JP2010277911A - 色素増感型光電変換素子 - Google Patents

色素増感型光電変換素子 Download PDF

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隆史 関口
Shingo Kanbe
伸吾 神戸
Katsuhiro Iwasaki
克浩 岩崎
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Abstract

【課題】初期特性が高いと共に耐久性にも優れる色素増感型光電変換素子を提供する。
【解決手段】下記式(1)に示すルテニウム錯体である増感色素を担持した半導体電極を有する色素増感型光電変換素子。(Xは炭素数6〜12のアルキル基、カルボキシル基、又は芳香環上に炭素数4〜8のアルキル基若しくは炭素数4〜8のアルコキシ基を有していてもよいスチリル基を示す。)
Figure 2010277911

【選択図】なし

Description

本発明は、増感色素が担持された半導体層を備える光電変換素子、及びその製造方法に関する。
1991年にグレッツェルらが提唱した光電変換素子は、シリコン半導体のpn結合とは異なる機構により作動し、高い変換効率を示して注目を集めた。この光電変換素子は、光を捕集した色素が生成する励起電子を半導体内に注入することで光電変換を実現している。従って、光捕集力を高めるために増感色素を半導体に多量に担持させること、さらに増感色素からできるだけ早く半導体へ電子を注入させることが重要である。グレッツェル・セルとも呼ばれるこの新しい光電変換素子は、超微粒子の酸化チタンからなる多孔質膜に増感色素であるルテニウム錯体を担持させることで、この課題を解決している(例えば、非特許文献1参照)。
このグレッツェル・セルは、酸化チタンの超微粒子を分散したペーストを透明電極に塗布して半導体層を形成し、この半導体層に増感色素を担持させ、対電極との間に電解液を充填するだけで組み立てることができる。従って従来の太陽電池に較べて、簡便な装置で製造が可能であり、次世代太陽電池の一つとして注目されている。
しかし、このグレッツェル・セルと呼ばれる光電変換素子には、実用化にあたって耐久性に関する課題が残されている。すなわち、この光電変換素子について耐熱試験をおこなうと、出力の低下が認められる。この現象は、半導体層に担持している増感色素の担持状態の変化や変質等が要因となって生じると推察される。
グレッツェル(Gratzel)、外1名、ネイチャー(Nature)、(英国)、1991年10月24日、第353巻、p.737−740
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、初期特性が高いと共に耐久性にも優れる色素増感型光電変換素子、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る色素増感型光電変換素子1は、増感色素を担持した半導体層7が設けられた電極5と、前記半導体層7に対峙する対電極9と、前記電極5と対電極9との間に設けられた電荷輸送層13と、前記電荷輸送層13の周囲に形成され、前記電極5と対電極9との間で前記電荷輸送層13を保持する封止部10とを備える。前記増感色素は、下記式(1)に示すルテニウム錯体が、このルテニウム錯体1モルに対して2モル未満のテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドを含有するアルコール溶液で洗浄されたものを含む。
下記式(1)において、Xは炭素数6〜12のアルキル基、カルボキシル基、又は芳香環上に炭素数4〜8のアルキル基若しくは炭素数4〜8のアルコキシ基を有していてもよいスチリル基を示す。
Figure 2010277911
本発明に係る色素増感型光電変換素子1においては、上記ルテニウム錯体が、下記式(1’)に示す構造を有することが好ましい。
下記式(1’)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数4〜8のアルコキシ基を示す。
Figure 2010277911
本発明に係る色素増感型光電変換素子1の製造方法は、上記式(1)又は(1’)に示すルテニウム錯体を、当該ルテニウム錯体1モルに対して2モル未満のテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドを含有するアルコール溶液で洗浄し、洗浄後のルテニウム錯体を含む増感色素を、電極5に設けられた半導体層7に担持させ、この半導体層7と対電極9とを対峙させると共にこの半導体層7と対電極9との間に電解質を封入した後、60〜85℃の温度で熱処理を施すことを特徴とする。
本発明によれば、高い初期特性と耐久性とを有する色素増感型光電変換素子を得ることができる。
本発明の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本実施形態に係る色素増感型光電変換素子1における増感色素は、下記式(1)に示すルテニウム錯体を精製した精製後のルテニウム錯体を含む。このため、色素増感型光電変換素子1の初期特性が向上すると共に、耐久性が向上し、熱による負荷を受けても出力が低下しにくくなる。
Figure 2010277911
この式(1)において、Xは炭素数6〜12のアルキル基、カルボキシル基、又は芳香環上に炭素数4〜8のアルキル基若しくは炭素数4〜8のアルコキシ基を有していてもよいスチリル基を示す。炭素数6〜12のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が好ましく、またその炭素数は特に6〜10が好ましい。このようなアルキル基としては、具体的にはヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
また、式(1)中のXが芳香環に炭素数4〜8のアルキル基若しくは炭素数4〜8のアルコキシ基を有していてもよいスチリル基である場合の例として、下記式(1’)に示すルテニウム錯体が挙げられる。
Figure 2010277911
この式(1’)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数4〜8のアルキル基、又は炭素数4〜8のアルコキシ基を示す。炭素数4〜8のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状であることが好ましく、またこの炭素数は特に4〜6であることが好ましい。このアルキル基の具体例としては、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。このうち、ヘキシル基又はブチル基が特に好ましい。また、炭素数4〜8のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状であることが好ましく、またこの炭素数は特に4〜6が好ましい。このアルコキシ基の具体例としては、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。このうちヘキシルオキシ基又はブトキシ基が特に好ましい。
