、使用時に便利である。
上記式(1)及び(2)により特定される条件を同時に満たす容器は、紫外線を含む近紫外領域の波長を遮断し、かつ、内容物の視認をするのに十分な光を透過するため、葉酸配合組成物の光による劣化を抑制しながらも該容器に充填された組成物を容器の外から容易に視認することができるものである。
上記式(1)及び(2)に加え、さらに、上記式(3)により特定される条件を満たす容器は、600〜700nmの範囲の可視波長領域における光の平均透過率が40%以上である。そのため、内容物の視認をするのに十分な光を透過して、より透明度が高い。このため、容器に充填された組成物の量等の状態を容器の外から極めて容易に視認することができる。
本発明における光の透過スペクトル、及び光透過率は、紫外可視分光光度計UV−2500(PC)SGLP(株式会社島津製作所社製)により測定することができる。
本発明の葉酸配合製品用の容器は、十分に葉酸の光安定性を確保しているものであるが、波長380nm以下の光の平均透過率を20%以下、より好ましくは10%以下にすることにより、さらに葉酸安定化効果を高めることができる。これは、一般に、380nm以下の波長の短い光は特にエネルギーが高く、化合物が分解されやすいためである。上記の条件を満たす方法としては、遮光性の箱等の中に本発明の葉酸配合製品を保管する方法や、容器表面を腐食加工、UVカット塗装若しくは紫外線吸収剤を配合した樹脂を成型する等の本発明の葉酸配合製品用の容器自体に加工を施す方法が挙げられる。
本発明の葉酸配合組成物の性状は、特に限定されず、液状、ペースト状、ゲル状、固形状、粉末状等の何れの性状でもよい。用途面から見た場合、前記組成物は、外用、内服、経口摂取、注射又は点滴するための医薬組成物;医薬部外品組成物;輸液、皮膚外用剤、化粧料(医薬部外品を含む);食品添加物;飲料組成物;又は食品組成物(栄養機能食品、特定保健用食品、機能性食品、健康食品、サプリメント)等に区分することができる。本発明の葉酸配合組成物は、葉酸の光に対する安定性が十分に確保されるため、商品として光にさらされる機会が多く、また容器外部からの内容物の視認性が使用時に重要である飲料組成物若しくは食品組成物、又は皮膚外用剤若しくは化粧料とするのが好ましい。また、容器が半透明で審美性が高いため、容器の審美性が重要な商品品質の一つである、皮膚外用剤又は化粧料とするのが特に好ましい。
飲料組成物は、配合形態の例としては、特に限定されず、例えば、緑茶、ウーロン茶、紅茶等の茶飲料;リンゴジュース、グレープフルーツジュース、オレンジジュース等のジュース類;果汁配合飲料;野菜汁配合飲料;コーヒー飲料;ココア飲料;牛乳等の乳飲料;コーラ、サイダー等の炭酸飲料;スポーツ飲料;豆乳;ミネラルウォーター;ニアウォーター飲料;ダイエットサポート飲料;栄養補給飲料等である。また、ビール、発泡酒、ワイン、日本酒等のアルコール飲料であってもよい。食品組成物は、上記配合用組成物を原材料に適量配合して定法に従って加工することによって得られる菓子、パン、ヨーグルト、ゼリー、冷菓、キャンデイ、ガム等である。本発明の飲料組成物は、好ましくは、ジュース類;果汁配合飲料;野菜汁配合飲料;乳飲料;茶飲料等の容器詰飲料組成物である。
上記飲料組成物又は食品組成物は、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、食品添加物として使用可能な各種の甘味料、酸味料、無機酸塩、無機酸塩類、有機酸、栄養強化剤、酸化防止剤、香料、色素類、乳化剤、保存料、調味料、脂質類、タンパク質類、ペプチド類、多糖類、食物繊維類、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤等を単独或いは併用して配合してもよい。
本発明の皮膚外用剤又は化粧料の例としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗浄料等のスキンケア化粧料、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラ、頬紅、口紅等のメーキャップ化粧料、養毛料、ヘアトニック、シャンプー、リンス等の頭髪用化粧料、分散液、軟膏、外用液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等のいずれの形態であってもよい。
