JP2010502178A - 予後診断方法 - Google Patents

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Abstract

ケロイド形成に対する感受性の決定に使用される方法、キット及びアレーが提供される。前記は、所定の患者の遺伝子発現とコントロールサンプルの発現との比較に基づいて感受性を決定する。表1に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現が、患者の遺伝子発現に対応するサンプルでコントロールサンプルの同じ1つの遺伝子(又は複数に遺伝子)の発現と比較して増加した場合、これはケロイド形成に対する感受性の指標となる。

Description

本発明は、ケロイド形成に対する感受性を決定する方法に関する。本発明はまた、ケロイド形成に対する感受性の決定で使用するために適したキット及びオリゴヌクレオチドアレーを提供する。
ケロイド(ケロイド瘢痕とも称される)は、異常で過剰増殖性の創傷治癒応答によって生じる病的瘢痕である。ケロイドは、本来の創傷の縁を越え、創傷部位の周囲の正常な皮膚に侵入した隆起した瘢痕を含む。ケロイドは時間の経過とともに成長を続け、偶発的に旧態に復帰することはない。
ケロイドは男性と女性で同じ頻度で発生する。ケロイド形成の発症率は10歳から30歳の間の年齢の人々で増加する。ケロイドは、広範囲の損傷(ピアスの穴あけ、外科手術、ワクチン接種、刺青、咬傷、鈍性外傷及び火傷を含む)の結果として生じえる。
ケロイドは、“ドーム状”、結節状又は稜線状の外観を有しえる。ケロイドは、周囲の無傷の皮膚の色と類似の色を有するが、しかしながら、しばしば幾分黒ずみ、赤色、紫色又は褐色の外観を有する、そのような色の不一致はケロイドをいっそう目立たせる。ケロイドの過剰色素沈着傾向は、太陽の紫外線照射への暴露により増加する。
ケロイド病巣は、各々が互いに極めて相違する生物学的活性を示しえる、多数の異なる部分から構成されると考えられる。成熟したケロイド病巣の中心部分(内病巣部分)は大部分が無細胞であるが、病巣の周辺部分(周辺病巣部分)は相対的により細胞性であり、血管形成活性が高い部位である。この新規血管形成の増加は外側に向けた病巣の成長と連鎖している。
ケロイドは病的瘢痕の例であるが、それらは主として、未損傷の皮膚及び正常な皮膚瘢痕で見出されるものと同じ細胞タイプ及び細胞外マトリックス成分で構成される。しかしながら、これらの細胞タイプ及び細胞外マトリックス成分が相対的に多量であること及びそれらの編成は、未損傷皮膚又は正常な皮膚瘢痕で見出されるものとは異なる。
ケロイドの主要な構成成分は細胞外マトリックス成分のコラーゲンIである。ケロイドに由来する線維芽細胞は、正常な皮膚の線維芽細胞と比較して、in vitroで20倍も高いコラーゲンIの発現を示す。同様に、培養されたケロイド線維芽細胞はまた上昇レベルのエラスチン及びプロテオグリカンを発現し、この細胞外マトリックス堆積増加がケロイドの発生及び維持に役割を果たしえると考えられている。
ケロイドに存在するコラーゲンIは主として厚い“渦巻状”の形で編成され、これは、未損傷皮膚(いわゆる原線維の“ななこ織り”)又は正常瘢痕(ケロイドで見出されるよりも細く、互いにほぼ平行に編成されているコラーゲン線維を含む)で見出される編成とは区別することができる。ケロイド内に肥厚してヒアリン化したコラーゲンがしばしば存在することによって、“ケロイド性コラーゲン”と称されるこのコラーゲン型がもたらされる。
ケロイドは正常な瘢痕よりもマクロファージは少ないが、多量の好酸球、マスト細胞、形質細胞及びリンパ球を含む。
ケロイドはめったに痛みの直接的原因にはならないが、その形成時又は成長時に不快、圧痛、過敏又は掻痒が生じえる。ケロイドはまた、未創傷皮膚と比較してそれらの大きさ又は堅さが増すために機械的機能を障害することがある。この障害は、特に関節近くに位置するケロイドの場合に顕著でありえる。さらにまた、ケロイドは、特に大きいか又は顕著に外観を損なう事例では、そのような患者で精神的苦痛を引き起こしえることはよく知られている。
さらにケロイドの高度に損傷性の特性は、特に外科的切除後のそれらの再発しやすさである。さらにまたそのような環境下でのケロイドの再発は通常、病巣の更なる拡大を伴い、より早期の切除後にケロイドはいっそう激しく拡大しえる。
過形成性瘢痕の治療選択肢は、外科的切除が許容可能であり、しばしば好ましいアプローチであるという点を除いてケロイドの治療選択肢と類似する。ケロイドの正しい臨床的処置は、ケロイド治療に付随する特異な困難さを考慮しなければならない。
ケロイドの従来の治療方式には、コルチコステロイド注射、寒冷療法、放射線療法、シリコンゲル包帯、及びケロイド瘢痕のサイズを低下させるための薬剤の内病巣注射が含まれる。所定の(of interest)組織がケロイド形成のリスクを有するという予後診断は、しかしながら不適切な治療方式、例えば外科的摘出の回避を可能にするという主要な利点を有する。
ケロイドの高い再発性及びそのような再発が外科的介入によって高まるという事実を前提にするならば、可能な限り最も早い時期から適切な治療方式を用いることができるように、ケロイド形成のリスクを正確に決定できるということは重要である。ケロイド形成のリスクが高い個体で必ずしも必要でない外傷を回避することは、より好ましいことでさえあろう。しかしながら、ケロイド形成は皮膚の色が濃い人種においてより頻発するということが知られているが、ケロイド形成の主要な原因は不明であり、ケロイド形成に感受性を有する患者を認定することができる方法及びキットが希求されていることはよく認識されている。
ケロイド形成に対する感受性を決定するための迅速で正確な方法及びキットは、ケロイドを形成しやすい人々の臨床的措置に関する正確な決定を容易にするであろう。ケロイド形成のリスクが高い患者の場合、ケロイドの発生を開始させえる治療を回避することが可能であり、一方、そのような配慮はケロイドを形成しにくい患者の治療に不適切に適用されないであろう。重要なことには、ケロイド形成に感受性を有する患者は、外傷後の可能なかぎり早い時点で予防的又は待期的手段を提供されるということを担保することができるであろう。ケロイド形成患者と非形成患者を識別する能力は、ケロイドを発生させやすい人々で外科手術を制限し、したがってケロイド形成のリスクを制限するという意味で極めて有益でありえる。
個々の患者又は創傷がケロイド形成に対して感受性を有するか否かを決定するための新規な方法及びキットを提供することは、本発明のある種の実施態様の目的である。従来技術によって達成することができる確実性よりもはるかに高度の確実性をそのような決定において可能にする、ケロイド形成に対する感受性を決定するための方法を提供することは、本発明のある種の実施態様のまた別の目的である。従来技術の方法よりもはるかに迅速な予後決定を可能にする、ケロイド形成に対する感受性を決定するための方法を提供することは、本発明のある種の実施態様のまた別の目的である。
本発明の第一の特徴ではケロイド形成に対する感受性を決定する方法が提供され、前記方法は、患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける、表1に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を、コントロールサンプルにおける前記少なくとも1つの遺伝子の発現と比較する工程を含み、この場合、コントロールサンプルにおける前記少なくとも1つの遺伝子の発現と比較して、患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける前記少なくとも1つの遺伝子の発現増加は、当該患者がケロイド形成に感受性を有することを示す。
本発明の第二の特徴ではケロイド形成に対する患者の感受性を決定するキットが提供され、前記キットは以下を含む:
i)表1に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の患者での発現に対応する標的分子と特異的に結合することができる少なくとも1つのプローブ;及び
ii)前記少なくとも1つの遺伝子のコントロール組織での発現レベルを示すことができる参照物(reference material)。
本発明の方法及びキットは、ケロイド形成に対する患者の感受性をin vitroで決定するために使用されることが好ましい。
本発明の方法及びキットは、ケロイド形成のリスクを有する人間の患者に関連する使用にもっとも適しているが、それらはまた、非ヒト動物における同様な他の症状、例えばウマの“肉芽形成”に対する感受性の決定にも有用でありえる。
本発明は、その発現の増加がケロイド形成に対する感受性の増加の指標となる多数の遺伝子の本発明者らによる認定を基にしている。本発明者らは、患者の遺伝子発現に対応するこれら1つ以上の遺伝子のサンプルにおける発現とコントロール組織で生じる発現との比較が、ケロイド形成に対する患者の感受性の正確な決定を可能にすることを見出した。ケロイド形成に対する感受性の増加は、コントロールサンプルでの発現と比較したとき患者での発現が増加することによって示され、一方、コントロールでの発現と比較したとき患者での発現が変化しないか又は低下すれば、それは、当該患者でケロイド形成に対する感受性が増加していないことを示す。
表1に認定された遺伝子(すなわち遺伝子識別番号1から遺伝子識別番号119を含む群)の発現の増加は、ケロイド形成に対する患者の感受性の決定に用いることができるという発見は驚くべきものである。なぜならば、ある種の遺伝子(例えばVEGF、IGF1及びPAI1をコードする遺伝子)の発現はケロイド組織と連関しているが、表1に記載の遺伝子は、以前にはケロイドの発生リスクの増加と密接に関連するとは全く認識されてなかったからである。
本発明の実施では(本発明の方法、キット又はアレーのいずれの使用によるものであれ)、患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける選択された1つの遺伝子(又は複数の遺伝子)の発現が、適切なコントロール組織における同じ1つの遺伝子(又は複数の遺伝子)の発現と比較される。選択された1つの遺伝子(又は複数の遺伝子)のこの比較によって、ケロイド形成に対する患者の感受性の決定が可能になる。コントロールサンプルにおける発現と比較したとき、患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける選択された1つの遺伝子(又は複数の遺伝子)の発現増加がある場合、これは、当該患者でケロイド形成のリスクの増加があることを示す。他方、患者による発現に対応するサンプルで、選択された1つの遺伝子(又は複数の遺伝子)の発現の増加がなければ(又は実際これらの遺伝子の発現に低下があれば)、これは、当該患者はケロイド形成の素因を持たないことを示す。
一般的には、選択された遺伝子の患者による発現は、遺伝子発現に対応する標的分子の分析によって精査されるであろう。適切な精査は、サンプルにおける標的分子の相対的な豊富さの分析を必要とするであろう(前記分析は、本明細書の別の箇所でさらに詳細に考察されるように、遺伝子発現に関する定量的情報を提供することができる)
コントロール組織における遺伝子発現は、適切な標的遺伝子を含む組織又は組織抽出物によって表わすことができるが、また別には、コントロールにおける遺伝子発現レベルの詳細を示すデータによって表わすこともできる。適切な標的分子の認定、単離及び分析は、コントロール組織サンプルにおける遺伝子発現に対応する情報の提供と同様に、本明細書のさらに別の箇所で考察される。
本発明者らは、表1に記載の遺伝子群によって表される遺伝子のいずれかを本発明にしたがって用いることができることを見出したが、本発明者らはさらに、これらの遺伝子のある種のサブセットは特別な予後診断価値を有することを見出した。これらのサブセットは、下記でより詳細に認定及び考察される。
例えば、患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける、表2に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つ遺伝子の発現を、コントロールサンプルにおける同じ1つの遺伝子(又は複数の遺伝子)の発現と比較することは、本発明の好ましい実施態様である。これらの遺伝子によって示される発現の変化の規模がケロイド形成に対する感受性の決定で有用であることを本発明者らが発見したので、これらの遺伝子は好ましい群を表す。