このような式(1)に示されるルテニウム錯体の具体例としては、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘプチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジオクチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジデシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II);
シス−ジ(イソチオシアナート)−ビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II);
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II);
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)等が挙げられる。
式(1)に示されるルテニウム錯体の製造方法の一例について説明する。このルテニウム錯体は、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマーに、下記式(2)で示されるビピリジン化合物、4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、及びチオシアン酸塩を反応させることで合成することができる。
Figure 2010277911
式(2)において、Xは炭素数6〜12のアルキル基、カルボキシル基、又は芳香環上に炭素数4〜8のアルキル基若しくは炭素数4〜8のアルコキシ基を有していてもよいスチリル基を示す。
このような反応は、例えば“J. Am. Chem. Soc. , 2005年, 127巻, 808頁”に記載されている方法により進行させることができる。すなわち、例えばまず第一反応として、溶媒中、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマーに、式(2)に示されるビピリジン化合物を反応させ、引き続き第二反応として、第一反応の反応液に4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジンを加えて反応させ、更に第三反応として、第二反応の反応液にチオシアン酸塩を加えて反応させることによって、式(1)に示されるルテニウム錯体を得ることができる。
式(2)に示されるビピリジン化合物中のXが、芳香環上に炭素数4〜8のアルキル基若しくは炭素数4〜8のアルコキシ基を有していてもよいスチリル基である場合の例として、下記式(2’)に示されるビピリジン化合物が挙げられる。
Figure 2010277911
この式(2’)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数4〜8のアルキル基、又は炭素数4〜8のアルコキシ基を示す。
式(2)に示されるビピリジン化合物の具体例としては、4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジヘプチル−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジオクチル−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジデシル−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−イソブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−sec−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−ペンチルスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−ヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−イソヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−ヘプチルスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−オクチルスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−イソブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−sec−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−ペンチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−イソヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−ヘプチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(p−オクチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン等が挙げられる。
まず第一反応について説明する。式(2)に示されるビピリジン化合物の使用量は、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマーのルテニウム原子1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは0.9〜1.2モル、更に好ましくは0.95〜1.05モルである。
溶媒としては、反応を阻害しなければ特に制限されないが、特にN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。溶媒は一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。この溶媒の使用量は特に制限されないが、式(2)で示されるビピリジン化合物1質量部に対して通常は5〜100質量部、好ましくは10〜60質量部の範囲とすればよい。
