JP2010284436A - 内視鏡用可撓管、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】オートクレーブ滅菌処理、及び過酸化水素プラズマ滅菌処理に対する耐性に優れ、且つ、付与されたマークの耐久性に優れた内視鏡用可撓撓管を提供する。
【解決手段】帯状部材を螺旋状に巻いて成形した螺旋管22、及び、該螺旋管22の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管24を有する金属製芯材20と、該金属製芯材20の外周に形成された、厚み1μm〜100μmの遮光層30と、該遮光層30の外周に形成された、該遮光層30よりも厚みが大きく、且つ、重合系高分子からなるエラストマーで構成された透明外皮層40と、前記遮光層30と前記透明外皮層40との間の一部に、又は、遮光層30の外周面の一部に形成された明色のマーク50と、を有する内視鏡用可撓管。
【選択図】図2

Description

本発明は、内視鏡用可撓管、及びその製造方法に関する。
医療用内視鏡の分野では、その使用に際して、感染防止のために、十分な消毒・滅菌が求められる。これを満たす滅菌方法として、近年、過酸化水素プラズマ法、オートクレーブ法が実施されるようになってきている。
過酸化水素プラズマ法は、プラズマにより過酸化水素を分解して活性なヒドロキシラジカルを発生させこれにより滅菌を行う方法である。また、オートクレーブ法は、高温・高圧の水蒸気に曝すことによる滅菌法である。
これらの方法は、いずれも滅菌には有効である一方で、樹脂材料に対する劣化作用も大きいことが知られている。
具体的には、例えば、従来から軟性内視鏡の挿入部の可撓管にはポリウレタンエラストマー等が用いられてきたが、このポリウレタンは過酸化水素プラズマ処理にあっては酸化により表面が除々に侵され、また、オートクレーブ処理によって容易に加水分解され、可撓管の内部保護としての機能を失うことが知られている。
こうしたことからオートクレーブ滅菌処理に耐える外皮材料についての検討が行われている。
例えば、特許文献1には、オレフィン系熱可塑エラストマーとポリオレフィン樹脂とから成る外皮からなる可撓管が、また、特許文献2には、にはスチレン系エラストマーを外皮とする可撓管が開示され、特許文献3には、フッ素系エラストマーを用いた可撓管が開示されている。
一方で、可撓管の外皮には、体内への挿入の際にその挿入長さを視認できるようにマークが設けられる。
従来の内視鏡用可撓管の挿入部では、黒色に着色されたウレタン系エラストマーからなる外皮上に白色顔料を含む塗料によりライン及び又は数字からなるマークを付し、この上に更に保護層を設けることで繰り返し使用での耐久性をもたせている。
しかしながら、感染の危険がある検査或いは治療において使用する内視鏡においては、オートクレーブ滅菌、過酸化水素プラズマ滅菌に先立つ、前洗浄でも入念な洗浄が行われることから、外皮材料の耐久性を向上させることのみでは不十分で、このマークを保護する保護膜も耐久性の高い材料が必要とされる。
例えば、特許文献4には、オレフィン系熱可塑エラストマーの外皮上にマークを付した後に再度押し出し成型でオレフィン樹脂の保護膜を設置する旨が開示されている。
しかしながら、化学的に耐久性の高い保護層をもってしても、外部との接触によるキズつき、擦動による磨耗等による物理的な劣化も考慮する必要があり、より高い耐久性の構造の可撓管が望まれていた。
特開2005−21243号公報 特開2005−224538号公報 特開平11−56762号公報 特開2007−20113号公報
そこで、本発明は、上記技術を考慮し、以下の目的を解決することを課題とする。
即ち、オートクレーブ滅菌処理、及び過酸化水素プラズマ滅菌処理に対する耐性に優れ、且つ、付与されたマークの耐久性に優れた内視鏡用可撓管、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題が下記の構成により解決されることを見出した。
即ち、本発明の構成は以下に示すものである。
請求項1に係る発明は、帯状部材を螺旋状に巻いて成形した螺旋管、及び、該螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管を有する金属製芯材と、
該金属製芯材の外周に形成された、厚み1μm〜100μmの遮光層と、
該遮光層の外周に形成された、該遮光層よりも厚みが大きく、且つ、重合系高分子からなるエラストマーで構成される透明外皮層と、
前記遮光層と前記透明外皮層との間の一部に、又は、遮光層の外周面の一部に形成された明色のマークと、
を有する内視鏡用可撓管である。
請求項2に係る発明は、前記重合系高分子からなるエラストマーが熱可塑性フッ素系エラストマーである請求項1に記載の内視鏡用可撓管である。
請求項3に係る発明は、前記明色のマークがチタンホワイト顔料とフッ素ゴムとを含む塗料からなる請求項1又は請求項2に記載の内視鏡用可撓管である。
