JP2010520384A - ポリエステル原糸及びこれを含む織物 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的なモノフィラメント糸は、断面が円形である。このように断面が円形のモノフィラメント糸は、撚糸によってヤーン(yarn)形態で使用されたり、これを製織して織物の形態で使用される。
しかし、このような円形断の面糸を利用して製織する場合には、織物の表面粗度が高くて、平滑性が低く、全体的な織物の厚さが厚くなるため、樹脂またはペイントなどが塗布される広告板転写紙などには適さない限界がある。
このような問題を解決するために、従来の技術は、紡糸工程で原糸の集束性を低下させて、原糸がひろがる現象を誘発し、これによって最終織物の平滑性を向上させようとしたが、この場合には、原糸の集束性の低下によって巻取り時に糸落ち、巻きもれなどの問題を誘発し、工程収率も低下して、製織工程で原糸の集束性の低下によるガイドひっかかり及び摩擦による毛羽の発生などによって製品の品質が低下する限界がある。
このような限界を克服するために、大韓民国公開特許第2004−0011724号は、四角形断面のモノフィラメント糸について記載しているが、前記特許では、原糸の断面の形態のみを限定していて、実際の四角形断面糸の製造実施例を提供していない。
本出願人は、このような従来の技術の問題を改善するために、大韓民国公開特許第2004−0100577号で、扁平度が1.2乃至5.5であり、複屈折率が0.205以上であり、結晶化度が45%以上であるポリエステル原糸を製造し、これを利用して、平滑性が優れていて、厚さが薄い織物を製造することができる方法を記載した。しかし、前記特許では、原糸の長軸及び短軸の長さの比率である扁平度について記載しているだけで、実際に原糸の物性に影響を与える断面の肩部位の具体的な形状については言及していない。
本出願人は、また、大韓民国公開特許第2006−0089858号で、多段集束機を利用して、原糸にインターミングルを均一に付与することによって、原糸の平滑性が優れていて、集束性が低下しない、平面断面のポリエステル原糸について記載したが、これも、原糸の扁平度について記載しているだけで、原糸の物性に影響を与える断面の肩部位の具体的な形状については言及していない。
このような原糸の断面の形態及び均一性は、原糸の物性及び平滑性に影響を与えるので、断面の均一性の確保が重要であり、特に、断面の形態が扁平な場合に、その効果はより大きい。
既存の産業用ポリエステル原糸を製造する方法は、直接紡糸延伸工程(DSD:Direct Spinning Drawing)または横延伸工程(W/D:Warp Drawer、未延伸糸を横に延伸させる)方式など、大きく2種類に分類することができる。
DSD方式は、紡糸及び延伸が連結されている直接紡糸延伸工程であって、紡糸、延伸、及びリラックス工程が1つのプロセッサーで連結されていて、紡糸部の口金直下で紡糸された未延伸糸をローラによる延伸及びリラックス(Relax)工程を経て、原糸を製造する方法である 。
W/D方式は、未延伸糸の製造及び延伸糸の製造工程が分離されていて、未延伸糸を製造した後、横延伸機による延伸及び弛緩工程を経て、原糸を製造する方法である。
直接紡糸延伸工程では、ポリエステル原糸をインターミングルさせるために集束機を使用しているが、通常、平滑性を向上させるために、集束機の圧力を低くして集束性を調節している。
しかし、集束機の圧力の調整によって原糸の集束性(cohesion factor、抱合性ともいう)を調節すると、部分的に強く集束される部分及び集束されない部分の差が大きくなって、集束性が低下して、巻取り時に糸落ちなどが発生して、巻取り不良、操業性の低下、品質の低下などの問題が発生し、原糸の平滑性が非常に不均一になる。
特に、集束性が低下すると、後工程である整経及び製織工程時に、原糸及び機械の間の摩擦による静電気の発生によって原糸のひろがりを誘発し、これによって、フィラメントの束のうちのいくつかのフィラメントがガイド(guide)にひっかかってピンファイバー及び毛羽を発生させ、不均一な平滑性は、コーティング製品において表面粗度の差を誘発して、結果的にコーティング織物の品質を低下させる。
本発明の他の目的は、前記扁平な形態のポリエステル原糸を含む織物を提供することにある。
本発明は、また、扁平度が2.0乃至4.0であり、150℃での収縮応力(@0.1g/d、2.5℃/秒)が0.005乃至0.075g/dであり、200℃での収縮応力(@0.1g/d、2.5℃/秒)が0.005乃至0.075g/dであり、収縮率(@190℃、15分、0.01g/d)が1.5乃至5.5%である、ポリエステル原糸を提供する。
本発明は、また、前記ポリエステル原糸を含む織物を提供する。
本発明は、製織時の織物の厚さが円形断面原糸に比べて薄く、表面屈曲性及び空隙率も低く、コーティング織物に適用されるのに適した、ポリエステル原糸及びこれを含む織物に関する。
本発明は、従来の産業用ポリエステル原糸の製造方法と比較する時、口金のキャピラリー(Capillary)の構造をスリット形にし、原糸の断面の形態を円形でなく扁平に形成することによって、製織時の織物の厚さを減少させ、表面屈曲性及び空隙率を低くすることを特徴とする。
