JP3178803B2 - カロチノイド高含有ジュースの製造方法 - Google Patents

カロチノイド高含有ジュースの製造方法

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JP3178803B2
JP3178803B2 JP23885397A JP23885397A JP3178803B2 JP 3178803 B2 JP3178803 B2 JP 3178803B2 JP 23885397 A JP23885397 A JP 23885397A JP 23885397 A JP23885397 A JP 23885397A JP 3178803 B2 JP3178803 B2 JP 3178803B2
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孝司 隅田
智 濱田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、かんきつ類の果実
を搾汁して得られるジュースであって、ジュースの品質
を低下させることなく、そのカロチノイドの含有量を簡
便かつ効率よく所定のレベルに調整して、任意のカロチ
ノイド含量を有するジュースを製造することを可能とす
るカロチノイド高含有ジュースの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、かんきつ類などの果実のカロチノ
イドは、例えば、食品用の天然色素として広く利用され
ており、かんきつ類などの果実を原料として、カロチノ
イド色素を製造する方法が種々開発されている。その代
表的なものとして、例えば、高カロチノイド含有かんき
つ類果実の果皮を原料として当該果皮を搾油し、得られ
る油を濃縮精製する方法や、カロチノイド含有油脂を溶
剤で抽出して得られるオレオジンを加水分解し、有機溶
剤で抽出する方法、などがあげられる。その他にも、カ
ロチノイド含有の油脂またはオレオジンをアルコーリシ
スし、超臨界二酸化炭素流体を用いて精製する方法(特
開平7−304977号公報)、また、かんきつ類など
の黄色色素を含む原料を、加熱油中に浸漬し、油温によ
り脱水して、カロチノイドを含んだ原料を残留物として
回収する方法(特公平4−38388号公報)、さら
に、果皮などのカロチノイド含有天然物の粉砕物を水中
で生体高分子分解酵素と反応せしめ、酵素反応を終えた
時点で遠心分離機により固液分離を行い、水溶性成分と
固形分を分離し、得られた固形物を乾燥、粉砕してカロ
チノイド系粉末色素を製造する方法(特開昭62−19
0090号公報)など、多数の例が報告されている。そ
して、上記のように、カロチノイド色素の製造工程にお
いて、例えば、カロチノイド系色素を含有する天然物の
粉砕物を水中で酵素反応させて得られる反応物を遠心分
離機により固液分離を行い、水溶性成分と固形物を分離
し、高カロチノイド含有固形物を得る方法が知られてい
る。しかし、上記の方法は、カロチノイド成分の抽出工
程における固液分離操作であり、カロチノイド含量を所
定のレベルに調整すること、そして、品質を低下させる
ことなくカロチノイド高含有ジュースを製造すること、
を課題とするものではない。また、上記のかんきつ類の
果皮または果実をそのまま原材料としてカロチノイドを
抽出する方法は、一般的にカロチノイドを高レベルで精
製すると非常に高いコストを要し、また、低レベルでの
精製ではこれをジュースに添加すると果皮中の苦味物質
などによりジュースの品質を低下させてしまうだけでな
く、果皮は通常は食に供されていないこともあり、当該
果皮抽出物のジュースへの添加は消費者にとってかなり
の抵抗となる。
【0003】一方、カロチノイド高含有食品の製造や、
かんきつ類の果実を原料としたジュース類についても、
カロチノイド含量を所定のレベルに調整した、いわゆる
カロチノイド高含有ジュースの製造が試みられている