請求項4に係る発明は、前記透明外皮層が、前記重合系高分子からなるエラストマーを架橋したもので構成された層であり、かつ、前記遮光層が、黒色顔料とフッ素ゴムとを含有し、架橋構造を有する層である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の内視鏡用可撓管である。
請求項5に係る発明は、少なくとも、熱可塑性フッ素系エラストマーを押し出し成型機によりチューブ状に成型してチューブ状の透明外皮層を形成する工程と、
該チューブ状の透明外皮層の内周面に、明色のマークを形成する工程と、
該明色のマークが形成されたチューブ状の透明外皮層の内周面に、フッ素生ゴム、黒色顔料、及び架橋剤を含有する塗料を塗布し、乾燥加熱して遮光層を形成し、当該チューブ状の透明外皮層と該遮光層とからなる積層体を得る工程と、
該積層体を、帯状部材を螺旋状に巻いて成形した螺旋管、及び、該螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管を有する金属製芯材に被せて、当該積層体と該金属製芯材とからなる集積体を形成する工程と、
該集積体に放射線を照射する工程と、
を含む内視鏡用可撓管の製造方法である。
請求項6に係る発明は、前記明色のマークの形成が、転写法により行われる請求項5に記載の内視鏡用可撓管の製造方法である。
本発明によれば、オートクレーブ滅菌処理、及び過酸化水素プラズマ滅菌処理に対する耐性に優れ、且つ、付与されたマークの耐久性に優れた内視鏡用可撓管、及びその製造方法を提供することができる。
本発明の内視鏡用可撓管を適用しうる内視鏡の一例を示す概略構成図である。 本発明の内視鏡用可撓管の構成の一例を示す断面図である。 本発明の内視鏡用可撓管の構成の別の一例を示す断面図である。
<内視鏡用可撓管>
本発明の内視鏡用可撓管は、帯状部材を螺旋状に巻いて成形した螺旋管、及び、該螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管を有する金属製芯材と、該金属製芯材の外周に形成された、厚み1μm〜100μmの遮光層と、該遮光層の外周に形成された、該遮光層よりも厚みが大きく、且つ、重合系高分子からなるエラストマーで構成された透明外皮層と、前記遮光層と前記透明外皮層との間の一部に、又は、遮光層の外周面の一部に形成された明色のマークと、を有することを特徴とする。
まず、本発明の内視鏡用可撓管が適用される内視鏡について説明する。
以下に、本発明の内視鏡用可撓管が適用される内視鏡の一例を図面に基づき説明する。
まず、図1を参照して、内視鏡の全体構成の一例について説明する。ここで、図1は、本発明の内視鏡用可撓管が適用される内視鏡10の全体構成を示す概略構成図である。
本実施形態に係る内視鏡10は、図1に示すように、患者の体腔内に挿入される長尺状の挿入部12を備えており、挿入部12の基端部には、本体操作部14が連設されている。この本体操作部14には光源装置(図示省略)に着脱可能に接続される長尺状のライトガイド軟性部16が連結されている。ライトガイド軟性部16の先端部には、光源装置(図示省略)に接続される端子を備えた接続部18が設けられている。また、本体操作部14には、挿入部12を操作するための操作ノブ20が設けられている。
挿入部12は、本体操作部14への連設部分から長手方向(軸方向)の大半の長さ部分を構成する可撓管12Aと、この可撓管12Aの長手方向先端側に連設されたアングル部12Bと、アングル部12Bの長手方向先端側に連設されると共に対物光学系等を内蔵した先端部本体12Cと、を備えている。この可撓管12Aに、本発明の内視鏡用可撓管が適用される。
アングル部12Bは、挿入部12に設けられた操作ノブ20を回転操作することにより、遠隔的に屈曲されるように構成されている。また、ライトガイド軟性部16も挿入部12の可撓管12Aとほぼ同様の構造となっている。
可撓管12Aは、先端部本体12Cを所定の観察対象部内にまで到達できる長さが確保され、かつ、本体操作部14を操作者が把持して操作するのに支障を来たさない程度にまで患者等から離すことができる長さに設定されている。可撓管12Aは、そのほぼ全長にわたって可撓性を持たせる必要があり、特に患者の体腔内等に挿入される部位はより可撓性に富む構造となっている。
また、可撓管12Aは、特に本体操作部14への連設部分では、体腔内等に挿入する際における押し込み推進力を得るために、曲げに対して所定の剛性が必要となる。また、可撓管12Aは、特にアングル部12Bへの連設部分では、アングル部12Bが湾曲したときに、この湾曲形状にある程度追従させるために、より可撓性がある方が好ましい。
可撓管12Aは、管状部内に図示しないライトガイド、イメージガイド(電子内視鏡の場合には信号ケーブル)、処置具挿通チャンネル、及び送気送水管等を内装している。
図2は、図1中の可撓管12A(本発明の内視鏡用可撓管)の構成の一例を示す要部断面図である。また、図3は、図1中の可撓管12A(本発明の内視鏡用可撓管)の構成の別の一例を示す要部断面図である。
