JP2002223787A - ルテインおよび高純度ルテインの取得方法 - Google Patents

ルテインおよび高純度ルテインの取得方法

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JP2002223787A
JP2002223787A JP2001025182A JP2001025182A JP2002223787A JP 2002223787 A JP2002223787 A JP 2002223787A JP 2001025182 A JP2001025182 A JP 2001025182A JP 2001025182 A JP2001025182 A JP 2001025182A JP 2002223787 A JP2002223787 A JP 2002223787A
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carotenoid
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Shinya Shibata
慎也 柴田
Chiyoko Ishihara
知代子 石原
Keisuke Matsumoto
圭介 松本
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Yakult Honsha Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カロテノイド含有原料、特にクロレラ属藻類
を用い、これからルテインを高純度、高収率で抽出、取
得するための方法を提供すること。 【解決手段】 カロテノイド含有原料を微粉化し、次い
でこれを鹸化抽出するルテインの取得方法およびルテイ
ンを含む混合物を、溶出溶媒として疎水性溶媒と極性度
の高い有機溶媒の混合溶媒を用いる順相カラムクロマト
グラフィーに付す高純度ルテインの取得方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ルテインの取得方
法に関し、更に詳細には、カロテノイドの1種類である
ルテインを食品、医薬品あるいは試薬等として使用する
際に十分な程度高純度で、しかも効率よく取得する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ルテインは、ほうれん草等の緑黄色野菜
に含まれるカロテノイド(カロチノイドともいう)であ
り、1重項酸素の消去活性をはじめとする抗酸化活性、
あるいはガン予防効果なども確認されている。また、ル
テインは網膜黄斑部に多く存在し、光からの防御作用と
して働いていると考えられており、加齢性網膜黄斑変性
症の予防に繋がるという報告がなされている。
【0003】さらに、近年疫学的に白内障の予防効果が
示唆されるとともに[Lyle BJ, Mares-Perlman JA, Klei
n BE, Klein R, Palta M, Bowen PE and Greger JL. 1
999.Serum carotenoids and tocopherols and incidenc
e of age-related nuclearcataract. Am J Clin Nutr
69:272-277 Lyle BJ, Mares-Perlman JA, Klein BE, Kl
ein R and Greger JL. 1999. Antioxidant intake and
risk of incidentage-related nuclear cataracts in
the Beaver Dam Eye Study. Am J Epidemiol 149:801-
809]、水晶体において検出されたカロテノイドがルテイ
ンのみであったことから、眼の健康を維持する物質とし
て注目を集めている。
【0004】一方、クロレラはクロロフィルやカロテノ
イドを多く含み、緑黄色野菜が不足しがちな人々にも幅
広く食用されている食品である。このクロレラ中に含ま
れるルテインは、粉末100g当たり250mg以上と
カロテノイドの中でもっとも多く、ほうれん草等の緑黄
色野菜よりも優れたルテイン給源である。
【0005】このクロレラからのカロテノイドの分離法
に関しては幾つかの報告があるが(例えば、特公昭44
−1207号、石坂他、食衛誌、Vol. 9、No.
