JP2010285540A - 重合体の回収方法 - Google Patents

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Tetsunori Sugawara
哲徳 菅原
Taizo Kanayama
泰三 金山
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敏志 石川
Yuji Obara
雄二 小原
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Abstract

【課題】多量の溶媒を用いることなく、重合体溶液の粘度が高い場合でも大きな塊を生じず、重合体溶液から粒径の揃った重合体粒子を生産性よく回収する方法を提供する。
【解決手段】重合体が溶解又は分散した液体に貧溶媒を加える工程(1)と、液体と貧溶媒との混合物を撹拌して重合体を凝固させる工程(2)と、凝固した重合体を回収する工程(3)と、を含む重合体の回収方法である。
【選択図】なし

Description

本発明の重合体の回収方法は、高粘度の重合体溶液等から重合体を凝固させて回収する方法に関する。
溶媒中に溶解している重合体を回収する方法として、重合体溶液を貧溶媒中に直接添加又は滴下し、凝固した重合体を粒子として回収する方法が知られている。しかしながら、この方法では、貧溶媒中に凝固した重合体が十分に分散することが必要であり、重合体溶液の粘度が高い場合や、貧溶媒の撹拌が不十分な場合には、粒子がうまく形成されなかったり、粒子径が不均一であったりするという問題があった。
また、粒子がうまく形成されないために、重合体が貧溶媒中で大きな塊となり、外側のみが凝固してしまう場合がある。この場合には、塊の内側部分には、良溶媒をはじめ、重合反応に使用した触媒や残留単量体等が閉じ込められてしまうため、後工程の洗浄や乾燥等の効率が落ちるといった問題が生じる。
前記回収方法では重合体溶液を溜めておく貯留槽と、予め貧溶媒を溜めておき、凝固反応を行う凝固槽とが必要となる。しかしながら、高粘度の重合体溶液の場合、ハンドリング性の問題、即ち、重合体溶液の貯留槽から凝固槽への送液や、凝固槽での貧溶媒への滴下が困難であるという問題があった。また、重合体溶液が貯留槽に残ってしまい、重合体の回収率が低下してしまうという問題もあった。
これらの問題を防ぐ方法として、低粘度の重合体溶液を貧溶媒中に添加又は滴下する方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、多量の良溶媒と貧溶媒が必要となるため、コストの肥大や設備の大型化が問題となる。
また、凝固する際に重合体が貧溶媒中で大きな塊になってしまう問題を防ぐ方法としては、重合体溶液添加時の貧溶媒の撹拌速度を上げる方法や、重合体溶液の添加速度を下げる方法等が挙げられる。しかしながら、これらの方法では生産性が大きく低下してしまい、更に、重合体の粘度が高い場合には効果的ではない。
これらの問題を解消すべく、重合体溶液を気体とともに貧溶媒中に噴霧して重合体を凝固させて回収する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−75930号公報
しかしながら、特許文献1で開示された方法では、貯留槽や凝固槽に加えて、重合体を噴霧するためのノズル等が必要となり、装置が複雑になる問題や、高粘度の重合体溶液の場合には、依然としてハンドリング性の問題があった。また、前記ノズルから重合体溶液を噴霧するには、時間がかかるため、より効率的な重合体の回収方法が求められていた。
本発明の重合体の回収方法は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、多量の溶媒を用いることなく、重合体溶液の粘度が高い場合でも大きな塊を生じず、重合体溶液から粒径の揃った重合体粒子を生産性よく回収する方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を達成すべく鋭意検討した結果、単一の凝固槽に溜めておいた重合体溶液に貧溶媒を直接添加し、その後撹拌を開始することによって、前記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明の重合体の回収方法を完成するに至った。
即ち、本発明の重合体の回収方法によれば、以下に示す重合体の回収方法が提供される。
[1]重合体が溶解又は分散した液体に貧溶媒を加える工程(1)と、前記液体と前記貧溶媒との混合物を撹拌して前記重合体を凝固させる工程(2)と、凝固した前記重合体を回収する工程(3)と、を含む重合体の回収方法。
[2]前記工程(1)が、撹拌翼、及び内容物を排出可能な配管を備えた凝固槽に入れた前記液体に、前記貧溶媒を加える工程である前記[1]に記載の重合体の回収方法。
[3]前記貧溶媒が、アルコール類、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、エーテル類、及び水からなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]又は[2]に記載の重合体の回収方法。
本発明の重合体の回収方法によれば、多量の溶媒を用いることなく、重合体溶液の粘度が高い場合でも大きな塊を生じず、重合体溶液から粒径の揃った重合体粒子を生産性よく回収することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
1.工程(1):
工程(1)は、重合体が溶解又は分散した液体に貧溶媒を加える工程である。
1−1.重合体が溶解又は分散した液体:
重合体が溶解又は分散した液体(以下、便宜上、あわせて「重合体溶液」ともいう)は、重合体が良溶媒中に溶解した状態、又は良溶媒中に分散した状態で存在している液体のことである。この重合体溶液としては、既知の種々の重合反応により得られた重合体反応溶液を用いることができる。具体的には、溶液重合、乳化重合等の液相重合によりモノマーを重合して生成した重合体と溶媒との混合物等が挙げられる。
本発明の重合体の回収方法では、広範囲な粘度の重合体溶液を用いることができる。具体的には、重合体溶液の粘度が0.1〜500,000mPa・sであることが好ましく、0.1〜100,000mPa・sであることが更に好ましい。
1−1−1.重合体:
重合体溶液に含まれる重合体の具体例としては、ポリアリーレン系共重合体、ポリアリーレンスルホン系共重合体、ポリエーテルスルホン系共重合体、ポリエーテルケトン系共重合体、ポリスチレン系共重合体、ポリトリフルオロスチレン系共重合体、ポリ2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド系共重合体、ポリアリルエーテルケトン系共重合体、ポリアリーレンエーテルスルホン系共重合体、ポリフェニルキノキサリン系共重合体、ポリベンジルシラン系共重合体、ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン系共重合体、ポリスチレン−グラフト−ポリフッ化ビニリデン系共重合体、ポリスチレン−グラフト−テトラフルオロエチレン系共重合体等が挙げられる。中でも、ポリアリーレン系共重合体が特に好ましい。
(ポリアリーレン系共重合体)
ポリアリーレン系共重合体(以下、単に「重合体」ともいう)は、例えば、縮合芳香族環構造を有する構成単位(以下、単に「構成単位(1)」ともいう)と、含窒素複素環基を有する構成単位(以下、単に「構成単位(2)」ともいう)と、スルホン酸基を有する構成単位(以下、単に「構成単位(3)」ともいう)とを含むものである。
(1)縮合芳香族環構造を有する構成単位
構成単位(1)の具体例としては、下記一般式(1)で表される構成単位を挙げることができる。前記重合体は構成単位(1)を含むことにより、疎水部を有することができ、また、熱水耐性を向上させることができる。
Figure 2010285540
