JP2002306174A - 遺伝子のスクリーニング方法 - Google Patents

遺伝子のスクリーニング方法

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JP2002306174A
JP2002306174A JP2001112367A JP2001112367A JP2002306174A JP 2002306174 A JP2002306174 A JP 2002306174A JP 2001112367 A JP2001112367 A JP 2001112367A JP 2001112367 A JP2001112367 A JP 2001112367A JP 2002306174 A JP2002306174 A JP 2002306174A
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expression
tissue
mrna
probe
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JP2001112367A
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Satoshi Asai
聰 浅井
Toshito Osada
俊人 長田
Yasuo Takahashi
泰夫 高橋
Keiki Ishii
敬基 石井
Koichi Ishikawa
紘一 石川
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Nihon University
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Nihon University
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/158Expression markers

Abstract

(57)【要約】 【課題】 DNAチップ・DNAマイクロアレー技術か
ら得られる遺伝子発現情報とは異なる発現情報に基づい
て、遺伝子のスクリーニングを行う方法を提供するこ
と。 【解決手段】 遺伝子の発現産物であるmRNAおよび
/または発現遺伝子配列断片に特異的にハイブリダイズ
するプローブを使用して、生体組織または細胞試料のin
situ ハイブリダイゼーションを行い、前記組織または
細胞における前記mRNAおよび/または発現遺伝子配
列断片の局在化を調べることにより、遺伝子のスクリー
ニングを行う方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子のスクリー
ニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、ヒトゲノム解析の大枠も発表さ
れ、研究の関心は、ゲノムDNAの配列情報を解析する
ゲノム解析から、遺伝子の発現を解析するExpression
(Functional) analysisに移ってきている。現在のとこ
ろ、発現遺伝子配列断片(EST)を含め、発現遺伝子の中
で、その配列が既知であっても、機能がわかっているも
のは少ない。
【0003】遺伝子発現解析には、大量の試料について
高速に効率よく解析を行う技術(ハイスループット技
術)が必要である。DNAチップ・DNAマイクロアレ
ー技術は、一つの細胞内での数万個の遺伝子の発現情報
を提供することができ、遺伝子発現解析の実験をハイス
ループット化することに成功している。
【0004】例えば、DNAチップ・DNAマイクロア
レー技術を用いることにより、病態の変化に伴って発現
量の変化する遺伝子を同定することができる。発現レベ
ルが、患者の予後と相関の高い遺伝子を見つけることが
できれば、その遺伝子の発現情報を創薬の有効性の指標
として利用することができる。
【0005】しかし、DNAチップ・DNAマイクロア
レー技術によって得られる発現情報は、薬の有効性の予
測までを可能にするものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、DNAチッ
プ・DNAマイクロアレー技術から得られる遺伝子発現
情報とは異なる発現情報に基づいて、遺伝子のスクリー
ニングを行う方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】DNAチップ・DNAマ
イクロアレー技術によって、ある遺伝子の個々の細胞に
おける発現の有無や発現量がわかっても、その情報がす
ぐに創薬につながるわけではない。本発明者は、生体組
織または細胞における発現の局在化という観点から、ク
ローン化されているが、機能がわからない多数の遺伝子
または発現遺伝子配列断片の中から目的のものを絞り込
むことができるのではないかと考えた。そして、in sit
u ハイブリダイゼーション法を利用して、生体組織にお
ける発現の局在化を調べることにより、目的とする遺伝
子をスクリーニングする系を確立することに成功し、本
発明を完成させるに至った。
【0008】すなわち、本発明は、遺伝子の発現産物で
あるmRNAおよび/または発現遺伝子配列断片に特異
的にハイブリダイズするプローブを使用して、生体組織
または細胞試料のin situ ハイブリダイゼーションを行
い、前記組織または細胞における前記mRNAおよび/
または発現遺伝子配列断片の局在化を調べることによ
り、遺伝子のスクリーニングを行う方法を提供する。
【0009】本発明の方法により、遺伝情報を担う構造
単位としての遺伝子の他、断片的な遺伝情報を担ってい
るに過ぎない発現遺伝子配列断片(Expression sequenc
e tag, EST)をスクリーニングして、目的のものを絞り
込むことができる。
【0010】本発明の方法において、遺伝子の発現産物
であるmRNAおよび/または発現遺伝子配列断片は、
培養細胞または組織において発現しているものであって
もよい。遺伝子の発現産物であるmRNAおよび/また
は発現遺伝子配列断片は、DNAチップまたはDNAマ
イクロアレーにより発現が確認されたものであってもよ
い。また、遺伝子の発現産物であるmRNAおよび/ま
たは発現遺伝子配列断片は、ある事象に対して発現量の
変化したものであってもよい。
【0011】本明細書において、「事象」とは、生体の
内部または外部に生じた何らかの変化をいい、この例と
しては、虚血、腫瘍、投薬などを挙げることができる。
【0012】本発明の方法において、遺伝子および/ま
たは発現遺伝子配列断片は、クローン化されているが、
機能未知のものであってもよい。
【0013】本明細書において、「機能未知」または
「機能がわからない」とは、物理化学的レベルの機能、
生化学的レベルの機能または生理学的レベルの機能のい
ずれかが解析されていないことをいう。ここで、物理化
学的レベルの機能とは、分子の相互作用に関する性質を
含むものである。例えば、ある遺伝子がコードするタン
パク質がDNAと結合する場合、その遺伝子はDNA結合能を
持つタンパク質をコードしていると言える(物理化学的
レベルの機能)。生化学的レベルの機能とは、生化学的
プロセスに関与する性質を含むものである。例えば、あ
る遺伝子がコードするタンパク質が、DNAの中でもある
遺伝子のプロモーター領域に結合し、転写を活性化する
ことがわかった場合、その遺伝子は転写活性化因子をコ
ードしていると言える(生化学的レベルの機能)。生理
学的レベルの機能とは、個体、組織または細胞における
役割を含むものである。例えば、あるタンパク質をコー
ドする遺伝子を破壊すると、前足のないマウスが生まれ
たとすると、このタンパク質は前足の分化に関与する機
能を持つと言える(生理学的レベルの機能)。
【0014】本発明の方法に従う1回のスクリーニング
により、1種類の同じ組織または細胞における、少なく
とも2種類の異なるmRNAおよび/または発現遺伝子
配列断片の局在化を調べてもよい。本発明の方法に従う
1回のスクリーニングによれば、1種類の同じ組織また
は細胞における、例えば、2種類以上の異なるmRNA
および/または発現遺伝子配列断片の局在化を調べるこ
とができる。これには、プローブの蛍光波長を変えた
