JP2010521570A - エポキシ基を末端に有するポリマー、その組成物、および耐衝撃性改良剤としてのこれらの使用 - Google Patents

エポキシ基を末端に有するポリマー、その組成物、および耐衝撃性改良剤としてのこれらの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I)のエポキシ基で末端化されたポリマーに関する。このエポキシ基で末端化されたポリマーは、耐衝撃性改良剤として、特にエポキシ樹脂組成物中において非常に好適である。これらは、熱硬化性エポキシ樹脂接着剤における用途に特に好適である。このようなエポキシ樹脂組成物は、優れた機械特性と高いガラス転位温度を有するのみならず、室温および低温の両方において、改良された耐衝撃性特性をも有することが見出された。

Description

本発明は、耐衝撃性改良剤の分野、およびエポキシ樹脂組成物の分野に関する。
耐衝撃性改良剤には、衝撃力にさらされる接着剤の強度を改良する用途における長い歴史がある。エポキシ樹脂組成物は、一般に、特に高い機械的強度を有するが、非常に脆い。このことは、硬化したエポキシ樹脂が、衝撃力、例えば、車体の衝突において生じる衝撃力にさらされると、破砕され、結合の破壊がもたらされることを意味する。
液状ゴムは、靭性を高めるためにかなりの間使用されてきた。例えば、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーをベースとする液状ゴム、例えば、Hycar(登録商標)の名称で入手可能な種類の液状ゴムが使用されている。
国際公開第03/093387号には、ジカルボン酸とグリシジルエーテルとの付加体、ビス(アミノフェニル)スルホン異性体類とグリシジルエーテルとの付加体、または芳香族アルコールとグリシジルエーテルとの付加体を含む、耐衝撃性エポキシ樹脂組成物が開示されている。しかし、これらの組成物は、低温(0℃未満)耐衝撃性において欠点を有する。
国際公開第2004/055092号、国際公開第2005/007720号、および国際公開第2007/003650号には、イソシアネート基を末端に有するポリウレタンプレポリマーと、モノヒドロキシエポキシドとの反応生成物を含む、改良された耐衝撃性を有するエポキシ樹脂組成物が開示されている。しかし、これらの組成物は、いくつかの用途において、最適な耐衝撃性、特に低温耐衝撃性が不足している。
国際公開第2004/055092号パンフレット 国際公開第2005/007720号パンフレット 国際公開第2007/003650号パンフレット
したがって、本発明の目的は、エポキシ樹脂の耐衝撃性を向上させることができる耐衝撃性改良剤を提供することである。
驚くべきことに、この目的が、請求項1のエポキシ基を末端に有するポリマーによって達成されることが判明した。これらのエポキシ基を末端に有するポリマーは、本発明のさらなる態様である請求項11のエポキシ樹脂組成物、より特に、請求項13の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の一部である。特に驚くべきことに、いくつかの場合において、従来技術と比較して大幅に耐衝撃性を高めることが可能であることが判明した。室温およびー20℃の両方で最高で20Jを超える破壊エネルギーを得ることも可能であること、ならびに、これらのポリマーが、高い耐衝撃性を有するにもかかわらず、優れた機械特性および高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂組成物を得るために用いることができることが明らかとなった。特に驚くべき発見は、このようなエポキシ樹脂組成物について低温(−20℃)で得られる破壊エネルギーが、室温で得られる破壊エネルギーとほぼ同等に高いことである。
本発明のさらなる態様は、これらのエポキシ基を末端に有するポリマーの製造方法(請求項7)、これらのエポキシ樹脂組成物の接着剤としての使用(請求項21)、およびこ
れらのエポキシ基を末端に有するポリマーの製造方法(請求項22)に関する。
最後に、請求項23の硬化した組成物、請求項24の接着結合した物品が、本発明のさらなる態様を構成する。
特に好ましい実施態様は、従属請求項の主題である。
本発明は、第一の態様において、下記式(I)のエポキシ基を末端に有するポリマー:
Figure 2010521570
この式中、Yは、イソシアネート基を末端に有する線状または分岐状のポリウレタンポリマーPU1からn個の末端イソシアネート基を除去した後のn価の基である。さらに、Yは、一級または二級のヒドロキシ基を有する、脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族(araliphatic)のエポキシドから、ヒドロキシ基およびエポキシ基を除いた後の基である。最後に、mは、1、2、または3の値であり、nは2〜8の値である。
ポリウレタンポリマーPU1は、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、少なくとも1種の非フェノール性ジオールQおよび末端のヒドロキシル基、チオール基、一級アミノ基、または二級アミノ基を有する少なくとも1種のポリマーQとから得られる。非フェノール性ジオールQは、60〜400g/モルの分子量を有し、ポリマーQは、600〜20000g/モルの分子量を有する。
本明細書全体において、「ポリ」で始まる物質名、例えば、「ポリオール」、「ポリイソシアネート」、「ポリアミン」、または「ポリフェノール」は、それぞれの名称に含まれる官能基を1分子当たり2個以上形式的に含む物質を指す。
本明細書において、「ポリマー」の語は、第一に、化学的に均一である一方、重合度、分子量、および鎖長に関して異なる高分子であって、重合反応(付加重合、重付加、重縮合)によって製造されるものの集合体を包含する。第二に、この語はまた、重合反応による高分子のこのような集合体の誘導体、言い換えれば、例えば、既存の高分子上の官能基の反応、例えば付加反応または置換反応などの反応によって得られ、化学的に均一であっても化学的に不均一であってもよい化合物をも包含する。この用語はさらに、プレポリマーといわれるもの、言い換えれば、その官能基が高分子の合成に関与する反応性オリゴマー予備付加体(プレアダクト)をも包含する。
「ポリウレタンポリマー」の語は、いわゆるジイソシアネートの重付加法として知られている方法によって製造される全てのポリマーを含む。この語は、実質的に、あるいは全くウレタン基を有さないポリマーをも含む。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレート、およびポリカルボジイミドである。
本明細書において、「分子量」は、常に質量平均分子量Mを意味する。
ポリウレタンポリマーPU1は、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、少なくとも1種の非フェノール性ジオールQと、末端のヒドロキシル基、チオール基、一級アミノ基、もしくは二級アミノ基を有し、600〜20000g/モルの分子量を有する少なくとも1種のポリマーQとから製造することができる。
好ましくは、Q:Qのモル比は、1:2から1:0.01の値、好ましくは1:2から1:0.05の値、最も好ましくは1:2から1:0.2の値である
特に好適な非フェノール性ジオールQは、脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族のジオールである。
特に好適なこのような非フェノール性ジオールQは、
− 脂肪族ジオール類、より特に、
− アルキレンジオール類、とりわけ、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジメチルプロパンジオール、とりわけ2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(すなわち、ネオペンチルグリコール)、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、2,3-ブタンジオール、メチルブタンジオール、ジメチルブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルペンタンジオール、とりわけ2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、トリメチルペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、ジメチルヘキサタンジオール、とりわけ2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、2,6-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-オクタンジオール、または3,6-オクタンジオール;