が、従来のものは、上記方法で得られるカロチノイド系
色素や合成品をジュースに添加してカロチノイドを強化
したものがほとんどであり、例えば、ジュース類につい
ていえば、使用原料に由来するカロチノイド成分をその
まま高レベルに含有する製品はほとんど開発されていな
い状況にあった。
【0004】一般に、かんきつ類の果皮、果肉には30
以上のカロチノイドが含まれており(日食工誌,18,
468,1971)、温州みかんの果皮のカロチノイド
構成比は、その成熟過程で大きく変化するが、果肉のカ
ロチノイドの構成比はほとんど変化しない(日食工誌,
18,359,1971)。このため、カロチノイドを
利用するには果肉の方が果皮よりも品質管理上有利であ
る。また、果肉を商業規模で搾汁したジュースのカロチ
ノイド含量は、その製造工程中に減少するが、これは遠
心分離操作による減少が顕著であり、また、この遠心分
離の前に行われる「ろ過」工程でのパルプ粒度の調整に
よる影響も示唆されている(日食工誌,21,25,1
974)。つまり、ジュース中のカロチノイドは、パル
プに付着または吸着して存在していると考えられており
(日食工誌,21,25,1974)、パルプ量の多い
ものほどカロチノイド含量も多くなるため、パルプ量に
よってジュースのカロチノイド含量を調整することが可
能となる。しかし、パルプ量の多いジュースは食味が悪
くなり好まれないために、パルプ添加によるカロチノイ
ドの高量化にも自ずと限界が生じる。実際に、かんきつ
果実を搾汁し、ろ過(篩別)した後、遠心分離して得ら
れる通常のパルプを用いても、これを大量に添加しない
とカロチノイド含量が所定のレベルに達しないという問
題があり、そのために、ジュースの食味が悪くなるなど
の品質低下が著しく、この方法では、好適なジュース製
品を得ることは不可能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者は、かんきつ類の果肉に含有するカロチノ
イドに注目し、合成品や果皮抽出物の添加はまったく行
なわず、低コストでかつ食味の良いカロチノイド高含有
ジュースを製造すること、そして、また同時に製造され
る通常のジュースのカロチノイド含量を低減せず、その
品質を損なわないこと、を目標とし、とりわけ果汁中に
含有されるカロチノイドとパルプ分について徹底した研
究を行った結果、かんきつ果汁中のカロチノイドは、パ
ルプ分に均一に付着または吸着して存在しているのでは
なく、微細なパルプ分にカロチノイドの存在割合が高い
という知見を得た。そこで、先ず始めに、カロチノイド
の存在割合が低い不要なパルプ分を除去し、その後に微
細なパルプ分に付着または吸着しているカロチノイドを
果汁の色調を損なわない程度に分離すれば、本発明の目
標が達成されるとの観点から種々検討を続けた結果、上
記微細なパルプ分を適度に分離する方法として、遠心分
離を用いる方法が好適であるとの感触を得、さらに、鋭
意研究を積み重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、かんきつ果汁を軽遠心分離処理することによ
り不要なパルプ分を除去し、さらに重遠心分離処理する
ことによりカロチノイドを高レベルで含有する微細なパ
ルプ分を主体とした沈降部を得、この沈降部と通常のジ
ュースを適宜混合することにより、品質を低下させるこ
となくカロチノイド高含有ジュースの製造が低コストか
つ簡便に行うことが可能となる。本発明は、かんきつ類
の果実を搾汁して得られるジュースのカロチノイド含量
を所定のレベルに調整して、通常のジュースよりも高い
レベルのカロチノイドを含有するカロチノイド高含有ジ
ュースを製造する方法を提供することを目的とする。ま
た、本発明は、原料に由来するカロチノイド含量を調整
し、かつ品質を低下させることなく、通常のジュースよ
りも2倍以上の任意のカロチノイド含量を有するジュー
スを製造することが可能な新しいカロチノイド高含有ジ