本発明の皮膚外用剤又は化粧料には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等の製剤に使用される成分、例えば、水(例えば、アルカリ単純温泉水、深層水、精製水等を含む)、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、樹脂、紫外線防御剤、抗菌剤、香料、塩類、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗酸化剤、美白剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を加えることができる。
本発明における「安定化」とは、葉酸が光により分解、劣化されることを抑制し、含量、外観及び匂い等の変化を抑制することをいう。より具体的には、30℃、8,000ルクスの蛍光灯(人工気象器)の光の下に置いた場合に、少しでも葉酸に対する安定化効果が見出せることを意味し、好ましくは、当該条件下に3日置いた場合に外観(濁度、沈殿、変色)又は匂いの変化が生じないこと、特に好ましくは当該条件下に2週間置いた場合に外観(濁度、沈殿、変色)又は匂いの変化が生じないことを意味する。
本発明の容器は、本発明の組成物を充填するために適当な材質・形状であれば特に限定されるものではない。容器の材質としては、例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(高密度ポリエチレン:HDPE、低密度ポリエチレン:LDPE)、ポリスチレン、エバール、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、ポリビニルクロライド(PVC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ニトリルブタジエンラバー(NBR),イソブチルイソプレンラバー(IIR)、シリコンゴム、紙、パルプ等が挙げられる。これらの材質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の容器の形状としては、組成物を充填できれば特に制限はないが、例えば、チューブ、ボトル、ジャー、及び袋状、円筒状、箱状等、化粧料用であれば円筒状容器、パウダー容器、コンパクト容器、スティック容器の等の各種の形状が挙げられる。
本発明の容器は、容器の材質そのものの特性により、容器の厚みの制御により、若しくは容器を構成する材料中に色材等を予め配合することにより、又は容器に以下のような加工を施すことにより、特定の光透過条件を満たすようにすることができる。容器に施す加工としては、例えば、所定の形状に成形加工した容器に色材・薬剤・紫外線吸収剤等を含むフィルム等を貼付したものを用いることができる。また、色材等を含むフィルム等を貼付した樹脂等を所定の形状に成形加工することもできる。また、所定の形状に成形加工した容器の外面に紫外線吸収剤および赤色等の所定の色材を含む塗料を焼付け塗装したものを用いてもよい。
本発明の容器の容器に用いる色材としては、染料、顔料、紫外線吸収剤等があげられる。染料としては、例えば直接染料、塩基性染料、酸性染料、媒染染料、酸性媒染染料、硫化染料、硫化建染染料、建染染料、アゾ染料及びアセテ−ト染料等がある。また顔料としては、例えば亜鉛華、二酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クロムバ−ミリオン、弁柄、クロム酸鉛、黄色硫化鉄、チタン黄、クロムグリ−ン、酸化クロム、郡青、コバルトブル−、等の無機系顔料、さらにはレ−キッド4R、ウオッチングレッド、ピラゾロンオレンジ、パ−マネントレッド2B、ペリレンスカ−レッド、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、シアニンブル−、インダンスレンブル−及びキナクリドンバイオレット、等の有機系顔料を使用することができる。
本発明のリジン、アルギニン、トリプトファン、ヒドロキシプロリン及びこれらの塩は、葉酸の安定化剤として用いられるものであり、製造方法等は特に限定されるものではない。アミノ酸の塩としてはリジン塩酸塩、リジングルタミン酸塩、アルギニン塩酸塩、アルギニングルタミン酸塩等があげられる。本発明においては、匂い変化が少ない点から、L−リジン、L−リジン塩酸塩、L−アルギニン、又はL−アルギニン塩酸塩を用いることが好ましく、L−リジン、L−リジン塩酸塩が特に好ましい。
これらの配合量は、葉酸の配合量に基づいて適宜決定することができるが、葉酸を十分に安定化し、それ自体の匂い変化の観点から、組成物中0.001〜5%が好ましく、0.05〜1%がより好ましく、0.1〜0.5%が特に好ましい。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1.光透過スペクトルの異なる容器を用いた視認性試験及び葉酸の光安定性試験