原料の供給順序は特に限定されず、例えば反応器にまずジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー及び溶媒を仕込み、これを攪拌しながら式(2)で示されるビピリジン化合物を投入する方法や、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー、溶媒及び式(2)で示されるビピリジン化合物を同時に反応器に仕込む方法などが挙げられる。
この第一反応の反応温度は、通常は40℃以上であればよく、50℃以上であれば好ましく、55〜120℃であれば更に好ましい。
次に、第二反応について説明する。4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジンの使用量は、第一反応で使用されたジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマーのルテニウム原子1モルに対して、通常は0.8モル以上であればよく、0.9〜1.2モルであれば好ましく、0.95〜1.05モルであれば更に好ましい。
この第二反応の反応温度は、通常は90℃以上であればよく、100℃以上であれば好ましく、110〜160℃であれば更に好ましい。
次に、第三反応について説明する。チオシアン酸塩としては、例えばチオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム等のチオシアン酸アルカリ金属塩;チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸テトラブチルアンモニウム等のチオシアン酸アンモニウム塩等が挙げられる。このうち、チオシアン酸アンモニウム塩が好ましく、チオシアン酸アンモニウムが特に好ましい。
チオシアン酸塩の使用量は、第一反応で使用されたジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー中のルテニウム原子1モルに対して、通常は2〜100モルであればよく、2〜70モルであればより好ましい。
この第三反応の反応温度は、通常は50〜160℃であればよく、70〜140℃であれば好ましい。
これらの第一から第三反応は、反応系が遮光された状態で進行させることが好ましい。遮光せずに反応を進行させると、副生物としてトランス配座の錯体が生成しやすくなってしまう。遮光方法は特に限定されない。
また、これらの第一から第三反応は、通常は窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で進行させることが好ましい。
第一から第三反応は順次連続して進行させてもよいが、各反応が終了するごとに生成物を単離しても良い。
第一から第三反応の終了後、反応液について濾過、濃縮、抽出、洗浄、乾燥等の適宜の分離操作をおこなうことで、式(1)に示されるルテニウム錯体が得られる。
この式(1)に示されるルテニウム錯体は、テトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドを含有するアルコール溶液で洗浄されることで、精製される。
このアルコール溶液を調製するためのアルコールとしては、使用される温度で液体であれば特に制限されないが、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素数1〜4のアルコールが挙げられる。特にメタノールが好ましい。これらのアルコールは一種単独で使用され、或いは二種以上が併用される。
アルコールの使用量は、式(1)で示されるルテニウム錯体1質量部に対して1〜50質量部であれば好ましく、5〜40質量部であればより好ましく、10〜30質量部であれば更に好ましい。
また、テトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドは、下記式(3)で示される第四級アンモニウム=ヒドロキシドである。
Figure 2010277911
式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基を示す。このアルキル基としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が好ましく、またその炭素数は1〜18が好ましい。また、このアルキル基は、更に好ましくは直鎖状の炭素数1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは直鎖状の炭素数2〜6のアルキル基である。このR〜Rは互いに異なるアルキル基であってもよく、互いに同じアルキル基であってもよいが、特にこのR〜Rが互いに同じアルキル基であることが好ましい。
このテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドの好ましい具体例としては、テトラエチルアンモニウム=ヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウム=ヒドロキシド、テトラブチルアンモニウム=ヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウム=ヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウム=ヒドロキシド等が挙げられ、このうちテトラブチルアンモニウム=ヒドロキシドが特に好ましい。
テトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドの使用量は、式(1)で示されるルテニウム錯体1モルに対して、2モル未満の量である。この使用量が2モル以上であるとルテニウム錯体がアルコールに溶解してしまい、ルテニウム錯体の洗浄ができなくなってしまう。また、特にこの使用量が1.1モル以下であれば、精製されたルテニウム錯体の収量が特に多くなる。
また、テトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドの使用量の下限は設定されないが、特にこの使用量が0.6モル以上であれば、ルテニウム錯体を精製する効果が高くなり、また、この使用量が更に0.9モル以上であれば、ルテニウム錯体を精製する効果が更に高くなる。
テトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドのアルコール溶液を使用した、式(1)で示されるルテニウム錯体の洗浄は、例えばこのルテニウム錯体をテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドのアルコール溶液と混合して懸濁液を調製し、この懸濁液を攪拌することでおこなうことができる。このときの懸濁液の温度は通常は−10〜70℃であればよく、0〜50℃であれば好ましく、10〜40℃であれば更に好ましい。また、このルテニウム錯体の洗浄は、懸濁液が遮光された状態でおこなうことが好ましい。遮光せずに洗浄すると、副生物としてトランス配座の錯体が生成しやすくなってしまう。遮光方法は特に限定されない。