− ポリオキシアルキレンジオール類、とりわけ、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリブチレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、テトラブチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ペンタプロピレングリコール、ペンタブチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘキサプロピレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、またはポリオキシエチレン/オキシプロピレンジオール;
− 脂環式構造を有するアルキレンジオール類、とりわけ、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン、および2,5(2,6)-ビス(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン;
− 脂環式ジオール類、とりわけ、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、ジメチルシクロヘキサンジオール、ノルボルナンジオール、水素化ビスフェノールA(ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン)、水素化ビスフェノールF(ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、およびジシクロペンタジエニルジオール;
− 芳香脂肪族ジオール類、とりわけ、キシリレンジオール、エトキシル化されたビスフェノールA、プロピキシル化されたビスフェノールA、エトキシル化されたビスフェノールF、プロピキシル化されたビスフェノールFである。
非フェノール性ジオールQは、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、3(4),8(9)-ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン、キシリレンジオール、エトキシル化されたビスフェノールA、およびプロピキシル化されたビスフェノールAからなる群から選択されるジオールであることが好ましい。
より好ましくは、非フェノール性ジオールQは、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、3(4),8(9)-ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン、キシリレンジオール、エトキシル化ビスフェノールA、およびプロポキシル化ビスフェノールAからなる群から選択されるジオールである。最も好ましくは、非フェノール性ジオールQは、エトキシル化ビスフェノールAまたはプロポキシル化ビスフェノールAである。
末端のヒドロキシル基、チオール基、一級アミノ基、もしくは二級アミノ基を有し、600〜20000g/モルの分子量を有する好適なポリマーQは、以下のa)〜c)のポリマーである。
a)ポリオール類、より特に、
− ポリオキシアルキレンポリオール類、これらはポリエーテルポリオールともいわれ、これらは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-もしくは2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物の重合生成物であって、適切な場合には、2個もしくは3個の活性水素(H)原子を有する開始剤分子(例えば、水、または2個もしくは3個のOH基を有する化合物など)を用いて重合される。例えば、いわゆるダブルメタルシアン化物錯体触媒(DMC触媒と略される)を用いて製造された、不飽和度〔ASTM D2849-69に準拠して測定され、ポリオール1 g当たりの不飽和のミリ当量(mEq/g)で表される〕が低いポリオキシアルキレンポリオール、または、例えば、NaOH、KOH、もしくはアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン性触媒を用いて合成された、不飽和度が高いポリオキシアルキレンポリオール、のいずれの物質を用いることもできる。特に好適なものは、0.02 mEq/g未満の不飽和度を有し、且つ1000〜30000ダルトンの範囲のモル質量を有するポリオキシプロピレンジオールおよびトリオール、ポリオキシブチレンジオールおよびトリオール、600〜8000ダルトンのモル質量を有するポリオキシプロピレンジオールおよびトリオール、並びに、いわゆる「EO末端キャップされた」(エチレンオキシドで末端キャップされた)ポリオキシプロピレンジオールまたはトリオールである。後者は、特定のポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールであって、これは例えば、ポリプロポキシル化反応終了後に、純粋なポリオキシプロピレンポリオールを、エチレンオキシドを用いてアルコキシル化する方法によって得られ、したがって生成物は、一級ヒドロキシル基を有している。
− ヒドロキシ末端ポリブタジエンポリオール類、例えば、1,3-ブタジエンとアリルアルコールとの重合によって、あるいはポリブタジエンの酸化によって製造されるものなど、およびこれらの水素化生成物;
− スチレン-アクリロニトリル-グラフトポリエーテルポリオール類、例えば、Lupranol(登録商標)の名称でElastogron社から供給されているものなど;
− ポリヒドロキシ末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、例えば、カルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー〔Nanoresins AG社(独国)からHycar(登録商標)CTBNの名称で市販されている〕と、エポキシドまたはアミノアルコールとから得られる種類のものなど;
− ポリエステルポリオール類、例えば、二価〜三価アルコール〔例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、または前記アルコール類の混合物など〕と、有機ジカルボン酸またはそれらの酸無水物もしくはエステル〔例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロフタル酸、または前記カルボン酸の混合物など〕とから製造されるポリエステルポリオール類、並びに、ラクトン類(例えば、ε-カプロラクトンなど)から製造されるポリエステルポリオール類;
− ポリカーボネートポリオール類、例えば、ポリエステルポリオールの合成に用いられる上述したアルコール類を、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはホスゲンと反応させることによって得られる種類のもの;
− 二量化された脂肪酸の還元によって得られる種類のポリオール類。
b)ポリアミン類、より特に、
− アミノ基を末端に有するポリエチレンエーテル類またはポリプロピレンエーテル類、例えば、Huntsman社からJeffamine(登録商標)の名称で販売されているもの;
− アミノ基を末端に有するポリブチレンエーテル類、ポリブタジエン類、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー類、より特に、例えば、Nanoresins AG社(独国)からHycar(登録商標)ATBNの名称で販売されている種類のもの;
− アミノ基を末端に有する合成ゴム。
c)ポリチオール類(ポリメルカプタンとも言う)、より特に、ジメルカプタン類、例えば、
− ポリオールのポリメルカプロアセテート類、より特に、上述したポリオールのポリメルカプロアセテート類;
− 下記式(II)のジメルカプタン類。
Figure 2010521570
式中、yは、1〜45、より特に5〜23の値である。好ましい分子量は、800〜7500g/モル、より特に、1000〜4000g/モルである。この種のポリメルカプタンは、Toray Fine Chemicals Co.社からThiokol(登録商標)LPシリーズとして商業的に入手可能である。
末端のヒドロキシル基、チオール基、一級アミノ基、もしくは二級アミノ基を有するポリマーQは、一方では、脂肪族、脂環族、または芳香脂肪族のポリオール、より特に、ポリオキシアルキレンポリオール、好ましくはポリオキシアルキレンジオールであることが好ましい。
