以下の詳細な説明は、ある特定の実施形態を対象とする。しかし、本明細書の教示は、複数の異なる方法で適用されうる。本説明では、同じ部品が全体を通して同じ数字で指定される図面に対して参照が行われる。実施形態は、動いていようと(たとえば、ビデオ)、静止していようと(たとえば、静止画像)、また、テキストであろうと、絵であろうと、画像を表示するよう構成されている任意のデバイスにおいて実施されてもよい。より詳細には、実施形態は、限定はしないが、移動体電話、無線デバイス、携帯情報端末(PDA)、手持ち式または可搬型コンピュータ、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤ、カムコーダ、ゲームコンソール、腕時計、クロック、計算機、テレビモニタ、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニタ、自動車ディスプレイ(たとえば、オドメータディスプレイなど)、コックピットコントロールおよび/またはディスプレイ、カメラビューのディスプレイ(たとえば、車両のリアビューカメラのディスプレイ)、電子写真、電子ビルボードまたはサイン、投影器、建築構造、パッケージングおよび美的構造(たとえば、一個の宝石上への画像の表示)などの種々の電子デバイス内で、または、それに関連して実施されてもよいことが考えられる。本明細書で述べる構造と類似の構造のMEMSデバイスはまた、電子スイッチングデバイスなどの非ディスプレイ用途で使用されうる。
MEMSデバイスは金属反射層を含みうる。たとえば、MEMSデバイスは、キャビティによって基材から分離された可動層を含みうる。キャビティの形成は、犠牲層の形成と、それに続く上位層の形成を含みうる。以下で説明される方法の1つまたは複数を使用して犠牲層(または、他の下位層)を処理することは、犠牲層の除去中かつ/または除去後に、犠牲層および/または上位層の1つまたは複数の特性を改善しうることが見出された。一部の実施形態では、処理することは犠牲層を酸化させることを含む。一部の実施形態では、処理済み層上に形成される上位層(たとえば、アルミニウムおよび/または銀を含む層)は、ヒロックを形成する傾向が減少する。たとえば、熱または応力は、これらのヒロックの形成を誘発する可能性がある。一部の実施形態では、下位層のエッチレートが増加し、それにより、犠牲層の除去中に、上位層にかかる応力が少なくなり、また、上位層に損傷を与える可能性が減少する。一部の実施形態では、犠牲層の厚さは、同じ量の未処理材料によって提供される厚さと比べて、所与の量の材料について増加する。一部の実施形態では、上位層と処理済み犠牲層との付着は、上位層と未処理犠牲層との付着と比べて減少する。一部の実施形態では、処理は、犠牲層内で形成されたピンホールを閉鎖し、犠牲層の除去中に他の層に対する損傷を防止する。なお他の実施形態では、犠牲層を処理することは、処理する前の犠牲層の表面より平滑な表面を提供する。
干渉MEMSディスプレイ要素を備える1つの干渉変調器ディスプレイの実施形態は、図1に示される。これらのデバイスでは、画素は、明るい状態かまたは暗い状態にある。明るい(「弛緩(relaxed)」または「オープン(open)」)状態では、ディスプレイ要素は、入射可視光の大部分をユーザに反射する。暗い(「作動(actuated)」または「クローズ(closed)」)状態にあるとき、ディスプレイ要素は、入射可視光をユーザにほとんど反射しない。実施形態に応じて、「オン」状態の光反射特性と「オフ」状態の光反射特性が逆になってもよい。MEMS画素は、選択されたカラーにおいて主として反射するよう構成され、白黒に加えてカラー表示が可能になる。
図1は、各画素がMEMS干渉変調器を備える視覚ディスプレイの一連の画素内の2つの隣接画素を示す等角図である。一部の実施形態では、干渉変調器ディスプレイは、これらの干渉変調器の行/列アレイを備える。各干渉変調器は、少なくとも1つの可変寸法を有する共振光ギャップを形成するために、互いから可変でかつ制御可能な距離に配置された一対の反射層を含む。一実施形態では、反射層の一方は、2つの位置の間で移動してもよい。本明細書で弛緩位置と呼ばれる第1位置では、可動反射層は、固定された部分反射層から比較的遠い距離に配置される。本明細書で作動位置と呼ばれる第2位置では、可動反射層は、部分反射層により密接に隣接して配置される。2つの層から反射する入射光は、可動反射層の位置に応じて建設的にまたは破壊的に干渉し、各画素について全体的な反射状態または非反射状態を生成する。
図1の画素アレイの示す部分は、2つの隣接する干渉変調器12aおよび12bを含む。左の干渉変調器12aでは、可動反射層14aは、部分反射層を含む光スタック16aから所定距離の弛緩位置にある状態で示される。右の干渉変調器12bでは、可動反射層14bは、光スタック16bに隣接する作動位置にある状態で示される。
本明細書で参照される、(ひとまとめに、光スタック16と呼ばれる)光スタック16aおよび16bは、通常、いくつかの溶融層を備え、溶融層は、酸化インジウム錫(ITO)などの電極層、クロムなどの部分反射層および透明誘電体を含みうる。そのため、光スタック16は、導電性があり、部分的に透明であり、部分的に反射性であり、たとえば上記層の1つまたは複数を透明基材20上に堆積することによって作製されてもよい。部分反射層は、種々の金属、半導体および誘電体などの部分的に反射性である種々の材料から形成されうる。部分反射層は、1つまたは複数の材料層で形成され、層はそれぞれ、単一材料または材料の組合せで形成されうる。
一部の実施形態では、光スタック16の層は、平行ストリップにパターニングされ、以下でさらに述べるように、ディスプレイデバイス内に行電極を形成してもよい。可動反射層14a、14bは、ポスト18の上部およびポスト18間に堆積される介在する犠牲材料上に堆積される列を形成するために、(16a、16bの行電極に垂直な)1つまたは複数の堆積金属層の一連の平行ストリップとして形成されてもよい。犠牲材料がエッチング除去されると、可動反射層14a、14bは、画定されたギャップ19によって光スタック16a、16bから分離される。アルミニウムなどの導電性が高くかつ反射性が強い材料が、反射層14のために使用され、これらのストリップは、ディスプレイデバイスの列電極を形成してもよい。図1は、一定比例尺によらなくてもよいことに留意されたい。一部の実施形態では、ポスト18間の間隔は、10〜100μm程度であってよいが、ギャップ19は、<1000Å程度でああってよい。
電圧が印加されない場合、ギャップ19は、可動反射層14aと光スタック16aとの間に留まり、そのとき、可動反射層14aは、図1の画素12aで示すように、機械的に弛緩状態にある。しかし、選択された行および列に電位(電圧)差が印加されると、対応する画素の行電極と列電極の交差部に形成されたキャパシタが充電され、静電力が電極を引寄せる。電圧が十分に高い場合、可動反射層14は、変形し、光スタック16に押しつけられる(force against)。光スタック16内の誘電性層(この図では示さず)は、短絡を防止し、図1の右の作動画素12bで示すように、層14と16との間の分離距離を制御してもよい。挙動は、印加される電位差の極性によらず同じである。
図2〜5は、ディスプレイ用途において干渉変調器のアレイを使用する1つの例示的なプロセスおよびシステムを示す。
図2は、干渉変調器を組込んでもよい電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。電子デバイスは、プロセッサ21を含み、プロセッサ21は、ARM(登録商標)、Pentium(登録商標)、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)またはALPHA(登録商標)などの任意の汎用シングルチップまたはマルチチップマイクロプロセッサ、あるいは、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラまたはプログラマブルゲートアレイなどの任意の専用マイクロプロセッサであってよい。当技術分野で慣例であるように、プロセッサ21は、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するよう構成されてもよい。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサは、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、emailプログラムまたは任意の他のソフトウェアアプリケーションを含む1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するよう構成されてもよい。
一実施形態では、プロセッサ21はまた、アレイドライバ22と通信するよう構成される。一実施形態では、アレイドライバ22は、ディスプレイアレイまたはパネル30に信号を供給する行ドライバ回路24および列ドライバ回路26を含む。図1に示すアレイの断面は、図2のライン1−1によって示される。図2は、簡潔にするために干渉変調器の3×3アレイを示すが、ディスプレイアレイ30は、非常に多数の干渉変調器を含んでもよく、また、列と比べて行において異なる数の干渉変調器(たとえば、1行当たり300画素×1列当たり190画素)を有してもよいことが留意される。
図3は、図1の干渉変調器の1つの例示的な実施形態についての、可動ミラー位置と印加電圧の図である。MEMS干渉変調器の場合、行/列作動プロトコルは、図3に示すこれらのデバイスのヒステリシス特性を利用してもよい。干渉変調器は、可動層が弛緩状態から作動状態に変形するようにさせるために、たとえば10ボルト電位差を必要とする可能性がある。しかし、電圧がその値から減少すると、電圧が10ボルト未満に低下するため、可動層はその状態を維持する。図3の例示的な実施形態では、可動層は、電圧が2ボルト未満に低下するまで、完全には弛緩しない。そのため、図3に示す例には、約3〜7Vの印加電圧の範囲が存在し、デバイスが、その中では弛緩状態または作動状態において安定である印加電圧の窓が存在する。これは、本明細書では、「ヒステリシス窓(hysteresis window)」または「安定性窓(stability window)」と呼ばれる。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイの場合、行/列作動プロトコルは、行ストローブ中に、作動されるはずのストローブされた行の画素は、約10ボルトの電圧差にさらされ、弛緩されるはずの画素は、ゼロボルトに近い電圧差にさらされるように設計されうる。ストローブ後、行ストローブが画素をどの状態に置こうともその状態に画素が留まるように、画素は、約5ボルトの定常状態またはバイアス電圧差にさらされる。書き込まれた後、各画素は、この例では、3〜7ボルトの「安定性窓」内の電位差を見る。この機構は、作動または弛緩の前もって存在する状態における同じ印加電圧条件下で、図1に示す画素デザインを安定にさせる。干渉変調器の各画素が、作動状態であれ、弛緩状態であれ、本質的に固定反射層と移動反射層によって形成されるキャパシタであるため、この安定状態は、電力消費がほとんどない状態で、ヒステリシス窓内の電圧で保持されうる。本質的に、印加電位が固定される場合、電流は画素内に流れない。
以下でさらに述べるように、通常の用途では、画像のフレームは、第1行内の作動画素の所望のセットに従って列電極のセットにわたってデータ信号(それぞれが一定の電圧レベルを有する)のセットを送出することによって作成することができる。行パルスが、次に、行1電極に印加され、データ信号のセットに相当する画素を作動する。データ信号のセットは、次に、第2行内の作動画素の所望のセットに対応するように変更される。パルスは、次に、第2行電極に印加され、データ信号に従って第2行の適切な画素を作動する。第1行の画素は、第2行パルスによって影響を受けず、第1行パルス中にセットされた状態のまま留まる。これは、フレームを生成するために、逐次方式で行の全シリーズについて繰返されてもよい。一般に、フレームは、1秒についてある所望のフレーム数でこのプロセスを連続して繰返すことによって、リフレッシュされかつ/または新しい画像データによって更新される。画像フレームを生成するための、画素アレイの行および列電極を駆動するいろいろなプロトコルが使用されてもよい。
図4および5は、図2の3×3アレイに関するディスプレイフレームを作成するための1つの考えられる作動プロトコルを示す。図4は、図3のヒステリシス曲線を示す画素について使用されてもよい列および行電圧レベルの考えられるセットを示す。図4の実施形態では、画素を作動させることは、適切な列を−Vbiasに、適切な行を+ΔVにセットすることを含み、両者は、それぞれ、−5ボルトおよび+5ボルトに相当してもよい。画素を弛緩させることは、適切な列を+Vbiasに、適切な行を同じ+ΔVにセットすることによって達成され、画素にわたるゼロボルト電位差を生成する。行電圧がゼロボルトに保持されるこれらの行では、列が+Vbiasであるか、または、−Vbiasであるかによらず、画素は、画素が元々どの状態にあってもその状態で安定である。図4に同様に示すように、上述した電圧と逆極性の電圧が使用されうる。たとえば、画素を作動させることは、適切な列を+Vbiasに、適切な行を−ΔVにセットすることを含みうる。この実施形態では、画素を解除する(release)ことは、適切な列を−Vbiasに、適切な行を同じ−ΔVにセットし、画素にわたってゼロボルト電位差を生成することによって達成される。
図5Bは、作動画素が非反射性である図5Aに示すディスプレイ配置構成をもたらすことになる図2の3×3アレイに印加される一連の行および列信号を示すタイミング図である。図5Aに示すフレームを書き込む前に、画素は、任意の状態でありうる。この例では、全ての行が最初に0ボルトであり、全ての列が+5ボルトである。これらの印加電圧によって、全ての画素が、既存の作動状態または弛緩状態で安定である。
図5Aのフレームでは、画素(1,1)、(1,2)、(2,2)、(3,2)および(3,3)が作動される。これを達成するために、行1用の「線時間(line time)」中に、列1および2が−5Vにセットされ、列3が+5ボルトにセットされる。これは、全ての画素が3〜7ボルト安定性窓内に留まるため、いずれの画素の状態も変更しない。行1は、次に、0ボルトから5ボルトまで上がり、再びゼロに戻るパルスでストローブされる。これは、(1,1)および(1,2)画素を作動し、(1,3)画素を弛緩させる。アレイ内の他の画素は影響を受けない。行2を所望の状態にセットするために、列2が−5Vにセットされ、列1および3が+5ボルトにセットされる。次に、行2に印加される同じストローブが、画素(2,2)を作動し、画素(2,1)および画素(2,3)を弛緩させることになる。やはり、アレイの他の画素は影響を受けない。行3は、列2および3を−5Vにセットし、列1を+5ボルトにセットすることによって同様にセットされる。行3ストローブは、図5Aに示すように行3の画素をセットする。フレームを書き込んだ後、行電位はゼロであり、列電位は+5ボルトまたは−5ボルトに留まることができ、ディスプレイは、そのため、図5Aの配置構成において安定である。同じプロシジャが、何十または何百もの行および列のアレイについて使用されうる。行および列作動を実施するのに使用されるタイミング、シーケンスおよび電圧レベルは、先に概説した一般的な原理内で幅広く変わる可能性があり、上記例は例示に過ぎず、本明細書で述べるシステムおよび方法に関して任意の作動電圧法が使用されうる。
図6Aおよび6Bは、ディスプレイデバイス40の実施形態を示すシステムブロック図である。ディスプレイデバイス40は、たとえば、携帯電話または移動体電話でありうる。しかし、ディスプレイデバイス40の同じコンポーネントまたはそのわずかの変形もまた、テレビおよび可搬型メディアプレーヤなどの種々のタイプのディスプレイデバイスを示す。
ディスプレイデバイス40は、ハウジング41、ディスプレイ30、アンテナ43、スピーカ45、入力デバイス48およびマイクロフォン46を含む。ハウジング41は、一般に、射出成形および真空成形を含む種々の製造プロセスの任意のプロセスから形成される。さらに、ハウジング41は、限定はしないが、プラスチック、金属、ガラス、ゴムおよびセラミックまたはその組合せを含む種々の材料の任意の材料から作成することができる。一実施形態では、ハウジング41は、異なるカラーの他の取外し可能部分と交換されてもよい、または、異なるロゴ、絵またはシンボルを含む取外し可能部分(図示せず)を含む。
例示的なディスプレイデバイス40のディプレイ30は、本明細書で述べるように、双安定ディスプレイを含む種々のディスプレイの任意のディスプレイであってよい。他の実施形態では、ディプレイ30は、上述したように、プラズマ、EL、OLED、STN LCDまたはTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイあるいはCRTまたは他の真空管デバイス(tube device)などの非フラットパネルディスプレイを含む。しかし、本実施形態を述べる目的で、ディプレイ30は、本明細書で述べるように、干渉変調器ディスプレイを含む。
例示的なディスプレイデバイス40の一実施形態のコンポーネントは、図6Bに概略的に示される。示す例示的なディスプレイデバイス40は、ハウジング41を含み、ハウジング41内に少なくとも部分的に閉囲されるさらなるコンポーネントを含みうる。たとえば、一実施形態では、例示的なディスプレイデバイス40は、送受信機47に結合するアンテナ43を含むネットワークインタフェース27を含む。送受信機47は、コンディショニングハードウェア52に接続されるプロセッサ21に接続される。コンディショニングハードウェア52は、信号を調節する(たとえば、信号をフィルタリングする)よう構成されてもよい。コンディショニングハードウェア52は、スピーカ45およびマイクロフォン46に接続される。プロセッサ21はまた、入力デバイス48およびドライバコントローラ29に接続される。ドライバコントローラ29は、フレームバッファ28およびアレイドライバ22に結合され、アレイドライバ22はディスプレイアレイ30に結合される。電源50は、特定の例示的なディスプレイデバイス40のデザインによる要求に応じて全てのコンポーネントに電力を供給する。
ネットワークインタフェース27は、アンテナ43および送受信機47を含むため、例示的なディスプレイデバイス40は、ネットワークを通じて1つまたは複数のデバイスと通信しうる。一実施形態では、ネットワークインタフェース27はまた、プロセッサ21の要求を軽減するためのある処理能力を有してもよい。アンテナ43は、信号を送受信するための、任意のアンテナである。一実施形態では、アンテナは、IEEE 802.11(a)、(b)または(g)を含むIEEE 802.11規格に従ってRF信号を送受信する。別の実施形態では、アンテナは、BLUETOOTH規格に従ってRF信号を送受信する。携帯電話の場合、アンテナは、CDMA、GSM、AMPS、W−CDMAまたは無線携帯電話ネットワーク内で通信するのに使用される他の知られている信号を受信するようデザインされる。送受信機47は、アンテナ43から受信される信号が、プロセッサ21によって受信されるか、または、プロセッサ21によってさらに操作されるように、信号を前処理する。送受信機47はまた、プロセッサ21から受信される信号が、アンテナ43を介して例示的なディスプレイデバイス40から送信されるように信号を処理する。