図2に示すように、可撓管12Aaは、金属製の帯状部材を螺旋状に巻いて成形した螺旋管22と、この螺旋管33の外周に金属製の細線(線材)24aを編組みして環状に成形した網状管24と、からなる金属製芯材20上に、網状管24の外周に形成された遮光層30と、この遮光層30の外周に形成された透明外皮層40と、遮光層30と透明外皮層40との間の一部に形成された明色のマーク50と、を備えている。
また、図3に示すように、可撓管12Abは、図2に示す可撓管12Aaの透明外皮層40の更に上に、保護層60を備えている構成である。
以下、図2及び図3に示す可撓管を構成する各要素について、その形成方法と共に詳細に説明する。
透明外皮層40は、重合系高分子からなるエラストマー(以下、適宜、「重合系エラストマー」と称する。)で構成される。なお、ここで、透明外皮層40における「透明」とは、後述するマーク50が視認しうる程度の透明性を示す。
ここで重合系高分子からなるエラストマーとは、ビニル化合物の付加重合により得られる重合体からなるものであることを意味しており、縮合反応により得られるエラストマー、具体的には、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどは、かかる重合系高分子からなるエラストマーには包含されない。
本発明における重合系エラストマーとしては、所謂、熱可塑性エラストマーが用いられ、その中でも、成型の容易性及び成型物の残留歪が小さいことから、放射線照射、加熱などのエネルギー付与により架橋構造を形成しうる熱可塑性エラストマーが特に好ましく用いられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、フッ素系エラストマーを挙げることができる。
オレフィン系エラストマーでは分散状態のゴム相の粒子サイズが大きいと透明性が失われるので微細なものが好ましい。オレフィン系エラストマーとして具体的には、三菱化学製のゼラスを挙げることができる。
また、スチレン系エラストマーとしては、トリブロック型のブロック共重合体が好ましく、具体的には、三菱化学製のラバロンを挙げることができる。
本発明において、最も好ましいものは、フッ素系のブロック共重合体からなる熱可塑性フッ素系エラストマーである。この材料は、特に透明性に優れ、光の散乱が少ないために、これを用いてなる透明外皮層40を通して、その内面に設置された明色のマーク50を遮光層30の背景の中に明瞭に視認することができる。
本発明に用いうる重合系エラストマーとしては、上述のごとく、熱可塑性フッ素系エラストマーであることが好ましく、更に好ましくは、放射線などのエネルギー付与により架橋構造を形成しうる熱可塑性フッ素系エラストマーである。
熱可塑性フッ素系エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントからなるブロック共重合体が好ましい。
ハードセグメントとしては、ビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン、及びエチレン/テトラフルオロエチレンから選択される重合体が挙げられる。
ソフトセグメントとしては、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル、及びテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
熱可塑性フッ素系エラストマーとしては、これらハードセグメントとソフトセグメントの双方を含む共重合体であることが好ましく、ハードセグメントとソフトセグメントの含有比率は、ハードセグメントが5質量部〜60質量部、ソフトセグメントが40質量部〜95質量部であることが好ましい。
この中でもでも、ハードセグメントがエチレン/テトラフルオロエチレンからなるものが、溶剤への耐久性が高い点でより好ましい。
また、透明外皮層40は、最終的に層内に架橋構造を有するものが好ましく、即ち、架橋構造は、重合系エラストマーを成型した後、エネルギー付与、好ましくは放射線照射により形成される。
架橋構造の形成性の観点から、重合系エラストマーに含まれるハードセグメントにおける架橋が容易になるように、ハードセグメントの末端にハロゲン化アルキレンモノマー、特に、沃化アルキレンモノマーが結合しているものが最も好ましい。
本発明に係る透明外皮層を構成する重合系エラストマーとしては、市販品を用いることができ、具体的な化合物としては、例えば、ダイキン工業(株)製のダイエルサーモプラスチック、T−530(ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン/エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体)、及びT−630(ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体)などを挙げることができる。
本発明において、透明外皮層40の厚みには特に制限はなく、内視鏡用可撓管の直径や用途により適宜選択されるが、金属製芯材の保護性、耐久性の観点から、少なくとも200μm以上であることが好ましく、また、可撓性を損なわないという観点からは、2000μm以下であることが好ましい。