上記一般式(1)中、Ar21、Ar22、Ar23、及びAr24は、それぞれ独立に、ベンゼン環、縮合芳香族環、及び含窒素複素環からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する2価の基を示す。但し、Ar21、Ar22、Ar23、及びAr24は、それぞれ独立に、その水素原子の一部又は全てが、フッ素原子、ニトロ基、ニトリル基、アルキル基、アリル基、及びアリール基からなる群より選択される少なくとも一種の原子又は基で置換されていてもよい。また、アルキル基、アリル基、及びアリール基は、それぞれ独立に、その水素原子の一部又は全てがフッ素置換されていてもよい。
上記一般式(1)中、A及びDは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−COO−、−SO−、−SO−、−(CF−(iは1〜10の整数を示す)、−(CH−(jは1〜10の整数を示す)、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、又はフルオレニリデン基を示す。また、Bは酸素原子又は硫黄原子を示す。
上記一般式(1)中、s及びtは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、rは0又は1以上の整数を示す。
構成単位(1)は、下記一般式(2)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(2)中、R〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、水素原子の一部又は全てがハロゲン化されているハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、又はニトリル基を示す。
上記一般式(2)中、A及びDは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−COO−、−SO−、−SO−、−(CF−(iは1〜10の整数を示す)、−(CH−(jは1〜10の整数を示す)、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、及びフルオレニリデン基を示す。中でも、単結合、−O−、又は−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を示す)が好ましい。R’の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。また、Bは酸素原子又は硫黄原子を示す。
上記一般式(2)中、l及びmは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、qは2以上の整数を示す。mは0又は1であることが好ましく、lは0又は1であることが好ましい。n及びpは各構造単位の組成比を示し、0≦p≦1であり、n+p=1である。pは0.01≦p≦1であることが好ましく、0.05≦p≦1であることが更に好ましく、0.1≦p≦1であることが特に好ましい。また、tは0〜4の整数を示す。tは0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることが更に好ましい。
上記一般式(2)中、Phは縮合芳香族環構造を有する2価の基を示す。縮合芳香族環構造を有する2価の基の具体例としては、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環等の環構造を有する2価の基が挙げられる。中でもナフタレン環からなる2価の基が好ましい。これらを含有することによって、前記一般式(1)で表される構成単位を含む重合体に耐水性を付与することができる。
構成単位(1)は、下記一般式(3)で表される構成単位であることが更に好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(3)中、Aは単結合、−O−、−CO−、−SO−、−SO−、−(CF−(iは1〜10の整数を示す)、−(CH−(jは1〜10の整数を示す)、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、又はフルオレニリデン基を示す。Dは単結合、−O−、−CO−、−(CH−(jは1〜10の整数を示す)、又は−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はハロゲン化炭化水素基を示す)を示す。Phは縮合芳香族環構造を有する2価の基を示す。R〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、水素原子の一部又は全てがハロゲン化されているハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、又はニトリル基を示す。
上記一般式(3)中、l及びmは、それぞれ独立に、0〜4の整数を、qは2以上の整数を、tは0〜4の整数を示す。n及びpは各構造単位の組成比を示し、pは0≦p≦1であり、n+p=1である。
構成単位(1)は、下記一般式(4)で表される構成単位であることが更に好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(4)中、Dは、−O−又は−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示す)を示す。
上記一般式(4)中、qは2以上の整数を示し、tは0〜4の整数を示す。n及びpは各構造単位の組成比を示し、pは0≦p≦1であり、n+p=1である。尚、pは0.01≦p≦1であることが好ましい。
上記一般式(4)中、Pは下記一般式(5−1)〜(5−3)で表されるいずれかの構造であり、Phは下記一般式(6)で表される構造である。
Figure 2010285540
重合体の耐水性を向上させるためには、より多くの構成単位(1)を導入すること、即ち、前記pの値が大きいほど望ましい。しかしながら、多くの構成単位(1)を導入すると、生成物の溶解性が著しく低下し、取り扱いが困難になる場合がある。その場合、2種類以上の異なる構成単位(1)を用いることにより、生成物の溶解性が維持でき、より多くの構成単位(1)を導入することが可能になる。
このような構成単位(1)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
pが0のもの、即ち縮合芳香族環を有さない構成単位の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2010285540
また、pが0以外のもの、即ち縮合芳香族環構造を有する構成単位の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2010285540
Figure 2010285540
Figure 2010285540
(2)含窒素複素環基を有する構成単位
重合体には、構成単位(2)が含まれていてもよい。含窒素複素環基は、下記一般式(7−1)で表される構造を有するものである。
−(R−(V−R ・・・(7−1)
上記一般式(7−1)中、Vは−O−、−S−、単結合、−CO−、−SO−、又は−SO−を示す。中でも、電子吸引性基が好ましい。
上記一般式(7−1)中、Rは含窒素複素環基を示す。複素環には、窒素原子が1個以上あれば特に制限されず、窒素以外に酸素や硫黄を含んでいても良い。
を構成する含窒素複素環基の具体例としては、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、プリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリン等の含窒素複素環化合物及びこれらの誘導体の炭素又は窒素に結合する水素原子が引き抜かれてなる構造の基が挙げられる。
これらの含窒素複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トルイル基、ナフチル基等のアリール基;シアノ基;フッ素原子等が挙げられる。
