JPH11169134A - タンパク質含有飲食品の着色方法 - Google Patents
タンパク質含有飲食品の着色方法Info
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- JPH11169134A JPH11169134A JP9363727A JP36372797A JPH11169134A JP H11169134 A JPH11169134 A JP H11169134A JP 9363727 A JP9363727 A JP 9363727A JP 36372797 A JP36372797 A JP 36372797A JP H11169134 A JPH11169134 A JP H11169134A
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- JP
- Japan
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- tomato
- protein
- lycopene
- pigment
- food
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 水懸濁性に優れ、乳化剤、増粘多糖類などを
含まない、安全な天然物由来の着色料を用いて、pH3
〜5などの低いpH域にあるタンパク質含有飲食品でも
長期間安定して赤色の色調が保つことができる、タンパ
ク質含有飲食品を着色する方法を提供する。 【解決手段】 タンパク質を含有する飲食品に、(a)
トマト処理物を遠心分離して液体部分を採取し、これを
精密ろ過して採取したトマト色素を含む非透過部、又は
(b)該非透過部に有機溶媒濃度が50〜90w/w%
となるように有機溶媒を添加して混合、撹拌して精製し
て得た精製トマト色素、のいずれかを添加、混合してタ
ンパク質含有飲食品を着色する。
含まない、安全な天然物由来の着色料を用いて、pH3
〜5などの低いpH域にあるタンパク質含有飲食品でも
長期間安定して赤色の色調が保つことができる、タンパ
ク質含有飲食品を着色する方法を提供する。 【解決手段】 タンパク質を含有する飲食品に、(a)
トマト処理物を遠心分離して液体部分を採取し、これを
精密ろ過して採取したトマト色素を含む非透過部、又は
(b)該非透過部に有機溶媒濃度が50〜90w/w%
となるように有機溶媒を添加して混合、撹拌して精製し
て得た精製トマト色素、のいずれかを添加、混合してタ
ンパク質含有飲食品を着色する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンパク質含有飲
食品の着色方法、さらに詳しくは、トマト処理物から特
定の方法で得られたトマト色素を着色料としてタンパク
質を含有する飲食品に添加、混合して、タンパク質含有
飲食品を着色する方法に関するものである。
食品の着色方法、さらに詳しくは、トマト処理物から特
定の方法で得られたトマト色素を着色料としてタンパク
質を含有する飲食品に添加、混合して、タンパク質含有
飲食品を着色する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品にとって赤色は、ファッショナブル
な意味合いだけではなく、食欲を増進させたり、食品を
美味しく感じさせたりするなどの効果が期待される。そ
のために、いろいろな食品において赤色色素の検討が行
われ、その使用方法が提案されてきた。
な意味合いだけではなく、食欲を増進させたり、食品を
美味しく感じさせたりするなどの効果が期待される。そ
のために、いろいろな食品において赤色色素の検討が行
われ、その使用方法が提案されてきた。
【0003】飲食品用の赤色系着色料は、大別すると合
成着色料、天然着色料に分類され、天然の赤色色素類
で、植物由来のものとしては、例えばあかかぶ、赤キャ
ベツ、いちごなどに由来するアントシアン系色素、くち
なし由来のクチナシ赤色素、Monascus pur
pureusなどが生産する紅麹色素などが知られてい
る。しかしながら、これらの天然赤色色素類は、特にp
H3〜5などの低いpH域において、化学構造の変化に
よってその色調が変わったり、また長期間安定な外観を
保つことが難しく、例えば酸乳などタンパク質を含む食
品及び飲料においては、pHが低い場合、酸乳成分であ
る乳タンパクと色素類が結合反応を起こしてダマや凝集
沈殿物が生じる。その結果飲料に含まれる成分が不均一
性を呈し、当該製品の色調がまだらとなり、しかも赤い
色調が失われてしまうという欠点を有する。また、加熱
の影響による色調の変化が激しく、特にpH5〜7の弱
酸性ないし中性域では、加熱により色素の化学構造が変
化して天然色素特有の赤い色調が失われてしまうという
問題もある。このようなことから、飲食品に赤色を付与
するために、pH域や熱などに比較的変化の少ない合成
色素が用いられてきたが、昨今の健康ブームに伴い、自
然への回帰を求める動きや、合成色素の発ガン性などの
毒性の疑いなどもクローズアップされることとなり、前
記したごとき欠点のない天然色素を用いた飲食品の着色
方法の要請が高まっている。
成着色料、天然着色料に分類され、天然の赤色色素類
で、植物由来のものとしては、例えばあかかぶ、赤キャ
ベツ、いちごなどに由来するアントシアン系色素、くち
なし由来のクチナシ赤色素、Monascus pur
pureusなどが生産する紅麹色素などが知られてい
る。しかしながら、これらの天然赤色色素類は、特にp
H3〜5などの低いpH域において、化学構造の変化に
よってその色調が変わったり、また長期間安定な外観を
保つことが難しく、例えば酸乳などタンパク質を含む食
品及び飲料においては、pHが低い場合、酸乳成分であ
る乳タンパクと色素類が結合反応を起こしてダマや凝集
沈殿物が生じる。その結果飲料に含まれる成分が不均一
性を呈し、当該製品の色調がまだらとなり、しかも赤い
色調が失われてしまうという欠点を有する。また、加熱
の影響による色調の変化が激しく、特にpH5〜7の弱
酸性ないし中性域では、加熱により色素の化学構造が変
化して天然色素特有の赤い色調が失われてしまうという
問題もある。このようなことから、飲食品に赤色を付与
するために、pH域や熱などに比較的変化の少ない合成
色素が用いられてきたが、昨今の健康ブームに伴い、自
然への回帰を求める動きや、合成色素の発ガン性などの
毒性の疑いなどもクローズアップされることとなり、前
記したごとき欠点のない天然色素を用いた飲食品の着色
方法の要請が高まっている。
【0004】ところで、天然の赤色色素類として前記し
たほかに、カロチノイド系赤色色素、例えばトマトなど
由来のリコピン、柑橘類など由来のγ−カロチン、パプ
リカなど由来のカプサンチン(パプリカ色素)、かに、
えびなど由来のアスタキサンチンなどが知られている。
一般に、カロチノイド系色素は、油溶性であって、光に
不安定で酸化分解を受けて変色又は退色しやすいもの
の、pHや熱の影響を比較的に受けにくい性質を有して
おり、多くの食品類などの着色料として用いられてい
る。しかし、それらは、カロチノイド系色素を植物体か
ら抽出、精製する工程が繁雑であること、また、本来親
油性である該色素に水分散性を持たせるために、着色剤
に乳化剤、増粘多糖類などの使用を余儀なくされること
などの欠点を有する。
たほかに、カロチノイド系赤色色素、例えばトマトなど
由来のリコピン、柑橘類など由来のγ−カロチン、パプ
リカなど由来のカプサンチン(パプリカ色素)、かに、
えびなど由来のアスタキサンチンなどが知られている。
一般に、カロチノイド系色素は、油溶性であって、光に
不安定で酸化分解を受けて変色又は退色しやすいもの
の、pHや熱の影響を比較的に受けにくい性質を有して
おり、多くの食品類などの着色料として用いられてい
る。しかし、それらは、カロチノイド系色素を植物体か
ら抽出、精製する工程が繁雑であること、また、本来親
油性である該色素に水分散性を持たせるために、着色剤
に乳化剤、増粘多糖類などの使用を余儀なくされること
などの欠点を有する。
【0005】カロチノイド系色素を使用した着色方法と