代替の実施形態では、送受信機47は受信機で置換えられうる。なお別の代替の実施形態では、ネットワークインタフェース27は、プロセッサ21に送出される画像データを格納するかまたは生成しうる画像源で置換えられうる。たとえば、画像源は、画像データを収容するデジタルビデオディスク(DVD)またはハードディスクドライブあるいは画像データを生成するソフトウェアモジュールでありうる。
プロセッサ21は、一般に、例示的なディスプレイデバイス40の全体の動作を制御する。プロセッサ21は、ネットワークインタフェース27または画像源から圧縮画像データなどのデータを受信し、データを処理して、未処理画像データに、または、未処理画像データになるように容易に処理されるフォーマットにする。プロセッサ21は、次に、処理済みデータを、ドライバコントローラ29にまたは格納のためにフレームバッファ28に送出する。未処理データは、通常、画像内の各ロケーションにおいて画像特性を識別する情報を指す。たとえば、こうした画像特性は、カラー、飽和度およびグレースケールレベルを含みうる。
一実施形態では、プロセッサ21は、例示的なディスプレイデバイス40の動作を制御するために、マイクロコントローラ、CPUまたはロジックユニットを含む。コンディショニングハードウェア52は、一般に、スピーカ45に信号を送信し、マイクロフォン46から信号を受信するための増幅器およびフィルタを含む。コンディショニングハードウェア52は、例示的なディスプレイデバイス40内のディスクリートコンポーネントであってよく、または、プロセッサ21または他のコンポーネント内に組込まれてもよい。
ドライバコントローラ29は、プロセッサ21によって生成された未処理画像データを、プロセッサ21から直接、または、フレームバッファ28から取得し、未処理データを、アレイドライバ22への高速通信のために適切にリフォーマットする。具体的には、未処理画像データが、ディスプレイアレイ30にわたって走査するのに適した時間順序を有するように、ドライバコントローラ29は、未処理画像データをラスタ様のフォーマットを有するデータフローにリフォーマットする。次に、ドライバコントローラ29は、フォーマットされた情報をアレイドライバ22に送出する。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29は、しばしば、独立型集積回路(IC)としてシステムプロセッサ21に関連付けられるが、こうしたコントローラは、多くの方法で実施されてもよい。コントローラは、ハードウェアとしてプロセッサ21内に埋め込まれてもよく、ソフトウェアとしてプロセッサ21内に埋め込まれてもよく、または、ハードウェアでアレイドライバ22と完全に一体化されてもよい。
通常、アレイドライバ22は、フォーマットされた情報をドライバコントローラ29から受信し、ビデオデータをリフォーマットして、ディスプレイの画素のx−yマトリクスから出てくる何百もの、時として何千ものリード線に対して、1秒当たり多数回印加される波形の並列なセットにする。
一実施形態では、ドライバコントローラ29、アレイドライバ22およびディスプレイアレイ30は、本明細書で述べるタイプのディスプレイのどれにとっても適切である。たとえば、一実施形態では、ドライバコントローラ29は、従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(たとえば、干渉変調器コントローラ)である。別の実施形態では、アレイドライバ22は、従来のディスプレイドライバまたは双安定ディスプレイライバ(たとえば、干渉変調器ディスプレイ)である。一実施形態では、ドライバコントローラ29は、アレイドライバ22と一体化される。こうした実施形態は、携帯電話、時計および他の小面積ディスプレイなどの高集積化システムにおいて一般的である。なお別の実施形態では、ディスプレイアレイ30は、通常のディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(たとえば、干渉変調器のアレイを含むディスプレイ)である。
入力デバイス48は、ユーザが例示的なディスプレイデバイス40の動作を制御することを可能にする。一実施形態では、入力デバイス48は、QWERTYキーボードまたは電話キーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、タッチ感応スクリーンあるいは圧力感応膜または熱感応膜を含む。一実施形態では、マイクロフォン46は、例示的なディスプレイデバイス40用の入力デバイスである。マイクロフォン46が、デバイスへの入力データに対して使用されるとき、例示的なディスプレイデバイス40の動作を制御するための音声コマンドが、ユーザによって提供されてもよい。
電源50は、当技術分野でよく知られているように、種々のエネルギー貯蔵デバイスを含みうる。たとえば、一実施形態では、電源50は、ニッケルカドミウム電池またはリチウムイオン電池などの充電式電池である。別の実施形態では、電源50は、再生可能なエネルギー源、キャパシタ、または、プラスチック太陽電池および太陽電池ペイントを含む太陽電池である。別の実施形態では、電源50は、壁コンセントから電力を受取るよう構成される。
一部の実施形態では、上述したように、制御のプログラム可能性は、電子ディスプレイシステム内のいくつかの場所に位置しうるドライバコントローラ内に存在する。場合によっては、制御のプログラム可能性はアレイドライバ22内に存在する。上述した最適化は、任意の数のハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントにおいて、また、種々の構成で実施されてもよい。
上述した原理に従って動作する干渉変調器の構造の詳細は幅広く変わってもよい。たとえば、図7A〜7Eは、可動反射層14およびその支持構造の5つの異なる実施形態を示す。図7Aは、図1の実施形態の断面であり、金属材料のストリップ14が、垂直に延びる支持体18上に堆積される。図7Bでは、各干渉変調器の可動反射層14は、形状が四角形または長方形であり、テザー32上で、角だけで支持体に取付けられる。図7Cでは、可動反射層14は、形状が四角形または長方形であり、可撓性金属を含んでもよい変形可能層34から懸垂保持される。変形可能層34は、変形可能層34の外周の周りで直接的にまたは間接的に基材20に接続される。これらの接続は、本明細書で支持ポストと呼ばれる。図7Dに示す実施形態は、変形可能層34がその上に載置される支持ポストプラグ42を有する。可動反射層14は、図7A〜7Cの場合と同様に、ギャップを覆って懸垂保持されたままであるが、変形可能層34は、変形可能層34と光スタック16との間の穴を充填することによって支持ポストを形成しない。むしろ、支持ポストは、支持ポストプラグ42を形成するのに使用される平坦化材料で形成される。図7Eに示す実施形態は、図7Dに示す実施形態に基づくが、図7A〜7Cに示す実施形態のうちの任意の実施形態ならびに示されないさらなる実施形態と共に働くようになっていてもよい。図7Eに示す実施形態では、金属または他の導電性材料の追加の層が、バス構造44を形成するのに使用された。これは、干渉変調器の背面に沿う信号の経路指定を可能にし、普通なら基材20上に形成されなければならないいくつかの電極をなくす。
図7に示すような実施形態では、干渉変調器は、直視デバイスとして機能し、直視デバイスでは、画像が、透明基材20の前側から観察され、その対向側には、変調器が配列される。これらの実施形態では、反射層14は、変形可能層34を含む、基材20と反対の反射層の側で干渉変調器の所定部分を光学的に遮蔽する。これは、遮蔽されるエリアが、画質に悪い影響を与えることなく、構成され、動作することを可能にする。こうした遮蔽は、たとえば、図7Eのバス構造44を可能にし、アドレス指定およびアドレス指定から生じる運動などの変調器の電気機械特性から変調器の光学特性を分離する能力を提供する。この分離可能な変調器アーキテクチャは、変調器の電気機械的態様および光学的態様のために使用される構造デザインおよび材料が、互いに独立に選択され機能することを可能にする。さらに、図7C〜7Eに示す実施形態は、変形可能層34によって実施される、反射層14の機械特性からの反射層14の光学特性のデカップリングから引出されるさらなる利益を有する。これは、反射層14のために使用される構造デザインおよび材料が光学特性に関して最適化され、変形可能層34のために使用される構造デザインおよび材料が機械特性に関して最適化されることを可能にする。
図8は、干渉変調器用の製造プロセス800の実施形態のいくつかのステップを示す。こうしたステップは、図8に示さない他のステップと共に、たとえば、図1および7に示す一般的なタイプの干渉変調器を製造するプロセス内に存在してもよい。図1、7および8を参照すると、プロセス800は、基材20を覆って光スタック16を形成するステップ805で始まる。基材20は、ガラスまたはプラスチックなどの透明基材であってよく、また、光スタック16の効率的な形成を容易にするために、事前調製ステップ(複数可)、たとえば、清浄を受けていてもよい。先に説明したように、光スタック16は、導電性があり、部分的に透過性であり、部分的に反射性であり、たとえば透明基材20上に層の1つまたは複数を堆積させることによって作製されてもよい。一部の実施形態では、層は、平行ストリップにパターニングされ、ディスプレイデバイス内で行電極を形成してもよい。一部の実施形態では、光スタック16は、1つまたは複数の金属層(たとえば、反射層および/または導電性層)を覆って堆積される絶縁層または誘電性層を含む。一部の実施形態では、絶縁層は、光スタック16の最も上の層である。
図8に示すプロセス800は、引き続きステップ810に至り、光スタック16を覆って犠牲層を形成する。犠牲層は、以下で説明するようにキャビティ19を形成するために、(たとえば、ステップ825にて)後で除去され、そのため、犠牲層は、図1に示す結果得られる干渉変調器12には示されない。光スタック16を覆って犠牲層を形成することは、選択された厚さで、モリブデン、タンタル、タングステンまたはアモルファスシリコンなどのXeF2エッチング可能材料を堆積することであって、それにより、その後の除去後に、所望のサイズを有するキャビティ19を設ける、堆積することを含んでもよい。犠牲材料の堆積は、物理気相堆積(PVD、たとえば、スパッタリング)、プラズマ増強化学気相堆積(PECVD)、熱化学気相堆積(熱CVD)またはスピンコーティングなどの堆積技法を使用して実施されてもよい。
図8に示すプロセス800は、引き続きステップ815に至り、図1および7に示すように、支持構造、たとえば、ポスト18を形成する。ポスト18の形成は、支持構造アパーチャを形成するために、犠牲層をパターニングするステップと、その後、PECVD、熱CVDまたはスピンコーティングなどの堆積法を使用して、ポスト18を形成するためにアパーチャ内に材料(たとえば、ポリマー)を堆積させるステップとを含んでもよい。一部の実施形態では、犠牲層内に形成される支持構造アパーチャは、図7Aに示すようにポスト18の下端が基材20に接するように、犠牲層と光スタック16の両方を貫通して、下にある基材20に延びる。他の実施形態では、犠牲層内に形成されるアパーチャは、犠牲層を貫通して延在するが、光スタック16を貫通しない。たとえば、図7Dは、光スタック16と接触状態にある支持ポストプラグ42の下端を示す。
図8に示すプロセス800は、引き続きステップ820に至り、図1および7に示すように、可動反射層14などの可動反射層を形成する。可動反射層14は、1つまたは複数のパターニング、マスキングおよび/またはエッチングステップと共に、1つまたは複数の堆積ステップ、たとえば、反射層(たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金)堆積を使用することによって形成されてもよい。先に説明したように、可動反射層14は、通常、導電性があり、本明細書で導電性層と呼ばれてもよい。一部の実施形態では、反射層14はアルミニウムを含む。一部の実施形態では、反射層14は銀を含む。犠牲層は、プロセス800のステップ820にて形成された部分的に作製された干渉変調器内に依然として存在するため、可動反射層14は、通常、この段階では可動でない。犠牲層を含む部分的に作製された干渉変調器は、本明細書で、「未リリースの(unreleased)」干渉変調器と呼ばれてもよい。
図8に示すプロセス800は、引き続きステップ825に至り、図1および7に示すように、キャビティ19などのキャビティを形成する。キャビティ19は、(ステップ810で堆積された)犠牲材料をエッチャントにさらすことによって形成されてもよい。たとえば、モリブデン、タンタル、タングステンまたはアモルファスシリコンなどのエッチング可能犠牲材料は、乾式化学エッチングによって、たとえば、キャビティ19を囲む構造に対して通常選択的に、所望の量の材料を除去するのに有効である期間の間、固体二フッ化キセノン(XeF2)から導出される蒸気などの、ガスまたは蒸気エッチャントに犠牲層をさらすことによって除去されてもよい。他のエッチング法、たとえば、ウェットエッチングおよび/またはプラズマエッチングが使用されてもよい。犠牲層は、プロセス800のステップ825中に除去されるため、可動反射層14は、通常、この段階後に可動である。犠牲材料の除去後に、結果得られる完全にまたは部分的に作製された干渉変調器は、本明細書で、「リリース済み(released)」干渉変調器と呼ばれてもよい。
一般にMEMSデバイスまた特に干渉変調器の性能は、下位層の表面特性によって悪い影響を及ぼされ、下位層の表面特性は、上位層に影響を及ぼす。たとえば、本明細書で、可動電極層における「ヒロック形成(hillock formation)」と呼ばれる状態は、下位犠牲層の表面特性によって影響を及ぼされうる。ヒロック形成は、金属表面、たとえば、可動電極層の表面内、または、その上で小さな突出部(「ヒロック(hillock)」)を形成することを特徴とする。ヒロックのサイズは、形成条件に応じて変わる可能性があり、また、最もしばしば高さ約10ナノメートル(nm)〜高さ約10ミクロンのサイズ範囲に、より一般的には高さ約100ナノメートル(nm)〜高さ約1ミクロンの範囲にあるが、時にはそれより大きいかまたは小さいヒロックが観測されうる。ヒロックは、特に、アルミニウム含有層および/または銀含有層の表面で形成される可能性がある。ヒロックは、通常、高温貯蔵中など、高温にさらされている間またはさらされた後に形成する。ヒロックはまた、たとえば熱または応力にさらされるときを含む他の周囲状況によって表面上に形成する可能性がある。
ヒロック形成がMEMSデバイスの性能に悪い影響を及ぼす可能性があることが見出された。ヒロックは、可動電極層と光スタックとの間のキャビティ距離を変える可能性があり、それにより、デバイスによって反射される光の波長に影響を及ぼす。ヒロックは、2次ブルーカラーまたは他のカラーの反射を同様に引き起こす可能性がある。
ある実施形態では、アルミニウム含有層および/または銀含有層内でのヒロック形成(たとえば、熱誘発性ヒロック形成)を低減する方法が開発された。たとえば、ある実施形態は、アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムを堆積する方法を提供し、方法は、下位層の表面を処理することであって、それにより、処理済み表面を形成する、処理すること、および、処理済み表面上にアルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムを堆積することを含み、処理することは、アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルム内でのヒロック形成を低減する。そのため、アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムの表面の輪郭は、この処理によって影響を受ける可能性がある。表面輪郭は、たとえば、本明細書に述べる処理によって比較的平坦であると特徴付けられてもよい。本明細書で参照されるように、「処理済み表面輪郭(treated surface contour)」という用語は、処理済み表面上に形成されることから生じる表面の輪郭を指す。たとえば、以下で述べるように、処理済み表面輪郭155は、処理済み犠牲表面145上に形成された表面輪郭である。処理済み表面輪郭は、ヒロックをほとんど備えなくてもよく、または、処理済み表面上には形成されないがその他の点では匹敵する表面輪郭に比べて高さ変動性が少なくてもよい。
図9は、MEMSデバイスを作製する方法の実施形態におけるいくつかのステップを示すフロー図である。一部の実施形態では、犠牲層は、塩素、窒素(たとえば、ニトロ化または窒化による)、フッ素または酸素(たとえば、酸化による)によって処理されて、犠牲層の除去中または除去後に犠牲層および/または上位層の特性に影響を及ぼす。処理は、犠牲層の表面の化学組成または化学特性を変える可能性がある。一部の例では、処理は、犠牲層と上位層との間に拡散層を生成しうる。図9は、ヒロック形成が低減される実施形態について最初に述べられることになる。しかし、他の実施形態が以下で述べられる。こうしたステップは、図9に示さない他のステップと共に、たとえば、図1および7に示す一般的なタイプの干渉変調器を製造するプロセス内に存在してもよい。図10A〜10Hは、フォトリソグラフィ、堆積、マスキング、エッチング(たとえば、プラズマエッチなどの乾式方法および湿式方法)などのような従来の半導体製造技法を使用してMEMSデバイスを作製する方法の実施形態を概略的に示す。堆積は、化学気相堆積(プラズマ増強CVDおよび熱CVDを含むCVD)およびスパッタコーティングなどの「乾式(dry)」方法およびスピンコーティングなどの湿式方法を含んでもよい。図9および10を参照すると、プロセス200は、基材100が設けられるステップ205にて始まる。一実施形態では、基材100は、ガラスまたはプラスチックなどの任意の透明材料を含んでもよい。
プロセス200は、引き続きステップ210に至り、図10Aに示すように、基材100上に第1導電性層105を形成する。第1導電性層105は、先に述べたように、単一層構造または複数サブ層構造でありうる。層105が電極とミラーの両方として機能する単一層構造では、層105は、基材100上に導電性材料を堆積することによって形成される。第1導電性層105は、図9または10に示さないその後のパターニングおよびエッチングによって複数電極に形成されてもよい。第1導電性層105は、所望の導電性を有するようにドープされた金属または半導体(シリコンなど)であってよい。一実施形態(図10には示さない)では、第1導電性層105は、透明導体(酸化インジウム錫など)および1次ミラーまたは部分反射層(クロムなど)を備える多層構造である。
プロセス200は、引き続きステップ215に至り、図10Bに示すように、導電性層105の少なくとも一部分を覆って誘電性層110を形成する。誘電性層110は、シリコン酸化物および/またはアルミニウム酸化物などの絶縁材料を含んでもよい。誘電性層110は、干渉変調器内で第1導電性層105を導電性可動層(図1および7の可動層14など)から絶縁するのに役立つ。誘電性層110は、知られている堆積方法、たとえば、CVDによって形成されてもよい。一部の実施形態では、結果得られるデバイスの光スタック16は、導電性層105と誘電性層110の両方を含む。
