JP3475194B2 - カロチノイド高含有ジュースの製造方法 - Google Patents

カロチノイド高含有ジュースの製造方法

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JP3475194B2 JP2000117068A JP2000117068A JP3475194B2 JP 3475194 B2 JP3475194 B2 JP 3475194B2 JP 2000117068 A JP2000117068 A JP 2000117068A JP 2000117068 A JP2000117068 A JP 2000117068A JP 3475194 B2 JP3475194 B2 JP 3475194B2
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孝司 隅田
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株式会社えひめ飲料
株式会社愛媛柑橘資源開発研究所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カロチノイド含量
を所定のレベルに調整することによりカロチノイド高含
有ジュースを製造する方法に関するものであり、さらに
詳しくは、かんきつ類の果実を搾汁して得られるジュー
スであって、ジュースの品質を低下させることなく、そ
のカロチノイドの含有量を簡便かつ効率よく所定のレベ
ルに調整して、任意のカロチノイド含量を有するジュー
スを製造することを可能とするカロチノイド高含有ジュ
ースの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、かんきつ類などの果実のカロチノ
イドは、例えば、食品用の天然色素として広く利用され
ており、かんきつ類などの果実を原料として、カロチノ
イド色素を製造する方法が種々開発されている。その代
表的なものとして、例えば、高カロチノイド含有かんき
つ類果実の果皮を原料として当該果皮を搾油し、得られ
る油を濃縮精製する方法や、カロチノイド含有油脂を溶
剤で抽出して得られるオレオジンを加水分解し、有機溶
剤で抽出する方法、などがあげられる。その他にも、カ
ロチノイド含有の油脂またはオレオジンをアルコーリシ
スし、超臨界二酸化炭素流体を用いて精製する方法(特
開平7−304977号公報)、また、かんきつ類など
の黄色色素を含む原料を、加熱油中に浸漬し、油温によ
り脱水して、カロチノイドを含んだ原料を残留物として
回収する方法(特公平4−38388号公報)、さら
に、果皮などのカロチノイド含有天然物の粉砕物を水中
で生体高分子分解酵素と反応せしめ、酵素反応を終えた
時点で遠心分離機により固液分離を行い、水溶性成分と
固形分を分離し、得られた固形物を乾燥、粉砕してカロ
チノイド系粉末色素を製造する方法(特開昭62−19
0090号公報)など、多数の例が報告されている。
【0003】そして、上記のように、カロチノイド色素
の製造工程において、例えば、カロチノイド系色素を含
有する天然物の粉砕物を水中で酵素反応させて得られる
反応物を遠心分離機により固液分離を行い、水溶性成分
と固形物を分離し、高カロチノイド含有固形物を得る方
法が知られている。しかし、上記の方法は、カロチノイ
ド成分の抽出工程における固液分離操作であり、カロチ
ノイド含量を所定のレベルに調整すること、そして、品
質を低下させることなくカロチノイド高含有ジュースを
製造すること、を課題とするものではない。また、上記
のかんきつ類の果皮または果実をそのまま原材料として
カロチノイドを抽出する方法は、一般的にカロチノイド
を高レベルで精製すると非常に高いコストを要し、ま
た、低レベルでの精製ではこれをジュースに添加すると
果皮中の苦味物質などによりジュースの品質を低下させ
てしまうだけでなく、果皮は通常は食に供されていない
こともあり、当該果皮抽出物のジュースへの添加は消費
者にとってかなりの抵抗となる。
【0004】一方、カロチノイド高含有食品の製造や、
かんきつ類の果実を原料としたジュース類についても、
カロチノイド含量を所定のレベルに調整した、いわゆる
カロチノイド高含有ジュースの製造が試みられている
が、従来のものは、上記方法で得られるカロチノイド系
色素や合成品をジュースに添加してカロチノイドを強化
したものがほとんどであり、例えば、ジュース類につい
