JP2000136181A - 高純度β−クリプトキサンチンの製造方法 - Google Patents
高純度β−クリプトキサンチンの製造方法Info
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Abstract
の製造方法は、果汁を圧搾して得られた原料沈澱物等か
らβ-クリプトキサンチンを含有する溶剤抽出分を得、
これを加水分解した後、この加水分解物を一次展開溶媒
と共に平均粒子径10〜80μmのシリカ粉末が充填さ
れた第1カラムに線速度2cm/分以上の流速で導入して
β-クリプトキサンチンを含むフラクションを分離し、
脱溶媒した後に、この分離物を二次展開溶媒と共に平均
粒子径10〜80μmのオクタデシルシランシリカが充
填された第二カラムに線速度2cm/分以上の流速で導入
して、β-クリプトキサンチンを95重量%以上の量で
含有するフラクションを分離することを特徴とする。 【効果】 本発明によれば、ミカン果汁圧搾後の原料沈
澱物等から工業的な規模でβ-クリプトキサンチンを製
造することができる。
Description
び/または該沈殿物を脱水または乾燥した粉末からビタ
ミンA効果を有するカロチノイドの一種であるβ-クリ
プトキサンチンを工業的に高純度で抽出製造する方法に
関する。
成分としてプロビタミンAの特性を備えているだけでな
く、最近の抗癌性物質の研究においては、人参等の緑黄
色野菜に含有されているカロチノイドであるβ-カロチ
ンよりも高い抗癌作用を有することが明らかになり関心
を集めている(Biol. Pharm. Bull. 18,2,227,1995)。
このβ-クリプトキサンチンは、柑橘類に広く含有され
ており、温州ミカンなどのマンダリン系の果実は、他の
柑橘類に比べてカロチノイドを多量に含有しているだけ
でなく、特にβ-クリプトキサンチンを多量に含有して
いる。このβ-クリプトキサンチンは、たとえば岡山大
農学報(69),17-25(1987)に記載されているように、カラ
ムクロマトグラフィ(CC)と薄層クロマトグラフィ
(TLC)を用いて柑橘類からβ-クリプトキサンチン
を分離することができる。
-7等に記載されているように、柑橘類から高速液体クロ
マトグラフィ(HPLC)を用いてβ-クリプトキサン
チンを分離することもできる。
987)には、オープンカラムのクロマトグラフィ等を用い
てβ-クリプトキサンチンを分離しているのであり、そ
のカラム中における展開溶媒の線速度は極めて低く2cm
/分に至ることはない。このため、その処理能力は著し
く低く、大量の原料を用いる工業的β-クリプトキサン
チンの製造方法として利用することはできない。
-7に記載されている方法によれば、いわゆる実験室レベ
ルの量でβ-クリプトキサンチンを分離することができ
るのであり、この文献に記載の方法によって得られるβ
-クリプトキサンチンの量は数十mgオーダーである。し
かも、分析装置で用いられる充填剤は5μm程度であ
り、さらに分析装置のカラムの直径は5mm程度であるの
で、相当高圧で展開溶媒を圧入しなければならず、また
その処理能力も著しく小さく、大量の原料を用いる工業
的β-クリプトキサンチンの製造方法として利用するこ
とはできない。
定性を目的とした記載は、Journal of Food Biochemist
ry., 18, 273-283(1995), Major Carotenoids in Juice
of Ponkan Mandarin and Liucheng Orange, S. D. Li
n, A. O. Chen および Lebensm.-Wiss. u.-Technol.,
HPLC Quantitation of Major Carotenoids of Fresh an
d Processed Guava, Mango, and Papaya. Viktor C. Wi
lberg, Delia B. Rodriguez-Amaya. 等にある。
-カロチン、リコピンなどが含有されており、少量のβ-
クリプトキサンチンを長時間かけて分離することは可能
であるが、単にこうした実験室レベルの分離方法をスケ