プロセス200は、引き続きステップ220に至り、図10Cに示すように、犠牲層115を形成する。犠牲層115は、XeF2、たとえば、モリブデン、タンタルまたはタングステンによってエッチング可能な材料を含んでもよい。CVD、スパッタリングまたはスピンコーティングなどの堆積法は、犠牲層115を形成するときに使用されてもよい。犠牲層115は、ステップ225にて、パターニングされエッチングされて、図10Dに示すように、1つまたは複数の支持構造アパーチャ130を形成する。示す実施形態では、支持構造アパーチャ130は、第1犠牲層115および誘電性層110を完全に貫通して第1導電性層105まで延在する。ステップ230にて、支持構造材料が、アパーチャ130内に堆積され、図10Eに示すように、支持構造135を形成する。支持構造135は、非導電性材料を含んでもよい。
プロセス200は、引き続きステップ235に至り、図10Fに示すように、犠牲層115の表面を処理し、それにより、犠牲層115が処理済み犠牲部分145を備える。犠牲層115の表面を処理することであって、それにより、処理済み犠牲部分145を形成する、処理することは、以下でより詳細に述べるように、たとえば、プラズマ、酸化、六フッ化硫黄またはその組合せによる種々の方法で行われうる。たとえば、一部の実施形態では、犠牲層115の少なくとも一部分が酸化されて、酸化犠牲部分が形成されるため、処理は酸化を含む。犠牲層115の処理は、上側処理済み(たとえば、酸化済み)犠牲層145、および、実質的に未処理の(たとえば、未酸化の)犠牲層を備える犠牲層115の残りの下側部分によって図10Fで示すように、複数層を生成するように実施されてもよい。一部の実施形態では、酸化済み犠牲層は、基材100に垂直な方向に測定されると、深さが実質的に均一である。
一部の実施形態では、犠牲層115の表面はプラズマによって処理される。他の実施形態では、犠牲層115の表面は、酸素ガスおよび/または六フッ化硫黄ガスを含むガスによって処理される。なお他の実施形態では、犠牲層115の表面は、酸素ガスおよび/または六フッ化硫黄ガスを含むプラズマによって処理される。酸素ガスおよび/または六フッ化硫黄ガスは、これらの物質の分子および/またはラジカルを含んでもよい。犠牲層115の表面は、イオン化酸素および/またはイオン化六フッ化硫黄によって処理されうる。本明細書で述べる下位層(たとえば、犠牲層115)の表面の1つまたは複数の処理は、一部の実施形態では、表面を平滑化しうる。ステップ235にて実施されてもよいいくつかの処理方法の詳細は、以下で説明される。
プロセス200は、引き続きステップ240に至り、図10Gに示すように、処理済み犠牲部分145を覆って、また、示す実施形態では支持構造135を覆って、上位層140、たとえば、第2導電性層を形成する。ある実施形態では、上位層140の少なくとも一部は、処理済み犠牲部分145の少なくとも一部上に形成される。ある実施形態では、上位層140は、図1および7に示す干渉変調器の可動反射層14などの可動層を備える。犠牲層115および処理済み犠牲部分145は、プロセス200のこの段階において依然として存在するため、可動層は、通常、まだ可動でない。犠牲層(この実施形態では、層115および145)を含む、部分的に作製されたMEMSデバイス172、たとえば、部分的に作製された干渉変調器は、本明細書で、「未リリースの」MEMSデバイスと呼ばれてもよい。上位層140は、金属(たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀または銀合金)を含んでもよい。一部の実施形態では、上位層140はアルミニウムを含む。一部の実施形態では、上位層140は銀を含む。ステップ240にて導電性層140を形成することは、1つまたは複数の堆積ステップならびに1つまたは複数のパターニングまたはマスキングステップを含んでもよい。
プロセス200は、引き続きステップ245に至り、図10Hに示すように、処理済み(たとえば、酸化済み)犠牲層145の少なくとも一部分、また任意選択で、未処理の(たとえば、未酸化の)犠牲層115の一部分が(たとえば、エッチングによって)除去される。1つまたは複数の支持構造135は、上位層140を支持し、それにより、ギャップまたはキャビティ150を形成しうる。一部の実施形態では、キャビティ150は、図10Hに示すように、上位層140がキャビティに露出されるように誘電性層110と上位層140との間に形成される。上位層140の処理済み表面輪郭155は、未処理犠牲構造上に形成された匹敵する表面輪郭と比べて少数のヒロックを備える可能性がある。
犠牲層の除去は、たとえば、単独でまたは組み合わせて、XeF2(図10Hに示した)、F2またはHFなどのエッチャントにさらすことによって達成されうる。一実施形態では、犠牲層115および処理済み犠牲部分145の実質的に全てが、エッチングプロセスで除去される。一実施形態では、キャビティ150は、(導電性層105および誘電性層110を備える)光スタック16と、先に説明した可動導電性層である上位層140との間の干渉キャビティである。キャビティ150の形成後に、結果得られるMEMSデバイス、たとえば、干渉変調器175は、「リリース済み(released)」状態にある。
リリース済み干渉変調器175は、いくつかのさらなる処理ステップ(図9または10には示さず)を受ける可能性があり、処理ステップの1つまたは複数は、処理ステップ235がない場合、上位層140においてヒロック誘発性であることになる温度まで、干渉変調器175を加熱することを含む可能性がある。一部の実施形態では、犠牲層115の表面の処理は、上位層140においてヒロック形成(熱によって誘発されるヒロック形成)を低減するのに役立ち、それにより、MEMSデバイスの動作を改善する。一部の実施形態では、ヒロックの低減は、述べた処理のうちの1つを受けない類似の導電性層において期待される数と比較した場合の、ヒロックの数の減少を指す。他の実施形態では、ヒロックの低減は、述べた処理のうちの1つを受けない類似の導電性層において期待されるサイズと比較した場合の、ヒロックのサイズの減少を指す。なお他の実施形態では、ヒロックの低減は、述べた処理のうちの1つを受けない類似の導電性層において期待される数およびサイズと比較した場合の、ヒロックの数の減少とサイズの減少の両方を指す。
本明細書で行われる教示によって導かれる日常的な実験を使用して、当業者は、本明細書で開示される方法について適切なパラメータおよび/または動作条件を特定しうる。たとえば、圧力、電力、暴露時間および/または流量などの、犠牲層の表面の処理に関連する最適パラメータは、パラメータを系統的に変動させ、ヒロック形成(たとえば、熱によって誘発されるヒロック形成)の程度を観測することによって得られうる。一部の実施形態では、圧力は40ミリトル(mT)と60ミリトル(mT)の間でありうる。電力は、一部の実施形態では、800ワットと1000ワットの間でありうる。一部の実施形態では、六フッ化硫黄は、30〜100標準立方センチメートル/分(sccm)の流量で犠牲層にさらされる。一部の実施形態では、酸素は、100〜200sccmの流量で犠牲層にさらされる。犠牲層は、種々の期間、たとえば、15〜25秒の間、処理にさらされてもよい。一部の実施形態では、基材は加熱されない。
一部の実施形態では、ヒロック形成の低減は、処理済み犠牲表面145に隣接した上位層140の表面上で起こる。こうした実施形態では、ヒロック形成の低減は、上位層140のキャビティ側表面と呼ばれる、キャビティ150に面する導電性層の表面上で起こる。図10のMEMSデバイスでは、処理済み犠牲表面145に隣接した上位層140の表面は、上位層140のキャビティ側表面155である。そのため、犠牲表面145の処理は、上位層140のキャビティ側表面155の輪郭または形状に影響を及ぼしうる。
一部の実施形態では、プロセス200は、さらなるステップを含んでもよく、また、ステップは、図9および10の図から再配置されてもよい。たとえば、犠牲層115の表面は、支持構造アパーチャ130が形成される前、または、支持構造アパーチャ130が形成された後であるが、支持構造135が支持構造アパーチャ130内に形成される前に処理されてもよい。支持構造は、犠牲層が形成される前に形成されてもよく、それにより、支持構造アパーチャを形成するステップがなくなる。
ヒロック形成を低減するための本明細書に述べる方法は、キャビティに隣接してアルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムを備える種々のMEMSデバイスに適用され得、キャビティは、犠牲層の少なくとも一部を除去することによって形成される。
たとえば、MEMSデバイスの上位層140などのアルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムにおける高温によって誘発されるヒロック形成は、本明細書に述べる下位犠牲層の表面を処理する方法によって低減されうる。本明細書で使用されるように、高温またはヒロック誘発性温度は、開示される処理を受けない、匹敵するアルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムにおいてヒロックを生成することになる温度である。一部の実施形態では、ヒロック誘発性温度は、85℃以上、100℃以上、200℃以上または500℃以上である。本明細書で使用されるように、「熱誘発式ヒロック形成(heat−induced hillock formation)」という用語は、高温にさらすことによって生じるヒロック形成を指す。
アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムは、一部の実施形態ではこれらの高温を受け、他の実施形態では受けない。一部の実施形態では、本明細書で述べる方法によって生成されるアルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムは、こうしたフィルムが実際に高温にさらされる否かによらず、高温を受ける場合、ヒロック形成の低減を示すであろう。一部の実施形態では、下位層の少なくとも一部は、アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムが高温を受ける前に除去される。他の実施形態では、下位層は、アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムが高温を受ける前に除去されない。ある実施形態では、図10HのMEMSデバイスは、犠牲層115および処理済み犠牲部分145が除去された後の、貯蔵中に高温を受ける。この実施形態では、犠牲層115の表面を処理することは、上位層140のキャビティ側表面155上に形成されるヒロックを低減する。一部の実施形態では、ヒロック形成は、温度以外の条件によって引き起こされる。
本明細書で述べる干渉変調器および干渉ディスプレイデバイスは、ディスプレイを備える装置、ディスプレイと通信するよう構成されるプロセッサであって、画像データを処理するよう構成される、プロセッサ、および、プロセッサと通信するよう構成されるメモリデバイスに組込まれうる。一部の実施形態では、装置は、さらに、少なくとも1つの信号をディスプレイに送出するよう構成されたドライバ回路、またこれらの実施形態の一部では、画像データの少なくとも一部分をドライバ回路に送出するよう構成されたコントローラを備えうる。他の実施形態では、装置は、画像データをプロセッサに送出するよう構成された画像源モジュールであって、任意選択で、受信機、送受信機、送信機またはその何らかの組合せを備える、画像源モジュールを備えうる。装置はまた、入力データを受信し、入力データをプロセッサに通信するよう構成された入力デバイスを備えうる。
干渉変調器は、図9および10に示すように、上述した方法に従って構築される。この例は、処理済み犠牲部分145上に形成されたアルミニウムを含有する第2導電性上位層140がヒロック形成(たとえば、熱誘発式ヒロック形成)の低減を特徴とするように、図9のステップ235にて犠牲層の表面を処理する実施形態を述べる。本発明の実施形態はまた、処理のパラメータが変わる(たとえば、温度、圧力、処理時間、電力、流量および/またはこの例で開示されるガスが変動する)関連する方法を含むことが理解される。
プラズマエッチチャンバは、(チャンバの真空排気後に)プラズマを生成するために、カソードとアノードとの間に印加される直流電力の約900ワットの電力レベルで、犠牲層を処理するのに使用される。チャンバは、適切な量の六フッ化硫黄ガスおよび酸素ガスが約20秒間チャンバ内に流れる状態で約50mTの圧力に維持される。ガスの流量は、有効流量を確定するために変わる。六フッ化硫黄は約30sccmのレートで給送され、酸素は約200sccmのレートで給送される。処理プロセスは、約25℃で行われるが、プラズマは、外部熱が全く供給されない状態で、温度の上昇をもたらす可能性がある。(温度上昇をもたらす可能性があるプラズマによって生じる加熱を除いて、この実施形態では、別個の基材加熱は全く使用されない)。
アルミニウムを含有する第2導電性層が処理済み犠牲層上に形成され、犠牲層を除去することによってキャビティが形成された後、装置は、85℃より高い温度にさらされる。アルミニウム含有層は、上述したように、犠牲層が処理されない匹敵する装置と比較すると、ヒロック形成の低減を特徴とする。
酸素と六フッ化硫黄が共に、約100sccmのレートで給送されることを除いて、干渉変調器は、上述したように構築されうる。類似の結果が得られる。
一部の実施形態では、図9のステップ235における犠牲層の処理は、処理済み(酸化済み)犠牲部分145と上位層(たとえば、上位層140)との間の相互作用に影響を及ぼすように、犠牲層115を酸化することであって、それにより、上位層または上位層に機械的に結合する他の層に対する考えられる損傷をなくす、または、低減する、酸化することを含む。
たとえば干渉変調器などのMEMSデバイスの場合、犠牲層115は、デバイスの支持構造135を形成するためにパターニングされる。犠牲層115は、メカニカル層(たとえば、上位層140)と、一部の実施形態で誘電性層110を覆って形成されてもよいエッチストップ層(図示せず)との間に空間を形成する。デバイスを形成するときの最終ステップは、エッチストップ層からメカニカル層をリリースするために犠牲層を除去することであり、それにより、画素エリアにキャビティが形成される。
一部の実施形態では、メカニカル層(たとえば、上位層140)は、エッチホールまたは開口をパターニングされる。犠牲層15の除去は、犠牲材料に接触するように、これらのホールおよび開口を通してXeF2ガスなどの乾式エッチャントを流すことによって達成されうる。XeF2は、犠牲材料に接触するため、一般に、犠牲材料を、下にエッチングし始め、その後、横方向に成長する半径方向パターンでエッチングする。たとえば、米国特許公報第2006−0076311号の図14を参照されたい。エッチングは、画素全体にわたって異なるホールで始動され、横方向のリリースは、一般に、下方向より遅いレートで進むため、通常のリリースの最終段階は、囲まれたまたは残った多くのアイランドまたは支柱の形成をもたらすことが多い。たとえば、米国特許公報第2006−0076311号の図17〜18を参照されたい。アイランドは、容積が徐々に減少するため、これらのアイランドは、メカニカル層から加えられる機械的応力の高い集中を有するピボット点として役立ちうる。これらの支柱における応力の高い集中は、メカニカル層が、支柱の下の層(たとえば、図10の誘電性層110)を引張り、最終的には層を剥離させうる。この望ましくない結果は、リリースブレークダウンと呼ばれ、こうしたブレークダウンは、リリースエッチャントに敏感な、エッチストップ層の下に埋め込まれた層のアタック(リリースアタックと呼ばれる)をもたらす可能性がある。
下位層が上述したように損傷を受けることを防止する一方法は、リリースブレークダウンが始動する前に、メカニカル層がエッチストップ層から分離できるように、犠牲層の表面を酸化させることであることが見出された。換言すれば、アイランドまたは支柱が形成される機会を得る前に、メカニカル層は犠牲層から迅速に自由になりうる。
リリースアタックは、1つまたは複数の犠牲層のリリースエッチ中に、エッチストップ層(複数可)に対する応力誘発式損傷を界面改変によって防止することによって低減されうる。一部の実施形態では、界面改変は、本明細書で述べる犠牲層の処理を含む。ある実施形態では、処理は酸化を含む。そのため、ステップ235にて実施される一部の実施形態の酸化処理は、未酸化犠牲層115と比較して酸化済み犠牲層145のより高速なエッチングを促進するため、酸化済み犠牲層145と上位層140との間の付着を低下させるため、または、その両方のための、界面改変を目的として行われてもよい。
酸化済み犠牲層145および未酸化犠牲層115などの多層犠牲スタックの場合、酸化済み犠牲層が、下位未酸化犠牲層115より速いレートでエッチングすると、上位層140と酸化済み犠牲層145との間の界面は、有意のアイランド形成が行われる前に分離する傾向があることになることが見出された。さらに、酸化済み犠牲層145と上位層140との間の付着力は、プラズマ酸化などの界面改変によって弱くさせられる場合、分離プロセスをさらに高めることになる。同様に、酸化済み犠牲層145と未酸化犠牲層115との間の付着力は、プラズマ酸化などの処理によって弱くさせられる場合、同様に分離プロセスを高めることになる。同様に、いずれの2つの犠牲層も、互いに物理的にくっ付かないため、犠牲層のより大きな表面積が、エッチャントにさらされる。この露出エリアは、垂直方向下または垂直方向上にエッチングされるのに利用可能であり、このメカニズムは、横方向リリース成分がそれほど大きくないため、アイランド形成を抑制しうる。
これらの実施形態の界面改変技法は、熱(または加熱)処理、湿式処理、酸化、プラズマ処理、犠牲層(複数可)の界面における薄層の堆積またはその組合せを含むが、それに限定されない。これらの界面改変処理は、必ずしも、犠牲層(複数可)の堆積と共にその場で実施される必要はない。これらの処理は、単一層と多層犠牲スタックの両方について行われうる。本明細書で述べる処理(複数可)と組み合わせた、犠牲材料および厚さの正しい混合によって、適切に処理された犠牲層の単一層が、リリースブレークダウンおよび/またはリリースアタック問題に対する解決策を提供するのに十分であることが見出された。
この実施形態の態様では、プロセス200のステップ235にて実施される酸化処理は、加熱処理を含む。たとえば、モリブデン犠牲層の加熱処理は、プロセス200のステップ245におけるリリースエッチによる犠牲層の除去中に、上位/下位層(複数可)に対する損傷を防止するのに有効であることが示された。別の態様では、ステップ235にて実施される酸化処理は、約60分間、約350℃の酸素プラズマでモリブデン犠牲層を処理することを含む。これらの態様の両方において、誘電性層110などの下側層の損傷をもたらすリリースブレークダウンまたはリリースアタックが実質的に全く存在しなかった。両方の態様は、酸化済み犠牲層145のエッチングレートの増加および/または酸化済み犠牲層145と周囲層との間の付着の低下を示した。
一部の実施形態では、図9のステップ235における犠牲層の処理は、犠牲層の酸化が、ステップ235にて酸化済み犠牲部分を形成して、酸化の前の犠牲層115の表面と比べて平滑な酸化済み犠牲部分(たとえば、層145)の表面を提供するための酸化条件を選択することを含む。酸化済み犠牲層145を形成するために犠牲層115の表面を処理することは、酸化済み犠牲層145を除去した後に上位層140の表面粗さを低減しうることが見出された。この平滑化は、上位層140の優れた光学品質をもたらす可能性があり、それにより、この平滑化処理を使用して形成される干渉変調器などの光MEMSデバイスの品質を改善する。