なお、本発明の内視鏡用可撓管においては、透明外皮層40と金属製芯材20との間には後述する遮光層30が設けられるが、透明外皮層40は遮光層30よりも厚みが大きいことを要する。
より好ましくは、透明外皮層40の厚みは、遮光層30の3倍〜250倍の範囲である、より好ましくは5倍〜100倍である。
透明外皮層40は、前記重合系エラストマー単独からなる層であることが好ましく、特に、着色剤(顔料)及び顔料を分散させるための分散用樹脂や分散助剤等を含まない態様が好ましい。
透明外皮層40は、重合系エラストマーを加熱し、溶融押し出し法にて成形して形成することが好ましい。また、透明外皮層40中に架橋構造を形成するために、エネルギー付与(好ましくは放射線照射)が行われる。
遮光層30は、金属製芯材20と透明外皮層40との間に設けられる層であって、光の反射、散乱、また内蔵するライトガイドからの好ましくない光の漏洩等を防止するために、遮光性を要する層である。
遮光層30の厚さは、1μm〜100μmであることを要し、5μm〜50μmであることが好ましい。遮光層30が上記の範囲の厚みを有することで、十分な遮光性を確保することができ、且つ、遮光層30上に設けられた透明外皮層40の設置効果を低めることがない。
遮光層30は、ゴム中に黒色顔料を分散してなるものが好ましく、透明外皮層40との密着性や、十分な耐久性の点を考慮し、その材質を適宜選択すればよい。
本発明においては、遮光層30は、フッ素ゴムに黒色顔料を分散してなるものであることが好ましい。フッ素ゴムとしては、液状ゴムを架橋してなるフッ素ゴムであることが好ましい。
フッ素ゴムとしては、二元系、三元系の通常のフッ素ゴムを任意に用いることができる。具体的には、例えば、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレン/プロピレン、及びテトラフルオロエチレン/プロピレン/ビニリデンフルオライド等を挙げることができる。
ゴムの加硫(架橋)法は任意のものを用いることができ、架橋剤(任意の加硫剤、加硫助剤)を併用してもよい。
例えば、酸化カルシウムとポリフェノール化合物によるポリフェノール加硫法、アミン化合物を用いたアミン加硫法などがあるが、中でも、過酸化物加硫が、残留物、副生物が少ない点でより好ましい。架橋剤としては、有機過酸化物のなかから架橋条件に応じて任意に選択することができ、代表的には、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等を挙げることができる。
有機過酸化物を用いる場合の添加量としては、遮光層を構成するゴム成分に対し、1質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。
架橋効率を上げる目的で、共架橋剤として多官能のビニル化合物を添加するのが好ましく、そのような共架橋剤としては、例えばトリアリルイソシアヌレート、トリメタクリルイソシアヌレート等が挙げられる。
共架橋剤を用いる場合の添加量としては、遮光層を構成するゴム成分に対し、2質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。
遮光層30に含まれる黒色顔料としては、所望の遮光性を達成しうるものであれば、任意に選択しうるが、例えば、カーボンブラック、チタンホワイト、四三酸化鉄系の黒色顔料の他、有機黒色顔料を用いることが好ましい。
また、この黒色顔料はレーザーの照射により白色化(明色化)する機能を持った多成分からなる顔料組成物であってもよい。このような顔料組成物を用いと、遮光層30にレーザーが照射されると、遮光層30の外周面の照射部分が白色化(明色化)することになるため、その結果として、マークを形成することができる(レーザーマーキング)。
遮光層に含まれる黒色顔料の含有量としては、遮光層を構成する全組成物に対して、5質量%〜50質量%の範囲であることが遮光性の観点から好ましく、より好ましくは、10質量%〜30質量%の範囲である。
遮光層30を形成するための遮光層形成用組成物は、フッ素ゴム、黒色顔料、更に所望により添加される架橋剤などをよく混合することで調製される。具体的には、押し出し成型により遮光層30を形成する場合には、各成分を定法のゴムの混練法により混練することで、遮光層形成用組成物を調製する。また、溶液を塗布することで遮光層30を形成する場合には、ゴム、顔料及び架橋剤等を溶媒に攪拌しながら溶解させることで遮光層形成用組成物(溶液)を調製することができる。
ここで溶剤としては、メイルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶媒を用いることができる。
上述のようにして調製された遮光層形成用組成物を、押し出し法、塗布法などにより予め形成された透明外皮層40に密着させ、加熱硬化することで、遮光層30が形成される。このように透明外皮層40上に遮光層を積層した後、加熱によりフッ素ゴムの架橋構造を形成することが好ましい。