上記一般式(7−1)中、Rは、単結合又は任意の二価の有機基を示す。二価の有機基としては、炭素数1〜20の炭化水素基であればよく、その具体例としては、メチレン基、エチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等の芳香族環が挙げられる。
また、上記一般式(7−1)中のRは、−W−Ar−で表される基でもよい。Wは、−CO−、−SO−、−SO−、−(CF−(iは1〜10の整数を示す)、−C(CF−、又は単結合を示す。Arは、ベンゼン環、縮合芳香族環、及び含窒素複素環からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する2価の基を示す。尚、ベンゼン環、縮合芳香族環、及び含窒素複素環は、その水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置換されていてもよい。
上記一般式(7−1)中、eは、0〜4の整数を示し、fは、1〜5の整数を示す。
上記一般式(7−1)の含窒素複素環基は、下記一般式(7−2)で表される構造を有することが好ましい。
−R−V−R ・・・(7−2)
上記一般式(7−2)中、V、R、及びRは前記一般式(7−1)中のV、R、及びRと同義である。
構成単位(2)は、下記一般式(8)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(8)中、Ar10は、ベンゼン環、縮合芳香族環、及び含窒素複素環からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する2価の基を示す。但し、Ar10は、その水素原子の一部又は全てが、フッ素原子、ニトロ基、ニトリル基、アルキル基、アリル基、及びアリール基からなる群より選択される少なくとも一種の原子又は基で置換されていてもよい。また、アルキル基、アリル基、及びアリール基は、それぞれ独立に、その水素原子の一部又は全てがフッ素置換されていてもよい。
上記一般式(8)中、V、e、f、R、及びRは、前記一般式(7−1)及び(7−2)中のV、e、f、R、及びRと同義である。
また、構成単位(2)は、下記一般式(9)で表される構成単位であることが更に好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(9)中、e,f,V、R、及びRは、前記一般式(8)中のe,f,V、R、及びRと同義である。
上記一般式(9)において、含窒素複素環基Rは、ピリジン環であることが好ましい。含窒素複素環基Rがピリジン環であると、重合体の物理学的強度及び化学的安定性を向上させることができる。
また、上記一般式(9)において、Vは−CO−又は−SO−であることが好ましい。−CO−はピリジン環と組み合わせると、共役による安定化効果により熱的に安定な構造となり易い。
(3)スルホン酸基を有する構成単位
重合体は、構成単位(3)を含んでいてもよい。構成単位(3)は、下記一般式(10)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(10)中、Ar12及びAr13は、それぞれ独立に、ベンゼン環、縮合芳香族環(ナフタレン環等)、及び含窒素複素環からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する2価の基を示す。但し、ベンゼン環、縮合芳香族環、及び含窒素複素環は、それぞれ独立に、その水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
上記一般式(10)中、Yは、−CO−、−SO−、−SO−、−(CF−(iは1〜10の整数を示す)、−C(CF−、又は単結合を示す。Zは、−O−、−S−、単結合、−CO−、−SO−、−SO−、−(CH−(jは1〜10の整数を示す)、又は−C(CH−を示す。
上記一般式(10)中、R11は、単結合、−O(CH−、−O(CF−、−(CH−、又は−(CF−を示す(pは、1〜12の整数を示す)。
上記一般式(10)中、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子、又は脂肪族炭化水素基を示す。但し、上記一般式(10)に含まれる全てのR12及びR13のうち少なくとも1個は水素原子である。
上記一般式(10)中、xは0〜4の整数、xは1〜5の整数、aは0〜1の整数を示し、b1及びb2は、それぞれ独立に、0〜3の整数を示す。
構成単位(3)は、下記一般式(11)で表される構成単位であることが更に好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(11)中、Yは−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CFl’−(l’は1〜10の整数を示す)、又は−C(CF−を示す。このうち、−CO−又は−SO−であることが好ましい。
上記一般式(11)中、Zは単結合、−O−、又は−S−を示す。このうち単結合又は−O−であることが好ましい。Arは−SOH、−O(CHSOH、及び−O(CFSOHからなる群より選択される少なくとも一種の置換基(hは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基を示す。
芳香族基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましい。芳香族基は、−SOH、−O(CHSOH、又は−O(CFSOHによって、その水素原子が少なくとも1個置換されていることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上置換されていることが好ましい。
上記一般式(11)中、cは0〜10の整数を示し、0〜2の整数であることが好ましい。dは0〜10の整数を示し、0〜2の整数であることが好ましい。kは1〜4の整数を示す。
c、d、kの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせの具体例として、(1)c=0、d=0であり、Yは−CO−で、Arが置換基として−SOHを有するフェニル基である構造、
(2)c=1、d=0であり、Yは−CO−で、Zは−O−で、Arが置換基として−SOHを有するフェニル基である構造、
(3)c=1、d=1、k=1であり、Yは−CO−で、Zは−O−で、Arが置換基として−SOHを有するフェニル基である構造、
(4)c=1、d=0であり、Yは−CO−で、Arが置換基として2個の−SOHを有するナフチル基である構造、
(5)c=1、d=0であり、Yは−CO−で、Zは−O−で、Arが置換基として−O(CHSOHを有するフェニル基である構造等を挙げることができる。
構成単位(3)は、下記一般式(12)で表される構成単位であることも好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(12)中、Ar11、Ar12、及びAr13は、それぞれ独立に、ベンゼン環、縮合芳香族環(ナフタレン環等)、及び含窒素複素環からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する2価の基を示す。但し、前記ベンゼン環、縮合芳香族環、及び含窒素複素環は、それぞれ独立に、その水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
上記一般式(12)中、Yは、−CO−、−SO−、−SO−、−(CF−(iは1〜10の整数を示す)、−C(CF−、又は単結合を示す。Zは、−O−、−S−、単結合、−CO−、−SO−、−SO−、−(CH−(jは1〜10の整数を示す)、又は−C(CH−を示す。
上記一般式(12)中、R11は、単結合、−O(CH−、−O(CF−、−(CH−、又は−(CF−を示す(pは、1〜12の整数を示す)。
上記一般式(12)中、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子、又は脂肪族炭化水素基を示す。但し、上記一般式(12)中に含まれる全てのR12及びR13のうち少なくとも1個は水素原子である。