また、本発明は、断面が扁平な原糸の形態的特性、または収縮応力及び収縮率を特定の範囲に制御することによって、コーティング転写紙などの織物に適用する時に、形態安定性を最適化して、収縮異常などの問題を解決することを特徴とする。
図1は本発明のポリエステル原糸の一例を示した断面模式図である。前記図1に示されたように、本発明のポリエステル原糸は、長軸の長さ(W1〜W2)/短軸の長さ(D1〜D2)で定義される扁平度が2.0乃至4.0であるのが好ましい。
また、前記図1で、断面の最長軸の両端点をW1及びW2と定義し、前記最長軸の中央点Oから垂直方向への最短軸の両端点をD1及びD2と定義し、前記W1及びD1を連結する斜線をL1、D1及びW2を連結する斜線をL2、W1及びD2を連結する斜線をL3、W2及びD2を連結する斜線をL4と定義し、L1、L2、L3、及びL4から断面の外側に最も離れた端部までの距離を各々R1、R2、R3、及びR4と定義し、前記L1、L2、L3、及びL4から中央点Oまでの距離を各々H1、H2、H3、及びH4と定義する時、R1乃至R4の変動係数(CV%)が20%以下であるのが好ましい。
前記変動係数(CV%)が20%を超える場合には、原糸の物性及び断面の形態が不均一になって、製織工程で糸切れや部分的な形態変化が起こったり、またはねじれ現象が起こるなど、工程性及び品質に影響を与える。
また、前記断面において、R1/H1、R2/H2、R3/H3、及びR4/H4で定義される長さ比の平均値が0.2乃至0.9であるのが好ましい。前記長さ比の平均値が大きいほど、原糸の肩部分が厚い形態からなり、前記長さ比の平均値が小さいほど、原糸の肩部分が薄くなって、断面が楕円形またはひし形になる。
また、本発明の扁平断面原糸が安定した物性を有するためには、前記R1/H1、R2/H2、R3/H3、及びR4/H4の変動係数(CV%)が20%以下であるのが好ましい。つまり、前記R1/H1、R2/H2、R3/H3、及びR4/H4の変動係数値が20%を超える場合には、断面の形態がゆがんで、物性の低下及び織物の製造時に平滑性の低下をもたらす。
また、本発明のポリエステル原糸は、一般的なコーティング織物のラミネートコーティング温度に相当する150℃での収縮応力が0.005乃至0.075g/dであるのが好ましく、一般的なコーティング織物のゾルコーティング温度に相当する200℃での収縮応力が0.005乃至0.075g/dであるのが好ましい。つまり、前記150℃及び200℃での収縮応力が各々0.005g/d以上である場合にのみ、コーティング工程中の熱による布地の弛緩現象を防止することができ、0.075g/d以下である場合にのみ、コーティング工程を経て常温で冷却される時に、弛緩応力を緩和させることができる。
また、前記ポリエステル原糸は、コーティング工程中の熱処理時に一定水準以上の張力を与えて製織の形態を維持し、結果的に原糸の形態変化を防止するために、190℃での収縮率が1.5%以上であるのが好ましく、熱的形態安定性の確保のために、190℃での収縮率が5.5%以下であるのが好ましい。
本発明で定義する前記収縮応力は、0.10g/dの固定荷重下で測定した値を基準にし、収縮率は、0.01g/dの固定荷重下で測定した値を基準にした。
前記ポリエステル原糸は、通常のポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレート(PET)原糸であるのが好ましく、PETを90モル%以上含むPET原糸であるのがより好ましい。
前記ポリエステル原糸は、0.005g/d以上の収縮応力を有するために、原糸の固有粘度が0.7dl/g以上であるのが好ましく、低収縮特性を現わすために、原糸の固有粘度が1.2dl/g以下であるのがより好ましく、1.0以下であるのが最も好ましい。
また、前記特定の形態の本発明のポリエステル原糸は、単糸繊度が3.7de乃至10.5deであるのが好ましく、産業用原糸として必要な物理的特性を確保するために、引張強度が6.5乃至8.5g/dであり、切断伸度が15乃至35%であるのが好ましい。
また、前記ポリエステル原糸の製造工程において、本発明は、紡糸工程の前集束機にポリエステル原糸の通過時に集束エアーを付与することによって、下記の物性を現わすようにする特徴がある。つまり、前集束機に特定の範囲の風向きのエアーを付与することによって、前記ポリエステル原糸は、前記特定の形態の原糸と同等に単糸繊度が3.7de乃至10.5deであるのが好ましい。また、熱的形態安定性の維持のために、結晶化度が40%以上であるのが好ましく、42乃至52%であるのがより好ましい。また、前記ポリエステル原糸は、産業用原糸として必要な物理的特性を確保するために、引張強度が6.5乃至8.5g/dであり、切断伸度が15乃至35%であり、中間伸度(@4.5g/d)が6.5乃至17.5%であり、形態安定指数(ES)が12乃至23であるのが好ましい。
前記の物性を有する本発明のポリエステル原糸は、織物の製織時及び樹脂コーティング時に後工程収率が高く、織物の厚度を低くして、形態安定性が優れている織物を製造することができる。前記織物は、表面にコーティングまたはラミネートされたポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタンなどのコーティング樹脂層をさらに含むのが好ましく、コーティング樹脂の種類は前記で言及された物質に限定されない。