ュースの製造方法およびその製品を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、以下の技術的手段よりなる。 (1)かんきつ類の果汁を軽遠心分離処理して粒度の大
きいパルプ分を除去し、次いで重遠心分離処理してカロ
チノイドを高レベルで含有する微細なパルプ分を沈降さ
せて得られる沈降部を使用して、カロチノイド高含有ジ
ュースを製造する方法であって、かんきつ類の果実を搾
汁してろ過(篩別)した後、遠心強度が3,000g・
分以下の軽遠心分離操作により粒度の大きいパルプ分を
主体とした沈降部(A)を除去して得られる上清部
(B)を、さらに遠心強度を上記軽遠心分離の遠心強度
よりも高く設定した重遠心分離操作により、カロチノイ
ド高含有の微細なパルプ分を主体とした沈降部(E)と
上清部(F)に分離した後、この沈降部(E)を通常の
ジュースと適宜混合することにより、カロチノイド含量
を所定のレベルに調整することを特徴とするカロチノイ
ド高含有ジュースの製造方法。 (2)軽遠心分離操作の遠心強度が3,000g・分以
下であり、重遠心分離操作の遠心強度が1,500g・
分以上であり、軽遠心分離操作の遠心強度を重遠心分離
操作の遠心強度よりも低く設定することを特徴とする前
記(1)記載のカロチノイド高含有ジュースの製造方
法。 (3)かんきつ類の果実は、温州みかんである、前記
(1)に記載のカロチノイド高含有ジュースの製造方
法。 (4)かんきつ類の果汁を軽遠心分離処理して粒度の大
きいパルプ分を除去し、次いで重遠心分離処理してカロ
チノイドを高レベルで含有する微細なパルプ分を沈降さ
せて得られる沈降部を使用して、カロチノイド高含有ジ
ュースを製造する方法であって、以下の工程; 1)かんきつ類の果実を搾汁してろ過(篩別)した後、
遠心強度が3,000g・分以下の軽遠心分離操作によ
りジュースを粒度の大きいパルプ分を主体とした沈降部
(A)と上清部(B)に分離する工程、 2)必要により、沈降部(A)を上記1)の軽遠心分離
操作よりも高い遠心強度で重遠心分離操作を行い沈降部
(C)と上清部(D)に分離する工程、 3)上清部(B)を上記1)の軽遠心分離操作よりも高
い遠心強度で重遠心分離操作を行いカロチノイド高含有
の微細なパルプ分を主体とした沈降部(E)と上清部
(F)に分離する工程、 4)必要により、上清部(D)と上清部(F)を混合す
る工程、 5)上記工程で得られた上清部(D)、上清部(F)ま
たは上清部(D+F)と沈降部(E)を適宜混合してカ
ロチノイド含量を所定のレベルに調整する工程、からな
るカロチノイド高含有ジュースの製造方法。 本発明は、かんきつ果実を搾汁、ろ過(篩別)した後、
2回の遠心分離操作を行うが、1回目の軽遠心分離操作
の遠心強度を2回目よりも低く設定し、2回目の重遠心
分離操作で得られるカロチノイド含量の高い沈降部を通
常のジュースに適宜混合することにより、カロチノイド
含量を所定のレベルに調整することを特徴とするカロチ
ノイド高含有ジュースの製造方法、を提供するものであ
る。すなわち、本発明は、かんきつ類の果実を搾汁し、
ろ過(篩別)した後、軽遠心分離操作によりパルプ分を
分離除去して得られるジュースを、さらに重遠心分離操
作により、カロチノイド含量および不溶性分含量の低い
上清部とカロチノイド含量および不溶性分含量の高い沈
降部に分離した後、この沈降部と通常のジュースを適宜
混合することにより、カロチノイド含量を所定のレベル
に調整することを特徴とするカロチノイド高含有ジュー
スの製造方法、を提供するものである。また、本発明
は、軽遠心分離操作の遠心強度を重遠心分離操作の遠心
強度よりも低く設定することを特徴とする前記のカロチ
ノイド高含有ジュースの製造方法、を望ましい実施の態
様とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明で使用されるかんきつ類の果実とし
ては、温州みかん、伊予柑、夏みかん、八朔、ポンカ