患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける、表3に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つ遺伝子の発現を、コントロールサンプルにおける同じ1つの遺伝子(又は複数の遺伝子)の発現と比較することは、本発明のより好ましい実施態様である。これらの遺伝子によって示される発現の変化の規模がケロイド形成に対する感受性の決定でより有用であることを本発明者らが発見したので、これらの遺伝子はより好ましい群を表す。
患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける、表4に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つ遺伝子の発現を、コントロールサンプルにおける同じ1つの遺伝子(又は複数の遺伝子)の発現と比較することは、本発明の特に好ましい実施態様である。これらの遺伝子によって示される発現の変化の規模がケロイド形成に対する感受性の決定で特に有用であることを本発明者らが発見したので、これらの遺伝子は特に好ましい群を表す。
本発明者らはまた、本発明の方法及びキットで精査されえる好ましい遺伝子をそれらの生物学的機能に関連して選択することができることを見出した。
好ましい実施態様では、本発明の方法又はキットは、表5に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を比較することを必要とする。この表に記載の遺伝子は細胞接着で必要とされる。これらの遺伝子をケロイド形成に対する感受性の決定に用いることができるという発見は、従来技術は以前にはこれらの遺伝子がケロイド発生に全く必要とされないと指摘していたという点で新規であるとともに驚くべきことである。実際のところ、細胞接着に関連するいずれかの遺伝子の発現増加がケロイド形成に対する感受性増加の指標となることを当業者に示唆するようなことは従来技術では全くなかった。表5に記載の群から選択される多数の遺伝子の発現を比較することが好ましいであろう。
本発明によるケロイド形成に対する感受性の決定は、患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける表1から選択される1つの遺伝子の発現を、コントロールサンプルにおける発現と比較することによって実施することができるが、しかしながら、表1の多数の遺伝子を利用することが好ましい。したがって、本発明による感受性の決定は、表1から選択される5つまでの遺伝子の発現を比較することによって達成することが好ましい。本発明による感受性の決定は、表1から選択される5、6、7、8、9又は10遺伝子の発現を比較することによって達成することが特に好ましい。本発明によるケロイド形成に対する感受性の決定は、表1から選択される20、40、80、100まで、又は110までもの遺伝子の発現を比較することによって達成することができる。実際にところ、ある種の事例では、本発明によるケロイド形成に対する感受性の決定は、表1から選択される110以上の遺伝子の発現を比較することによって実施されることが好ましいであろう。所望されるならば、感受性の決定は、表1に示される119遺伝子の全て用いて実施することができる。
いずれの個体も本発明の方法及びキットから利益を引き出することができる適切な患者となりえるが、しかしながら好ましい患者はケロイド形成のリスクが高いと考えられる個体を含むことは理解されよう。そのような個体の例には、ケロイド形成歴を有する患者、アフリカ大陸系グループの個体、及びアジア大陸系グループの個体が含まれる。
適切な患者には、皮膚に損傷を受けたか、現在受けつつあるか、又は受ける予定がある個体が含まれえる。特にこれら患者には、ケロイド形成のリスクが高い部位に損傷を持つ個体が含まれえる。そのような部位の例には典型的には、皮膚張力の高い領域、例えば胸、背中、肩又は首が含まれる。しかしながら、対応する部位にはまた耳たぶのような領域が含まれ、前記は、高い皮膚張力を受けないがケロイド形成がよく起こる部位である。
本発明の方法、キット及びアレーの予後診断的使用は、皮膚損傷を受けたか、現在受けつつあるか、又は受ける予定がある患者とともに、皮膚外傷を受けたか、現在受けつつあるか、又は受ける予定がある患者に有用でありえる。
本発明の目的のためには、“皮膚損傷”は、皮膚の部分的又は完全な貫通が発生する症状又は臨床的状況、さらにまた皮膚の一層以上の部分的又は完全な破壊が発生する症状又は臨床的状況を含むと考えることができる。例えば、創傷には刺創、切創、摘出創及び部分層又は全層皮膚移植(ドナー側及びレシピエント側の両方を含む)が含まれえる。そのような創傷は外科処置又は事故による損傷に付随しえる。創傷にはまた火傷又は熱傷損傷が含まれ、皮膚の損傷を引き起こすに足る高温又は低温の物質に皮膚が暴露されることにより生じる。薬品“熱傷”(例えば酸又はアルカリに皮膚が暴露されることにより引き起こされるもの)もまた、本発明にしたがってケロイド形成に対する感受性について有益な判定を実施することができる創傷を構成する。
損傷(例えば皮膚創傷)を早晩受けることになる個体の例には、任意の外科処置を受けようとしている者;ピアスをしようとしている者;刺青をしようとしている者;及び美容処置、例えば皮膚擦傷法又は剥離法(いわゆる“ケミカルピーリング”及び“レーザーピーリング”を含む)を受けようとしている者が含まれるであろう。
本発明の目的のためには、“皮膚外傷”とは、皮膚を損傷するが皮膚を貫通しない損傷に適用されると解することができる。皮膚外傷と考えることができる損傷の例には、皮膚の挫傷とともに他の“鈍性”損傷が含まれる。
本発明にしたがって用いることができる、患者の遺伝子発現に対応するサンプルは、患者によって発現される遺伝子に関する情報を提供することができる任意のサンプルを含む。
適切なサンプルの例には、生検標本、血液サンプル、尿サンプル、喀痰サンプル、脳脊髄液サンプル及びスワブサンプル(例えば唾液スワブサンプル)が含まれる。好ましいサンプルには、創傷組織、創傷液、創傷吸引物又は創傷滲出物のサンプルが含まれ、それらのいずれも、所定のサンプルが由来する創傷のケロイド形成に対する感受性の決定を可能にしえる。
創傷に由来するサンプルの場合、それらは、創傷時又は最初の傷害後の任意の時期に採集することができる。好ましくは、そのようなサンプルは、最初の傷害後12ヶ月以内に採集することができる。より好ましくは、そのようなサンプルは最初の傷害後6ヶ月以内に、より好ましくは最初の傷害後1ヶ月以内に採集することができる。もっとも好ましくは、創傷に由来する適切なサンプルは、最初の傷害後7日までに採集することができる。
適切なサンプルは任意の身体部位に由来することができる。しかしながら、サンプルが由来しえる好ましい部位には、ケロイド形成に特に感受性を有することが知られている身体部位、例えば肩、胸、耳たぶ、上腕及び頬が含まれる。
適切なサンプルには、組織切片、例えば組織学的切片又は凍結切片が含まれえる。当該切片が由来する患者の遺伝子発現に対応する情報を提供しえる態様でそのような切片を調製することができる方法は当業者には周知であり、遺伝子発現を調べるときに用いようとする技術に照らして選択されるべきである。
本発明の方法で使用される適切なサンプルには、所定の組織、特にケロイドに進行するリスクがおそらく高いと考えられる組織に由来する生検標本が含まれえることは理解されよう。好ましくは、そのような生検標本は、患者に加えられる損傷レベルを少なくし、したがってケロイド形成に対する感受性が高いことが判明した者にたいする傷害を限定するように選択される種類のものであろう。そのような技術は、生じる損傷レベルを少なくするために、例えば針生検を利用することができる。
精査に適したサンプルには、外科処置時に切除した組織が含まれえる。そのような処置には瘢痕修正、ほくろの切除又は良性若しくは悪性腫瘍の切除が含まれえる。そのような事例では、取り出された組織の精査は、ケロイド形成に対する患者のリスクの決定、したがって切除部位の臨床管理に適した方法を決定するために極めて有用である。
患者由来の組織の一部分を含むサンプルの使用が意図されるが、一般的には、遺伝子発現に対応するサンプルはそのような組織から採取される適切な抽出物を含むことが好ましい(前記抽出物を精査して患者の遺伝子発現に関する情報を提供することができる)。患者の遺伝子発現に関する情報を提供することができる組織抽出物の作製に用いることができる適切なプロトコルは当業者には周知であろう。好ましいプロトコルは、遺伝子発現が精査される態様に照らして選択することができる。患者の遺伝子発現に対応する組織抽出物を作製するために用いることができるプロトコルの例は下記で考察される。
本発明の方法又はキットにしたがって使用される適切なコントロールサンプルは、患者の遺伝子発現に対応するサンプルの供給源に関連して選択することができる。適切なコントロールサンプルの供給源及び例は当業者には明白であり、ケロイド形成を経験していない個体に由来するサンプルとともに、ケロイド形成者の非ケロイド組織に由来するサンプルが含まれる。皮膚は患者及びコントロールサンプルの両方の好ましい供給源を構成することは理解されよう。
適切なコントロールサンプルには、遺伝子発現に対応する標的分子を含む非ケロイド組織又は器官が含まれえる(この場合は、組織中の遺伝子発現に関する情報が、例えば標的分子の分析によって組織から抽出しえる態様で、当該組織は保存されるべきである)。また別には、適切なコントロールサンプルは、コントロールサンプルにおける遺伝子発現に対応する抽出標的分子及び/又は単離標的分子(例えばmRNA又はcDNA)を取り込んでいる組織抽出物を含むことができる。コントロールサンプルの遺伝子発現に関する対応する情報はまた、本明細書のまた別の箇所で考察されるように、そのようなサンプルに由来するデータの形で提供されてもよい。
選択した遺伝子の発現に関する情報を得ることができるコントロールサンプルには、患者サンプルに関して本明細書で考察される組織サンプル及び組織抽出物が含まれる。例えば、そのような情報は、コントロールサンプルを構成する組織又は器官サンプルから、又は選択したコントロールサンプルの遺伝子発現に関する情報を提供することができる抽出物から直接得ることができる。このタイプのコントロールサンプルにおける、選択された1つの遺伝子又は複数の遺伝子(表1に記載の遺伝子群から選択される)の発現は、患者の遺伝子発現の精査に関して本明細書に記載する方法を用いて精査することができる。
コントロールサンプルを構成する組織又は器官サンプル(又はそのようなサンプルに由来する抽出物)は、コントロールサンプルの遺伝子発現に関する情報の供給源として直接用いてもよいが(本明細書のまた別の箇所で考察されるように)、一般的には、選択された1つの遺伝子(又は複数の遺伝子)のコントロールサンプルにおける発現に関する情報は、参照データの形で提供されるのが好ましいであろう。そのような参照データは、選択コントロール組織における遺伝子発現の指標となる表の形で提供することができる。また別には、参照データは、選択コントロール組織における遺伝子発現の指標となる検索可能情報を含むコンピューターソフトの形で供給することができる。例えば、参照データは、患者の少なくとも1つの選択された遺伝子(又は複数の遺伝子)の発現と、コントロール組織サンプルにおける同じ1つの遺伝子(又は複数の遺伝子)の発現との比較を可能にするアルゴリズムの形で提供されてもよい。
本発明の好ましい実施態様では、ケロイド形成に対する患者の感受性の指標となる予後診断結果は、適切なコントロールサンプルの遺伝子発現を示すデータを基に処理された予想アルゴリズムに、患者サンプルにおける選択遺伝子の発現を示す結果を入力することで自動的にデリバーされえる。十分に確立され、一般的に用いられる分類システムには、例えばパルテック・ゲノミクス・シュート(Partek Genomics Suite)ソフトウェアパッケージ(Partek Inc)で入手できる、K-ニアレストネイバーズ(K-Nearest Neighbours)、セントロイド・クラシフィケーション(Centroid Classification)、リニア・ディスクリミナントアナリシス(Linear Discriminant Analysis)、ニューラルネットワーク・アンド・サポートベクターマシーンズ(Neural Netwoks and Support Vector Machines)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