(実施例1〜7、比較例1〜5)
光透過スペクトルの異なる容器を準備し、その中に葉酸配合組成物を充填して、各容器について容器外側から組成物を視認できるか(視認性試験)、また葉酸の安定性が確保されるか(葉酸の光安定性試験)を行った。
〔容器の準備と光透過スペクトルの測定〕
下記の方法により、光透過スペクトルが異なる容器を準備した。樹脂製(内側:HDPE、外側:LDPEの積層)透明チューブ容器(厚み0.7mm 口径25mm スリーブ長110mm 穴径3mm 株式会社吉野工業所製)の外面に表1に示すように色セロファン(株式会社トーヨー社製)を貼り付け、No.1〜No.12の12種類の容器を準備した。これらの容器No.1〜No.12の光透過スペクトルを紫外可視分光光度計UV−2500(PC)SGLP(株式会社島津製作所社製)を用いて測定した。その結果を図1に示す。
また、各容器の光透過スペクトルについて、380〜500nmの範囲の波長領域における光の平均透過率(単位%T)、500〜700nmの範囲の波長領域における光の平均透過率(単位%T)、600〜700nmの範囲の波長領域における光の平均透過率(単位%T)を表2に示した。
〔視認性試験〕
下記の組成の葉酸水溶液を下記調整方法により調製し、表2に示す容器No.1〜No.12に充填し、以下に示す方法及び基準により葉酸の光安定性を評価した。その結果を併せて表2に示した。
(葉酸水溶液の調整〕
(成分) (質量%)
1.葉酸 *注1 0.01
2.1%水酸化ナトリウム水溶液 適量
3.精製水 残量
*注1 ディー・エス・エムジャパン株式会社製
(調製方法)
A:成分1および成分3を混合溶解させる(この時点では成分1は溶解せず分散するのみである)。
B:Aに成分2を添加し、25℃でのpHが7.0になるよう調整し、成分1を溶解させることで葉酸水溶液を得た。
(視認性の評価方法)
調製した各水溶液25mLを上記の容器No.1〜No.12に充填し、開口部を熱により圧着した。専門パネル10名が、視認性(容器外側から充填された組成物の量及び状態を確認できるか)について「容易」、「容易でない」の2基準で評価を行った。さらに10人の評価に基づいて以下のように判定し、
その結果を表2に示した。
(視認性の判定基準)
◎:8人以上が組成物の視認が容易と回答
○:5人以上、8人未満が組成物の視認が容易と回答
×:4人以下が組成物の視認が容易と回答
〔葉酸の光安定性試験〕
上記の葉酸水溶液を充填した上記の容器No.1〜No.12について、以下に示す方法及び基準により葉酸の光安定性を評価した。その結果を表2に示した。
(葉酸の光安定性評価方法)
調製した葉酸水溶液を25mLずつ上記の容器No.1〜No.12に充填し、蛍光灯により8000ルクスの光が照射された30℃のチャンバー内に静置した。試験開始1日後、7日後に容器をチャンバーから取り出し、貼り付けたフィルムを剥がした後、容器外側より観察し、アルミホイルで遮光して保存した各水溶液を対照として下記基準により葉酸の光安定性を評価した。1日後の評価終了後には、元の容器No.1〜No.12にフィルムを再度貼り付けて、試験を継続した。
(葉酸の光安定性の評価基準)
○:透明性が変化せず、変色や沈殿が確認されない
△:わずかに変色および沈殿が確認される
×:変色・沈殿が明らかに確認される
表2より、葉酸水溶液をNo.6〜No.12(実施例1〜7)の各容器に充填した葉酸配合製品は組成物中の葉酸が光によって劣化することがなく、また充填された組成物の状態が容器外側から確認できるものであった。さらに、600〜700nmの平均光透過率(%T)が40以上である容器NO.8〜12(実施例3〜7)は、葉酸の光安定性が確保されつつ、容器外側からの内容物の確認がより容易に行える、視認性に特に優れたものであった。一方、380〜500nmの平均光透過率(%T)が7より大きい容器NO.1〜3(比較例1〜3)は7日後までは葉酸の安定性を保つことができず、葉酸の光安定化効果に問題があるものであった。また、容器NO.4及び5(比較例4、5)は、500〜700nmの平均光透過率(%T)が5より小さく、容器外側からの内容物の視認性に問題があるものであった。
試験例2.葉酸配合製品(化粧料)に係る容器の光透過率試験、視認性試験及び葉酸の光安定性試験(実施例8)
葉酸を配合した化粧料を調整し、下記の容器に充填し、視認性試験及び葉酸の光安定性試験を行った。
〔化粧料用容器の光透過スペクトルの測定〕