り、2次抗体を変えたりすることにより、複数の染色を
同時に行う技法(ダブルステイン、トリプルステイン、
sky fishなど)を用いるとよい。
【0015】あるいはまた、本発明の方法に従う1回の
スクリーニングにより、少なくとも2種類の異なる組織
または細胞における、1種類のmRNAまたは発現遺伝
子配列断片の局在化を調べてもよい。本発明の方法に従
う1回のスクリーニングによれば、例えば、2種類以
上、好ましくは、10〜20種類の異なる組織または細
胞における、1種類のmRNAまたは発現遺伝子配列断
片の局在化を調べることができる。
【0016】本発明の方法は、薬剤として有効な物質を
コードする遺伝子をスクリーニングするために用いるこ
とができる。例えば、ある遺伝子の発現が特定の部位に
局在化することから、その組織、細胞内分布を考慮する
ことで、その遺伝子の薬としての効果を推定することも
可能となる。
【0017】また、本発明の方法は、疾患に関連する遺
伝子をスクリーニングするために用いることができる。
例えば、病態モデル動物、トランスジェニック動物、ノ
ックアウト動物などを用いると、プローブ局在と病因部
位との対比により、より効果的に有力なプローブ選定を
行うことができる。
【0018】さらに、本発明の方法は、クローン化され
ているが、機能未知の遺伝子または発現遺伝子配列断片
の機能を調べるために用いることができる。細胞内、組
織内、臓器別の局在を知ることで、蛋白発現の分布が推
定でき、より効率的にプローブのターゲッテングを行え
る。
【0019】また、本発明は、ある事象が起こる前およ
び起こった後の生体からそれぞれ組織または細胞試料を
採取し、該試料について、遺伝子の発現産物であるmR
NAおよび/または発現遺伝子配列断片に特異的にハイ
ブリダイズするプローブを使用してin situ ハイブリダ
イゼーションを行い、前記組織または細胞における前記
mRNAおよび/または発現遺伝子配列断片の局在化の
変化を調べることにより、遺伝子発現をモニタリングす
る方法を提供する。ある事象が起こった後の少なくとも
2つの異なる時点で生体から組織または細胞試料を採取
してもよい。
【0020】本発明の遺伝子スクリーニング方法は、生
体組織または細胞における遺伝子および/または発現遺
伝子配列断片の局在化という新たな観点から、遺伝子の
選別を行うという画期的なものであり、目的とする遺伝
子の絞込みに有効である。
【0021】また、本発明の遺伝子スクリーニング方法
は、上記のような形態学的な観点から遺伝子の選別を行
うので、薬剤の研究・開発をより正しい方向に導くこと
ができる。その結果、薬剤研究・開発にかかる労力と時
間が短縮され、費用を少なくすることができる。
【0022】本発明の遺伝子発現のモニタリング方法
は、疾患に関連する遺伝子の探索、クローン化した遺伝
子またはESTの未知の機能の探索、ゲノム創薬などに利
用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】ゲノムワイドスクリーニングの後
に、本発明の方法に従って、生体組織や細胞における局
在化という観点からの大量スクリーニングを行うこと
で、目的とする遺伝子を絞り込むことができる。
【0024】虚血によるダメージを回復させるのに有効
な薬剤を探索する場合を例として、より具体的に説明す
る。虚血モデルの動物において、虚血という事象の前後
で発現量に差がある遺伝子をDNAマイクロアレーまた
はDNAチップ(例えば、GeneChipTM(米国アフィメト
リックス社))で検出する(ゲノムワイドスクリーニン
グ)。次いで、DNAマイクロアレーまたはDNAチッ
プにより得られたデータとバイオインフォマテックスを
リンクさせて、虚血という事象の前後で発現量に差があ
る遺伝子の配列情報を得る。その配列情報に基づいて、
in situハイブリダイゼーションのためのプローブを設
計し、作製する。その後、その遺伝子が、虚血の生じた
臓器(例えば、脳、肝臓など)のどのような組織におい
てどのような分布をしているかについて、in situハイ
ブリダイゼーションで調べる。insituハイブリダイゼー
ションの操作は、手動でも自動でもよい。例えば、in s
ituハイブリダイゼーションの完全自動化を実現するベ
ンタナHXシステム(ベンタナ社)を利用することによ
り、短時間で再現性のよい結果を得ることができる。in
situハイブリダイゼーションの結果から、薬剤の使用
目的に適していると思われる組織分布を有する遺伝子を
絞り込む。例えば、記憶の回復を目的とする薬剤を探索
したい場合には、海馬に発現が局在している遺伝子を選
択する。また、炎症を抑える薬剤を探索したい場合に
は、脳全体に発現が分布している遺伝子を選択する。
【0025】以下に、DNAチップによる遺伝子発現解
析とin situハイブリダイゼーションを組み合わせて、
本発明を実施する態様について説明する。 1.DNAチップによる遺伝子発現解析 従来のブロッティング技術を利用し、アレイ状に配置さ
れた複数のプローブについて同時にハイブリダイゼーシ
ョンを行い、解析を行う方法を、一般にアレイテクノロ
ジーと呼んでいる(The chipping forecast. Nature Ge
netics, supplement vol. 21, (1999))。このうち、プ
ローブを直径1mm未満のアレイ状スポットとして作製し
た場合をマイクロアレイまたはチップと呼び、プローブ
がDNAで構成されているものを特に "DNAチップ"と呼
ぶ。現在、このアレイテクノロジーを実用化した方法と
しては、フィルター上にcDNAをアレイ状にスポットした
もの、スライドガラス上にcDNAや合成DNAをスポットし
たもの、さらにGeneChipTM(米国アフィメトリックス
社)などがある(Lockhart, D.J. et al. (1996) Expre
ssion monitoring by hybridization to high-density
oligonucleotide arrays. Nature Biotechnology 14, 1
675-80; Wodicka, L. et al. (1997) Genome-wide expr
ession monitoring in Saccharomyces cerevisiae. Nat
ure Biotechnology 15, 1359-67)。GeneChipTMではス
ポット技術が他のDNAチップとは異なっており、他の方
法と区別するため、方法そのものを"GeneChip"という商
標を冠して呼んでいる。GeneChipTMでは、ゲノムDNAの
変異を解析するゲノム解析と、遺伝子の発現を解析する
発現解析の両者が可能であるが、本発明においては、発
現解析を行う。
【0026】1.1 原理と概略 GeneChip技術では他のDNAチップとはDNAプローブをチッ
プ上にスポットする方法が異なっている。従来の方法で
は、直接生体より切り出したDNAプローブを基盤の上に
スポットしていた。これに対してGeneChip技術では、DN
Aを18〜25merの断片として、光化学反応のを利用し、半
導体製造技術に類似した工程で合成される。この結果、
50または24 μm平方のプローブセル(これをタイルと呼
ぶ)に、数百万個の18〜25merの塩基配列をもったプロ
ーブが固定されている。
【0027】このようなチップ作製上の相違から、以下
のような特性が生じる。 (1)18〜25mer程度のプローブサイズでは、プローブ
中央の一塩基を置き換えたミスマッチプローブは、ハイ
ブリダイゼーションしにくいという現象があり(後藤雅
式、他 (1997) アフィニティセンサーBIACOREによる遺
伝子診断−原理と応用−臨床病理 45, 224-28)、これ
を利用して各タイルに配置されたプローブごとに、パー
フェクトマッチとミスマッチ(プローブペア)の確認を
行うことができる。このような操作により、ハイブリダ
イゼーション実験により得られた蛍光強度の信号から、
非特異的な結合によって発生する擬陽性信号を排除で
き、完全に一致した塩基配列を持つ真のプローブにより
発生する信号量を正確に測定することができるシステム
になっている(Lipshutz, R.J. et al. (1999) High de