上記一般式(12)中、xは0〜4の整数、xは1〜5の整数、aは0〜1の整数を示し、b1及びb2は、それぞれ独立に、0〜3の整数を示す。
構成単位(3)は、下記一般式(12a)によって表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(12a)中、Ar11、Ar12、及びAr13は、それぞれ独立に、ベンゼン環、縮合芳香族環(ナフタレン環等)、及び含窒素複素環からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する2価の基を示す。但し、前記ベンゼン環、縮合芳香族環、及び含窒素複素環は、それぞれ独立に、その水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
上記一般式(12a)中、Yは、−CO−、−CONH−、−COO−、−SO−、−SO−、−(CF−(iは1〜10の整数を示す)、−C(CF−、又は単結合を示す。Zは、−O−、−S−、単結合、−CO−、−SO−、−SO−、−(CH−(jは1〜10の整数を示す)、又は−C(CH−を示す。
上記一般式(12a)中、R11は、単結合、−O(CH−、−O(CF−、−(CH−、又は−(CF−を示す(pは、1〜12の整数を示す)。
上記一般式(12a)中、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子、又は脂肪族炭化水素基を示す。但し、上記一般式(12a)中に含まれる全てのR12及びR13のうち少なくとも1個は水素原子である。
上記一般式(12a)中、xは0〜4の整数、xは1〜5の整数、aは0〜1の整数、bは0〜3の整数を示す。
前記一般式(12)又は(12a)で表される構成単位は、下記一般式(13)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(13)中、Y、Z、Ar、c、d、及びkは、前記一般式(11)中のY、Z、Ar、c、d、及びkと同義である。
(4)ポリアリーレン系共重合体の製造方法
ポリアリーレン系共重合体は、例えば以下に示すA法、B法、及びC法のいずれかの方法により製造することができる。
(4−A)A法
特開2004−137444号公報に記載の方法と同様に、下記一般式(14)で表されるスルホン酸エステル基を有するモノマー(A)、下記一般式(16)で表される縮合芳香族環構造を有するモノマー(B)、及び必要に応じて下記一般式(22)で表される含窒素複素環基を有するモノマー(C)を共重合させ、エステル基で保護されたスルホン酸基を有する重合体を製造する。このスルホン酸エステル基を脱エステル化することにより、目的のポリアリーレン系共重合体を合成することができる。
(モノマー(A))
モノマー(A)は、エステル基で保護されたスルホン酸基を有するモノマーであり、下記一般式(14)で表される。
Figure 2010285540
上記一般式(14)中、Ar11、Ar12、及びAr13は、それぞれ独立に、ベンゼン環、縮合芳香族環(ナフタレン環等)、及び含窒素複素環からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する2価の基を示す。但し、前記ベンゼン環、縮合芳香族環、及び含窒素複素環は、それぞれ独立に、その水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
上記一般式(14)中、Xは、塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、又はトルエンスルホニル基を示す。Yは、−CO−、−SO−、−SO−、−(CF−(iは1〜10の整数を示す)、−C(CF−、又は単結合を示す。Zは、−O−、−S−、単結合、−CO−、−SO−、−SO−、−(CH−(jは1〜10の整数を示す)、又は−C(CH−を示す。
上記一般式(14)中、R11は、単結合、−O(CH−、−O(CF−、−(CH−、又は−(CF−を示す(pは、1〜12の整数を示す)。R12及びR13は、水素原子、アルカリ金属原子、又は脂肪族炭化水素基を示す。但し、上記一般式(14)中に含まれる全てのR12及びR13のうち少なくとも1個は水素原子である。
上記一般式(14)中、xは0〜4の整数、xは1〜5の整数を示す。aは0〜1の整数、bは0〜3の整数を示す。
上記一般式(14)で表されるモノマー(A)は、下記一般式(15)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(15)中、Xは、塩素原子、臭素原子、又は−OSORbを示す。ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基、又はアリール基を示す。
上記一般式(15)中、Y及びZは、前記一般式(14)中のY及びZと同義である。cは0〜10の整数を示し、0〜2の整数であることが好ましい。dは0〜10の整数を示し、0〜2の整数であることが好ましい。kは1〜4の整数を示す。
上記一般式(15)中、Arは、−SOR、−O(CHSOR、及び−O(CFSORからなる群より選択される少なくとも一種の構造で表される置換基を有する芳香族基を示す(hは1〜12の整数を示す)。また、Rは、炭素数4〜12のアルキル基を示す。
上記一般式(15)で表されるモノマー化合物の具体例としては、下記式で表される化合物、並びに、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、及び特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
Figure 2010285540
上記一般式(15)で表されるモノマー化合物において、スルホン酸エステル構造は、通常、カルボニル基のメタ位に結合している。
(モノマー(B))
モノマー(B)は、縮合芳香族環構造を有するモノマーであり、下記一般式(16)で表される。
Figure 2010285540
上記一般式(16)中、Ar21、Ar22、Ar23、及びAr24は、それぞれ独立に、ベンゼン環、縮合芳香族環、及び含窒素複素環からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する2価の基を示す。但し、Ar21、Ar22、Ar23、及びAr24は、それぞれ独立に、その水素原子の一部又は全てが、フッ素原子、ニトロ基、ニトリル基、アルキル基、アリル基、及びアリール基からなる群より選択される少なくとも一種の原子又は基で置換されていてもよい。また、アルキル基、アリル基、及びアリール基は、それぞれ独立に、その水素原子の一部又は全てがフッ素置換されていてもよい。
上記一般式(16)中、Xは、塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、又はトルエンスルホニル基を示す。
上記一般式(16)中、A及びDは、それぞれ独立に、単結合、−CO−、−SO−、−SO−、−(CF−(iは1〜10の整数を示す)、−(CH−(jは1〜10の整数を示す)、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、又は−S−を示す。Bは酸素原子又は硫黄原子を示す。s及びtは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、rは0又は1以上の整数を示す。
上記一般式(16)で表されるモノマー(B)は、下記一般式(17)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(17)中、A、B、D、R〜R20、l、m、n、p、q、及びtは、前記一般式(2)中のA、B、D、R〜R20、l、m、n、p、q、及びtと同義である。
上記一般式(17)中、Xは、フッ素を除くハロゲン原子、−SOCH、又は−SOCFを示す。Phは縮合芳香族環を有する2価の基を示し、中でも、ナフタレン基、アントラセン基、テトラセン基、又はペンタセン基が好ましい。