しては、例えば微細化した油溶性のカロチノイド系色素
を用いて着色する方法(特開平9−84566号公報参
照)が提案されている。しかしながらこの方法は、油溶
性のカロチノイド系色素を乳化剤などを用いて分散させ
た後微細化するか、又は油溶性のカロチノイド系色素を
微細化した後乳化剤などを用いて分散させて得られた着
色料によって飲料を着色しようとする方法であり、この
方法における着色料は、油溶性のカロチノイド系色素の
粒子を、水分散性を保たせるため、先ず乳化機又は粉砕
機などを用いて微細化処理することが必要であること、
また、その着色料中には色素を分散させるために使用し
た乳化剤などが含まれているなどの欠点を有している。
このように、カロチノイド系色素をタンパク質を含有す
る飲食品の着色に着色料として使用する場合、本来飲食
品中に含まれているタンパク成分を乳化、分散させるた
めに必要な乳化剤、増粘多糖類の使用量をはるかに越え
た量の乳化剤、増粘多糖類がカロチノイド系色素と共に
食品中に持ち込まれることとなる。
しては、例えば微細化した油溶性のカロチノイド系色素
を用いて着色する方法(特開平9−84566号公報参
照)が提案されている。しかしながらこの方法は、油溶
性のカロチノイド系色素を乳化剤などを用いて分散させ
た後微細化するか、又は油溶性のカロチノイド系色素を
微細化した後乳化剤などを用いて分散させて得られた着
色料によって飲料を着色しようとする方法であり、この
方法における着色料は、油溶性のカロチノイド系色素の
粒子を、水分散性を保たせるため、先ず乳化機又は粉砕
機などを用いて微細化処理することが必要であること、
また、その着色料中には色素を分散させるために使用し
た乳化剤などが含まれているなどの欠点を有している。
このように、カロチノイド系色素をタンパク質を含有す
る飲食品の着色に着色料として使用する場合、本来飲食
品中に含まれているタンパク成分を乳化、分散させるた
めに必要な乳化剤、増粘多糖類の使用量をはるかに越え
た量の乳化剤、増粘多糖類がカロチノイド系色素と共に
食品中に持ち込まれることとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な状況に鑑み、安全な天然物由来の、水懸濁性に優れ、
しかも乳化剤、増粘多糖類などを含まない着色料を用い
て、pH3〜5などの低いpH域にあるタンパク質含有
飲食品でも長期間安定して赤色の色調が保つことができ
て、またpH5〜7などの弱酸性ないし中性のpH域に
おける100℃以上の加熱処理においても、長期間に安
定して赤色の色調を保つことができる、タンパク質含有
飲食品を着色する方法を提供することを目的としてなさ
れたものである。
な状況に鑑み、安全な天然物由来の、水懸濁性に優れ、
しかも乳化剤、増粘多糖類などを含まない着色料を用い
て、pH3〜5などの低いpH域にあるタンパク質含有
飲食品でも長期間安定して赤色の色調が保つことができ
て、またpH5〜7などの弱酸性ないし中性のpH域に
おける100℃以上の加熱処理においても、長期間に安
定して赤色の色調を保つことができる、タンパク質含有
飲食品を着色する方法を提供することを目的としてなさ
れたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討を重ねた結果、先に本発明者ら
が提案(特開平9−183914号、又は特願平9−1
49947号参照)した、トマト処理物を遠心分離し、
その液体部分を精密ろ過して採取したトマト色素を含む
非透過部、及び/又は該非透過部に有機溶媒を添加して
混合、撹拌して精製して得た精製トマト色素を、タンパ
ク質含有飲食品の着色料として用いれば、前記の課題を
解決することができることを見出し、この知見に基づき
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、タン
パク質を含有する飲食品に、(a)トマト処理物を遠心
分離して液体部分を採取し、これを精密ろ過して採取し
たトマト色素を含む非透過部、及び/又は(b)該非透
過部に有機溶媒濃度が50〜90w/w%となるように
有機溶媒を添加して混合、撹拌して精製して得た精製ト
マト色素を添加、混合することを特徴とする、タンパク
質含有飲食品の着色方法である。以下、本発明について
詳細に説明する。
を達成するため鋭意検討を重ねた結果、先に本発明者ら
が提案(特開平9−183914号、又は特願平9−1
49947号参照)した、トマト処理物を遠心分離し、
その液体部分を精密ろ過して採取したトマト色素を含む
非透過部、及び/又は該非透過部に有機溶媒を添加して
混合、撹拌して精製して得た精製トマト色素を、タンパ
ク質含有飲食品の着色料として用いれば、前記の課題を
解決することができることを見出し、この知見に基づき
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、タン
パク質を含有する飲食品に、(a)トマト処理物を遠心
分離して液体部分を採取し、これを精密ろ過して採取し
たトマト色素を含む非透過部、及び/又は(b)該非透
過部に有機溶媒濃度が50〜90w/w%となるように
有機溶媒を添加して混合、撹拌して精製して得た精製ト
マト色素を添加、混合することを特徴とする、タンパク
質含有飲食品の着色方法である。以下、本発明について
詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】先ず、本発明において用いる各用
語は、以下のとおり定義する。 リコピン:トマト色素本体である分子式C40H56で表わ
される化合物(Lycopene)をいい、その立体異
性体の構成割合に制限されるものではない。 リコピン複合体:リコピンと他の生体成分が結合又は共
存する色素構造体と呼べる単位を示し、リコピン分子を
主成分とする複数の成分からなる色素単位である。 クロロプラスト:リコピン複合体を含有する細胞内色素
粒子をいい、リコピン以外のカロチノイド色素又はクロ
ロフィルも一部含まれている粒子である。 トマト色素:リコピン、リコピン複合体及びクロロプラ
ストを任意の比率で含有するトマト由来の色素をいう。
語は、以下のとおり定義する。 リコピン:トマト色素本体である分子式C40H56で表わ
される化合物(Lycopene)をいい、その立体異
性体の構成割合に制限されるものではない。 リコピン複合体:リコピンと他の生体成分が結合又は共
存する色素構造体と呼べる単位を示し、リコピン分子を
主成分とする複数の成分からなる色素単位である。 クロロプラスト:リコピン複合体を含有する細胞内色素
粒子をいい、リコピン以外のカロチノイド色素又はクロ
ロフィルも一部含まれている粒子である。 トマト色素:リコピン、リコピン複合体及びクロロプラ
ストを任意の比率で含有するトマト由来の色素をいう。
【0009】本発明において、タンパク質含有飲食品を
着色するのに用いられる、赤色着色料は、カロチノイド
系天然色素であるリコピンを主成分として含有する着色
料であって、その着色料を調製するには、前記した特開
平9−183914号公報及び特願平9−149947
号に記載の方法にしたがって行なえばよい。まず、
(a)トマト処理物を遠心分離して液体部分を採取し、
これを精密ろ過して採取したトマト色素を含む非透過部
の製造方法について述べる。
着色するのに用いられる、赤色着色料は、カロチノイド
系天然色素であるリコピンを主成分として含有する着色
料であって、その着色料を調製するには、前記した特開
平9−183914号公報及び特願平9−149947
号に記載の方法にしたがって行なえばよい。まず、
(a)トマト処理物を遠心分離して液体部分を採取し、
これを精密ろ過して採取したトマト色素を含む非透過部
の製造方法について述べる。
【0010】トマトの処理物としては、トマトの破砕処
理物、磨砕処理物、それらの裏ごし(パルパー)処理
物、それらの植物組織崩壊酵素処理物が用いられる。そ
して具体的には、常法によりトマトの果肉を磨り潰し、
裏ごしして果皮、種子などを除き、そのまま又は濃縮し
て得られるトマトペースト、常法により得られるトマト
ピューレ、トマトジュース、濃縮還元トマトなどが挙げ
られる。このトマト処理物は、遠心分離に先立ち、ブレ