患者又はコントロールサンプルにおける遺伝子発現に対応する適切なサンプルは、遺伝子発現に関する定量的情報を提供するであろう。そのような情報は、患者における発現レベルとコントロールサンプルにおける発現レベルとの間の容易な比較を可能にする。本発明の目的のためには、遺伝子発現に関する定量的情報は、絶対的定量又は相対的定量のどちらかに適用されると解される。絶対的又は相対的定量を達成することができる方法は、下記でさらに考察される。
患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現に対応するサンプルは一般的には、遺伝子発現を直接的又は間接的に表す標的分子を含むであろう。適切なサンプルは、そのような標的分子を含む組織サンプルの形で、又は好ましくは組織抽出物として提供されえる。患者の遺伝子発現に対応する組織抽出物は、一般的には、前記抽出物が得られた組織の遺伝子発現に対応する単離標的分子を含むであろう。
組織サンプル又は組織抽出物を入手し、さらに遺伝子発現に関する情報を提供することができるようにそれらを調製する適切な技術は、利用しようとする標的分子に照らして選択することができる。用いることができる適切な技術の例は当業者には極めて明白であるが、適切な技術に関する手引きはまた本明細書のまた別の箇所で提供される。
タンパク質標的分子は特に直接検出が容易な標的分子の典型であることは理解されよう。そのような直接検出は、患者又はコントロールサンプルに存在するタンパク質の量に関する適切な情報を提供し、したがって発現の比較を可能にすることができる。
好ましい事例では、サンプルに存在するある種の標的タンパク質の量もまた、サンプルにおける標的の生物学的活性に照らして判定することができる。このようにして発現を判定及び比較することは、酵素活性を有するタンパク質の場合には特に適切である。酵素活性を有し、したがって前記の態様での精査に特に適切な表1に記載された遺伝子の例には、遺伝子識別番号8、56、57、73、75、78、84、85、88、93、97、99、102、104、105、110及び115によって特定されるものが含まれる。タンパク質標的の酵素活性は、例えば標識酵素基質の分解を分析することによって精査され、それによって酵素活性の量は、患者又はコントロールサンプルで生じる遺伝子発現と相関させることができる。単なる例示として、遺伝子識別番号97によって特定される酵素はタンパク分解活性を有し、したがってペプチド結合の加水分解によりその基質を分解するその能力に照らしてこの酵素の有無を判定することができよう。
組織サンプル又は抽出物中の標的分子の有無は、一般的には適切なプローブ分子を用いて検出されるであろう(ただしプローブを必要とすることなく標的分子の有無を直接的に決定できるいくつかの事例、例えば上記で考察したようなものが存在しえる)。そのような検出は遺伝子発現に関する情報を提供し、それによって患者で生じる遺伝子発現とコントロールサンプルで生じる発現との比較を可能にするであろう。
プローブは、患者又はコントロールサンプルにおける遺伝子発現に直接的に又は間接的に対応する標的分子と特異的に結合することができるであろう。続いて、そのようなプローブの結合を判定し、遺伝子発現と相関させて、患者における遺伝子発現とコントロールにおける遺伝子発現との有効な予後比較を可能にするであろう。本発明の方法、キット及びアレーで用いることができる適切なプローブは、本明細書のまた別の箇所で考察される。
本発明の方法、キット及びアレーでの使用に適した標的分子は、下記で極めて詳細に考察されるように、直接的に又は間接的に遺伝子発現に対応する分子である。標的分子には、mRNA遺伝子転写物とともにそのような転写物の天然及び人工的生成物(例えばそれぞれタンパク質又はcDNA)が含まれえる。本発明にしたがって使用されるサンプルは、使用されるべき標的分子の性質に照らして選択した態様で処理されるべきであることは理解されよう。有用な標的分子を含むサンプルを得るために組織を処理する適切なプロトコルは下記でさらに考察される。
適切な標的分子は遺伝子発現の直接的生成物を含むことができる。遺伝子発現のそのような直接的生成物は、例えば遺伝子発現に対応する1つ以上の転写物を含むことができる。患者の遺伝子発現とコントロールサンプルの発現との比較を可能にする標的分子としてmRNA遺伝子転写物を使用することが、本発明の好ましい実施態様である。
また別には、患者又はコントロールサンプルにおける遺伝子発現に対応するサンプルは、間接的に遺伝子発現に対応する標的分子を含むことができる。間接的に遺伝子発現に対応するそのような標的の例には、遺伝子転写物の翻訳により生成される天然の生成物(例えばタンパク質)とともに遺伝子転写物から作製される人工生成物が含まれる。遺伝子転写物から作製される人工標的分子の好ましい例にはcDNA及びcRNAが含まれ、それらのいずれも周知のプロトコル又は市販のキット若しくは試薬を用いて作製することができる。
例えば、好ましい実施態様では、患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現に対応するRNAは、適切なサンプルから採取された細胞を溶解し(例えばQiagen Ltd.製造の市販溶解緩衝液を用いて実施することができる)、続いてこの溶解物を市販のカラム(例えばQiagen Ltd.製造のRNeasyミディスピンカラム)を用いて遠心沈殿させるプロセスにより単離することができる。RNA抽出のための他の方法には、P. Chomczynski & N. Sacchi(Analytical Biochemistry 1987, 162:155, "Single Step Method of RNA Isolation by Acid Guanidinium Thiocyanate-Phenol-Chloroform Extraction")のフェノールグアニジンイソチオシアネート法の変法が含まれる。この態様で得られるRNAはそれ自体適切な標的を構成できるが、また遺伝子発現に対応する標的分子の生成のための鋳型として供することもできる。
患者又はコントロールサンプルに由来するRNAを、例えばスーパースクリプト(Superscript)システム(Invitrogen Corp)を用いて、cDNA合成用の基質として利用することができる。続いて、得られたcDNAを、バイオアレー(BioArray)RNAトランスクリプト標識キット(Enzo Life Sciences Inc.)を用いてビオチニル化cRNAに変換し、RNeasyミニキット(Qiagen Ltd.)を用いて前記cRNAを反応混合物から精製することができる。
タンパク質標的分子の場合には、遺伝子発現は、存在するタンパク質標的の全量に照らして判定することができる。患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現に対応する、サンプル中に存在する標的タンパク質の量を測定する適切な技術には、アプタマー及び抗体系技術(例えば放射能免疫アッセイ(RIA)、酵素結合免疫アッセイ(ELISA)及びウェスタンブロット免疫-PCR)及び多重複合アプローチ(例えばビーズ又は微小球体(例えばLuminex IncのxMapテクノロジー)を用いるもの)(Bloom & Dean (2003), Biomarkers in Clinical Drug Development; Crowther (1995) Elisa Theory and Practice (Human Press);Singh et al. (1993) Diagnosics in the year 2000: Antibody, Biosensor and nucleic acid Technologies (Van Nostrand Reinhold, New York);Niemeyer CM, Adler M, Wacker R. Immuno-PCR: high sensitivity detection of proteins by nucleic acid amplification. Trnds Biotechnol. 2005 Apr; 23(4):208-16;Abreu I, Laroche P, Bastos A, Issert V, Cruz M, Nero P, Fonseca JE, Branco J, Machado Caetano JA. Multiplexed immunoassay for detection of rheumatoid factors by FIDISTM technology. Ann N Y Acad Sci 2005 Jun; 1050:357-63)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
先行パラグラフに記載した文献に開示された内容は、それらが本発明の実施で当業者に有用でありえる方法を記載しているかぎり参照により本明細書に含まれる。
表1の1つ以上の遺伝子のコントロールサンプルにおける発現が、例えば適切な標的分子を単離するためにコントロールサンプルを構成する組織サンプル又は器官サンプルの処理を介して、又はコントロールサンプルにおける遺伝子発現に対応する組織抽出物の処理を介して精査される場合には、そのような処理は、患者のサンプルを処理するために用いられる方法と同じ方法を用いて実施されることが好ましい。患者サンプルとコントロールサンプルとのそのような同様な処理は、これらの組織における遺伝子発現の比較が互いに対して標準化されることを極めて強く確信させる(組織を処理し遺伝子発現を精査する選択方法に関連する一切の人工産物が患者及びコントロールサンプルの両方に適用されるため)。
さらにまた、このような態様でコントロールサンプルを同様に処理することによって、処理が問題なく実施されたことを実施者に確信させる“内部コントロール”が提供される。実施者は、発現の比較のために選択した表1の1つ以上の選択遺伝子は通常はコントロール組織によって比較的低レベルで発現されることを認識しているであろうから、実施者は、これらの内部コントロールの発現がはるかに増加したことを示すアッセイを生じるいずれの(遺伝子発現の精査を目的とする)処理例も無視することができるであろう(なぜならば、前記のような結果はおそらく人工産物のために高い数値をもたらす処理エラーの結果であろうから)。そうでなければ、そのような結果は、患者がケロイド形成に対して感受性を有するという不正確な判定をもたらす可能性がある(なぜならば、発現判定において同じ人工産物による増加が表1の選択された1つの遺伝子又は複数の遺伝子に関しても観察されるであろうから)。
患者又はコントロール組織の遺伝子発現に対応するサンプルは、遺伝子発現の比較を実施する前に操作することができる。そのような操作は、例えば発現の比較をより容易に実施するために、又は比較によって入手可能となる情報を増やすために設計することができる。そのようなサンプルを操作することができる適切な例は以下で考察される。
好ましくは、本発明の方法又はキットは、患者及びコントロール組織に関する発現データを互いに関して“標準化する”ことができる手段を提供するであろう。標準化は、実施される比較が“対応するものに対し同様(like for like)”であることを担保し、標準化に使用される適切なパラメーターは当業者に周知である。純粋に例示として、標準化は、比較されるべきサンプル中の細胞数;及び/又は比較されるべきサンプルの全タンパク質含有量;及び/又は比較されるべきサンプルの全核酸含有量;及び/又はその発現レベルがケロイド形成組織とケロイド非形成組織との間で変化しない1つ以上の遺伝子の発現レベルに照らして実施することができる。
本発明者らは、本発明にしたがって使用される遺伝子発現に対応する好ましいサンプルは、遺伝子発現に対応する核酸標的分子を含むサンプルであることを見出した。本発明の目的のためには、核酸標的とは、その有無が検出される核酸、又は存在するその量が定量される核酸である。そのような検出又は定量は、予後診断的な発現比較の実施を可能にする。標的核酸は、好ましくは標的に誘導される、対応するプローブの核酸配列と相補的な配列を有しえる。本発明の核酸標的は、プローブがそれに対して誘導されるより大きな核酸の特異的な部分配列、また別にはその発現レベルを検出することが所望される全配列(例えば完全なmRNA転写物)の両方を含むことができる。適切な核酸標的にはRNA及びDNAのどちらも含まれ、天然に存在する核酸及び人工的核酸の両方が含まれえる。