このような懸濁液の混合、攪拌をおこなった後、この懸濁液を濾過し、残渣を必要に応じてアルコール(テトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドのアルコール溶液に使用されるアルコール)で洗浄した後、乾燥することで、精製されたルテニウム錯体が得られる。
この精製後のルテニウム錯体は、精製前のルテニウム錯体の式(1)におけるXがカルボキシル基である場合に、四個のカルボキシル基のうち、全てがカルボキシル基のままの構造を有するもの、三個がカルボキシル基のままで一個がカルボキシル基中の水素原子がテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシド由来のテトラアルキルアンモニウムカチオンで置換された構造となったもの、二個がカルボキシル基のままで二個がカルボキシル基中の水素原子がテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシド由来のテトラアルキルアンモニウムカチオンで置換された構造となったもの、一個がカルボキシル基のままで三個がカルボキシル基中の水素原子がテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシド由来のテトラアルキルアンモニウムカチオンで置換された構造となったもの、全てのカルボキシル基中の水素原子がテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシド由来のテトラアルキルアンモニウムカチオンで置換された構造となったもののうち、いずれであってもよく、またこれらのうち少なくとも二種を含有する混合物であってもよい。
また、精製後のルテニウム錯体は、精製前のルテニウム錯体の式(1)におけるXが炭素数6〜12のアルキル基又は芳香環上に炭素数4〜8のアルキル基若しくは炭素数4〜8のアルコキシ基を有していてもよいスチリル基である場合、二個のカルボキシル基のうち、全てがカルボキシル基のままであるもの、一個がカルボキシル基のままで一個がカルボキシル基の水素原子がテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシド由来のテトラアルキルアンモニウムカチオンで置換された構造を有するもの、全てがカルボキシル基の水素原子がテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシド由来のテトラアルキルアンモニウムカチオンで置換された構造を有するもののうち、いずれであってもよく、またこれらのうち少なくとも二種を含有する混合物であってもよい。
このような精製後のルテニウム錯体を、そのまま光電変換素子1の増感色素として用いることができる。
カルボキシル基の水素原子がテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシド由来のテトラアルキルアンモニウムカチオンで置換された、精製後のルテニウム錯体の具体例としては、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘプチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジオクチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジデシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘプチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジオクチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジデシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘプチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジオクチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジデシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘプチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジオクチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジデシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジヘプチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジオクチル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ジデシル−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−ビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−ビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−ビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、
シス−ジ(イソチオシアナート)−ビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−ビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラエチルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラプロピルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラブチルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラペンチルアンモニウム;
シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−sec−ブトキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ペンチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−イソヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘプチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−オクチルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)=テトラヘキシルアンモニウム、等が挙げられる。
