JP3467140B2 - トマトフレーバーの製造方法 - Google Patents
トマトフレーバーの製造方法Info
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Description
製造方法に関する。トマト果実を破砕し、搾汁して得た
トマトジュースを濃縮してトマトピューレ、トマトペー
スト等を製造することが行なわれる。またかかるトマト
ペーストを水で希釈還元して還元トマトジュースを製造
することも行なわれる。これらのトマト製品は、その製
造工程における特に濃縮工程でトマト特有のフレーバー
すなわちトマトフレーバーが揮散するのを避けられない
ため、新鮮なトマト果実を破砕し、搾汁して得たものに
比べると、トマトフレーバーに劣るものとなる。本発明
は、上記のようなトマト製品にトマト特有のフレーバー
を持たせることができ、また各種の調理食品にもトマト
特有のフレーバーを持たせることができるトマトフレー
バーの製造方法に関するものである。
て、トマト果実の破砕物或はこの破砕物を搾汁して得た
トマトジュースを原料とし、これらの原料から減圧下に
蒸発させた成分を精留する方法が提案されている(特開
平1−247059)。ところが、この従来法には、原
料としてトマト果実の破砕物或はトマトジュースを用い
るため、これらの原料からトマトフレーバーを回収した
残りは著しくトマトフレーバーに劣るものとなってしま
うという欠点がある。
する課題は、従来法では、トマトフレーバーの製造原料
としてトマト果実の破砕物或はトマトジュースを用いる
ため、これらがトマト製品の原料として著しくトマトフ
レーバーに劣るものとなってしまう点である。
上記の課題を解決するべく研究した結果、前述したよう
なトマト製品の製造においては廃棄されることとなるト
マト種子から各種の脂肪酸類を含有する乳化物を得た
後、この乳化物にフレーバー酵素を作用させると、トマ
トフレーバーが効率的に生成するので、このトマトフレ
ーバーを利用するのが最も合目的的であることを知見し
た。
工程及び第3工程を経ることを特徴とするトマトフレー
バーの製造方法に係る。 第1工程:トマト種子と水との混合物をエクストルーダ
ーに供して乳化物を得る工程 第2工程:第1工程で得た乳化物にフレーバー酵素を加
えて酵素反応を行ない、生成したトマトフレーバーを含
有する酵素反応物を得る工程 第3工程:第2工程で得た酵素反応物からトマトフレー
バーを分離する工程
造原料として用いるトマト種子は、トマト果実、その切
断物或はその破砕物から直接に取り出したものでもよい
し、更にはトマト果実を破砕し、搾汁してトマトジュー
スを得る際の搾汁残渣から取り出したものでもよい。搾
汁残渣から取り出す場合には、搾汁残渣を水中に投入し
て撹拌し、静置すると、トマト表皮は浮上するが、トマ
ト種子は沈降するので、沈降物として取り出すことがで
きる。
を調製する。トマト種子を取り出す方法によっては、ト
マト種子が相当量の水を伴う場合もあるので、このよう
な場合には取り出したものそれ自体が混合物となり得
る。トマト種子と水との混合割合は特に制限されない
が、乾物換算のトマト種子/水=2/1〜1/1(重量
比)の割合とするのが好ましく、2/1.5(重量比)
前後の割合とするのが更に好ましい。後述するような所
望の乳化物を収率良く得ることができるからである。
をエクストルーダーに供して乳化物を得る。用いるエク
ストルーダーは特に制限されず、一軸回転型エクストル
ーダー、二軸同方向回転型エクストルーダー、二軸異方
向回転型エクストルーダーのいずれでもよいが、搾汁用
の二軸異方向回転型エクストルーダーを用いるのが好ま
しい(特開平6−190594、米国特許541715
5)。トマト種子と水との混合物をかかるエクストルー
ダーに供すると、搾汁物として乳化物が得られる。この
乳化物はトマト種子に含まれる主として各種の脂肪酸類
と水とが乳化したものであり、乾物換算のトマト種子/
水=2/1.5(重量比)の割合の混合物を搾汁用の二
軸異方向回転型エクストルーダーに供した場合、油分換
算で20重量%程度の収率で得られ、30重量%程度の
油分を含有する。油分の大半はリノール酸であり、その
他にリノレン酸等が含まれる。
レーバー酵素を加えて酵素反応を行ない、この酵素反応
により生成したトマトフレーバーを含有する酵素反応物
を得る。フレーバー酵素としては市販されている例えば
リポキシゲナーゼやアルコール酸化還元酵素の類を用い
ることもできるが、トマト果実から分離したものを用い
るのが好ましい。かかるフレーバー酵素としては例え