本発明の織物に含まれる扁平断面糸は、一般的な円形断面糸に比べて、パッキング特性が優れていて、厚さが薄く、織物の製造時に原糸がカバーする面積が大きいため、これから製造される本発明のコーティング織物は、その厚さが薄く、空隙が少なく、表面粗度が低く、少量のコーティング液でも優れたコーティング特性を現わすことができ、コーティング時に不良率が低い長所がある。したがって、前記織物は、広告板転写紙などの用途で使用されるのに非常に適している。
本発明の断面が扁平なポリエステル原糸の製造方法は、固有粘度が0.7乃至1.2のdl/gのポリエステル固体重合チップを270乃至310℃の紡糸温度で溶融して、スリット形態のキャピラリーを通して紡糸することによって製造することができる。前記チップの固有粘度が0.7dl/g以上である場合にのみ、好ましい収縮応力及び収縮率を有する原糸を製造することができ、1.2dl/g以下である場合にのみ、チップの溶融温度の上昇による分子鎖切断及び紡糸パックでの圧力の増加を防止することができる。
図2は本発明のポリエステル原糸の製造工程を模式的に示した工程図である。図2に示したように、本発明の原糸の製造方法は、口金を通して紡糸された溶融高分子を急冷空気(quenching−air)で冷却させ、油剤ロール(またはオイルジェット)120を利用して未延伸糸に油剤を付与し、前集束機(pre−interlacer)130を使用して一定の空気圧力で未延伸糸に付与された油剤を原糸の表面に均一に分散させる。その後、多段延伸装置(141〜146)を通じて延伸工程を経た後、最終的に第2集束機(2nd Interlacer)150で一定の圧力で原糸をインターミングル(intermingle)させ、巻取機160で巻取って原糸を生産する。
図3は本発明の紡糸に使用された口金110の一例を模式的に示した平面図である。図3を参照すれば、本発明の紡糸口金の上部には、複数の紡糸口金キャピラリー111が形成されている。前記キャピラリーの配列形態は特に限定されず、好ましくは三角形配列形態またはダイヤモンド型配列形態であったり、同一な円周(pitch of center distance)内にキャピラリーが配列された環状配列形態である。
図4は使用された口金110の断面図であって、口金キャピラリー111を描写したものである。図4に示されているように、液状ポリマーを最終的に吐出するキャピラリーの構造をスリット(slit)形態にすることによって、吐出された原糸の断面の形態が円形でなく平面になる。
特に、図4のスリット形態において、スリットの長軸の長さ(W)及び短軸の長さ(D)の比を変更させることによって原糸の扁平度を調整することができるが、ここで、「W/D」の比を口金の扁平度といい、この値が5.0以上である場合にのみ、平面断面の特性が現われ、延伸性及び高強度特性を確保するためには、前記扁平度が15以下であるのが好ましい。
また、扁平な形態の均一な断面の形態の確保のために、スリット形態の口金で作用するシヤーレート(Shear−rate;秒−1)は1000乃至4500秒−1であるのが好ましく、1000秒−1未満である場合には、ポリマーの粘度変化が深刻で、断面の形態が不均一であり、4500秒−1を超える場合には、過度な粘度の低下によって紡糸性が不良である。
溶融状態の高分子を紡糸して原糸を製造する紡糸パックは、その構造は特に限定されないが、図5のような構成の紡糸パックを使用するのが好ましい。図5のような構成の本発明に適用された紡糸パック装置は、高分子導入孔42が形成されたブロック41の下部にボディー43を結合し、ボディー43の内部には、高分子導入孔42と連通される状態で分散面44’を有する分散板44、レンズリング45、スペーサ46、メタル不織布からなるフィルター47、板48、及び口金49が順次に積層設置され、図6及び図7に示したように、前記分散板44に少なくとも1つ以上の縦に貫通する高分子流通孔40が形成される。
前記分散板44の底面44’’及びフィルター47の間の間隔は、4乃至44mmに維持することによって、分散板44の外縁部側の高分子流動通路50を通過する高分子溶融物の滞留時間、及び分散板44の高分子流通孔40を通過する高分子溶融物の滞留時間を同一に維持して、全体的な滞留時間を減少させることができる。また、前記分散板44の底面44’’の形態は特に限定されず、全体的に平面またはゆるやかな円錘形であるのが好ましい。
前記分散板は、中心に高分子流通孔が形成され、連続して隣接する流通孔の間の放射状間隔(PCD:pitch of Center Diameter)が5乃至40mmであり、分散板の最外郭を直径とする円の面積を基準にして1乃至35%の面積比に該当する流通孔が形成されているのが好ましい。隣接する流通孔の間の放射状間隔が5mm未満である場合には、製作が困難であり、40mmを超える場合には、高分子の分散性が低下する。また、分散板全体の円の面積に対する流通孔の総面積が1%未満である場合には、分散性の低下及び高分子紡糸パックの圧力の上昇を誘発して適用が困難であり、35%を超える場合には、高分子の紡糸パック内の分散効果が低下する。
高分子導入孔42に導入された高分子溶融物が本発明の分散板44の円錐状の分散面44’の傾斜角によって自然に流れて、一部が一次的に分散板を縦に貫通する高分子流通孔40に流入し、残りの一部は外縁部側の高分子流動通路50に流入して、順次にフィルター47、板48、及び口金49を通じて外部に吐出されて繊維を形成する。