上記一般式(17)で表されるモノマー化合物は、下記一般式(18)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(18)中、A、D、Ph、R〜R20、l、m、n、p、q、及びtは、前記一般式(2)中のA、D、Ph、R〜R20、l、m、n、p、q、及びtと同義である。Xは、フッ素を除くハロゲン原子のいずれかを示す。
上記一般式(18)で表されるモノマー化合物は、下記一般式(19)で表される構造であることが更に好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(19)中、D、Ph、n、p、q、及びtは、前記一般式(17)中のD、Ph、n、p、q、及びtと、Pは、前記一般式(4)中のPとそれぞれ同義である。Xはフッ素を除くハロゲン原子のいずれかを示す。尚、pは0.01≦p≦1であることが好ましい。
上記一般式(19)で表される化合物は、例えば、次のような反応により合成することができる。まず、下記一般式(20−1)で表されるビスフェノール類、必要に応じて一般式(20−2)で表されるビスフェノール類をアルカリ金属塩とする。
Figure 2010285540
上記一般式(20−1)及び(20−2)中、R〜R20、D、m、t、及びPhは、前記一般式(17)中のR〜R20、D、m、t、及びPhと同義である。
上記一般式(20−1)で表されるビスフェノール類の具体例として、1,3−ビス[1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン(Bis−M)、1,4−ビス[1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(Bis−A)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(Bis−AF)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(4,4’−DHBP)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(4,4’−DHDS)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(4,4’−DHBP)、ビス(4―ヒドロキシフェニル)メタン、レゾルシノール(RES)、ヒドロキノン(HQ)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCFL)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−フェニルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2−シクロヘキシルフェノール)等が挙げられる。中でも1,3−ビス[1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン(Bis−M)、1,4−ビス[1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(Bis−AF)、レゾルシノール(RES)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL)が好ましい。これらのビスフェノール類は、一種単独で、又は二種以上を併せて使用しても良い。
上記一般式(20−2)で表されるビスフェノール類の具体例として、1,5−ジヒドロキシナフタレン(1,5−NAP)、1,6−ジヒドロキシナフタレン(1,6−NAP)、1,7−ジヒドロキシナフタレン(1,7−NAP)、2,6−ジヒドロキシナフタレン(2,6−NAP)、2,7−ジヒドロキシナフタレン(2,7−NAP)、2,3−ジヒドロキシナフタレン(2,3−NAP)等が挙げられる。中でも、2,7−ジヒドロキシナフタレン(2,7−NAP)、1,5−ジヒドロキシナフタレン(1,5−NAP)、1,6−ジヒドロキシナフタレン(1,6−NAP)、1,7−ジヒドロキシナフタレン(1,7−NAP)が好ましい。これらのビスフェノール類は、一種単独で、又は二種以上を併せて使用しても良い。
前記ビスフェノール類を、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイド等の誘電率の高い極性溶媒に溶解した後、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩等を加える。アルカリ金属は、ビスフェノール類の水酸基に対し過剰量で反応させることが好ましい。具体的には、水酸基数に対してアルカリ金属の添加量が、通常1.1〜2倍等量であり、1.2〜1.5倍等量であることが好ましい。この時、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、アニソール等の水と共沸する溶媒を共存させて、反応の進行を促進させることが好ましい。
前記反応で得たビスフェノール類のアルカリ金属塩を下記一般式(21)で表されるジハロゲン化物と反応させる。
Figure 2010285540
上記一般式(21)中、A及びR〜Rは、前記一般式(17)中のA及びR〜Rと同義である。Halはハロゲン原子のいずれか少なくとも一種の原子を示す。中でも、フッ素原子及び塩素原子が特に好ましい。
上記一般式(21)で表されるジハロゲン化物の具体例として、4,4’−ジクロロベンゾフェノン(4,4’−DCBP)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(4,4’−DFBP)、4−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(4,4’−DCDS)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン(4,4’−DFDS)、2,6−ジニトロベンゾニトリル、2,5−ジニトロベンゾニトリル、2,4−ジニトロベンゾニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル(2,6−DCBN)、2,5−ジクロロベンゾニトリル(2,5−DCBN)、2,4−ジクロロベンゾニトリル(2,4−DBN)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(2,6−DFBN)、2,5−ジフルオロベンゾニトリル(2,5−DFBN)、2,4−ジフルオロベンゾニトリル(2,4−DFBN)等が挙げられる。これらのビスフェノール類は、一種単独で、又は二種以上を併せて使用しても良い。
前記ジハロゲン化物は、ビスフェノール1molに対し1.0001〜3molの量で用いられ、1.001〜2molの量で用いられることが好ましい。分子量は、前記の反応モル比によって調整される。芳香族ジハロゲン化物が過剰であるため、得られる化合物の両分子末端は、芳香族ジハロゲン化物に由来する構造となる。尚、ジフルオロ化合物やジニトロ化合物を用いた場合には、生成物の両分子末端のフルオロ基やニトロ基をクロロ基へと置換させるため、反応時間が半分経過した後にジクロロ化合物を添加する等の工夫が必要である。
これらの反応は、反応温度が60〜300℃、反応時間が15分〜100時間の範囲で行われる。中でも反応温度が80〜250℃、反応時間1〜24時間の範囲で行われることが好ましい。得られる化合物はオリゴマー又はポリマーであるが、これらはポリマーの一般的な精製方法、例えば、良溶媒に溶解させ、貧溶媒を用いて沈殿させる再沈殿法等によって精製することができる。
前記の方法で合成される芳香族化合物の具体例として、以下のものを挙げることができる。
Figure 2010285540
Figure 2010285540
Figure 2010285540
上記式中、n、p、及びqは、前記一般式(17)中のn、p、及びqと同義である。
以下の化合物は、n=0であり、前記一般式(20−2)で表される二種類以上の化合物を用いて構成される芳香族化合物の具体例である。
Figure 2010285540
Figure 2010285540
前記式中、p及びpは各構造単位の組成比を示し、pは0<p≦1であり、p+p=1である。