ていえば、使用原料に由来するカロチノイド成分をその
まま高レベルに含有する製品はほとんど開発されていな
い状況にあった。
【0005】一般に、かんきつ類の果皮、果肉には30
以上のカロチノイドが含まれており(日食工誌,18,
468,1971)、温州みかんの果皮のカロチノイド
構成比は、その成熟過程で大きく変化するが、果肉のカ
ロチノイドの構成比はほとんど変化しない(日食工誌,
18,359,1971)。このため、カロチノイドを
利用するには果肉の方が果皮よりも品質管理上有利であ
る。また、果肉を商業規模で搾汁したジュースのカロチ
ノイド含量は、その製造工程中に減少するがこれは遠心
分離操作による減少が顕著であり、また、この遠心分離
の前に行われる「ろ過」工程でのパルプ粒度の調整によ
る影響も示唆されている(日食工誌,21,25,19
74)。つまり、ジュース中のカロチノイドはパルプに
付着または吸着して存在していると考えられており(日
食工誌,21,25,1974)、パルプ量の多いもの
ほどカロチノイド含量も多くなるため、パルプ量によっ
てジュースのカロチノイド含量を調整することが可能と
なる。しかし、パルプ量の多いジュースは食味が悪くな
り好まれないために、パルプ添加によるカロチノイドの
高量化にも自ずと限界が生じる。
【0006】実際に、かんきつ果実を搾汁し、ろ過(篩
別)した後、遠心分離して得られる通常のパルプを用い
ても、これを大量に添加しないとカロチノイド含量が所
定のレベルに達しないという問題があり、そのために、
ジュースの食味が悪くなるなどの品質低下が著しく、こ
の方法では、好適なジュース製品を得ることは不可能で
あった。そこで、本発明者らは、先に、かんきつ類果実
のジュースに軽遠心分離と重遠心分離の2段階の遠心分
離処理を施し、カロチノイドを高含有するパルプを調製
し、このパルプを通常のジュースと適宜混合することに
より、カロチノイド含量を所定のレベルに調整する方法
(特開平11−56314号公報)(以下、従来法と略
記する。)を開発した。この方法では、カロチノイド高
含有パルプを製造する場合、果汁を2段階で遠心分離操
作する必要があるため、実操業においては、遠心分離機
で処理する果汁の量が多くなり、作業効率が悪くなると
いう問題が生じる可能性がある。
【0007】従来法の、上記の2段階遠心分離によりカ
ロチノイド高含有パルプを調製し、これを通常のジュー
スなどと混合し、カロチノイド含量を高濃度化させる方
法では、搾汁果汁を原料とするため、カロチノイド高含
有パルプを調製する時期が搾汁時期と重なることにな
る。搾汁時期には大量のかんきつ果実が入荷され、搾汁
工場における搾汁作業は繁忙を極める。搾汁された果汁
は、フィニシャーにより篩別され、続いて遠心分離操作
によりパルプ分が調整され、ジュースとなる。このジュ
ースは、濃縮しないでストレートジュースとして販売さ
れたり、濃縮して冷凍保管され、これを原料として年間
を通して濃縮還元果汁製品が製造・販売されている。か
んきつ果実の搾汁は、果実の収穫時期に集中して行われ
ていることから、効率よく作業を行う必要がある。しか
し、従来法によりカロチノイド高含有パルプを調製する
には、果汁の遠心分離操作を2段階に行うために多数の
遠心分離機が必要となり、ジュース製造における遠心分
離機の使用に対して負担が大きくかかる。さらに、従来
法では通常のジュースの収率を上げるために軽遠心分離
後の沈降部についても重遠心分離を行い、沈降部から果
汁を取り出す工程が必要となる場合があり、さらに、遠
心分離機の使用に負担がかかることもある。搾汁時期に
は上記のストレートジュースや濃縮果汁が大量に製造さ
れるために遠心分離機は最大限に稼動している。そのた
めに、果汁を2段階に遠心分離操作を行うことは、作業
効率を悪くし、実操業の製造工程としては問題が生じる
可能性がある。
【0008】従来法は、かんきつ類の果汁中のカロチノ
イドは、パルプ分に均一に付着または吸着しているので
はなく、微細なパルプ分に多く存在していることに着目
して、1段目の遠心分離として軽遠心分離を行うことに
よりカロチノイドの存在割合が低い不要なパルプ分を沈
降部として除去し、上清を軽遠心分離よりも強い遠心強
度で2段目の重遠心分離を行い、沈降部としてカロチノ
イドの存在割合が高いパルプ分を得、これを通常のジュ
ースなどと混合してカロチノイド高含有ジュースを製造
するものである。この従来法では、2段目の重遠心分離
において、1段目の軽遠心分離の上清を処理しているた