本発明に使用された紡糸パック装置では、分散板44での高分子溶融物の流動時に、高分子流動通路50が分散面44’の中央頂点から最も離れた距離に位置する代わりに、分散面44’の傾斜角度によって分散面44’の端部から分散板44の底面44’’までの長さが最も短い。
反面、高分子流通孔40は、前記高分子流動通路50に比べて分散板44の中央から近い代わりに、高分子流通孔40を通過して分散板の底面44’’に到達する距離が長い。
したがって、高分子流動通路50を通じて板48に到達する高分子溶融物の滞留時間、及び高分子流通孔40を通じて板48に到達する高分子溶融物の滞留時間が均一になり、全体的な滞留時間が減少される。
また、本発明に適用された紡糸パック装置において、フィルター47は、金属粉末でなく焼結金属の不織布フィルターを使用するので、紡糸時間の経過による原糸の物性変化を防止することができる。
本発明の分散板44は、また、必要に応じて外周縁の周りに少なくとも1つ以上の凹入溝が形成され、前記凹入溝は、等間隔で配列されるのが好ましい。前記凹入溝は、高分子溶融物の流出をより容易にする。
このような構造の紡糸パックを適用することによって、紡糸パック内の高分子の流動性を均一にすることができるだけでなく、口金の背面圧を高めて、高圧紡糸による紡糸性を向上させることができる。
口金から吐出されたポリマーは、紡糸張力を低くして、熱履歴を緩和させるために、Hood−Heater(H/H)及び断熱板の組み合わせによって構成された遅延冷却区間を経て急冷(Quenching)される。この時、前記フードヒーター(Hood−Heater:H/H)の温度は200乃至350℃であるのが好ましく、長さは100乃至400mmであるのが好ましく、断熱板の長さは70乃至400mmであるのが好ましい。前記吐出されたポリマーが前記遅延冷却区間に滞留する時間は0.01乃至0.1秒であるのが好ましく、0.02乃至0.08であるのがより好ましい。
前記フードヒーターの温度が200℃未満であり、長さが100mm未満である場合には、延伸性が低下して、製糸が困難であり、温度が350℃を超えて、長さが400mmを超える場合には、ポリエステルの分解を誘発して、原糸の強度が低下し、溶融ポリエステルの弾性が低下して、扁平な形態の安定性が低下する。また、前記断熱板の長さが70mm未満である場合には、延伸性が低下して、毛羽の発生を誘発し、400mmを超える場合には、固化点が過度に低くなって、紡糸張力の急激な低下によって巻取りが難しくなる。前記遅延冷却区間での滞留時間が0.01秒未満である場合には、遅延急冷の役割を果たすのが難しく、未延伸糸の複屈折率が高くて、延伸性を確保するのが難しく、0.1秒を超える場合には、口金から吐出された未延伸糸の張力の低下によって糸乱及び渦流現象が発生し、毛羽の発生及び切糸などによって操業が困難で、溶融ポリエステルの弾性の過度な低下によって要求される原糸の断面の形態を得るのが難しい。
前記急冷工程を経たポリエステル原糸を油剤ロールに通過させて紡糸油剤を付与する。前記紡糸油剤は、通常のポリエステル原糸の製造工程に使用されるものであればいずれのものでも使用することができ、好ましくは、エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加ジオールエステル、エチレンオキシド付加ジオールエステル、グリセリルトリエステル、トリメチルプロパントリエステル、またはその他のエチレンオキシド付加物から選択される1種または2種以上の混合物である紡糸油剤を使用することができ、前記紡糸油剤は、帯電防止剤などをさらに含むことができる。ただし、本発明では、紡糸油剤の種類が前記例に限定されない。
前記紡糸油剤が付与されたポリエステル原糸は、前集束機(pre−interlacer)を通過した後、延伸装置を経て延伸され、前記延伸条件は、通常のポリエステル原糸の延伸方法によって行うことができる。
この時、本発明の紡糸工程では、前集束機にポリエステル原糸をそのまま通過させたり、または、選択的に前集束機に特定の範囲の風向きの集束エアー(interlacing air)を付与することができる。
前集束機に集束エアーが付与される場合、後述される延伸以降の工程を経て、前記のような物性を有するポリエステル原糸を提供し、特に、結晶化度が42乃至52%であり、引張強度が6.5乃至8.5g/dであり、切断伸度が15乃至35%であり、中間伸度(@4.5g/d)が6.5乃至17.5%であり、形態安定指数(ES)が12乃至23の物性を有するポリエステル原糸を提供することができるようにする。
前記前集束機に集束エアーを付与する方法は、図8のように、前記前集束機で原糸の走行方向に対して垂直方向に集束エアーを付与したり、または、図9のように、原糸の走行方向に対して斜線方向に集束エアーを付与することができる。しかし、未延伸糸の断面の形態が扁平なので、エアーによる未延伸糸の渦流現象を防止するために、図9のように繊維の進行方向に対して斜線方向にエアーを付与するのがより好ましく、前記集束エアーの風向きは、前記繊維の進行方向に垂直な面から0゜乃至80゜の角度であるのが最も好ましい。