また、増感色素としては、上記のような精製後のルテニウム錯体のみを用いるほか、この精製後のルテニウム錯体と、従来の色素増感型光電変換素子1において常用されている色素とを併用してもよい。この色素は、無機色素及び有機色素のいずれであってもよい。無機色素としては、組成式RuL(HO)で表されるルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体(Lは4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジンを示す)、ルテニウム−トリス(RuL),ルテニウム−ビス(RuL),オスニウム−トリス(OsL),組成式オスニウム−ビス(OsL)で表される遷移金属錯体、亜鉛−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシアニド錯体、フタロシアニン等を例示することができる。また、有機色素としては、9−フェニルキサンテン系色素,クマリン系色素,アクリジン系色素,トリフェニルメタン系色素,テトラフェニルメタン系色素,キノン系色素,アゾ色素,インジゴ系色素,シアニン系色素,メロシアニン系色素,キサンテン系色素等を例示することができる。中でも、ルテニウム−ビス(RuL)誘導体は可視光域で広い吸収スペクトルを有するため特に好ましい。
以下、図1を参照して、実施形態に係る色素増感型光電変換素子1の構成について説明する。
図1に示すように、光電変換素子1は、基板3の一方の表面に形成された電極5を有する。この電極5の一方の表面の上には、増感色素が固定された半導体層7が設けられている。また、光電変換素子1は、前記半導体層7に対向するように配置された対電極9を備えている。対電極9は基板11の一方の表面上に形成されている。電極5と対電極9との間には、例えば電解質(電解液)からなる電荷輸送層13が存在している。増感色素が固定された半導体層7は多孔質構造であり、この半導体層7には電荷輸送層13が浸透している。電荷輸送層13の周りは封止部10で封止されている。
基板3の材料は、この基板3側が光の入射側である場合、透光性,耐候性,及びガスバリア性に優れた材料であれば特に制限されることはない。この基板3を形成する材料としては、例えば、可視光(波長400〜800nm)に対して透明なガラス板,又は樹脂フィルムが挙げられる。可撓性を有する樹脂フィルムにより基板3を形成する場合には、半導体層7をプレスにより形成することができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、再生セルロース,ジアセテートセルロース,トリアセテートセルロース,テトラアセチルセルロース,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリビニルアルコール,ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート,ポリエチレンナフタレート,ポリエーテルサルフォン,ポリエーテルサルフォン,ポリエーテルケトン,ポリスルフォン,ポリエーテルイミド,ポリイミド,ポリアクリレート,シクロオレフィンポリマー,ノルボルネン樹脂,ポリスチレン,塩酸ゴム,ナイロン,ポリアクリレート,ポリフッ化ビニル,及びポリ四フッ化エチレンからなる群の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエーテルサルフォン,ポリイミド,ポリアクリレート,シクロオレフィンポリマー,及びノルボルネン樹脂からなる群の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。これらの樹脂を用いた樹脂フィルムは、強靱、且つ、耐熱性に優れている。基板3側が光の入射側である場合には、基板3はニッケル,亜鉛,チタン等の金属箔であってもよい。
基板3の厚さは、特に制限されることはないが、基板3をガラスにより形成した場合、0.1〜5mm、より好ましくは0.7〜2mm程度とすることが望ましい。また、基板3を樹脂フィルムにより形成した場合には、基板3の厚さは0.01〜5mm、より好ましくは0.07〜1mm程度とすることが望ましい。
電極5は、光電変換素子1の負極として機能し、導電性及び透光性が高い材料により形成することが望ましい。このような材料としては、酸化亜鉛,インジウム−スズ複合酸化物,インジウム−スズ複合酸化物層と銀層からなる積層体,アンチモンがドープされた酸化スズ,フッ素がドープされた酸化スズ等を例示することができ、中でも、導電性及び透光性が特に高いフッ素がドープされた酸化スズを用いることが望ましい。電極5の光透過率は高い程よいが、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
電極5の膜厚は0.1〜10μmの範囲内にあることが望ましい。この範囲内であれば、均一な膜厚の電極5を形成することができると共に、光透過性が低下せず、十分な光を半導体層7に入射させることができる。電極5の表面抵抗は、低い程よく、好ましくは200Ω/□以下、より好ましくは50Ω/□以下である。下限は特に制限しないが通常0.1Ω/□である。太陽光の下で使用される光電変換素子1では、電極5のシート抵抗が10Ω/□程度であることが多い。しかし、太陽光よりも照度の低い蛍光灯等の下で使用される光電変換素子1では、光電子量(光電流値)が小さいために、電極5に含まれる抵抗成分による悪影響を受けにくい。従って、低照度環境下で使用される光電変換素子1では、電極5の表面抵抗は、電極5に含まれる導電性材料の削減による低コスト化の観点から30〜200Ω/□の範囲内にあることが好ましい。
半導体層7を形成する半導体粒子の粒径は、5〜1000nmの範囲内、より好ましくは10〜100nmの範囲内にあることが望ましい。粒径が5〜1000nmの範囲内にあることにより、充分な量の増感色素を吸着可能な表面積を有する半導体層7を形成し、光の利用効率を高めることができる。また、適度な大きさの空孔を有する半導体層7を形成できるので、電荷輸送層13を構成する電解液が半導体層7の中に十分に浸透し、優れた光電変換特性を得ることができる。
半導体層7の厚さは0.1〜100μm、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは3〜20μm、最も好ましくは5〜10μmの範囲内にあることが好ましい。半導体層7の厚さがこの範囲内にあることにより、十分な光電変換効果が得られ、また可視光及び近赤外光に対する透過性も十分に確保できる。この光電変換素子1では、半導体層7の厚さは、太陽光の下で使用されることを前提した従来の光電変換素子1における半導体層7の最適な厚さ(例えば10μm)より薄くてもよい。