6、(1968)等)、高純度ルテインの製法については確
立されていない。特に、クロレラについては、クロロフ
ィラーゼによるフェオフォルバイドの生成を抑制するた
め、培養収穫後、プレートヒーターによって酵素を失活
させ、スプレードライ等で乾燥させ、粉末として保存す
ることが多いが、従来の報告では、このような乾燥した
クロレラ粉末から高収率でルテインを抽出する技術につ
いては検討されていない。ましてや、同時に抽出される
カロテノイドやその他の不純物がその後のルテインの分
離精製過程を困難にすることを配慮した上で、抽出プロ
セスを最適化することについては、全く検討された例は
ない。
【0006】さらに、分離精製プロセスに関しても、酸
化マグネシウムを担体とするカラムクロマトグラフィー
や逆相クロマトグラフィーなどを使用する報告はあるも
のの、担体が安価であるシリカゲルを用いた順相クロマ
トグラフィーを用いて、ルテインと化学構造が似たカロ
テノイドを多く含むカロテノイド混液から、高純度でル
テインを分離する方法について検討された例はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、カロテノイ
ド含有原料、特にクロレラ属藻類を用い、これからルテ
インを高純度、高収率で抽出、取得するための方法の提
供をその課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カロテノイド含有
原料を特定の粒度に微細化することによって、他のカロ
テノイドや不純物に比べ、抽出物中のルテインの比率が
増大することを見出した。すなわち、クロレラからのル
テインの抽出効率の向上を期待してクロレラを微粉砕し
ていったところ、平均粒径が小さくなるにつれ、ルテイ
ンの抽出率はゆるやかに上昇するのに対し、化学的性質
がルテインと極めて類似したカロテノイドでは、特定の
粒径以下になるとこれらが急激に抽出されることを見出
した。
【0009】さらに、本発明者らは、このようにして得
られたルテインを含むカロテノイド混合物を非極性溶媒
と極性溶媒の混液を用いる順相カラムクロマトグラフィ
ーに付すことにより、ルテインのみを高純度で溶出させ
ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち本発明は、カロテノイド含有原料
を微粉化し、次いでこれを鹸化抽出することを特徴とす
るルテインの取得方法を提供するものである。
【0011】また本発明は、ルテインを含む混合物を、
溶出溶媒として疎水性溶媒と極性度の高い有機溶媒の混
合溶媒を用いる順相カラムクロマトグラフィーに付すこ
とを特徴とする高純度ルテインの取得方法を提供するも
のである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で用いるカロテノイド含有
原料としては、ほうれん草やにんじん等の緑黄色野菜も
使用できるが、本発明方法においては、クロレラ属藻類
を使用することが好ましい。このクロレラ藻類は、クロ
レラ属に属する緑藻類であれば、特定の種に限定される
ことなく使用できる。このうち、入手が容易で安全性の
点で優れており、本発明方法において特に好ましく使用
されるものとして、クロレラ・レギュラリス( Chlorel
la regularis )、クロレラ・ブルガリス( Chlorella
vulgaris )、クロレラ・ソロキニアナ( Chlorella
sorokiniana )、クロレラ・エリプソリディア( Chlor
ella ellipsoidea )、クロレラ・プロトセコイディス
( Chlorella protothecoides )、クロレラ・ピレノイ
ドサ( Chlorella pyrenoidosa )等が具体的にあげら
れる。
【0013】本発明において、カロテノイド含有原料と
して用いられるクロレラ属藻類は、上述したようなクロ
レラを、任意の培養法、例えば、炭酸ガスを供給しなが
ら光線下で光合成を行わせながら培養する独立的培養法
や、炭素源としてグルコースや酢酸を含む培地中で培養
する従属的培養法により培養することにより得られる。
このようにして得られたクロレラ属藻類は、特に限定さ
れるものではないが、培養した細胞を洗浄後、プレート
ヒーター等によって加熱し、細胞を不活性化するのが一