以下の化合物は、n=0であり、前記一般式(20−2)で表される一種類の化合物を用いて構成される芳香族化合物の具体例である。
Figure 2010285540
Figure 2010285540
上記式中、p及びqは、前記一般式(17)中のp及びqと同義である。
これらの芳香族化合物の中でも、前記一般式(20−1)で表される化合物として、1,3−ビス[1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン(Bis−M)、1,4−ビス[1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(Bis−AF)、レゾルシノール(RES);前記一般式(20−2)の化合物として、2,7−ジヒドロキシナフタレン(2,7−NAP)、1,5−ジヒドロキシナフタレン(1,5−NAP)、1,6−ジヒドロキシナフタレン(1,6−NAP)から合成される芳香族化合物が好ましい。
前記式中のn及びpの値を変更することにより、ポリマーのガラス転移温度を調整することができる。中でもポリマー加工性の観点から、pの値が0.1≦p≦1である化合物が好ましい。
(モノマー(C))
モノマー(C)は、含窒素複素環基を有するモノマーであり、下記一般式(22)で表される。
Figure 2010285540
上記一般式(22)中、W、V、Ar、R、e、及びfは、前記一般式(7−1)中のW、V、Ar、R、e、及びfと、Ar10は前記一般式(8)中のAr10とそれぞれ同義である。Xは、塩素原子、臭素原子、又は−OSORb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基、又はアリール基を示す)を示す。
前記モノマー(C)は、下記一般式(23)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2010285540
上記一般式(23)中、X、W、V、R、e、及びfは、前記一般式(22)中のX、W、V、R、e、及びfと同義である。
モノマー(C)の具体例として、下記の化合物を挙げることができる。
Figure 2010285540
Figure 2010285540
上記化合物の他に、塩素原子が臭素原子に置換された化合物や、塩素原子や臭素原子の結合位置が異なる異性体を挙げることができる。また、−CO−結合が、−SO−結合に置き換わった化合物を挙げることができる。これらの化合物は、一種単独で、又は二種以上を併せて用いてもよい。
モノマー(C)を合成する方法としては、例えば、下記一般式(24)で表される化合物(以下、単に「化合物(C−1)」ともいう)と、含窒素複素環化合物(以下、単に「化合物(C−2)」ともいう)とを、求核置換反応させる方法を挙げることができる。
Figure 2010285540
上記一般式(24)中、X、W、e、及びfは、前記一般式(23)中のX、W、e、及びfと同義である。X’はハロゲン原子を示し、フッ素原子又は塩素原子であることが好ましく、フッ素原子であることが更に好ましい。
前記化合物(C−1)の具体例としては、2,4−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、2,4−ジクロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホン、2,5−ジクロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホン、2,6−ジクロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホン、2,4−ジクロロフェニル−2’−フルオロフェニルスルホン、2,5−ジクロロフェニル−2’−フルオロフェニルスルホン、2,6−ジクロロフェニル−2’−フルオロフェニルスルホン等が挙げられる。中でも、2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノンが好ましい。
前記化合物(C−2)は活性水素を有するものであり、この活性水素と化合物(C−1)のX’で表される基を置換反応させることでモノマー(C)が得られる。化合物(C−2)の具体例としては、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、プリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリン、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン、2−ヒドロキシピリミジン、2−メルカプトピリジン、3−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。中でも、ピロール、イミダゾール、インドール、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾールが好ましい。
前記化合物(C−1)と化合物(C−2)との反応は、極性有機溶媒中で行うことが好ましい。極性有機溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。反応を促進するために、アルカリ金属、水素化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩等を用いることができる。前記化合物(C−1)と化合物(C−2)の使用割合は、化合物(C−1)1molに対して化合物(C−2)を1〜3mol使用することが好ましく、1〜1.5mol使用することが特に好ましい。
前記反応の反応温度は0〜300℃で、反応時間は15分〜100時間であり、反応温度が10〜200℃で、反応時間が1〜24時間であることが好ましい。生成物は再結晶等の方法で精製して用いることが好ましい。
(重合)
得られた前記モノマー(A)、(B)、及び(C)を共重合させることにより、本発明重合体の前駆体が得られる。この共重合反応は、触媒の存在下に行われる。この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系である。この触媒系は、(1)遷移金属塩、及び配位子となる化合物(以下、単に「配位子成分」ともいう。)又は配位子が配位した遷移金属錯体(銅塩を含む)、並びに(2)還元剤を必須成分とする。この反応には、重合速度を上げるために、遷移金属塩以外の塩を更に添加してもよい。
これらの触媒成分の具体例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件には、特開2001−342241号公報に記載の化合物及び条件を採用することができる。
遷移金属塩の具体例としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル等が挙げられる。また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、2,2’−ビピリジン等が好ましい。
あらかじめ配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)の具体例としては、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2’−ビピリジン)等が好ましい。
還元剤の具体例としては、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム等を挙げることできる。中でも、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。
塩の具体例としては、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
反応には重合溶媒を使用してもよい。重合溶媒の具体例としては、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が好ましい。