末端のヒドロキシル基、チオール基、一級アミノ基、もしくは二級アミノ基を有するポリマーQは、他方では、エーテル基を有する脂肪族ポリアミン、より特に、2個または3個の一級アミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミンであることが好ましい。
ポリウレタンポリマーPU1の製造のために好適なジイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族(araliphatic)のジイソシアネート、とりわけ市販されている製品、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、2,5-または2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジシクロヘキシルメチルジイソシアネート(H12MDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)など、およびこれらの位置異性体および二量体である。好ましくは、HDI、IPDI、MDI、またはTDIである。
ポリウレタンポリマーPU1の製造のために好適なトリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族のジイソシアネートの三量体またはビウレット、特に、前段落に記載したジイソシアネートのイソシアヌレートおよびビウレットである。
ジイソシアネートまたはトリイソシアネートの適切な混合物を用いることもできる。
イソシアネート基を末端に有するポリウレタンポリマーPU1は、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、少なくとも1種の非フェノール性ジオールQおよび少なくとも1種のポリマーQの混合物との反応によって製造することができる。
別の好ましい実施態様では、この製造は、ジイソシアネートまたはトリイソシアネートをポリマーQと反応させて反応生成物PU1’を生成させ、次いで、この中間体を非フェノール性ジオールQで鎖延長反応させることによって行う。
別の好ましい実施態様では、この製造は、ジイソシアネートまたはトリイソシアネートを非フェノール性ジオールQと反応させて反応生成物PU1’を生成させ、次いで、この中間体をポリマーQで鎖延長反応させることによって行う。
式(I)のエポキシ基を末端に有するポリマーは、イソシアネート基を末端に有するポリウレタンポリマーPU1と、一級または二級ヒドロキシル基を有する、脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族(araliphatic)のエポキシドとから製造することができる。
一級または二級ヒドロキシル基を有する、脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族(araliphatic)のエポキシド(本明細書において、モノヒドロキシルエポキシ化合物とも言う)は、下記式(III)の構造を有する。
Figure 2010521570
式(III)のモノヒドロキシエポキシ化合物は、1、2、または3個のエポキシ基を有する。このモノヒドロキシエポキシ化合物(III)のヒドロキシ基は、一級または二級ヒドロキシ基であってよい。
この種のモノヒドロキシエポキシ化合物は、例えば、ポリオールとエピクロルヒドリンとの反応によって製造することができる。反応の実施に応じて、多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって、対応するモノヒドロキシエポキシ化合物をさまざまな濃度で含む副生成物が生成する。これらは、従来の分離操作によって単離できる。しかし、一般に、ポリオールのグリシジル化で得られ、且つ完全にもしくは部分的に反応してグリシジルエーテルを生じた生成物の混合物を用いることで差し支えない。この種のヒドロキシル基を有するエポキシドの例は、(ブタンジオールジグリシジルエーテル中に含まれる)ブタンジオールモノグリシジルエーテル、(ヘキサンジオールジグリシジルエーテル中に含まれる)ヘキサンジオールモノグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル中に混合物の形態で含まれる)トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、(グリセロールトリグリシジルエーテル中に混合物の形態で含まれる)グリセロールジグリシジルエーテル、(ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル中に混合物の形態で含まれる)ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテルである。トリメチロールプロパンジグリシジルエーテルを用いることが好ましく、これらは、従来法で製造されたトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル中に比較的高い割合で存在する。
しかし、その他の類似するヒドロキシル基を有するエポキシド、特に、グリシドール、3-グリシジルオキシベンジルアルコール、またはヒドロキシメチルシクロヘキセンオキシドを用いることもできる。さらに、ビスフェノールA(R=CH)とエピクロルヒドリンとから製造される市販の液状エポキシ樹脂中に約15%存在する式(IV)のβ-ヒドロキシエーテルが好ましく、また、ビスフェノールF(R=H)とエピクロルヒドリンとの反応時に、あるいはビスフェノールAおよびビスフェノールFの混合物とエピクロルヒドリンとの反応時に形成される、対応する式(IV)のβ-ヒドロキシエーテルも好ましい。
Figure 2010521570
さらに、高純度の蒸留液状エポキシ樹脂の製造時に得られる蒸留残渣もさらに好ましい。この種の蒸留残渣は、市販されている未蒸留の液状エポキシ樹脂と比較した場合、3倍にも上る高いヒドロキシル基を有するエポキシドの濃度を有する。加えて、(ポリ)エポキシドと、化学量論量の一官能性求核剤(例えば、カルボン酸、フェノール類、チオール、または二級アミンなど)との反応によって製造される、β-ヒドロキシエーテル基を有する非常に多種多様なエポキシドを用いることも可能である。
特に好ましくは、Y基は、下記式の三価の基である:
Figure 2010521570
(式中、Rは、メチルまたはHである)。
式(III)のモノヒドロキシエポキシ化合物の遊離の一級または二級OH官能基によって、不釣り合いに過剰なエポキシ成分を用いる必要なしに、ポリマーPU1の末端イソシアネート基と効果的に反応させることが可能になる。
式(III)のモノヒドロキシエポキシ化合物と、イソシアネート基を末端に有する線状または分岐状のポリウレタンポリマーPU1との反応は、それ自体当業者に公知の方法で行う。
式(I)のエポキシ基を末端に有するポリマーは、典型的には、弾性特性を有し、有利には、液状エポキシ樹脂に分散可能もしくは可溶性である。このポリマーは、広範な用途を有し、例えば、エポキシ樹脂として、あるいはエポキシ樹脂組成物の添加剤として用いることができる。
より特に、式(I)のエポキシ基を末端に有するポリマーは、耐衝撃性改良剤として非常に有用に使用することができる。言い換えると、耐衝撃性を改善するための試剤、とりわけエポキシ樹脂の耐衝撃性を改善するための試剤として使用することができる。
本発明の第二の態様では、1分子当たり平均1個より多いエポキシ基を有するエポキシ樹脂Aと、少なくとも1種の、上述した式(I)のエポキシ基を末端に有するポリマーとを含む少なくとも1種エポキシ樹脂組成物を提供する。
エポキシ樹脂Aのエポキシ基は、グリシジルエーテル基の形態であることが好ましい。1分子当たり平均1個より多いエポキシ基を有するエポキシ樹脂Aが、液体エポキシ樹脂または固体エポキシ樹脂であることが好ましい。用語「固体エポキシ樹脂」は、当業者に周知であり、「液体エポキシ樹脂」とは対照的に用いられる。固体樹脂のガラス転移点は、室温より高く、粉砕して室温で注ぐことができる粉末にすることができる。
好適な固体エポキシ樹脂は、下記式(V)を有する。
Figure 2010521570
式中、R’基おおびR’’基は、互いに独立に、HまたはCH3のいずれかである。本明細書において、「互いに独立に」という用語は、置換基、残基、または基との関連で、同じに規定した置換基、残基、または基が、同一分子中で異なる意味で同時に現れうることを意味する。
さらに、指数sは、1.5より大きな値、より特に、2〜12の値である。
この種の固体エポキシ樹脂は、例えば、Dow社、Huntsman社、またはHexion社から商業的に入手可能である。
1〜1.5の指数sを有する式(V)の化合物は、当業者に半固体エポキシ樹脂(セミソリッドエポキシレジン)と呼ばれている。本発明のためには、これらは同様に固体樹脂であると考える。しかし、より狭い意味でのエポキシ樹脂、すなわち、指数sが1.5より大きな値を有するエポキシ樹脂が好ましい。