ば、切断したトマト果実にpH7.5前後のTris−塩酸
緩衝液を加えて抽出処理し、この抽出液に硫酸アンモニ
ウムを加えて蛋白質分を沈澱させた後、この蛋白質分を
水に対して透析処理した残留液を用いることができる。
レーバー酵素を加え、静置下或は撹拌下で酵素反応を行
なう。酵素反応は通常は20〜50℃、好ましくは30
℃前後で、通常は2〜5時間、好ましくは4時間前後行
なう。かくして酵素反応を行なうと、これによりトマト
フレーバーが生成し、トマトフレーバーを含有する酵素
反応物が得られる。生成したトマトフレーバーはn−ヘ
キサナール、n−ヘキセノールを主成分とするものであ
るが、この他に3−ペンテン−2−オン、1−ペンテン
−2−オール、trans−2−ヘキサナール、2−メチル
−1−ヘプテノン、cis−3−ヘキセノール、trans−2
−ヘキセノール等を含む。
からトマトフレーバーを分離する。トマトフレーバーは
低沸点の有機溶媒を用いた抽出処理によっても分離する
ことができるが、蒸留により分離するのが好ましく、減
圧下の蒸留により分離するのが更に好ましい。蒸留物は
必要に応じて精留することもできる。
子をピンセットで取り出し、軽く水洗した後、通風乾燥
して、トマト種子を得る。このトマト種子に水を加え、
乾物換算のトマト種子/水=2/1.5(重量比)の割
合の混合物を調製する。この混合物を搾汁用の二軸異方
向回転型エクストルーダーに供し、20℃で15回転/
分の条件下に搾汁して、乳化物を得る。
7.5のTris−塩酸緩衝液100mlを加えて抽出処理
し、その抽出液に硫酸アンモニウムを60重量%の飽和
になるまで加え、蛋白質分を沈澱させる。沈澱させた蛋
白質分を遠心分離し、pH7.5のTris−塩酸緩衝液1
5mlに溶解して、これを4℃で水に対して透析処理した
後、その残留液をフレーバー酵素液とする。
液20mlを加え、30℃で4時間、静置下に酵素反応を
行ない、トマトフレーバーを生成させ、トマトフレーバ
ーを含有する酵素反応物を得る。この酵素反応物を20
0mmHgの減圧下に65℃で蒸留し、トマトフレーバーを
得る。
出し、軽く水洗した後、通風乾燥して、トマト種子を得
た。このトマト種子に水を加え、乾物換算のトマト種子
/水=2/1.5(重量比)の割合の混合物を調製し
た。この混合物を搾汁用の二軸異方向回転型エクストル
ーダーに供し、20℃で15回転/分の条件下に搾汁し
て、乳化物を得た。この乳化物は油分換算で21重量%
の収率で得られ、32重量%の油分を含有しており、油
分の60重量%はリノール酸であった。
−塩酸緩衝液(0.1M,pH7.5)100mlを加
え、4℃で2分間混合した後、遠心分離して上澄液を得
た。この上澄液に硫酸アンモニウムを60重量%の飽和
になるまで加え、蛋白質分を沈澱させた。沈澱させた蛋
白質分を遠心分離し、Tris−塩酸緩衝液(0.1M,p
H7.5)15mlに溶解して、これを4℃で24時間、
水に対して透析処理した後、その残留液をフレーバー酵
素液とした。
液20mlを加え、30℃で4時間、静置下に酵素反応を
行ない、トマトフレーバーを生成させ、トマトフレーバ
ーを含有する酵素反応物を得た。この酵素反応物を20
0mmHgの減圧下に65℃で蒸留し、トマトフレーバーを
得た。
る工程で、その搾汁残渣を水中に投入し、撹拌して静置
した後、沈降したトマト種子を取り出し、乾物換算のト
マト種子/水=2/1.7(重量比)の割合に調製し
た。そして以下、この調製物を用い、実施例1の場合と
同様にしてトマトフレーバーを得た。
の二軸異方向回転型エクストルーダーに供することな
く、実施例1の場合と同じフレーバー酵素液20mlを加
え、そして以下、実施例1の場合と同様にしてトマトフ
レーバーを得た。
れにフレーバー酵素液を加えることなく、そのまま20
0mmHgの減圧下に65℃で蒸留し、トマトフレーバーを
得た。
トグラフィーに供して分析し、その結果を表1に示し
た。ガスクロマトグラフィーによる分析は、各例同一条
件下のヘッドスペースガス分析法で行ない、結果はピー
クエリア( PeekArea )/アイエスエリア( IS Area、
内部標準物質の面積)で求めた。したがって表1の結果
は各例で得たトマトフレーバーの相対比較値であり、ま
た表1中の主要フレーバーはn−ヘキサナール、3−ペ
ンテン−2−オン、1−ペンテン−2−オール、trans
−2−ヘキサナール、2−メチル−1−ヘプテノン、n
−ヘキセノール、cis−3−ヘキセノール、trans−2−
ヘキセノールの合計量を示す。
で得た各例のトマトフレーバーを0.1重量%の割合で