nsity synthetic oligonucleotide arrays. Nature Gen
etics supplement,volume 21, January))。さらに、
プローブサイズとサンプルのサイズが短いことも手伝っ
て、非特異的なハイブリダイゼーションばかりでなく、
バックグランドシグナルの除去も可能となり、定量性を
上げている。そして、合成されるオリゴヌクレオチドプ
ローブのセットが、目的とする遺伝子のコーディング領
域、ユニークな塩基配列、またはハイブリダイズ能力な
どに基づいて決定されている。この技術の延長線上で実
用化されているのが、ゲノム突然変異解析である。この
方法は、p53、 HIV、 P450、 SNPチップなどで、一塩基
配列の違いを解析するため、解析の対象部位の塩基に
G、A、T、Cの4種類と、必要に応じてその部位を欠損さ
せたプローブの計4〜5種類のプローブセルを使用し、
一塩基の違いを検出するという画期的なものである。
【0028】(2)GeneChipTMは、チップ上のプローブ
とサンプルを結合させるハイブリダイゼーション・オー
ブン、洗浄標識を行うFluidic ステーション、蛍光発光
を読みとるGene Array スキャナー、読み込んだ情報を
処理解析するコンピューターシステムから構成されてい
る。さらに、サンプル調製からデータ収集まで実験条件
が、既存のキットを利用することで至適化されているた
め、再現性の高いデータを得ることができる。チップ上
の数干の遣伝子の発現量を正確に定量するため、チップ
上に大腸菌遣伝子用のプロープを配置し、大腸菌遣伝子
由来のcRNAの一定量をサンプル中に混合してコントロー
ルとすることにより(スパイキング)、サンプル中の遣
伝子の定量性を高めると同時に、実験操作過程の精度を
チェックすることができる。さらに、ハウスキーピング
遺伝子のGAPDHやアクチンなどのプローブを利用した測
定結果を合わせて利用することにより、複数の異なった
実験結果の比較解析が行われ、ユーザーは、実験条件の
検討などにわずらわされることなく、高感度で広いダイ
ナミックレンジを有する、信頼性の高いデータを容易に
得ることができる。
【0029】1.2 準備するもの GeneChipTMは、サンプル調製からデータ解析に至るまで
の過程を包括したシステムであり、ほぼ完成されたもの
である。したがって、各ステップで使用する試薬やキッ
トなどは、アフィメトリックス社の推奨する以下のもの
を使うことを勧める。 ・全RNAの単離 TRIzol Reagent (Gibco BRL Life Technologies) RNeasy Total RNA Isolation Kit (QIAGEN) ・Poly(A)+mRNAの単離 Oligotex Direct mRNA Kit (QIAGEN) Oligotex mRNA Kit (QIAGEN) ・cDNA合成 Superscript Choice System (Gibco BRL Life Technolo
gies) T7-(dT)24 Primer (GENSET Corp.) ・ビオチン標識化cRNAの合成(In Vitro Transcription,
IVT) RNA Transcript Labeling Kit (Enzo) ・IVT cRNA洗浄および定量 RNeasy Mini Kit (QIAGEN) CHROMA SPIN-100 columns (CLONTECH) ・標識cRNAの断片化のためのバッファー 200 mM Tris-acetate, pH 8.1, 500 mM KOAc, 150 mM M
gOAc ・内部標準物質(Expression Control Clones) pglbs-bioB, pglbs-bioC, pglbs-bioD, pglbs-cre
【0030】1.3 プロトコール 一連の操作は以下の通りである。 step1 サンプルから、約 2 μg のPoly (A)+ mRNAを抽出す
る。 step2 逆転写酵素により、cDNAの合成を行う。 step3 in vitro 転写により、ビオチン標識されたcRNAを量産
し精製する。 step4 標識cRNAをDNasa処理または、マグネシウムイオン存在
下で熱処理し、約50merのサイズに断片化する。 step5 既知のインターナルスタンダード(スパイキング)をラ
ベル後、標品に添加し、Chip に注入する。 step6 オーブン中でハイブリダイゼーションを行い、Fluidic
ステーション中で洗い標識を行う。 step7 GeneArrayスキャナーでチップの情報を取り込む。 step8 バイオインフォマティクス(生物学的情報処理)のシス
テムを用いてデータの処理・解析を行う。
【0031】1.4 バイオインフォマティクス GeneChipTMでは大量のデータが得られので、これを効率
的に利用するため、いわゆるバイオインフォマティクス
(Bioinformatics)技術が必要となる。このため、Gene
ChipTMには、バイオインフォマティクス・ツールとし
て、独自のGeneChip Laboratory lnformation Manageme
nt System(LIMSTM)およぴ GeneChip Expression Data
Mining Tool(EDMTTM)が併設され、データを遺伝子関
連解析技術の標準化のためのオープンコンソーシアム
(GATC)で定められた形式のSQL対応データベースヘ出
力し、インターネット上の公開遺伝子情報データベース
(GenBankなど)とリンクすることを可能にしている。
しかし、バイオインフォマティク自体が発展途上にある
ため、既存のシステムだけではデータ解析が不十分な場
合がある。小中規模の研究施設においては、数人のデー
タベースを各々ファイリングし、個別に解析する必要性
が生じてくるし、他の解析プログラムを使ってデータを
加工・グラフ化したり、統計計算を行う必要性も生じて
くる。そこで、本発明者は、LIMS-SQLサーバーにアクセ
スし、EDMT類似のツールを用いてデータ加工することは
もちろんであるが、個々のデータをGATC互換拡張データ
ベースで保存し、Gene Spring(米国Silicon Genetics
社)を用いてクラスタリング、図表化や検索を行い、さ
らに情報データベースサーチを行っている。また、統計
計算や各々の遺伝子の機能的ヒエラルキー(階層化)を
解析するためには、Stingray(米国アフィメトリックス
社)を用いている。
【0032】2.in situハイブリダイゼーションによ
る発現遺伝子の局在化の検討 本発明者は、新鮮凍結切片を用いてin situ ハイブリダ
イゼーションを行った。新鮮凍結切片は、パラフィン固
定組織や固定後包埋組織などの他の組織標本に比べ、最
もシグナルが得やすいという長所がある。これは、プロ
ーブの組織内への浸透性が高いからである。新鮮凍結標
本を用いたin situ ハイブリダイゼーションのフローチ
ャートを表1に示した。表1のフローチャートに従っ
て、以下に説明を行う。
【0033】
【表1】
【0034】2.1 新鮮凍結切片の作製 新鮮凍結切片は生の標本なので、RNaseの攻撃を受けや
すく、実験を進める際には、いかにRNaseフリーの状態
で実験を行うか、組織のmRNAを保持することに一層の留
意が必要である。
【0035】(1)検体 実験動物からサンプル(例えば、脳、肝臓)を切り取
る。清潔な滅菌シャーレに生理食塩水で湿らせたガーゼ
を置き、サンプルを包み乾燥を防ぐとよい。また、厚い
被膜に覆われていたり、血管組織、間質組織が含まれて
いると薄切ができにくいことがあるため、これらを取り
除いておくことが望ましい。
【0036】(2)組織の包埋 包埋用のプラスチック製容器や円柱形に型どりしたアル
ミホイルの底に少量のOCT compound (Milles Lab製)を
入れておく。その上に適当な大きさに切った組織を置
き、組織が中央にくるようにOCT compoundを上から注入
する。これらを、あらかじめドライアイスを入れておい
たアセトンの中に漬けて、急速凍結する。凍結後、ドラ
イアイスを入れたジャーに移し、組織の包埋処理が終わ
った後に、−80℃の冷凍庫で保存する。
【0037】(3)組織の薄切 クリオスタットを用いて切片を10μmの大きさに薄切