なお、遮光層30を押し出し法で形成する場合には、例えば、透明外皮層40と遮光層30とを二色押し出し成型機により同時に押し出すことで積層体として形成してもよい。また、クロスヘッドダイを用いた被覆型の成型機を用いて、透明外皮層40と遮光層30との両層を逐次形成しても積層体としてもよい。
なお、後述するように、加熱を行うことで、透明外皮層40と遮光層30の両層の密着性が向上する点や、顔料の分散性が良好で、薄い遮光層30を均一に形成しうるという点を考慮すれは、塗布法により遮光層30を形成することが好ましい。
遮光層30を構成するフッ素ゴムの架橋は加熱することにより行うことができる。架橋構造の形成時期は、未硬化の遮光層30と透明外被層40とが積層された以降であれば、可撓管の製造途中の段階でもよいし、また、全ての加工が終わった最終段階で実施してもよく、また、複数回にわたって実施してもよい。
なお、未硬化の遮光層30を透明外皮層40に積層した後に加熱して遮光層30を硬化させることにより、フッ素ゴムの硬化と共に、当該フッ素ゴム層と積層される透明外皮層40を構成する重合系エラストマーが架橋により強固に一体化されるという利点をも有することになる。
透明外皮層40と遮光層30の厚みの合計は、可撓管の大きさにより適宜選択されるが、一般的には、0.2mm以上1mm以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.3mm以上0.5mm以下である。
マーク50は、図2及び図3に示すように、遮光層30と透明外皮層40との間の一部に設けられているか、遮光層30の外周面の一部に形成されてもよい。
マーク50が、遮光層30と透明外皮層40との間の一部に設けられている場合、このマークを構成する材料は、柔軟性があり、耐久性が良好であるものであれば任意のものを用いることができる。具体的には、マーク50は、白色顔料を柔軟性のあるバインダーに分散してなるものが好ましい。
特に、透明外皮層40が熱可塑性フッ素系エラストマーを含有する場合には、マーク50が、白色顔料を液状ゴムに分散してなるもので形成されることが好ましい。この場合に用いられる液状ゴムは、遮光層30において用いられるものの範囲から選択することができ、特にフッ素ゴムが好ましい。また、架橋剤、共架橋剤も遮光層30において用いられるものの範囲から選択することができる。ここで、白色顔料としては、チタンホワイト顔料が好ましい。
このマーク50の形成方法としては、例えば、マーク付の樹脂棒上に透明外皮層40を被せた後、樹脂棒上のマークを透明樹脂層40の内面に転写する方法(転写法)、透明外皮層40の内面に予めマークを付した後に、このマークを挟んで透明外皮内面に遮光層30を形成する方法、金属製芯材20上に遮光層30を設置し、この遮光層30上のマーク50を形成した後に、透明外皮層40を被覆する方法、前述のように、レーザー照射により明色に変色する材料を含有する遮光層30及び透明外皮層40を金属製芯材20上に形成し、この遮光層30をレーザーマーキングにより必要部分を明色に変化せしめる方法、等が用いられる。
本発明の内視鏡用可撓管は、図3に示すように、透明外皮層40上には、更に、透明な保護層60を有していてもよい。
保護層60は、透明外皮層40を構成する重合性エラストマーよりも硬度の高い、溶媒可溶性の柔軟性フッ素樹脂を用いることが好ましい。
ここで、エラストマーと柔軟性樹脂との境界は明確ではないが、硬度がショア硬度で略A70以下のものをエラストマーとし、A80を超えてショアD硬度で測定しる硬度領域のものを軟性樹脂と呼ぶのが一般的である。本発明では、この規定を採用し、軟性樹脂と呼ばれる樹脂を、この保護層60に好適に用いる。
保護層60に好適に用いられるフッ素系軟性樹脂は、結晶性の重合体を与える単量体成分と非晶質の重合体成分とが共重合されてなるものである。
例えば、テトロラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライドの共重合体である。これはフッ素ゴムと同じ組成であるが、ゴム状領域ではない領域の組成とすることで適度な柔軟性の樹脂とすることができる。この組成領域については米国特許第3,235,537号明細書に記載されている。
また、別な例としては、非晶性の重合体に結晶性の重合体をグラフト重合させた樹脂がある。例えば、ビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオライド/クロロトリフルオロエチレンの幹重合体に枝重合体としてビニリデンフルオライドの単一重合体をグラフト重合体である。前者のタイプの溶剤可溶性の柔軟性樹脂としては、住友スリーエム(株)製のTHV220Aが、後者の軟性樹脂としては、セントラルガラス(株)製のセフラルソフトG120、G150、G180などを挙げることができる。中でも、セフラルソフトが強度、耐熱性の点で好ましい。