好ましい液状エポキシ樹脂は下記式(VI)を有する。
Figure 2010521570
この式中、置換基R’’’およびR’’’’は、互いに独立に、HまたはCH3のいずれかである。さらに、指数rは0〜1の値である。rは0.2より小さな値であることが好ましい。
これらの物質は、したがって、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、またはビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテル(「A/F」の用語は本明細書ではこの物質の製造において反応剤として用いるアセトンとホルムアルデヒドとの混合物を指す)であることが好ましい。この種の液状樹脂は、例えば、Araldite(登録商標)GY 250、Araldite(登録商標)PY 304、Araldite(登録商標)GY 282(Huntsman社)、またはD.E.R.(登録商標)331もしくはD.E.R.(登録商標)330(Dow社)、またはEpikote 828(Hexion社)として入手することができる。
エポキシ樹脂Aは、式(VI)の液状エポキシ樹脂であることが好ましい。なおさらに好ましい態様では、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、式(VI)の少なくとも1種の液状エポキシ樹脂だけでなく、式(V)の少なくとも1種の固体エポキシ樹脂をも含む。
エポキシ樹脂Aの割合は、組成物の質量に基づいて、10〜85質量%、より特に15〜70質量%、好ましくは15〜60質量%であることが好ましい。
式(I)のエポキシ基を末端に有するポリマーの割合は、組成物の質量に基づいて、1〜845質量%、より特に3〜30質量%であることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、室温硬化性または熱硬化性である。
室温硬化性エポキシ樹脂組成物である場合、硬化は、典型的にはポリアミンまたはポリメルカプタンを含む硬化剤成分の混合によって起こる。
熱硬化性エポキシ樹脂組成物である場合、硬化は、高温で、熱により活性化可能な硬化剤の存在の結果として起こる。
エポキシ樹脂組成物は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物であることが好ましい。したがって、1つの好ましい実施態様では、エポキシ樹脂組成物は、昇温によって活性化されるエポキシ樹脂用硬化剤Bを少なくとも1種さらに含み、熱硬化性である。硬化剤は、好ましくは、ジシアンジアミド、グアナミン類、グアニジン類、アミノグアニジン類、およびこれらの誘導体からなる群から選択される硬化剤であることが好ましい。加えて、促進性硬化剤、例えば、置換尿素類〔例えば、3-クロロ-4-メチルフェニル尿素(クロロトルロン、chlortoluron)など〕、またはフェニルジメチル尿素類〔より特に、p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(モヌロン、monuron)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(フェヌロン、fenuron)、または3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(ジウロン、diuron)〕を用いることもできる。加えて、イミダゾール類〔例えば、2-イソプロピルイミダゾール、または2-ヒドロキシ-N-(2-(2-(2-ヒドロキシフェニル)-4,5-ジヒドロイミダゾール-1-イル)エチル)ベンズアミドなど〕およびアミン錯体の部類の化合物を用いることもできる。
硬化剤Bは、好ましくは、ジシアンジアミド、グアナミン類、グアニジン類、アミノグアニジン類、およびこれらの誘導体;置換尿素類〔特に3-クロロ-4-メチルフェニル尿素(クロロトルロン、chlortoluron)〕、またはフェニルジメチル尿素類〔特に、p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(モヌロン、monuron)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(フェヌロン、fenuron)、または3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(ジウロン、diuron)など〕、ならびにイミダゾール類およびアミン錯体からなる群から選択される硬化剤である。
特に好ましい硬化剤Bは、ジシアンジアミドである。
硬化剤Bの合計の割合は、全組成物の質量を基準にして、有利には0.5〜12質量%、好ましくは1〜8質量%である。
エポキシ樹脂組成物、より特に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、尿素誘導体に基づくチキソ性付与剤Cをさらに含むことができる。この尿素誘導体は、より特に、芳香族ジイソシアネートモノマーと脂肪族アミン化合物との反応生成物である。2種以上の異なるジイソシアネートモノマーを、1種以上の脂肪族アミン化合物と反応させること、あるいは1種のジイソシアネートモノマーを2種以上の脂肪族アミン化合物と反応させることも全く可能である。ジフェニルメチレン4,4’-ジイソシアネート(MDI)とブチルアミンとの反応生成物が特に有利であることが実証されている。
この尿素誘導体は、担体物質中に存在することが好ましい。担体物質は、可塑剤、より特に、フタレートまたはアジペート、好ましくはジイソデシルフタレート(DIDP)またはジオクチルアジペート(DOA)であってよい。担体は、非拡散性担体であってもよい。非拡散性担体は、硬化後の未反応成分の移行(マイグレーション)を最小にするために好ましい。好ましい非拡散性担体は、ブロックポリウレタンプレポリマーである。
これらの好ましい尿素誘導体および担体物質の製造は、欧州特許出願公開第1152019号明細書に詳細に記載されている。担体物質は、有利には、ブロックポリウレタンプレポリマーPU2、より特に、三官能性ポリエーテルポリオールを、IPDIと反応させ、次いで、ε-カプロラクタムを用いて末端イソシアネート基をブロックすることによって得られるものが有利である。
チキソ性付与剤Cの全割合は、有利には、全組成物の質量を基準にして、0〜40質量%、好ましくは5〜25質量%である。この尿素誘導体の質量と、存在する任意の担体の質量との比は、2/98〜50/50、より特に5/95〜25/75であることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物、より特に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、液状ゴムDをさらに含むことが好ましく、この液状ゴムDはカルボキシ末端またはエポキシ末端ポリマーであることが好ましい。
1つの実施態様では、この液状ゴムDは、カルボキシ末端もしくはエポキシ末端アクリロニトリルブタジエンコポリマー、またはこれらの誘導体である。この種の液状ゴムは、例えば、Nanoresins AG(ドイツ国)社からHycar(登録商標)CTBN、CTBNX、およびETBNとして市販されている。好ましい誘導体は、特に、エポキシ基を有するエラストマー変性ポリマーであり、Struktol(登録商標)(Schill+Seilacherグループ(ドイツ国))からのPolydis(登録商標)製品系列、好ましくはPolydis(登録商標)36.. 製品系列として上市されているもの、あるいはAlbipox製品系列(Nanoresins社(ドイツ国))として上市されている種類のものである。
別の実施態様では、この液状ゴムDは、液状エポキシ樹脂と完全に混和性であり且つエポキシ樹脂マトリクスの硬化時にのみ偏析(demix)して微小液滴を与える液状ポリアクリレートゴムである。この種の液状ポリアクリレートゴムは、例えば、Rohm and Haas社からの20208-XPAとして入手可能である。
別の実施態様では、この液状ゴムDは、液状エポキシ樹脂と完全に混和性であり且つエポキシ樹脂マトリクスの硬化時にのみ偏析(demix)して微小液滴を与えるコポリマーである。この種のコポリマーは、エポキシ樹脂と反応性であっても非反応性であってもよい。より特に、これらのコポリマーは、両親媒性ブロックコポリマーである。好適なこのようなコポリマーは、より特に、ジブロックまたはトリブロックコポリマーである。この種のコポリマーとして最も好ましいものは、エチレンオキシドと、好ましくはプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド、およびドデシレンオキシドからなる群からの少なくとも1種のさらなるアルキレンオキシドとの液状コポリマーである。好適な液状コポリマーは、Dow Chemical社からFortegra(登録商標)の製品系列で商業的に入手可能な液状コポリマーである。