半導体層7は公知の方法により形成することができる。例えば、半導体層7は、半導体粒子とバインダーとを含むペーストをドクターブレードやバーコータ等を用いて電極5に塗布することにより形成できる。ペーストは、スプレー法,ディップコーティング法,スクリーン印刷法,スピンコート法,電着法等を用いて電極5に付着させてもよい。電極5上のペーストは、基板3がガラス基板である場合、500℃前後で焼成されて半導体層7となる。一方、基板3が樹脂フィルムである場合には、電極5上のペーストは、基板3と共にプレス機にて厚み方向に加圧、又はマイクロ波の照射により加熱されて半導体層7となる。プレス方法は、特に制限されることはなく、平板プレス,ロールプレス等の方法を用いることができるが、ロールプレス法は基板3に導電性フィルムを用いることにより半導体層7を連続形成できるので好ましい。
半導体層7を形成する材料としては、Cd,Zn,In,Pb,Mo,W,Sb,Bi,Cu,Hg,Ti,Ag,Mn,Fe,V,Sn,Zr,Sr,Ga,Si,Cr等の金属元素の酸化物、SrTiO,CaTiO等のペロブスカイト型酸化物、CdS,ZnS,In,PbS,MoS,WS,Sb,Bi,ZnCdS,CuS等の硫化物、CdSe,InSe,WSe,HgS,PbSe,CdTe等の金属カルコゲナイド、GaAs、Si、Se、Cd、Zn、InP、AgBr、PbI、HgI、BiIからなる群の中から得らばれる1種又は2種以上を含む複合体を例示することができ、中でも、電解液中へ光溶解しにくく、光電変換特性に優れたTiOを用いることが望ましい。なお、上記複合体としては、CdS/TiO,CdS/AgI,AgS/AgI,CdS/ZnO,CdS/HgS,CdS/PbS,ZnO/ZnS,CdS/HgS,CdS/CdSe1−x,CdS/Te1−x,CdSe/Te1−x,ZnS/CdSe,ZnSe/CdSe,CdS/ZnS,TiO/Cd,CdS/CdSe/CdZn1−yS,CdS/HgS/Cds等を例示することができる。
半導体層7に増感色素を担持させる方法としては、例えば増感色素を溶媒に溶かした溶液に半導体層7を浸漬させる方法が挙げられる。溶媒としては、水,アルコール,トルエン,ジメチルホルムアミド等、増感色素を溶解可能なものであれば全て使用することができる。なお、半導体層7を溶液に浸漬させている間、溶液を加熱環流したり、溶液に超音波を印加したりすることにより、半導体層7への増感色素の吸着を促進させてもよい。また、半導体層7に増感色素を吸着させた後、担持されずに半導体層7に残ってしまった増感色素を取り除くために、半導体層7をアルコールで洗浄又は加熱環流することが望ましい。また、半導体層7への増感色素の担持量は1×10−8〜1×10−6mol/cmの範囲内にあることが望ましい。増感色素の担持量がこの範囲内であれば、経済的、且つ、十分な光電変換効率を期待することができる。
基板11は、基板3と同じ材料を使用することができる。基板3が透明である場合には、基板11の透明性は透明,不透明のいずれでもよいが、両側の基板から光を入射させることができる点で透明であることが望ましい。基板3のフィルムとして金属箔を使用した場合には、基板11は前述の透光性のあるフィルムであることが望ましい。
対電極9は光電変換素子1の正極として機能し、増感色素が担持された半導体層7が被着される側の電極5と同様に形成することができる。対電極9は、光電変換素子1の正極として効率よく作用させるために、電解質の還元体に電子を与える触媒作用を有する素材で形成されることが望ましい。このような素材としては、白金,金,銀,銅、アルミニウム,ロジウム,インジウム等の金属、グラファイト,カーボンナノチューブ,白金を担持したカーボン等の炭素材料、インジウム−スズ複合酸化物,アンチモンをドープした酸化スズ,フッ素をドープした酸化スズ等の導電性金属酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン,ポリピロール,ポリアニリン等の導電性高分子を例示することができ、中でも、白金,グラファイト,ポリエチレンジオキシチオフェン等が特に好ましい。なお、基板11と対電極9間に透明導電膜を設けてもよく、透明導電膜は電極5と同じ材料から成膜することができる。この場合、対電極9も透明であることが望ましく、対電極9が透明であれば、基板11側又は基材3及び基板11側から受光することができる。これは、反射光等の影響によって光電変換素子1の表裏面両側から光照射が期待される場合に有効である。
電荷輸送層13は特に制限されないが、例えば色素増感型光電変換素子1における電荷輸送層13に採用され得る適宜の構成のものが採用される。本実施形態では、電荷輸送層13は酸化体I と還元体Iとからなる酸化還元対と、N−メチルホルムアミドを含有する。電荷輸送層13中における酸化体I の濃度は0.02mol/dm以下が好ましく、この場合、電荷輸送層13の呈色が少なくなるので、電荷輸送層13による光吸収損失を抑制し、出力特性に優れた光電変換素子1を製造することができる。また、電荷輸送層13が、N−メチルホルムアミドを含むと、電荷輸送能力が向上し、光電変換素子1の出力向上を実現することができる。なお、光電変換素子1の出力向上は、電荷輸送層13のイオン伝導度や限界電流値といった値が向上することによって確認できる。
酸化体I の濃度の下限値は0mol/dmを超えれば特に制限されることはないが、10×10−9mol/dmであることが好ましい。この濃度10×10−9mol/dmは、酸化体I の供給源(例えば、ヨウ素I)を溶媒等に添加せず、還元体Iの供給源(例えばヨウ化物塩)のみを溶媒等に添加することによって形成された電荷輸送層13中における酸化体I の濃度を、吸光光度法により測定した場合に検出される値である。酸化体I の供給源を溶媒等に添加していないのにも係わらず、濃度10×10−9mol/dm程度の酸化体I が存在する理由は、(1)ヨウ化物塩中に含まれる不純物の存在により酸化体I が生成するため、(2)ヨウ化物塩を有機溶媒等に溶解させた際に何らかの平衡反応が生じて酸化体I が生成するため、(3)半導体層7と接している電極5上で還元体Iが光酸化して酸化体I が生成するためであると考えられる。
この電荷輸送層13は、従来公知の方法によってヨウ化物及びヨウ素Iを下記溶媒に溶解させることにより調製できる。上記ヨウ化物としては、テトラプロピルアンモニウムヨージド等のテトラアルキルアンモニウムヨージド,メチルトリプロピルアンモニウムヨージドやジエチルジブチルアンモニウムヨージド等の非対称なアルキルアンモニウムヨージド,ピリジニウムヨージド等のヨウ化4級アンモニウム塩化合物,ヨウ化リチウム,1,2−ジメチル−3−プロピル−イミダゾリウムヨージド等を用いることが特に好ましい。