ン、ネーブルオレンジ、レモン、バレンシアオレンジ、
グレープフルーツ、その他の果実類があげられる。これ
らのかんきつ類果実の中で、温州みかん果実の果肉は、
カロチノイド含量が高いだけではなく特にβ−クリプト
キサンチンを多量に含有していることで知られている
が、このβ−クリプトキサンチンは、プロビタミンAと
しての栄養成分特性を備えているだけでなく、最近の抗
がん研究においては、にんじんなどの緑黄色野菜に含ま
れているカロチノイドであるβ−カロチンよりも強い発
がん抑制効果がある(Biol.Pharm.Bul
l.18,2,227,1995)ことが判明してい
る。これらのことより、温州みかん果実は特に好適なも
のとして例示される。かんきつ類の果実は選果、洗浄を
経て搾汁される。搾汁機にはインライン搾汁機、チョッ
パーパルパー搾汁機、ブラウン搾汁機などが一般に用い
られているが、本発明に使用される果実の搾汁は、どの
搾汁機を用いて行ってもよい。
【0008】搾汁された果汁は、じょうのう皮の小片や
粗大なパルプを含んでおり、これらの夾雑物を除去する
ためにフィニッシャーなどでろ過(篩別)処理される。
このろ過(篩別)処理に用いるフィニッシャーは、パド
ル型、スクリュー型があるが、スクリーンの目の大きさ
は0.3〜0.5mmのものが一般に使用されている。
このろ過(篩別)処理はその後の遠心分離操作に大きく
影響するので目的に応じた調整が必要であり、例えば、
スクリーンとパドルの間隙を短くしすぎると果汁中に水
溶性ペクチン量が多くなりパルプ分を分離しずらくす
る。また、0.5mm目のスクリーンを有するフィニッ
シャーで処理した後に、0.1mm目のスクリーンを有
するフィニッシャーで処理を行なうと、低い遠心強度の
遠心分離操作では完全に沈降しない粗大なパルプ粒子を
予め除去することが可能となる。
【0009】ろ過(篩別)処理されたジュースは、遠心
強度3,000g・分以下の遠心強度で軽遠心分離を行
い、パルプ分の多い沈降部(A)とパルプ分の低い上清
部(B)に分離される。この軽遠心分離操作は、遠心強
度が500g・分以下であってもパルプ分の沈降という
目的を達成することができる。しかし、遠心強度が低す
ぎると、粒度の大きいパルプが残存してしまい、得られ
るジュースの品質に影響を与えてしまう。また、遠心強
度と遠心力が低すぎると、(A)/(B)の容量比が高
くなるので、沈降部(A)を自動的にかつ大量に排出で
きる遠心分離装置が必要になるだけでなく、ジュースの
収率低減を防止するため、沈降部(A)について重遠心
分離操作を行い沈降部(C)と上清部(D)に分離する
工程が必要となる。
【0010】続いて、上清部(B)を遠心強度1,50
0g・分以上の遠心強度で重遠心分離を行い、カロチノ
イド含量の高い沈降部(E)と通常の飲用に適したジュ
ースとなる上清部(F)を得る。この場合、上記の重遠
心分離の遠心強度を軽遠心分離の遠心強度よりも高く設
定することが重要である。これにより、カロチノイド含
量の高い沈降部(E)を得ることができるが、この沈降
部(E)は、軽遠心分離で得られる沈降部(A)と比較
してカロチノイド含量が高いだけではなく、リモネンな
どのオイル類など水に不溶性の成分を多量に含有すると
いう特性を有する。温州みかん果実を原材料とした場合
の比較データの一例を示せば、以下の通りである。 沈降部(A) 沈降部(E) 遠心強度(g・分) 2,550 3,360 エネルギー(kcal/100g) 46 43 水分(g/100g) 86.8 88.0 たんぱく質(g/100g) 1.1 2.0 脂質(g/100g) 0.1 0.2 糖質(g/100g) 10.9 9.3 繊維(g/100g) 0.7 0.2 灰分(g/100g) 0.4 0.3 カロチノイド(mg/100g) 6.1 42.2 オイル量(ml/100ml) 0.07 0.31
【0011】尚、重遠心分離操作の遠心強度を高めてい
くと、沈降部(E)の収率が高まり、カロチノイドの含