ールアップしただけでは工業的な規模で高純度のβ-ク
リプトキサンチンを単離することはできない。
したものであり、工業的規模で複数のカロチノイドの中
からβ-クリプトキサンチンを効率よく分離することは
できない。また、β-クリプトキサンチンは210nm付
近にUV吸収帯を有しており、ステロール類も同様に2
10nm付近にUV吸収帯を有している。このように同様
のUV吸収帯を有するβ-クリプトキサンチンとステロ
ール類とも従来のカラムあるいは溶媒を用いたのでは分
離することが極めて困難であった。
体クロマトグラフィを用いて工業的に高純度のβ-クリ
プトキサンチンを製造する方法を提供することを目的と
している。
物および/または該沈殿物を脱水または乾燥した粉末か
らのβ-クリプトキサンチンを含有する溶剤抽出分を加
水分解した後、該加水分解物を一次展開溶媒と共に平均
粒子径10〜80μmのシリカ粉末が充填された第1カ
ラムに線速度2cm/分以上の流速で導入してβ-クリプ
トキサンチンを含むフラクションを分離し、脱溶媒した
後に、該分離物を二次展開溶媒と共に平均粒子径10〜
80μmのオクタデシルシランシリカが充填された第二
カラムに線速度2cm/分以上の流速で導入して、β-ク
リプトキサンチンを95重量%以上の量で含有するフラ
クションを分離することを特徴とする高純度β-クリプ
トキサンチンの製造方法である。
オクタデシルシランシリカとは、オクタデシルシラン基
を共有結合させたシリカ粉末である。本発明において、
第1カラムに導入する一次展開溶媒を石油エーテルを含
有する溶媒とし、第2カラムに導入する二次展開溶媒を
アセトニトリルを含有する溶媒とすることにより、より
高純度のβ-クリプトキサンチンを得ることができる。
のパルプから工業的規模でβ-クリプトキサンチンを分
離精製することができる。
に説明する。図1に本発明の好ましい工程図を示す。以
下、この工程図に基づいて説明する。
を得るための原料としては、ミカン果汁の沈殿物および
/または該沈殿物を脱水または乾燥した粉末を用いる。
一般に柑橘類の果皮、果肉には、約30種類以上のカロ
チノイドが含まれている(日食工誌18,468,1971)。この
ような柑橘類のなかでも温州ミカンを使用することが好
ましい。温州ミカンの果皮のカロチノイド構成比は、そ
の成育過程で大きく変化するものの、果肉のカロチノイ
ドの構成比はほとんど変化しない(日食工誌18,359,197
1)。このため、カロチノイドを色素としてのみ利用する
のではなく、その整理活性に注目するのであれば、果皮
や全果(果皮+果肉)よりも果肉を用いたほうが品質面
で安定した原料の製造が可能となる。
を得るための原料となる、ミカン果汁の沈殿物およびこ
の沈殿物を脱水または乾燥した粉末は、温州ミカンを例
にして説明すれば、次のようにして製造される。
汁される。搾汁機にはインライン搾汁機、チョッパーパ
ルパー搾汁機、ブラウン搾汁機などが一般に用いられ
る。搾汁された果汁は、じょうのう皮の小片や粗大なパ
ルプを含んでおり、これらの夾雑物を除去するために、
フィニッシャーなどで濾過処理して使用することが好ま
しい。濾過処理されたジュースは、そのままストレート
果汁として保管されるか、または濃縮操作を行う場合も
あるが、果汁のパルプ量調整のために遠心分離操作を行
う場合もある。本発明においては、この遠心分離操作で
得られた沈殿物(以下「沈殿物」と記載する)を原材料
とする。なお、本発明者は、果汁中でのパルプとカロチ
ノイド含量は比例して存在しているのではなく、パルプ
の大きな粒子よりもむしろ小さい粒子と共に存在してお
り、軽遠心分離と重遠心分離とを組み合わせることによ
り高レベルで含有する沈殿物を製造できることを見いだ
して既に出願している(特願平9-238853号明細書参
照)。本発明では、この明細書記載の方法により得られ
た沈殿物を用いることが好ましい。
られる小粒子の沈殿物、すなわち軽遠心分離して得られ
る上清部をさらに重遠心分離して得られる沈殿部を用い
ることにより、より高レベルでカロチノイドを含有する
原料を得ることができる。
常は、β-クリプトキサンチンが100〜250ppm程度
の濃度で含有されており、たとえば通常の遠心分離操作