特に好適な液状ゴムDは、以下の文献または特許に開示されたものである(これらの内容を、参照により本明細書に組み込む):欧州特許出願公開第0308664号、とりわけ式(I)、特に第5頁第14行〜第13頁第24行;欧州特許出願公開第0338985号、同第0353190号、国際公開第00/20483号、とりわけ式(I)、特に第8頁第18行〜第12頁第2行;国際公開第01/94492号、とりわけ反応生成物D)およびE)、特に第10頁第15行〜第14頁第22行;国際公開第03/078163号、とりわけアクリレートを末端に有するポリウレタン樹脂B)、特に第14頁第6行〜第14頁第35行;国際公開第2005/007766号、とりわけ式(I)または式(II)、特に第4頁第5行〜第11頁第20行;欧州特許出願公開第1728825号、とりわけ式(I)、特に第3頁第21行〜第4頁第47行;国際公開第2006/052726号、とりわけ両親媒性ブロックコポリマーb)、特に第6頁第17行〜第9頁第10行;国際公開第2006/052729号、とりわけ両親媒性ブロックコポリマーb)、特に第6頁第25行〜第10頁第2行;T.J. Hermal-Davidockら、J. Polym. Sci. Part B: Polym. Phys. 2007, 45, 3338-3348、とりわけ両親媒性ブロックコポリマー、特に第3339頁第2欄〜第3341頁第2欄;国際公開第2004/055092号、とりわけ式(I)、特に第7頁第28行〜第13頁第15行;国際公開第2005/007720号、とりわけ式(I)、特に第8頁第1行〜第17頁第10行;国際公開第2007/020266号、とりわけ式(I)、特に第3頁第1行〜第11頁第6行、および独国特許出願公開第2123033号。
当業者には、液状ゴムの混合物、とりわけカルボキシル末端またはエポキシ末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーの混合物またはこれらの誘導体の混合物を用いることもできることは当然明らかである。
液状ゴムDは、有利には、組成物の質量に基づいて、1〜35質量%、より特に1〜25質量%の量で用いることができる。
エポキシ樹脂組成物、より特に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、固体靭性改良剤E(耐衝撃性改良剤E)をさらに含むことが好ましい。以下で、「靭性改良剤(toughener)」は、エポキシ樹脂マトリクスに用いて、その添加量が0.1〜15質量%、特に0.5〜8質量%の少量の場合でも、靭性に顕著な増大をもたらし、それによってそのマトリクスが引き裂きまたは破壊される前に、より大きな曲げ応力、引張応力、または衝撃応力の吸収を可能にする添加剤を意味する。
1つの実施態様では、固体靭性改良剤Eは、有機イオンでイオン交換した層状鉱物E1である。
このイオン交換した層状鉱物E1は、カチオン交換した層状鉱物E1cであっても、アニオン交換した層状鉱物E1aであってもよい。
ここでは、カチオン交換した層状鉱物E1cは、層状鉱物E1’から得られ、そのカチオンの少なくとも一部が有機カチオンで置換されている。この種のカチオン交換された層状鉱物E1cの例は、特に、米国特許第5,707,439号明細書または同第6,197,849号明細書で言及されているものである。これらの文献には、これらのカチオン交換された層状鉱物E1cの製造方法も記載されている。好ましい層状鉱物E1’は、層状シリケートである。特に好ましい層状鉱物E1’は、米国特許第6,197,849号明細書の第2欄第38行〜第3欄第5行に記載された種類のフィロケイ酸塩、特にベントナイトである。例えば、カオリナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、またはイライトなどの層状鉱物E1’が、特に好適であることが判明している。
層状鉱物E1’のカチオンの少なくとも一部は、有機カチオンによって置換されている。このようなカチオンの例は、n-オクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、ジメチルドデシルアンモニウム、もしくはビス(ヒドロキシエチル)オクタデシルアンモニウム、または、天然の脂肪および油から得られるアミンの類似の誘導体;またはグアニジウムカチオン類もしくはアミジニウムカチオン類;または、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリンのN−置換誘導体のカチオン類;または、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)および1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンのカチオン類;または、ピリジン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ピラジン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、フェナジン、および2,2’-ビピリジンのN置換誘導体のカチオン類である。加えて好適なものは、環状アミジニウムカチオン類、より特に米国特許第6,197,849号明細書の第3欄第6行〜第4欄第67行に開示された環状アミジニウムカチオンである。環状アンモニウム化合物は、直鎖状アンモニウム化合物と比較して高い熱安定性を特徴とする。なぜならこれらは熱ホフマン分解を起こしえないからである。
好ましいカチオン交換された層状鉱物E1cは、有機クレイまたはナノクレイ(nanoclay)の用語で当業者には公知であり、例えば、Tixogel(登録商標)またはNanofil(登録商標)(Sudchemie社)、Cloisite(登録商標)(Southern Clay Products社)、またはNanomer(登録商標)(Nanocor Inc.社)の製品群で市販されている。
ここでのアニオン交換された層状鉱物E1aは、層状鉱物E1’’から得られ、層状鉱物E1’’においてアニオンの少なくとも一部が有機アニオンに交換されている。このようにアニオン交換された層状鉱物E1aの例は、中間層の炭酸塩アニオンの少なくとも一部が有機アニオンに交換されたハイドロタルサイトE1’’である。さらなる例は、官能化されたアルミノキサン類であり、これは例えば米国特許第6,322,890号明細書に記載されている。
本組成物は、カチオン交換された層状鉱物E1cとアニオン交換された層状鉱物E1aとを同時に含むことも、もちろん可能である。
別の実施態様では、固体靭性改良剤は、ブロックコポリマーE2である。このブロックコポリマーE2は、メタクリル酸エステルと、オレフィン二重結合を有する少なくとも1種のさらなるモノマーとの、アニオン重合または制御されたフリーラジカル重合反応によって得られる。オレフィン二重結合を有するモノマーとして好ましいものは、特に、二重結合がヘテロ原子もしくは少なくとも1個のさらなる二重結合と直接共役しているモノマーである。とりわけ好適なモノマーは、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、および酢酸ビニルからなる群から選択されるモノマーである。アクリレート-スチレン-アクリル酸(ASA)コポリマーが好ましく、これは例えばGE Plastics社からGELOY 1020の名称で入手可能である。
特に好ましいブロックコポリマーE2は、メチルメタクリレート、スチレン、およびブタジエンから構成されたブロックコポリマーである。この種のブロックコポリマーは、例えば、Arkema社からのSBM製品群のトリブロックコポリマーの形態で入手可能である。
別の実施態様では、固体靭性改良剤EはコアシェルポリマーE3である。コアシェルポリマーは、弾性のコアポリマーと剛性のシェルポリマーとから構成される。とりわけ好適なコアシェルポリマーは、弾性アクリレートポリマーもしくは弾性ブタジエンポリマーのコアと、それを取り囲む剛性熱可塑性ポリマーの剛性なシェルから構成される。このコアシェル構造は、ブロックコポリマーの偏析(demixing)によって自発的に形成されるか、重合反応のためにラテックスまたは懸濁重合法を用い、次にグラフト化させる必然的な結果形成されるかのいずれかである。好ましいコアシェルポリマーは、MBSポリマーとして知られているものであり、これはAtofina社のClearstrength(登録商標)、Rohm and Haas社のParaloid(登録商標)、またはZeon社のF-351(登録商標)として市販されている。