般的である。さらに、安定に保存するため、スプレード
ライヤーなどで粉末化を行うこともできる。
【0014】本発明のルテインの取得方法では、上記の
ようにして得られたカロテノイド原料を、乾式あるいは
湿式の粉砕機を用い、所定の粒径まで微紛化することに
よって抽出効率を増大させることができる。微粉化に用
いる粉砕機としては、カロテノイド原料を微紛化可能な
ものであれば特に制限はないが、一般的には、ジェット
ミル、高速回転ミル、ボールミルなどが挙げられる。
【0015】また、原料カロテノイドの微粉化は、平均
粒径として、20から40μm程度までとすることが好
ましい。それ以下の粒径とした場合は、ルテイン自体の
抽出効率は若干向上するが、それ以外のカロテノイドの
抽出効率はこれを大きく上回り、これらが不純物となる
結果、ルテインのみの分離精製が困難となる。また、こ
れ以上の粒径とした場合は、ルテインの抽出率が低下し
てしまう。
【0016】上記のようにして微粉化されたクロレラ粉
末等のカロテノイド原料は、次に鹸化抽出に付される。
この鹸化抽出は、アルカリ性の親水性溶媒、例えば、ア
ルカリ性エタノール溶液等に分散させることにより行な
われる。この鹸化抽出は、50℃、1時間程度でルテイ
ンの抽出が最大となる。また、アルカリ性にするために
は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤
が用いられ、これらは親水性溶媒に対し、1から10質
量%程度加えればよい。なお、この鹸化抽出に当たり、
抗酸化剤を用いたり、窒素等の不活性ガスで溶液と容器
のヘッドスペースを置換すれば、収量を改善させること
ができる。
【0017】このようにして得られたルテインの鹸化抽
出液は、適当量の水とエーテル系溶媒を加え、上層に転
溶して、他の抽出物質と分離することにより、ルテイン
を含むカロテノイド混合液として得ることができる。
【0018】かくして得られたルテインを含むカロテノ
イド混合液は、目的によってはそのままでも使用できる
が、さらに純度を90%以上とした高純度ルテインを得
るためには、別途精製手段が必要となる。このような高
純度ルテインを得るための手段としては、上記のルテイ
ンを含むカロテノイド混合液を、溶出溶媒としてヘキサ
ン等の疎水性溶媒と極性度の高い有機溶媒の混合溶媒を
用いる順相カラムクロマトグラフィーに付す方法が挙げ
られる。
【0019】この順相カラムクロマトグラフィーにおい
て用いられる担体としては、シリカゲルが好ましく、一
般に市販されているものを特に制約なく使用できる。ま
た、その粒径としては、5〜500μmのものが適当で
ある。
【0020】この順相カラムクロマトグラフィーにおい
て、ルテインが純度良く得られる機構は次の通りであ
る。すなわち、カロテノイド混合液を、ヘキサン等の疎
水性溶媒を加えたエーテル系溶媒に加え、これをカラム
に付すことにより、ルテイン等の比較的親水性の物質
は、シリカゲル等の吸着剤への吸着性が高まる。このよ
うにして、ルテイン等をシリカゲル等の吸着剤のカラム
に吸着させた後、移動相にヘキサン等の疎水度の高い溶
媒を用いると、まず、α及びβ-カロテン(カロチンと
もいう)が溶出される。
【0021】次に、ヘキサン等の疎水性溶媒に極性の高
い有機溶媒を加えた混合溶液を移動相に用いると、幾つ
かの物質が吸着度の違いによって経時的に溶出する。上
述したカロテノイド混液の場合、ルテインと非常に近い
溶出時間に、無色で紫外部に吸収を持つ物質の溶出がみ
られる。また、ルテインと化学的性質の似たカロテノイ
ドもルテインよりやや遅れて溶出する。
【0022】このように、ルテインとその他のカロテノ
イド物質との分離は、溶出させる移動相による、吸着剤
に対する僅かな吸着活性の違いに着目して行なわれるも
のである。従って、使用する疎水性溶媒や極性の高い溶
媒の種類およびそれらの混合割合は実験的に定めること
も必要であるが、本発明において好ましい疎水性有機溶
媒としては、ヘキサン、ベンゼン等が挙げられる。ま
た、極性の高い有機溶媒としては、エタノール、メタノ
ール、アセトン、クロロホルムなどを用いることができ
る。なお、環境への配慮等からは、疎水性溶媒として、
ベンゼンよりヘキサンが適している。
【0023】吸着したルテインの溶出に関し、ルテイン