触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩又は配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)が、モノマーの総計1molに対し、通常0.0001〜10molであり、0.01〜0.5molであることが好ましい。触媒の使用割合がこの範囲にあれば触媒活性が高く、高分子量の重合体を得ることが可能である。触媒系に遷移金属塩以外の塩を使用する場合、モノマーの総計1molに対し、遷移金属塩以外の塩が、通常0.001〜100molであり、0.01〜1molであることが好ましい。遷移金属塩以外の塩の使用割合がこの範囲内であれば、重合速度を上げる効果が充分となる。
重合溶媒中におけるモノマーの総計の濃度は、通常、1〜90質量%であり、5〜40質量%であることが好ましい。また、重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃であり、50〜100℃であることが好ましい。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間であり、1〜40時間であることが好ましい。
得られた前記重合体の前駆体を加水分解して、構成単位中のスルホン酸エステル基(−SOR)をスルホン酸基(−SOH)に転換し、本発明の重合体の回収方法で好適に用いられる重合体を得る。加水分解は、(1)少量の塩酸を含む過剰量の水又はアルコールに、前記スルホン酸エステル基を有する重合体を投入し、5分間以上撹拌する方法、(2)トリフルオロ酢酸中で前記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜120℃で5〜10時間反応させる方法、(3)重合体中のスルホン酸エステル基(−SOR)1molに対してリチウムブロマイドを1〜3mol含む溶液、例えばN−メチルピロリドン等の溶液中で前記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜150℃で3〜10時間反応させた後、塩酸を添加する方法等により行うことができる。
(4−B)B法
前記A法以外にも、例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法と同様の方法で合成することができる。即ち、スルホン酸基、又はスルホン酸エステル基を有しない前記モノマー(A)と、前記モノマー(B)と、必要に応じて前記モノマー(C)とを共重合させて得られる重合体を、スルホン化剤を用いてスルホン化する方法(これをB法という)でポリアリーレン系共重合体を合成することができる。
B法において用いることのできる、スルホン酸基又はスルホン酸エステル基を有しないモノマー(A)の具体例として、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
(4−C)C法
前記方法以外にも、モノマー(A)の好適な構造を表す前記一般式(15)において、Arが−(CH−OH、又は−(CF−OHで表される置換基(hは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基である場合には、例えば、特開2005−60625号公報に記載の方法と同様の方法でポリアリーレン系共重合体を合成することができる。即ち、前記一般式(15)において、Arが−(CH−OH、又は−(CF−OHで表される置換基(hは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基であるモノマー(A)と、モノマー(B)と、必要に応じてモノマー(C)とを共重合させて重合体の前駆体を得る。得られた重合体の前駆体のヒドロキシル基に、アルキルスルホン酸、又は水素原子の一部又は全てがフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法(これをC法という)でポリアリーレン系共重合体を合成することができる。
前記C法において用いることのできる、前記一般式(15)で表されるモノマーの具体例として、特開2005−36125号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。前記ジハロゲン化物の具体例としては、2,5−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。また、これらの化合物のヒドロキシル基をテトラヒドロピラニル基等で保護した化合物を挙げることができる。更に、ヒドロキシル基がチオール基に換わったもの、塩素原子が、臭素原子、ヨウ素原子に置換されたものも挙げることができる。
前記C法では、スルホン酸基を有さない重合体に、特開2005−60625号公報に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する。即ち、重合体の前駆体のヒドロキシル基と、プロパンスルトン、ブタンスルトン等を反応させることでアルキルスルホン酸基を導入することができる。
1−2.貧溶媒:
貧溶媒としては、重合体が溶解しにくい溶媒であって、重合体溶液中の良溶媒と相溶性があるものを、いずれも好ましく用いることができ、重合体及び良溶媒の種類に応じて適宜選択して用いることができる。このような貧溶媒としては、重合体溶液から貧溶媒を用いて重合体を回収する従来技術において用いられる貧溶媒が挙げられる。本発明の重合体の回収方法において使用される貧溶媒の具体例としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、エーテル類、水等が挙げられる。これらの貧溶媒は一種単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。
重合体が前記ポリアリーレン系共重合体である場合、貧溶媒の具体例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチルが好ましく、水、メタノール、アセトン、ヘプタンが特に好ましい。
貧溶媒の添加量は、重合体の回収が可能な量であればよく、特に限定されるものではない。重合体溶液と貧溶媒の質量比(重合体溶液:貧溶媒)は、一般的には、1:0.5〜1:70であり、1:1〜1:50であることが好ましく、1:2〜1:30であることが更に好ましく、1:3〜1:4であることが特に好ましい。過多量の貧溶媒を用いると、コスト高になり作業効率が悪化する場合がある。また、貧溶媒量が過小であると、凝固した重合体粒子同士が付着してしまう等の問題が発生する場合がある。
1−3.凝固槽:
本発明の重合体の回収方法においては、工程(1)と、後述する工程(2)を凝固槽内で実施することが好ましい。凝固槽としては、特に制限はないが、撹拌翼及び内容物を排出可能な配管を備えたものであることが好ましい。
(撹拌翼)
撹拌翼としては、凝固槽の内容物を撹拌できるものであれば特に制限はなく、一般的なものを用いることができる。撹拌翼としては、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、ファウドラー翼、リボン翼、後退翼等が好ましい。尚、撹拌効率を高めるために、凝固槽内に邪魔板を配設しても良い。
(配管)
配管としては、凝固槽の内容物を排出することが可能であれば特に制限はなく、一般的なものを用いることができる。
2.工程(2):
工程(2)は、重合体溶液と貧溶媒との混合物を撹拌して前記重合体を凝固させる工程である。
撹拌条件としては、重合体溶液と貧溶媒が混合すれば良いため、特に制限なく一般的な撹拌条件が適用される。但し、重合体溶液へ直接貧溶媒を添加した後に撹拌を開始することが必要である。貧溶媒を添加する際に撹拌を開始すると、得られる重合体の凝固粒子のサイズが不均一になったり、大きな凝固粒子の塊が撹拌翼に付着してしまったりする等の不具合が発生する場合がある。
撹拌時間については、重合体溶液と貧溶媒が充分に撹拌される時間であれば特に制限はないが、1〜300分が好ましく、5〜200分が特に好ましい。
また、撹拌回転数についても、重合体溶液と貧溶媒が充分に撹拌される回転数であれば特に制限はないが、5〜500rpmが好ましく、10〜300rpmが特に好ましい。
3.工程(3):
工程(3)は、凝固した前記重合体を回収する工程である。