本発明にしたがって使用される適切な標的核酸は、“完全長”核酸(例えば完全長遺伝子転写物)を含む必要はないが、単にプローブ分子の特異的な結合を可能にするために十分な長さを含む必要がある。
本発明の目的のためには、“核酸”又は“核酸分子”は、一本鎖又は二本鎖形のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドポリマーに適用されることは理解されよう。さらにまた、特に状況が要求しないかぎり、これらの用語は、天然に存在するヌクレオチドと類似の態様で機能することができる天然のヌクレオチドの既知のアナローグも含むと解されるべきである。
mRNAは、本発明の方法及びキットで用いることができる標的分子の好ましい形態を構成する。mRNA遺伝子転写物は、患者又はコントロールサンプルにおける遺伝子発現に直接的に対応する。
mRNA(遺伝子発現に対応する)は、患者から得られる組織又はコントロールサンプルで、mRNAの抽出又は精製を必要としないで直接的に見出しえることは理解されよう。例えば、所定の患者又はコントロールサンプルに存在し、さらにそれらの遺伝子発現に対応するmRNAは、そのような組織の適切に固定された切片又は生検標本を用いて精査することができる。この種類のサンプルの使用は、発現の比較を実施することができるその迅速性とともにサンプルの作製に用いることができる比較的安価で簡単な組織の処理という点から有益でありえる。in situハイブリダイゼーション技術は、この種の組織サンプルで遺伝子発現を精査および比較することができる好ましい方法の典型である。患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現に対応するRNAの利用可能性を維持する、所定の組織の処理のための技術は当業者には周知である。
しかしながら、患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現に対応するmRNAを抽出及び採集する技術もまた当業者には周知であり、さらに本発明者らは、本発明にしたがってそのような技術を有利に利用することができることを見出した。患者又はコントロールサンプル由来の抽出mRNAを含むサンプルが、本発明の方法及びキットでの使用に好ましいであろう。なぜならば、そのような抽出物は、本来の組織を含むサンプルの場合よりも容易に精査を実施しやすいからである。例えば、遺伝子発現の比較を可能にする適切な標的分子は、患者由来の組織のサンプル又はコントロール組織のサンプルから単離された全RNAを含むことができる。
さらにまた、抽出RNAは容易に増幅されて、患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現に関する情報の増加をもたらすことができる増量mRNAサンプルを作製することができる。mRNA集団の抽出及び増幅のための技術の適切な例は周知であり、下記でさらに詳細に考察される。
例示すれば、本発明での使用に適した核酸標的を作製するために核酸を単離及び精製する方法は以下に記載されている:Theory and Nucleic Acid Preparation(Tijessen, ed. Elsevier, NY, 1993)の第一部(Hybridization with Nucleic Acid Probes)の第三章(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)。
好ましい方法では、全核酸が、例えば酸グアニジン-フェノール-クロロホルム抽出法を用いて与えられたサンプルから単離することができる。
遺伝子発現の精査及び比較の前に核酸標的を増幅することが所望される事例では、サンプルが得られる患者又はコントロール組織で、増幅される核酸の相対的頻度が維持又は管理される方法を使用することが好ましいであろう。
“定量的”増幅の適切な方法は当業者には周知である。よく知られている1つの例、定量的PCRは、その量がコントロールと患者サンプルとの間で変化しないことが知られているコントロール配列を同じ時点で同時増幅することを必要とする。これによって、PCR反応の修正に用いることができる内部標準が提供される。
上記に概略した方法の他に、遺伝子転写物に特異的な生成物の増幅がシグナル生成に結びつくいずれの技術も定量に適切でありえることは、当業者には理解されよう。好ましい例はポリメラーゼ連鎖反応の簡便な改善を利用し(US 4683195及び4683202)、この改善は、mRNAからcDNAへの最初の逆転写を取り入れることによって特定のmRNA転写物の正確な定量についてこのポリメラーゼ連鎖反応を適切なものにした。さらに重要な改善によって、反応の進行にしたがって蓄積するPCR生成物のリアルタイムの測定が可能になる。定量的な遺伝子特異的シグナルの生成を目的とする蛍光共鳴エネルギー移転を用いる適切な技術の例には、タクマン(Taqman)(US 5210015及び5487972)、分子信号(WO-95/13399)及びスコルピオン(US 2005/0164219)が含まれる。多数の転写物の並行的定量も、各遺伝子標的に対して異なる蛍光成分を用いることによって可能である。
他の適切な増幅方法には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):核酸配列特異的増幅(NASBA)(Saad F. UPM3: review of a new molecular diagnostic urine test for prostate cancer. Can J Urol 2005 Feb; 12 Suppl 1:40-3);ローリングサークル増幅(RCA)(Gomez KF, Lane J, Cunnick G, Grimshaw D, Jiang WG, Mansel RE. From PCR to RCA: a surgical trainee's guide to the techniques of genetic amplification. Eur J Surg Oncol 2002 Aug; 28(5):554-9);分枝鎖核酸(BCNA)(Andras SC, Power JB, Cocking EC, Davey MR. Strategies for signal amplification in nucleic acid detection. Mol Biotechnol 2001 Sep;19(1):29-44);インベーダーアッセイ(de Arruda M, Lyamichev VI, Eis PS, Iszczyszyn W, Kwiatkowski RW, Law SM, Olson MC, Rasmussen EB. Invader technology for DNA and RNA analysis: principles and applications. Expert Rev Mol Diagn. 2002 Sep; 2(5):487-96);リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu and Wallace, Genomics, 1989, 4:560, Landegren et al. Science 1988, 241:1077, Barriger et al. Gene, 1990, 89:117);転写増幅(Kwoh et al. Proc Natl Acad Sci USA, 1989, 86:1173);及び自立配列増幅(Guatelli et al. Proc Natl Acad Sci USA, 1990, 87:1874)。
特に好ましい実施態様では、患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現に対応する組織に由来するmRNA転写物は、逆転写酵素並びにオリゴdT及びファージT7プロモーターコード配列から成るプロモーターを用いて逆転写され、一本鎖DNA鋳型を提供することができる。第二のDNA鎖はDNAポリメラーゼを用いて重合される。二本鎖cDNAの合成後、T7RNAポリメラーゼが添加され、RNAが前記cDNA鋳型から転写される。各ラウンドで1つのcDNA鋳型を転写する連続ラウンドによって増幅RNAが得られる。in vitro重合の方法は当業者には周知であり(例えば上掲書(Sambrook)を参照されたい)、具体的な方法はVan Gelderら(Proc Natl Acad Sci USA, 1990, 87:1663-1667)によって詳細に記載されている(Van Gelderは、本方法によるin vitro増幅は多様なRNA転写物の相対的頻度を温存することを示した)。さらにまた、Eberwineら(Proc Natl Acad Sci USA, 1992, 89:3010-3014)は、in vitro転写による2ラウンドの増幅を用いて、最初の出発材料の106倍をはるかに越える増幅を達成し、それによって所定の組織サンプルが極めてわずかしか利用できないときでも発現のモニタリングが可能になるプロトコルを提供している。
上記に記載の直接転写方法が、アンチセンスRNA(aRNA)標的の生成をもたらすことは当業者には理解されよう。そのような事例では、遺伝子発現の精査及び比較に用いられるプローブ(例えばオリゴヌクレオチドプローブ)は、アンチセンス核酸の配列又は部分配列と相補的であるように選択されねばならない。
人工核酸分子もまた遺伝子発現の比較で用いることができることは当業者にはまた理解されよう。本発明の使用に適切な人工標的分子の例には、mRNAの逆転写によって生成されるcDNA、又は二本鎖cDNA中間体から転写される第二鎖cDNA若しくはRNA(cRNA)が含まれる。cDNA及びcRNAを作製する方法は当分野では詳しく記載されてあり、当業者には公知であろう。実際のところ、前記の作製に適したキット及び試薬は市場で入手できる。
本発明の目的のためには、患者の遺伝子発現に“対応する”サンプルとは、患者の組織の遺伝子発現に関して情報を提供する任意のサンプルを包含すると考えられるべきである。例えば、対応するサンプルは、患者により発現される全ての遺伝子に関する情報、好ましくは前記遺伝子の相対的発現レベルに関する情報を提供することができる。
好ましい実施態様では、対応するサンプルとは、その中の標的分子の濃度が、患者によるその発現がコントロールと比較されるべき遺伝子(又は複数の遺伝子)のmRNA遺伝子転写物の濃度と比例しているサンプルである。比例性は相対的に厳密であることが好ましいが(例えば患者に存在するmRNA遺伝子転写物の数の2倍は、サンプルに存在する対応する標的分子の数の2倍をもたらす)、前記比例性はより緩和されてもよく、直線的ですらなくてもよいことは当業者には理解されよう。例えば、患者の組織中のmRNA遺伝子転写物の濃度における5倍の相違が、対応するサンプル中の標的分子の濃度で3から6倍の相違をもたらすアッセイはほとんどの目的について十分である。
より厳密な定量が要求される場合は、“標準”標的分子の連続希釈を用いて、当業者に周知の方法に従い検量線を作成することができる。より好ましくは、標的分子の定量は相対的であり、互いに対して、及び/又はその発現レベルが非ケロイド形成組織と比較したときケロイド組織で増加しない‘ハウスキーピング’遺伝子に対して標準化されるであろう。そのような遺伝子の例には、エキスポーチン7(XPO7)、切断及びポリアデニル化特異的因子4, 30kDa(CPSF4)、F-ボックスオンリータンパク質7(FBXO7)、ADP-リボシル化因子1(ARF1)、シグナル配列レセプター、ベータ(SSR2)及びメチオニン-tRNAシンセターゼ(MARS)が含まれる。
対応するサンプルが、患者又はコントロールサンプルで発現される全ての遺伝子に関する情報を提供することは多くの事例で好ましいことであるかもしれないが、また別には、適切な対応サンプルは、発現している全ての数の遺伝子のうちの単に一部分の発現に関する情報を提供することができる。
多くの場合、対応するサンプルにおける標的分子(表1に記載の1つ以上の遺伝子に対応する)の存在を示すことができるプローブ分子を用いて、患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現の程度を判定することが好ましいであろう。
本発明の方法、キット又はアッセイにおける標的分子及びプローブの使用は、本発明の方法に対し感度の向上を付与することができる。これによって、患者の発現とコントロールサンプルの発現との間の、そうでなければ小さな相違であるものを識別する能力の向上がもたらされえる。