干渉変調器などの光MEMSデバイスでは、可動反射層のキャビティ側表面の粗さは、デバイスの光学性能特性にとって非常に重要である。可動反射層の不良の粗さは、明るい(たとえば、作動)状態と暗い(たとえば、非作動)状態との間の低いコントラスト比をもたらしうる。これは、低いディスプレイデバイス品質をもたらしうる。平滑化処理が、電気応答特性を改善しうる(たとえば、より広くかつより一貫性のあるヒステリシス窓を提供する)ことも見出された。
干渉変調器の製造時にこの平滑化処理を利用する例では、酸化処理は、モリブデン犠牲層115の表面上にN2Oを用いた処理を含んだ。酸化済みモリブデン犠牲層145を形成するために、モリブデン犠牲層115の表面を処理することが、酸化済みモリブデン犠牲層145の除去後に上位層140の表面粗さを低減しうることが見出された。この例では、モリブデン犠牲層の堆積後に実施される300kwN2O処理が、酸化済みモリブデン犠牲層の表面を十分に平滑化し、(XeF2エッチングを使用した)酸化済みモリブデンのリリース後に上位光学層の表面粗さのかなりの改善をもたらした。
この300kwN2O処理によって表面粗さが70%以上改善されることを、試験が示した。具体的には、N2O処理がない場合、7.321nmのRms(Rq)表面粗さが観測されることを、試験が示した。N2O処理がある場合、Rms(Rq)表面粗さは、2.221nmに低減された。
さらに、この300kwN2O処理が、ディスプレイデバイス用のより大きくかつより一貫性のあるヒステリシス窓をもたらすことを、これらの試験が示した。より大きなヒステリシス窓(図3においてほぼ+Vbiasまたは−Vbiasに中心を持つヒステリシスまたは安定性窓の幅)は、作動およびリリース電圧レベルの観点から干渉変調器の信頼性を改善しうるため望ましい。さらに、ウェハ基材上で製造されるディスプレイパネルのセットは、より均一なまたは一貫性のあるヒステリシス窓幅を示した。
干渉変調器を備えるディスプレイアレイのセットは、N2O処理なしで製造されるとき、約0.5ボルト〜約2.0ボルトの範囲の(約0.93ボルトの平均を有する)ヒステリシス窓幅を示した。N2O処理がある場合、ディスプレイアレイのセットは、約2.8ボルト〜約3.3ボルトの範囲の(約3.1ボルトの平均を有する)ヒステリシス窓幅を示した。そのため、平均ヒステリシス窓は、幅が3倍以上になり、また、ウェハ基材上のディスプレイデバイス間の変動はずっと小さかった。
さらに、N2Oで処理されたディスプレイデバイスはまた、明るい状態対暗い状態の反射光の高いコントラスト比を示した。未処理ディスプレイアレイのセットは、約4.1の平均を有する約1.6〜約7.8の範囲のコントラスト比を示した。N2Oを用いて処理されたディスプレイアレイのセットは、約10.0の平均を有する約5.2〜約11.5の範囲のコントラスト比を示した。そのため、N2O処理されたディスプレイアレイの平均コントラスト比は、未処理ディスプレイアレイの平均コントラスト比の2倍以上であった。
表面粗さ、コントラスト比およびヒステリシス窓幅のこうした改善は全て、結果得られるディスプレイデバイスの性能を改善しうる。さらに、N2O処理を使用して同じウェハ基材上で製造されるディスプレイデバイスの改善された均一性はまた、製造されるディスプレイデバイスの受入収率を改善しうる。
一部の実施形態では、ステップ235の処理は、犠牲層115としてモリブデンを使用することに対して固有の問題を解決するために実施される。しかし、これらの実施形態の処理は、タンタルまたはタングステン犠牲層などの、他の犠牲層について使用されうる。犠牲層としてモリブデンを使用するときに、2つの問題が起こることが見出された。第1の問題は、プロセス200のステップ245における犠牲層の除去後に不純物が残ることを含む。これらの不純物は、磨耗残留物として知られる。磨耗残留物は、干渉変調器のキャビティの光学品質を劣化させうる。第2の問題は、プロセス200のステップ220における犠牲層の堆積中に犠牲層内に形成されるピンホール(すなわち、小さなボイド)と関係がある。これらのピンホールは、干渉変調器などのMEMSデバイスにおいて、たとえば、行電極と列電極との間で漏電をもたらしうる。行電極と列電極との間でのこの漏電は、RC漏れとして知られる。ピンホールは、2つの方法でRC漏れを引き起こしうる。第1に、ステップ225にて支持構造アパーチャをエッチングするのに使用されるエッチャントが、犠牲層内のピンホールを通して浸入し、光スタックの下位光学層に損傷を与え、導電性層間の短絡をもたらす可能性がある。第2に、犠牲層を覆って堆積される上位層が、ピンホールを充填し、犠牲層が除去された後に、上位層上に粗い反射表面をもたらしうる。
モリブデンに関連するRC漏れとピンホールの両方の問題は、図9のステップ235における犠牲層の処理の一部の実施形態を実施することによって低減されうることが見出された。これらの実施形態は、酸化、塩素化、フッ素化、ニトロ化および/または窒化処理などの処理を選択すること、および、処理する前の犠牲層115と比較して、上側処理済み犠牲層(層145)および下側の実質的に未処理の犠牲層(層115)の結合厚さを増加させる処理条件を選択することを含む。
一態様では、処理によって犠牲層の容積を拡張することは、第1厚さを有する犠牲層(たとえば、モリブデン、タンタルまたはタングステン)の形成後に、犠牲層の厚さを第2厚さまで増加させる方法を提供する。そのため、第2厚さの犠牲層を形成するのに、少ない犠牲材料が必要とされる。少ない犠牲材料が使用されるため、少ない磨耗残留物が犠牲層の除去から生じうる。さらに、犠牲材料に応じて、処理済み犠牲材料はまた、未処理犠牲材料に比べてきれいにエッチングし、少ない磨耗残留物をもたらす可能性がある。
別の態様では、犠牲層の容積の拡張は、たとえば犠牲層としてモリブデンを使用するときに、犠牲層内に形成することが見出されたピンホールを低減するかまたはなくしうる。犠牲(たとえば、モリブデン)層内のピンホールは、酸化処理中の犠牲層の横方向拡張によって閉鎖されうる。
犠牲層としてモリブデンが使用され、処理として酸化が使用される実施形態では、ステップ235の処理によって、モリブデン酸化物層145が、少なくとも未酸化のモリブデン犠牲層115の表面上に形成される。酸化の量および酸化処理の性質に応じて、異なるモリブデン酸化物が形成されうる。最も安定なモリブデン酸化物が、MoO3である傾向があることが見出された。モリブデンの密度が約10.3kg/cm3であり、また、MoO3の密度が約4.7kg/cm3であるとすると、モリブデン犠牲層は、酸化中に容積の拡張を受けることになる。そのため、たとえば、モリブデンが一方向に(たとえば、基材に垂直に)拡張できるだけである制約された実施形態では、MoO3層の厚さは、酸化する前の未酸化モリブデン層の厚さの3.3倍ほどの大きさになるであろう。
一部の実施形態では、パッシベーション層が、モリブデン酸化物層を覆って形成される。たとえば、SiO2が、プロセス200のステップ240において形成される上位層140を堆積する前に堆積されうる。上位層140は、さらに、パッシベーション層を覆って形成される第2導電性層を含みうる。パッシベーション層は、ステップ245の酸化済み犠牲層145の除去中に酸化済み犠牲層145が、第2導電性層から分離することを補助するのに役立つ。これらの実施形態では、ステップ235の酸化処理は、Cl2、Fl2、O2および/またはN2Oなどのようなガスを用いた処理を含みうる。
モリブデンの酸化によって、小さなピンホールなどの小さなボイドを充填するような犠牲層の拡張、ならびに、干渉キャビティの深さを規定するのに十分な深さまでの、基材に垂直な方向への拡張がもたらされることを立証するための実験が行われた。
図11は、酸化によって処理されたモリブデンの拡張特性を立証するための実験で使用される多層スタックの例を示す。多層スタック250は、シリコン基材255上に形成される。第1モリブデン層260はシリコン基材255上に堆積される。SiO2層265は、その後、第1モリブデン層260を覆って堆積される。第2モリブデン層270は、その後、SiO2層265を覆って堆積される。図11に示す実施形態では、第1および第2モリブデン層260および270は、それぞれ、(基材255に垂直に測定すると)深さが2000Åであり、SiO2層265は深さが450Åである。
第2モリブデン層270の形成後に、穴280が、モリブデン層270内にパターニングされる。穴280の形成後に、第2モリブデン層270をアンダーカットするためにSiO2層265がエッチングされ、それにより、第1モリブデン層260と第2モリブデン層270との間に小さなキャビティ285が形成される。キャビティ285の横方向寸法は約6000Åである。
キャビティ285の形成後に、多層スタック250が、CVDチャンバ内に設置され、酸化を受ける。これらの実験で使用される特定の酸化は、酸素プラズマ酸化プロセスであった。しかし、熱酸化などの他の酸化プロセス(高温が考えられるため、場合によっては好ましくないが)が使用されてもよい。CVDチャンバ内での約180分の酸化後に、キャビティ285は、酸化によって実質的に閉鎖され、第1および第2モリブデン層260および270の拡張をもたらす。こうして、モリブデンの酸化が、上述したピンホールなどの小さなボイドを充填するという実行可能な解決策でありうることを、実験が立証する。
酸化以外の処理もまた、犠牲層を効果的に拡張しうる。表1は、フッ素化、ニトロ化、塩素化および酸化が、モリブデン、シリコン、タングステンおよびゲルマニウムの容積にどのように影響を及ぼすかを示す。フッ素、窒素、シリコン、塩素または酸素を用いた処理後に、モリブデンの溶液は、以下の表1に示すように、未処理条件と比較して増加する(MoF3、MoF5、MoN、MoSi2、MoO2、MoO3およびMoCl3のモル容積を表1のMoのモル容積と比較されたい)。同様に、シリコン窒化物およびシリコン酸化物のモル容積はシリコンのモル容積より大きく、フッ化ゲルマニウムのモル容積はゲルマニウムのモル容積より大きく、タングステン窒化物、タングステン塩化物およびタングステン酸化物のモル容積はタングステンのモル容積より大きい。フッ素、窒素、シリコン、塩素および/または酸素を用いた犠牲層の処理が、犠牲層を効果的に拡張しうることを、これらの分析が示す。こうして、所与の犠牲層の厚さを提供するために、より少ないこれらの犠牲材料が使用され、それにより、コストが節約され、製造プロセスの効率が改善される。
表1はまた、未処理Moをエッチングするのに必要とする量に対する、犠牲材料(未処理材料および処理済み材料)をエッチングするのに必要とするXeF2の化学量論的量の比を挙げる。見てわかるように、ほぼ全ての処理済み材料は、エッチングされるために、未処理Moと比べて少ないXeF2を必要とする。少ないXeF2を使用することによって、コストが低減され、製造プロセスの効率が改善されうる。
先の詳しい説明は、種々の実施形態に適用されたときの新規の特徴を示し、述べ、指摘したが、示すデバイスまたはプロセスの形態および詳細において種々の省略、置換および変更が、開示されたものから逸脱することなく行われてもよいことが理解されるであろう。認識されるように、本発明は、一部の特徴が他の特徴と別々に使用されるかまたは実施されるため、本明細書で述べる特徴および利益の全てを提供するわけではない形態内で具現化されてもよい。
以下の詳細な説明は、ある特定の実施形態を対象とする。しかし、本明細書の教示は、複数の異なる方法で適用されうる。本説明では、同じ部品が全体を通して同じ数字で指定される図面に対して参照が行われる。実施形態は、動いていようと(たとえば、ビデオ)、静止していようと(たとえば、静止画像)、また、テキストであろうと、絵であろうと、画像を表示するよう構成されている任意のデバイスにおいて実施されてもよい。より詳細には、実施形態は、限定はしないが、移動体電話、無線デバイス、携帯情報端末(PDA)、手持ち式または可搬型コンピュータ、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤ、カムコーダ、ゲームコンソール、腕時計、クロック、計算機、テレビモニタ、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニタ、自動車ディスプレイ(たとえば、オドメータディスプレイなど)、コックピットコントロールおよび/またはディスプレイ、カメラビューのディスプレイ(たとえば、車両のリアビューカメラのディスプレイ)、電子写真、電子ビルボードまたはサイン、投影器、建築構造、パッケージングおよび美的構造(たとえば、一個の宝石上への画像の表示)などの種々の電子デバイス内で、または、それに関連して実施されてもよいことが考えられる。本明細書で述べる構造と類似の構造のMEMSデバイスはまた、電子スイッチングデバイスなどの非ディスプレイ用途で使用されうる。
MEMSデバイスは金属反射層を含みうる。たとえば、MEMSデバイスは、キャビティによって基材から分離された可動層を含みうる。キャビティの形成は、犠牲層の形成と、それに続く上位層の形成を含みうる。以下で説明される方法の1つまたは複数を使用して犠牲層(または、他の下位層)を処理することは、犠牲層の除去中かつ/または除去後に、犠牲層および/または上位層の1つまたは複数の特性を改善しうることが見出された。一部の実施形態では、処理することは犠牲層を酸化させることを含む。一部の実施形態では、処理済み層上に形成される上位層(たとえば、アルミニウムおよび/または銀を含む層)は、ヒロックを形成する傾向が減少する。たとえば、熱または応力は、これらのヒロックの形成を誘発する可能性がある。一部の実施形態では、下位層のエッチレートが増加し、それにより、犠牲層の除去中に、上位層にかかる応力が少なくなり、また、上位層に損傷を与える可能性が減少する。一部の実施形態では、犠牲層の厚さは、同じ量の未処理材料によって提供される厚さと比べて、所与の量の材料について増加する。一部の実施形態では、上位層と処理済み犠牲層との付着は、上位層と未処理犠牲層との付着と比べて減少する。一部の実施形態では、処理は、犠牲層内で形成されたピンホールを閉鎖し、犠牲層の除去中に他の層に対する損傷を防止する。なお他の実施形態では、犠牲層を処理することは、処理する前の犠牲層の表面より平滑な表面を提供する。
干渉MEMSディスプレイ要素を備える1つの干渉変調器ディスプレイの実施形態は、図1に示される。これらのデバイスでは、画素は、明るい状態かまたは暗い状態にある。明るい(「弛緩(relaxed)」または「オープン(open)」)状態では、ディスプレイ要素は、入射可視光の大部分をユーザに反射する。暗い(「作動(actuated)」または「クローズ(closed)」)状態にあるとき、ディスプレイ要素は、入射可視光をユーザにほとんど反射しない。実施形態に応じて、「オン」状態の光反射特性と「オフ」状態の光反射特性が逆になってもよい。MEMS画素は、選択されたカラーにおいて主として反射するよう構成され、白黒に加えてカラー表示が可能になる。
図1は、各画素がMEMS干渉変調器を備える視覚ディスプレイの一連の画素内の2つの隣接画素を示す等角図である。一部の実施形態では、干渉変調器ディスプレイは、これらの干渉変調器の行/列アレイを備える。各干渉変調器は、少なくとも1つの可変寸法を有する共振光ギャップを形成するために、互いから可変でかつ制御可能な距離に配置された一対の反射層を含む。一実施形態では、反射層の一方は、2つの位置の間で移動してもよい。本明細書で弛緩位置と呼ばれる第1位置では、可動反射層は、固定された部分反射層から比較的遠い距離に配置される。本明細書で作動位置と呼ばれる第2位置では、可動反射層は、部分反射層により密接に隣接して配置される。2つの層から反射する入射光は、可動反射層の位置に応じて建設的にまたは破壊的に干渉し、各画素について全体的な反射状態または非反射状態を生成する。
図1の画素アレイの示す部分は、2つの隣接する干渉変調器12aおよび12bを含む。左の干渉変調器12aでは、可動反射層14aは、部分反射層を含む光スタック16aから所定距離の弛緩位置にある状態で示される。右の干渉変調器12bでは、可動反射層14bは、光スタック16bに隣接する作動位置にある状態で示される。
本明細書で参照される、(ひとまとめに、光スタック16と呼ばれる)光スタック16aおよび16bは、通常、いくつかの溶融層を備え、溶融層は、酸化インジウム錫(ITO)などの電極層、クロムなどの部分反射層および透明誘電体を含みうる。そのため、光スタック16は、導電性があり、部分的に透明であり、部分的に反射性であり、たとえば上記層の1つまたは複数を透明基材20上に堆積することによって作製されてもよい。部分反射層は、種々の金属、半導体および誘電体などの部分的に反射性である種々の材料から形成されうる。部分反射層は、1つまたは複数の材料層で形成され、層はそれぞれ、単一材料または材料の組合せで形成されうる。
一部の実施形態では、光スタック16の層は、平行ストリップにパターニングされ、以下でさらに述べるように、ディスプレイデバイス内に行電極を形成してもよい。可動反射層14a、14bは、ポスト18の上部およびポスト18間に堆積される介在する犠牲材料上に堆積される列を形成するために、(16a、16bの行電極に垂直な)1つまたは複数の堆積金属層の一連の平行ストリップとして形成されてもよい。犠牲材料がエッチング除去されると、可動反射層14a、14bは、画定されたギャップ19によって光スタック16a、16bから分離される。アルミニウムなどの導電性が高くかつ反射性が強い材料が、反射層14のために使用され、これらのストリップは、ディスプレイデバイスの列電極を形成してもよい。図1は、一定比例尺によらなくてもよいことに留意されたい。一部の実施形態では、ポスト18間の間隔は、10〜100μm程度であってよいが、ギャップ19は、<1000Å程度でああってよい。
電圧が印加されない場合、ギャップ19は、可動反射層14aと光スタック16aとの間に留まり、そのとき、可動反射層14aは、図1の画素12aで示すように、機械的に弛緩状態にある。しかし、選択された行および列に電位(電圧)差が印加されると、対応する画素の行電極と列電極の交差部に形成されたキャパシタが充電され、静電力が電極を引寄せる。電圧が十分に高い場合、可動反射層14は、変形し、光スタック16に押しつけられる(force against)。光スタック16内の誘電性層(この図では示さず)は、短絡を防止し、図1の右の作動画素12bで示すように、層14と16との間の分離距離を制御してもよい。挙動は、印加される電位差の極性によらず同じである。
図2〜5は、ディスプレイ用途において干渉変調器のアレイを使用する1つの例示的なプロセスおよびシステムを示す。
図2は、干渉変調器を組込んでもよい電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。電子デバイスは、プロセッサ21を含み、プロセッサ21は、ARM(登録商標)、Pentium(登録商標)、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)またはALPHA(登録商標)などの任意の汎用シングルチップまたはマルチチップマイクロプロセッサ、あるいは、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラまたはプログラマブルゲートアレイなどの任意の専用マイクロプロセッサであってよい。当技術分野で慣例であるように、プロセッサ21は、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するよう構成されてもよい。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサは、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、emailプログラムまたは任意の他のソフトウェアアプリケーションを含む1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するよう構成されてもよい。