で得られる沈殿物中におけるβ-クリプトキサンチン含
量が30〜70ppm程度であることからして、本発明に
おいて原料として上記沈殿物を用いることが好ましい。
殿物を脱水または乾燥した粉末を用いることもできる。
この粉末は、沈殿物から水分を除去したものであるが、
たとえば、次のようにして製造した粉末であってもよ
い。
物を水中で生体高分子分解酵素と反応させて得られた酵
素反応を終えた時点で、生成物を遠心分離して固液分離
して水溶性成分と固形分を分離して固形分を得る。次い
でこの固形分を乾燥、粉砕してカロチノイドを高含有率
で含有する粉末を製造し、この粉末を使用することがで
きる。この方法に関しての詳細は特開昭62-190090号公
報に記載されている。また、柑橘類の果実を搾汁・濾過
後、遠心分離して得られる沈殿物に酵素剤を添加して凍
結し、緩慢に解凍した後、脱水することにより得られる
粉末を使用することもできる(特願平10-123046号明細
書参照)。さらに、上述のカロチノイドを高含有率で含
有する粉末に水を加え、脱水する操作を繰り返した後、
乾燥して水分を除去する方法により製造された粉末を使
用することもできる。
いは組み合わせて使用することもできる。以下、本発明
において、これらの原料を総称して「原料沈澱物等」と
記載することもある。
原料沈澱物等に含有されるカロチノイド類を抽出する。
ここで使用することができる溶媒としては、ケトン類
(例:アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケト
ン)、アルコール類(例:メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール)、飽和炭化水素類(例:n-ヘキサン、
n-ヘプタン)を挙げることができる。このような溶媒の
中でもケトン類、特にアセトンが好ましい。このような
溶媒は、原料沈澱物等重量に対して、通常は5〜10倍
量、好ましくは6〜10倍量使用する。
を除去する。溶媒の除去は減圧下に加熱することによっ
て行われる。たとえば、アセトンを用いた場合、40〜
70mmHgの減圧下に40℃程度に加熱することにより、
アセトンを留去することができる。
エーテル類(例;ジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、メチルエチルエーテル)またはアルコール類(例:
メタノール、エタノール)のような有機溶媒を加えて抽
出物をこの有機溶媒に溶解させる。加える有機溶媒の量
は、抽出物であるカロテノイド類の重量に対して通常は
2〜4倍である。
液に含まれるカロテノイド類を加水分解(鹸化)する。
たとえば上記のようにして得られたカロテノイド類のエ
ーテル溶液に、アルカリ金属の水酸化物水溶液とアルコ
ールとを添加してカロテノイド類を加水分解する。すな
わち、この加水分解工程は、このエーテル溶媒中のカロ
テノイド類は、組織内ではエステルとなって存在してい
るものが多いので、これらのエステルをアルカリ金属の
水酸化物を用いて鹸化する工程である。
としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化
リチウム等を挙げることができる。このような水酸化物
を水に溶解して、5〜35%程度の濃度の水溶液を調製
する。また、ここで使用されるアルコールとしては、メ
タノール、エタノールを挙げることができる。このアル
コールと、アルカリ金属の水酸化物の水溶液とは、通常
9:1〜4:1の容量比で混合される。または、5〜2
0%程度のアルカリ金属の水酸化物のアルコール溶液
を、カルテノイド類のエーテルに混合して鹸化してもよ
い。
ウムを用い、アルコールとしてメタノールを用いた場合
を例にして説明すると、水酸化カリウムの20%メタノ
ール溶液を調製し、この溶液を上記カロテノイド類のエ
ーテル溶液に加える。上記混合液は、カロテノイド類1
00重量部に対して通常は80〜120重量部の範囲内
の量で用いられる。
ましく、さらに、混合後、容器内の空気を窒素ガス等の
不活性ガスで置換することが好ましい。この加水分解の
条件は適宜設定することができるが、通常は、カロテノ
