JP2010521442A - 局所製剤処方 - Google Patents

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Abstract

局所投与用の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)組成物は、多価アルコール、グリコールエーテル及び高級脂肪酸エステルを含有するキャリアシステム中にNSAIDの溶液又は懸濁液を含み、当該キャリアシステムは常温で単一の相として存在する。前記NSAIDはジクロフェナク酸としてのジクロフェナクでよい。多価アルコールは、例えばイソプロピレングリコールなどのグリコールでよく、またグリコールエーテルは、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのジエチレングリコールでよい。

Description

本発明は、局所の製剤処方に関し、特に鎮痛を目的として下層組織に局所経皮送達するための非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)の局所投与製剤を提供する。
疼痛および炎症の緩和及び可動性を回復するために、下層組織へ局所送達するための局所投与を意図するゲル、クリーム、及びスプレーの形態で、NSAIDsを含む製剤が既に知られている。
しかしながら、いくつかのNSAIDsがそれら自身又は他の薬物との相互作用により望ましくない副作用を示す。このため、塗布部位の下の局所の標的組織において治療上有効な量を与えると同時に、全身循環への一般的な吸収を抑える局所製剤の提供が引き続き要求されている。その目的は、例えば胃、肝臓、腎臓及び他の臓器への影響など、全身性の悪影響の可能性なしに局所有効性を提供することである。既知の局所製剤の効力は経口投与組成物の効力と比較して優れてはいないが、経口投与組成物は全身循環への一般的な吸収性を有する。
サリチル酸塩、インドメタシン、ピロキシカム、ケトプロフェン、ジクロフェナク及びその他のものを含む多くのNSAID薬物が局所送達のために製剤化されている。効果的な局所療法は、局所皮膚の、または局所もしくは経皮的な治療目的であるか否かに関係なく、標的部位で治療的薬物濃度が達成されることを必要とし、薬物の効力及び皮膚浸透の程度に特に依存する。局所目的のためには、ジクロフェナク、ケトロラク及びケトプロフェンが好ましい。ジクロフェナクの有効係数はピロキシカムのそれより10のオーダーで大きいことから、特に、正しい薬剤選択の重要性が示される。ジクロフェナクとケトプロフェンは、他の薬物と比較してより急速な全身クリアランスを有することから特に好ましい。全体的に見て、ジクロフェナクは局所適用のための好ましいNSAIDである。変形性関節症治療のために使用された1%ジクロフェナクナトリウムゲルの試験では有効性と安全性が示されているが、他のジクロフェナク製剤は、経口療法から得られた有効性より劣る有効性を示している。1つの現在利用可能な製剤が“Voltarol Emulgel P”として市販されている。この製剤は1.16%のジクロフェナクジエチルアンモニウムを含んでおり、ゲルlOOグラムあたりジクロフェナクナトリウムの1グラムと同等である。
局所適用後に最適な有効性を得ることに関し、皮膚中の代謝速度(ここで速い代謝は局所有効性を減少させる可能性がある。)と全身循環からのクリアランス(ここで遅いクリアランスは血漿中における治療レベルの増強をもたらす傾向がある。)を考慮することは適切である。これらの要素は異なる薬物間でかなり異なる。ヒトを用いたインビボ試験から、4%ジクロフェナクナトリウムゲルを局所塗布すると、治療的経口用量である15 mgのジクロフェナクを1日3回、3日間投与した場合と比較して、皮膚中濃度は2〜3倍高くなり、その一方で血漿中濃度は約60倍低くなることが判明した。
ジクロフェナク塩の現在利用可能な特定の製剤は、例えばプロピレングリコールなどの非揮発性溶媒を、例えばエタノールもしくはイソプロパノール又はこれらの混合物などの揮発性溶媒と組み合わせて使用することに基づいている。揮発性溶媒の目的は、溶解性を増加させ、また、使用中の蒸発による容積減少とその結果、非揮発性残渣相のジクロフェナク濃度を増加させることである。残渣相において、ジクロフェナク塩の過飽和が起こるかもしれないが、とにかく、経皮浸透作用を促進するものは残渣相の飽和度である。これは、拡散が、絶対的なジクロフェナク濃度よりもむしろ化学ポテンシャルに依存するためである。一例として、ポリエチレングリコール中でのジクロフェナク酸の飽和溶解度は、11.18%(w/w)であるが、プロピレングリコール中での飽和溶解度は1.16%(w/w)に過ぎない。それにもかかわらず、これらのそれぞれの系からのジクロフェナクフラックスの間には、有意な違いはない。実際、プロピレングリコール中でのジクロフェナク酸ナトリウム塩の飽和溶解度は約50%(w/w)であるので、非常に高い当該塩濃度または非常に低い残渣相溶媒割合が用いられている場合を除いて、飽和、特に過飽和を達成するのは非常に難しい。