本発明では、上記のような柔軟性樹脂を溶剤に溶解して塗布、乾燥することで保護層60を形成する。柔軟性樹脂を溶解する溶媒としては、必要な樹脂濃度で溶解が可能であればよく、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。また、常温近くでは溶解性が低いものの、昇温することで溶解しうる溶剤であってもよい。これは潜伏溶剤と称され、これらは高沸点であることで、高温での溶解が可能でありポリビニリデンフルオライドの溶液塗布において使用されている。このような溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、3−メチル−シクロヘキサノン、4−メチル−シクロヘキサノン、メイルイソブチルケトン、酢酸ブチルなどを挙げることができる。
本発明において、最も好ましく用いられる、ビニリデンフルオライド/クロロトリフルオロエチレンの幹重合体に枝重合体としてビニリデンフルオライドの単一重合体をグラフト重合してなる重合体(セフラルソフト)と、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノンとの組み合わせでは、100℃での加温により、高濃度での溶解が可能であり、かつ、冷却により析出することなくゲル化するという特異的な性状が得られる。
こうしたゲル化するという特性により、溶液塗布による製膜中に膜の濁りの発生もなく、また、乾燥途中での液垂れの問題もなく、均一な膜厚みの製膜が可能である。
保護層60の厚みは、透明外皮層40を磨耗による損傷から守るに足る厚みであることが必要である一方で、厚すぎると透明外皮層40の柔軟性を損なうことになるために、100μm以下で1μm以上の範囲が好ましい。より好ましくは30μm以下で2μm以上の範囲である。
保護層60の形成の際に用いられる塗布方法としては、ディップ塗布、スプレー法、塗布ヘッドのスリットから透明外皮層40上に液を吐出させる塗布法等があるが、これらのうちでディップ塗布法が上記の範囲の厚みの保護層60の形成に際し、好ましい。
保護層60を形成するために用いられる塗布液には、柔軟性樹脂の他に複数の不飽和結合を含む共架橋剤を含有せしめることが好ましい。共架橋剤を含有せしめることで、放射線の照射により、保護層60の耐熱性が向上するほか、保護層60と透明外皮層40との密着強度が向上し、より物理耐久性、熱耐久性に優れた内視鏡用可撓管を得ることができる。
<内視鏡用可撓管の製造方法>
本発明の内視鏡用可撓管の製造方法は、少なくとも、熱可塑性フッ素系エラストマーを押し出し成型機によりチューブ状に成型してチューブ状の透明外皮層を形成する工程(以下、(a)工程と称する。)と、該チューブ状の透明外皮層の内周面に、明色のマークを形成する工程(以下、(b)工程と称する。)と、該明色のマークが形成されたチューブ状の透明外皮層の内周面に、フッ素生ゴム、黒色顔料、及び架橋剤を含有する塗料を塗布し、乾燥加熱して遮光層を形成し、当該チューブ状の透明外皮層と該遮光層とからなる積層体を得る工程(以下、(c)工程と称する。)と、該積層体を、帯状部材を螺旋状に巻いて成形した螺旋管、及び、該螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管を有する金属製芯材に被せて、当該積層体と該金属製芯材とからなる集積体を形成する工程(以下、(d)工程と称する。)と、該集積体に放射線を照射する工程(以下、(e)工程と称する。)と、を含むことを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
−(a)工程−
まず、(a)工程において、熱可塑性フッ素系エラストマーを押し出し成型機によりチューブ状に成型してチューブ状の透明外皮層を形成する。
このチューブ状の透明外皮層が透明外皮層40となるため、この厚さについては、前述の透明外皮層40の厚さの範囲となる。
−(b)工程−
(b)工程において、(a)工程で形成されたチューブ状の透明外皮層の内周面に、明色のマークを形成する。本工程では、明色のマークの形成に転写法が用いられる。この(b)工程を経ることで、チューブ状の透明外皮層(透明外皮層40)の内周面に所望の明色のマークが形成される。
−(c)工程−
(c)工程では、(b)工程にて明色のマークが形成されたチューブ状の透明外皮層の内周面に、フッ素生ゴム、黒色顔料、及び架橋剤を含有する塗料を塗布し、乾燥加熱して遮光層を形成し、チューブ状の透明外皮層と遮光層とからなる積層体を得る。
本工程では、明色のマークが形成されたチューブ状の透明外皮層の内周面に、上記の成分を含有する遮光層形成用の塗料を付与した後、乾燥加熱することで未硬化の遮光層の硬化を行う。この結果、チューブ状の透明外皮層と硬化した遮光層30との積層体が得られる。このように、予めチューブ状に形成された透明外皮層の内周面に、塗布法を用いて遮光層を形成することで、均一で、且つ、薄い遮光層を形成することができる。
なお、本工程において、乾燥加熱を行うことで、チューブ状の透明外皮層40と遮光層30との密着性を向上させることができる。
−(d)工程−
(d)工程では、(c)工程で得られた積層体を、帯状部材を螺旋状に巻いて成形した螺旋管、及び、該螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管を有する金属製芯材に被せて、積層体と金属製芯材とからなる集積体を形成する。