一般的には、本発明で使用される適切なプローブはそれらの標的分子と結合し、それによって標的分子の検出を可能にするであろう(この検出は、標的分子によって示される表1から選択される遺伝子の発現の指標となる)。
本発明にしたがって使用されるプローブは標的分子の複製(適切にはプローブ分子と一緒になって)を可能にすることが好ましいであろう。この態様での複製は極めて多数の標的分子を生成し、したがって標識プローブの更なる結合を可能にする。このようにして結合する標識プローブ量が順次増加することによって、遺伝子発現の指標となる検出可能シグナルが増幅される。
本発明の方法及びキットで使用されるプローブは、精査されるべき遺伝子発現の(直接的又は間接的)生成物に照らして選択することができる。適切なプローブの例にはオリゴヌクレオチドプローブ、抗体、アプタマー及び結合タンパク質又は適切な特異性を有する小分子が含まれる。
オリゴヌクレオチドプローブは、本発明の方法及びキットにしたがって使用される適切な好ましいプローブを構成する。適切なオリゴヌクレオチドプローブの作製は当業者には周知である(Oligonucleotide synthesis: Methods and Applications, Piet Herdewijn (ed) Humana Press, 2004)。オリゴヌクレオチド及び改変オリゴヌクレオチドが多数の会社から市場で入手できる。
オリゴヌクレオチドは、長さが2から約500ヌクレオチド塩基、好ましくは約5から約50ヌクレオチド、より好ましくは約10から約40ヌクレオチド、もっとも好ましくは約15から約40ヌクレオチドの範囲の一本鎖核酸である。適切なハイブリダイゼーションの方法、条件、時間、液体体積、及びオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを検出することができる適切な方法は、本明細書のまた別の箇所に記載されているとおりである。
本発明の目的のためには、オリゴヌクレオチドプローブは、1つ以上の化学結合タイプにより相補性配列を有する標的核酸と特異的にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含むと解釈されえる。そのような結合は、通常は相補的な塩基の対合により、さらに通常は水素結合形成により生じえる。適切なオリゴヌクレオチドプローブには天然(すなわちA、G、C又はT)又は改変塩基(7-デアザグアノシン、イノシンなど)が含まれえる。さらに、ホスホジエステル結合以外の結合を用いて、オリゴヌクレオチドプローブ内の塩基と結合させることができるが、ただしこの変型がオリゴヌクレオチドプローブとその標的とのハイブリダイゼーションを妨げない場合に限られる。したがって、本発明の方法及びキットで使用される適切なオリゴヌクレオチドプローブは、構成塩基がホスホジエステル結合ではなくペプチド結合によって結合されるペプチド核酸であってもよい。
本明細書で用いられる“特異的にハイブリダイズする”という語句は、オリゴヌクレオチドプローブが、ストリンジェントな条件下で特定の標的ヌクレオチド配列と、当該配列が複合混合物(例えば全細胞DNA又はRNA)に存在するときに、結合、デュープレックス形成又はハイブリダイズすることに適用される。好ましくは、プローブは、特定の標的分子とのみ結合、デュープレックス形成又はハイブリダイズすることができる。
“ストリンジェントな条件”という用語は、プローブがその標的配列とハイブリダイズするが、他の配列とは極めてわずかしかハイブリダイズしない条件に適用される。好ましくは、プローブは、ストリンジェントな条件下ではその標的以外の配列とはハイブリダイズすることができない。ストリンジェントな条件は配列に左右され、異なる環境では異なるであろう。より長い配列はより高温で特異的にハイブリダイズする。
一般的には、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度及びpHで固有の配列の熱融解点(Tm)より約5℃低くあるように選択することができる。Tmは、(規定のイオン強度、pH、及び核酸濃度の下で)標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプローブの50%が標的核酸と平衡状態でハイブリダイズする温度である。一般的には、標的核酸は過剰に存在するので、Tmではプローブの50%が平衡状態で占有される。例示すれば、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0から8.3で少なくとも約0.01から1.0MのNa+イオン濃度(又は他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば10から50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃である条件である。ストリンジェントな条件はまた、脱安定化剤(例えばホルムアミド)の添加により達成することができる。
アンチセンス核酸標的(aRNA)とともに使用するために適切なプローブの設計及び選別についての配慮は上記で考察されている。核酸標的がセンス核酸を含む場合は、適切なオリゴヌクレオチドプローブは、センス核酸の配列又は部分配列と相補的であるように選択することができる。二本鎖の核酸標的の場合には、核酸標的はセンス及びアンチセンス鎖の両方を提供するので、適切なプローブはどちらのセンスでもよい。
本発明の方法又はキットで使用するために適切な抗体を用いて、所定の組織の遺伝子発現に対応する標的分子、例えばタンパク質を検出することができる。
本発明の方法及びキットにしたがって遺伝子発現を精査するために用いることができる抗体にはモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体とともに、そのような抗体のフラグメント(Fab又はF(ab')hd2及びFvフラグメントが含まれるがただしこれらに限定されない)が含まれる。
与えられたある標的と特異的に結合することができる抗体の作製及び/又は識別のための適切な方法は当業者には周知である。一般的には、適切な抗体は、免疫原として単離された標的を使用することによって作製することができる。この免疫原は、哺乳動物(例えばラット、ウサギ、ヤギ又はマウスが含まれるがただしこれらに限定されない)に投与され、免疫応答の部分として抗体が誘引される。一般的には、抗体は、本発明の方法及びキットに関して用いられ、遺伝子発現タンパク生成物と結合させることができる。適切な免疫原には、精査されるべき完全長タンパク質又はその抗原性ペプチドフラグメントが含まれえる。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ(特異的なモノクローナル抗体を分泌することができる不朽化細胞株)によって製造することができる。不朽化細胞株は、そのうちの一方が腫瘍細胞である、2つの異なる細胞タイプ(通常はリンパ球)を融合させることによってin vitroで作り出すことができる。
アプタマーは固有の配列依存性形状を呈する核酸分子であり、特定の標的リガンドと、アプタマーとリガンドとの間の錠前と鍵の適合性を基にして結合する。典型的には、アプタマーは一本鎖若しくは二本鎖DNA分子(ssDNA又はdsDNA)又は一本鎖RNA分子(ssRNA)のどちらかを含むことができる。
アプタマーは核酸標的及び非核酸標的の両方の結合に用いることができる。したがって、アプタマーは、RNA、DNA及び小分子又はタンパク質を含む遺伝子発現生成物の精査で使用するために適したプローブである。好ましくは、アプタマーを用いて、分子量が100から10,000ダルトンの遺伝子発現生成物を精査することができる。ssDNAアプタマーは、DNAを含む遺伝子発現生成物の精査で使用するのが好ましいであろう。
適切なアプタマーは、選択した標的分子と高い親和性で結合する特異的なアプタマーを識別することができるランダム配列プールから選別することができる。所望の特異性を有するアプタマーの作製及び選別方法は当業者に周知であり、SELEX(指数的濃縮によるリガンドの系統的進化、systematic evolution of ligands by exponential enrichment)プロセスを含む。略記すれば、オリゴヌクレオチドの大きなライブラリーを作製し、in vitro選別の反復工程及びそれに続くポリメラーゼ連鎖反応を介する増幅によって大量の機能性核酸の単離が可能になる。
アプタマーは比較的安定な保存性を有するので、本発明の方法及びキットにしたがって遺伝子発現を精査するためにアプタマーを使用することは有益でありえる。本発明の方法及び/又はキットで使用される適切なアプタマーは、好ましくは化学的改変によって安定化することができる(例えば2'-NH2及び2'-F改変)。
フォトアプタマーは、チミジン(T)ヌクレオチドの代わりに少なくとも1つのブロモ-デオキシウリジン(BrdU)を含むアプタマーのサブクラスである。BrdUの存在によって、フォトアプタマーは、紫外光に暴露されたとき、それらの標的リガンドと特異的な共有結合架橋を形成することができる。架橋には、親和性による結合とBrdU(フォトアプタマー内の特定の位置に存在する)及びアミノ酸(標的リガンド内の特定の位置に存在する)との間の接近性との両方が要求されるので、フォトアプタマーは、遺伝子発現生成物との結合特異性の増加が要求される場合に、本発明の方法及びキットで使用されるのが好ましいであろう。
本発明にしたがって遺伝子発現を比較することができる適切な方法は、先行ページで言及したことを考慮しながら選択することができる。
一般的には、分析方法は、精査されるべき標的分子の性質に基づいて選別することができ、さらに適切な選別基準は核酸標的分子とタンパク質標的分子とを区別することができる。
しかしながら、上記で説明したように、一般的には、核酸標的分子と結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いて遺伝子発現を精査及び比較することが好ましいであろう。
オリゴヌクレオチドプローブを用いて、適切な対応サンプルで相補性核酸配列(すなわち核酸標的)を検出することができる。そのような相補性結合は、検出にオリゴヌクレオチドを用い、それによって特定の遺伝子の発現比較を可能にする、ほとんどの技術の基礎を構成する。好ましい技術は多数の遺伝子の発現の並行定量を可能にし、それら技術には、物質種の増幅及び定量がリアルタイムで組み合わされた技術、例えば本明細書の前出箇所で述べた定量的逆転写PCR技術、及び増幅された物質種の定量が増幅の後で実施される技術、例えばアレー技術が含まれる。
アレー技術は、患者又はコントロールサンプル内の遺伝子発現に対応するサンプルと複数のオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションを必要とする(この場合、各プローブは提示された1つの遺伝子又は複数の遺伝子と優先的にハイブリダイズする)。アレー技術は、特異的なオリゴヌクレオチド配列の独自の識別を、例えばそれらの物理的な位置(例えばAffymetrix Inc.が市販する二次元アレーのグリッド)によって、又は別の特色(例えばIllumina Inc又はLuminex Incによって市販される標識ビーズ)との結合によって提供する。オリゴヌクレオチドアレーはin situで合成するか(例えばAffymetrix Incが市販する光誘導合成によって)、又は予め生成して接触又はインクジェット技術によってスポットすることができる(Agilent又はApplied Biosystemsが市販)。全cDNA配列又は部分cDNA配列もまた(Clontechが市販しているように)アレー技術のプローブとして供することができることは当業者には明白であろう。