Carrara(US2005/0244522)は、天然の(植物由来の)皮膚透過性促進剤をジエチレングリコールエーテル及び任意にプロピレングリコールと組み合わせて使用し、クリームの形態にあるジクロフェナクジエチルアンモニウムを含むさまざまな薬物を送達することを記述している。ジクロフェナクのインビトロにおける浸透性は、Voltarolゲルの浸透性の約2倍である。Bauer(EP1588697)は、オキシエチレン又はオキシプロピレン乳化され、任意にプロピレングリコールとイソプロピルミリステートを含んでいてもよい親油相を含むアクリル酸ヒドロゲルを使用し、クリームの形態にあるジクロフェナク酸を含むさまざまな薬物とリジン塩を送達することを記述している。
Obata他による以前の研究(Int. J. Pharm; 89 (32), 191-198 (1993))は、ジクロフェナク塩が、低い皮膚透過係数を持つにもかかわらず、ジクロフェナク酸と比較して経皮的により送達することができる有効成分であることを教示している。これは、ジクロフェナク酸のイオン化形が水性溶媒中でより大きな溶解度を持つので、より高い濃度で組み込まれることができ、これが塩の低下した皮膚透過係数をある程度補っているためである。このために、局所塗布のためのジクロフェナクを含有する現在利用可能なすべての製剤が、塩の形態を用いている。しかしながら、有効成分の濃度が高くなるにつれて、結果として局所及び全身性の副作用を伴う過剰の薬物吸収リスクが存在し、局所の皮膚損傷が、予想されるよりも高い皮膚透過性をもたらす場合には、特にそのリスクが存在する。したがって、イオン化した形と比較して溶解性が低いにもかかわらず、ジクロフェナク酸が有効量で局所の組織標的に送達されるとすれば、ジクロフェナク酸は局所塗布のための好ましい形態と考えられる。
製剤のジクロフェナク酸濃度が2.5〜5重量%であることに基づいて、水‐エタノール及びグリセロール‐プロピレングリコール混合物中でジクロフェナク酸の使用が試みられている。ジクロフェナク酸濃度は、製品塗布速度が2.5 mg/cm2/時間であると仮定すれば、そのような投与量が、有効量であるが本質的には非全身性の局所量を送達するように計算された。しかしながら、純粋なエタノール中でさえジクロフェナク酸の飽和溶解度は5%(w/w)に過ぎないが、プロピレングリコール中の飽和溶解度は約1%(w/w)と比較的高いので、プロピレングリコールの割合が低い場合を除き、低い飽和度が得られることは明らかである。より高級アルコール、例えばプロパノール又はイソプロパノールは、エタノールの部分的又は全部の代替として使用してもよいが、ジクロフェナク酸に対するそれぞれの飽和溶解度は3〜4%の範囲にあり、エタノールより低いことが見出されている。
米国特許出願 公開番号20050244522
したがって本発明の目的は、標的部位に対して有効な量のNSAID、特にジクロフェナク酸を送達するための実行可能な局所製剤を提供することである。
一態様において、本発明は局所的に適用するためのNSAID組成物を提供し、当該組成物は多価アルコール、グリコールエーテル及び高級脂肪酸エステルを含有するキャリアシステム中に有効成分としてNSAIDの溶液又は懸濁液を含み、当該キャリアシステムは常温で単一の相として存在している。
本発明に従う組成物において、その組成物は水と混合できるが、不純物量を除いて水はキャリアシステムから本質的には除かれている。不純物レベルを超えた量の水の存在は、それが単一相系に不利な影響を与えるので、皮膚浸透性に悪影響を及ぼすことが判明した。本発明に基づく組成物は、感染又は傷害されている標的部位上の皮膚に局所的に塗布すると、角質層を通して下層組織に吸収され、残渣相をもたらし、そこから有効成分がある期間にわたって継続的に放出され、標的部位に対して持続的な用量をもたらす。本発明に基づく組成物は、望ましくはローション、クリーム又はゲルの形態にあり、必要に応じてさらなる賦形剤成分を含む。