特に好ましいコアシェルポリマー粒子は、既に乾燥したポリマーラテックスの形態のものである。このようなコアシェルポリマー例は、ポリシロキサンコアとアクリレートシェルとを有するWacker社からのGENIOPERL M23A、Eliokem社によって製造されたNEPシリーズからの放射線架橋ゴム粒子、またはLanxess社のNanoprene、またはRohm and Haas社のParaloid EXLである。
さらに、コアシェルポリマーのその他の同等の例は、Nanoresins AG(ドイツ国)からAlbidur(登録商標)の名称で供給されている。
さらに別の実施態様では、固体靭性改良剤Eは、カルボキシル化固体ニトリルゴムと過剰のエポキシ樹脂との固体の反応生成物E4である。
好ましい固体靭性改良剤Eは、コアシェルポリマーである。
固体靭性改良剤Eは、組成物の質量を基準にして、0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜8質量%の量で存在することが好ましい。
エポキシ樹脂組成物、より特に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、少なくとも1種のフィラー(充填剤)Fをさらに含むことが好ましい。これには、好ましくは、マイカ、タルク、カオリン、ウォラストナイト、長石、閃長石(シエナイト)、緑泥石(クロライト)、ベントナイト、モンモリロナイト、イライト、炭酸カルシウム(沈降性もしくは粉砕)、ドロマイト、石英、シリカ(ヒュームドまたは沈降性)、クリストバライト、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、中空セラミックビーズ、中空または中実ガラスビーズ、中空有機ビーズ、または着色顔料が含まれる。フィラーFは、有機コーティングされた形態およびコーティングされていない形態の両者を意味し、これらは市販されており、当業者に知られている。
全フィラーFの合計割合は、全組成物の質量に基づいて3〜50質量%、好ましくは5〜35質量%、特に5〜25質量%であることが有利である。
エポキシ樹脂組成物、より特に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ基を有する少なくとも1種の反応性希釈剤Gをさらに含んでいてよい。これらの反応性希釈剤Gは、特に以下のものである。
− 飽和または不飽和の、分岐状または非分岐状の、環状または開鎖状(オープンチェーン)のC4〜C30の一価アルコールのグリシジルエーテル(例えば、ブタノールグリシジルエーテル、ヘキサノールグリシジルエーテル、2-エチルヘキサノールグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、テトラヒドロフルフリルグリシジルエーテルおよびフルフリルグリシジルエーテル、トリメトキシシリルグリシジルエーテルなど)、
− 飽和または不飽和の、分岐状または非分岐状の、環状または開鎖状のC2〜C30の二価アルコールのグリシジルエーテル(例えば、エチレングリコールグリシジルエーテル、ブタンジオールグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル、オクタンジオールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなど)、
− 飽和または不飽和の、分岐状または非分岐状の、環状または開鎖状の三価または多価アルコールのグリシジルエーテル〔例えば、エポキシ化ひまし油、エポキシ化トリメチロールプロパン、エポキシ化ペンタエリスリトール、または脂肪族ポリオール(例えば、ソルビトール、グリセロール、トリメチロールプロパンなど)のポリグリシジルエーテルなど〕、
− フェノール化合物のグリシジルエーテルおよびアニリン化合物のグリシジルエーテル〔例えば、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェノールグリシジルエーテル、3-n-ペンタデセニルグリシジルエーテル(カシューナッツシェルオイルからのもの)、N,N-ジグリシジルアニリンなど〕、
− エポキシ化アミン(例えば、N,N-ジグリシジルシクロへキシルアミンなど)、
− エポキシ化モノ-またはジカルボン酸(例えば、グリシジルネオデカノエート、グリシジルメタクリレート、グリシジルベンゾエート、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、およびジグリシジルヘキサヒドロフタレート、脂肪酸二量体のジグリシジルエステルなど)、
− エポキシ化された、低分子量から高分子量の二価また三価のポリエーテルポリオール(例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなど)。
特に好ましいものは、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、およびポリエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
有利には、エポキシ基を有する反応性希釈剤Gの合計割合は、組成物の全質量に基づいて、0.5〜29質量%、好ましくは1〜8質量%である。
エポキシ樹脂組成物、より特に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、発泡剤をさらに含んでいてよい。発泡剤は、物理的または化学的発泡剤、例えば、Akzo Nobel社から商標名Expancel(登録商標)で、あるいはChemtura社からCelogen(登録商標)の商標で入手できるものであってよい。発泡剤の割合は、組成物の質量を基準にして0.1〜3質量%であることが有利である。
最後に、エポキシ樹脂組成物、より特に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらなる成分、とりわけ触媒、熱安定剤および/または光安定剤、チキソ性付与剤、可塑剤、溶媒、有機または無機フィラー、発泡剤、染料、および含量を含んでいてよい。
本エポキシ樹脂組成物、より特に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、接着剤としてとりわけ好適である。
本熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、1成分形接着剤としてとりわけ好適である。したがって、さらなる態様では、本発明は、上述した熱硬化性エポキシ樹脂組成物の1成分形熱硬化性接着剤としての使用を提供する。この種の1成分形接着剤は、広範な使用可能性を有する。特に、これらを用いて、比較的高い温度ととりわけ低い温度の両方、より特に0℃〜−20℃の間で高い耐衝撃性を有することで際だった熱硬化性1成分形接着剤を実現することができる。この種の接着剤は、熱に安定な材料(耐熱性材料)の結合に必要とされる。熱に安定な材料は、少なくとも硬化時間中、100〜220℃、好ましくは120〜200℃の硬化温度で寸法安定な材料である。より特に、これらの材料は、金属、およびプラスチック(例えば、ポリアミド、ポリフェニレンエーテルなど)、複合材料(例えば、SMC、不飽和ポリエステルGRP、エポキシ複合材料、またはアクリレート複合材料など)である。特に好ましくは、少なくとも1つの材料が金属である用途である。特に好ましい用途は、類似のまたは異なる金属の接着結合、特に自動車産業におけるボディーシェル構築における用途である。好ましい金属は、基本的に、スチール、特に電気亜鉛メッキしたスチール、溶融亜鉛メッキ、油脂加工したスチール、Bonazincでコーティングされたスチール、および続いてリン酸化したスチール、ならびにアルミニウム、特に典型的に自動車の製造において見られる態様のものである。
本発明熱硬化性組成物をベースとする接着剤を用いると、高い使用温度および低い使用温度の両方における所望の高い耐衝撃性の組合せを実現することが可能である。これに加えて、本組成物は、高い機械的強度を有する。より特に、80℃、特に90℃を超える、あるいはそれ以上、いくつかの場合には100℃を超えるガラス転移点が実現され得ることが判明した。このことは、高い操作温度が組み込まれている用途のために特に重要である。
本発明のさらなる態様は、したがって、これらの材料を上述したエポキシ樹脂組成物と接触させることによる、耐熱性材料の接着結合方法を提供し、この方法は100〜220℃、好ましくは120℃〜200℃の温度での1以上の硬化工程を含む。この種の接着剤は、特に、最初に10℃〜80℃の温度で、特に10℃〜60℃の温度で、接着結合させる材料と接触させ、次いで、典型的には100〜220℃、好ましくは120〜200℃の温度で硬化させる。
耐熱性材料のこの接着結合方法により、接着結合された物品がもたらされ、これは本発明のさらなる態様である。この物品は、好ましくは車両、車両の内装部品もしくは外装部品である。