のみを高純度で溶出する有機溶媒の組み合わせは、固相
に用いるシリカゲルによって変化するが、再現性良く行
う条件の一つとしては、ヘキサン50〜95%にクロロ
ホルム、アセトン、あるいはその混液を5〜50%混合
させたものが挙げられる。この組み合せが好ましい理由
は、この範囲外では、ルテインに化学的性質の類似した
カロテノイド(未同定物質1、未同定物質2(図1))
及び紫外領域に吸収を持つ未同定物質3(図2)が混入
することがあるためである。
【0024】また、ヘキサン量が多いと溶出に時間がか
かるが、上記組成の移動相で未同定物質3(ルテインの
前に溶出する無色の物質)を溶出させた後、より疎水性
有機溶媒の混合比の低い混合溶媒で二次的な溶出を行え
ば、作業性等よく高純度のルテインを溶出させることも
可能である。また、ルテイン溶出後、さらに移動相の溶
媒組成を変化させることにより、その他のカロテノイド
を単離することもできる。
【0025】かくして得られる高純度ルテインは、溶出
によって回収されたルテインフラクション中の溶媒を、
真空蒸留等によって除去することにより得ることができ
る。また、このようにして得られたルテインは、極めて
純度の高いものであり、再結晶等の操作を行わずに、例
えば医薬品原料としても使用できる程度のものである。
【0026】
【作用】本発明方法のうち、ルテインの取得方法に関す
る発明は、クロレラ属藻類等のカロテノイド含有原料か
らのルテインの抽出量は、平均粒径が小さくなるに従い
増大するが、その増大の程度はその他のカロテノイド、
特にルテインと化学的性質の似たカロテノイド程は大き
くなく、平均粒径20μmまでの微粉化処理を行ったと
きに、相対的にルテインの抽出効率が高く、他のカロテ
ノイドが不純物として混入しにくいことを利用したもの
である。
【0027】また、本発明方法のうち、順相クロマトグ
ラフィーによる高純度ルテインの取得方法においては、
ルテインとその他のカロテノイド物質との分離が、溶出
させる移動相による、吸着剤に対する僅かな吸着活性の
違いにより、それらの溶出挙動が異なることを利用した
ものである。
【0028】本発明においては、前者のルテインの取得
方法によっても、ルテインを効率よく取得できるが、前
者で得たルテインを含むカロテノイドを原料として後者
の方法を実施することにより、極めて有利に高純度のル
テインを得ることができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらになんら制約されるものでは
ない。なお、以下の実施例における、カロテノイドの分
析は高速液体クロマトグラフィーによって行った。その
分析条件は次の通りである。
【0030】 検 出 器 : ウオータース 991J ポ ン プ : ウオータース 600E 分析カラム: YMC−Pack ODS−A(5μm,
120)150×4.6mmI.D. 流 速 : 1.0ml/min カラム温度: 30℃ 移 動 相 : メタノール:アセトニトリル:テトラヒ
ドロフラン=45:50:5 注入溶媒 : エタノール 注 入 量 : 10μl 測定波長 : 450nm
【0031】実 施 例 1 従属的培養法によって得られたクロレラ・レギュラリス
の乾燥藻体を、ジェットミルを用いて平均粒径5、1
0、20および40μmの4段階に微粉化した。この微
粉化粉末300mgに、アルカリ性エタノール(6%K
OHエタノール)3mlを加え、37℃で30分間加温
し、鹸化抽出を行なった。
【0032】得られた抽出物3mlに、エーテル3ml
および1%硫酸ナトリウム溶液6mlを加えて、エーテ
ル層にカロテノイドを転溶させ、減圧乾固によって溶媒
をエタノールに置換し、各種カロテノイドを得た。得ら
れたカロテノイドについて、試験例1に示す高速液体ク
ロマトグラフ法によって各成分量を分析した。粉砕化し
ない時を100として各カロテノイドの相対抽出量を求
めた。その結果を表1に示した。なお、図1には、各カ
ロテノイドの前記高速液体クロマトグラフィーによる溶
出パターンを示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示すように、平均粒径を小さくする
に従い、ルテインの抽出効率は増大することが示され
た。すなわち、平均粒径40μmでは、未処理の1.8