オリゴヌクレオチドプローブは、ブロッティング技術、例えばサザンブロッティング又はノザンブロッティングで用いて、遺伝子発現を(例えば遺伝子発現に対応するcDNA又はmRNA標的分子の手段によって)検出及び比較することができる。サザン又はノザンブロッティング技術で使用される適切な技術及び試薬は当業者には周知であろう。略記すれば、DNA標的分子(サザンブロッティングの場合)又はRNA標的分子(ノザンブロッティングの場合)を含むサンプルを、物質(例えばアクリルアミド又はアガロース)のゲルを浸透するそれらの能力にしたがって分離する。ゲルの浸透は毛細管作用によって又は電場の活性によって駆動させることができる。いったん標的分子の分離が達成されたら、これらの分子は、薄膜に固定される(例えば焼き付けるか又は紫外線照射による)前に、この膜(典型的にはナイロン又はニトロセルロース)に移される。続いて、オリゴヌクレオチドと膜に結合した標的分子とのハイブリダイゼーションによって、遺伝子発現を検出及び比較することができる。ハイブリダイゼーションを検出することができる適切な条件についての詳細は、ハイブリダイゼーションを検出することができる技術の例のように以下で提供される。
ある種の環境下では、遺伝子発現を比較する伝統的なハイブリダイゼーションプロトコルの使用には問題があることが示されるかもしれない。例えば、ブロッティング技術は、ほぼ同じ分子量を有する2つ以上の遺伝子生成物を区別することが困難であろう。なぜならば、そのような類似のサイズをもつ生成物はゲルを用いて分離することが難しいからである。したがって、そのような環境下では、また別の技術(例えば下記に記載するもの)を用いて遺伝子発現を比較することが好ましいであろう。
患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける遺伝子発現は、高密度オリゴヌクレオチドアレー技術の手段によって、適切な核酸サンプル内の全体的な転写物レベルに照らして判定することができる。そのような技術は、オリゴヌクレオチドプローブが、例えば共有結合によって固相に結合されているアレーを利用する。固相に固定されたオリゴヌクレオチドプローブをもつこれらのアレーは、遺伝子発現の比較のために本発明の方法及びキットで使用される好ましい成分の代表である。そのような多数のプローブがこのようにして結合され、表1に記載の遺伝子から選択される多数の遺伝子の発現を比較するために適したアレーを提供することができる。したがって、そのようなオリゴヌクレオチドアレーは、表1から選択される2つ以上の遺伝子の発現を比較することが所望される、本発明の方法又はキットの実施態様で特に好ましいものでありえることは理解されよう。
好ましい実施態様では、オリゴヌクレオチドアレーを用いる遺伝子発現の精査は、オリゴヌクレオチドプローブと核酸標的との低ストリンジェンシーでのハイブリダイゼーションと前記に続くより高いストリンジェンシーでの少なくとも1回の洗浄によって実施することができる。これらの実施態様にしたがって使用される適切な低ストリンジェンシー条件は、約20℃から約50℃(より好ましくは約30℃から約40℃、もっとも好ましくは約37℃)の反応温度及び6xSSPE-T緩衝液(又は前記よりも低濃度)を含むことができる。適切なハイブリダイゼーションプロトコルは、所望のハイブリダイゼーション特異性レベルに到達するまで、ストリンジェンシーをだんだんと高めていくその後の洗浄を含むことができる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーはまた、電子的手段(例えばNanogen Incによって提供される)によって変動させることができる(Sosnowski R, Heller MJ, Tu E, Forster AH, Radtkey R. Active microelectronic array system for DNA hybridization, genotyping and pharmacogenomic applications. Psychiatr Genet. 2002 Dec, 12(4):181-92)。
オリゴヌクレオチドプローブと核酸標的との間のハイブリダイゼーションを検出するために適切な技術は以下で詳細に考察される。
アレーに取り込んだ選択オリゴヌクレオチドの実体を変異させて、その発現が比較されるべき遺伝子のより詳細な選別を可能にすることができる。例えば、本発明の方法又はキットでの使用に適したアレーは、以前に考察したように、表1−5から選択される遺伝子の弁別的発現に照らして選択された1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを含むことができる。
また別には、患者又はコントロールの遺伝子発現に対応するサンプルにおける核酸配列(例えばmRNA又はDNA)のレベルを基準にする、患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現の判定は、当業者には明白である他の適切な技術を用いて実施することができる。例えば、ノザンブロッティングは、患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現に対応するmRNAのレベルを判定することができる鋭敏な方法を提供する。
遺伝子発現に対応する核酸標的の比較に用いることができる他の適切な方法論には、核酸配列特異的増幅(NASBA);ローリングサークルDNA増幅(RCA);分枝鎖核酸及びインベーダーアッセイ;アプタマー、抗体又は抗体誘導体の使用が含まれるが、ただしこれらに限定されない(Singh et al. 1993;Boeckh and Boivin 1998;Bloom and Dean, 2003;Jain, 2004;Millar and Moore, 2004;Olson, 2004;Yang and Rothman, 2004)。
上記に記載したように、患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現は、また別には遺伝子発現に対応するタンパク質を含むサンプルを用いて精査することができる。そのようなタンパク質サンプルを精査して遺伝子発現を判定することができる適切な技術には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):アプタマー検出;質量分析法;核磁気共鳴(NMR);抗体による方法、例えば免疫PCR、及び複合的アプローチ、例えばアレー、ビーズ、又は微小球(例えばLuminex IncのxMap技術)、ELISA、RIA及びウェスタンブロッティングを用いるもの;及び他の当業者に周知の方法(Bloom and Dean (2003) Biomarkers in Clinical Drug Development;Crowther (1995) Elisa Theory and Practice (Humana Press);Singh et al. (1993) Diagnostics in the year 2000: Antibodt, Biosensor and Nucleic Acid Technologies (Van Nostrand Reinhold, New York);Niemeyer CM, Adler M, Wacker R. Immuno-PCR: high sensitivity detection of proteins by nucleic acid amplification. Trends Biotechnol. 2005 Apr, 23(4):208-16;Abreu I, Laroche P, Bastos A, Issert V, Cruz M, Nero P, Fonseca JE, Branco J, Machado Caetano JA, Multiplexed immunoassay for detection of rheumatoid factors by FIDISTM technology. Ann N Y Acad Sci. 2005 Jun, 1050:357-63)。
例えば、酵素活性を有するタンパク質の発現は、所定のタンパク質のおよその活性を基準にするアッセイを用いて精査及び比較することができる。酵素性タンパク質抽出物(ここでは患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現に対応するサンプルを構成する)は、例えば既知量の適切に標識した基質を含むサンプルとともにインキュベートすることができる。酵素活性の量、したがって患者又はコントロールサンプルの遺伝子発現のレベルの指標が、この酵素によって変換される基質の量によって決定される。
プローブ又は標的分子の検出は、そのような分子と検出可能成分との結合(すなわち物理的結合)によって促進することができる。また別には、適切なプローブ又は標的分子は、それらが検出可能成分を取り込むことができるように合成してもよい。本発明の方法、キット又はアレーで使用するために適したプローブ又は標的分子に検出可能な成分を結合又は取り込む際に使用することができる技術は下記で考察される。
本発明にしたがって使用するために適切なプローブ又は標的の標識に用いることができる検出可能成分の例には、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、又は化学的手段によって検出できる任意の組成物が含まれる。適切な検出可能成分には、多様な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質及び比色定量物質が含まれる。これらの検出可能成分は、別に指摘がなければ、本発明の方法又はキットで用いることができるプローブ又は標的の全てのタイプのプローブでの使用に適切である。
適切な酵素の例には、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが含まれ、適切な補欠分子族複合体の例にはストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが含まれ、適切な蛍光物質にはウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、フィコエリトリン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質などが含まれ、発光物質の例にはルミノールが含まれ、生物発光物質の例にはルシフェラーゼ、ルシフェリン及びエクオリンが含まれ、適切な放射性物質の例には125I、131I、35S、3H、14C又は32Pが含まれ、適切な比色定量物質の例には金又は着色ガラス若しくはプラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズが含まれる。
そのような標識を検出する手段は当業者には周知である。例えば、放射性標識は、写真フィルム又はシンチレーションカウンターを用いて検出でき、蛍光マーカーは放出光を検出する光検出装置を用いて検出できる。酵素標識は、典型的には酵素に基質を提供し、当該基質に対する酵素の作用によって生成された反応生成物を検出することによって検出され、比色定量標識は着色標識を単純に可視化することによって検出される。
本発明の好ましい実施態様では、蛍光標識プローブ又は標識を走査し、蛍光はレーザー共焦点スキャナーを用いて検出される。
標識核酸プローブ又は標的の場合は、適切な標識はハイブリダイゼーションの前、最中又は後で実施することができる。好ましい実施態様では、本発明の方法又はキットで使用される核酸プローブ又は標的はハイブリダイゼーションの前に標識される。蛍光標識が特に好ましく、蛍光標識が用いられる場合は、核酸プローブとそれらの核酸標的とのハイブリダイゼーションの定量は、ハイブリダイズした蛍光標識核酸に由来する蛍光の定量による。より好ましくは、定量は、核酸中に取り込まれたハプテンと結合する蛍光標識試薬に由来しえる。
本発明の好ましい実施態様では、ハイブリダイゼーションの分析は、適切な分析ソフト(例えばマイクロアレー・アナリシス・シュート(Microarray Analysis Suite)(Affymetrix Inc))によって実施され、予後診断は、分類ソフト(例えばパルテックゲノミクスシュート(Partek Genomics Suite)(Partek Inc))によって自動化することができる。
効率的な定量は蛍光顕微鏡を用いて達成することができ、前記顕微鏡には、アレーの自動スキャンニングを可能にするために自動載物台を搭載することができ、さらに測定、記録及びその後の蛍光強度情報の加工を自動化するためにデータ獲得システムを搭載することができる。そのような自動化のための適切なアレンジメントは一般的であり、当業者には周知である。