本発明に従う組成物において、有効成分としての使用に好まれるNSAJDはジクロフェナクである。ジクロフェナクは痛みと炎症に関連したシクロオキシゲナーゼ活性を有し、効力に対する皮膚浸透性の数値的比率が、ほとんどすべての他のNSAIDsより優れているからである。本発明に従う組成物において、ジクロフェナクの酸はその塩より著しく高い膜透過率を有しており、比較的低い溶解度を補っているために、望ましくは、ジクロフェナクはジクロフェナク酸として使用される。本発明において使用することのできる他のNSAIDsにはケトロラクとケトプロフェンが含まれる。
本発明に従う組成物のキャリアシステムの成分では、多価アルコール(望ましくはグリコール)は、角質層バリア中で有効成分を可溶化させ、また、エステルの溶解度を増加させる。エステル(望ましくは極性脂質)には、角質層バリアを通して拡散性又は輸送速度を増加させる効果がある。しかしながら多価アルコールとエステルは混和しないため、有効成分に対して、均一な単一相キャリアシステムを形成しない。グリコールエーテルは共溶媒として含まれていて、また多価アルコールとエステルの中間の極性を有しており、少なくともこれら他の2成分を溶解し、均一な単一相キャリアシステムを与える量で存在している。
高級脂肪酸エステルの例となるサブクラスとして、極性脂質は、イソプロピルミリステート又はイソプロピルパルミテートなどのC12乃至C20の飽和カルボン酸の分岐鎖アルキルエステルを含んでいてもよい。便宜上多価アルコールとの共溶媒と呼ばれたグリコールエーテルは、望ましくはジエチレングリコールエーテルであり、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル(登録商標Transcutol)である。
本発明に従う組成物は、キャリアシステムが常温で単一相として存在しているという条件下で、キャリアシステム成分を、重量パーセントで示した場合に以下の量で有することができる。
多価アルコール 5〜70%
グリコールエーテル 20〜60%
エステル 2〜70%
ここで“常温”とは、通常の気候条件での室温を意味し、例えば5℃から40℃までであり、冷蔵庫保存を考慮すると0℃まで下がった温度を含む場合がある。
本発明に従う組成物におけるNSAID量は最大10重量%であってもよく、望ましくは最大5%であり、さらに望ましくは最大2.5重量%である。
前述のように、好ましいNSAJDは遊離酸としてのジクロフェナク酸である。
キャリアシステム成分に対する上記濃度範囲内で、多価アルコール対グリコールエーテルの比率は望ましくは80:20〜30:70の範囲、より望ましくは70:30〜40:60であり、エステルは2〜20重量%の範囲、より望ましくは3〜10重量%である。一例として、本発明に従う一つの製剤は、プロピレングリコール対Transcutolの重量比が70:30であり、3〜3.5重量%のイソプロピルミリステートを含む。
プロピレングリコール、Transcutol、及びイソプロピルミリステートを含むキャリアシステムの状態図である。 種々のキャリアシステム中でのジクロフェナク酸の溶解度を例証する棒グラフである。 種々のキャリアシステムから予測されるジクロフェナク酸の皮膚透過を例証する棒グラフである。 本発明に基づく組成物をVoltarolと比較したヒト皮膚浸透結果を示すグラフである。
図1は、プロピレングリコールとイソプロピルミリステート(極性脂質)の混合物への共溶媒(Transcutol)の添加効果を示す状態図であり、図1を参照すると、界面は単一相系のポイントをつなぎ合わせた曲線によって表され、極性脂質が単位である飽和した熱力学的活量で表されている。界面の左領域は単一相系に関連し、グリコール: Transcutol(70:30)からグリコール: Transcutol(10:90)までの界面曲線をたどることにより、極性脂質濃度が増加すると同時に飽和は維持されることが分かる。
飽和量で極性脂質を含有することを可能にすることについて、状態図から考えられる異なったキャリアシステムでは、ジクロフェナク酸を溶解する能力が異なっている。
付随する図2は、界面系でのジクロフェナク酸の溶解度を示す棒グラフであり、グリコールに富んだ系である共溶媒(重量%として表示した中央の3本の図)では増加しているが、極性脂質に富んだ系では減少している。ジクロフェナク酸の溶解度は主として共溶媒の量に依存していることが分かるが、共溶媒が存在しているところでのグリコール対極性脂質の比率が、溶解性に対して二次的な効果を持っている。