本工程において、金属製芯材20の表面にプライマーを塗布した後、積層体を被せることで、遮光層30と金属製芯材20とを接着固定化することが好ましい。
プライマーとしては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤などが挙げられ、シランカップリング剤を用いることが好ましい。
シランカップリング剤としては、ビニル基を有するメトキシシラン、エトキシシラン、が好ましい。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランを挙げることができる。
接着方法として具体的には、金属製芯材20表面にシランカップリング剤の希薄溶液を塗布し、乾燥し、必要により加熱処理をした後に、積層体の遮光層30と密着させ、それ以降の工程で加熱することで、遮光層30と金属製芯材20とが加硫接着する。その結果、透明外皮層40と、遮光層30と、金属製芯材30と、の集積体が得られる。
このように、予め層として形成された遮光層30を金属製芯材20の表面に接着させて集積体とすることが本発明の製造方法の特徴である。これにより、遮光層30の内周面が金属製芯材20の最外層である網状管24と接触する部分のみ強固に接着されることになり、網状管24の良好な可撓性と、フッ素ゴムを主成分とする遮光層30、それと密着する重合性エラストマーを主成分とする透明外皮層40と、の高い伸縮性と相俟って、可撓性とその耐久性とに優れた可撓管を得ることができる。
なお、遮光層30を金属製芯材20に塗布法により設けると、遮光層30を構成するフッ素ゴムが網状管24の金属細線(24a)の間隙内部まで浸透し、その後、硬化されるために、可撓管の変形に伴い、金属細線間に存在する極めて薄いゴム層が破損、剥離し易くなるため、耐久性の観点から好ましくない。
−(e)工程−
(e)工程では、(d)工程で得られた集積体に放射線を照射する。
本工程における放射線の照射により、重合系エラストマーである熱可塑性フッ素系エラストマーからなる透明外皮層40中に架橋構造を形成することができる。透明外皮層40中に架橋構造が形成されることで、透明外皮層40の物理的強度と、耐熱性の向上が図れる。
本工程で用いる放射線としては、熱可塑性フッ素系エラストマーを均一に照射処理できるエネルギーの放射線であれば、γ線でもまた電子線でもよい。60Coを線源とするγ線は、金属製芯材20と一体化した形態での処理が可能であることから、本工程に好ましく用いられる。
照射量は5kGy〜500kGyの範囲で行われるが、好ましくは30kGy〜200kGyで用いられる。照射量が少ないと放射線架橋が進行せず、また、多すぎると逆に材料の劣化を招く。
放射線の照射は、窒素ブロー下で行うか、或いは、集積体を酸素バリヤー性の包装袋に除酸素剤とともに封入した状態で行われる。
放射線の照射後に、必要に応じて、加熱処理を行なうこともできる。加熱処理を行なうことで、加工に伴う歪を除去したり、揮発性残留物、或いは副生物を除去することができる。
また、本工程のような放射線の照射は、遮光層30や前述した任意の層である保護層60に対して必要に応じて行ってもよい。特に、保護層60が架橋成分などを含む場合には、放射線の照射により可撓管の最表面に位置する保護層60の強度、耐久性がより向上するので好ましい。この場合は、集積体表面に保護層60を形成し、全ての工程が終了した後、最後に可撓管全体を放射線にて処理すればよい。
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
〔実施例1〕
(マーク付チューブ状の透明外皮層の形成)
SUS304により作製した螺旋管と網状管からなる、外径5.0mmで長さが500mmの金属製芯材を製作した。
一方、ダイキン工業製サーモプラスチックT−530のペレットを原料とし、樹脂用押し出し成型機を用いて、ヘッド温度230℃で押し出して、外径6mm、内径5mm、長さ550mmの透明チューブを作成した。
別途、外径5mmのポリメチルペンテン樹脂棒上に、下記組成から成る白色ゴム塗料により、所定の間隔(100mm)でリング状にマークを描いた。
・フッ素生ゴム(ダイエルG−902、ダイキン工業製) 30部
・チタンホワイト(石原産業製CR−90) 15部
・パーヘキサ25B((株)日油製:過酸化物加硫剤) 0.5部
・トリアリルイソシアヌレート 1.2部
・メチルイソブチルケトン 70部
マーク付のポリメチルペンテン樹脂棒上に、透明チューブを被せ、窒素雰囲気中、148℃で30分加熱処理し、樹脂棒上のマークを透明チューブ内面に加硫接着した。
次いで、樹脂棒を引き抜くことで内部にマークが施された透明チューブを得た。
(遮光膜の形成)
次いで、この透明チューブを送液装置に接続し、チューブの内側に、下記組成からなるフッ素ゴム塗料を流通させることで塗布し、乾燥した後、チッソ雰囲気下の160℃で5分間、加熱処理することで硬化させた。これにより透明チューブ内に30μmの厚みの半加硫状態のフッ素ゴムの遮光層を形成して、透明外皮層と遮光層との積層体を得た。
・ダイエルG−902 生ゴム 30部