好ましい実施態様では、ハイブリダイズした核酸は、当該核酸と結合した1つ以上の検出可能な成分を検出することによって検出される。検出可能成分は、当業者に周知の多数の手段のいずれかを用いて取り込ませることができる。しかしながら、好ましい実施態様では、そのような成分は、サンプル核酸(プローブ又は標的)の調製時の増幅工程の間に同時に取り込まれる。したがって、例えば、検出可能な成分で標識されたプライマー又はヌクレオチドを用いるポリメラーゼ連鎖反応は、前記成分で標識された増幅生成物を提供する。好ましい実施態様では、蛍光標識ヌクレオチド(たとえばフルオレセイン標識UTP及び/又はCTP)を用いる転写増幅は、転写された核酸内に標識を取り込む。
また別には、適切な検出可能成分は、最初の核酸サンプル(例えば所定の組織由来のmRNA、ポリA mRNA、cDNAなど)に、又は最初の核酸の増幅完了後の増幅生成物に直接添加してもよい。標識(例えば蛍光標識)を核酸に結合させる手段は当業者には周知であり、例えばニックトランスレーション又は末端標識(例えば標識RNAによる)が含まれ、前記は、核酸のキナーゼ処理及びそれに続く核酸リンカー(サンプル核酸を標識(例えば適切な蛍光団)と結合させる)の結合(連結)によって実施される。
先に述べたように、上記に記載の方法及びキットの他に、本発明はケロイド形成に対する感受性を決定するキットを提供し、本キットは以下を含む:
i)表1記載の群から選択される少なくとも1つの遺伝子の患者における発現に対応する標的分子と特異的に結合することができる少なくとも1つのプローブ;及び
ii)前記少なくとも1つの遺伝子のコントロールサンプルにおける発現レベルの指標となりえる参照物。
好ましくは、本発明のこの特徴によるキットはさらに、アッセイが厳密に実施されたことの指標となりえるアッセイコントロール物質を含むことができる。適切には、そのようなアッセイコントロール物質には、その発現がケロイド及び非ケロイド組織間で変動しない遺伝子の発現に対応する標的分子が含まれる。そのようなハウスキーピング遺伝子の適切な例は本明細書のまた別の箇所で考察され、これら遺伝子のいずれかの発現に対応する標的分子は本発明のキットで有利に提供することができる。既知量のこの種のハウスキーピング遺伝子の提供によって、アッセイ結果を標準化することができる“標準物質”が提供されえる。
本発明のキットはさらに、患者(又はコントロール組織)の遺伝子発現に対応する標的分子の集団を調製するための物質を含むことができる。そのような物質は、核酸標的分子の集団を調製するために適切であってもよい。また別には、そのような物質は、タンパク質標的分子の集団を調製するために適切であってもよい。キットが、患者又はコントロール組織の遺伝子発現に対応する標識された標的分子の集団を調製するための物質を含むことは好ましいであろう。
本発明のキットがさらに、表1に記載の群から選択される前記少なくとも1つの遺伝子の患者サンプルにおける発現レベルがケロイド形成についての予後診断の指標となりえるアルゴリズム又は参照データ/物質を含むことができることもまた好ましい。
アルゴリズムは、表1に記載の群から選択される前記少なくとも1つの遺伝子の遺伝子発現におけるコントロールと患者データ(例えば既知の患者データ)の相違に関する数学的モデルの形で提供することができる。続いてこの数学的モデルを、表1に記載の群から選択される前記少なくとも1つの遺伝子に関する、新規患者サンプル由来の遺伝子発現データで利用することができる。このようにして作成されたアウトプットによってケロイドの予後診断の予想が提供される。
本発明のこの第二の特徴にしたがってキットに含まれるプローブは、本発明の第一の特徴と同じ基準を用いて選択することができる。適切なプローブは、オリゴヌクレオチドプローブ、抗体、アプタマー及び特異的な結合タンパク質を含む群から選択することができる。
本発明のキットは、好ましくは、表1に記載の群から選択される5個までの遺伝子の発現に対応する標的分子と特異的に結合することができるプローブ(すなわち表1から選択される5遺伝子までの発現に対応する標的分子)を含むことができる。本発明のキットは、5、6、7、8、9又は10のそのような標的分子と結合することができるプローブを含むことが特に好ましい。適切なキットは20、40、80、100、又は110までのそのような標的分子と結合することができるプローブを含むことができる。実際のところ、本発明のキットは、110以上の標的分子と特異的に結合することができるプローブを含むことができ、さらに表1に記載の119の遺伝子全ての発現に対応する標的と特異的に結合することができるプローブを含むことすら可能である。
本発明のキットは、表1から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現に対応する標的分子と結合することができるプローブを含み、好ましくは、表2から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現に対応する標的分子と結合しえるプローブを含むことができ、より好ましくは、表3から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現に対応する標的分子と結合しえるプローブを含むことができ、さらに好ましくは表4から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現に対応する標的分子と結合しえるプローブを含むことができる。また別には或いは前記に加えて、本発明のキットは、表5の少なくとも1つの遺伝子の遺伝子発現に対応する標的分子と結合しえるプローブを含むことができる。
本発明のキットで提供されるプローブは好ましくは標識プローブであろう。標識プローブは、本発明の第一の特徴との関係で考察された検出可能成分のいずれも含むことができる。好ましい標識プローブは、ハプテン、蛍光標識プローブ、放射性標識プローブ及び酵素標識プローブを含む群から選択することができる。
本発明のキットで提供される参照物は、表1に記載の遺伝子群から選択される1つ以上の遺伝子の、適切なコントロールサンプルにおける発現に対応する核酸標的のライブラリーを含むことができる。
好ましい実施態様では、参照物は、表1に記載の遺伝子群から選択される1つ以上の遺伝子の、ケロイド形成及び非ケロイド形成組織における発現レベルに関する記録情報を含むことができる。
もっとも好ましい例では、参照データを用いて、表1に記載の遺伝子群から選択される1つ以上の遺伝子の発現レベルを基にした予後診断をデリバーすることができるアルゴリズムを作製することができる。
本発明のキットで提供されるオリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは、本明細書のまた別の箇所で考察されるオリゴヌクレオチドアレーの形で提供することができる。
当該オリゴヌクレオチドの使用は、本発明にしたがってケロイド形成に対する患者の感受性を決定する場合に特に有用であることは、先行ページから理解されよう。
したがって、本発明の第三の特徴では、オリゴヌクレオチドプローブのアレーが提供され、前記は、アレーに存在するオリゴヌクレオチドプローブの少なくとも0.94%が表1に記載の遺伝子群から選択される遺伝子に対応することを特徴とする。
本発明はまた、表1に記載の遺伝子群の1つ以上の発現に対応する分子と特異的に結合することができる、固定された抗体プローブを含むアレーを提供する。さらに本発明はまたナイロンの基材を含むアレーを提供し、前記ナイロン基材に、表1に記載の遺伝子群から選択される遺伝子に対応する核酸プローブが付着されてある。当該核酸プローブは好ましくはcDNA分子でありえる。
平坦なアレー表面が好ましいが、アレーは実質的に任意の形状の表面で又は多様な表面で作製することができる。さらに別の例では、適切なアレーは、アドレスできるビーズライブラリーの表面で作製することができ、前記アレーでは、各ビーズは既知の核酸配列を提示する。また別には、適切なアレーは、ナイロン基材、典型的には織り上げナイロン又は不織ナイロン膜の表面で作製することができる。
本発明のアレーを用いて、表1に記載の多数の遺伝子の発現を同時に比較すること(さらに、実際のところそのような遺伝子の同時発現を比較すること)ができること、及びそれによって労力、コスト及び時間の削減に顕著な利益がもたらされることが理解されよう。さらにまた、多数の遺伝子の発現レベルを比較することによって、ケロイド形成の感受性の決定に極めて高度な確実性が与えられる。
本発明のアレーは、表1に記載の群から選択される遺伝子に特異的な5個までのプローブを含むことができる。好ましくは、アレーは、表1に記載の群から選択される遺伝子に特異的な5、6、7、8、9又は10プローブを含むことができる。適切なアレーは、表1に記載の群から選択される遺伝子に特異的な20まで、40まで、80まで、100まで、又は110までのプローブを含むことができる。実際のところ、適切なアレーは、表1に記載の110以上の遺伝子(さらには119のそのような遺伝子の全て)に特異的なプローブを含むことができる。プローブの各々は種々の選択された遺伝子に特異的であるべきであるということ、及び各プローブの2つ以上のコピーが提供されえるということは理解されよう。
本発明のアレーは、表2に記載の1つ以上の遺伝子、及び/又は表3に記載の1つ以上の遺伝子、及び/又は表4に記載の1つ以上の遺伝子、及び/又は表5に記載の1つ以上の遺伝子を含むことができる。
本発明のアレーは、好ましくは、表2に記載の群から少なくとも1つの遺伝子、より好ましくは表3に記載の群から少なくとも1つの遺伝子、さらに好ましくは表4に記載の群から少なくとも1つの遺伝子を含むことができる。
本発明の方法、キット及びアレーはまた、1つ以上の“ハウスキーピング遺伝子”を利用して、任意のアッセイの効率を判定することができるコントロールを提供することができる。これらのハウスキーピング遺伝子は、本発明のキットで又は本発明のアレーで提供することができる。適切なハウスキーピング遺伝子は、ケロイド形成に関して変化しない又はケロイド形成とは密接に関係しない遺伝子であろう。ケロイド及び非ケロイド(コントロール)生検サンプルの両方で変化のない発現を示す遺伝子の例には、エキスポーチン7(XPO7)、切断及びポリアデニル化特異的因子4, 30kDa(CPSF4)、F-ボックスオンリータンパク質7(FBXO7)、ADP-リボシル化因子1(ARF1)、シグナル配列レセプターベータ(SSR2)及びメチオニン-tRNAシンセターゼ(MARS)が含まれる。
本発明のオリゴヌクレオチドアレーは、当分野で公知の任意の適切な技術によって合成することができる。そのようなアレーの合成で用いることができる好ましい技術は、光誘導極大規模固定ポリマー合成(VLSIPS, light-directed very large scaled immobilized polymer synthesis)である(前記は以前に多数の刊行物に記載された:Lipshutz RJ, Fodor SP, Gingeras TR, Lockhart DJ. High density synthetic oligonucleotide arrays. Nat Genet. 1999, Jan, 21(1 Suppl):20-4;Jacobs JW, Fodor SP. Combinatorial chemistry--applications of light-directed chemical synthesis. Trends Biotechnol. 1994 Jan, 12(1):19-26)。
本発明のオリゴヌクレオチドアレーは、ハイブリダイゼーション(したがって遺伝子発現)の比較を極めて少量の液体体積で実施することを可能にする(例えば250μL以下、より好ましくは100μL以下、もっとも好ましくは10μL以下)。このことによって多数の利点が提供される。少量の体積では、ハイブリダイゼーションは非常に迅速に進行する。さらにまた、ハイブリダイゼーション条件はサンプル全体で極めて均質であり、このハイブリダイゼーション様式は自動工程に馴染みやすい。
表の説明文
本発明にしたがってその発現を精査することができる遺伝子が添付の表に記載される。これらの表は、各遺伝子に関して、遺伝子識別番号;公的アイデンティファイアー及びデータ供給源(前記によって当業者は所定の遺伝子を識別し、その配列に関して更なる情報を入手することができる);遺伝子の名称;プローブID(所定の遺伝子の発現を精査するために用いることができる少なくとも1つのプローブの設定の詳細);所定の遺伝子の発現比較で用いることができる組織の詳細;並びに発現変化倍数及び実験結果セクションに記載したように実施した比較から得られたP値の詳細を提供する。