溶媒としては、N−メチルホルムアミド単体を溶媒としない場合、以下の溶媒との混合系の溶媒を用いることが望ましい。具体的には、溶媒としては、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,メチルエチルカーボネート,エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、酢酸メチル,プロピオン酸メチル,γ−ブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル,1,2−ジメトキシエタン,1,3−ジオキソシラン,テトラヒドロフラン,2−メチル−テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノン,2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル,メトキシアセトニトリル,プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン,ジメチルスルフォキシド,ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性化合物等を例示することができる。これらはそれぞれ単独をN−メチルホルムアミドと混合してもよいし、2種類以上をN−メチルホルムアミドと混合して併用することもできる。中でも、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、γ−ブチロラクトン、3−メチル−2−オキサゾリジノン,2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル,メトキシアセトニトリル,プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル,吉草酸ニトリル等のニトリル化合物との混合系が好ましい。
有機溶媒の代わりにイオン性液体を用いることも不揮発性,難燃性等の観点から有効である。イオン性液体としては、イミダゾリウム系,ピリジン系,脂環式アミン系,脂肪族アミン系,及びアゾニウムアミン系のイオン性液体や、文献(欧州特許第718288号公報,国際公開95/18456号公報,電気化学第65巻11号923頁(1997年),J.Electrochem.Soc.143巻,10号,3099頁(1996年),Inorg.Chem.35巻,1168頁(1996年))に記載されたイオン性液体を用いることが望ましい。
電荷輸送層13は、ピリジン,ピリジン誘導体,イミダゾール,及びイミダゾール誘導体からなる群の中から選ばれる少なくとも1種を含んでいることが好ましい。ピリジン誘導体としては例えば4−tert−ブチルピリジンが挙げられ、イミダゾール誘導体としては例えばN−メチルベンゾイミダゾール等が挙げられる。これらは、半導体層7の表面のうちの増感色素が吸着していない表面に吸着して、光電変換素子1の初期出力を高くする効果を発現させる。なお、溶媒としてN−メチルホルムアミド以外の溶媒を含有する場合、N−メチルホルムアミドが1重量%以上、好ましくは20重量%以上となるように配合すると好ましい。この場合、低照度環境において優れた出力特性を発現可能になる。
封止部10は例えば熱可塑性樹脂で形成される。この熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン・α−オレフィン共重合体,エチレン−アクリル酸メチル共重合体,エチレン−アクリル酸エチル共重合体,エチレン−アクリル酸共重合体,エチレン−メタアクリル酸共重合体,線状低密度ポリエチレン,アクリル系樹脂,シリコーン系樹脂,アイオノマー樹脂のほか、ポリスチレン系,ポリオレフィン系,ポリジエン系,ポリエステル系,ポリウレタン系,フッ素樹脂系,ポリアミド系のエラストマー等の中から被着面の材質に応じて適宜選択される。封止部10の厚みは特に限定されないが、10〜100μmの範囲内が望ましい。なお、封止部10は、熱硬化性樹脂等で形成されてもよい。
光電変換素子1を作製する際は、例えばまず一方の基板3の上に電極5及び半導体層7を順次形成し、他方の基板11の上に対電極9を形成する。前記半導体層7には、増感色素を担持させておく。この半導体層7と対電極9とを間隔をあけて対向させた状態で、半導体層7と対電極9との間に封止部10を介在させると共に、この封止部10によって、半導体層7、及び半導体層7と対電極9との間の空間を囲むようにする。この封止部10には、前記空間に連通する注入口を形成しておく。この注入口から、前記空間内へ電荷輸送層13の構成材料を注入した後、封止部10の注入口をUV硬化性樹脂等からなる適宜の樹脂封止剤等で閉塞する。これにより、光電変換素子1が得られる。
また、この光電変換素子1には、熱処理を施すことが好ましい。この場合、光電変換素子1の初期出力が更に向上すると共に、光電変換素子1が熱による負荷を受けた場合などの光電変換特性が更に安定化し、光電変換素子1の耐久性が更に向上する。
光電変換素子1への熱処理は、光電変換素子1を60〜85℃の範囲の温度に加熱することによっておこなうことができる。この温度が60℃以上であることで、熱処理によるPmax値向上を短時間でおこなうことが可能となり、またこの温度が85℃以下であることで耐久性評価におけるPmax値低下の発現を抑制することができる。また、熱処理時間は適宜設定されるが、例えば1〜500時間の範囲とすることができ、好ましくは5〜72時間の範囲とすることができる。
(実施例1)
攪拌機、冷却管及び温度計が取り付けられた容量500mlの反応器をアルミホイルで覆い、この反応器にジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー6.12g(0.01モル)、4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン11.22g(0.02モル)、及びN,N−ジメチルホルムアミド322gを仕込み、アルゴンガスで置換し、攪拌下昇温した。これにより、容器内の溶液をアルゴンガス雰囲気下、液温59〜62℃で4時間加熱して溶液を反応させた。
その後、容器内に4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン4.88g(0.02モル)を投入した。その後容器内を昇温し、液温123〜126℃で4時間加熱して溶液を反応させた。