・MTカーボンブラック 6部
・パーヘキサ25B 0.5部
・トリアリルイソシアヌレート 1.2部
・MEK 70部
(金属製芯材への被覆)
前述の金属製芯材表面を、0.1%のトリメトキシビニルシラン含水アルコール溶液で処理した後、上記のようにして作製した透明チューブと遮光層との積層体を被せ、窒素雰囲気下で180℃、1時間加熱することで金属製芯材と積層体とを加硫接着した。
(保護層の形成)
軟性フッ素樹脂(セントラルガラス製 セフラルソフトG−150)の5%とトリアリルイソシアヌレートの0.25%を含むシクロヘキサノン溶液を100℃で溶解した溶液を用いて、上記のようにして作製した金属製芯材と積層体との集積体にディップ塗布することで、厚み10μmの保護層を形成した。
(放射線照射)
保護層を有する集積体に対して、脱酸素下で、コバルト60のγ線源を用いて、50kGyの量を照射した。
これにより、透明外皮層と保護層との架橋が行われ、実施例1における可撓管(A)を作製した。
〔比較例1〕
実施例1で用いた金属製芯材上に、ダイキン工業製サーモプラスチックT−530のペレットに100部に対して、軟性フッ素樹脂ベースの黒色カラーマスターバッチ(Colorant Chromatics社製 HTV−500 黒マスターバッチ)10部を混合した混合物を被覆成型し、黒色層を形成した。
続いて、この黒色層上に、白色のフッ素ゴム塗料(実施例1で用いた白色ゴム塗料)により、所定の間隔(100mm)でリング状にマークをスクリーン印刷にて形成した。
その後、実施例1と同様にして、軟性フッ素樹脂を用いた厚さ10μmの保護層を設置した後、放射線照射を行って、比較例1の可撓管(B)を作製した。
<評価>
−磨耗試験−
作製した可撓管(A)及び(B)について以下により磨耗試験を行なった。
検査する可撓管(A)及び(B)のマーク部分の上に、白着色したポリエチレンで被覆した金属棒を500gの加重で押し当て、100mm/sの速度で5000ストロークの擂動試験を行ない、試験後の可撓管上の傷付の有無を調べた。
次いで、折り曲げ試験機を用いて、このマーク部分を中心に90度の振り角度で可撓管の屈曲を5000回繰り返し、マーク部分での変形を観察した。
その結果、本発明の内視鏡用可撓管である可撓管(A)は、擂動試験後、表面にかすかなキズが見えるものの大きな変化が見られないのに対して、比較例1の可撓管(B)ではマーク端部で剥がれが観られた。
また、折り曲げ試験では、可撓管(A)が目立った変化がないのに対して、比較例1の可撓管(B)では、初期の剥がれ部分を基点にして剥がれ部分が広がっていた。
10 内視鏡
12A 可撓管
20 金属製芯材
22 螺旋管
24 網状管
30 遮光層
40 透明外皮層
50 マーク
60 保護層

Claims (6)

  1. 帯状部材を螺旋状に巻いて成形した螺旋管、及び、該螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管を有する金属製芯材と、
    該金属製芯材の外周に形成された、厚み1μm〜100μmの遮光層と、
    該遮光層の外周に形成された、該遮光層よりも厚みが大きく、且つ、重合系高分子からなるエラストマーで構成された透明外皮層と、
    前記遮光層と前記透明外皮層との間の一部に、又は、遮光層の外周面の一部に形成された明色のマークと、
    を有する内視鏡用可撓管。
  2. 前記重合系高分子からなるエラストマーが熱可塑性フッ素系エラストマーである請求項1に記載の内視鏡用可撓管。
  3. 前記明色のマークがチタンホワイト顔料とフッ素ゴムとを含む請求項1又は請求項2に記載の内視鏡用可撓管。
  4. 前記透明外皮層が、前記重合系高分子からなるエラストマーを架橋したもので構成された層であり、かつ、前記遮光層が、黒色顔料とフッ素ゴムとを含有し、架橋構造を有する層である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の内視鏡用可撓管。
  5. 少なくとも、熱可塑性フッ素系エラストマーを押し出し成型機によりチューブ状に成型して、チューブ状の透明外皮層を形成する工程と、
    該チューブ状の透明外皮層の内周面に、明色のマークを形成する工程と、
    該明色のマークが形成されたチューブ状の透明外皮層の内周面に、フッ素生ゴム、黒色顔料、及び架橋剤を含有する塗料を塗布し、乾燥加熱して遮光層を形成し、当該チューブ状の透明外皮層と該遮光層とからなる積層体を得る工程と、
    該積層体を、帯状部材を螺旋状に巻いて成形した螺旋管、及び、該螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管を有する金属製芯材に被せて、当該積層体と該金属製芯材とからなる集積体を形成する工程と、
    該集積体に放射線を照射する工程と、
    を含む内視鏡用可撓管の製造方法。
  6. 前記明色のマークの形成が、転写法により行われる請求項5に記載の内視鏡用可撓管の製造方法。
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