本発明の組成物は、当然に、熱硬化性接着剤だけでなく、シーリング材またはコーティング剤を実現するためにも使用することができる。本発明の組成物は、さらには、自動車製作のためだけでなく、その他の応用分野にも適している。特に注目すべき用途として、輸送手段、例えば、船舶、トラック、バス、または鉄道車両の製作における、あるいは消費財、例えば、洗濯機などの製作における、関連する用途が挙げられる。
本発明の組成物を使用して接着結合された材料は、典型的には120℃〜−40℃、好ましくは100℃〜−40℃、より特に80℃〜−40℃の温度で使用することができる。
典型的に、ISO11343に準拠して、23℃で14.0Jより大きく、−20℃で13.0Jより大きな破壊エネルギーを有する組成物を配合することができる。いくつかの場合には、23℃で17.0Jより大きく、−20℃で17.0Jより大きな破壊エネルギーを有する組成物を配合することが可能である。実際に、有利な組成物は、23℃で20.0Jより大きく、−20℃で19.5Jより大きな破壊エネルギーを有する。
特に驚くべき発見は、低温の衝撃強さが特に驚くべきことに高いことである。こうして、−20℃で、室温と実質的に同じ破壊エネルギーを有する組成物を得ることが可能である。いくつかの場合には、−20℃での破壊エネルギーが室温のものより高い場合さえあった。このことは、当然、特に低温、典型的には0℃未満での用途のために大きな興味が持たれる。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の1つの特に好ましい用途は、車両製作における熱硬化性ボディシェル接着剤としての用途である。
いくつかの例を以下に示し、本発明のさらなる説明を提供するが、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例で用いた原料を表1に列挙する。
Figure 2010521570
〔モノヒドロキシル化エポキシドTMPDGEの製造例〕
米国特許第5,668,227号明細書の実施例1の方法により、トリメチロールプロパンとエピクロルヒドリンとから出発して、テトラメチルアンモニウムクロライドおよび水酸化ナトリウム水溶液を用いて、トリメチロールプロパングリシジルエーテルを製造した。生成物は淡黄色であり、7.5当量/kgのエポキシ価を有し、1.8当量/kgのヒドロキシ基含量を有する。HPLC−MSスペクトルにより、この生成物が実質的にトリメチロールプロパンジグリシジルエーテルとトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルとの混合物であると判断することができる。この生成物を以下でTMPDGEとして用いた。
〔モノヒドロキシル化エポキシド:D−DGEBA〕
1,3-ビス(4-(2-(4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル)プロパノ-2-イル)フェノキシ)プロパン-2-オールを、工業グレードのビスフェノールAジグリシジルエーテルAraldite(登録商標)GY 250(製造:Huntsman社)から得た。この物質は、Araldite(蝋燭商標)GY 250の中に約15重量%存在し、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを蒸留により留去することによって濃縮することができる。薄層エバポレーター(製造:Ilmag社)内で、加熱ジャケット温度180℃およびオイルポンプによる減圧下で、工業グレードのビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量質量(EEW)=195g/エポキシ当量、滴定により測定)を、200ml/時でメンブランポンプを用いて秤り取った。純粋なビスフェノールAジグリシジルエーテルを留去し、室温で結晶化させた。残った液相は、EEW=207.1g/エポキシ当量、および49.4mg/gKOHのOH価を有していた。テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いると、GPCチャートで、「DGEBAダイマー」のピークとDGEBAモノマーのピークの面積比が40:60であった。この生成物を、以下でD−DGEBAとして用いた。
〔式(I)のエポキシ基を末端に有するポリウレタンポリマーの製造例:実施例1〕
167.5gのpolyTHF 2000(OH価 51.6mg/gKOH)、および15。40gの1,4-ブタンジオールを、105℃で減圧下、30分間乾燥させた。温度が90℃に下がった時に、74.4gのIPDIと、0.05gのジブチルスズジラウレートとを添加した。反応を、減圧下、90℃にて、NCO含量が2.5%で一定になるまで2.5時間行った(計算したNCO含量:2.61%)。次いで、85.2gの上述したTMPDGEをこのポリウレタンポリマーに添加し、反応を、減圧下、90℃にて、NCO含量が検出できなくなるまで行った。
実施例2、3、4、5、6、および7、ならびに比較実施例(比較1および比較2)を、実施例1と同様に、表2に示したモル比で調製した。表2の全ての例において、ジブチルスズジラウレートの量は、組成物全体に基づいて0.015質量%となるように選択した。
したがって、実施例2、3、および4は、1,4-ブタンジオールを、等量のエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、および1,6-ヘキサンジオールでそれぞれ置き換えたことが異なる以外は、実施例1と一致する。
Figure 2010521570
[組成物の実施例]
表3に示すように、本発明の接着剤組成物Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、およびZ7、ならびに比較組成物(Z比較1,Z比較2)を、以下のように調製した。
プラネタリーミキサーに、ジシアンジアミド以外の全ての成分を入れ、この最初の装入物を減圧下、90〜100℃で1時間撹拌する。次いで、ジシアンジアミドを添加し、さらに10分間撹拌した後、生成物をカートリッジに分配する。
Figure 2010521570
〔試験法〕
[引張剪断強度(Tensile shear strength(TSS))(DIN EN 1465)〕
試験片を、上述した組成物から、100×25×1.5mmの寸法の電気亜鉛メッキしたDC04スチール(eloZn)を用いて、接着面積は25×10mm、膜の厚さ0.3mmで作製した。硬化は180℃で30分間行った。引張試験速度は10mm/分であった。
[引張強度(Tensile strength (TS) )、破断伸び(EB)、弾性率 (DIN EN ISO 527)]
組成物の試料を2枚のテフロン(登録商標)ペーパーの間に2mmの層厚さに押しつけた。この組成物を、次に、30分間、180℃で硬化させた。テフロン(登録商標)ペーパーを取り除き、DIN規格に従う試験片を熱いうちに打ち抜いた。この試験片を1日間、標準条件下で貯蔵した後、2mm/分の引張試験速度を用いて試験した。
引張強度(「TS」)、破断伸び(「EB」)、および弾性率(0.5〜1.0%)(「EM0.5-1.0」)を、DIN EN ISO 527に従って測定した。
[動的負荷(ダイナミックロード)下での破壊(ISO 11343)]
試験片を、上述した組成物から、90×20×0.8mmの寸法の電気亜鉛メッキしたDC04スチール(eloZn)を用いて、接着面積は20×30mm、膜の厚さ0.3mmで作製した。硬化は、180℃で30分間行った。動的負荷下での破壊を室温および−20℃の両方で測定した。衝撃速度(impact speed)は2m/秒であった。試験曲線の下の面積(25%〜90%、ISO 11343に準拠)を、ジュール単位での破壊エネルギー(fracture energy (FE))として示した。
[ガラス転移温度(T)]
DSCを使用して、ガラス転移温度を測定した。Mettler DSC822装置をこのために使用した。10〜20mgの各組成物を、アルミニウムのるつぼに秤り入れた。試料をDSC中、175℃にて30分間硬化させた後、これを−20℃に冷却し、次いで、10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱した。ガラス転移温度は、測定したDSC曲線から、DSCソフトウェアを用いて決定した。
表4に、これらの試験の結果を並べた。
Figure 2010521570

Claims (24)

  1. 下記式(I):
    Figure 2010521570
    (式中、Yは、イソシアネート基を末端に有する線状または分岐状のポリウレタンポリマーPU1からn個の末端イソシアネート基を除いた後のn価の基であり;
    は、一級または二級のヒドロキシ基を有する、脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族(araliphatic)のエポキシドから、ヒドロキシ基およびエポキシ基を除いた後の基であり;