また、前記集束エアーの風圧は、未延伸糸に付与された油剤を原糸に均一に移動(migration )させると同時に、未撚糸を並行に集めることによって延伸性を向上させるために、0.1kg/cm2以上であるのが好ましく、未延伸糸の過度な集束による延伸性の低下を防止するために、1.5kg/cm2以下であるのが好ましい。
前記紡糸工程において、前記紡糸速度が400m/分未満である場合には、糸乱の発生によって原糸の品質が低下し、900m/分を超える場合には、毛羽の発生などによって操業性が低下する。
また、前記紡糸工程の延伸比が4.5倍未満である場合には、要求される高強度特性を現わすのが難しく、6.2倍を超える場合には、毛羽の発生などによって原糸の品質が低下するので、延伸比が4.5乃至6.2倍であるのが好ましい。特に、本発明の延伸工程は、モノフィラメント(Mono−Filament)間の均一な延伸性の確保のために、図2の141及び142の間で発生する予備延伸、142及び143の間で発生する1段延伸、143及び144の間で発生する2段延伸からなり、前記予備延伸の延伸比は1.01乃至1.1であるのが好ましく、1段延伸の延伸比は延伸比全体に対して60乃至85%であるのが好ましい。
前記延伸装置144で行われる熱処理温度が215℃未満である場合には、収縮率の上昇によって形態安定性が低下し、250℃を超える場合には、切糸及びゴデットローラ上にタールの発生が頻繁で操業性が低下するので、熱処理温度が215乃至250℃であるが好ましく、230乃至245℃であるのがより好ましい。
前記多段延伸装置144乃至146で行われる延伸工程の弛緩率が4%未満である場合には、過度な張力によって原糸の断面が変形され、13%を超える場合には、ゴデットローラ上で過度な糸乱の発生によって操業が難しいので、4乃至13%であるのが好ましく、弛緩温度は150乃至245℃であるのが好ましい。
また、本発明は、前記延伸されたポリエステル原糸に対して、再び第2集束機(2nd Interlacer)を適用して原糸を集束させる。
前記第2集束機(2nd Interlacer)は、空気圧力を利用して、ポリエステル原糸にインターミングル(intermingle)を付与する。前記第2集束機(2nd Interlacer)は、従来の集束機の空気圧力の低下による集束性の低下を改善して、原糸の長さ方向(原糸の走行方向)に対して均一なインターミングルを付与する役割を果たす。
前記第2集束機(2nd Interlacer)は、巻取機の上部または延伸装置であるゴデットローラ(Godet−roller)(図2の141乃至146に該当)の間に単独あるいは混用されて位置し、前記第2集束機(2nd Interlacer)に使用される集束空気は、図9のように、繊維の進行方向に対して斜線方向に付与されなければならず、前記集束エアーの風向きは、前記繊維の進行方向に垂直な面から20°乃至80°の角度であるのが好ましい。また、この時の空気圧力は0.1乃至4kg/cm2であるのが好ましい。
前記空気圧力が0.1kg/cm2未満である場合には、原糸に対して集束性を付与するのに不充分であり、結果的に、原糸の抱合性の低下を誘発して、巻取り不良及び毛羽の発生を誘発する。また、空気圧力が4.0kg/cm2を超える場合には、原糸のフィラメントの間に強い交絡が非常に多く存在して(または、CFP値が大きくて)、要求される平滑性を得るのが難しく、原糸の長さ方向に対して屈曲程度が大きい。
前記第2集束機(2nd Interlacer)は、微細交絡数を増加させるために、連続して多段に適用することができ、多段の場合、2個以上、好ましくは2乃至4個の集束機が連続的に設置されるのが好ましい。前記第2集束機(2nd Interlacer)を多段に設置する時、多段集束機の個数が5個以上である場合には、設置が困難で、作業性も低下するので、最大4個以下であるのが好ましい。
前記第2集束機(2nd Interlacer)を通過したポリエステル原糸は、巻取機を利用して巻取ることによって、本発明のポリエステル原糸に製造される。
また、本発明のポリエステル原糸の製造方法において、前記原糸の帯電防止性及び集束性の向上を通して後工程性を向上させるために、前記第2集束機(2nd Interlacer)及び巻取機の間にアフターオイル付与(after−oiling)装置を設置して、アフターオイル(after−oil)を付与する工程を追加的に含むことができる。
図10は第2集束機(2nd Interlacer)を2個以上多段に適用して、前記アフターオイル付与装置と共に使用することを示した模式的な工程図である。図10に示したように、第2集束機(2nd Interlacer)150は、ポリエステル原糸の延伸装置145、146の次に位置する。また、前記アフターオイル付与装置430は、ジェットガイド形態であり、原糸の走行方向に対して上下または左右に設置されて、原糸にアフターオイルを付与する役割を果たす。
前記アフターオイル付与装置の付随装置として、アフターオイルを保管するオイル浴槽(bath)431、アフターオイル付与装置に定量的にオイルを供給するメーターリングポンプ(metering−pump)432、原糸に供給されて残った残量または前記アフターオイル付与装置で発生する落油を集め、オイル浴槽に移送して、再循環させて、巻取機440の汚染防止などの役割を果たすオイル回収浴槽433などがさらに含まれる。