一実施形態では、プロセッサ21はまた、アレイドライバ22と通信するよう構成される。一実施形態では、アレイドライバ22は、ディスプレイアレイまたはパネル30に信号を供給する行ドライバ回路24および列ドライバ回路26を含む。図1に示すアレイの断面は、図2のライン1−1によって示される。図2は、簡潔にするために干渉変調器の3×3アレイを示すが、ディスプレイアレイ30は、非常に多数の干渉変調器を含んでもよく、また、列と比べて行において異なる数の干渉変調器(たとえば、1行当たり300画素×1列当たり190画素)を有してもよいことが留意される。
図3は、図1の干渉変調器の1つの例示的な実施形態についての、可動ミラー位置と印加電圧の図である。MEMS干渉変調器の場合、行/列作動プロトコルは、図3に示すこれらのデバイスのヒステリシス特性を利用してもよい。干渉変調器は、可動層が弛緩状態から作動状態に変形するようにさせるために、たとえば10ボルト電位差を必要とする可能性がある。しかし、電圧がその値から減少すると、電圧が10ボルト未満に低下するため、可動層はその状態を維持する。図3の例示的な実施形態では、可動層は、電圧が2ボルト未満に低下するまで、完全には弛緩しない。そのため、図3に示す例には、約3〜7Vの印加電圧の範囲が存在し、デバイスが、その中では弛緩状態または作動状態において安定である印加電圧の窓が存在する。これは、本明細書では、「ヒステリシス窓(hysteresis window)」または「安定性窓(stability window)」と呼ばれる。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイの場合、行/列作動プロトコルは、行ストローブ中に、作動されるはずのストローブされた行の画素は、約10ボルトの電圧差にさらされ、弛緩されるはずの画素は、ゼロボルトに近い電圧差にさらされるように設計されうる。ストローブ後、行ストローブが画素をどの状態に置こうともその状態に画素が留まるように、画素は、約5ボルトの定常状態またはバイアス電圧差にさらされる。書き込まれた後、各画素は、この例では、3〜7ボルトの「安定性窓」内の電位差を見る。この機構は、作動または弛緩の前もって存在する状態における同じ印加電圧条件下で、図1に示す画素デザインを安定にさせる。干渉変調器の各画素が、作動状態であれ、弛緩状態であれ、本質的に固定反射層と移動反射層によって形成されるキャパシタであるため、この安定状態は、電力消費がほとんどない状態で、ヒステリシス窓内の電圧で保持されうる。本質的に、印加電位が固定される場合、電流は画素内に流れない。
以下でさらに述べるように、通常の用途では、画像のフレームは、第1行内の作動画素の所望のセットに従って列電極のセットにわたってデータ信号(それぞれが一定の電圧レベルを有する)のセットを送出することによって作成することができる。行パルスが、次に、行1電極に印加され、データ信号のセットに相当する画素を作動する。データ信号のセットは、次に、第2行内の作動画素の所望のセットに対応するように変更される。パルスは、次に、第2行電極に印加され、データ信号に従って第2行の適切な画素を作動する。第1行の画素は、第2行パルスによって影響を受けず、第1行パルス中にセットされた状態のまま留まる。これは、フレームを生成するために、逐次方式で行の全シリーズについて繰返されてもよい。一般に、フレームは、1秒についてある所望のフレーム数でこのプロセスを連続して繰返すことによって、リフレッシュされかつ/または新しい画像データによって更新される。画像フレームを生成するための、画素アレイの行および列電極を駆動するいろいろなプロトコルが使用されてもよい。
図4および5は、図2の3×3アレイに関するディスプレイフレームを作成するための1つの考えられる作動プロトコルを示す。図4は、図3のヒステリシス曲線を示す画素について使用されてもよい列および行電圧レベルの考えられるセットを示す。図4の実施形態では、画素を作動させることは、適切な列を−Vbiasに、適切な行を+ΔVにセットすることを含み、両者は、それぞれ、−5ボルトおよび+5ボルトに相当してもよい。画素を弛緩させることは、適切な列を+Vbiasに、適切な行を同じ+ΔVにセットすることによって達成され、画素にわたるゼロボルト電位差を生成する。行電圧がゼロボルトに保持されるこれらの行では、列が+Vbiasであるか、または、−Vbiasであるかによらず、画素は、画素が元々どの状態にあってもその状態で安定である。図4に同様に示すように、上述した電圧と逆極性の電圧が使用されうる。たとえば、画素を作動させることは、適切な列を+Vbiasに、適切な行を−ΔVにセットすることを含みうる。この実施形態では、画素を解除する(release)ことは、適切な列を−Vbiasに、適切な行を同じ−ΔVにセットし、画素にわたってゼロボルト電位差を生成することによって達成される。
図5Bは、作動画素が非反射性である図5Aに示すディスプレイ配置構成をもたらすことになる図2の3×3アレイに印加される一連の行および列信号を示すタイミング図である。図5Aに示すフレームを書き込む前に、画素は、任意の状態でありうる。この例では、全ての行が最初に0ボルトであり、全ての列が+5ボルトである。これらの印加電圧によって、全ての画素が、既存の作動状態または弛緩状態で安定である。
図5Aのフレームでは、画素(1,1)、(1,2)、(2,2)、(3,2)および(3,3)が作動される。これを達成するために、行1用の「線時間(line time)」中に、列1および2が−5Vにセットされ、列3が+5ボルトにセットされる。これは、全ての画素が3〜7ボルト安定性窓内に留まるため、いずれの画素の状態も変更しない。行1は、次に、0ボルトから5ボルトまで上がり、再びゼロに戻るパルスでストローブされる。これは、(1,1)および(1,2)画素を作動し、(1,3)画素を弛緩させる。アレイ内の他の画素は影響を受けない。行2を所望の状態にセットするために、列2が−5Vにセットされ、列1および3が+5ボルトにセットされる。次に、行2に印加される同じストローブが、画素(2,2)を作動し、画素(2,1)および画素(2,3)を弛緩させることになる。やはり、アレイの他の画素は影響を受けない。行3は、列2および3を−5Vにセットし、列1を+5ボルトにセットすることによって同様にセットされる。行3ストローブは、図5Aに示すように行3の画素をセットする。フレームを書き込んだ後、行電位はゼロであり、列電位は+5ボルトまたは−5ボルトに留まることができ、ディスプレイは、そのため、図5Aの配置構成において安定である。同じプロシジャが、何十または何百もの行および列のアレイについて使用されうる。行および列作動を実施するのに使用されるタイミング、シーケンスおよび電圧レベルは、先に概説した一般的な原理内で幅広く変わる可能性があり、上記例は例示に過ぎず、本明細書で述べるシステムおよび方法に関して任意の作動電圧法が使用されうる。
図6Aおよび6Bは、ディスプレイデバイス40の実施形態を示すシステムブロック図である。ディスプレイデバイス40は、たとえば、携帯電話または移動体電話でありうる。しかし、ディスプレイデバイス40の同じコンポーネントまたはそのわずかの変形もまた、テレビおよび可搬型メディアプレーヤなどの種々のタイプのディスプレイデバイスを示す。
ディスプレイデバイス40は、ハウジング41、ディスプレイ30、アンテナ43、スピーカ45、入力デバイス48およびマイクロフォン46を含む。ハウジング41は、一般に、射出成形および真空成形を含む種々の製造プロセスの任意のプロセスから形成される。さらに、ハウジング41は、限定はしないが、プラスチック、金属、ガラス、ゴムおよびセラミックまたはその組合せを含む種々の材料の任意の材料から作成することができる。一実施形態では、ハウジング41は、異なるカラーの他の取外し可能部分と交換されてもよい、または、異なるロゴ、絵またはシンボルを含む取外し可能部分(図示せず)を含む。
例示的なディスプレイデバイス40のディプレイ30は、本明細書で述べるように、双安定ディスプレイを含む種々のディスプレイの任意のディスプレイであってよい。他の実施形態では、ディプレイ30は、上述したように、プラズマ、EL、OLED、STN LCDまたはTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイあるいはCRTまたは他の真空管デバイス(tube device)などの非フラットパネルディスプレイを含む。しかし、本実施形態を述べる目的で、ディプレイ30は、本明細書で述べるように、干渉変調器ディスプレイを含む。
例示的なディスプレイデバイス40の一実施形態のコンポーネントは、図6Bに概略的に示される。示す例示的なディスプレイデバイス40は、ハウジング41を含み、ハウジング41内に少なくとも部分的に閉囲されるさらなるコンポーネントを含みうる。たとえば、一実施形態では、例示的なディスプレイデバイス40は、送受信機47に結合するアンテナ43を含むネットワークインタフェース27を含む。送受信機47は、コンディショニングハードウェア52に接続されるプロセッサ21に接続される。コンディショニングハードウェア52は、信号を調節する(たとえば、信号をフィルタリングする)よう構成されてもよい。コンディショニングハードウェア52は、スピーカ45およびマイクロフォン46に接続される。プロセッサ21はまた、入力デバイス48およびドライバコントローラ29に接続される。ドライバコントローラ29は、フレームバッファ28およびアレイドライバ22に結合され、アレイドライバ22はディスプレイアレイ30に結合される。電源50は、特定の例示的なディスプレイデバイス40のデザインによる要求に応じて全てのコンポーネントに電力を供給する。
ネットワークインタフェース27は、アンテナ43および送受信機47を含むため、例示的なディスプレイデバイス40は、ネットワークを通じて1つまたは複数のデバイスと通信しうる。一実施形態では、ネットワークインタフェース27はまた、プロセッサ21の要求を軽減するためのある処理能力を有してもよい。アンテナ43は、信号を送受信するための、任意のアンテナである。一実施形態では、アンテナは、IEEE 802.11(a)、(b)または(g)を含むIEEE 802.11規格に従ってRF信号を送受信する。別の実施形態では、アンテナは、BLUETOOTH規格に従ってRF信号を送受信する。携帯電話の場合、アンテナは、CDMA、GSM、AMPS、W−CDMAまたは無線携帯電話ネットワーク内で通信するのに使用される他の知られている信号を受信するようデザインされる。送受信機47は、アンテナ43から受信される信号が、プロセッサ21によって受信されるか、または、プロセッサ21によってさらに操作されるように、信号を前処理する。送受信機47はまた、プロセッサ21から受信される信号が、アンテナ43を介して例示的なディスプレイデバイス40から送信されるように信号を処理する。
代替の実施形態では、送受信機47は受信機で置換えられうる。なお別の代替の実施形態では、ネットワークインタフェース27は、プロセッサ21に送出される画像データを格納するかまたは生成しうる画像源で置換えられうる。たとえば、画像源は、画像データを収容するデジタルビデオディスク(DVD)またはハードディスクドライブあるいは画像データを生成するソフトウェアモジュールでありうる。
プロセッサ21は、一般に、例示的なディスプレイデバイス40の全体の動作を制御する。プロセッサ21は、ネットワークインタフェース27または画像源から圧縮画像データなどのデータを受信し、データを処理して、未処理画像データに、または、未処理画像データになるように容易に処理されるフォーマットにする。プロセッサ21は、次に、処理済みデータを、ドライバコントローラ29にまたは格納のためにフレームバッファ28に送出する。未処理データは、通常、画像内の各ロケーションにおいて画像特性を識別する情報を指す。たとえば、こうした画像特性は、カラー、飽和度およびグレースケールレベルを含みうる。
一実施形態では、プロセッサ21は、例示的なディスプレイデバイス40の動作を制御するために、マイクロコントローラ、CPUまたはロジックユニットを含む。コンディショニングハードウェア52は、一般に、スピーカ45に信号を送信し、マイクロフォン46から信号を受信するための増幅器およびフィルタを含む。コンディショニングハードウェア52は、例示的なディスプレイデバイス40内のディスクリートコンポーネントであってよく、または、プロセッサ21または他のコンポーネント内に組込まれてもよい。
ドライバコントローラ29は、プロセッサ21によって生成された未処理画像データを、プロセッサ21から直接、または、フレームバッファ28から取得し、未処理データを、アレイドライバ22への高速通信のために適切にリフォーマットする。具体的には、未処理画像データが、ディスプレイアレイ30にわたって走査するのに適した時間順序を有するように、ドライバコントローラ29は、未処理画像データをラスタ様のフォーマットを有するデータフローにリフォーマットする。次に、ドライバコントローラ29は、フォーマットされた情報をアレイドライバ22に送出する。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29は、しばしば、独立型集積回路(IC)としてシステムプロセッサ21に関連付けられるが、こうしたコントローラは、多くの方法で実施されてもよい。コントローラは、ハードウェアとしてプロセッサ21内に埋め込まれてもよく、ソフトウェアとしてプロセッサ21内に埋め込まれてもよく、または、ハードウェアでアレイドライバ22と完全に一体化されてもよい。
通常、アレイドライバ22は、フォーマットされた情報をドライバコントローラ29から受信し、ビデオデータをリフォーマットして、ディスプレイの画素のx−yマトリクスから出てくる何百もの、時として何千ものリード線に対して、1秒当たり多数回印加される波形の並列なセットにする。
一実施形態では、ドライバコントローラ29、アレイドライバ22およびディスプレイアレイ30は、本明細書で述べるタイプのディスプレイのどれにとっても適切である。たとえば、一実施形態では、ドライバコントローラ29は、従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(たとえば、干渉変調器コントローラ)である。別の実施形態では、アレイドライバ22は、従来のディスプレイドライバまたは双安定ディスプレイライバ(たとえば、干渉変調器ディスプレイ)である。一実施形態では、ドライバコントローラ29は、アレイドライバ22と一体化される。こうした実施形態は、携帯電話、時計および他の小面積ディスプレイなどの高集積化システムにおいて一般的である。なお別の実施形態では、ディスプレイアレイ30は、通常のディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(たとえば、干渉変調器のアレイを含むディスプレイ)である。
入力デバイス48は、ユーザが例示的なディスプレイデバイス40の動作を制御することを可能にする。一実施形態では、入力デバイス48は、QWERTYキーボードまたは電話キーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、タッチ感応スクリーンあるいは圧力感応膜または熱感応膜を含む。一実施形態では、マイクロフォン46は、例示的なディスプレイデバイス40用の入力デバイスである。マイクロフォン46が、デバイスへの入力データに対して使用されるとき、例示的なディスプレイデバイス40の動作を制御するための音声コマンドが、ユーザによって提供されてもよい。
電源50は、当技術分野でよく知られているように、種々のエネルギー貯蔵デバイスを含みうる。たとえば、一実施形態では、電源50は、ニッケルカドミウム電池またはリチウムイオン電池などの充電式電池である。別の実施形態では、電源50は、再生可能なエネルギー源、キャパシタ、または、プラスチック太陽電池および太陽電池ペイントを含む太陽電池である。別の実施形態では、電源50は、壁コンセントから電力を受取るよう構成される。
一部の実施形態では、上述したように、制御のプログラム可能性は、電子ディスプレイシステム内のいくつかの場所に位置しうるドライバコントローラ内に存在する。場合によっては、制御のプログラム可能性はアレイドライバ22内に存在する。上述した最適化は、任意の数のハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントにおいて、また、種々の構成で実施されてもよい。
上述した原理に従って動作する干渉変調器の構造の詳細は幅広く変わってもよい。たとえば、図7A〜7Eは、可動反射層14およびその支持構造の5つの異なる実施形態を示す。図7Aは、図1の実施形態の断面であり、金属材料のストリップ14が、垂直に延びる支持体18上に堆積される。図7Bでは、各干渉変調器の可動反射層14は、形状が四角形または長方形であり、テザー32上で、角だけで支持体に取付けられる。図7Cでは、可動反射層14は、形状が四角形または長方形であり、可撓性金属を含んでもよい変形可能層34から懸垂保持される。変形可能層34は、変形可能層34の外周の周りで直接的にまたは間接的に基材20に接続される。これらの接続は、本明細書で支持ポストと呼ばれる。図7Dに示す実施形態は、変形可能層34がその上に載置される支持ポストプラグ42を有する。可動反射層14は、図7A〜7Cの場合と同様に、ギャップを覆って懸垂保持されたままであるが、変形可能層34は、変形可能層34と光スタック16との間の穴を充填することによって支持ポストを形成しない。むしろ、支持ポストは、支持ポストプラグ42を形成するのに使用される平坦化材料で形成される。図7Eに示す実施形態は、図7Dに示す実施形態に基づくが、図7A〜7Cに示す実施形態のうちの任意の実施形態ならびに示されないさらなる実施形態と共に働くようになっていてもよい。図7Eに示す実施形態では、金属または他の導電性材料の追加の層が、バス構造44を形成するのに使用された。これは、干渉変調器の背面に沿う信号の経路指定を可能にし、普通なら基材20上に形成されなければならないいくつかの電極をなくす。
図7に示すような実施形態では、干渉変調器は、直視デバイスとして機能し、直視デバイスでは、画像が、透明基材20の前側から観察され、その対向側には、変調器が配列される。これらの実施形態では、反射層14は、変形可能層34を含む、基材20と反対の反射層の側で干渉変調器の所定部分を光学的に遮蔽する。これは、遮蔽されるエリアが、画質に悪い影響を与えることなく、構成され、動作することを可能にする。こうした遮蔽は、たとえば、図7Eのバス構造44を可能にし、アドレス指定およびアドレス指定から生じる運動などの変調器の電気機械特性から変調器の光学特性を分離する能力を提供する。この分離可能な変調器アーキテクチャは、変調器の電気機械的態様および光学的態様のために使用される構造デザインおよび材料が、互いに独立に選択され機能することを可能にする。さらに、図7C〜7Eに示す実施形態は、変形可能層34によって実施される、反射層14の機械特性からの反射層14の光学特性のデカップリングから引出されるさらなる利益を有する。これは、反射層14のために使用される構造デザインおよび材料が光学特性に関して最適化され、変形可能層34のために使用される構造デザインおよび材料が機械特性に関して最適化されることを可能にする。