化粧料用容器(内側:HDPE、外側:LDPEの積層樹脂ボトル。外側のLDPEには予めオレンジ色の顔料:EKM−3−1901−11(オーケー化成株式会社製)を練りこんであるもの。厚み0.7mm。釜屋化学工業株式会社)を試験に供した。この容器について試験例1と同様にして、光透過スペクトルを測定した。結果を図2に示した。
〔視認性試験及び葉酸の光安定性試験〕
上記の化粧料容器に下記の葉酸配合化粧料(化粧水)を充填し、試験例1と同様の方法・基準により視認性試験及び葉酸の光安定性試験を行った。
〔葉酸配合化粧料(化粧水)の調整〕
(成分) (質量%)
1.ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタンモノラウリン酸エステル 1.2
2.エタノール 12.0
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.香料 適量
5.グリセリン 5.0
6.1,3−ブチレングリコール 6.5
7.乳酸 0.05
8.乳酸ナトリウム 0.1
9.アスコルビン酸グルコシド 2.0
10.リジン 0.01
11.アルギニン 0.01
12.トリプトファン 0.01
13.ヒドロキシプロリン 0.01
14.精製水 残量
15.カルボマー 0.03
16.葉酸 *注1 0.01
17.1%水酸化ナトリウム水溶液 適量
*注1 ディー・エス・エムジャパン株式会社製
(製法)
A:成分1〜4を混合溶解する。
B:成分5〜14を混合溶解する。
C:成分15〜17を混合溶解した。
C:AとBとCを混合して均一にし、化粧水(25℃においてpH6.5)を得た。
視認性試験及び葉酸の光安定性試験の試験結果を表3に示した。
実施例8の製品(化粧料)は容器外側から内容物である化粧料を視認することができるだけでなく、化粧料に配合された葉酸の光による劣化が抑制され、光安定性に優れるものであった。
(実施例9)
〔葉酸配合皮膚外用剤製品の製造〕
試験例2の化粧料用容器に下記の化粧水・可溶化透明タイプを充填し、皮膚外用剤製品を製造した。
(化粧水・可溶化透明タイプの調整)
(成分) (質量%)
1.1,2−ペンタンジオール 1.0
2.精製水 30.0
3.POE(20)POP(6)
デシルテトラデシルエーテル 0.3
4.パラオキシ安息香酸メチル 0.05
5.香料 適量
6.l―メントール 0.1
7.エタノール 10.0
8.葉酸 0.01
9.リジン 0.05
10.クエン酸 0.02
11.リン酸二水素ナトリウム 0.05
12.水酸化ナトリウム 0.0134
13.精製水 残量
(製法)
A:成分3〜7を混合溶解する。
B:Aに成分1、2を添加し均一に混合溶解する。
C:Bに成分8〜13を添加し、均一に混合溶解させ化粧水を得た。
該皮膚外用剤製品は、容器外側から内容物である皮膚外用剤を視認することができるだけでなく、皮膚外用剤に配合された葉酸の光による劣化が抑制され、光安定性に優れるものであった。
本発明によれば、容器外からの視認性を確保しつつ、葉酸の光による劣化を防ぐことができる葉酸配合製品を提供することができる。本発明の葉酸配合製品は、皮膚外用剤又は化粧料として好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 葉酸を配合した組成物を、下記式(1)及び(2)の条件を同時に満たす容器に充填することを特徴とする葉酸配合製品。
    (上記式(1)(2)中、λは光の波長(単位:nm)を示し、f(λ)は容器を透過する光の波長λについての透過率の関数を示したものである。)
  2. 前記組成物がさらに上記式(3)の条件を同時に満たすことを特徴とする請求項1記載の葉酸配合製品。
    (上記式(3)中、λは光の波長(単位:nm)を示し、f(λ)は容器を透過する光の波長λについての透過率の関数を示したものである。)
  3. 前記組成物がさらにリジン、アルギニン、トリプトファン、ヒドロキプロリン及びこれらの塩から選ばれる1種以上のアミノ酸を配合したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の葉酸配合製品。
  4. 前記組成物が皮膚外用剤であることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの項記載の葉酸配合製品。
  5. 前記組成物が化粧料であることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの項記載の葉酸配合製品。
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