め、多数の遠心分離機が必要とされる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、遠心分離操作の手順を改良すれば、効率の良い実操
業の製造に適したカロチノイド高含有ジュースの製造方
法を開発できると考え、検討を開始した。本発明者ら
は、2段目の遠心分離処理を行う液量を少なくすれば、
より少ない遠心分離機の台数で処理が可能と考えた。つ
まり、本発明では、1段目に上清の色調を損なわない様
に通常行われている程度の遠心強度の遠心分離を行い、
不要なパルプ分とカロチノイドの存在割合の高い微細な
パルプを沈降物として分離し、この沈降物に遠心分離が
可能な程度加水して1段目よりも弱い遠心強度で遠心分
離を行いカロチノイドの存在割合が低い不要なパルプ分
を沈降物として分離すればカロチノイドの存在割合が高
いパルプ分を多く含む上清が得られると考え、鋭意研究
を行った結果、所期の目的を達成し得ることを見出し、
本発明を完成するに到った。
【0010】本発明は、かんきつ類の果実を搾汁して得
られるジュースのカロチノイド含量を所定のレベルに調
整して、通常のジュースよりも高いレベルのカロチノイ
ドを含有するカロチノイド高含有ジュースを製造する方
法を提供することを目的とするものである。また、本発
明は、原料に由来するカロチノイド含量を調整し、かつ
品質を低下させることなく、通常のジュースよりも2倍
以上の任意のカロチノイド含量を有するジュースを製造
することが可能な新しいカロチノイド高含有ジュースの
製造方法およびその製品を提供することを目的とするも
のである。また、本発明は、従来の製造方法よりも簡単
かつ効率よくカロチノイド高含有ジュースを製造する方
法を提供することを目的とするものである。本発明の方
法は、2段目の遠心分離処理を行う液量が少量で済むた
め、処理に要する遠心分離機の台数が少なくて済む。ま
た、従来の方法では2段目の重遠心分離後の上清が通常
のジュースであるのに対して、本発明では1段目の遠心
分離の上清が通常のジュースであることから、通常のジ
ュース製造とその工程を分離して処理を行うことが可能
であり、作業効率が高い。さらに、従来法では1段目の
軽遠心分離後の上清がカロチノイドを高含有する画分で
あるので、その量が多くなり、これを保存しておいて搾
汁繁忙時期以外の遠心分離機の使用状況に余裕のある時
期に重遠心分離処理を行うことは設備及びコストの面で
困難であり、重遠心分離処理まで一度に行う必要があ
る。これに対して、本発明では1段目の重遠心分離処理
の沈降物がカロチノイド高含有画分であるので、その量
が少ない利点があり、そのため、これを保管しておくこ
とは十分可能であり、搾汁繁忙期の遠心分離機の使用に
負担をかけずに後日調製することも可能であり、遠心分
離機の効率的な利用の面において従来の方法に比べて非
常に有利な方法である。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (I)果汁に1段階の遠心分離処理を施し、ジュースの
品質を低下させることなく、ジュースにおけるカロチノ
イドの高量化を可能とするカロチノイド高含有ジュース
の製造方法であって、かんきつ類の果実を搾汁してろ過
(篩別)した後、重遠心分離操作により沈降部を得て、
この沈降部に加水し希釈後、軽遠心分離操作により沈降
部と上清部に分離した後、上清部をそのまま濃縮果汁ま
たは通常のジュースと適宜混合すること、および/また
は上清部を濃縮して通常のジュースまたは濃縮果汁と適
宜混合すること、により、カロチノイド含量を所定のレ
ベルに調整することを特徴とするカロチノイド高含有ジ
ュースの製造方法。 (II)軽遠心分離操作の遠心強度が3,000g・分以
下であり、重遠心分離操作の遠心強度が1,500g・
分以上であり、軽遠心分離操作の遠心強度を重遠心分離
操作の遠心強度よりも低く設定することを特徴とする、
前記(I)に記載のカロチノイド高含有ジュースの製造
方法。 (III )かんきつ類の果実が、温州みかんである、前記
(I)に記載のカロチノイド高含有ジュースの製造方
法。 (IV)カロチノイド含量を所定のレベルに調整すること
によりカロチノイド高含有ジュースを製造する方法であ
って、以下の工程; (1)かんきつ類の果実を搾汁してろ過(篩別)した
後、重遠心分離操作によりジュースを上清部(A)と沈
降部(B)に分離する工程、 (2)沈降部(B)に加水し希釈後、上記(1)の重遠
心分離操作よりも低い遠心強度で軽遠心分離操作を行い