組成物中におけるジクロフェナク酸の濃度については、経皮吸収作用を持続することができ、また、標的部位でIC90-99の範囲にある阻害濃度をもたらす治療的な組織内濃度を達成することができるのに十分な用量レベルを提供するのが望ましい。定常状態の血漿中濃度、ジクロフェナク酸のクリアランス率及び局所製剤が通常適用される部位を考慮して、本発明に従う組成物は、標的でのインビボフラックスが5〜25μg/cm2/hr、望ましくは10〜20μg/cm2/hrとなるように製剤化することができる。これには、1日2回(12時間)の投与計画を仮定すると、約2.5重量%のジクロフェナク酸濃度が必要であり、1〜5重量%というより広い範囲内にある。
また、任意に、本発明に従う組成物は揮発性の溶媒を含んでいる。揮発性の溶媒はキャリアシステムの他の成分とともに、飽和レベルで有効成分を溶解し、適用される皮膚部位で蒸発して、残渣相において有効成分を過飽和とし、有効成分のフラックスを高める効果をもたらす。本発明における使用に適した揮発性の溶媒は最大5個の炭素原子を含む低級アルコールを含み、例えばエタノール、及び液相ケトンが挙げられる。
本明細書中で、ケトンと関連した“液相”とは、式R- C(O)-Rで示されるケトンを意味し、常温で液体である。前記式において、R基は同一又は異なっており、任意に、OH、ハロゲン、アセチル(このケトンはアセチルアセトンである)もしくは化学的性質の効果又は化学的性質が電子分布へ及ぼす効果によって、溶剤の溶解性又は使用時の溶媒の蒸発速度を高める他の基で置換されていてもよいアルキル基である。したがって、アセトンより高級同族体、例えばメチルエチルケトン又はジエチルケトンは使用することができるが、アセトンはケトエノール互変異性を有し、そのエノール型はより安定しているため、アセトンが特に有用であると考えられる。
実際に、ケトエノール互変異性のあるアセチルアセトンがエノール型として相当に存在している。
不安定化する傾向があるかもしれない過飽和状態の残渣相での安定性を増すため、本発明の組成物は、取り込みに利用される小量の薬物をもたらす薬物成分の再結晶を阻止するための抗核形成剤も含むことが望ましい。核形成と再結晶は、残渣相において過飽和の程度が高くなるような場合に最も大きな問題となる可能性がある。抗核形成剤は抗核形成ポリマーを含んでもよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体のようなピロリドン、およびアクリル酸/メタクリル酸が挙げられる。
また、本発明に従う組成は、例えばメンソールとユーカリ油のような知覚信号物質を含むことができる。塗布のほぼ直後、これらの物質は皮膚に冷却感を与えるが、この冷却感は、使用者に喜ばれ、疼痛緩和の開始を告げるものである。製剤化のためには、意図する塗布方法に応じて、本発明に従う組成物に、技術的に知られている他の任意の成分を加えることができ、例えば増粘剤、ゲル化剤、スプレー製剤用の噴霧剤等を加えることができる。
全体的に見て、約1.0%から5.0%の重量濃度範囲でジクロフェナク酸が飽和するレベルを与えるために、また、グリコール及び極性脂質成分を最適化するために、界面上又は界面近傍でグリコールが比較的豊富なキャリアシステム、すなわち、図1の状態図の上部に位置するキャリアシステムを使うことが好ましい。
インビトロおよびインビボの成績の間には、証明された相関関係があるので、インビボでのヒト皮膚透過率を予測するために、一般的にインビトロでの実験が用いられる。
図1に示されるそのような系は、ヒト皮膚を通すことについて最適化されたレベルのフラックスを与え、また、対照であるVoltarolと比較したフラックスをきわめて顕著に増加させることが判明した。これらの結果は以下の表1に示されている。
本発明に従う組成物は、飽和又は過飽和溶液におけるジクロフェナク酸の高い熱力学的活量により皮膚透過性を高める結果を与え、フラックスの増加をもたらし、グリコールが角質層でのジクロフェナク酸と極性脂質の溶解度を増加させる能力を与え、また、角質層中の極性脂質がジクロフェナク酸の拡散性を増加させる効果を与えると考えられる。これらの要素はそれぞれ他の要素から独立しており、これらの中の一つの増加は他のものに複数の影響を与える。
表2はキャリアシステム成分のみの製剤を示す。ジクロフェナクおよび他の賦形剤を含む製剤においては、3つの共溶媒の比率は保持されているが、絶対的なレベルは適宜調整されている。
実験的インビトロ研究では、本発明に従う組成物は、最大24時間にわたって表皮浸透する効果を与えることが判明した。これは、Voltarolより最大100倍又はその以上優れているものである。