イド類に上記水酸化アルカリ金属水溶液/アルコールを
加えて、0〜5℃の温度で、12〜24時間の条件で行
われる。また、加温鹸化の場合は、60〜70℃に加熱
し、30分以内の条件で行われる。加水分解処理は、薄
層クロマトグラフィによりその進行度を容易に確認する
ことができる。このときの展開溶媒としては、ベンゼン
/ジエチルエーテル/メタノール=50/45/5(V/
V/V)等を用いることができる。
を分液ロート等に移して、有機溶媒と水とを加えて、水
層中のカロテノイド類を有機溶媒層に移行させる。ここ
で使用することができる有機溶媒としては、水に対する
溶解度の低いものを使用することができ、このような有
機溶媒の例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエー
テル、メチルエチルエーテル等のエーテル類;n-ヘキサ
ン、n-ヘプタン、n-オクタン等の飽和炭化水素類を挙げ
ることができる。特に本発明ではジエチルエーテルを用
いることが好ましい。反応液を有機溶媒に溶解後、水を
加え、たとえば、ジエチルエーテルを用いて抽出する場
合、一回の抽出に使用するジエチルエーテルの量は、反
応溶媒100重量部に対して、通常は1〜4重量部の範
囲内にある。水層のカロテノイド類が有機溶媒層に移行
すると、水層(下層)の色が赤色から黄色に退色すると
共に、有機溶媒層(上層)が赤乃至オレンジ色に変わ
る。
後、水層と有機溶媒層とを分離する。このような操作を
通常は1〜5回、好ましくは1〜3回行って、水層のカ
ロテノイド類を有機溶媒層に移行させる。カロテノイド
類が全て有機溶媒層に移行すると、下層がほとんど退色
しなくなると共に、上層の着色もなくなる。
場合、たとえば両者のエマルジョン(乳濁)物が生成し
て両者の界面が明確でなくなることがあるが、このよう
な場合には、少量のアルコール類(例;メタノール、エ
タノール)、または、エーテル類(例;ジエチルエーテ
ル)を加えるか、塩化カリウムあるいは塩化ナトリウム
等を加えることにより、水層と有機溶媒層との分離が容
易になる。塩化カリウムあるいは塩化ナトリウム等を加
える場合、これらは粉末で加えることもできるし、飽和
水溶液で加えることもできる。
カリ成分が含有されているので、このカロテノイド類の
有機溶媒溶液を水洗して、アルカリ成分を除去する。こ
の水洗には、有機溶媒とほぼ同量程度の水を加えてアル
カリ成分を水層に移行させた後、水層を有機溶媒層とを
分離することにより行われる。通常この水洗は、洗浄液
のpH値が通常は7.0〜8.5程度になるまで行われ
る。通常は、1〜8回、好ましくは3〜6回の水洗で、
洗浄液のpH値が上記範囲内になる。
溶媒溶液中には水分が含有されているので、本発明で
は、次いで、有機溶媒中に含有される水分を除去する。
この水分の除去には、通常は無水硫酸ナトリウム(芒
硝)、塩化カルシウム等が使用される。これらの脱水剤
を有機溶媒に加えて水分を脱水剤に吸収させた後、脱水
剤を濾過等により除去する。この脱水処理は、通常は、
1回〜3回行われる。
類の有機溶媒溶液から、有機溶媒を除去する。有機溶媒
は、通常は、エバポレーター等を用いて減圧下に除去さ
れる。
残査を一次展開溶媒に溶解させる。ここで用いられる一
次展開溶媒としては、石油エーテルを主成分とする有機
溶媒が好ましい。ここで使用される石油エーテルは、沸
点範囲が35〜80℃の軽質精製石油留分であり、n-へ
キサンを40〜80重量%含有している。本発明ではこ
のような石油エーテルを単独で使用することもできる
が、通常は他の有機溶媒と共に使用される。この石油エ
ーテルと共に使用される有機溶媒としては、沸点から計
算される溶解度パラメータが通常は6〜14、好ましく
は7〜12の範囲内にある有機溶媒であり、このような
有機溶媒の例としては、n-へキサン(溶解度パラメー
タ;7.3)、アセトン(溶解度パラメータ;9.4)、
メタノール(溶解度パラメータ;12.9)、酢酸エチ
ル(溶解度パラメータ;8.6)を挙げることができ
る。
一次展開溶媒の好適な例を以下に示す。なお、以下に示
す有機溶媒の混合比は容量比である。石油エーテル/ア
セトン/メタノール(混合比の例;97.5/7/0.