上清部(C)と沈降部(D)に分離する工程、 (3)必要により、上清部(A)を濃縮し濃縮液(E)
を調製する工程、 (4)必要により、上清部(C)を濃縮し濃縮液(F)
を調製する工程、 (5)上記工程で得られた上清部(A)と濃縮液(F)
を混合する工程、上記工程で得られた上清部(C)と濃
縮液(E)を混合する工程、上記工程で得られた上清部
(A)と上清部(C)を混合する工程、上記工程で得ら
れた濃縮液(E)と濃縮液(F)を混合した後、希釈す
る工程、の1種以上を適宜組合せてカロチノイド含量を
所定のレベルに調整する工程、からなることを特徴とす
るカロチノイド高含有ジュースの製造方法。
【0012】本発明は、かんきつ類果実を搾汁、ろ過
(篩別)した後、2回の遠心分離操作行うが、1段目の
重遠心分離操作により得られる沈降部に加水して希釈し
た後、2段目の軽遠心分離操作をその遠心強度を1段目
よりも低く設定して行い、2段目の軽遠心分離操作で得
られるカロチノイド含量の高い上清部をそのまま、およ
び/またはこの上清部を濃縮した後、通常のジュースま
たはその濃縮果汁に適宜混合することにより、カロチノ
イド含量を所定のレベルに調整することを特徴とするカ
ロチノイド高含有ジュースの製造方法、を提供するもの
である。すなわち、本発明は、かんきつ類の果実を搾汁
し、ろ過(篩別)した後、重遠心分離操作により通常の
ジュースと同程度のパルプ分および可溶性固形物を含む
上清部と、カロチノイドを低レベルで含有する不要なパ
ルプ分とカロチノイドを高いレベルで含有する微細なパ
ルプ分からなる沈降部に分離し、この沈降部に加水し希
釈後、軽遠心分離操作により不要なパルプ分を分離除去
し、こうして得られたカロチノイドを高レベルで含有す
る上清部をそのまま濃縮果汁と混合するか、この上清部
を通常のジュースと適宜混合すること、および/または
この上清部を濃縮後、通常のジュースと混合するか、こ
の上清部を濃縮後、通常の果汁を濃縮したものと適宜混
合すること、の1種以上の手段により、カロチノイド含
量を所定のレベルに調整することを特徴とするカロチノ
イド高含有ジュースの製造方法、を提供するものであ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明で使用されるかんきつ類の果実とし
ては、温州みかん、伊予柑、夏みかん、八朔、ポンカ
ン、ネーブルオレンジ、レモン、バレンシアオレンジ、
グレープフルーツ、その他の果実類があげられる。これ
らのかんきつ類果実の中で、温州みかん果実の果肉は、
カロチノイド含量が高いだけではなく特にβ−クリプト
キサンチンを多量に含有していることで知られている
が、このβ−クリプトキサンチンは、プロビタミンAと
しての栄養成分特性を備えているだけでなく、最近の抗
がん研究においては、にんじんなどの緑黄色野菜に含ま
れているカロチノイドであるβ−カロチンよりも強い発
がん抑制効果があることが判明している(Biol.P
harm.Bull.18,2,227,1995)。
これらのことより、温州みかん果実は、特に好適なもの
として例示される。かんきつ類の果実は、選果、洗浄を
経て搾汁される。搾汁機にはインライン搾汁機、チョッ
パーパルパー搾汁機、ブラウン搾汁機などが一般に用い
られているが、本発明に使用される果実の搾汁は、どの
搾汁機を用いて行ってもよい。
【0014】搾汁された果汁は、じょうのう皮の小片や
粗大なパルプを含んでおり、これらの夾雑物を除去する
ためにフィニッシャーなどでろ過または篩別処理され
る。これらの処理を本願明細書ではろ過(篩別)と記載
する。このろ過(篩別)処理に用いるフィニッシャーは
パドル型、スクリュー型があるが、スクリーンの目の大
きさは0.3〜0.5mmのものが一般に使用されてい
る。このろ過(篩別)処理はその後の遠心分離操作に大
きく影響するので目的に応じた調整が必要であり、例え
ば、スクリーンとパドルの間隙を短くしすぎると果汁中
に水溶性ペクチン量が多くなりパルプ分を分離しずらく
する。また、0.5mm目のスクリーンを有するフィニ
ッシャーで処理した後に、0.1mm目のスクリーンを
有するフィニッシャーで処理を行なうと、低い遠心強度
の遠心分離操作では完全に沈降しない粗大なパルプ粒子
を予め除去することが可能となる。
【0015】ろ過(篩別)処理されたジュースは、遠心
強度1,500g・分以上の遠心強度で重遠心分離を行
い、パルプ分の低い上清部(A)とパルプ分の多い沈降