ンダータイプの磨砕機など機械的剪断力を用いる物理的
磨砕処理及び/又は植物組織崩壊酵素処理をすることに
より、植物細胞を破壊することで、リコピン複合体を高
濃度で含有するトマト色素が容易に得られるので好まし
い。なお、前記磨砕処理及び/又は酵素処理は、遠心分
離して得られる液体部分について行うこともできる。
理物、磨砕処理物、それらの裏ごし(パルパー)処理
物、それらの植物組織崩壊酵素処理物が用いられる。そ
して具体的には、常法によりトマトの果肉を磨り潰し、
裏ごしして果皮、種子などを除き、そのまま又は濃縮し
て得られるトマトペースト、常法により得られるトマト
ピューレ、トマトジュース、濃縮還元トマトなどが挙げ
られる。このトマト処理物は、遠心分離に先立ち、ブレ
ンダータイプの磨砕機など機械的剪断力を用いる物理的
磨砕処理及び/又は植物組織崩壊酵素処理をすることに
より、植物細胞を破壊することで、リコピン複合体を高
濃度で含有するトマト色素が容易に得られるので好まし
い。なお、前記磨砕処理及び/又は酵素処理は、遠心分
離して得られる液体部分について行うこともできる。
【0011】また、上記植物組織崩壊酵素としては、ペ
クトリアーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラ
ーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等が挙げら
れる。酵素処理は、当該使用酵素の至適pH、至適温度
付近で緩やかに撹拌しつつ行うことが好ましく、例えば
ペクトリアーゼを用いる場合は、pH3〜4で、温度2
0〜55℃で組織構造が崩壊されるまで行うことが好ま
しい。なお、トマト処理物はそのままでもよいが、好ま
しくは加熱処理してそこに残留する酵素を完全に失活さ
せた後、遠心分離にかけることが好ましい。またトマト
処理物は、必要により予め目の粗い濾布などにより粗濾
過して、該トマト処理物に浮遊する水不溶性固形物を除
去した後、遠心分離にかけることもできる。
クトリアーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラ
ーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等が挙げら
れる。酵素処理は、当該使用酵素の至適pH、至適温度
付近で緩やかに撹拌しつつ行うことが好ましく、例えば
ペクトリアーゼを用いる場合は、pH3〜4で、温度2
0〜55℃で組織構造が崩壊されるまで行うことが好ま
しい。なお、トマト処理物はそのままでもよいが、好ま
しくは加熱処理してそこに残留する酵素を完全に失活さ
せた後、遠心分離にかけることが好ましい。またトマト
処理物は、必要により予め目の粗い濾布などにより粗濾
過して、該トマト処理物に浮遊する水不溶性固形物を除
去した後、遠心分離にかけることもできる。
【0012】次いで、上記トマト処理物をそのままで、
またはトマト処理物がトマトペーストの場合において
は、2〜5容量倍の水を適宜加水し、均一に撹拌して水
性懸濁液とした後に遠心分離する。このように水性懸濁
液とすることにより、リコピン色素を高い回収率で得る
ことができ、また多量の水と接触することによる洗浄効
果により、無味無臭のトマト色素が得られるので好まし
い。前記の遠心分離は、特に制限はなく、通常の任意の
遠心分離法が採用できるが、トマト処理物を液体部分と
沈殿部分とに短時間に固液分離をすることができる方法
であればよく、例えば高速遠心分離法などを採用するこ
とができる。遠心力と時間の条件は、トマト処理物を液
体部分と沈殿部分とに分けたときに、液体部分の回収量
ができるだけ多くなる任意の条件が採用され、例えば3
000〜10000Gで30秒〜10分間などが採用で
きる。この遠心分離は重要であって、この操作により極
めて簡単に半流動性(ペースト状)の固形分と、液体部
分とに分離される。トマト処理物に含まれていたリコピ
ン色素は液体部分に遊離しているので、遠心分離操作し
て前記液体部分を回収すれば、原料に含まれるリコピン
を収率よく回収することができる。
またはトマト処理物がトマトペーストの場合において
は、2〜5容量倍の水を適宜加水し、均一に撹拌して水
性懸濁液とした後に遠心分離する。このように水性懸濁
液とすることにより、リコピン色素を高い回収率で得る
ことができ、また多量の水と接触することによる洗浄効
果により、無味無臭のトマト色素が得られるので好まし
い。前記の遠心分離は、特に制限はなく、通常の任意の
遠心分離法が採用できるが、トマト処理物を液体部分と
沈殿部分とに短時間に固液分離をすることができる方法
であればよく、例えば高速遠心分離法などを採用するこ
とができる。遠心力と時間の条件は、トマト処理物を液
体部分と沈殿部分とに分けたときに、液体部分の回収量
ができるだけ多くなる任意の条件が採用され、例えば3
000〜10000Gで30秒〜10分間などが採用で
きる。この遠心分離は重要であって、この操作により極
めて簡単に半流動性(ペースト状)の固形分と、液体部
分とに分離される。トマト処理物に含まれていたリコピ
ン色素は液体部分に遊離しているので、遠心分離操作し
て前記液体部分を回収すれば、原料に含まれるリコピン
を収率よく回収することができる。
【0013】こうして得られた液体部分は、リコピン色
素を高濃度で含有するが、また同時に原料由来の夾雑成
分、例えばパルプ、多糖類、蛋白質等の不溶性成分並び
に糖、酸、芳香成分等の可溶性成分なども高濃度で含有
している。そこで、この液体部分を精密濾過し、所望す
るリコピン色素を高濃度に含有する非透過部(以下、単
に非透過部という)と、夾雑成分を含有する透過液部
(以下、単に透過液部という)とに分離する。ここで言
う精密濾過(microfiltration,MF)
とは、前記液体部分に含まれる0.2〜10μm程度の
懸濁粒子を、膜を用いて分離して採取することを意味す
る。一般的に精密濾過膜は、0.01〜数μm程度の懸
濁粒子を分離できる細孔を有するものであるが、本発明
にいては、0.01〜5μm、さらに好ましくは0.1
〜0.5μmの平均細孔を有する膜を用いれば、リコピ
ンを効率よく回収できる。
素を高濃度で含有するが、また同時に原料由来の夾雑成
分、例えばパルプ、多糖類、蛋白質等の不溶性成分並び
に糖、酸、芳香成分等の可溶性成分なども高濃度で含有
している。そこで、この液体部分を精密濾過し、所望す
るリコピン色素を高濃度に含有する非透過部(以下、単
に非透過部という)と、夾雑成分を含有する透過液部
(以下、単に透過液部という)とに分離する。ここで言
う精密濾過(microfiltration,MF)
とは、前記液体部分に含まれる0.2〜10μm程度の
懸濁粒子を、膜を用いて分離して採取することを意味す
る。一般的に精密濾過膜は、0.01〜数μm程度の懸
濁粒子を分離できる細孔を有するものであるが、本発明
にいては、0.01〜5μm、さらに好ましくは0.1
〜0.5μmの平均細孔を有する膜を用いれば、リコピ
ンを効率よく回収できる。
【0014】前記の精密濾過膜は、チューブラータイ
プ、キャピラリータイプ、スパイラルタイプまたはホロ
ーファイバータイプに成型されたものが利用できる。精
密濾過膜として具体的には、ポリスルフォン系、フッソ
系、ポリオレフィン系などの素材で作られた有機膜、セ
ラミックの素材で作られた無機膜が使用できる。有機膜
の具体例としては、NTF−5201(日東電気工業社
社製)、同5202(同社製)、同52005(同社
製)、SF−501(クラレ社製)、PW−303(旭
化成工業社製)等が、また無機膜で作られた具体例とし
てはセラミック膜CEFILT(日本ガイシ社製)等が
挙げられる。精密濾過膜の操作圧力は、例えば通常の操
作圧力0.1〜8.0kg/cm2、温度10〜80℃
で行なうことができる。
プ、キャピラリータイプ、スパイラルタイプまたはホロ
ーファイバータイプに成型されたものが利用できる。精
密濾過膜として具体的には、ポリスルフォン系、フッソ
系、ポリオレフィン系などの素材で作られた有機膜、セ
ラミックの素材で作られた無機膜が使用できる。有機膜
の具体例としては、NTF−5201(日東電気工業社