    mは、1、2、または3であり;
    nは2〜8である)
    のエポキシ基を末端に有するポリマーであって、
    ポリウレタンポリマーPU1が、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、少なくとも1種の非フェノール性ジオールQ、および末端のヒドロキシル基、チオール基、一級アミノ基、または二級アミノ基を有する少なくとも1種のポリマーQとから得られ、かつ、
    非フェノール性ジオールQが、60〜400g/モルの分子量を有し、ポリマーQが、600〜20000g/モルの分子量を有する、
    エポキシ基を末端に有するポリマー。
  2. 非フェノール性ジオールQが、脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族のジオールであることを特徴とする、請求項1に記載のエポキシ基を末端に有するポリマー。
  3. 非フェノール性ジオールQが、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、3(4),8(9)-ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン、キシリレンジオール、エトキシル化ビスフェノールA、およびプロポキシル化ビスフェノールAからなる群から選択されるジオールであることを特徴とする、請求項2に記載のエポキシ基を末端に有するポリマー。
  4. ポリマーQが、脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族のポリオール、より特に、ポリオキシアルキレンポリオール、好ましくはポリオキシアルキレンジオールであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ基を末端に有するポリマー。
  5. ポリマーQが、エーテル基を有する脂肪族ポリアミン、より特に、2個または3個の一級アミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ基を末端に有するポリマー。
  6. :Qのモル比が、1:2から1:0.01の値、好ましくは1:2から1:0.05の値であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエポキシ基を末端に有するポリマー。
  7. イソシアネート基を末端に有するポリウレタンポリマーPU1を、一級または二級ヒドロキシル基を有する、脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族(araliphatic)のエポキシドと反応させることによる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエポキシ基を末端に有するポリマーの製造方法。
  8. イソシアネート基を末端に有するポリウレタンポリマーPU1を、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、少なくとも1種の非フェノール性ジオールQおよび少なくとも1種のポリマーQの混合物とから、請求項1〜6に記載したとおりに製造することを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
  9. イソシアネート基を末端に有するポリウレタンポリマーPU1が、イソシアネート基を有する反応生成物PU1’から得られ、非フェノール性ジオールQで鎖延長されたものであり、かつ、前記反応生成物PU1’が、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、ポリマーQとから得られることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
  10. イソシアネート基を末端に有するポリウレタンポリマーPU1が、イソシアネート基を有する反応生成物PU1’’から得られ、ポリマーQで鎖延長されたものであり、かつ、前記反応生成物PU1’’が、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、非フェノール性ジオールQとから得られることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
  11. − 1分子当たり平均1個より多いエポキシ基を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂Aと、
    − 請求項1〜6のいずれか一項に記載の式(I)のエポキシ基を末端に有するポリマー少なくとも1種と
    を含む、エポキシ樹脂組成物。
  12. 前記エポキシ樹脂組成物が、昇温によって活性化されるエポキシ樹脂用硬化剤Bを少なくとも1種さらに含み、かつ、前記エポキシ樹脂組成物が熱硬化性であることを特徴とする、請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物。
  13. 前記組成物が、液状ゴムD、好ましくはカルボキシル末端-またはエポキシ末端ポリマー、より特に、カルボキシル末端-またはエポキシ末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーである液状ゴムDを、特に、組成物の質量に基づいて1質量%〜35質量%の量でさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  14. 前記組成物が、固体耐衝撃性改良剤Eを、特に、組成物の質量に基づいて0.1質量%〜15質量%、より特に0.5質量%〜8質量%の量でさらに含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  15. 固体耐衝撃性改良剤Eが、コア−シェルポリマーであることを特徴とする、請求項14に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  16. 前記組成物が、少なくとも1種のフィラーFを、特に、組成物の質量に基づいて3質量%〜50質量%の量でさらに含むことを特徴とする、請求項12から15のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  17. 前記組成物が、エポキシ基を有する反応性希釈剤Gを、特に、組成物の質量に基づいて0.5質量%〜20質量%の量でさらに含むことを特徴とする、請求項12から16のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  18. 前記エポキシ樹脂組成物が、少なくとも1種の発泡剤を、特に、組成物の質量に基づいて0.1質量%〜5質量%の量で含むことを特徴とする、請求項12から17のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  19. エポキシ樹脂Aの割合が、組成物の質量に基づいて10質量%〜85質量%、より特に15質量%〜70質量%、好ましくは15質量%〜60質量%であることを特徴とする、請求項12から18のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  20. 式(I)のエポキシを末端に有するポリマーの割合が、組成物の質量に基づいて1質量%〜45質量%、より特に3質量%〜30質量%であることを特徴とする、請求項12から19のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  21. 耐衝撃性改良剤、より特に、エポキシ樹脂をベースとした組成物の耐衝撃性改良剤としての、請求項1〜6のいずれか一項に記載の式(I)のエポキシを末端に有するポリマーの使用。
  22. 接着剤としての、請求項11〜20のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の使用。
  23. 請求項11〜19のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を、100〜220℃、より特に、120〜200℃の温度に加熱することによって得られる、硬化した組成物。
  24. i)耐熱性材料、より特に金属を、請求項11〜19のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物と接触させる工程と
    ii)前記組成物を100〜220℃、より特に120〜200℃の温度に加熱する工程と
    を含む接着結合方法によって得られる、接着結合した物品。
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