する。カッティング後、3-アミノプロピルトリエトキシ
シラン(ASP)コートのスライドグラスに付着させる。AS
Pコートのスライドグラスの作製法を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】組織をスライドグラスに付着させた後、た
だちに冷風で乾燥させる。
【0040】(4)組織の保存 薄切後、4%パラホルムアルデヒドにより固定を行い、
in situ ハイブリダイゼーションの工程に進んでもよい
が、進まない場合には、30分以上冷風にて乾燥させ、
スライドグラス用ラックに入れてビニールテープで密閉
し、−80℃で保存する。薄切した後の余った組織は、
カットした面にOCT compoundをのせ、組織の乾燥を防ぐ
処理を施し、−80℃に保存する。
【0041】(5)組織の残存RNAの検討 いずれの組織でも、種々の操作により組織中のmRNAが破
壊されてしまうため、残存しているRNAの評価が重要
である。評価方法は、特殊染色による方法とinsitu ハ
イブリダイゼーションによる方法に大別される。特殊染
色による方法は、アクリジンオレンジやメチルグリーン
/ピロリンY染色でmRNAを含むRNA全体を染色する。in
situ ハイブリダイゼーションによる残存RNAの評価方法
は、β−アクチン、poly-A RNA、28 SリボゾームRNA(r
RNA)に対するin situ ハイブリダイゼーションにより
行う。RNA染色で陰性の場合には、その組織にはRNAが存
在しないと判断され、in situ ハイブリダイゼーション
には不適切な組織である。一方、RNA染色で陽性の場合
でも、in situ ハイブリダイゼーションの処理が適切に
行われなければ陽性所見を得ることはできない。例え
ば、プローブが標的mRNAに到達できない場合などが知ら
れている。従って、in situ ハイブリダイゼーションの
陽性コントロールは不可欠である。β−アクチンはinte
rnal controlとしてNorthern blotなどに用いられる
が、細胞増殖などの状態によってその量が変化しやす
い。mRNAのpoly Aに対するin situ ハイブリダイゼーシ
ョンを行う時のプローブは、通常のプローブに比して、
GC含量が極めて異なり、Tm値も違ってくるため、in sit
u ハイブリダイゼーションの条件を変更して行わねばな
らなくなる。このため、通常のin situ ハイブリダイゼ
ーションと同時に行うことができず一般的でない。これ
に対し、28S rRNAはすべての細胞に広く分布しており、
その産生量は極めて一定である。さらに、吉井らが用い
た28S rRNAのオリゴプローブ(Yoshii A, et al., J His
tochem Cytochem, 43:321-327, 1995)は種を越えて同じ
プローブの使用が可能であり、実験モデル動物からヒト
まで同じプロトコールでin situ ハイブリダイゼーショ
ンを行うことができる。
【0042】2.2 In situ ハイブリダイゼーション プローブおよび切片の処理について説明する。
【0043】(1)プローブの作製と標識法 (1−1)プローブの作製 プローブとして、二本鎖DNA(dsDNA)、オリゴヌク
レオチド(約20〜40塩基の長さ)、RNAプローブ
を用いることができる。RNAプローブを作製するに
は、テンプレートを調製し、in vitro転写を行い、RN
Aプローブの精製と濃度の確認をするとよい。
【0044】テンプレートの調製には、(a)プラスミド
をテンプレートとする場合、(b)プラスミドからのPC
R産物をテンプレートとする場合、(c)cDNAからの
PCR産物をテンプレートとする場合がある。(a)のプ
ラスミドをテンプレートとする場合が一般的であるが、
本発明者は(c)のやり方でも成功している。(a)の方法で
は、まず、プローブDNA断片をSP6、T3、T7な
どのプロモーターを持つプラスミドに組み込む(約3〜
4週間)。プラスミドDNAを制限酵素で切断して直鎖
化する。次いで、RNaseフリーにするため、直鎖化プラ
スミドDNAをプロテイナーゼKで処理する。(c)の方
法では、凍結組織からmRNAを抽出し、cDNAを合
成する。上流または下流にRNAポリメラーゼのプロモ
ーター配列を含むプライマーを用いて(アンチセンスと
センスとの両方のプローブを作製するため)、PCRを
行う(約7〜10日)。例えば、アンチセンスプローブ
作製のための3'側プライマーの5'末端にT7プロモーター
配列を組み込み、センスプローブ作製のための5'側プラ
イマーの5'末端にT7プロモーター配列を組み込むとよ
い。
【0045】in vitro転写は、市販のキット(例えば、
AmpliScribeTM T7 Transcription Kit (EPICENTRE TECH
NOLOGIES))を用いて行うことができる。反応産物(RN
Aプローブ)の精製は、市販のキット(例えば、RNeasy
minikit (QIAGEN)) を用いて行うことができる。
【0046】精製した反応産物の吸光度を測定して、R
NA濃度を算出する。
【0047】(1−2)プローブの標識法 放射性標識法と非放射性標識法とがある。放射性標識法
では、35Sが多用されている。非放射性標識法には、
ハプテンであるジゴキシゲニン、ビオチンなどを標識す
る方法と、核酸の塩基であるチミンにUVを照射して二
量体を形成させるT−Tダイマー法がある(Koji T, et
al. Acta Pathol Jpn, 40: 793-807, 1990)。
【0048】ハプテン標識を行う場合、市販されている
キットにより容易に行うことができる。dsDNAプローブ
の場合は、ランダムプライム法により(例えば、ベーリ
ンガー社製のDIG DNA labeling Kit)ジゴキシゲニンを
標識できる。オリゴヌクレオチドプローブの場合は、DN
A Tailing Kit(ベーリンガー社製)を、RNAプロー
ブの場合は、DIG-RNA Labeling Kit(ベーリンガー社
製)を用いると、ジゴキシゲニンの標識は容易である。
【0049】標識できたかどうかは、メンブレン上で発
色させて検討できる。すなわち、標識したプローブを1
0倍段階希釈し、大体、10 ng/μl〜1 p g/μlのも
のを用意する。それをナイロン(セルロース)メンブレ
ンに1μlずつ滴下し乾燥させる。その後、in situ ハ
イブリダイゼーションで実際に発色させる方法を用いて
(アルカリフォスファターゼまたはペルオキシダーゼ標
識の抗ハプテン抗体を用いて)発色させる。標識が十分
であれば感度よく発色するはずである。全く発色しない
場合、感度が悪い場合は、標識が不十分ということにな
る。その際、キットに陽性コントロールとして標識済み
のものが入っているので、同時に染色して確認する。ま
た、ジゴキシゲニン定量化ストリップ(ベーリンガー16
69958)として、プローブがうまく標識できたかどうか
を簡単にチェックできるものも市販されている。標識す
るハプテンとして頻用されているものは、ビオチン、ジ
ゴキシゲニンである。腎臓、肝臓、筋肉などは内因性の
ビオチンが多量に含まれており、新鮮凍結組織を使用す
る場合には、染色後のバックグラウンドを考慮するとジ
ゴキシゲニンの方が好ましい。
【0050】また、プローブがうまく標識されているか
どうかに加えて、センス・アンチセンスの核酸同士がき
ちんとハイブリダイゼーションを起しているかどうか
は、dot hybridizationをメンブレン上で行って検討す
る。まず、未標識のセンスプローブの濃度希釈を作り、
ナイロンメンブレンに滴下し乾燥させる。標識したアン
チセンスプローブとハイブリダイゼーションをさせ、そ
の後、後述の組織でのinsitu ハイブリダイゼーション
の時と同じように酵素抗体法を用いて発色させる。
【0051】(1−3)組織の処理とハイブリダイゼー
ション Rehydration ASPコートのスライドグラスに張り付けた切片が−80
℃に保存されている場合は、切片をスライドグラスボッ
クスごと冷蔵庫から取り出した後、シールされたままの
スライドグラスボックスを37℃の加温器に入れ、約6
0分間温めた後に開封する。スライドグラス・ラックに
入れた後、PBSに3分間漬けて、rehydrationさせる。