部(B)に分離される。この重遠心分離操作は、遠心強
度が低すぎると、粒度の大きいパルプが残存してしまい
ジュースの品質に影響を与えてしまう。逆に、遠心強度
を高めていくと沈降部(B)の収率が高まり、カロチノ
イドの含有率も高まるが、通常のジュースとなる上清部
(A)のカロチノイド含量は低減し、色調も損ねてしま
う。したがって、この重遠心分離は、1,500g・分
以上、望ましくは1,800〜2,200g・分程度の
遠心強度が適当である。
【0016】続いて、沈降部(B)に加水して2倍から
20倍に希釈する。その後、遠心強度3,000g・分
以下の遠心強度で軽遠心分離を行い、粒度の大きいカロ
チノイド含有量の少ないパルプ分からなる沈降部(D)
とカロチノイド含有量が高い微細なパルプが多く含まれ
る上清部(C)とに分離する。この場合、軽遠心分離の
遠心強度は重遠心分離の遠心強度よりも低く設定するこ
とが重要である。このことを要件として、この軽遠心分
離は、3,000g・分以下、望ましくは1,300〜
1,700g・分程度の遠心強度が適当である。これに
より、パルプ分と可溶性固形分は少ないがカロチノイド
含量は高い上清部を得ることができる。しかし、沈降物
(B)を水で希釈する時、希釈倍率を高くしすぎると、
結果として得られる上清部(C)のカロチノイド含量が
低くなりすぎ、以後の処理に余分な手間が必要となるた
め、望ましくは5倍から10倍希釈がよい。
【0017】上清部(C)のオイル含量が高いために、
調製されたカロチノイド高含有ジュースの香味に問題が
生じる場合は、この上清部(C)を適宜精製水で希釈
し、好適には、真空蒸発法(40℃以下で処理すること
が望ましい。)で濃縮操作を行うことにより、上清部
(C)のオイル量を低減することができる。次に、上清
部(A)と上清部(C)を混合すること、上清部(C)
と上清部(A)を濃縮して得られる濃縮液(E)を混合
すること、上清部(C)を濃縮して得られる濃縮液
(F)と上清部(A)を混合すること、濃縮液(E)と
濃縮液(F)を混合後、希釈すること、の1種以上を適
宜組合せて、カロチノイド含量を所定のレベルに調整す
る。本発明において、通常のジュースとは、上清部
(A)を意味するが、これに限らず、その他、同様のも
のを意味する。また、上記濃縮液とは、実質的に濃縮さ
れた果汁を意味しており、その濃縮の程度は特に制限さ
れない。なお、上記工程において、操作上の都合によ
り、必要により、希釈工程を付加することも本発明に含
まれる。
【0018】本発明では、2回の遠心分離操作を行い、
しかも、軽遠心分離操作で得られるカロチノイド含量の
高い上清部(C)、およびその濃縮液である濃縮液
(F)をカロチノイド給源として利用することにより、
合成品や果皮抽出物などをまったく添加することなし
に、いわゆるパルプ量が多いジュースに見られる食味の
悪化、品質の低下などを生起させることがなく、ジュー
スにおけるカロチノイドの高量化を達成することが可能
である。
【0019】
【実施例】以下に、実施例と比較例に基づいて本発明を
具体的に説明する。しかし、本発明は当該実施例によっ
て何ら限定されるものではない。 実施例1 (1)果汁からの高カロチノイド画分の調製 比較例(従来法)および本発明について、温州ミカン果
実100トンを用いて実際の処理を行い、遠心分離処理
の効率および得られた果汁と高カロチノイド含有画分の
カロチノイド含有量を比較した。 A)比較例(従来法) 1)処理条件 温州ミカン果実100トンを用いて、搾汁、ろ過、軽遠
心分離、重遠心分離の各処理を行った。使用した機器を
次に示す。処理工程と収量を図1に示す。 (使用した機器) 搾汁:FMC社製インライン搾汁機(小玉は191型、
中玉は291型、大玉は391型を使用) ろ過:精研舎製フィニッシャー(0.5mmスクリーン
使用) 軽遠心分離:ウエストファリアセパレータ社製遠心分離
器SB−60型(1,500g・分に設定) 重遠心分離:ウエストファリアセパレータ社製遠心分離
器SB−60型(2,000g・分に設定) 2)処理手順 (a)上記インライン搾汁機で100トンの果実を搾汁
し、果汁(搾汁後)61トンを得た。 (b)上記(a)により得られた果汁(搾汁後)61ト
ンをフィニシャー装置でろ過し、果汁(ろ過後)53ト
ンを得た。 (c)上記(b)により得られた果汁(ろ過後)53ト
ンを軽遠心分離処理し、果汁(上清部)51.5トンと
パルプ(沈降部)1.5トンを得た。 (d)上記(c)により得られた果汁(上清部)51.