5)。
メタノールからなる混合溶媒が好ましい。本発明におい
て、カロテノイド類は上記のような一次展開溶媒と共に
第1カラムに導入される。
通常は直径10mm以上、長さが100mm以上、好ましく
は直径が15〜300mmの範囲内にあり、長さが150
〜1000mmの範囲内にある。分析用に使用される高速
液体クロマトグラフィのカラム直径は、通常は2〜5mm
程度であり、長さが150〜250mm程度であり、本発
明で使用されるような直径が10mmを超えるカラムは分
析用の高速液体クロマトグラフィのカラムとしては使用
されない。
は、平均粒子径10〜80μm、好ましくは15〜60
μmのシリカ粉末が充填されている。このような平均粒
子径を有するシリカ粉末を用いることにより、圧力をそ
れほど高くしなくとも、分離能力を低下させることな
く、高速でβ-クリプトキサンチンを分離することがで
き、しかも圧力損失も少なく抑えることができる。従っ
て、大量の原料を使用することが可能となる。また、上
記のような平均粒子径を有するシリカ粒子は、オープン
カラムのクロマトグラフィ(CC)用のシリカ粒子とし
ては粒子径が小さ過ぎる。
開溶媒と共に上記第1カラムに導入する。そして、本発
明では第1カラムにおける一次展開溶媒の線速度(流量
をカラム断面積で除した値)を2cm/分以上、好ましく
は3〜5cm/分の範囲内に設定する。そして、本発明の
方法で使用される第1カラムの直径は、上述の通り、1
0mm以上、好適には15〜300mmであるから、第1カ
ラムにおける一次展開溶媒の流量は6〜3500ml/
分、好適には9〜3000ml/分になり、非常に効率よ
くβ-クリプトキサンチンを分離することができる。し
かも、このような流速を達成するための圧力は、カラム
の直径が大きいこと、および第1カラムに充填されるシ
リカ粒子の平均粒子径がそれほど小さくはないことか
ら、通常は3〜30kg/cm2、好ましくは、5〜15kg
/cm2程度であり、それほど高い液送圧力を必要としな
い。
プトキサンチンを含むフラクションを分離する。カロテ
ノイドは、VIS 450nmの紫外光線を用いることに
より検出することができ、また、有機化合物全体の検出
には210nmの紫外光が使用される。
されるカロテノイドは、ほぼ一種類であり、第1カラム
により分離されたカロテノイド中におけるβ-クリプト
キサンチンの含有率は、通常は90重量%以上になる。
展開溶媒を減圧下に除去してβ-クリプトキサンチンを
高濃度で含有するカロテノイド類を得、次いで、このカ
ロテノイド類を二次展開溶媒と共に第2カラムに導入し
て高純度のβ-クリプトキサンチンを分離する。
アセトニトリル(溶解度パラメータ11.8)を主成分
とする有機溶媒であることが好ましい。殊に本発明にお
いては、この二次展開溶媒としてこのアセトニトリルと
溶解度パラメータが8.0〜9.5の範囲内にある塩素系
溶剤とを組み合わせて使用することが好ましい。このよ
うな塩素系溶媒としては、四塩化炭素(溶解度パラメー
タ;8.6)、クロロホルム(溶解度パラメータ;9.
1)、ジクロロメタン(溶解度パラメータ;9.6)、
ジクロロエタン(溶解度パラメータ;9.7)、トリク
ロロエタン(溶解度パラメータ;8.4)を挙げること
ができる。また、塩素系溶剤の代わりにアセトン(溶解
度パラメータ;9.4)、エタノール(溶解度パラメー
タ;11.2)を組み合わせた混合溶媒、さらに、ヘキ
サン(溶解度パラメータ;7.3)を組み合わせた混合
溶媒を使用することができる。
例を以下に示す。 アセトニトリル/ジクロロメタン(混合比例;95/
5)。 特に本発明では、溶解度パラメータが11.8であるア
セトニトリルと溶解度パラメータが9.6であるジクロ
ロメタンとを組み合わせて使用することが好ましい。す
なわち、アセトニトリルよりも溶解度パラメータが低い
溶媒を組み合わせて使用することが好ましい。
2カラムは、通常は直径10mm以上、長さが100mm以
上、好ましくは直径が15〜300mmの範囲内にあり、
長さが150〜1000mmの範囲内にある。分析用に使
用される高速液体クロマトグラフィのカラム直径は、通
常は2〜5mm程度であり、長さが150〜250mm程度
であり、本発明で使用されるような直径が10mmを超え
るカラムは分析用の高速液体クロマトグラフィのカラム