有率も高まるが、通常のジュースとなる上清部(F)の
カロチノイド含量は低減し、色調も損ねてしまう。この
ため、上清部(F)の品質を損なわない程度に重遠心分
離操作の遠心強度を設定する必要がある。例えば、遠心
分離操作を1回しか行わない場合に、遠心強度を3,0
00g・分に設定しているのであれば、重遠心分離の遠
心強度も3,000g・分に設定すれば良い。但し、軽
遠心分離操作の遠心強度は、3,000g・分未満でな
くてはならない。
【0012】次に、沈降部(E)と上清部(D)、上清
部(F)または上清部(D+F)を混合することによ
り、カロチノイド含量を所定のレベルに調整する。本発
明において、通常のジュースとは、上清部(D)、上清
部(F)または上清部(D+F)、その他、同様のもの
を意味する。この場合、カロチノイド含量の高い沈降部
(E)の混合割合を適宜調整することにより、カロチノ
イド含量を所定のレベルにコントロールすることが可能
であり、これにより、任意のレベルに調整されたカロチ
ノイド高含有ジュースを製造することができる。前記し
たように、温州みかんは、β−クリプトキサンチンの含
量が高いが、このようにβ−クリプトキサンチンを高レ
ベルに含有しているかんきつ類は希であり、その他の果
実類、野菜類についても同様である。このため、にんじ
んなどのβ−カロチン含量の高い野菜ジュースに温州み
かんの沈降部(E)を混合、調整することにより、マル
チプロビタミンAのカロチノイドを高レベルで含有する
果実・野菜ミックスジュースを製造することができる。
また、バレンシアオレンジジュースに温州みかんの沈降
部(E)を混合、調整することにより、温州みかん特有
の一次機能(β−クリプトキサンチンのプロビタミン作
用)、二次機能(色調の改善)、三次機能(β−クリプ
トキサンチンの抗がん性)を付与することが可能とな
る。その他にも各種飲料への適用が可能であるが、サプ
リメントなどの原料資材としても有用である。沈降部
(E)のオイル含量が高いために、調製されたカロチノ
イド高含有ジュースの香味に問題が生じる場合は、この
カロチノイド高含有ジュースを真空蒸発法で濃縮するこ
とにより、オイル量を低減することができる。また、沈
降部(E)のオイル含量を低減させたい場合は、この沈
降部(E)を適宜精製水で希釈し、真空蒸発法(40℃
以下で処理することが望ましい。)で濃縮操作を行うこ
とにより、目的を達成することができる。
【0013】温州みかん、伊予柑、バレンシアオレンジ
などのかんきつ類の主要フラボノイドはヘスペリジンで
あるが、このヘスペリジンはビタミンPであり、毛細血
管の強化など生体調節機能を有するだけでなく、抗アレ
ルギー性、抗がん性を有することでも知られている。こ
のため、このカロチノイド高含有ジュースは、ヘスペリ
ジン高含有の機能性ジュースとも成り得るが、ヘスペリ
ジンは、混濁物質の沈降に関与しており、その多量の存
在により、カロチノイド高含有ジュースの外観を損ねる
場合も有り得る。このため、状況に応じてヘスペリジン
含量を調整する必要が生じた場合は、ヘスペリジンの特
性を利用する。即ち、ヘスペリジンは、果実を搾汁した
直後は可溶化しているが、徐々に不溶化する(日食工
誌、32、202、1985)ので、ヘスペリジン含量
の低い沈降部(E)を得たい場合は、搾汁後30分以内
に重遠心分離までの操作を完了すれば良い。逆に、ヘス
ペリジン含量の高い沈降部(E)を得たい場合は、搾
汁、軽遠心分離操作後、果汁を適宜放置してから重遠心
分離の操作を行えば良い。
【0014】本発明では、2回の遠心分離操作を行い、
しかも、重遠心分離操作で得られるカロチノイド含量の
高い沈降部(E)のみをカロチノイド給源として利用す
ることにより、合成品や果皮抽出物などをまったく添加
することなしに、いわゆるパルプ量が多いジュースに見
られる食味の悪化、品質の低下などを生起させることが
なく、ジュースにおけるカロチノイドの高量化を達成す
ることが可能である。例えば、通常のジュースより2倍