5トンを重遠心処理し通常のジュースである果汁(上清
部)50トンと高カロチノイド含有画分であるパルプ
(沈降部)1.5トンを得た。
【0020】図1に示したように、比較例(従来法)で
は遠心分離処理を行う必要のある果汁量*1) はろ過後の
果汁*2) と軽遠心分離後の上清の合計、すなわち53ト
ン+51.5トン=104.5トンとなる。
【0021】B)本発明 1)処理条件 温州ミカン果実100トンを用いて、搾汁、ろ過、軽遠
心分離、重遠心分離の各処理を行った。使用した機器を
次に示す。処理工程と収量を図2に示す。 (使用した機器) 搾汁:FMC社製インライン搾汁機(小玉は191型、
中玉は291型、大玉は391型を使用) ろ過:精研舎製フィニッシャー(0.5mmスクリーン
使用) 重遠心分離:ウエストファリアセパレータ社製遠心分離
器SB−60型(2,000g・分に設定) 軽遠心分離:ウエストファリアセパレータ社製遠心分離
器SB−60型(1,500g・分に設定) 2)処理手順 (a)上記インライン搾汁機で100トンの果実を搾汁
し、果汁(搾汁後)61トンを得た。 (b)上記(a)により得られた果汁(搾汁後)61ト
ンをフィニシャー装置でろ過し、果汁(ろ過後)53ト
ンを得た。 (c)上記(b)で得た果汁53トンを重遠心分離処理
し、通常のジュースである果汁(上清部)50トンとパ
ルプ(沈降部)3トンを得た。 (d)上記(c)で得たパルプ3トンに純水27トンを
加え、よく攪拌しパルプを10倍量である30トンに希
釈した。 (e)上記(d)で得たパルプ30トンを軽遠心分離処
理し、高カロチノイド含有画分である上清部28.5ト
ンとパルプ(沈降部)1.5トンを得た。
【0022】本発明では、遠心分離処理を行う必要があ
る果汁量*1) はろ過後の果汁*2) と重遠心分離の沈降部
を10倍希釈したパルプの合計、すなわち53トン+3
0トン=83トンとなる。
【0023】上記の図1及び図2に示したように、比較
例(従来法)では、軽遠心分離と重遠心分離の遠心分離
処理を行わなければならない果汁量は、軽遠心分離5
1.5トンと重遠心分離50トンの合計104.5トン
であるのに対して、本発明では、重遠心分離50トンと
軽遠心分離30トンの合計83トンであり、遠心分離処
理の効率が高いことが判明した。
【0024】上記実施例1において、比較例(従来法)
と本発明による処理で得られた通常のジュースである上
清部と高カロチノイド含有画分のカロテノイド含量を表
1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示したように、本発明において得ら
れる通常のジュースと高カロチノイド含有画分における
カロチノイド含量は比較例(従来法)で得られるものと
比較して、同程度である。また、遠心分離処理に供する
液量は、比較例(従来法)よりも少量であることから、
本発明の方が比較例(従来法)よりも効率よく高カロチ
ノイド含有画分を調製することが可能であることがわか
る。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、かんき
つ類の果実を搾汁してろ過(篩別)した後、重遠心分離
操作により沈降部を得て、この沈降部に加水し希釈後、
軽遠心分離操作により沈降部と上清部に分離した後、上
清部をそのまま濃縮果汁または通常のジュースと適宜混
合すること、および/または上清部を濃縮して通常のジ
ュースまたは濃縮果汁と適宜混合すること、により、カ
ロチノイド含量を所定のレベルに調整することを特徴と
するカロチノイド高含有ジュースの製造方法であり、本
発明によれば、次のような効果が奏される。 (1)重遠心分離操作と軽遠心分離操作を行うことによ
り、搾汁した果汁を通常のジュースと通常のパルプ分に
見られない特性を持つパルプ分が分散した上清部に簡便
かつ効率よく分離できる。 (2)1段目の重遠心分離操作により得られた沈降物に
適宜加水し希釈した液について2段目の軽遠心分離操作
を行うため、処理量が少なく、遠心分離操作の効率が高
い。 (3)1段目の重遠心分離で得られた沈降物を保管し、
搾汁繁忙期以外に2段目の軽遠心分離操作を行うことが
可能であるため、遠心分離機の使用を効率よく行える。 (4)上記(1)の上清部と通常のジュースまたは濃縮