としては使用されない。
は、平均粒子径10〜80μm、好ましくは15〜60
μmのオクタデシルシランシリカ粉末が充填されてい
る。このような平均粒子径を有するオクタデシルシラン
シリカ粉末を用いることにより、圧力をそれほど高くし
なくとも、分離能力を低下させることなく、高速でβ-
クリプトキサンチンを分離することができ、しかも圧力
損失も少なく抑えることができる。従って、大量の原料
を使用することが可能となる。
開溶媒と共に上記第2カラムに導入する。そして、本発
明では第2カラムにおける一次展開溶媒の線速度(流量
をカラム断面積で除した値)を2cm/分以上、好ましく
は3〜5cm/分の範囲内に設定する。そして、本発明の
方法で使用される第2カラムの直径は、上述の通り、1
0mm以上、好適には15〜300mmであるから、第2カ
ラムにおける二次展開溶媒の流量は6〜3500ml/
分、好適には9〜3000ml/分になり、非常に効率よ
くβ-クリプトキサンチンを分離することができる。し
かも、このような流速を達成するための圧力は、カラム
の直径が大きいこと、および第2カラムに充填されるオ
クタデシルシランシリカ粒子の平均粒子径がそれほど小
さくはないことから、通常は5〜60kg/cm2、好まし
くは、5〜30kg/cm2程度であり、それほど高い液送
圧力を必要としない。
プトキサンチンを含むフラクションを分離する。カロテ
ノイドは、VIS 450nmの紫外光線を用いることに
より検出することができ、また、有機化合物全体の検出
には210nmの紫外光が使用される。
クリプトキサンチンを含むフラクションから二次展開溶
媒を除去することにより、β-クリプトキサンチンを高
純度で製造することができる。このように異なるカラム
を使用し、上記のようにして展開溶媒を変えて高速液体
クロマトグラフィによりβ-クリプトキサンチンを分離
することにより、β-クリプトキサンチンと他のカロテ
ノイド類とをほぼ完全に分離することができ、最終フラ
クション中にはβ-クリプトキサンチン以外のカロテノ
イド類はほとんど含有されていない。
本発明の方法では、β-クリプトキサンチンを95%以
上、好ましくは97%の高純度で得ることができる。な
お、二次展開溶媒は、通常は減圧下に除去される。
果汁を圧搾した後の原料沈澱物等から高純度のβ-クリ
プトキサンチンを工業的な規模で単離することができ
る。
後の原料沈澱物等から、上記異なる充填剤が充填された
2種類のカラムを用いることにより、工業的な規模でβ
-クリプトキサンチンを高純度で得ることができる。殊
に、第1カラムにおける一次展開溶媒と第2カラムにお
ける二次展開溶媒とをカラム充填物に適応するように変
えることにより、β-クリプトキサンチンをより高い純
度で得ることが可能になる。
粒子径が10〜80μmの範囲内にあり、しかもカラム
直径が従来分析装置に用いられている高速液体クロマト
グラフィ用のカラムよりも大きいので、大量の原料を用
いても圧力損失が少なく、大量の原料を用いて短時間で
多量のβ-クリプトキサンチンを単離することができ
る。すなわち、具体的には、本発明の方法によれば、分
析装置のカラムよりもカラム断面積が数倍大きいカラム
を用いて、20倍〜5600倍の量のβ-クリプトキサ
ンチンを製造することができる。
詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
4kgに、この原料の約10倍の量のアセトン400リ
ットルを用いてカロテノイド類を抽出した。
約40℃の温度で減圧(40mmHg)下にアセトンを除去
した。こうして得られたカロテノイド類800gに、
3.2リットルのジエチルエーテルを加えてカロテノイ
ド類のジエチルエーテル溶液を調製した。
液のメタノール溶液4リットルを上記カロテノイド類の
ジエチルエーテル溶液に撹拌しながら加えた。この容器
に窒素ガスを導入して容器内の空気を窒素ガスで置換し
た後、冷蔵庫内(約5℃)で1晩放置した。
ロマトグラフィ(TLC板;商品名;Kieselgel 60, Mer
ck社製、展開溶媒;ベンゼン/ジエチルエーテル/メタ
ノール=50/45/5(v/v/v))を用いて展開させたとこ
ろ、加水分解物に起因するRfの小さなスポットが生
じ、加水分解反応が充分に進行していることが確認され
た。