【0052】固定 4%パラホルムアルデヒド/PBS溶液にて、約15分間室
温で組織切片を固定する。固定後、組織切片をPBSの入
った染色バットに入れ、シェイカー上で振とうしなが
ら、洗浄を3分間3回行う。
【0053】除蛋白 未処理の組織では、プローブの浸透性が十分でないた
め、組織の除蛋白処理が必要となることがある。ここで
のプロトコールでは、除蛋白操作を塩酸とプロテイナー
ゼKとによって行う。まず、塩酸処理として、0.2N塩酸
(蒸留水にて希釈)が入った染色バットに10〜20分
間室温にて浸す。その後、PBS洗浄を3分間3回シェイ
カー上で振とうしながら行う。次に、プロテイナーゼK
(molecular biology use用)処理を行う。プロテイナ
ーゼKの最終濃度を0.5μg/ml/PBSとした溶液を作製
し、前もって30分間37℃の水浴で温めておく。切片
を37℃、5〜15分間浸透し、その後PBSで3分間3
回、シェーカー上で洗浄する。
【0054】後固定 除蛋白操作でゆるんだ組織を引き締める。特に、新鮮凍
結切片の場合、形態の保持のために必要である。4%パ
ラホルムアルデヒド/PBSで5〜10分間室温にて組織
切片を固定する。なお、後固定の後、PBSで洗浄し、標
本に残っているアルデヒドを中和する目的で、2 mg/ml
グリシン/PBSに15分間2回漬けてもよい。その後、
洗浄を行う。
【0055】Pre-hybridization 室温で30分間(1時間以上になってもよい)、組織切
片をpre-hybridization液(4×SSC/3×Denhardt's溶液
/20%ホルムアミド)に浸す。この処理を行うことによ
り、hybridization液がなじみやすくなる。
【0056】Hybridization Hybridization溶液(4×SSC/50 mMリン酸ナトリウム緩
衝液(pH 8.0)/5×Denhardt's溶液/0.2 mg/mlサケ精巣
DNA/0.2 mg/ml酵母tRNA/20%ホルムアミド/標識した
プローブ)を作製し、煮沸後急冷し、組織切片に載せ
る。プローブ濃度は、組織、プローブ、目的とする遺伝
子によって異なるが、大体0.5〜2 ng/μlの範囲で用い
る。dsDNAプローブの場合は、Hybridization溶液/プロ
ーブを煮沸する。これは、プローブの二次構造をなくす
ためである。オリゴヌクレオチドプローブの場合もHybr
idization溶液/プローブを煮沸した方がよい。具体的
には、Hybridization溶液を入れた1.5 mlエッペンドル
フチューブの蓋をして、ステンレス製の煮沸用容器に入
れ、蓋をして、5〜7分間煮沸する。その後、直接、氷
と水を入れた容器の中にエッペンドルフチューブを入れ
て、急冷する。その後、エッペンドルフチューブを氷の
上に置いておく。
【0057】Pre-hybridization液に浸っているスライ
ドグラスを取り出し、組織の回りの余分な溶液を拭い取
る。この時に組織が乾燥しないように気をつける。組織
が乾燥すると、非特異的なシグナルの原因となる。スラ
イドグラス1枚あたり約30〜70μlのhybridization
溶液の載せ、よく攪拌する。その後、hybridization溶
液を載せたスライドグラスを湿箱に入れる。乾燥しない
ように蓋をして、ビニールテープで密閉する。37℃で
一晩放置する。
【0058】Hybridization後の洗浄 密閉していた湿箱から、1枚ずつスライドを取り出し、
洗浄液を入れた染色バットに入れる。下記の洗浄液で各
々30分間2回、シェーカー上で洗浄する。 洗浄液 2×SSC+0.075% Briji35 (23 Lauryl ether, Sigma) 0.5×SSC+0.075% Briji35
【0059】(1−4)Hybridizationしたプローブの
可視化 放射性標識の場合は、オートラジオグラフィーを行う。
非放射性標識の場合は酵素抗体法(抗ジゴキシゲニン抗
体、抗ビオチン抗体を用いる)により、標的遺伝子(mR
NA、DNA)とハイブリダイゼーションしたプローブを発色
させる。ここでは、酵素抗体法によるシグナルの検出を
説明する。
【0060】ジゴキシゲニンを標識している場合、抗ジ
ゴキシゲニン抗体を用いるが、この場合、(a)ペルオキ
シダーゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体を用いる方法、(b)
アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体を
用いる方法、(c)マウス抗ジゴキシゲニン抗体を用いる
方法の3つの方法がある。(a)と(b)の方法は直接法であ
り、(c)の方法は、さらにペルオキシダーゼまたはアル
カリフォスファターゼ標識の抗体を重ね合わせる間接法
である。このうち、感度が最も高いのは(b)の方法であ
り、感度が最も低いのは(a)の方法である。(c)の方法で
も良好な感度を得ることが可能である。
【0061】これ以降の工程は、RNaseのことを特に気
にすることなく、通常の免疫化学染色と同じである。ま
ず、抗ジゴキシゲニン抗体の非特異的な組織への結合を
防ぐ目的で、プレ・インキュベーションを行う。この時
に用いるプレ・インキュベーション溶液は、ウシ血清ア
ルブミン、一次抗体を作製した等物の血清、IgG(ウサ
ギ抗体なら、正常ウサギ血清やIgG)を含むようにす
る。発色は、通常、ジアミノベンジジン(DAB)と過酸
化水素とで行われるが、この段階でも種々の感度を上げ
る方法がある。例えば、CoCl2とNiSO4(NH4)2SO4とを添
加することにより感度を高めることができる。また、最
近ではCatalyzed Signal Amplification (CSA system,
DAKO)というキットも市販されており、この感度は極め
て良好である。発色後、核染を行う。核染色は画像解析
を行う場合には省いてもよいが、シグナル陰性の細胞を
明らかにするためには行った方がよい。発色色素として
DABを用いた場合、DABでの発色は通常茶色であるので、
核染色には核が緑色となるメチルグリーン染色を用いる
と見やすくてよい。
【0062】表3にペルオキシダーゼ標識抗ジゴキシゲ
ニン抗体を用いる場合の操作手順を示す。
【0063】
【表3】
【0064】アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシ
ゲニン抗体を用いる場合、工程の数は少なくて済み、か
つ感度が良好である。表4にアルカリフォスファターゼ
標識抗ジゴキシゲニン抗体を用いる場合の操作手順を示
す。
【0065】
【表4】
【0066】ここでは、ニトロブルーテトラゾリウム(N
BT)と5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BC
IP)による発色を示してある。ベーリンガー製のDIG Nuc
leic Acid Detection Kitが便利である。
【0067】以上の操作は、「In situ hybridization
技法」編集;小路武彦、学際企画に記載されているの
で、参照されたい。
【0068】in situ ハイブリダイゼーションは、完全
自動化を実現するベンタナHXシステム(ベンタナ社
製)を用いて行ってもよい。この装置を用いることによ
り、短時間で再現性の良い結果を多量に得ることができ
る。
【0069】以上の操作により、組織レベル、細胞レベ
ルでのmRNA発現の局在化の様子を調べることができ
る。
【0070】上記のようにして得られる遺伝子発現の局
在化の情報は、疾患に関連する遺伝子の探索、クローン
化した遺伝子またはESTの未知の機能の探索、ゲノム創
薬に利用することができる。
【0071】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するため
のものであって、本発明の範囲を限定するものではな
い。
【0072】[実施例1]成熟マウス(雄、Bcl blac
k、三共ラボサービスより購入)の両側総頚動脈を20
分間結札紮して血流を遮断し、脳虚血モデルとした。そ
の後血流を回復してから経時的(0〜24時間)に屠殺
して海馬を取り出し、プロトコールに従って試料を作製
し、Mu6,500 Oligonucleotide DNA Probeアレーを用