社製)、同5202(同社製)、同52005(同社
製)、SF−501(クラレ社製)、PW−303(旭
化成工業社製)等が、また無機膜で作られた具体例とし
てはセラミック膜CEFILT(日本ガイシ社製)等が
挙げられる。精密濾過膜の操作圧力は、例えば通常の操
作圧力0.1〜8.0kg/cm2、温度10〜80℃
で行なうことができる。
【0015】次に、液体部分を精密濾過膜により透過処
理するには、適当な精密濾過処理装置を選んで行えばよ
く、例えばチューブラータイプのセラミック濾過機で
は、膜入口温度10〜80℃、入口圧力3.0〜9.0
kg/cm2・G、出口圧力2.0〜8.0kg/cm2
・Gなどの条件で処理するのが好適である。また、プレ
ートタイプの有機膜による濾過機では、例えば膜入口温
度10〜80℃、入口圧力2.0〜8.kg/cm2・
G、出口圧力0.1〜5.0kg/cm2・Gなどの条
件で処理するのが好適である。
理するには、適当な精密濾過処理装置を選んで行えばよ
く、例えばチューブラータイプのセラミック濾過機で
は、膜入口温度10〜80℃、入口圧力3.0〜9.0
kg/cm2・G、出口圧力2.0〜8.0kg/cm2
・Gなどの条件で処理するのが好適である。また、プレ
ートタイプの有機膜による濾過機では、例えば膜入口温
度10〜80℃、入口圧力2.0〜8.kg/cm2・
G、出口圧力0.1〜5.0kg/cm2・Gなどの条
件で処理するのが好適である。
【0016】上記したごとく、トマト処理物を遠心分離
して液体部分を採取し、これを精密濾過して非透過部を
採取するという、極めて簡単な手段により、酸化、光、
熱及び貯蔵安定性が高く、平均粒径0.2〜10μmの
リコピン色素を純リコピンとして300mg%以上含有
し、不純物(不溶性固形分)が2重量%以下という非常
に少ない赤色のトマト色素を効率よく製造することが出
来る。このようにして採取した前記の非透過部は、ほと
んどがリコピン複合体を含むクロロプラストであり、ク
ロロプラストのトマト細胞中に浮遊する特性を保持して
いるため、水性液体に対して非常に優れた溶解性、懸濁
性を示し、しかも殆ど無味無臭であるので、着色料とし
て本発明に有効に使用することができる。なお、このよ
うにして得られたリコピン複合体を含有するトマト色素
を、必要により耐熱性細菌の全くないトマト色素とする
には、適宜な条件で加熱処理するのがよい。
して液体部分を採取し、これを精密濾過して非透過部を
採取するという、極めて簡単な手段により、酸化、光、
熱及び貯蔵安定性が高く、平均粒径0.2〜10μmの
リコピン色素を純リコピンとして300mg%以上含有
し、不純物(不溶性固形分)が2重量%以下という非常
に少ない赤色のトマト色素を効率よく製造することが出
来る。このようにして採取した前記の非透過部は、ほと
んどがリコピン複合体を含むクロロプラストであり、ク
ロロプラストのトマト細胞中に浮遊する特性を保持して
いるため、水性液体に対して非常に優れた溶解性、懸濁
性を示し、しかも殆ど無味無臭であるので、着色料とし
て本発明に有効に使用することができる。なお、このよ
うにして得られたリコピン複合体を含有するトマト色素
を、必要により耐熱性細菌の全くないトマト色素とする
には、適宜な条件で加熱処理するのがよい。
【0017】次に、(b)該非透過部に有機溶媒濃度が
50〜90w/w%となるように有機溶媒を添加して混
合、撹拌して精製して得た精製トマト色素の製造方法に
ついて述べる。前記の非透過部は、トマト由来の他の成
分、例えばパルプ、蛋白質などの高分子成分や、糖、有
機酸、アミノ酸などの低分子成分などの夾雑物が非常に
少ないリコピン色素が濃縮されているが、その色調にお
いて必ずしも満足すべきものではない。そこで、それら
夾雑物をさらに少なくする手段としては、濃縮リコピン
色素に大量の水を加えて精密ろ過する方法、または適量
の水を加え精密ろ過する工程を多段で組む方法などがあ
る。しかし、これらの方法ではトマト由来の水溶性の夾
雑物は除去できるが、リコピンと共存する脂溶性成分、
例えば他のカロチノイド成分を除去することができな
い。そしてこのリコピン色素は、色素複合体としてトマ
ト細胞中の色素粒、クロロプラスト中に存在し、他のカ
ロチノイドと共存している。このクロロプラストの径は
0.2〜10μmであり、水溶液中で懸濁状態で浮遊す
る。前記の非透過部から得たトマト色素の色調は、クロ
ロプラスト中の共存カロチノイド組成に影響される。し
たがってリコピン特有の明赤色を得ようとするには、他
のカロチノイドを除去する必要がある。
50〜90w/w%となるように有機溶媒を添加して混
合、撹拌して精製して得た精製トマト色素の製造方法に
ついて述べる。前記の非透過部は、トマト由来の他の成
分、例えばパルプ、蛋白質などの高分子成分や、糖、有
機酸、アミノ酸などの低分子成分などの夾雑物が非常に
少ないリコピン色素が濃縮されているが、その色調にお
いて必ずしも満足すべきものではない。そこで、それら
夾雑物をさらに少なくする手段としては、濃縮リコピン
色素に大量の水を加えて精密ろ過する方法、または適量
の水を加え精密ろ過する工程を多段で組む方法などがあ
る。しかし、これらの方法ではトマト由来の水溶性の夾
雑物は除去できるが、リコピンと共存する脂溶性成分、
例えば他のカロチノイド成分を除去することができな
い。そしてこのリコピン色素は、色素複合体としてトマ
ト細胞中の色素粒、クロロプラスト中に存在し、他のカ
ロチノイドと共存している。このクロロプラストの径は
0.2〜10μmであり、水溶液中で懸濁状態で浮遊す
る。前記の非透過部から得たトマト色素の色調は、クロ
ロプラスト中の共存カロチノイド組成に影響される。し
たがってリコピン特有の明赤色を得ようとするには、他
のカロチノイドを除去する必要がある。
【0018】そこで、前記の精密濾過して得た非透過部
に、有機溶媒を添加して混合撹拌したのち脱液してトマ
ト色素を精製する。前記有機溶媒としては、リコピンと
他のカロチノイド成分を分別溶出させるものであれば良
く、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ア
セトンなどが用いられ、特にエタノールが好ましく用い
られる。また前記溶出する際の条件は、対象処理物の性
状、物性に合わせてそれらの最適な条件を設定して行う
ことが望ましい。その際の有機溶媒の濃度は、最終濃度
(有機溶媒を非透過部に添加したときの濃度)が50〜
90W/W%(以下、単に%で表わす)、好ましくは7
5〜85%となるようにするのがよく、それによって色
素粒が凝収沈降する。50%未満では、色素粒の沈降が
悪く、その後の回収に多大な労力を必要とする。また前
記有機溶媒によって精製されて凝収沈降したリコピンを
含む沈降物(以下、沈降物という)の性状は、その後の
有機溶媒の分離の効率にも大きく影響する。従って有機
溶媒の最終濃度が50%以上とするのが望ましい。ま
た、前記の有機溶媒の最終濃度を50%以上、好ましく
は75〜85%とすることにより、ベーターカロチン等
の除去効果が増大して色調が明赤色となる。
に、有機溶媒を添加して混合撹拌したのち脱液してトマ
ト色素を精製する。前記有機溶媒としては、リコピンと
他のカロチノイド成分を分別溶出させるものであれば良
く、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ア
セトンなどが用いられ、特にエタノールが好ましく用い
られる。また前記溶出する際の条件は、対象処理物の性
状、物性に合わせてそれらの最適な条件を設定して行う
ことが望ましい。その際の有機溶媒の濃度は、最終濃度
(有機溶媒を非透過部に添加したときの濃度)が50〜
90W/W%(以下、単に%で表わす)、好ましくは7
5〜85%となるようにするのがよく、それによって色
素粒が凝収沈降する。50%未満では、色素粒の沈降が
悪く、その後の回収に多大な労力を必要とする。また前
記有機溶媒によって精製されて凝収沈降したリコピンを
含む沈降物(以下、沈降物という)の性状は、その後の
有機溶媒の分離の効率にも大きく影響する。従って有機
溶媒の最終濃度が50%以上とするのが望ましい。ま