添加した。これらとトマトフレーバーを添加していない
還元トマトジュースとをそれぞれ2点比較し、どちらが
好ましいかを官能評価した(男性15名及び女性15名
の合計30名)。実施例1のトマトフレーバーを添加し
たもの及び実施例2のトマトフレーバーを添加したもの
は共に0.1%以下の危険率で好ましいと有意検定され
たが、比較例1のトマトフレーバーを添加したもの及び
比較例2のトマトフレーバーを添加したものは共に5%
の危険率でも有意検定されず、実質的にトマトフレーバ
ーを添加していないものと差がなかった。
明には、トマト製品の原料を無駄にすることなく、効率
的にトマトフレーバーを製造できるという効果がある。
Claims (6)
- 【請求項1】 下記の第1工程、第2工程及び第3工程
を経ることを特徴とするトマトフレーバーの製造方法。 第1工程:トマト種子と水との混合物をエクストルーダ
ーに供して乳化物を得る工程 第2工程:第1工程で得た乳化物にフレーバー酵素を加
えて酵素反応を行ない、生成したトマトフレーバーを含
有する酵素反応物を得る工程 第3工程:第2工程で得た酵素反応物からトマトフレー
バーを分離する工程 - 【請求項2】 第1工程において、乾物換算のトマト種
子/水=2/1〜1/1(重量比)の混合物をエクスト
ルーダーに供する請求項1記載のトマトフレーバーの製
造方法。 - 【請求項3】 第1工程において、混合物を二軸異方向
回転型エクストルーダーに供する請求項1又は2記載の
トマトフレーバーの製造方法。 - 【請求項4】 第2工程において、フレーバー酵素とし
て、トマト液から塩析により蛋白質分を分離し、この蛋
白質分を透析処理した残留液を加える請求項1、2又は
3記載のトマトフレーバーの製造方法。 - 【請求項5】 第2工程において、20〜50℃で2〜
5時間酵素反応を行なう請求項1、2、3又は4記載の
トマトフレーバーの製造方法。 - 【請求項6】 第3工程において、酵素反応物からトマ
トフレーバーを減圧下の蒸留により分離する請求項1、
2、3、4又は5記載のトマトフレーバーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34781295A JP3467140B2 (ja) | 1995-12-15 | 1995-12-15 | トマトフレーバーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34781295A JP3467140B2 (ja) | 1995-12-15 | 1995-12-15 | トマトフレーバーの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09163955A JPH09163955A (ja) | 1997-06-24 |
JP3467140B2 true JP3467140B2 (ja) | 2003-11-17 |
Family
ID=18392759
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34781295A Expired - Lifetime JP3467140B2 (ja) | 1995-12-15 | 1995-12-15 | トマトフレーバーの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3467140B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE60309585D1 (de) * | 2003-08-04 | 2006-12-21 | Milser Borchini | Sammlungsanlage von Fasern und Substanzen von Tomatenhäuten |
KR20120093929A (ko) * | 2009-10-08 | 2012-08-23 | 디에스엠 아이피 어셋츠 비.브이. | 식물성 향미제 |
WO2023189331A1 (ja) * | 2022-03-30 | 2023-10-05 | 不二製油グループ本社株式会社 | 香味油の製造方法 |
-
1995
- 1995-12-15 JP JP34781295A patent/JP3467140B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09163955A (ja) | 1997-06-24 |
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