い、アフィメトリックス社(米国)のGeneChipシステム
により遺伝子発現解析を行った。Mu6,500 Oligonucleot
ide DNA Probeアレーでは、6500種類のゲノムを同
時に解析できた。このデータをもとに、バイオインフォ
マティクスを利用して(具体的には、LIMS-EDMTによる
スキャッタープロットを使って)、解析した結果を図1
に示す。図1の横軸は虚血処理をしなかったマウスのゲ
ノム発現量を示し、縦軸は虚血・再潅流24時間後のゲ
ノム発現量を示す。図1の個々の点がそれぞれ特定され
たゲノムに対応しており、発現量の増加したもの(例え
ば、*1では、虚血前後に30から600に20倍程度発現が
増加)、変化しなかったもの(例えば、*2)、減少し
たもの(例えば、*3では、虚血前後に7,000から70に
約1/100発現が減少)を判定することができ、かつ特定
の遺伝子の大まかな組織内における発現量についても知
ることができた。この結果、約1000種類の遺伝子に
ついて発現量の変動を認めた。公開遺伝子情報データベ
ースと接続すれば、個々のゲノム情報がたちどころに得
られる。
【0073】[実施例2]成熟ラット(雄12週令、Wi
ster系雄性ラット、三共ラボサービスより購入)の肝門
部を15分間結札紮して血流を遮断し、肝虚血モデルと
した。その後血流を回復してから経時的(0〜4時間)
に屠殺して肝臓を取り出し、プロトコールに従って試料
を作製し、Rat Toxicology U34アレイを用い、アフィメ
トリックス社(米国)のGeneChipシステムにより遺伝子
発現解析を行った。Rat ToxicologyU34アレイでは、約
850種のラット遺伝子とESTを同時に解析できた。
このデータをもとに、バイオインフォマティクスを利用
して(具体的には、LIMS-EDMTによるスキャッタープロ
ットを使って)、解析した結果を図2に示す。図2の縦
軸は虚血処理をしなかったラットのゲノム発現量を示
し、横軸は虚血・再潅流4時間後のゲノム発現量を示
す。図2の個々の点がそれぞれ特定されたゲノムに対応
している。Hsc70およびTATase(Tyrosine aminotransfer
ase)はその一例である。この結果、0時間と4時間を比
較すると、約100種程度の遺伝子発現が2倍以上増加
し、約40種程度の遺伝子発現が1/2以下に減少し
た。Hsc70とTATaseについては、GeneChipを用いた発現
量においては、両遺伝子ともcontrol群、虚血処置群と
も優位の変動は示していない。
【0074】[実施例3]controlラットおよび実施例
2の肝虚血モデルラット(血流の回復から4時間経過
後)から、それぞれ、肝臓を取り出し、新鮮凍結切片を
用意した。HSC70(Heat shock protein 70 like protei
n, NCBIのGenBank Accession No. M11942)のposition 2
29-629 (400 bp)をジゴキシゲニンで標識したものをR
NAプローブとして用い、ベンタナHXシステムで肝臓
新鮮凍結切片のin situ ハイブリダイゼーションを行っ
た。RNAプローブの作製に用いたプライマーの配列を
表5に、in situ ハイブリダイゼーションの条件を表6
に示す。
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】controlラットの結果を図3に、肝虚血モ
デルラットの結果を図4に示す。図中、Anti-senseとは
アンチセンスプローブで染色した結果を示し、senseと
はセンスプローブで染色した結果を示す。図3と4を比
較すると、肝虚血モデルラットの肝臓組織では、中心静
脈(図4の穴の部分)の回りがよく染色されており(HS
C70の発現が多い)、遠くになるにつれ、染色が薄くな
っている(HSC70の発現が少なくなっている)ことがわ
かる。このことから、HSC70については、中心静脈の回
りに虚血の影響が出ていると言える。
【0078】[実施例4]HSC70プローブの代わりにTAT
aseプローブを用いて、実施例3と同様の手順で、in si
tu ハイブリダイゼーションを行った。TATaseプローブ
としては、TATase(NCBIのGenBank Accession No.X0274
1)のposition 192-594 (403 bp)をジゴキシゲニンで標
識したものを用いた。RNAプローブの作製に用いたプ
ライマーの配列を表5に示す。in situ ハイブリダイゼ
ーションの条件は表6に示した通りである。controlラ
ットの結果を図5に、肝虚血モデルラットの結果を図6
に示す。図中、Anti-senseとはアンチセンスプローブで
染色した結果を示し、senseとはセンスプローブで染色
した結果を示す。図5と6を比較すると、肝虚血モデル
ラットの肝臓組織では、中心静脈(図6の穴の部分)の
回りがよく染色されており(TATaseの発現が多い)、遠
くになるにつれ、染色が薄くなっている(TATaseの発現
が少なくなっている)ことがわかる。このことから、TA
Taseについては、中心静脈の回りに虚血の影響が出てい
ると言える。Hsc70とTATaseについて、GeneChipを用い
た発現量においては、両遺伝子ともcontrol群、虚血処
置群とも優位の変動は示していないが、in situ ハイブ
リダイゼーションにおいては、虚血処置により中心動脈
のまわりの発現量が上昇していることがわかる。さら
に、その変化については、TATaseにより顕著に現れてい
ることがわかる。この様に、GeneChipとIn situ ハイブ
リダイゼーションを組み合わせることで、より多くの遺
伝子の情報を得ることができる。
【0079】[実施例5]成熟ラット(雄、Wister京
都、12週令、三共ラボサービスより購入)の両側体温
と脳温を37℃に保ち、両側総頚動脈を10分間結札紮
して血流を遮断し、さらに血圧を30〜40mmHgに降下
させて、脳虚血モデルとした(通称、Smithの脳虚血モ
デル)。10分後に再灌流し、脳温および体温を37℃
に保った。2時間後に屠殺して海馬を取り出し、プロト
コールに従って試料を作製し、ラットU34アレーを用
い、アフィメトリックス社(米国)のGeneChipシステム
により遺伝子発現解析を行った。ラットU34アレーで
は、3万4千種類のゲノムを同時に解析できた。このデ
ータをもとに、バイオインフォマティクスを利用して
(具体的には、LIMS-EDMTによるスキャッタープロット
を使って)、解析した結果を図7に示す。図7は、Cont
rol群と虚血後2時間の3万4千個の遺伝子の変化につ
いてScatter plotを行った図である。図7の横軸は虚血
処理をしなかったラット(control)のゲノム発現量を
示し、縦軸は虚血・再潅流2時間後のゲノム発現量を示
す。図7の個々の点がそれぞれ特定されたゲノムに対応
している。HSC70、HSP70、c-jun、EST1およびEST2はそ
の一例である。X=Yの直線上にある点に相当する遺伝子
は、処置前後で変化がなかったことを示している。この
結果、0時間と2時間を比較すると、約475種程度の
遺伝子発現が2倍以上増加し、約486種程度の遺伝子
発現が1/2以下に減少した。HSC70は虚血前後で変化
がなかった(Intensityの変化 Control*0H: 約30,000
→ischemia*2H:約30,000)。HSP70は、虚血前後で約2
0倍ほど発現の上昇をみた(Intensityの変化 Control
*0H: 約1,000→ischemia*2H:約20,000)。c-junは、虚
血前はあまり発現していないが、虚血後は、劇的にその
発現が上昇した(Intensityの変化 Control*0H:約0.1
→ischemia*2H:約20,000)。EST1は、虚血前はあまり
発現していないが、虚血後は、劇的にその発現が上昇し
た(Intensityの変化 Control*0H: 約3,000→ischemia
*2H:約15,000)。EST2は、虚血前後で約5倍ほど発現
の上昇をみた(Intensityの変化 Control*0H: 約3,000
→ischemia*2H:約15,000)。