た、前記の有機溶媒の最終濃度を50%以上、好ましく
は75〜85%とすることにより、ベーターカロチン等
の除去効果が増大して色調が明赤色となる。
【0019】前記の非透過部と有機溶媒との混合方法は
特に制限はなく、均一に混合されればよく、例えば通常
用いられる機械的攪拌方法が用いられる。その際の攪拌
時間は、溶媒が十分色素粒の内部に浸透し、リコピン以
外の夾雑成分と接触し、溶出させるに必要な時間であれ
ばよく、例えば通常30分〜2時間等の混合攪拌時間が
採用される。撹拌の後、沈降物の分離回収には、回分
式、連続式いずれも採用できる。その具体的方法として
は、例えば静置式、圧搾式、遠心式いずれでも良く、用
いるろ過面の組成は、ろ紙、ろ布、プラスチック板いず
れでも良い。前記沈降物を採取し、水を添加すると、明
赤色を呈した色調の良いリコピン色素が得られる。
特に制限はなく、均一に混合されればよく、例えば通常
用いられる機械的攪拌方法が用いられる。その際の攪拌
時間は、溶媒が十分色素粒の内部に浸透し、リコピン以
外の夾雑成分と接触し、溶出させるに必要な時間であれ
ばよく、例えば通常30分〜2時間等の混合攪拌時間が
採用される。撹拌の後、沈降物の分離回収には、回分
式、連続式いずれも採用できる。その具体的方法として
は、例えば静置式、圧搾式、遠心式いずれでも良く、用
いるろ過面の組成は、ろ紙、ろ布、プラスチック板いず
れでも良い。前記沈降物を採取し、水を添加すると、明
赤色を呈した色調の良いリコピン色素が得られる。
【0020】このようにして得た精製トマト色素は、無
味無臭であり、しかも前記した有機溶媒処理をしない非
透過部に比べてリコピンの純度が高く、その色調が明赤
色を呈する。また水性液体に対して非常に優れた溶解
性、懸濁性を示すので、着色料として本発明に有効に使
用することができる。本発明においては、タンパク質を
含有する飲食品に、前述のごとくして採取した、精密ろ
過非透過部、又は有機溶媒処理精製トマト色素を添加、
混合する。また本発明においては、必要により、前記し
た着色料である、精密ろ過非透過部及び有機溶媒処理精
製トマト色素とを適宜に併用して用いることもできる。
味無臭であり、しかも前記した有機溶媒処理をしない非
透過部に比べてリコピンの純度が高く、その色調が明赤
色を呈する。また水性液体に対して非常に優れた溶解
性、懸濁性を示すので、着色料として本発明に有効に使
用することができる。本発明においては、タンパク質を
含有する飲食品に、前述のごとくして採取した、精密ろ
過非透過部、又は有機溶媒処理精製トマト色素を添加、
混合する。また本発明においては、必要により、前記し
た着色料である、精密ろ過非透過部及び有機溶媒処理精
製トマト色素とを適宜に併用して用いることもできる。
【0021】本発明でいうタンパク質含有飲食品とは、
例えば酸乳を含む飲料、スープ類、かまぼこなどの練り
製品、ビスケットなどの菓子類など、タンパク質を含有
する飲料及び食品をいい、そのタンパク質の種類は、乳
タンパク、動物性タンパク、植物性タンパクのいずれで
あってもよく、またそれらが単独、或いは混合状態で含
まれているものでもよい。また、このタンパク質を含有
する飲料と無果汁飲料、果汁飲料、炭酸飲料などと混合
したものなども含まれる。
例えば酸乳を含む飲料、スープ類、かまぼこなどの練り
製品、ビスケットなどの菓子類など、タンパク質を含有
する飲料及び食品をいい、そのタンパク質の種類は、乳
タンパク、動物性タンパク、植物性タンパクのいずれで
あってもよく、またそれらが単独、或いは混合状態で含
まれているものでもよい。また、このタンパク質を含有
する飲料と無果汁飲料、果汁飲料、炭酸飲料などと混合
したものなども含まれる。
【0022】本発明に適用できるタンパク質含有飲食品
としての制限は特にないが、タンパク質含有量が10%
を超える食品においては、液の粘性が増加し、前記した
着色料の分散が物理的にやや困難となる。また、タンパ
ク質含有飲食品のpHが、pH3未満のときは、着色料
の分散性、溶解性、あるいは色調の安定性が若干低下す
る傾向が見られる。したがって本発明は、好ましくは、
通常、タンパク質含有量が約0.2〜10w/w%で、
かつpHがpH3〜7であるタンパク質含有飲食品に好
適に適用される。このような飲食品の具体例としては、
例えばタンパク質含有量が3〜10%で、pH3〜4程
度の酸乳飲料、タンパク質含有量が3〜10%で、pH
5〜7程度のスープ類、タンパク質含有量が0.2〜3
%で、pH3〜7程度のベジタブルドリンク、フルーツ
ドリンク類などが挙げられる。また、かまぼこなどの練
り製品、ビスケットなどの菓子類などのタンパク質含有
食品を着色するには、それらの混練物、あるいは懸濁液
状の生地を調製する際に本発明を適用すればよく、それ
により本発明に係る着色料が均一に分散するため、それ
らの仕上がり製品の色調がまだらになることなく、均一
な色調の製品とすことができる。
としての制限は特にないが、タンパク質含有量が10%
を超える食品においては、液の粘性が増加し、前記した
着色料の分散が物理的にやや困難となる。また、タンパ
ク質含有飲食品のpHが、pH3未満のときは、着色料
の分散性、溶解性、あるいは色調の安定性が若干低下す
る傾向が見られる。したがって本発明は、好ましくは、
通常、タンパク質含有量が約0.2〜10w/w%で、
かつpHがpH3〜7であるタンパク質含有飲食品に好
適に適用される。このような飲食品の具体例としては、
例えばタンパク質含有量が3〜10%で、pH3〜4程
度の酸乳飲料、タンパク質含有量が3〜10%で、pH
5〜7程度のスープ類、タンパク質含有量が0.2〜3
%で、pH3〜7程度のベジタブルドリンク、フルーツ
ドリンク類などが挙げられる。また、かまぼこなどの練
り製品、ビスケットなどの菓子類などのタンパク質含有
食品を着色するには、それらの混練物、あるいは懸濁液
状の生地を調製する際に本発明を適用すればよく、それ
により本発明に係る着色料が均一に分散するため、それ
らの仕上がり製品の色調がまだらになることなく、均一
な色調の製品とすことができる。
【0023】タンパク質含有飲食品に、前記の精密ろ過
非透過部、又は有機溶媒処理精製トマト色素を添加する
際の添加量は、所望する着色の程度に応じて行なえばよ
く、例えばリコピン含量として、通常0.0001〜
0.05w/w%となるように添加すればよい。また、
添加の際の前記非透過部、又は精製トマト色素とタンパ
ク質含有飲食品との混合方法は、特に制限はなく、通常
の撹拌による混合でもよいが、ホモジナイザー、混練器
などを用いて均一に分散させる方法が好ましく用いられ
る。
非透過部、又は有機溶媒処理精製トマト色素を添加する
際の添加量は、所望する着色の程度に応じて行なえばよ
く、例えばリコピン含量として、通常0.0001〜
0.05w/w%となるように添加すればよい。また、
添加の際の前記非透過部、又は精製トマト色素とタンパ
ク質含有飲食品との混合方法は、特に制限はなく、通常
の撹拌による混合でもよいが、ホモジナイザー、混練器
などを用いて均一に分散させる方法が好ましく用いられ
る。
【0024】以下、参考例、実施例を示して本発明をさ
らに具体的に説明する。なお、実施例中のリコピンの分
析は、社団法人 全国トマト加工品・調味料検査協会編
集の「分析便覧」,トマト加工品・ソース類・食酢関係
(PART1),昭和56年3月、8〜9頁に記載の方
法に基づき、試料をメタノール洗浄した後、ベンゼンで
抽出した。その抽出物の480nm波長の吸光度を分光
光度計(日立社製 U−2000)で測定し、次の式に
よりリコピン量を求めた。 リコピン量(mg%)=(480nm吸光度)×20.
16÷試料重量(g)
らに具体的に説明する。なお、実施例中のリコピンの分
析は、社団法人 全国トマト加工品・調味料検査協会編
集の「分析便覧」,トマト加工品・ソース類・食酢関係
(PART1),昭和56年3月、8〜9頁に記載の方
法に基づき、試料をメタノール洗浄した後、ベンゼンで
抽出した。その抽出物の480nm波長の吸光度を分光
光度計(日立社製 U−2000)で測定し、次の式に
よりリコピン量を求めた。 リコピン量(mg%)=(480nm吸光度)×20.