倍に、20μmでは、2.3倍に増大する。さらに、1
0μmおよび5μmでは、それぞれ2.8倍、3倍とな
った。しかし、表1で明らかなように、より粒径を小さ
くすると、ルテイン以外のカロテノイドの抽出が顕著に
増大し、抽出率の増大の面でのメリットの反面、ルテイ
ンの分離精製においては問題となる。
【0035】実 施 例 2 従属的培養法によって得られたクロレラ・レギュラリス
の乾燥藻体を、ジェットミルを用いて、平均粒径5、1
0、20および40μmの4段階に微粉化した。未処理
及び微粉化粉末40gにアルカリ性エタノール(6%K
OH)400mlを加え、50℃で30分間、鹸化抽出
を行った。
【0036】抽出物を濾過後、これを減圧下で150m
lまで濃縮し、これにエーテル200mlおよび1%硫
酸ナトリウム溶液を加えて、エーテル層にカロテノイド
を転溶させた。このエーテル層に精製水を加え、水層が
無色になるまで、洗浄を繰り返した。このエーテル層を
真空蒸留器で減圧濃縮し、乾固させた。
【0037】この固形物をエーテル100mlおよびヘ
キサン100mlに溶解し、不溶物を濾過によって取り
除き、カラムクロマトのチャージ溶液とした。カラムク
ロマトの担体はシリカゲル(FL−60D:富士シリシ
ア)100gを用い、中圧カラムに充填した。ヘキサン
で十分にシリカゲルを洗浄した後、上述のチャージ溶液
を流し、ルテインをシリカゲルに吸着させた。再び移動
相をヘキサンにして、α及びβ-カロテンを溶出させ
た。ヘキサン−クロロホルム−アセトン(7:2:1)
の混合溶液を300ml流し、紫外部に吸収のある不純
物(図2)を溶出させた。さらに、ヘキサン−クロロホ
ルム−アセトン(2:1:2)の混合溶液を流し、黄色
の最も強いバンドを溶出させ、当該溶出画分のルテイン
の純度を測定した。この結果を表2に示した。
【0038】
【表2】
【0039】カラムの前後のルテインの収率は、いずれ
の場合も95%以上であった。表2に示すように、20
μm以上の平均粒径を与えるような微紛化処理では、そ
の純度が90%以上であったのに対し、より微細な粒径
となるまで微粉化処理を行った場合の純度は、それ以下
であった。このことから、単純で迅速なカラムクロマト
において、純度90%以上のルテインを得る微紛化処理
は20μm程度までであることが明らかとなった。
【0040】実 施 例 3 従属的培養法によって得られたクロレラ・レギュラリス
の乾燥藻体を、ジェットミルを用いて平均粒径20μm
まで微粉化した。微粉化したクロレラ粉末5kgを50
lのアルカリ性エタノール(6%KOH)で抽出した
(50℃、60分)。
【0041】この抽出物から濾過で粉末残渣を除去し、
減圧下で15〜20lまで濃縮した。抽出液15lとエ
ーテル20lを静かに混合し、これに5%Na2SO4
25lを静かに加えた。この混合物を緩やかに撹拌し、
静置後、上層(エーテル層)を回収した。このエーテル
層に精製水を加え、水層が無色になるまで、洗浄を繰り
返した。このエーテル層を真空蒸留器で減圧濃縮し、乾
固させた。
【0042】この固形物をエーテル10lおよびヘキサ
ン10lに溶解し、不溶物を濾過によって取り除き、カ
ラムクロマトのチャージ溶液とした。カラムクロマトの
担体はシリカゲル(FL−60D:富士シリシア)10
kgを用い、パイロットプラントの中圧カラム(内径2
9cm、高さ100cm)に約30cmの高さまで充填
した。中圧カラムはヘキサンで十分にシリカゲルを洗浄
した後、上述のチャージ溶液を流し、ルテインをシリカ
ゲルに吸着させた。再び移動相をヘキサンにして、SV
=4〜5h−1で80l供給し、α及びβ−カロテンを
溶出させた。移動相を、ヘキサン‐クロロホルム−アセ
トン(7:2:1)の混合溶液に変え、SV=4〜5h
−1で50l供給し、紫外領域に吸収のある未同定物質
3(図2)を溶出させた。この物質の溶出後、同様の溶
媒を同じ流量で供給し、黄色のバンドのルテインを溶出
させ、後続の他のバンドと混じらないように注意しなが
ら、ルテインのフラクションを回収した。
【0043】このフラクションを真空蒸留器を用いて、
減圧下で溶媒を留去し、ルテイン粉末を回収した。この
ルテインの純度を測定したところ、図3にみられるよう
に99.1%であった。収量は約6gであり、全体を通