果汁、上記(1)の上清部の濃縮液と通常のジュースま
たは濃縮果汁を混合することにより、任意のレベルのカ
ロチノイドを含有するカロチノイド高含有ジュースを製
造することができる。 (5)通常のジュースよりも2 倍以上のカロチノイド含
量を有するカロチノイド高含有ジュースを製造できる。 (6)ジュースの品質を低下させることなく、ジュース
におけるカロチノイドの高量化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例(従来法)のカロチノイド高含有ジュー
スの製造工程の概要を示す。
【図2】本発明の一実施例であるカロチノイド高含有ジ
ュースの製造工程を示す。
【図3】本発明のカロチノイド高含有ジュースの製造工
程の概要を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 隅田 孝司 愛媛県松山市安城寺町478番地 株式会 社愛媛柑橘資源開発研究所内 (72)発明者 濱田 智 愛媛県松山市安城寺町478番地 株式会 社愛媛柑橘資源開発研究所内 (56)参考文献 特開 平11−56314(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 2/02 - 2/70

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 果汁に1段階の遠心分離処理を施し、ジ
    ュースの品質を低下させることなく、ジュースにおける
    カロチノイドの高量化を可能とするカロチノイド高含有
    ジュースの製造方法であって、かんきつ類の果実を搾汁
    してろ過(篩別)した後、重遠心分離操作により沈降部
    を得て、この沈降部に加水し希釈後、軽遠心分離操作に
    より沈降部と上清部に分離した後、上清部をそのまま濃
    縮果汁または通常のジュースと適宜混合すること、およ
    び/または上清部を濃縮して通常のジュースまたは濃縮
    果汁と適宜混合すること、により、カロチノイド含量を
    所定のレベルに調整することを特徴とするカロチノイド
    高含有ジュースの製造方法。
  2. 【請求項2】 軽遠心分離操作の遠心強度が3,000
    g・分以下であり、重遠心分離操作の遠心強度が1,5
    00g・分以上であり、軽遠心分離操作の遠心強度を重
    遠心分離操作の遠心強度よりも低く設定することを特徴
    とする、請求項1に記載のカロチノイド高含有ジュース
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 かんきつ類の果実が、温州みかんであ
    る、請求項1に記載のカロチノイド高含有ジュースの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 カロチノイド含量を所定のレベルに調整
    することによりカロチノイド高含有ジュースを製造する
    方法であって、以下の工程; (1)かんきつ類の果実を搾汁してろ過(篩別)した
    後、重遠心分離操作によりジュースを上清部(A)と沈
    降部(B)に分離する工程、 (2)沈降部(B)に加水し希釈後、上記(1)の重遠
    心分離操作よりも低い遠心強度で軽遠心分離操作を行い
    上清部(C)と沈降部(D)に分離する工程、 (3)必要により、上清部(A)を濃縮し濃縮液(E)
    を調製する工程、 (4)必要により、上清部(C)を濃縮し濃縮液(F)
    を調製する工程、 (5)上記工程で得られた上清部(A)と濃縮液(F)
    を混合する工程、上記工程で得られた上清部(C)と濃
    縮液(E)を混合する工程、上記工程で得られた上清部
    (A)と上清部(C)を混合する工程、上記工程で得ら
    れた濃縮液(E)と濃縮液(F)を混合した後、希釈す
    る工程、の1種以上を適宜組合せてカロチノイド含量を
    所定のレベルに調整する工程、 からなることを特徴とするカロチノイド高含有ジュース
    の製造方法。
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