16÷試料重量(g)
【0025】
【実施例】参考例1 (トマトペーストからの非透過部
のトマト色素の調製) トマトペースト230Kgに水を加えて希釈してBri
xを7に調製した。この希釈液1150Kgを乳化機
(荏原製作所社製 マイルダーMDN303V−C型)
を用いて1000rpmで破砕処理したのち、遠心分離
機(ウエストファリア社製 セパレーターSB7−06
−076型)で、6000r.p.mで4分間の条件で
脱パルプ処理を行った。ここで得られた遠心上澄み液を
回収した。なお、この液中のリコピン含量は10mg%
であった。この上澄み液を、0.2μmの排除径の精密
濾過機(Ceramem社製、SA−0200型、膜面
積11.5m2)に、温度50℃、圧力4Kg/cm2で
供給して処理して透過液部を分離し、リコピン粒を含む
非透過部を採取した。なお、この非透過部のリコピンの
濃度は0.25%、粘度は20,000cpであった。
のトマト色素の調製) トマトペースト230Kgに水を加えて希釈してBri
xを7に調製した。この希釈液1150Kgを乳化機
(荏原製作所社製 マイルダーMDN303V−C型)
を用いて1000rpmで破砕処理したのち、遠心分離
機(ウエストファリア社製 セパレーターSB7−06
−076型)で、6000r.p.mで4分間の条件で
脱パルプ処理を行った。ここで得られた遠心上澄み液を
回収した。なお、この液中のリコピン含量は10mg%
であった。この上澄み液を、0.2μmの排除径の精密
濾過機(Ceramem社製、SA−0200型、膜面
積11.5m2)に、温度50℃、圧力4Kg/cm2で
供給して処理して透過液部を分離し、リコピン粒を含む
非透過部を採取した。なお、この非透過部のリコピンの
濃度は0.25%、粘度は20,000cpであった。
【0026】参考例2 (精製トマト色素の調製) 参考例1に記載したと同様の操作によって採取した非透
過部に、ペクトリアーゼ(盛進社製)を最終濃度10m
g%加え、30℃、30分間保持して植物組織を崩壊さ
せ、粘度を低下させた後、90℃に加熱して添加酵素を
失活させた。この液を再度0.2μmの排除径の精密ろ
過機(日本ガイシ社製 NGK−Cefilt、濾過面
積0.35m2)で、50℃、入口圧力2Kg/cm2の
条件で処理し、保持液側に0.5%のリコピンを含有す
る非透過部を得た。この非透過部を採取し、これに食品
添加用エタノールを最終濃度75%になるように常温で
添加、混合し、30分間攪拌してアルコール洗浄した
後、5000rpm、15分間の遠心分離条件によって
沈降物をエタノール部から分離した。得られた沈降物に
活性炭処理水を添加し、明赤色を呈した色調の良い、リ
コピン0.5%を含有する精製トマト色素20Kgを得
た。
過部に、ペクトリアーゼ(盛進社製)を最終濃度10m
g%加え、30℃、30分間保持して植物組織を崩壊さ
せ、粘度を低下させた後、90℃に加熱して添加酵素を
失活させた。この液を再度0.2μmの排除径の精密ろ
過機(日本ガイシ社製 NGK−Cefilt、濾過面
積0.35m2)で、50℃、入口圧力2Kg/cm2の
条件で処理し、保持液側に0.5%のリコピンを含有す
る非透過部を得た。この非透過部を採取し、これに食品
添加用エタノールを最終濃度75%になるように常温で
添加、混合し、30分間攪拌してアルコール洗浄した
後、5000rpm、15分間の遠心分離条件によって
沈降物をエタノール部から分離した。得られた沈降物に
活性炭処理水を添加し、明赤色を呈した色調の良い、リ
コピン0.5%を含有する精製トマト色素20Kgを得
た。
【0027】参考例3 (トマト果実からの非透過部の
トマト色素の調製) トマト果実1300Kgを常法に従い洗浄後、破砕し、
65℃に加熱後、0.5mmスクリーンを備えたフィニ
ッシャーで搾汁し、トマトジュース1150kgを得
た。そのBrixは5で、リコピン含量は12mg%で
あった。このジュースを乳化機(荏原製作所社製 マイ
ルダー MDN303V−C型)を用い、1000rp
mで2度繰り返し破砕処理を行った。
トマト色素の調製) トマト果実1300Kgを常法に従い洗浄後、破砕し、
65℃に加熱後、0.5mmスクリーンを備えたフィニ
ッシャーで搾汁し、トマトジュース1150kgを得
た。そのBrixは5で、リコピン含量は12mg%で
あった。このジュースを乳化機(荏原製作所社製 マイ
ルダー MDN303V−C型)を用い、1000rp
mで2度繰り返し破砕処理を行った。
【0028】続いて遠心分離機(ウエストファリア社製
セパレーター SB7−06−076型)で、600
0r.p.m、4分間の条件で脱パルプ処理を行った。
ここで回収された遠心上澄み液中のリコピン含量は10
mg%であった。この上澄み液を0.2μmの排除径の
精密濾過機(日東電工社製 NTF−5202型、膜面
積12m2)に供給し、温度50℃、圧力4Kg/cm2
の条件で処理して透過液部を分離し、装置保持液部に非
透過物であるリコピンを含有する濃縮液を得た。この濃
縮液のリコピン濃度は0.25%であった。次に、この
濃縮液にペクチナーゼ(ヤクルト本社製)を最終濃度で
10mg%加えて30℃、30分間保持して植物組織を
崩壊させ、粘度低下させた後、90℃加熱して添加酵素
を失活させた。この液を再度0.2μmの排除径の精密
ろ過機(日本ガイシ社製 NGK−Cefilt、0.
35m2)で、50℃、入口圧力2.0Kg/cm2の条
件で処理し、保持液側にリコピンを0.5%含有する非
透過部を得た。
セパレーター SB7−06−076型)で、600
0r.p.m、4分間の条件で脱パルプ処理を行った。
ここで回収された遠心上澄み液中のリコピン含量は10
mg%であった。この上澄み液を0.2μmの排除径の
精密濾過機(日東電工社製 NTF−5202型、膜面
積12m2)に供給し、温度50℃、圧力4Kg/cm2
の条件で処理して透過液部を分離し、装置保持液部に非
透過物であるリコピンを含有する濃縮液を得た。この濃
縮液のリコピン濃度は0.25%であった。次に、この
濃縮液にペクチナーゼ(ヤクルト本社製)を最終濃度で
10mg%加えて30℃、30分間保持して植物組織を
崩壊させ、粘度低下させた後、90℃加熱して添加酵素
を失活させた。この液を再度0.2μmの排除径の精密
ろ過機(日本ガイシ社製 NGK−Cefilt、0.
35m2)で、50℃、入口圧力2.0Kg/cm2の条
件で処理し、保持液側にリコピンを0.5%含有する非
透過部を得た。
【0029】参考例4 (精製トマト色素の調製) 参考例3に記載したと同様の操作によって採取した非透
過部に、食品添加用エタノールを最終濃度75%になる
ように常温で添加混合し、30分間攪拌してアルコール
洗浄した後、5000rpm、15分の遠心分離条件で
沈降物をエタノール部から分離した。得られた沈降物に
活性炭処理水を添加して明赤色を呈した色調の良い、リ
コピン0.5%を含有する精製トマト色素20Kgを得
た。
過部に、食品添加用エタノールを最終濃度75%になる
ように常温で添加混合し、30分間攪拌してアルコール
洗浄した後、5000rpm、15分の遠心分離条件で
沈降物をエタノール部から分離した。得られた沈降物に
活性炭処理水を添加して明赤色を呈した色調の良い、リ
コピン0.5%を含有する精製トマト色素20Kgを得
た。
【0030】参考例5 (トマトペーストからの非透過
部のトマト色素の調製) トマトペースト230Kgに水を加えて希釈し、Bri
xを7に調製した。この希釈液1、150Kgを乳化機
(荏原製作所社製 マイルダー MDN303V−C
型)を用いて1000rpmで破砕処理し、遠心分離機
(ウエストファリア社製 セパレーター SB7−06
−076型)で、6000r.p.m、4分間の条件で
脱パルプ処理を行った。次いで、パルプの断片を完全に
除去するため、遠心上澄み液を300メッシュ篩に通し
た。この液中のリコピン含量は10mg%であった。こ
の上澄み液を0.2μmの排除径の精密ろ過機(Cer
amem社製 SA−0200型、膜面積11.5
m2)に供給し、温度50℃、圧力4Kg/cm2の条件
で処理して透過液部を分離し、リコピンを含有する濃縮
液を装置保持液部に非透過物として濃縮した。この濃縮
液のリコピン濃度は0.25%であった。この液を、再
度0.2μmの排除径の精密ろ過機(日本ガイシ社製
NGK−Cefilt、0.35m2)で、50℃、入
口圧力2.0Kg/cm2の条件で処理し、保持液側に
リコピンを1.0%含有する非透過部を得た。
部のトマト色素の調製) トマトペースト230Kgに水を加えて希釈し、Bri
xを7に調製した。この希釈液1、150Kgを乳化機
(荏原製作所社製 マイルダー MDN303V−C
型)を用いて1000rpmで破砕処理し、遠心分離機
(ウエストファリア社製 セパレーター SB7−06
−076型)で、6000r.p.m、4分間の条件で
脱パルプ処理を行った。次いで、パルプの断片を完全に
除去するため、遠心上澄み液を300メッシュ篩に通し
た。この液中のリコピン含量は10mg%であった。こ
の上澄み液を0.2μmの排除径の精密ろ過機(Cer
amem社製 SA−0200型、膜面積11.5
m2)に供給し、温度50℃、圧力4Kg/cm2の条件
で処理して透過液部を分離し、リコピンを含有する濃縮
液を装置保持液部に非透過物として濃縮した。この濃縮
液のリコピン濃度は0.25%であった。この液を、再
度0.2μmの排除径の精密ろ過機(日本ガイシ社製
NGK−Cefilt、0.35m2)で、50℃、入
口圧力2.0Kg/cm2の条件で処理し、保持液側に
リコピンを1.0%含有する非透過部を得た。
【0031】参考例6 (精製トマト色素の調製) 参考例5に記載したと同様の操作によって採取した非透
過部に、食品添加用エタノールを最終濃度75%になる
ように常温で添加混合し、30分間攪拌してアルコール
洗浄した後、No.101ろ紙を備えたブッフナーろ過
機で沈降物をエタノール部から分離した。ろ紙上に回収
された沈降物を採取し、活性炭処理水を添加し、明赤色
を呈した色調の良い、リコピン1.0%を含有する精製
トマト色素10Kgを得た。
過部に、食品添加用エタノールを最終濃度75%になる
ように常温で添加混合し、30分間攪拌してアルコール
洗浄した後、No.101ろ紙を備えたブッフナーろ過
機で沈降物をエタノール部から分離した。ろ紙上に回収
された沈降物を採取し、活性炭処理水を添加し、明赤色
を呈した色調の良い、リコピン1.0%を含有する精製
トマト色素10Kgを得た。
【0032】実施例1(非透過部を添加した酸乳飲料の
着色方法) 発酵乳濃縮液100g、液糖70g、クエン酸3g、ペ
クチン2g、香料1g、及び水814g、の成分配合か
らなる液を調製し、この液に、参考例1に記載したリコ
ピン粒を含む非透過部(リコピン0.25%含有)10
gを添加し、タンパク質2.5%を含有し、pH3.6
の酸乳飲料を調製した。なお、前記した発酵乳濃縮液と
は、発酵乳粉末(商品名:ヨーグルトパウダー 森永乳
業(株)社製)20gと、乳清粉末(商品名:MILA
CTEAL80 森永乳業(株)社製)24gとを水5
6gで分散して予め調製したものである。前記酸乳飲料
を60℃まで加熱し、常法にしたがってホモジナイザー
(三和機械(株)製H−20型)で処理(150kg/
cm2)して混合した。その後、該酸乳飲料を90℃に
加熱し、これをガラス瓶(200グラム容)に充填、密
封した後、所定の方法で30℃まで冷却した。このよう
にしてピンク系の赤色色調に着色された、リコピン0.