添付の図3は、2.5重量%のジクロフェナクを含む組成物から単位面積あたり経時的(8時間及び24時間)に予測したジクロフェナクの平均累積透過率を、Voltarolと比較して示す。図3のデータは、以下の方程式1及び2を用いて算出された:
方程式1
調整因子=各製剤の飽和溶解度(重量パーセント)/標的用量2.5%(重量パーセント)
方程式2
予測透過率=単位面積あたりの累積量(μg/cm2)/調整因子
2.5%(w/w)のジクロフェナクを含む組成物からの相対的なフラックスの予測は、Voltarolと比較して、以下の表3に示されている。
製剤F8は、3%のメンソールと1.5%のユーカリ油が添加されたFlに基づくものである。
図4は、F8中のジクロフェナク酸の3濃度について、Fl(知覚信号物質なし)及びVoltarol対照と比較したヒト皮膚透過率を示す。すべての用量で、Voltarol対照に対して非常に優れた皮膚透過性が示された。これらの製剤では、シリコーン抗粘着剤とHPC HF(ヒドロキシプロピルセルロース)ゲル化剤が少量賦形剤として添加された。これらのゲル製剤は以下の表4に示されている。


Claims (17)

  1. 非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を局所投与するための組成物であって、前記組成物はキャリアシステム中に有効成分としてNSAIDの溶液又は懸濁液を含み、前記キャリアシステムは常温で単一の相として存在し、多価アルコール、グリコールエーテル、及び高級脂肪酸エステルを含む、組成物。
  2. 有効成分としてのNSAIDがジクロフェナクである、請求項1に記載の組成物。
  3. ジクロフェナクがジクロフェナク酸である、請求項2に記載の組成物。
  4. 多価アルコールがグリコール、望ましくはイソプロピレングリコールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. エステルが極性脂質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 極性脂質がC12乃至C20の飽和カルボン酸の分岐鎖アルキルエステルである、請求項5に記載の組成物。
  7. グリコールエーテルがジエチレングリコールエーテル、望ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. キャリアシステム成分を、重量パーセントで示した場合に以下の量で有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
    多価アルコール 5〜70%
    グリコールエーテル 20〜60%
    エステル 2〜70%
  9. NSAID量が最大10重量%であり、望ましくは最大5重量%であり、さらに望ましくは最大2.5重量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 多価アルコール対グリコールエーテルの比率が80:20乃至30:70の範囲であり、エステルが2〜20重量%の範囲である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 多価アルコール対グリコールエーテルの比率が70:30乃至40:60の範囲であり、エステルが3〜10重量%である、請求項10に記載の組成物。
  12. さらに揮発性の溶媒を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. 揮発性の溶剤が最大5個の炭素原子を含む低級アルコール、例えばエタノール又は液相ケトンである、請求項12に記載の組成物。
  14. さらに抗核形成剤を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. 知覚信号物質、例えばメンソール及びユーカリ油を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 人体又は動物体の標的部位へNSAIDを投与するための局所組成物であって、前記組成物が常温で単一の相として存在する組成物の製造における、多価アルコール、グリコールエーテル及び高級脂肪酸エステルを含むキャリアシステムの使用。
  17. 人体又は動物体の標的部位へ投与することによる疼痛又は炎症の緩和方法において使用される請求項1〜15のいずれか1項に記載の局所組成物。

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