前記アフターオイル付与工程で付与されるオイルの量は、ポリエステル原糸の重量に対して0.1乃至2.0重量%であるのが好ましい。アフターオイルの量が0.1重量%未満である場合には、ポリエステル原糸に要求される集束性の向上及び帯電防止性の改善の効果が微々たるものであり、2.0重量%を超える場合には、経済性が低下して、オイルによる汚染を誘発し、コーティング織物に適用する時に接着力を阻害することがある。
前記アフターオイルとしては、通常のポリエステル原糸用アフターオイル(after−oil)を使用することができる。前記原糸用アフターオイルは、延伸工程を経る前に付与された油剤とは区別されるもので、好ましくは、ポリオール−ポリアルキレートを主成分として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、酸化防止剤、及び帯電防止剤などを含むオイルを使用することができる。
本発明の製造方法では、また、弛緩工程(図2の144及び146の間)中に糸乱によってモノフィラメントが互いに重なるのを防止して、走行原糸の扁平な形態を維持するために、弛緩工程以降(図2の145及び146の間)にテンションガイドをさらに適用することができる。
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。しかし、下記の実施例は、本発明の好ましい一実施例にすぎず、本発明は下記の実施例によって限定されない。
固有粘度が0.85g/dLであるポリエステル固体重合チップを285℃の温度で溶融して、スリット形紡糸口金を通して溶融ポリエステルを吐出した。
前記吐出された溶融ポリエステルをフードヒーター及び断熱板から構成された遅延冷却区間に通過させて、遅延急冷(delayed quenching)した。
前記遅延急冷されたポリエステル原糸に、ロール形態の油剤付与装置を利用して油剤を付与した。この時、前記油剤の量は、原糸100重量部に対して0.8重量部であり、使用された油剤は、エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加ジオールエステル(30重量部)、エチレンオキシド付加ジオールエステル(15重量部)、グリセリルトリエステル(10重量部)、トリメチルプロパントリエステル(10重量部)、及び少量の帯電防止剤を混合した紡糸油剤を使用した。
前記油剤が付与された原糸を前集束機に通過させて、ゴデットローラを利用して延伸した。
前記延伸後に、第2集束機(2nd Interlacer)を利用して前記延伸されたポリエステル原糸にインターミングルを付与した後、巻取機で巻取ってポリエステル原糸を製造した。
本発明の実施例で、紡糸口金のキャピラリーの形態及び扁平度、口金でのせん断速度(Shear−rate、秒−1)、紡糸パックの構造、フードヒーターの温度及び長さ、断熱板の長さ、遅延冷却区間の滞留時間、紡糸速度、弛緩率、熱処理温度などの条件を各々表1に示した。また、紡糸パックの形態は大きく限定されないが、図5の形態の紡糸パックを好ましく適用して、ポリエステル原糸を製造した。
下記の表1の諸般の条件によってポリエステル原糸を製造した。
前記実施例1乃至7及び比較例1によって製造されたポリエステル原糸に対して、下記の方法で、扁平度、収縮応力、収縮率、固有粘度、引張強度、切断伸度、及び原糸の断面形態指数(R1、H1、R1/H1、CV%)、後工程収率、工程操業性(F/D)、及びコーティング織物の厚度を測定した。そして、各原糸に対して測定した前記物性を下記の表2に示し、実施例1によって製造された扁平断面糸の断面写真を図11に示した。
原糸の断面の扁平程度を示す値で、銅板を利用して原糸を切断し、これを光学顕微鏡で拡大撮影して、原糸断面の長軸の長さ(W)及び原糸断面の短軸の長さ(D)を測定して、下記の計算式1によって各々のフィラメントに対する扁平度を計算し、フィラメント全体の平均値を求めて、原糸の扁平度を求めた。
[計算式1]
個別フィラメントの扁平度(Fi)=W/D、
原糸の扁平度=(個別フィラメントの扁平度の和)/(フィラメント数)
前記光学顕微鏡で拡大撮影した原糸断面から、図1のように各々のフィラメントに対するR1、R2、R3、及びR4を測定して、計算式2によってフィラメント全体のR1、R2、R3、及びR4の平均値及び標準偏差を計算し、下記の計算式3によって変動係数(CV%)を求めた。
[計算式2]
平均(R)=フィラメント全体の(R1+R2+R3+R4)の和/(4×n)
前記式で、nは測定されたフィラメント全体の数であり、Rはフィラメント全体のR1、R2、R3、及びR4の平均値である。
[計算式3]
変動係数(CV%)=標準偏差(σ)/平均(R)×100(%)
前記光学顕微鏡で拡大撮影した原糸断面から、図1のR1、R2、R3、及びR4、そしてH1、H2、H3、及びH4を測定して、計算式4によってフィラメント全体のR1/H1、R2/H2、R3/H3、及びR4/H4の平均値及び標準偏差を計算し、計算式3によって変動係数(CV%)を求めた。
[計算式4]
平均(R/H)=フィラメント全体の(R1/H1+R2/H2+R3/H3+R4/H4)の和/(4×n)
前記式で、nは測定されたフィラメント全体の数であり、R/Hはフィラメント全体のR1/H1、R2/H2、R3/H3、及びR4/H4の平均値である。