0025%を含む酸乳製品(製品A)を得た。また比較
例は、製品Aとほぼ同等の着色となるように、リコピン
粒を含む非透過部の代わりに、天然赤色色素であるパプ
リカ赤色色素(商品名:パプリカベースNB)0.1
%、紅麹赤色色素(商品名:サンレッドMR)0.2
%、又はアカキャベツ色素(商品名:サンレッドRC
A)0.1%(いずれも三栄源エフ・エフ・アイ社製)
を着色料として使用した以外は前記と同様にして各酸乳
飲料サンプルを調製した。
着色方法) 発酵乳濃縮液100g、液糖70g、クエン酸3g、ペ
クチン2g、香料1g、及び水814g、の成分配合か
らなる液を調製し、この液に、参考例1に記載したリコ
ピン粒を含む非透過部(リコピン0.25%含有)10
gを添加し、タンパク質2.5%を含有し、pH3.6
の酸乳飲料を調製した。なお、前記した発酵乳濃縮液と
は、発酵乳粉末(商品名:ヨーグルトパウダー 森永乳
業(株)社製)20gと、乳清粉末(商品名:MILA
CTEAL80 森永乳業(株)社製)24gとを水5
6gで分散して予め調製したものである。前記酸乳飲料
を60℃まで加熱し、常法にしたがってホモジナイザー
(三和機械(株)製H−20型)で処理(150kg/
cm2)して混合した。その後、該酸乳飲料を90℃に
加熱し、これをガラス瓶(200グラム容)に充填、密
封した後、所定の方法で30℃まで冷却した。このよう
にしてピンク系の赤色色調に着色された、リコピン0.
0025%を含む酸乳製品(製品A)を得た。また比較
例は、製品Aとほぼ同等の着色となるように、リコピン
粒を含む非透過部の代わりに、天然赤色色素であるパプ
リカ赤色色素(商品名:パプリカベースNB)0.1
%、紅麹赤色色素(商品名:サンレッドMR)0.2
%、又はアカキャベツ色素(商品名:サンレッドRC
A)0.1%(いずれも三栄源エフ・エフ・アイ社製)
を着色料として使用した以外は前記と同様にして各酸乳
飲料サンプルを調製した。
【0033】実施例2(非透過部を添加したトマトスー
プの着色方法) トマトペースト80g、砂糖50g、香辛料3g、牛乳
50g、乳化剤2g、水805gの成分配合からなる液
を調製し、この液に、参考例1に記載したリコピン粒を
含む非透過部(リコピン0.25%含有)10gを添加
し、タンパク質0.5%を含有し、pH5.5のトマト
スープを調製した。前記酸乳飲料を60℃まで加熱し、
常法にしたがってホモジナイザー(三和機械(株)製H
−20型)で処理(150kg/cm2)して混合し
た。その後該トマトスープを90℃に加熱し、これを缶
(190グラム容)に充填、密封した後、所定の方法で
レトルト殺菌(121℃、20分間)し、30℃まで冷
却した。このようにしてピンク系の赤色色調に着色され
た、リコピン0.0025%を含むトマトスープ製品
(製品B)とした。また比較例は、製品Aとほぼ同等の
着色となるように、リコピン粒を含む非透過部に替え
て、天然赤色色素であるパプリカ赤色色素(商品名:パ
プリカベース70R)0.1%、紅麹赤色色素(商品
名:サンレッドMR)0.2%、又はアカキャベツ色素
(商品名:サンレッドRCA)0.1%(いずれも三栄
源エフ・エフ・アイ社製)を着色料として使用した以外
は前記と同様にして各トマトスープのサンプルを調製し
た。
プの着色方法) トマトペースト80g、砂糖50g、香辛料3g、牛乳
50g、乳化剤2g、水805gの成分配合からなる液
を調製し、この液に、参考例1に記載したリコピン粒を
含む非透過部(リコピン0.25%含有)10gを添加
し、タンパク質0.5%を含有し、pH5.5のトマト
スープを調製した。前記酸乳飲料を60℃まで加熱し、
常法にしたがってホモジナイザー(三和機械(株)製H
−20型)で処理(150kg/cm2)して混合し
た。その後該トマトスープを90℃に加熱し、これを缶
(190グラム容)に充填、密封した後、所定の方法で
レトルト殺菌(121℃、20分間)し、30℃まで冷
却した。このようにしてピンク系の赤色色調に着色され
た、リコピン0.0025%を含むトマトスープ製品
(製品B)とした。また比較例は、製品Aとほぼ同等の
着色となるように、リコピン粒を含む非透過部に替え
て、天然赤色色素であるパプリカ赤色色素(商品名:パ
プリカベース70R)0.1%、紅麹赤色色素(商品
名:サンレッドMR)0.2%、又はアカキャベツ色素
(商品名:サンレッドRCA)0.1%(いずれも三栄
源エフ・エフ・アイ社製)を着色料として使用した以外
は前記と同様にして各トマトスープのサンプルを調製し
た。
【0034】実施例3(精製トマト色素を添加した酸乳
飲料の着色方法) 非透過部のトマト色素に替えて、参考例2に示したリコ
ピン0.5%を含有する精製トマト色素を5g使用し、
水を819gとする以外は実施例1と同様にして酸乳製
品(製品C)を調製した。該酸乳製品(製品C)は、リ
コピン0.0025%を含み、ピンク系の明赤色色調に
着色されていた。また比較例としては、実施例1に示し
た比較例の調製方法と同様にして、各酸乳飲料サンプル
を調製した。
飲料の着色方法) 非透過部のトマト色素に替えて、参考例2に示したリコ
ピン0.5%を含有する精製トマト色素を5g使用し、
水を819gとする以外は実施例1と同様にして酸乳製
品(製品C)を調製した。該酸乳製品(製品C)は、リ
コピン0.0025%を含み、ピンク系の明赤色色調に
着色されていた。また比較例としては、実施例1に示し
た比較例の調製方法と同様にして、各酸乳飲料サンプル
を調製した。
【0035】実施例4(精製トマト色素を添加したトマ
トスープの着色方法) 非透過部のトマト色素に替えて、参考例2に示したリコ
ピン0.5%を含有する精製トマト色素を5g使用し、
水を810gとする以外は実施例2と同様にしてトマト
スープ製品(製品D)を調製した。該製品は、リコピン
0.0025%を含み、ピンク系の明赤色色調に着色さ
れていた。また比較例としては、実施例2に示した比較
例の調製方法と同様にして、各トマトスープのサンプル
を調製した。
トスープの着色方法) 非透過部のトマト色素に替えて、参考例2に示したリコ
ピン0.5%を含有する精製トマト色素を5g使用し、
水を810gとする以外は実施例2と同様にしてトマト
スープ製品(製品D)を調製した。該製品は、リコピン
0.0025%を含み、ピンク系の明赤色色調に着色さ
れていた。また比較例としては、実施例2に示した比較
例の調製方法と同様にして、各トマトスープのサンプル
を調製した。
【0036】実施例5(本発明の色調安定性等の評価) 実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4で調製した
各製品又はサンプルを、それぞれ5℃又は35℃で3ヵ
月間保存し、保存後サンプルの色調保持の程度を目視で
観察した。(本発明区分の製品が、5℃又は35℃で3
ヵ月間保存したときのいずれにおいてもダマや凝集、沈
殿物の発生は認められず、成分の均一性を害なわれてい
ないことが確認された。一方比較区分は、実施例1及び
3では、特に紅麹色素を使用した区分に、凝集、沈殿が
生じ、その上色調の変化が激しかった。なお色調の評価
は、5℃で3ケ月保存のものをコントロールとし、対応
する35℃で3ケ月保存した各製品又はサンプルについ
て、以下の基準で、5名のパネラーによって行った。 <評価基準> 5:コントロールと差がない。 4:コントロールとほとんど差がない。 3:コントロールにくらべてやや差があるが、商品価値
は有る。 2:コントロールにくらべて差がある。 1:コントロールにくらべて大きな差がある。 上記のようにして評価した結果を表に示す。
各製品又はサンプルを、それぞれ5℃又は35℃で3ヵ
月間保存し、保存後サンプルの色調保持の程度を目視で
観察した。(本発明区分の製品が、5℃又は35℃で3
ヵ月間保存したときのいずれにおいてもダマや凝集、沈
殿物の発生は認められず、成分の均一性を害なわれてい
ないことが確認された。一方比較区分は、実施例1及び
3では、特に紅麹色素を使用した区分に、凝集、沈殿が
生じ、その上色調の変化が激しかった。なお色調の評価
は、5℃で3ケ月保存のものをコントロールとし、対応
する35℃で3ケ月保存した各製品又はサンプルについ