図8は、干渉変調器用の製造プロセス800の実施形態のいくつかのステップを示す。こうしたステップは、図8に示さない他のステップと共に、たとえば、図1および7に示す一般的なタイプの干渉変調器を製造するプロセス内に存在してもよい。図1、7および8を参照すると、プロセス800は、基材20を覆って光スタック16を形成するステップ805で始まる。基材20は、ガラスまたはプラスチックなどの透明基材であってよく、また、光スタック16の効率的な形成を容易にするために、事前調製ステップ(複数可)、たとえば、清浄を受けていてもよい。先に説明したように、光スタック16は、導電性があり、部分的に透過性であり、部分的に反射性であり、たとえば透明基材20上に層の1つまたは複数を堆積させることによって作製されてもよい。一部の実施形態では、層は、平行ストリップにパターニングされ、ディスプレイデバイス内で行電極を形成してもよい。一部の実施形態では、光スタック16は、1つまたは複数の金属層(たとえば、反射層および/または導電性層)を覆って堆積される絶縁層または誘電性層を含む。一部の実施形態では、絶縁層は、光スタック16の最も上の層である。
図8に示すプロセス800は、引き続きステップ810に至り、光スタック16を覆って犠牲層を形成する。犠牲層は、以下で説明するようにキャビティ19を形成するために、(たとえば、ステップ825にて)後で除去され、そのため、犠牲層は、図1に示す結果得られる干渉変調器12には示されない。光スタック16を覆って犠牲層を形成することは、選択された厚さで、モリブデン、タンタル、タングステンまたはアモルファスシリコンなどのXeF2エッチング可能材料を堆積することであって、それにより、その後の除去後に、所望のサイズを有するキャビティ19を設ける、堆積することを含んでもよい。犠牲材料の堆積は、物理気相堆積(PVD、たとえば、スパッタリング)、プラズマ増強化学気相堆積(PECVD)、熱化学気相堆積(熱CVD)またはスピンコーティングなどの堆積技法を使用して実施されてもよい。
図8に示すプロセス800は、引き続きステップ815に至り、図1および7に示すように、支持構造、たとえば、ポスト18を形成する。ポスト18の形成は、支持構造アパーチャを形成するために、犠牲層をパターニングするステップと、その後、PECVD、熱CVDまたはスピンコーティングなどの堆積法を使用して、ポスト18を形成するためにアパーチャ内に材料(たとえば、ポリマー)を堆積させるステップとを含んでもよい。一部の実施形態では、犠牲層内に形成される支持構造アパーチャは、図7Aに示すようにポスト18の下端が基材20に接するように、犠牲層と光スタック16の両方を貫通して、下にある基材20に延びる。他の実施形態では、犠牲層内に形成されるアパーチャは、犠牲層を貫通して延在するが、光スタック16を貫通しない。たとえば、図7Dは、光スタック16と接触状態にある支持ポストプラグ42の下端を示す。
図8に示すプロセス800は、引き続きステップ820に至り、図1および7に示すように、可動反射層14などの可動反射層を形成する。可動反射層14は、1つまたは複数のパターニング、マスキングおよび/またはエッチングステップと共に、1つまたは複数の堆積ステップ、たとえば、反射層(たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金)堆積を使用することによって形成されてもよい。先に説明したように、可動反射層14は、通常、導電性があり、本明細書で導電性層と呼ばれてもよい。一部の実施形態では、反射層14はアルミニウムを含む。一部の実施形態では、反射層14は銀を含む。犠牲層は、プロセス800のステップ820にて形成された部分的に作製された干渉変調器内に依然として存在するため、可動反射層14は、通常、この段階では可動でない。犠牲層を含む部分的に作製された干渉変調器は、本明細書で、「未リリースの(unreleased)」干渉変調器と呼ばれてもよい。
図8に示すプロセス800は、引き続きステップ825に至り、図1および7に示すように、キャビティ19などのキャビティを形成する。キャビティ19は、(ステップ810で堆積された)犠牲材料をエッチャントにさらすことによって形成されてもよい。たとえば、モリブデン、タンタル、タングステンまたはアモルファスシリコンなどのエッチング可能犠牲材料は、乾式化学エッチングによって、たとえば、キャビティ19を囲む構造に対して通常選択的に、所望の量の材料を除去するのに有効である期間の間、固体二フッ化キセノン(XeF2)から導出される蒸気などの、ガスまたは蒸気エッチャントに犠牲層をさらすことによって除去されてもよい。他のエッチング法、たとえば、ウェットエッチングおよび/またはプラズマエッチングが使用されてもよい。犠牲層は、プロセス800のステップ825中に除去されるため、可動反射層14は、通常、この段階後に可動である。犠牲材料の除去後に、結果得られる完全にまたは部分的に作製された干渉変調器は、本明細書で、「リリース済み(released)」干渉変調器と呼ばれてもよい。
一般にMEMSデバイスまた特に干渉変調器の性能は、下位層の表面特性によって悪い影響を及ぼされ、下位層の表面特性は、上位層に影響を及ぼす。たとえば、本明細書で、可動電極層における「ヒロック形成(hillock formation)」と呼ばれる状態は、下位犠牲層の表面特性によって影響を及ぼされうる。ヒロック形成は、金属表面、たとえば、可動電極層の表面内、または、その上で小さな突出部(「ヒロック(hillock)」)を形成することを特徴とする。ヒロックのサイズは、形成条件に応じて変わる可能性があり、また、最もしばしば高さ約10ナノメートル(nm)〜高さ約10ミクロンのサイズ範囲に、より一般的には高さ約100ナノメートル(nm)〜高さ約1ミクロンの範囲にあるが、時にはそれより大きいかまたは小さいヒロックが観測されうる。ヒロックは、特に、アルミニウム含有層および/または銀含有層の表面で形成される可能性がある。ヒロックは、通常、高温貯蔵中など、高温にさらされている間またはさらされた後に形成する。ヒロックはまた、たとえば熱または応力にさらされるときを含む他の周囲状況によって表面上に形成する可能性がある。
ヒロック形成がMEMSデバイスの性能に悪い影響を及ぼす可能性があることが見出された。ヒロックは、可動電極層と光スタックとの間のキャビティ距離を変える可能性があり、それにより、デバイスによって反射される光の波長に影響を及ぼす。ヒロックは、2次ブルーカラーまたは他のカラーの反射を同様に引き起こす可能性がある。
ある実施形態では、アルミニウム含有層および/または銀含有層内でのヒロック形成(たとえば、熱誘発性ヒロック形成)を低減する方法が開発された。たとえば、ある実施形態は、アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムを堆積する方法を提供し、方法は、下位層の表面を処理することであって、それにより、処理済み表面を形成する、処理すること、および、処理済み表面上にアルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムを堆積することを含み、処理することは、アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルム内でのヒロック形成を低減する。そのため、アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムの表面の輪郭は、この処理によって影響を受ける可能性がある。表面輪郭は、たとえば、本明細書に述べる処理によって比較的平坦であると特徴付けられてもよい。本明細書で参照されるように、「処理済み表面輪郭(treated surface contour)」という用語は、処理済み表面上に形成されることから生じる表面の輪郭を指す。たとえば、以下で述べるように、処理済み表面輪郭155は、処理済み犠牲表面145上に形成された表面輪郭である。処理済み表面輪郭は、ヒロックをほとんど備えなくてもよく、または、処理済み表面上には形成されないがその他の点では匹敵する表面輪郭に比べて高さ変動性が少なくてもよい。
図9は、MEMSデバイスを作製する方法の実施形態におけるいくつかのステップを示すフロー図である。一部の実施形態では、犠牲層は、塩素、窒素(たとえば、ニトロ化または窒化による)、フッ素または酸素(たとえば、酸化による)によって処理されて、犠牲層の除去中または除去後に犠牲層および/または上位層の特性に影響を及ぼす。処理は、犠牲層の表面の化学組成または化学特性を変える可能性がある。一部の例では、処理は、犠牲層と上位層との間に拡散層を生成しうる。図9は、ヒロック形成が低減される実施形態について最初に述べられることになる。しかし、他の実施形態が以下で述べられる。こうしたステップは、図9に示さない他のステップと共に、たとえば、図1および7に示す一般的なタイプの干渉変調器を製造するプロセス内に存在してもよい。図10A〜10Hは、フォトリソグラフィ、堆積、マスキング、エッチング(たとえば、プラズマエッチなどの乾式方法および湿式方法)などのような従来の半導体製造技法を使用してMEMSデバイスを作製する方法の実施形態を概略的に示す。堆積は、化学気相堆積(プラズマ増強CVDおよび熱CVDを含むCVD)およびスパッタコーティングなどの「乾式(dry)」方法およびスピンコーティングなどの湿式方法を含んでもよい。図9および10を参照すると、プロセス200は、基材100が設けられるステップ205にて始まる。一実施形態では、基材100は、ガラスまたはプラスチックなどの任意の透明材料を含んでもよい。
プロセス200は、引き続きステップ210に至り、図10Aに示すように、基材100上に第1導電性層105を形成する。第1導電性層105は、先に述べたように、単一層構造または複数サブ層構造でありうる。層105が電極とミラーの両方として機能する単一層構造では、層105は、基材100上に導電性材料を堆積することによって形成される。第1導電性層105は、図9または10に示さないその後のパターニングおよびエッチングによって複数電極に形成されてもよい。第1導電性層105は、所望の導電性を有するようにドープされた金属または半導体(シリコンなど)であってよい。一実施形態(図10には示さない)では、第1導電性層105は、透明導体(酸化インジウム錫など)および1次ミラーまたは部分反射層(クロムなど)を備える多層構造である。
プロセス200は、引き続きステップ215に至り、図10Bに示すように、導電性層105の少なくとも一部分を覆って誘電性層110を形成する。誘電性層110は、シリコン酸化物および/またはアルミニウム酸化物などの絶縁材料を含んでもよい。誘電性層110は、干渉変調器内で第1導電性層105を導電性可動層(図1および7の可動層14など)から絶縁するのに役立つ。誘電性層110は、知られている堆積方法、たとえば、CVDによって形成されてもよい。一部の実施形態では、結果得られるデバイスの光スタック16は、導電性層105と誘電性層110の両方を含む。
プロセス200は、引き続きステップ220に至り、図10Cに示すように、犠牲層115を形成する。犠牲層115は、XeF2、たとえば、モリブデン、タンタルまたはタングステンによってエッチング可能な材料を含んでもよい。CVD、スパッタリングまたはスピンコーティングなどの堆積法は、犠牲層115を形成するときに使用されてもよい。犠牲層115は、ステップ225にて、パターニングされエッチングされて、図10Dに示すように、1つまたは複数の支持構造アパーチャ130を形成する。示す実施形態では、支持構造アパーチャ130は、第1犠牲層115および誘電性層110を完全に貫通して第1導電性層105まで延在する。ステップ230にて、支持構造材料が、アパーチャ130内に堆積され、図10Eに示すように、支持構造135を形成する。支持構造135は、非導電性材料を含んでもよい。
プロセス200は、引き続きステップ235に至り、図10Fに示すように、犠牲層115の表面を処理し、それにより、犠牲層115が処理済み犠牲部分145を備える。犠牲層115の表面を処理することであって、それにより、処理済み犠牲部分145を形成する、処理することは、以下でより詳細に述べるように、たとえば、プラズマ、酸化、六フッ化硫黄またはその組合せによる種々の方法で行われうる。たとえば、一部の実施形態では、犠牲層115の少なくとも一部分が酸化されて、酸化犠牲部分が形成されるため、処理は酸化を含む。犠牲層115の処理は、上側処理済み(たとえば、酸化済み)犠牲層145、および、実質的に未処理の(たとえば、未酸化の)犠牲層を備える犠牲層115の残りの下側部分によって図10Fで示すように、複数層を生成するように実施されてもよい。一部の実施形態では、酸化済み犠牲層は、基材100に垂直な方向に測定されると、深さが実質的に均一である。
一部の実施形態では、犠牲層115の表面はプラズマによって処理される。他の実施形態では、犠牲層115の表面は、酸素ガスおよび/または六フッ化硫黄ガスを含むガスによって処理される。なお他の実施形態では、犠牲層115の表面は、酸素ガスおよび/または六フッ化硫黄ガスを含むプラズマによって処理される。酸素ガスおよび/または六フッ化硫黄ガスは、これらの物質の分子および/またはラジカルを含んでもよい。犠牲層115の表面は、イオン化酸素および/またはイオン化六フッ化硫黄によって処理されうる。本明細書で述べる下位層(たとえば、犠牲層115)の表面の1つまたは複数の処理は、一部の実施形態では、表面を平滑化しうる。ステップ235にて実施されてもよいいくつかの処理方法の詳細は、以下で説明される。
プロセス200は、引き続きステップ240に至り、図10Gに示すように、処理済み犠牲部分145を覆って、また、示す実施形態では支持構造135を覆って、上位層140、たとえば、第2導電性層を形成する。ある実施形態では、上位層140の少なくとも一部は、処理済み犠牲部分145の少なくとも一部上に形成される。ある実施形態では、上位層140は、図1および7に示す干渉変調器の可動反射層14などの可動層を備える。犠牲層115および処理済み犠牲部分145は、プロセス200のこの段階において依然として存在するため、可動層は、通常、まだ可動でない。犠牲層(この実施形態では、層115および145)を含む、部分的に作製されたMEMSデバイス172、たとえば、部分的に作製された干渉変調器は、本明細書で、「未リリースの」MEMSデバイスと呼ばれてもよい。上位層140は、金属(たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀または銀合金)を含んでもよい。一部の実施形態では、上位層140はアルミニウムを含む。一部の実施形態では、上位層140は銀を含む。ステップ240にて導電性層140を形成することは、1つまたは複数の堆積ステップならびに1つまたは複数のパターニングまたはマスキングステップを含んでもよい。
プロセス200は、引き続きステップ245に至り、図10Hに示すように、処理済み(たとえば、酸化済み)犠牲層145の少なくとも一部分、また任意選択で、未処理の(たとえば、未酸化の)犠牲層115の一部分が(たとえば、エッチングによって)除去される。1つまたは複数の支持構造135は、上位層140を支持し、それにより、ギャップまたはキャビティ150を形成しうる。一部の実施形態では、キャビティ150は、図10Hに示すように、上位層140がキャビティに露出されるように誘電性層110と上位層140との間に形成される。上位層140の処理済み表面輪郭155は、未処理犠牲構造上に形成された匹敵する表面輪郭と比べて少数のヒロックを備える可能性がある。
犠牲層の除去は、たとえば、単独でまたは組み合わせて、XeF2(図10Hに示した)、F2またはHFなどのエッチャントにさらすことによって達成されうる。一実施形態では、犠牲層115および処理済み犠牲部分145の実質的に全てが、エッチングプロセスで除去される。一実施形態では、キャビティ150は、(導電性層105および誘電性層110を備える)光スタック16と、先に説明した可動導電性層である上位層140との間の干渉キャビティである。キャビティ150の形成後に、結果得られるMEMSデバイス、たとえば、干渉変調器175は、「リリース済み(released)」状態にある。
リリース済み干渉変調器175は、いくつかのさらなる処理ステップ(図9または10には示さず)を受ける可能性があり、処理ステップの1つまたは複数は、処理ステップ235がない場合、上位層140においてヒロック誘発性であることになる温度まで、干渉変調器175を加熱することを含む可能性がある。一部の実施形態では、犠牲層115の表面の処理は、上位層140においてヒロック形成(熱によって誘発されるヒロック形成)を低減するのに役立ち、それにより、MEMSデバイスの動作を改善する。一部の実施形態では、ヒロックの低減は、述べた処理のうちの1つを受けない類似の導電性層において期待される数と比較した場合の、ヒロックの数の減少を指す。他の実施形態では、ヒロックの低減は、述べた処理のうちの1つを受けない類似の導電性層において期待されるサイズと比較した場合の、ヒロックのサイズの減少を指す。なお他の実施形態では、ヒロックの低減は、述べた処理のうちの1つを受けない類似の導電性層において期待される数およびサイズと比較した場合の、ヒロックの数の減少とサイズの減少の両方を指す。
本明細書で行われる教示によって導かれる日常的な実験を使用して、当業者は、本明細書で開示される方法について適切なパラメータおよび/または動作条件を特定しうる。たとえば、圧力、電力、暴露時間および/または流量などの、犠牲層の表面の処理に関連する最適パラメータは、パラメータを系統的に変動させ、ヒロック形成(たとえば、熱によって誘発されるヒロック形成)の程度を観測することによって得られうる。一部の実施形態では、圧力は40ミリトル(mT)と60ミリトル(mT)の間でありうる。電力は、一部の実施形態では、800ワットと1000ワットの間でありうる。一部の実施形態では、六フッ化硫黄は、30〜100標準立方センチメートル/分(sccm)の流量で犠牲層にさらされる。一部の実施形態では、酸素は、100〜200sccmの流量で犠牲層にさらされる。犠牲層は、種々の期間、たとえば、15〜25秒の間、処理にさらされてもよい。一部の実施形態では、基材は加熱されない。
一部の実施形態では、ヒロック形成の低減は、処理済み犠牲表面145に隣接した上位層140の表面上で起こる。こうした実施形態では、ヒロック形成の低減は、上位層140のキャビティ側表面と呼ばれる、キャビティ150に面する導電性層の表面上で起こる。図10のMEMSデバイスでは、処理済み犠牲表面145に隣接した上位層140の表面は、上位層140のキャビティ側表面155である。そのため、犠牲表面145の処理は、上位層140のキャビティ側表面155の輪郭または形状に影響を及ぼしうる。
一部の実施形態では、プロセス200は、さらなるステップを含んでもよく、また、ステップは、図9および10の図から再配置されてもよい。たとえば、犠牲層115の表面は、支持構造アパーチャ130が形成される前、または、支持構造アパーチャ130が形成された後であるが、支持構造135が支持構造アパーチャ130内に形成される前に処理されてもよい。支持構造は、犠牲層が形成される前に形成されてもよく、それにより、支持構造アパーチャを形成するステップがなくなる。