【0080】[実施例6]controlラットおよび実施例
5の脳虚血モデルラット(血流の回復から2時間経過
後)から、それぞれ、脳を取り出し、新鮮凍結切片を用
意した。HSP70(Heatshock protein 70 like protein, N
CBIのGenBank Accession No. L16764)のposition 1182-
1659 (478 bp)をジゴキシゲニンで標識したものをRN
Aプローブとして用い、ベンタナHXシステムで肝臓新
鮮凍結切片のin situ ハイブリダイゼーションを行っ
た。RNAプローブの作製に用いたプライマーの配列を
表5に示す。in situ ハイブリダイゼーションの条件は
表6に示した通りである。controlラットおよび脳虚血
モデルラットの結果を図8に示す。図中、anti-senseと
はアンチセンスプローブで染色した結果を示し、sense
とはセンスプローブで染色した結果を示す。HSP70は、
脳全体に、びまん性に発現が上昇している。特に海馬に
おいては、その発現が著しく上昇している。これは、Ge
neChipのデータと一致しているので、GeneChipのデータ
をうらずけることができる。
【0081】[実施例7]HSP70プローブの代わりにc-j
unプローブを用いて、実施例6と同様の手順で、in sit
u ハイブリダイゼーションを行った。c-junプローブと
しては、c-jun(NCBIのGenBank Accession No.X17163)
のposition 453-878 (426 bp)をジゴキシゲニンで標識
したものを用いた。RNAプローブの作製に用いたプラ
イマーの配列を表5に示す。in situ ハイブリダイゼー
ションの条件は表6に示した通りである。controlラッ
トおよび脳虚血モデルラットの結果を図9に示す。図
中、anti-senseとはアンチセンスプローブで染色した結
果を示し、senseとはセンスプローブで染色した結果を
示す。c-junは、脳全体に、びまん性に発現が上昇して
いる。これは、発現のなかったものが、虚血によって急
激に上昇するという点でGeneChipのデータと一致してい
るので、GeneChipのデータを裏付けることができる。
【0082】[実施例8]HSP70プローブの代わりにEST
1プローブを用いて、実施例6と同様の手順で、in situ
ハイブリダイゼーションを行った。EST1プローブとし
ては、EST1(NCBIのGenBank Accession No.AA818604)の
position 147-511 (365 bp)をジゴキシゲニンで標識し
たものを用いた。RNAプローブの作製に用いたプライ
マーの配列を表5に示す。in situ ハイブリダイゼーシ
ョンの条件は表6に示した通りである。controlラット
および脳虚血モデルラットの結果を図10に示す。図
中、anti-senseとはアンチセンスプローブで染色した結
果を示し、senseとはセンスプローブで染色した結果を
示す。また、controlラットおよび脳虚血モデルラット
の結果を拡大したものを図11に示す。EST1は、脳の
海馬においては、低倍率では、歯状回や脳室の脈絡層に
濃染をみとめる。250倍、500倍に検鏡倍率を上げてみる
と、虚血前は発現していないが、虚血後は、血管の内皮
細胞が著名に濃染されていることがわかる。こういった
ように、脳の分布のみならず、組織内の細胞種の違いも
特定することも可能である。
【0083】[実施例9]HSP70プローブの代わりにEST
2プローブを用いて、実施例6と同様の手順で、in situ
ハイブリダイゼーションを行った。EST2プローブとし
ては、EST2(NCBIのGenBank Accession No.AI103915)の
position 183-585 (403 bp)をジゴキシゲニンで標識し
たものを用いた。RNAプローブの作製に用いたプライ
マーの配列を表5に示す。in situ ハイブリダイゼーシ
ョンの条件は表6に示した通りである。controlラット
および脳虚血モデルラットの結果を図12に示す。図
中、anti-senseとはアンチセンスプローブで染色した結
果を示し、senseとはセンスプローブで染色した結果を
示す。EST2は、脳において、虚血前後で海馬錐体細胞
の濃染を認め、発現の上昇を示唆した。
【0084】
【発明の効果】本発明の遺伝子スクリーニング方法は、
生体組織における遺伝子および/または発現遺伝子配列
断片の局在化という新たな観点から、遺伝子の選別を行
うという画期的なものであり、目的とする遺伝子の絞込
みに有効である。
【0085】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Nihon University <120> A method for screening genes <130> P01-006 <140> <141> <160> 12 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 1 caatgaaccc caccaacaca g 21 <210> 2 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 2 ctttcagccc cgacttctta 20 <210> 3 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 3 gctggtgggc ggctcgac 18 <210> 4 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 4 gctcttgtcc gtggccgtga c 21 <210> 5 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 5 gaagaaagaa aggcaggaag g 21 <210> 6 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 6 cttggaatga ggatgttttg t 21 <210> 7 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 7 tgaagcagag catgaccttg 20 <210> 8 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 8 agttgctgag gttggcgtag 20 <210> 9 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 9 gcgatctcct tcatcttggt 20 <210> 10 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 10 gacttgggca ccacctactc 20 <210> 11 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 11 tgggctcaaa gccatatttc 20 <210> 12 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 12 ccgaactcta gagccaccag 20
【0086】
【配列表フリーテキスト】
【配列番号1】配列番号1は、HSC70のposition 229-62
9の配列をターゲットとする上流プライマーの塩基配列
を示す。
【0087】
【配列番号2】配列番号2は、HSC70のposition 229-62
9の配列をターゲットとする下流プライマーの塩基配列
を示す。
【0088】
【配列番号3】配列番号3は、HSP70のposition 1182-1
659の配列をターゲットとする上流プライマーの塩基配
列を示す。
【0089】
【配列番号4】配列番号4は、HSC70のposition 1182-1
659の配列をターゲットとする下流プライマーの塩基配
列を示す。
【0090】
【配列番号5】配列番号5は、TATaseのposition 192-5
94の配列をターゲットとする上流プライマーの塩基配列
を示す。
【0091】