Kanebo熱応力機を利用して、初期荷重0.1g/d下で、昇温速度2.5℃/秒で昇温させながら150℃及び200℃で各々の応力値を測定した。試料は、ループ(Loop)形態に結び目を結んで準備する。
[計算式5]
熱応力(g/d)= 熱応力測定値(g)/(測定原糸繊度×2)
収縮率は、特定の温度で熱による試料の長さ変化を百分率で示した値であって、下記の計算式6によって定義される。
[計算式6]
収縮率(%)={(L0−L1)/L0}×100
前記式で、L0は熱収縮前の試料の長さであり、L1は熱収縮後の試料の長さである。
前記収縮率は、TestRite社の収縮試験機(Testrite MK−V)を利用して、0.01g/dの一定の荷重下に原糸を固定した後で、収縮率を測定し、測定条件は、190℃で0.01g/dの荷重を加えた状態で15分経過した状態を基準にした。
四塩化炭素を利用して試料から油剤を抽出し、160±2℃でOCP(オルトクロロフェノール、Ortho Chloro Phenol)に溶かした後、25℃の条件で自動粘度測定機(Skyvis−4000)を利用して粘度管での試料粘度を測定して、下記の計算式7によって原糸の固有粘度(intrinsic viscosity、IV)を求めた。
[計算式7]
固有粘度(IV)={(0.0242×Rel)+0.2634}×F
前記式で、Rel= 溶液秒数×溶液比重×粘度係数/OCP粘度であり、F= スタンダードチップ(Standard Chip)のIV/スタンダードチップを標準動作で測定した3つの平均IVである。
万能材料試験機(Instron)を使用して測定し、試料の長さは250mm、引張速度は300mm/分、初期ロッドは0.05g/dに設定した。
原糸の生産性を示す指標として、ドッフィング(玉揚げ、Doffing)数全体に対する完全チーズドッフィング(Full−Cheese Doffing)数の分率を下記の計算式8で計算した。
[計算式8]
F/D(%)=完全チーズドッフィング数/完全チーズドッフィング数+部分チーズドッフィング(Partial Cheese Doffing)数×100
毛羽感知機(fluff−detector)のチェック回数を106mに換算して計算した。
投入された原糸全体に対する正常製品の百分率値を下記の計算式9によって計算した。
[計算式9]
後工程収率=製造製品数量/投入原糸全体量×100
実施例1乃至7及び比較例1によって製造されたポリエステル原糸を同一な条件で通常のレピア織機で製織した後、ポリエステル織物100重量部に対してポリ塩化ビニル(PVC)250重量部をコーティングして、PVCコーティングされた織物を製造した。前記織物に対して厚さを測定して、実施例1乃至7によって製造されたポリエステル原糸で製造された織物の厚さ(T)を比較例1によって製造された織物の厚さ(t)で割って、百分率に計算した。
[計算式10]
織物の厚度(%、相対値)=T/t×100
固有粘度が0.85g/dLであるポリエステル固体重合チップを285℃の温度で溶融して、スリット形紡糸口金を通して溶融ポリエステルを吐出した。
前記吐出された溶融ポリエステルをフードヒーター及び断熱板から構成された遅延冷却区間に通過させて、遅延急冷(delayed quenching)した。
前記遅延急冷されたポリエステル原糸に、ロール形態の油剤付与装置を利用して油剤を付与した。この時、前記油剤の量は、原糸100重量部に対して0.8重量部であり、使用された油剤は、エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加ジオールエステル(30重量部)、エチレンオキシド付加ジオールエステル(15重量部)、グリセリルトリエステル(10重量部)、トリメチルプロパントリエステル(10重量部)、及び少量の帯電防止剤を混合した紡糸油剤を使用した。
前記油剤が付与された原糸を図9の前集束機に通過させて、ゴデットローラを利用して延伸した。
前記延伸後に、図9の第2集束機(2nd Interlacer)を利用して前記延伸されたポリエステル原糸にインターミングルを付与した。
前記集束機を通過したポリエステル原糸に、ジェットガイド形態のオイル付与装置を利用してアフターオイル(after−oil)を付与した。この時、前記アフターオイルの量は、原糸100重量部に対して0.7重量部であり、使用されたアフターオイルは、ポリオール−ポリアルキレート(70重量部)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(20重量部)、酸化防止剤(2重量部)、及び帯電防止剤(2重量部)を混合したオイルである。
前記アフターオイル付与工程後、巻取機で巻取ってポリエステル原糸を製造した。
本発明の実施例で、紡糸口金のキャピラリーの形態及び扁平度、フードヒーターの温度及び長さ、断熱板の長さ、遅延冷却区間の滞留時間、前集束機の風向き、及び風圧、紡糸速度、延伸比(予備延伸比、延伸比全体に対する1段延伸倍率)、弛緩率、熱処理温度、第2集束機(2nd Interlacer)の個数、風向き及び風圧、油剤及びアフターオイル付与などの条件を各々表3に示した。
集束機の風向きは、図9に示したように、繊維の走行方向の直角方向を基準にしてエアーが噴射される角度を意味する。つまり、0°は繊維の進行方向に対して直角な方向であり、90°は繊維の進行方向と平行な方向であることを意味する。