量のカロチノイドを有するジュースを製造する場合は、
上記データの沈降部(E)を用いて、通常の温州みかん
ジュース(カロチノイド含量:1.6mg%)96部に
対して沈降部((E)、カロチノイド含量42.2mg
%)を4部混合するが、当該沈降部を混合しても、食味
に問題が生じるようなパルプ量の増加はない。遠心分離
の処理条件と沈降部、上清部のカロチノイド含量および
不溶性分含量の関係は、搾汁およびろ過(篩別)処理の
処理条件により大きく影響を受けるが、温州みかんジュ
ースについて、その比較データの一例を表1および表2
に示す。遠心分離の処理条件と沈降部、上清部のカロチ
ノイド含量および不溶性分含量の関係をみると、沈降部
の不溶性分含量は、低い遠心強度でも相当量が沈降する
が、上清部のカロチノイド含量はあまり低減しないこと
がわかる。その後、遠心強度を高めていくと、沈降部の
不溶性分含量の増加率よりも上清部のカロチノイド減少
率の方が高くなる。即ち、軽遠心分離と重遠心分離の遠
心強度の差が大きいほど、沈降部(E)の収率は高くな
り、重遠心分離の遠心強度が高いほど、沈降部(E)の
カロチノイド含有率は高くなる。また、遠心力が異なっ
ても遠心強度が同じであれば、不溶性分およびカロチノ
イドの沈降量は同じになり、同じ遠心強度であっても遠
心力を高めると沈降部の容積は低減する。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定され
るものではない。 実施例1 (1)果汁およびパルプの調製 温州みかん果実230トンを用いて、搾汁、ろ過、軽遠
心分離、重遠心分離の各処理を行った。使用した機器を
次に示す。得られた果汁、パルプ(沈降部)の分析結果
は、表3に示す通りであった。 搾汁:FMC社製インライン搾汁機(小玉は191型、
中玉は291型、大玉は391型を使用) ろ過:精研舎製フィニッシャー(0.5mmスクリーン
使用) 軽遠心分離:ウエストファリアセパレータ社製遠心分離
器SB−60型(2,550g・min.に設定) 重遠心分離:ウエストファリアセパレータ社製遠心分離
器SB−60型(3,360g・min.に設定)
【0018】
【表3】
【0019】(2)カロチノイド高含有ジュースの調製 上記(1)で得られた果汁およびパルプを用いて通常の
ジュースより2倍量のカロチノイドを有するカロチノイ
ド高含有ジュースを2種類(サンプル1、サンプル2)
調製した。サンプル1(比較例)は、果汁(F)60
部、パルプ(沈降部(A))40部を混合し、95℃に
加熱、ビン詰し、打栓した後、水冷して調製した。サン
プル2(実施例)は、果汁(F)96部、パルプ(沈降
部(E))4部を混合し、以下同様に処理して調製し
た。これらサンプルの分析結果を、表4に示す。表4か
ら明らかなように、サンプル2(実施例)では、他の成
分の変動がほとんどなく、カロチノイドの高量化が達成
されることがわかった。
【0020】
【表4】
【0021】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、かんき
つ類の果実を搾汁し、ろ過(篩別)した後、軽遠心分離
操作によりパルプ分を分離除去して得られるジュース
を、さらに重遠心分離操作により、カロチノイド含量お
よび不溶性分含量の低い上清部とカロチノイド含量およ
び不溶性分含量の高い沈降部に分離した後、この沈降部
と通常のジュースを適宜混合することにより、カロチノ
イド含量を所定のレベルに調整することを特徴とするカ
ロチノイド高含有ジュースの製造方法であり、本発明に
よれば、次のような効果が奏される。 (1)軽遠心分離操作と重遠心分離操作を行うことによ
り、搾汁した果汁を通常のパルプにみられない特性を有
する沈降部と、通常飲用に供されるジュースである上清
部に簡便かつ効率よく分離できる。 (2)上記沈降部と上清部を混合することにより、任意
のレベルのカロチノイドを含有するカロチノイド高含有