凝固した重合体は、例えば、濾過することにより回収できる。濾過する際の条件に特に制限はなく、一般的な濾過方法をいずれも用いることができる。
濾過により溶媒や重合反応残留物等を除去した後、数種類の貧溶媒を用いて、それぞれ複数回の洗浄を行う。洗浄方法に特に制限はなく、一般的な洗浄方法を用いることができる。具体的には、重合体に適当な貧溶媒を添加し、撹拌後、濾過して重合体を再回収する方法等である。
洗浄に用いられる貧溶媒の種類、量、洗浄回数に特に制限はないが、重合体がポリアリーレン系共重合体である場合、アセトンで1回、硫酸(濃度10質量%)で1回、更に純水で2回洗浄することが好ましい。
回収した重合体を乾燥する際の条件に特に制限はなく、一般的な乾燥条件を用いることができるが、重合体がポリアリーレン系共重合体である場合、80℃で一昼夜真空乾燥させることが好ましい。
以下、本発明の重合体の回収方法を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明の重合体の回収方法はこれらの実施例に限定されるものではない。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
<分子量測定>
溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されたポリスチレン換算のポリアリーレンの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
<数平均粒子径>
METTLER TOLEDO社製の商品名「Lasentec S400」を用いて測定された流径分布を解析することにより求めた。
<重合体の回収率>
凝固前の重合体溶液中の重合体の質量に対する、凝固後に洗浄・乾燥させた重合体の質量の割合として収率を求めた。
<金属含有割合>
ポリアリーレン系重合体の質量に対して、N−メチル−2−ピロリドンを50質量%程度含ませたのち、ポリエチレンシートにはさみ、180℃、150kg/cmの圧力でプレスし、直径4cmの試験片を作成した。作成した試験片を用いて蛍光X線回折法により金属含有割合を測定した。
[合成例]
オリゴマーの調製:
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、及び窒素導入用の三方コックを取り付けた1lの三口のフラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル49.4g(0.29mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン88.4g(0.26mol)、及び炭酸カリウム47.3g(0.34mol)を測り取った。系中の空気を窒素に置換した後、スルホランを346ml、トルエンを173ml加えて撹拌した。フラスコをオイルバスにつけ、150℃に加熱還流した。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら3時間反応させた。水の生成がほとんど認められなくなったことを確認した後、反応温度を徐々に上げながら大部分のトルエンを除去し、更に200℃で3時間反応をさせた。次いで、2,6−ジクロロベンゾニトリル12.3g(0.072mol)を加え、さらに5時間反応させた。
得られた反応液を放冷後、トルエン100mlを加えて希釈した。副生した無機化合物の沈殿を濾過除去し、濾液を2lのメタノール中に投入した。生成物の沈殿を濾別回収し、乾燥させた後、テトラヒドロフラン250mlに溶解させた。更に、この溶液をメタノール2lで再沈殿させ、沈殿物を濾別回収し、乾燥させ、目的の化合物107gを得た。
得られた目的の化合物の数平均分子量Mnは7,300であった。得られた化合物は下記式(I)で表されるオリゴマーであった。
Figure 2010285540
上記式(I)中、nは1以上の整数を示す。
ポリアリーレン系共重合体の重合:
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)540mlを、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル135.0g(0.336mol)、合成した上記一般式(I)のオリゴマー40.7g(5.6mmol)、2,5−ジクロロ−4’−(1−イミダゾリル)ベンゾフェノン6.71g(16.8mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(0.137mol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmol)、及び亜鉛53.7g(0.821mol)の混合物中に窒素雰囲気下で加えた。
前記反応系を撹拌下、79℃まで加熱し、3時間反応させた。反応途中、系中の粘度の上昇が観察された。得られた重合反応溶液をDMAc730mlで希釈し、30分撹拌した後、セライトを濾過助剤に用いて濾過した。濾液をエバポレーターで濃縮し、臭化リチウム43.8g(0.505mol)を加え、内温110℃で7時間、窒素雰囲気下で反応させた。尚、サンプリングとして、前記濾液の一部をメタノールに注ぎ、凝固させ分子量を測定しておいた。ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体を含む共重合体の分子量は、Mn=58,000、Mw=135,300であった。
(実施例1)
室温にまで冷却した反応液を濃縮し、固形分濃度が20質量%である重合体溶液を10g調製した。この重合体溶液の粘度は10Pa・sであった。この重合体溶液へ貧溶媒としてアセトン200gを添加した。その後、150rpmで1時間撹拌し、凝固粒子を濾別回収した。更に、10質量%の硫酸200gで洗浄した後、濾別回収し、80℃で一昼夜真空乾燥させ、目的のポリアリーレン系共重合体を得た。得られたポリアリーレン系共重合体の構造は下記式(II)で表される。このポリアリーレン系共重合体の分子量は、Mn=60,000、Mw=175,000であり、回収率は95%であった。
Figure 2010285540
上記式(II)中、l、m、n、及びoは、それぞれ独立に、1以上の整数を示す。
(比較例1)
重合体溶液をアセトン中に滴下して重合体を凝固させたこと以外は、全て実施例1と同様にポリアリーレン系共重合体を得た。回収率は60%であった。
実施例1で得られた重合体粒子の数平均粒子径は80μmであり、揃っていた。一方、比較例1で得られた重合体粒子は一部が大きな塊となって撹拌軸に付着したり、超微粒子になったりしており、粒径が数μmのものから数百μmのものまで存在し、揃っていなかった。
蛍光X線で測定した、実施例1及び比較例1で得られた重合体粒子中の亜鉛、ニッケル及びリンのそれぞれの含有割合を表1に示す。実施例1で得られた重合体粒子の金属含有割合は、比較例1で得られた重合体粒子の金属含有割合と比較して低かった。
Figure 2010285540
本発明の重合体の回収方法によれば、多量の溶媒を用いることなく、重合体溶液の粘度が高い場合でも大きな塊を生じず、重合体溶液から粒径の揃った重合体粒子を生産性よく回収することができる。

Claims (3)

  1. 重合体が溶解又は分散した液体に貧溶媒を加える工程(1)と、
    前記液体と前記貧溶媒との混合物を撹拌して前記重合体を凝固させる工程(2)と、
    凝固した前記重合体を回収する工程(3)と、
    を含む重合体の回収方法。
  2. 前記工程(1)が、撹拌翼、及び内容物を排出可能な配管を備えた凝固槽に入れた前記液体に、前記貧溶媒を加える工程である請求項1に記載の重合体の回収方法。
  3. 前記貧溶媒が、アルコール類、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、エーテル類、及び水からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載の重合体の回収方法。
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