前記実施例8乃至14及び比較例2によって製造されたポリエステル原糸に対して、前記と同様な方法で、扁平度、収縮応力、収縮率、固有粘度、引張強度、切断伸度、工程操業性、整経毛羽数、コーティング織物の厚度を測定した。また、下記の方法で、結晶化度、中間伸度、及び形態安定指数を測定した。そして、各物性を下記の表4に示し、実施例8によって製造された扁平断面糸の断面写真は図11と同様であった。
原糸の密度ρは、n−ヘプタン及び四塩化炭素を利用した密度勾配関法(density gradient method)によって25℃で測定し、結晶化度は、下記の計算式11によって計算した。
[計算式11]
Xc(結晶化度)= ρc(ρ−ρa)/ρ(ρc−ρa)
前記計算式11で、ρは原糸の密度、ρcは結晶の密度(PETの場合は1.457g/cm3)、及びρaは非結晶の密度(PETの場合は1.336g/cm3)である。
中間伸度は、万能材料試験機で測定した応力−伸張曲線で4.5g/dの応力に相当する値を基準にした。また、190℃で0.01g/dの荷重下でTestrite MK−Vで15分間測定した収縮率を基準にして、形態安定指数(ES)を下記の計算式12によって求めた。
[計算式12]
形態安定指数(Es)=中間伸度+収縮率
実施例8乃至14及び比較例2によって製造されたポリエステル原糸を同一な条件で通常のレピア織機で製織した後、ポリエステル織物100重量部に対してポリ塩化ビニル(PVC)250重量部をコーティングして、PVCコーティングされた織物を製造した。前記織物に対して厚さを測定して、実施例8乃至14によって製造されたポリエステル原糸で製造された織物の厚さ(T)を比較例2によって製造された織物の厚さ(t)で割って、百分率に計算した。
[計算式13]
織物の厚度(%、相対値)=T/t×100
本発明のポリエステル原糸は、原糸断面を扁平かつ均一にすることによって、その表面の平滑性を極大化し、断面が円形の繊維と比較して当該原糸から製造される織物が薄く、コーティング樹脂の量を減らすことができ、表面不均一性と孔隙率の低さにより、生産物の重量を軽くできる点に利点を有する。
Claims (15)
- 断面の扁平度が2.0乃至4.0であり、前記断面の最長軸の両端点をW1及びW2と定義し、前記最長軸の中央点Oから垂直方向への最短軸の両端点をD1及びD2と定義し、前記W1及びD1を連結する斜線をL1、D1及びW2を連結する斜線をL2、W1及びD2を連結する斜線をL3、W2及びD2を連結する斜線をL4と定義し、L1、L2、L3、及びL4から断面の外側に最も離れた端部までの距離を各々R1、R2、R3、及びR4と定義し、前記L1、L2、L3、及びL4から中央点Oまでの距離を各々H1、H2、H3、及びH4と定義する時、フィラメント全体のR1乃至R4の変動係数(CV%)が20%以下である、ポリエステル原糸。
- フィラメント全体に対するR1/H1、R2/H2、R3/H3、及びR4/H4の平均値が0.2乃至0.9である、請求項1に記載のポリエステル原糸。
- フィラメント全体のR1/H1、R2/H2、R3/H3、及びR4/H4の変動係数(CV%)が20%以下である、請求項1に記載のポリエステル原糸。
- 150℃での収縮応力(@0.1g/d、2.5℃/秒)が0.005乃至0.075g/dであり、200℃での収縮応力(@0.1g/d、2.5℃/秒)が0.005乃至0.075g/dであり、収縮率(@190℃、15分、0.01g/d)が1.5乃至5.5%である、請求項1に記載のポリエステル原糸。
- ポリエチレンテレフタレートを90モル%以上含む、請求項1に記載のポリエステル原糸。
- 固有粘度が0.7乃至1.0dl/gである、請求項5に記載のポリエステル原糸。
- 引張強度が6.5乃至8.5g/dであり、切断伸度が15乃至35%である、請求項1に記載のポリエステル原糸。
- 単糸繊度が3.7de乃至10.5deである、請求項1に記載のポリエステル原糸。
- 扁平度が2.0乃至4.0であり、150℃での収縮応力(@0.1g/d、2.5℃/秒)が0.005乃至0.075g/dであり、200℃での収縮応力(@0.1g/d、2.5℃/秒)が0.005乃至0.075g/dであり、収縮率(@190℃、15分、0.01g/d)が1.5乃至5.5%である、ポリエステル原糸。
- ポリエチレンテレフタレートを90モル%以上含む、請求項9に記載のポリエステル原糸。
- 固有粘度が0.7乃至1.0dl/gである、請求項9に記載のポリエステル原糸。
- 結晶化度が42乃至52%である、請求項9に記載のポリエステル原糸。
- 前記ポリエステル原糸は、引張強度が6.5乃至8.5g/dであり、切断伸度が15乃至35%であり、中間伸度(@4.5g/d)が6.5乃至17.5%であり、形態安定指数(ES)が12乃至23である、請求項9に記載のポリエステル原糸。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のポリエステル原糸を含む織物。
- 表面にコーティングまたはラミネートされたコーティング樹脂層をさらに含む、請求項14に記載の織物。
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