【配列番号6】配列番号6は、TATaseのposition 192-5
94の配列をターゲットとする下流プライマーの塩基配列
を示す。
【0092】
【配列番号7】配列番号7は、c-junのposition 453-87
8の配列をターゲットとする上流プライマーの塩基配列
を示す。
【0093】
【配列番号8】配列番号8は、c-junのposition 453-87
8の配列をターゲットとする下流プライマーの塩基配列
を示す。
【0094】
【配列番号9】配列番号9は、EST1のposition 147-511
の配列をターゲットとする上流プライマーの塩基配列を
示す。
【0095】
【配列番号10】配列番号10は、EST1のposition 147
-511の配列をターゲットとする下流プライマーの塩基配
列を示す。
【0096】
【配列番号11】配列番号11は、EST2のposition 183
-585の配列をターゲットとする上流プライマーの塩基配
列を示す。
【0097】
【配列番号12】配列番号12は、EST2のposition 183
-585の配列をターゲットとする下流プライマーの塩基配
列を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】脳虚血モデルマウスの血流の回復直後から24
時間経過後の種々の遺伝子および発現遺伝子配列断片の
海馬における発現量の変化を示す。
【図2】肝虚血モデルラットの血流の回復直後から4時
間経過後の種々の遺伝子および発現遺伝子配列断片の肝
臓における発現量の変化を示す。
【図3】in situ ハイブリダイゼーションにより、cont
rolラットの肝臓組織におけるHsc70発現の分布を解析し
た結果を示す。
【図4】in situ ハイブリダイゼーションにより、肝虚
血モデルラットの血流回復から4時間経過後の肝臓組織
におけるHsc70発現の分布を解析した結果を示す。
【図5】in situ ハイブリダイゼーションにより、cont
rolラットの肝臓組織におけるTATase発現の分布を解析
した結果を示す。
【図6】in situ ハイブリダイゼーションにより、肝虚
血モデルラットの血流回復から4時間経過後の肝臓組織
におけるTATase発現の分布を解析した結果を示す。
【図7】脳虚血モデルラットの血流の回復直後から2時
間経過後の種々の遺伝子および発現遺伝子配列断片の脳
における発現量の変化を示す。HSC70、HSP70、c-jun、E
ST1およびEST2の発現量の変化を明示した。
【図8】in situ ハイブリダイゼーションにより、cont
rolラットの脳組織および脳虚血モデルラットの血流回
復直後の脳組織におけるHSP70発現の分布を解析した結
果を示す。
【図9】in situ ハイブリダイゼーションにより、cont
rolラットの脳組織および脳虚血モデルラットの血流回
復から2時間経過後の脳組織におけるc-jun発現の分布
を解析した結果を示す。
【図10】in situ ハイブリダイゼーションにより、co
ntrolラットの脳組織および脳虚血モデルラットの血流
回復から2時間経過後の脳組織におけるEST1発現の分布
を解析した結果を示す。
【図11】図10を拡大した図(×250、×500)
である。
【図12】in situ ハイブリダイゼーションにより、co
ntrolラットの脳組織および脳虚血モデルラットの血流
回復から2時間経過後の脳組織におけるEST2発現の分布
を解析した結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/53 G01N 33/566 33/566 37/00 102 37/00 102 C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 高橋 泰夫 東京都千代田区九段南四丁目8番24号 日 本大学内 (72)発明者 石井 敬基 東京都千代田区九段南四丁目8番24号 日 本大学内 (72)発明者 石川 紘一 東京都千代田区九段南四丁目8番24号 日 本大学内 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA12 DA13 DA14 DA36 4B024 AA01 AA20 CA02 CA09 CA12 HA14 4B063 QA08 QA13 QQ02 QQ42 QQ53 QR36 QR55 QR62 QS34

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遺伝子の発現産物であるmRNAおよび
    /または発現遺伝子配列断片に特異的にハイブリダイズ
    するプローブを使用して、生体組織または細胞試料のin
    situ ハイブリダイゼーションを行い、前記組織または
    細胞における前記mRNAおよび/または発現遺伝子配
    列断片の局在化を調べることにより、遺伝子のスクリー
    ニングを行う方法。
  2. 【請求項2】 遺伝子の発現産物であるmRNAおよび
    /または発現遺伝子配列断片が、培養細胞または組織に
    おいて発現しているものである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 遺伝子の発現産物であるmRNAおよび
    /または発現遺伝子配列断片が、DNAチップまたはD
    NAマイクロアレーにより発現が確認されたものである
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 遺伝子の発現産物であるmRNAおよび
    /または発現遺伝子配列断片が、ある事象に対して発現
    量の変化したものである請求項1〜3のいずれかに記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 遺伝子および/または発現遺伝子配列断
    片がクローン化されているが、機能未知のものである請
    求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 1回のスクリーニングにより、1種類の
    同じ組織または細胞における、少なくとも2種類の異な
    る前記mRNAおよび/または発現遺伝子配列断片の局
    在化を調べる請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 1回のスクリーニングにより、少なくと
    も2種類の異なる組織または細胞における、1種類の前
    記mRNAまたは発現遺伝子配列断片の局在化を調べる
    請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 薬剤として有効な物質をコードする遺伝
    子をスクリーニングするために用いられる請求項1〜7
    のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 疾患に関連する遺伝子をスクリーニング
    するために用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の
    方法。
  10. 【請求項10】 クローン化されているが、機能未知の
    遺伝子または発現遺伝子配列断片の機能を調べるために
    用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】 ある事象が起こる前および起こった後
    の生体からそれぞれ組織または細胞試料を採取し、該試
    料について、遺伝子の発現産物であるmRNAおよび/
    または発現遺伝子配列断片に特異的にハイブリダイズす
    るプローブを使用してin situ ハイブリダイゼーション
    を行い、前記組織または細胞における前記mRNAおよ
    び/または発現遺伝子配列断片の局在化の変化を調べる
    ことにより、遺伝子発現をモニタリングする方法。
  12. 【請求項12】 ある事象が起こった後の少なくとも2
    つの異なる時点で生体から組織または細胞試料を採取す
    る請求項11記載の方法。
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