ジュースを製造することができる。 (3)通常のジュースよりも2倍以上のカロチノイド含
量を有するカロチノイド高含有ジュースを製造できる。 (4)ジュースの品質を低下させることなく、ジュース
におけるカロチノイドの高量化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるカロチノイド高含有ジ
ュースの製造工程の概要を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−133658(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 2/02 - 2/70 A23L 1/27 - 1/275

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 かんきつ類の果汁を軽遠心分離処理して
    粒度の大きいパルプ分を除去し、次いで重遠心分離処理
    してカロチノイドを高レベルで含有する微細なパルプ分
    を沈降させて得られる沈降部を使用して、カロチノイド
    高含有ジュースを製造する方法であって、かんきつ類の
    果実を搾汁してろ過(篩別)した後、遠心強度が3,0
    00g・分以下の軽遠心分離操作により粒度の大きいパ
    ルプ分を主体とした沈降部(A)を除去して得られる上
    清部(B)を、さらに遠心強度を上記軽遠心分離の遠心
    強度よりも高く設定した重遠心分離操作により、カロチ
    ノイド高含有の微細なパルプ分を主体とした沈降部
    (E)と上清部(F)に分離した後、この沈降部(E)
    を通常のジュースと適宜混合することにより、カロチノ
    イド含量を所定のレベルに調整することを特徴とするカ
    ロチノイド高含有ジュースの製造方法。
  2. 【請求項2】 軽遠心分離操作の遠心強度が3,000
    g・分以下であり、重遠心分離操作の遠心強度が1,5
    00g・分以上であり、軽遠心分離操作の遠心強度を重
    遠心分離操作の遠心強度よりも低く設定することを特徴
    とする請求項1記載のカロチノイド高含有ジュースの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 かんきつ類の果実は、温州みかんであ
    る、請求項1に記載のカロチノイド高含有ジュースの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 かんきつ類の果汁を軽遠心分離処理して
    粒度の大きいパルプ分を除去し、次いで重遠心分離処理
    してカロチノイドを高レベルで含有する微細なパルプ分
    を沈降させて得られる沈降部を使用して、カロチノイド
    高含有ジュースを製造する方法であって、以下の工程; (1)かんきつ類の果実を搾汁してろ過(篩別)した
    後、遠心強度が3,000g・分以下の軽遠心分離操作
    によりジュースを粒度の大きいパルプ分を主体とした
    降部(A)と上清部(B)に分離する工程、 (2)必要により、沈降部(A)を上記(1)の遠心
    分離操作よりもい遠心強度で重遠心分離操作を行い沈
    降部(C)と上清部(D)に分離する工程、 (3)上清部(B)を上記(1)の遠心分離操作より
    も高い遠心強度で重遠心分離操作を行いカロチノイド高
    含有の微細なパルプ分を主体とした沈降部(E)と上清
    部(F)に分離する工程、 (4)必要により、上清部(D)と上清部(F)を混合
    する工程、 (5)上記工程で得られた上清部(D)、上清部(F)
    または上清部(D+F)と沈降部(E)を適宜混合して
    カロチノイド含量を所定のレベルに調整する工程、 からなるカロチノイド高含有ジュースの製造方法。
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