した工程収率は約50%であった。
【0044】
【発明の効果】本発明方法によれば、クロレラ藻類等の
カロテノイド含有原料から、ルテインを簡単な手段によ
り、高収率かつ高純度で得ることができる。
【0045】従って本発明は、医薬品等として利用しう
るルテインを経済的に得る方法として極めて有用なもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カロテノイド含有原料であるクロレラ藻類か
らのカロテノイド混液のHPLCによるクロマトグラム
を示す図面である。図中、1は未同定物質1、2はルテ
イン、3は未同定物質2、4はα−カロテン、5はβ−
カロテンのピークをそれぞれ示す。
【図2】 実施例1あるいは実施例3における、カロテ
ノイド含有原料であるクロレラ藻類からのカロテノイド
混液に含まれる、未同定物質3のHPlCによるクロマ
トグラムを示す。HPLCの装置、移動相は図1と同様
だが、測定波長は280nmである。
【図3】 実施例3において分離精製したルテインの純
度を示すHPlCのクロマトグラム。HPLCの条件は
図1と同一である。 以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 30/26 G01N 30/26 A 4H025 30/48 30/48 K 30/88 30/88 E // A61K 31/047 A61K 31/047 A61P 9/10 A61P 9/10 27/02 27/02 35/00 35/00 C09K 15/34 C09K 15/34 (C12P 7/02 (C12P 7/02 C12R 1:89) C12R 1:89) (72)発明者 松本 圭介 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 Fターム(参考) 4B064 AH01 CA08 CE08 CE10 CE20 DA01 DA10 4C206 AA04 CA05 MA01 MA04 NA14 ZA33 ZA36 ZB26 4D017 AA03 AA06 BA03 CA05 DA03 4D056 AB17 AC02 AC03 AC06 AC08 AC29 BA13 CA06 CA39 4H006 AA02 AD16 AD17 BB11 BB12 BB14 BB16 UC12 4H025 AA84 AC06 BA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カロテノイド含有原料を微粉化し、次い
    でこれを鹸化抽出することを特徴とするルテインの取得
    方法。
  2. 【請求項2】 カロテノイド含有原料がクロレラ属藻類
    である請求項第1項記載のルテインの取得方法。
  3. 【請求項3】 微粉化後のカロテノイド含有原料の平均
    粒径が20ないし40μmである請求項第1項または第
    2項記載のルテインの取得方法。
  4. 【請求項4】 ルテインを含む混合物を、溶出溶媒とし
    て疎水性溶媒と極性度の高い有機溶媒の混合溶媒を用い
    る順相カラムクロマトグラフィーに付すことを特徴とす
    る高純度ルテインの取得方法。
  5. 【請求項5】 疎水性溶媒がヘキサンまたはベンゼンで
    あり、極性度の高い有機溶媒がエタノール、メタノー
    ル、アセトンまたはクロロホルムである請求項第4項記
    載の高純度ルテインの取得方法。
  6. 【請求項6】 溶出溶媒として、ヘキサンにアセトンと
    クロロホルムの混合液を含有せしめた混合溶媒を用いる
    請求項第4項または第5項記載の高純度ルテインの取得
    方法。
  7. 【請求項7】 順相カラムクロマトグラフィーに用いる
    カラムがシリカゲルカラムである請求項第4項ないし第
    6項の何れかの項記載の高純度ルテインの取得方法。
  8. 【請求項8】 ルテインを含む混合物が、請求項第1項
    ないし第3項の何れかの項記載の方法により得られたも
    のであることを特徴とする請求項第4項ないし第7項の
    何れかの項記載の高純度ルテインの取得方法。
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