ヒロック形成を低減するための本明細書に述べる方法は、キャビティに隣接してアルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムを備える種々のMEMSデバイスに適用され得、キャビティは、犠牲層の少なくとも一部を除去することによって形成される。
たとえば、MEMSデバイスの上位層140などのアルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムにおける高温によって誘発されるヒロック形成は、本明細書に述べる下位犠牲層の表面を処理する方法によって低減されうる。本明細書で使用されるように、高温またはヒロック誘発性温度は、開示される処理を受けない、匹敵するアルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムにおいてヒロックを生成することになる温度である。一部の実施形態では、ヒロック誘発性温度は、85℃以上、100℃以上、200℃以上または500℃以上である。本明細書で使用されるように、「熱誘発式ヒロック形成(heat−induced hillock formation)」という用語は、高温にさらすことによって生じるヒロック形成を指す。
アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムは、一部の実施形態ではこれらの高温を受け、他の実施形態では受けない。一部の実施形態では、本明細書で述べる方法によって生成されるアルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムは、こうしたフィルムが実際に高温にさらされる否かによらず、高温を受ける場合、ヒロック形成の低減を示すであろう。一部の実施形態では、下位層の少なくとも一部は、アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムが高温を受ける前に除去される。他の実施形態では、下位層は、アルミニウム含有フィルムおよび/または銀含有フィルムが高温を受ける前に除去されない。ある実施形態では、図10HのMEMSデバイスは、犠牲層115および処理済み犠牲部分145が除去された後の、貯蔵中に高温を受ける。この実施形態では、犠牲層115の表面を処理することは、上位層140のキャビティ側表面155上に形成されるヒロックを低減する。一部の実施形態では、ヒロック形成は、温度以外の条件によって引き起こされる。
本明細書で述べる干渉変調器および干渉ディスプレイデバイスは、ディスプレイを備える装置、ディスプレイと通信するよう構成されるプロセッサであって、画像データを処理するよう構成される、プロセッサ、および、プロセッサと通信するよう構成されるメモリデバイスに組込まれうる。一部の実施形態では、装置は、さらに、少なくとも1つの信号をディスプレイに送出するよう構成されたドライバ回路、またこれらの実施形態の一部では、画像データの少なくとも一部分をドライバ回路に送出するよう構成されたコントローラを備えうる。他の実施形態では、装置は、画像データをプロセッサに送出するよう構成された画像源モジュールであって、任意選択で、受信機、送受信機、送信機またはその何らかの組合せを備える、画像源モジュールを備えうる。装置はまた、入力データを受信し、入力データをプロセッサに通信するよう構成された入力デバイスを備えうる。
干渉変調器は、図9および10に示すように、上述した方法に従って構築される。この例は、処理済み犠牲部分145上に形成されたアルミニウムを含有する第2導電性上位層140がヒロック形成(たとえば、熱誘発式ヒロック形成)の低減を特徴とするように、図9のステップ235にて犠牲層の表面を処理する実施形態を述べる。本発明の実施形態はまた、処理のパラメータが変わる(たとえば、温度、圧力、処理時間、電力、流量および/またはこの例で開示されるガスが変動する)関連する方法を含むことが理解される。
プラズマエッチチャンバは、(チャンバの真空排気後に)プラズマを生成するために、カソードとアノードとの間に印加される直流電力の約900ワットの電力レベルで、犠牲層を処理するのに使用される。チャンバは、適切な量の六フッ化硫黄ガスおよび酸素ガスが約20秒間チャンバ内に流れる状態で約50mTの圧力に維持される。ガスの流量は、有効流量を確定するために変わる。六フッ化硫黄は約30sccmのレートで給送され、酸素は約200sccmのレートで給送される。処理プロセスは、約25℃で行われるが、プラズマは、外部熱が全く供給されない状態で、温度の上昇をもたらす可能性がある。(温度上昇をもたらす可能性があるプラズマによって生じる加熱を除いて、この実施形態では、別個の基材加熱は全く使用されない)。
アルミニウムを含有する第2導電性層が処理済み犠牲層上に形成され、犠牲層を除去することによってキャビティが形成された後、装置は、85℃より高い温度にさらされる。アルミニウム含有層は、上述したように、犠牲層が処理されない匹敵する装置と比較すると、ヒロック形成の低減を特徴とする。
酸素と六フッ化硫黄が共に、約100sccmのレートで給送されることを除いて、干渉変調器は、上述したように構築されうる。類似の結果が得られる。
一部の実施形態では、図9のステップ235における犠牲層の処理は、処理済み(酸化済み)犠牲部分145と上位層(たとえば、上位層140)との間の相互作用に影響を及ぼすように、犠牲層115を酸化することであって、それにより、上位層または上位層に機械的に結合する他の層に対する考えられる損傷をなくす、または、低減する、酸化することを含む。
たとえば干渉変調器などのMEMSデバイスの場合、犠牲層115は、デバイスの支持構造135を形成するためにパターニングされる。犠牲層115は、メカニカル層(たとえば、上位層140)と、一部の実施形態で誘電性層110を覆って形成されてもよいエッチストップ層(図示せず)との間に空間を形成する。デバイスを形成するときの最終ステップは、エッチストップ層からメカニカル層をリリースするために犠牲層を除去することであり、それにより、画素エリアにキャビティが形成される。
一部の実施形態では、メカニカル層(たとえば、上位層140)は、エッチホールまたは開口をパターニングされる。犠牲層15の除去は、犠牲材料に接触するように、これらのホールおよび開口を通してXeF2ガスなどの乾式エッチャントを流すことによって達成されうる。XeF2は、犠牲材料に接触するため、一般に、犠牲材料を、下にエッチングし始め、その後、横方向に成長する半径方向パターンでエッチングする。たとえば、米国特許公報第2006−0076311号の図14を参照されたい。エッチングは、画素全体にわたって異なるホールで始動され、横方向のリリースは、一般に、下方向より遅いレートで進むため、通常のリリースの最終段階は、囲まれたまたは残った多くのアイランドまたは支柱の形成をもたらすことが多い。たとえば、米国特許公報第2006−0076311号の図17〜18を参照されたい。アイランドは、容積が徐々に減少するため、これらのアイランドは、メカニカル層から加えられる機械的応力の高い集中を有するピボット点として役立ちうる。これらの支柱における応力の高い集中は、メカニカル層が、支柱の下の層(たとえば、図10の誘電性層110)を引張り、最終的には層を剥離させうる。この望ましくない結果は、リリースブレークダウンと呼ばれ、こうしたブレークダウンは、リリースエッチャントに敏感な、エッチストップ層の下に埋め込まれた層のアタック(リリースアタックと呼ばれる)をもたらす可能性がある。
下位層が上述したように損傷を受けることを防止する一方法は、リリースブレークダウンが始動する前に、メカニカル層がエッチストップ層から分離できるように、犠牲層の表面を酸化させることであることが見出された。換言すれば、アイランドまたは支柱が形成される機会を得る前に、メカニカル層は犠牲層から迅速に自由になりうる。
リリースアタックは、1つまたは複数の犠牲層のリリースエッチ中に、エッチストップ層(複数可)に対する応力誘発式損傷を界面改変によって防止することによって低減されうる。一部の実施形態では、界面改変は、本明細書で述べる犠牲層の処理を含む。ある実施形態では、処理は酸化を含む。そのため、ステップ235にて実施される一部の実施形態の酸化処理は、未酸化犠牲層115と比較して酸化済み犠牲層145のより高速なエッチングを促進するため、酸化済み犠牲層145と上位層140との間の付着を低下させるため、または、その両方のための、界面改変を目的として行われてもよい。
酸化済み犠牲層145および未酸化犠牲層115などの多層犠牲スタックの場合、酸化済み犠牲層が、下位未酸化犠牲層115より速いレートでエッチングすると、上位層140と酸化済み犠牲層145との間の界面は、有意のアイランド形成が行われる前に分離する傾向があることになることが見出された。さらに、酸化済み犠牲層145と上位層140との間の付着力は、プラズマ酸化などの界面改変によって弱くさせられる場合、分離プロセスをさらに高めることになる。同様に、酸化済み犠牲層145と未酸化犠牲層115との間の付着力は、プラズマ酸化などの処理によって弱くさせられる場合、同様に分離プロセスを高めることになる。同様に、いずれの2つの犠牲層も、互いに物理的にくっ付かないため、犠牲層のより大きな表面積が、エッチャントにさらされる。この露出エリアは、垂直方向下または垂直方向上にエッチングされるのに利用可能であり、このメカニズムは、横方向リリース成分がそれほど大きくないため、アイランド形成を抑制しうる。
これらの実施形態の界面改変技法は、熱(または加熱)処理、湿式処理、酸化、プラズマ処理、犠牲層(複数可)の界面における薄層の堆積またはその組合せを含むが、それに限定されない。これらの界面改変処理は、必ずしも、犠牲層(複数可)の堆積と共にその場で実施される必要はない。これらの処理は、単一層と多層犠牲スタックの両方について行われうる。本明細書で述べる処理(複数可)と組み合わせた、犠牲材料および厚さの正しい混合によって、適切に処理された犠牲層の単一層が、リリースブレークダウンおよび/またはリリースアタック問題に対する解決策を提供するのに十分であることが見出された。
この実施形態の態様では、プロセス200のステップ235にて実施される酸化処理は、加熱処理を含む。たとえば、モリブデン犠牲層の加熱処理は、プロセス200のステップ245におけるリリースエッチによる犠牲層の除去中に、上位/下位層(複数可)に対する損傷を防止するのに有効であることが示された。別の態様では、ステップ235にて実施される酸化処理は、約60分間、約350℃の酸素プラズマでモリブデン犠牲層を処理することを含む。これらの態様の両方において、誘電性層110などの下側層の損傷をもたらすリリースブレークダウンまたはリリースアタックが実質的に全く存在しなかった。両方の態様は、酸化済み犠牲層145のエッチングレートの増加および/または酸化済み犠牲層145と周囲層との間の付着の低下を示した。
一部の実施形態では、図9のステップ235における犠牲層の処理は、犠牲層の酸化が、ステップ235にて酸化済み犠牲部分を形成して、酸化の前の犠牲層115の表面と比べて平滑な酸化済み犠牲部分(たとえば、層145)の表面を提供するための酸化条件を選択することを含む。酸化済み犠牲層145を形成するために犠牲層115の表面を処理することは、酸化済み犠牲層145を除去した後に上位層140の表面粗さを低減しうることが見出された。この平滑化は、上位層140の優れた光学品質をもたらす可能性があり、それにより、この平滑化処理を使用して形成される干渉変調器などの光MEMSデバイスの品質を改善する。
干渉変調器などの光MEMSデバイスでは、可動反射層のキャビティ側表面の粗さは、デバイスの光学性能特性にとって非常に重要である。可動反射層の不良の粗さは、明るい(たとえば、作動)状態と暗い(たとえば、非作動)状態との間の低いコントラスト比をもたらしうる。これは、低いディスプレイデバイス品質をもたらしうる。平滑化処理が、電気応答特性を改善しうる(たとえば、より広くかつより一貫性のあるヒステリシス窓を提供する)ことも見出された。
干渉変調器の製造時にこの平滑化処理を利用する例では、酸化処理は、モリブデン犠牲層115の表面上にN2Oを用いた処理を含んだ。酸化済みモリブデン犠牲層145を形成するために、モリブデン犠牲層115の表面を処理することが、酸化済みモリブデン犠牲層145の除去後に上位層140の表面粗さを低減しうることが見出された。この例では、モリブデン犠牲層の堆積後に実施される300kwN2O処理が、酸化済みモリブデン犠牲層の表面を十分に平滑化し、(XeF2エッチングを使用した)酸化済みモリブデンのリリース後に上位光学層の表面粗さのかなりの改善をもたらした。
この300kwN2O処理によって表面粗さが70%以上改善されることを、試験が示した。具体的には、N2O処理がない場合、7.321nmのRms(Rq)表面粗さが観測されることを、試験が示した。N2O処理がある場合、Rms(Rq)表面粗さは、2.221nmに低減された。
さらに、この300kwN2O処理が、ディスプレイデバイス用のより大きくかつより一貫性のあるヒステリシス窓をもたらすことを、これらの試験が示した。より大きなヒステリシス窓(図3においてほぼ+Vbiasまたは−Vbiasに中心を持つヒステリシスまたは安定性窓の幅)は、作動およびリリース電圧レベルの観点から干渉変調器の信頼性を改善しうるため望ましい。さらに、ウェハ基材上で製造されるディスプレイパネルのセットは、より均一なまたは一貫性のあるヒステリシス窓幅を示した。
干渉変調器を備えるディスプレイアレイのセットは、N2O処理なしで製造されるとき、約0.5ボルト〜約2.0ボルトの範囲の(約0.93ボルトの平均を有する)ヒステリシス窓幅を示した。N2O処理がある場合、ディスプレイアレイのセットは、約2.8ボルト〜約3.3ボルトの範囲の(約3.1ボルトの平均を有する)ヒステリシス窓幅を示した。そのため、平均ヒステリシス窓は、幅が3倍以上になり、また、ウェハ基材上のディスプレイデバイス間の変動はずっと小さかった。
さらに、N2Oで処理されたディスプレイデバイスはまた、明るい状態対暗い状態の反射光の高いコントラスト比を示した。未処理ディスプレイアレイのセットは、約4.1の平均を有する約1.6〜約7.8の範囲のコントラスト比を示した。N2Oを用いて処理されたディスプレイアレイのセットは、約10.0の平均を有する約5.2〜約11.5の範囲のコントラスト比を示した。そのため、N2O処理されたディスプレイアレイの平均コントラスト比は、未処理ディスプレイアレイの平均コントラスト比の2倍以上であった。
表面粗さ、コントラスト比およびヒステリシス窓幅のこうした改善は全て、結果得られるディスプレイデバイスの性能を改善しうる。さらに、N2O処理を使用して同じウェハ基材上で製造されるディスプレイデバイスの改善された均一性はまた、製造されるディスプレイデバイスの受入収率を改善しうる。
一部の実施形態では、ステップ235の処理は、犠牲層115としてモリブデンを使用することに対して固有の問題を解決するために実施される。しかし、これらの実施形態の処理は、タンタルまたはタングステン犠牲層などの、他の犠牲層について使用されうる。犠牲層としてモリブデンを使用するときに、2つの問題が起こることが見出された。第1の問題は、プロセス200のステップ245における犠牲層の除去後に不純物が残ることを含む。これらの不純物は、磨耗残留物として知られる。磨耗残留物は、干渉変調器のキャビティの光学品質を劣化させうる。第2の問題は、プロセス200のステップ220における犠牲層の堆積中に犠牲層内に形成されるピンホール(すなわち、小さなボイド)と関係がある。これらのピンホールは、干渉変調器などのMEMSデバイスにおいて、たとえば、行電極と列電極との間で漏電をもたらしうる。行電極と列電極との間でのこの漏電は、RC漏れとして知られる。ピンホールは、2つの方法でRC漏れを引き起こしうる。第1に、ステップ225にて支持構造アパーチャをエッチングするのに使用されるエッチャントが、犠牲層内のピンホールを通して浸入し、光スタックの下位光学層に損傷を与え、導電性層間の短絡をもたらす可能性がある。第2に、犠牲層を覆って堆積される上位層が、ピンホールを充填し、犠牲層が除去された後に、上位層上に粗い反射表面をもたらしうる。
モリブデンに関連するRC漏れとピンホールの両方の問題は、図9のステップ235における犠牲層の処理の一部の実施形態を実施することによって低減されうることが見出された。これらの実施形態は、酸化、塩素化、フッ素化、ニトロ化および/または窒化処理などの処理を選択すること、および、処理する前の犠牲層115と比較して、上側処理済み犠牲層(層145)および下側の実質的に未処理の犠牲層(層115)の結合厚さを増加させる処理条件を選択することを含む。
一態様では、処理によって犠牲層の容積を拡張することは、第1厚さを有する犠牲層(たとえば、モリブデン、タンタルまたはタングステン)の形成後に、犠牲層の厚さを第2厚さまで増加させる方法を提供する。そのため、第2厚さの犠牲層を形成するのに、少ない犠牲材料が必要とされる。少ない犠牲材料が使用されるため、少ない磨耗残留物が犠牲層の除去から生じうる。さらに、犠牲材料に応じて、処理済み犠牲材料はまた、未処理犠牲材料に比べてきれいにエッチングし、少ない磨耗残留物をもたらす可能性がある。
別の態様では、犠牲層の容積の拡張は、たとえば犠牲層としてモリブデンを使用するときに、犠牲層内に形成することが見出されたピンホールを低減するかまたはなくしうる。犠牲(たとえば、モリブデン)層内のピンホールは、酸化処理中の犠牲層の横方向拡張によって閉鎖されうる。
犠牲層としてモリブデンが使用され、処理として酸化が使用される実施形態では、ステップ235の処理によって、モリブデン酸化物層145が、少なくとも未酸化のモリブデン犠牲層115の表面上に形成される。酸化の量および酸化処理の性質に応じて、異なるモリブデン酸化物が形成されうる。最も安定なモリブデン酸化物が、MoO3である傾向があることが見出された。モリブデンの密度が約10.3kg/cm3であり、また、MoO3の密度が約4.7kg/cm3であるとすると、モリブデン犠牲層は、酸化中に容積の拡張を受けることになる。そのため、たとえば、モリブデンが一方向に(たとえば、基材に垂直に)拡張できるだけである制約された実施形態では、MoO3層の厚さは、酸化する前の未酸化モリブデン層の厚さの3.3倍ほどの大きさになるであろう。
一部の実施形態では、パッシベーション層が、モリブデン酸化物層を覆って形成される。たとえば、SiO2が、プロセス200のステップ240において形成される上位層140を堆積する前に堆積されうる。上位層140は、さらに、パッシベーション層を覆って形成される第2導電性層を含みうる。パッシベーション層は、ステップ245の酸化済み犠牲層145の除去中に酸化済み犠牲層145が、第2導電性層から分離することを補助するのに役立つ。これらの実施形態では、ステップ235の酸化処理は、Cl2、Fl2、O2および/またはN2Oなどのようなガスを用いた処理を含みうる。
モリブデンの酸化によって、小さなピンホールなどの小さなボイドを充填するような犠牲層の拡張、ならびに、干渉キャビティの深さを規定するのに十分な深さまでの、基材に垂直な方向への拡張がもたらされることを立証するための実験が行われた。