て、以下の基準で、5名のパネラーによって行った。 <評価基準> 5:コントロールと差がない。 4:コントロールとほとんど差がない。 3:コントロールにくらべてやや差があるが、商品価値
は有る。 2:コントロールにくらべて差がある。 1:コントロールにくらべて大きな差がある。 上記のようにして評価した結果を表に示す。
【0037】
【表1】表
【0038】表に示すごとく、本発明の方法によれば、
35℃、3ヵ月間の保存をしたとき、比較的低pH域に
ある各タンパク質含有飲食品のいずれの場合において
も、比較例の天然赤色色素であるパプリカ赤色色素、紅
麹赤色色素又はアカキャベツ色素によって着色したもの
よりも、長期間に安定して赤色の色調を保つことができ
ることがわかる。
35℃、3ヵ月間の保存をしたとき、比較的低pH域に
ある各タンパク質含有飲食品のいずれの場合において
も、比較例の天然赤色色素であるパプリカ赤色色素、紅
麹赤色色素又はアカキャベツ色素によって着色したもの
よりも、長期間に安定して赤色の色調を保つことができ
ることがわかる。
【0039】
【発明の効果】本発明の方法は、タンパク質含有飲食品
の着色料として、安全な天然のカロチノイド系色素であ
るリコピンを主成分とする、水懸濁性に優れた性質を有
したトマト色素調製物を使用するので、該着色料自体に
分散のための乳化剤、増粘多糖類などを含ませる必要が
ない。したがって本発明によれば、その使用に際して
も、飲食品に必要以上の乳化剤、増粘多糖類の使用が避
けられる。また、本発明によって着色されたタンパク質
含有飲食品は、pH3〜5などの低いpH域にある酸乳
飲料などにおいても、凝集沈殿物が生じることなく、長
期間安定して赤色の色調を保つことができる。さらに、
pH5〜7などの弱酸性ないし中性のpH域にあるスー
プ類などの食品を100℃以上の加熱処理しても、長期
間に安定して赤色の色調を保つことが可能である。
の着色料として、安全な天然のカロチノイド系色素であ
るリコピンを主成分とする、水懸濁性に優れた性質を有
したトマト色素調製物を使用するので、該着色料自体に
分散のための乳化剤、増粘多糖類などを含ませる必要が
ない。したがって本発明によれば、その使用に際して
も、飲食品に必要以上の乳化剤、増粘多糖類の使用が避
けられる。また、本発明によって着色されたタンパク質
含有飲食品は、pH3〜5などの低いpH域にある酸乳
飲料などにおいても、凝集沈殿物が生じることなく、長
期間安定して赤色の色調を保つことができる。さらに、
pH5〜7などの弱酸性ないし中性のpH域にあるスー
プ類などの食品を100℃以上の加熱処理しても、長期
間に安定して赤色の色調を保つことが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A23L 2/38 C09B 61/00 A C09B 61/00 A23L 2/00 M (72)発明者 湯浅 克己 東京都中央区日本橋小網町4番13号 日本 デルモンテ株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 タンパク質を含有する飲食品に、(a)
トマト処理物を遠心分離して液体部分を採取し、これを
精密ろ過して採取したトマト色素を含む非透過部、及び
/又は(b)該非透過部に有機溶媒濃度が50〜90w
/w%となるように有機溶媒を添加して混合、撹拌して
精製して得た精製トマト色素を添加、混合することを特
徴とする、タンパク質含有飲食品の着色方法。 - 【請求項2】 タンパク質を含有する飲食品が、タンパ
ク質含有量約0.2〜10w/w%で、かつpH3〜7
である、請求項1記載のタンパク質含有飲食品の着色方
法。 - 【請求項3】 タンパク質含有量約0.2〜10w/w
%で、かつpH3〜7であるタンパク質を含有する飲食
品が、酸乳飲料又はスープ類である請求項2記載のタン
パク質含有飲食品の着色方法。 - 【請求項4】 精密ろ過が、0.1〜0.5μmの平均
細孔を有する精密ろ過膜を使用する精密ろ過である、請
求項1、請求項2又は請求項3のいずれかに記載のタン
パク質含有飲食品の着色方法。 - 【請求項5】 有機溶媒が、エタノールであり、エタノ
ール濃度が75〜85w/w%である、請求項1、請求
項2、請求項3又は請求項4のいずれかに記載のタンパ
ク質含有飲食品の着色方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9363727A JPH11169134A (ja) | 1997-12-17 | 1997-12-17 | タンパク質含有飲食品の着色方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9363727A JPH11169134A (ja) | 1997-12-17 | 1997-12-17 | タンパク質含有飲食品の着色方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11169134A true JPH11169134A (ja) | 1999-06-29 |
Family
ID=18480041
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9363727A Pending JPH11169134A (ja) | 1997-12-17 | 1997-12-17 | タンパク質含有飲食品の着色方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11169134A (ja) |
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001299323A (ja) * | 2000-02-18 | 2001-10-30 | Takara Shuzo Co Ltd | 野菜成分含有酒 |
JP2003534357A (ja) * | 2000-05-30 | 2003-11-18 | ソシエテ デ プロデユイ ネツスル ソシエテ アノニム | 親油性の生物活性化合物を含有する一次組成物 |
CN1304488C (zh) * | 2005-03-23 | 2007-03-14 | 中国科学院西北高原生物研究所 | 从沙生植物白刺中提取食用天然红色素的工艺 |
JP2007185166A (ja) * | 2006-01-16 | 2007-07-26 | Q P Corp | 水中油型乳化食品 |
JP2007190008A (ja) * | 2005-03-15 | 2007-08-02 | Kao Corp | 野菜飲料組成物 |
JP2007277471A (ja) * | 2006-04-11 | 2007-10-25 | Taisho Technos Co Ltd | アナトー色素製剤 |
JP2010013457A (ja) * | 2001-09-04 | 2010-01-21 | Lycored Natural Products Industries Ltd | カロテノイド抽出法 |
CN103315354A (zh) * | 2013-03-07 | 2013-09-25 | 闫晗 | 一种番茄红素饮料 |
CN103829242A (zh) * | 2014-03-06 | 2014-06-04 | 中国科学院西北高原生物研究所 | 一种含有白刺果红色素的保健食品 |
JP2015019636A (ja) * | 2013-07-22 | 2015-02-02 | キリンビバレッジ株式会社 | 赤色の褪色が抑制された加温用赤色飲料 |
CN106538699A (zh) * | 2016-11-08 | 2017-03-29 | 福建省农业科学院农业生物资源研究所 | 一种大豆乳清蛋白乳酸菌发酵饮品的制备方法 |
-
1997
- 1997-12-17 JP JP9363727A patent/JPH11169134A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010059163A (ja) * | 2000-05-30 | 2010-03-18 | Soc Des Produits Nestle Sa | 親油性の生物活性化合物を含有する一次組成物 |
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