表1:コントロールサンプルに対し所定の組織におけるその発現増加が、ケロイド形成に対する感受性増加の指標となる遺伝子。全ての遺伝子が統計的に非常に有意であり、0.01未満のp-値を有する。
表2:コントロールサンプルに対し所定の組織におけるその発現増加が、ケロイド形成に対する感受性増加の指標となる遺伝子。全ての遺伝子が統計的に非常に有意であり、0.01未満のp-値を有する。全ての遺伝子が、ケロイド感受性組織で2倍を超える発現増加を示す。
表3:コントロールサンプルに対し所定の組織におけるその発現増加が、ケロイド形成に対する感受性増加の指標となる遺伝子。全ての遺伝子が統計的に非常に有意であり、0.01未満のp-値を有する。全ての遺伝子が、ケロイド感受性組織で3倍を超える発現増加を示す。
表4:コントロールサンプルに対し所定の組織におけるその発現増加が、ケロイド形成に対する感受性増加の指標となる遺伝子。全ての遺伝子が統計的に非常に有意であり、0.01未満のp-値を有する。全ての遺伝子が、ケロイド感受性組織で5倍を超える発現増加を示す。
表5:コントロールサンプルに対し所定の組織におけるその発現増加が、ケロイド形成に対する感受性増加の指標となる遺伝子。全ての遺伝子が統計的に非常に有意であり、0.01未満のp-値を有する。細胞接着の機能性をもつタンパク質をコードする遺伝子が、遺伝子本体論(Gene Ontology)分類(GO:0007155)にしたがって選択された。
本発明は、以下の実験結果に照らしてこれからさらに説明されるであろう。
表1に記載の遺伝子をケロイド形成に対する感受性決定に使用することに対する適切性が以下の実験によって示される。この実験では、表1に記載の遺伝子の発現を、既知のケロイド組織及び適切に適合するコントロール組織から採取したサンプル間で比較した。
1.1ケロイド組織の診断
少なくとも1年間定着したケロイドを有する、アフリカ大陸系グループの4人の患者が本実験で使用するケロイドサンプルを提供した。完全な病歴を確立することができたケロイドのみが含まれた。瘢痕の年齢、瘢痕歴の完全な総括及び医師による検査によって、当該瘢痕が過形成ではなくケロイドとして正しく診断されたことが確認された。
ケロイド形成歴をもたない3人のアフリカ大陸系グループの対象者が、ここに記載する実験で使用するコントロール組織材料を提供した。
1.2組織の採集
ケロイド縁に対して垂直な楕円型摘出を用いてケロイドサンプルを採取し、得られた生検標本を切断して、ケロイドと接する皮膚を含むサンプル(外病巣組織)を提供した。ケロイドは最初の病巣の境界を超えて拡大する傾向があるので、この外病巣組織はケロイドを形成し易い組織の実験例を提供する。
非ケロイド形成個体の皮膚組織の生検標本を同様な態様で作成し、対応するコントロール組織を提供した。
採集したら直ちに生検標本切片をRNAレイター(Later)溶液(Ambion)に浸漬し、後の遺伝子発現分析に必要とされるまで-80℃で保存した。
1.3遺伝子発現に対応するサンプルの調製
ケロイド形成者の外病巣組織及び非ケロイド形成者の皮膚組織をジアックス(Diax)(G-10)ホモジナイザーを専売商品キアゲン(Qiagen)溶解緩衝液の存在下で用いて破壊し、生成した溶解物を続いてプロテイナーゼKで55℃にて20分インキュベートした。
インキュベーション後に、混合物を遠心沈殿により分離し、存在するRNAをRNeasyミディスピンカラム(Qiagen Ltd)を用いて精製した。
1.4核酸標的の作製
10μgの全RNA(ケロイド形成者及び非形成者の皮膚サンプルから抽出)を、スーパースクリプト(Superscript)システム(Invitrogen Corp)を用いるcDNA合成のために基質として用いた。続いて得られたcDNAを、バイオアレー(BioArray)RNAトランスクリプト標識キット(Enzo Life Sciences Inc.)を用いて、ビオチニル化cRNA標的分子に変換した。引き続きcRNA標的分子をRNeasyミニキット(Qiagen Ltd)を用いて反応混合物から精製した。20μgのcRNAをアレーハイブリダイゼーションのために断片化した。
1.5遺伝子発現の比較
ケロイド形成を生じ易い外病巣組織の遺伝子発現に対応する断片化cRNA標的分子、及びケロイド形成を生じにくいコントロール組織の遺伝子発現に対応する断片化cRNA標的分子を、表1に記載の遺伝子に対応するオリゴヌクレオチドプローブを含むオリゴヌクレオチドアレーとハイブリダイズさせた。標準アフィメトリクス(Affymetrix)プロトコル(Affymetrix Inc)を用いてハイブリダイゼーションを実施した。ハイブリダイズしたアレーをストレプトアビジン-フィコエリトリンで染色し、続いて蛍光強度を発生させるためにレーザー共焦点スキャナーを用いて走査した。
全アレーを1000の標的強度に対して標準化し、シグナル値及び検出P-値をマイクロアレーアナリシスシュート(Microarray Analysis Suite)ヴァージョン5.0ソフトを用いて算出した。品質管理をパスしたデータセットをスポットファイアー(Spotfire)分析シュートに取り込み、コントロール組織における発現と比較した。
シグナル値はlog2スケールに変換し、t検定(ケロイド対応サンプルでの遺伝子発現をコントロールでの発現と比較する)はlog2変換データで実施した。平均シグナル値は各サンプル群について計算し、変化倍数をこれらの平均値から算出した。
1.6結果
ケロイドを形成し易い組織における表1に記載の遺伝子の発現をケロイドを形成しにくいコントロール組織における同じ遺伝子の発現と比較するt検定は、いずれも0.01未満のt検定p-値を示した。このことは、表1に記載の遺伝子の各々及び全ての発現が、コントロールと比較したときケロイドを形成し易い組織で極めて有意に増加することを裏付ける。
これらの結果は、表1に記載の群の1つ以上の遺伝子のコントロールサンプルにおける発現と比較したとき、患者サンプルにおける同じ1つの遺伝子又は複数の遺伝子の発現増加は、患者がケロイド形成に感受性を有することの明瞭な指標を提供することを明確に示している。
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Claims (33)

  1. ケロイド形成に対する感受性を決定する方法であって、前記方法が、患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける、表1に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を、コントロールサンプルにおける前記少なくとも1つの遺伝子の発現と比較する工程を含み、コントロールサンプルにおける前記少なくとも1つの遺伝子の発現と比較して、患者の遺伝子発現に対応するサンプルにおける前記少なくとも1つの遺伝子の発現増加が、患者がケロイド形成に感受性を有することを示す、前記ケロイド形成に対する感受性を決定する方法。
  2. 前記方法がin vitroの方法である、請求項1に記載の方法。
  3. 表2に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を比較する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 表3に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を比較する工程を含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 表4に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を比較する工程を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 表5に記載の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を比較する工程を含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 所定の組織における遺伝子発現に対応するサンプルが核酸標的分子を含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 核酸標的分子がRNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 核酸標的分子がDNAオリゴヌクレオチドを含む、請求項7に記載の方法。
  10. 所定の組織における遺伝子発現に対応するサンプルがタンパク質標的分子を含む、請求項1から7のいずれかの項に記載の方法。
  11. 遺伝子発現の比較が、標的分子と特異的に結合することができるプローブ分子を用いて実施される、請求項7から9のいずれかに記載の方法。
  12. プローブ分子が、オリゴヌクレオチドプローブ、抗体及びアプタマーを含む群から選択される、請求項11に記載の方法。
  13. サンプルにおける発現及びコントロール組織における発現が少なくとも5遺伝子について比較される、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. サンプルにおける発現及びコントロール組織における発現が5から10遺伝子について比較される、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
  15. 以下を含む、ケロイド形成に対する感受性を決定するキット:
    i)表1に記載の群から選択される少なくとも1つの遺伝子の所定の組織における発現に対応する標的分子と特異的に結合することができる少なくとも1つのプローブ;及び
    ii)コントロール組織における前記少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルを示すことができる参照物。
  16. プローブがオリゴヌクレオチドプローブを含む、請求項15に記載のキット。
  17. プローブが抗体を含む、請求項15に記載のキット。
  18. プローブがアプタマーを含む、請求項15に記載のキット。
  19. プローブが標識プローブである、請求項15から18のいずれかに記載のキット。
  20. プローブが蛍光標識プローブである、請求項19に記載のキット。
  21. プローブが酵素標識プローブである、請求項19に記載のキット。
  22. プローブが放射能標識プローブである、請求項19に記載のキット。
  23. 表1に記載の群から選択される少なくとも5遺伝子の発現に対応する標的分子と特異的に結合することができるプローブを含む、請求項15から22のいずれかの項に記載のキット。
  24. 表1に記載の群から選択される5から10遺伝子の発現に対応する標的分子と特異的に結合することができるプローブを含む、請求項15から23のいずれかの項に記載のキット。
  25. 参照物が、表1に記載の遺伝子群から選択される前記少なくとも1つの遺伝子の発現に対応する核酸標的のライブラリーを含む、請求項15から24のいずれかの項に記載のキット。
  26. 参照物が、表1に記載の遺伝子群から選択される前記少なくとも1つの遺伝子の発現に対応するタンパク質標的のライブラリーを含む、請求項15から24のいずれかの項に記載のキット。
  27. 参照物が、表1に記載の遺伝子群から選択される前記少なくとも1つの遺伝子の発現に関するデータを含む、請求項15から24のいずれかの項に記載のキット。
  28. さらに予後診断アルゴリズムを含む、請求項15から27のいずれかの項に記載のキット。
  29. さらに、アッセイが正確に実施されたことを示すことができるアッセイコントロール物質を含む、請求項15から28のいずれかの項に記載のキット。
  30. さらに、患者における遺伝子発現に対応する標的分子の集団を調製するための物質を含む、請求項15から29のいずれかの項に記載のキット。
  31. オリゴヌクレオチドプローブのアレーであって、前記アレーに存在するオリゴヌクレオチドプローブの少なくとも0.94%が、表1に記載の遺伝子群から選択されることを特徴とする、前記オリゴヌクレオチドプローブのアレー。
  32. 表1に記載の遺伝子群から選択される遺伝子に対応する核酸プローブが付着されてあるナイロン基材を含むアレー。
  33. 表1に記載の遺伝子の群の1つ以上の発現に対応する分子と特異的に結合することができる、固定された抗体プローブを含むアレー。
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