同量のジエチルエーテル7.2mlを加えて水層のカロテ
ノイド類を上層のエーテル層に移行させた。カロテノイ
ド類の移行に伴い、下層の水層の色が赤から黄色に変化
すると共に上層のエーテル層の色が赤乃至オレンジ色に
変化した。
との境界が明確でないので、2リットルのメタノールを
加えた。これにより上層と下層との境界が明確になった
ので上層と下層とを分離した。
テル3.6リットルを加えてさらに水層に含有されるカ
ロテノイド類を回収した。このようにしてジエチルエー
テルを用いた抽出を合計3回行った。最後の回の抽出の
際には、水層の退色およびエーテル層に変色はほとんど
認められなかった。
分液ロートに移し、この分液ロートに等量の水を添加し
てエーテル溶液を洗浄した。この水洗を水層のpH値が
8になるまで5回行った。
20リットルに無水硫酸ナトリウム400gを添加して
このエーテル溶液を脱水した。次いで、このエーテル溶
液をエバポレーターに移して40℃、40mmHgの減圧下
にジエチルエーテルを留去した。ジエチルエーテル留去
後、エバポレーターを減圧に戻す際に窒素ガスを導入し
て、エバポレーター内を窒素雰囲気にした。
トン/メタノール=96.5/3/0.5(v/v/v)を調
製した。二次展開溶媒として、アセトニトリル/ジクロ
ロメタン=95/5(v/v)を調製した。
500mmのカラムに、粒子径15〜30μm(平均粒子
径;20μm)のシリカ粒子(綜研化学(株)製)を充
填して調製した。
さ500mmのカラムに、粒子径15〜30μm(平均粒
子径;20μm)のオクタデシルシランシリカ粒子(綜
研化学(株)製)を充填して調製した。
た残査を上記一次展開溶媒と共に、第1カラムに導入し
た。このときの流速は320ml/分であり、一次展開溶
媒の液送圧力は20kg/cm2であり、第1カラムの直径
は100mmであるから、一次展開溶媒の線速度は4.1
cm/分である。
用いて流出分からカロテノイドを検出し、カロテノイド
を含有するフラクションを分液した。この分液したフラ
クションから、一次展開溶媒を減圧下に除去した。
ラムに導入した。このときの流速は320ml/分であ
り、二次展開溶媒の液送圧力は30kg/cm2であり、第
1カラムの直径は100mmであるから、二次展開溶媒の
線速度は4.1cm/分である。
と同様のUVおよびVISを用いて検知し、このフラク
ションを分液した。二次展開溶媒を減圧下に留去するこ
とにより、9g(1バッチ0.6g、15バッチ)のβ-
クリプトキサンチンを得た。得られたβ-クリプトキサ
ンチンの純度は、100%であった。
方法における好適な工程の例を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 ミカン果汁の沈殿物および/または該沈
殿物を脱水または乾燥した粉末からのβ-クリプトキサ
ンチンを含有する溶剤抽出分を加水分解した後、該加水
分解物を一次展開溶媒と共に平均粒子径10〜80μm
のシリカ粉末が充填された第1カラムに線速度2cm/分
以上の流速で導入してβ-クリプトキサンチンを含むフ
ラクションを分離し、脱溶媒した後に、該分離物を二次
展開溶媒と共に平均粒子径10〜80μmのオクタデシ
ルシランシリカが充填された第二カラムに線速度2cm/
分以上の流速で導入して、β-クリプトキサンチンを9
5重量%以上の量で含有するフラクションを分離するこ
とを特徴とする高純度β-クリプトキサンチンの製造方
法。 - 【請求項2】 第1および第2カラムが、それぞれ独立
に、直径10mm以上、長さが100mm以上であることを
特徴とする請求項第1項記載の製造方法。 - 【請求項3】 一次展開溶媒が、石油エーテルを主成分
とする有機溶媒であることを特徴とする請求項第1項記
載の製造方法。 - 【請求項4】 二次展開溶媒が、アセトニトリルを主成
分とする有機溶媒であることを特徴とする請求項第1項
記載の製造方法。
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- 1998-10-30 JP JP31092798A patent/JP3944532B2/ja not_active Expired - Fee Related
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