図11は、酸化によって処理されたモリブデンの拡張特性を立証するための実験で使用される多層スタックの例を示す。多層スタック250は、シリコン基材255上に形成される。第1モリブデン層260はシリコン基材255上に堆積される。SiO2層265は、その後、第1モリブデン層260を覆って堆積される。第2モリブデン層270は、その後、SiO2層265を覆って堆積される。図11に示す実施形態では、第1および第2モリブデン層260および270は、それぞれ、(基材255に垂直に測定すると)深さが2000Åであり、SiO2層265は深さが450Åである。
第2モリブデン層270の形成後に、穴280が、モリブデン層270内にパターニングされる。穴280の形成後に、第2モリブデン層270をアンダーカットするためにSiO2層265がエッチングされ、それにより、第1モリブデン層260と第2モリブデン層270との間に小さなキャビティ285が形成される。キャビティ285の横方向寸法は約6000Åである。
キャビティ285の形成後に、多層スタック250が、CVDチャンバ内に設置され、酸化を受ける。これらの実験で使用される特定の酸化は、酸素プラズマ酸化プロセスであった。しかし、熱酸化などの他の酸化プロセス(高温が考えられるため、場合によっては好ましくないが)が使用されてもよい。CVDチャンバ内での約180分の酸化後に、キャビティ285は、酸化によって実質的に閉鎖され、第1および第2モリブデン層260および270の拡張をもたらす。こうして、モリブデンの酸化が、上述したピンホールなどの小さなボイドを充填するという実行可能な解決策でありうることを、実験が立証する。
酸化以外の処理もまた、犠牲層を効果的に拡張しうる。表1は、フッ素化、ニトロ化、塩素化および酸化が、モリブデン、シリコン、タングステンおよびゲルマニウムの容積にどのように影響を及ぼすかを示す。フッ素、窒素、シリコン、塩素または酸素を用いた処理後に、モリブデンの溶液は、以下の表1に示すように、未処理条件と比較して増加する(MoF3、MoF5、MoN、MoSi2、MoO2、MoO3およびMoCl3のモル容積を表1のMoのモル容積と比較されたい)。同様に、シリコン窒化物およびシリコン酸化物のモル容積はシリコンのモル容積より大きく、フッ化ゲルマニウムのモル容積はゲルマニウムのモル容積より大きく、タングステン窒化物、タングステン塩化物およびタングステン酸化物のモル容積はタングステンのモル容積より大きい。フッ素、窒素、シリコン、塩素および/または酸素を用いた犠牲層の処理が、犠牲層を効果的に拡張しうることを、これらの分析が示す。こうして、所与の犠牲層の厚さを提供するために、より少ないこれらの犠牲材料が使用され、それにより、コストが節約され、製造プロセスの効率が改善される。
表1はまた、未処理Moをエッチングするのに必要とする量に対する、犠牲材料(未処理材料および処理済み材料)をエッチングするのに必要とするXeF2の化学量論的量の比を挙げる。見てわかるように、ほぼ全ての処理済み材料は、エッチングされるために、未処理Moと比べて少ないXeF2を必要とする。少ないXeF2を使用することによって、コストが低減され、製造プロセスの効率が改善されうる。
先の詳しい説明は、種々の実施形態に適用されたときの新規の特徴を示し、述べ、指摘したが、示すデバイスまたはプロセスの形態および詳細において種々の省略、置換および変更が、開示されたものから逸脱することなく行われてもよいことが理解されるであろう。認識されるように、本発明は、一部の特徴が他の特徴と別々に使用されるかまたは実施されるため、本明細書で述べる特徴および利益の全てを提供するわけではない形態内で具現化されてもよい。
[さらなる実施形態]
第1の実施形態は、微小電気機械システム(MEMS)デバイスを作製する方法を提供し、方法は、基材を覆って犠牲層を形成すること、犠牲層の少なくとも一部分を処理することであって、それにより、処理済み犠牲部分を形成し、処理済み犠牲部分は上側の処理済み犠牲層を備え、犠牲層の残りの部分は下側の実質的に未処理の犠牲層を備える、処理すること、処理済み犠牲部分の少なくとも一部を覆って上位層を形成すること、および、処理済み犠牲部分を少なくとも部分的に除去することであって、それにより、基材と上位層との間に位置するキャビティを形成し、上位層はキャビティに露出される、除去することを含む。
第2の実施形態は、第1の実施形態の方法を提供し、処理することは酸化させることを含む。
第3の実施形態は、第1の実施形態または第2の実施形態の方法を提供し、処理することは、犠牲層を、窒素、フッ素および塩素の1つまたは複数にさらすことを含む。
第4の実施形態は、第1から第3の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、キャビティは干渉変調キャビティである。
第5の実施形態は、第1の実施形態の方法を提供し、上側の処理済み犠牲層は、基材に垂直な方向に測定されると、深さが実質的に均一である。
第6の実施形態は、第1から第5の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、方法は、上側の処理済み犠牲層の少なくとも一部分および下側の実質的に未処理の犠牲層の少なくとも一部分を除去することを含み、上側の処理済み犠牲層のエッチレートは、下側の実質的に未処理の犠牲層のエッチレートより大きい。
第7の実施形態は、第1から第6の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、下側の実質的に未処理の犠牲層はモリブデンを含む。
第8の実施形態は、第7の実施形態の方法を提供し、上側の処理済み犠牲層はモリブデン酸化物を含む。
第9の実施形態は、第1から第8の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、上位層は金属を含む。
第10の実施形態は、第9の実施形態の方法を提供し、金属はアルミニウムを含む。
第11の実施形態は、第10の実施形態の方法を提供し、方法は、処理済み犠牲部分を形成するように犠牲層を処理するために、処理済み犠牲部分の少なくとも部分的な除去に続いて上位アルミニウム層におけるヒロック形成を低減するための、処理条件を選択することを含み、方法は、さらに、処理済み犠牲部分の少なくとも部分的な除去に続いて別のヒロック誘発条件にMEMSデバイスをさらすことを含む。
第12の実施形態は、第11の実施形態の方法を提供し、方法は、ヒロックの数を低減するための処理条件を選択することを含む。
第13の実施形態は、第11の実施形態の方法を提供し、方法は、ヒロックのサイズを小さくするための処理条件を選択することを含む。
第14の実施形態は、第11から第13の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、ヒロックは熱誘発式ヒロックを備える。
第15の実施形態は、第11から第14の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、別のヒロック誘発条件は、約100℃より高い温度にMEMSデバイスをさらすことを含む。
第16の実施形態は、第11から第14の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、別のヒロック誘発条件は、約200℃より高い温度にMEMSデバイスをさらすことを含む。
第17の実施形態は、第11から第14の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、別のヒロック誘発条件は、約500℃より高い温度にMEMSデバイスをさらすことを含む。
第18の実施形態は、第1から第10の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、方法は、処理済み犠牲部分を形成するように犠牲層を処理するために、処理する前の犠牲層と比較して、上側の処理済み犠牲層と下側の実質的に未処理の犠牲層の結合厚さを増加させるための処理条件を選択することを含む。
第19の実施形態は、第1から第10の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、方法は、処理済み犠牲部分を形成するように犠牲層を処理するために、処理済み犠牲部分の少なくとも部分的な除去中に、上位層と処理済み犠牲部分との間の付着の程度を減少させるための処理条件を選択することを含む。
第20の実施形態は、第1から第19の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、上位層は、パッシベーション層およびパッシベーション層を覆って形成される導電性層を備え、パッシベーション層は、処理済み犠牲部分の少なくとも部分的な除去中に処理済み犠牲部分が導電性層から分離することを可能にするのを補助するよう構成される。
第21の実施形態は、第1から第10の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、方法は、処理済み犠牲部分を形成するように犠牲層を処理するために、処理する前の犠牲層の表面に比べて平滑である処理済み犠牲部分の表面を提供するための処理条件を選択することを含む。
第22の実施形態は、第21の実施形態の方法を提供し、処理条件はN
2
O処理またはO
2
処理あるいはその両方を含む。
第23の実施形態は、第1から第22の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、犠牲層の少なくとも一部分を処理することは、犠牲層の表面を酸素含有分子またはラジカルにさらすことを含む。
第24の実施形態は、第23の実施形態の方法を提供し、酸素はイオン化酸素を含む。
第25の実施形態は、第1から第24の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、犠牲層の少なくとも一部分を処理することは、犠牲層を加熱することを含む。
第26の実施形態は、第1から第25の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、犠牲層の少なくとも一部分を処理することは、犠牲層をプラズマにさらすことを含む。
第27の実施形態は、第1から第26の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、方法は、処理済み犠牲部分の実質的に全てを除去することを含む。
第28の実施形態は、第1から第27の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、方法は、さらに、犠牲層の表面を六フッ化硫黄にさらすことによって、犠牲層の表面を処理すること、および、六フッ化硫黄による処理済み表面を覆って上位層を形成することを含む。
第29の実施形態は、第1から第28の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、方法は、さらに、基材を覆って電極を形成すること、および、電極を覆って犠牲層を形成することを含み、キャビティは、電極と上位層との間に位置する。
第30の実施形態は、第29の実施形態の方法を提供し、方法は、さらに、電極を覆って絶縁層を形成することを含む。
第31の実施形態は、第29の実施形態または第30の実施形態の方法を提供し、方法は、さらに、電極および上位層を分離する少なくとも1つの支持構造を形成することを含む。
第32の実施形態は、干渉ディスプレイデバイスを提供し、干渉ディスプレイデバイスは、基材を覆って形成される第1電極と、第1電極を覆って位置し、かつ、第1電極に実質的に平行な可動第2電極とを備え、第2電極は、第1電極と第2電極との間に形成されたキャビティに面する処理済み表面輪郭を備え、可動第2電極を支持するために位置する、第1電極と可動第2電極との間の複数の支持体を備える。
第33の実施形態は、第32の実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、可動第2電極はアルミニウムを含む。
第34の実施形態は、第32の実施形態または第33の実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、干渉ディスプレイデバイスは、さらに、第1電極上に位置する絶縁層を備える。
第35の実施形態は、第32から第34の実施形態のいずれか1つの実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、可動第2電極のキャビティ側の処理済み表面輪郭は、高温に対して実質的に感度が低い。
第36の実施形態は、第35の実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、高温は約100℃より高い。
第37の実施形態は、第35の実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、高温は約200℃より高い。
第38の実施形態は、第35の実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、高温は約500℃より高い。
第39の実施形態は、第32から第34の実施形態のいずれか1つの実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、可動第2電極のキャビティ側の処理済み表面輪郭は、高温にさらされたとき、ヒロックを形成する傾向を減少するよう構成される。
第40の実施形態は、第32から第39の実施形態のいずれか1つの実施形態の干渉ディスプレイデバイスのアレイを備えるディスプレイデバイスを提供する。
第41の実施形態は、第40の実施形態のディスプレイデバイスを提供し、ディスプレイデバイスは、さらに、アレイと通信するよう構成され、画像データを処理するよう構成されるプロセッサと、プロセッサと通信するよう構成されるメモリデバイスとを備える。
第42の実施形態は、第41の実施形態のディスプレイデバイスを提供し、ディスプレイデバイスは、さらに、アレイに少なくとも1つの信号を送出するよう構成されるドライバ回路を備える。
第43の実施形態は、第42の実施形態のディスプレイデバイスを提供し、ディスプレイデバイスは、さらに、ドライバ回路に画像データの少なくとも一部分を送出するよう構成されるコントローラを備える。
第44の実施形態は、第41から第43の実施形態のいずれか1つの実施形態のディスプレイデバイスを提供し、ディスプレイデバイスは、さらに、プロセッサに画像データを送出するよう構成される画像源モジュールを備える。
第45の実施形態は、第44の実施形態のディスプレイデバイスを提供し、画像源モジュールは、受信機、送受信機および送信機の少なくとも1つを備える。
第46の実施形態は、第41から第45の実施形態のいずれか1つの実施形態のディスプレイデバイスを提供し、ディスプレイデバイスは、さらに、入力データを受信し、入力データをプロセッサに通信するよう構成される入力デバイスを備える。
第47の実施形態は、未リリースの干渉ディスプレイデバイスを提供し、未リリースの干渉ディスプレイデバイスは、基材を覆って形成される第1電極と、第1電極の少なくとも一部分を覆って形成され、第1犠牲材料を含む第1犠牲層と、第1犠牲層の少なくとも一部分を覆って形成され、第1犠牲材料の処理による変形体を含む第2犠牲層と、第2犠牲層の少なくとも一部分を覆って形成される第2電極と、第1犠牲層および第2犠牲層を除去したとき、第2電極を支持するために位置する、第1電極と第2電極との間の複数の支持体とを備える。
第48の実施形態は、第47の実施形態の未リリースの干渉ディスプレイデバイスを提供し、処理による変形体は酸化による変形体を含む。
第49の実施形態は、第47の実施形態または第48の実施形態の未リリースの干渉ディスプレイデバイスを提供し、第2犠牲層は、基材に実質的に垂直に測定されると、深さが実質的に均一である。
第50の実施形態は、第47から第49実施形態のいずれか1つの実施形態の未リリースの干渉ディスプレイデバイスを提供し、第1犠牲層はモリブデンを含む。
第51の実施形態は、第47から第50の実施形態のいずれか1つの実施形態の未リリースの干渉ディスプレイデバイスを提供し、第2犠牲層はモリブデン酸化物を含む。
第52の実施形態は、第47から第51の実施形態のいずれか1つの実施形態の未リリースの干渉ディスプレイデバイスを提供し、上位層は金属を含む。
第53の実施形態は、第52の実施形態の未リリースの干渉ディスプレイデバイスを提供し、金属はアルミニウムを含む。
第54の実施形態は、干渉ディスプレイデバイスを提供し、干渉ディスプレイデバイスは、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分を支持する第1手段と、光に対して少なくとも部分的に反射性であり、光に対して少なくとも部分的に透過性であり、支持手段を覆って形成される、光を反射する第1手段と、光に対して少なくとも部分的に反射性であり、可動であり、第1反射手段を覆って位置し、第1反射手段に対して平行であり、第1反射手段と第2反射手段との間の干渉キャビティに面する処理済み表面輪郭を備える、光を反射する第2手段と、第1反射手段を覆って第2反射手段を支持する第2手段とを備える。
第55の実施形態は、第54の実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、第1支持手段は基材を備える。
第56の実施形態は、第54の実施形態または第55の実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、第1反射手段は光スタックを備える。
第57の実施形態は、第54から第56の実施形態のいずれか1つの実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、第2反射手段は可動反射層を備える。
第58の実施形態は、第54から第57の実施形態のいずれか1つの実施形態の干渉ディスプレイデバイスを提供し、第2支持手段は支持ポストを備える。
第59の実施形態は、銀含有フィルムを堆積させる方法を提供し、方法は、下位層の表面を処理することであって、それにより、処理済み表面を形成する、処理すること、および、処理済み表面上に銀含有フィルムを堆積させることを含み、前記処理することは、銀含有フィルムにおけるヒロック形成を低減する。
第60の実施形態は、第59の実施形態の方法を提供し、ヒロック形成は熱誘発性ヒロック形成を含む。
第61の実施形態は、第59の実施形態または第60の実施形態の方法を提供し、下位層の表面を処理することは、表面を、六フッ化硫黄、酸素およびプラズマの1つまたは複数にさらすことを含む。
第62の実施形態は、第59から第61の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、下位層の表面を処理することは、表面を加熱することを含む。
第63の実施形態は、第59から第62の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、方法は、さらに、銀含有フィルムを別のヒロック誘発性温度まで加熱することを含む。
第64の実施形態は、第59から第63の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、方法は、さらに、下位層の少なくとも一部分を除去することであって、それにより、処理済み表面に前もって接触状態の銀含有フィルムの少なくとも一部分を露出させる、除去することを含む。
第65の実施形態は、第64の実施形態の方法を提供し、方法は、銀含有フィルムを別のヒロック誘発性温度まで加熱する前に、下位層を除去することを含む。
第66の実施形態は、第59から第65の実施形態のいずれか1つの実施形態の方法を提供し、下位層の表面を処理することは、表面を平滑化することを含む。