その後、容器内にチオシアン酸アンモニウム22.84g(0.30モル)を投入し、液温126〜129℃で4時間加熱して溶液を反応させた。次いで、容器内の反応液を室温まで冷却した後、濾過し、残渣をN,N’−ジメチルホルムアミド75gで洗浄した。濾洗液を濃縮乾固し、得られた固形物に水465gを加え、20℃で2時間攪拌した後、濾過し、残渣を水150g及びtert−ブチルメチルエーテル150gで洗浄した。これを更に乾燥することで、粗シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)(純度80.1%(HPLC分析面積百分率法))を18.03g得た。
得られた粗シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)1.00g(純分80.1%として、0.78mmol)に、メタノール18.14g及びテトラブチルアンモニウム=ヒドロキシドの10.5%メタノール溶液2.11g(テトラブチルアンモニウム=ヒドロキシドは0.85mmol)を加えて、粗シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)の懸濁液を得た。この懸濁液を20℃で2.5時間攪拌することで、粗シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)をテトラブチルアンモニウム=ヒドロキシドのメタノール溶液で洗浄した。
その後、この懸濁液を濾過し、残渣をメタノール10gで洗浄し、次いでこの残渣を乾燥することで、精製されたシス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)を0.64g得た。
この残渣は、HPLC分析(面積百分率法)より、シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)としての純度が90.5%であった(テトラブチルアンモニウムカチオンは検出されない)。また、この残渣は、H−NMR分析(プロトン積分値)より、テトラブチルアンモニウムカチオンをシス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)1分子に対して0.6分子相当含有していた。
(実施例2)
平均一次粒子径20nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作成した。これを第一のペーストとした。また、平均一次粒子径が20nmと平均一次粒子径が400nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作成した。これを第二のペーストとした。
次に、第一のペーストを透明電極5付き導電性ガラス基板(旭硝子社製、フッ素ドープSnO、厚さ1mm、表面抵抗10Ω/□)上に塗布し、乾燥させ、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成し、透明電極5の上に厚さ10μmの多孔質酸化チタン膜を形成した。
そして、形成した多孔質酸化チタン膜上に第二のペーストを塗布し、乾燥させ、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成し、厚さ10μmの多孔質酸化チタン上に更に4μmの多孔質酸化チタン膜を形成した。
その後、多孔質酸化チタン膜が形成された基板を、増感色素として実施例1で得られた精製後のシス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)の0.3mmol/dm溶液中に浸漬して、室温、暗所下で24時間静置し、色素吸着処理を行って、ガラス基板付き透明電極5を作製した。また、透明電極5付き導電性ガラス基板(旭硝子社製、フッ素ドープSnO、表面抵抗10Ω/□)上表面に白金を塩化白金酸の熱分解により形成し、ガラス基板付き対電極9を作製した。
そして、透明電極5と対電極9との間に、多孔質酸化チタン膜の周囲を囲むように、注入口を残して封止部10を形成した後、電解液材料を注入し、最後にUV硬化樹脂を用いて注入口を閉塞した。
尚、電解液は、γ−ブチロラクトンにヨウ素(0.005mol/dm)と、メチルトリプロピルアンモニウムヨージド(0.5mol/dm)と、N−メチルベンズイミダゾール(0.5mol/dm)、ヨウ化リチウム(0.1mol/m)とを加え調製したものを用いた。
(実施例3)
注入口の閉塞後に、素子を60℃で168hr加熱する熱処理を施した以外は、実施例2と同じ条件で光電変換素子1を作製した。
(実施例4)
注入口の閉塞後に、素子を85℃で168hr加熱する熱処理を施した以外は、実施例2と同じ条件で光電変換素子1を作製した。
(実施例5)
注入口の閉塞後に、素子を100℃で168hr加熱する熱処理を施した以外は、実施例2と同じ条件で光電変換素子1を作製した。
(比較例1)
増感色素として、実施例1における未精製の粗シス−ジ(イソチオシアナート)−[4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)−2,2’−ビピリジン](4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)を用いた以外は、実施例2と同一の条件で光電変換素子1を作製した。
(比較例2)
注入口の閉塞後に、電解質を85℃で168hr加熱する熱処理を施した以外は、比較例1と同じ条件で光電変換素子1を作製した。
(初期特性評価試験)
各実施例及び比較例で得られた光電変換素子1に、蛍光灯を光源として200ルクスの光を照射して、電流−電圧特性を測定した。そして、この電流−電圧曲線上の任意の点(動作点P(i,v))の出力(i×v)のうち、最も大きな出力が得られる動作点(最大出力点Pmax)と、その出力値(Pmax値)を導出した。
(耐久性評価試験)
各実施例及び比較例で得られた光電変換素子1を85℃の環境下に曝露した後、上記初期特性評価と同様にして、Pmax値を導出した。
そして、初期特性評価時のPmax値に対する、85℃環境下に曝露した後のPmax値の割合(%)を、Pmax値維持率として求めた。
(試験結果)
上記評価試験の結果を下記表1に示す。
Figure 2010277911
表1に示すように、精製した増感色素を用いた実施例2では、精製していない増感色素を用いた比較例1に較べ、最大出力点Pmaxが大きく、初期特性が向上した。更に、比較例1では85℃環境下に曝露した場合のPmaxが低下しているのに対して、実施例2では上昇する傾向が見られた。また、実施例2の素子に熱処理を施した実施例3〜5では実施例2よりも更に初期特性が向上し、且つ85℃環境下に曝露した場合のPmax維持率の変動が抑制され、出力の安定性を確保することができた。
1 光電変換素子
5 電極
7 半導体層
9 対電極
13 電荷輸送層

Claims (3)

  1. 増感色素を担持した半導体層が設けられた電極と、前記半導体層に対峙する対電極と、前記電極と対電極との間に設けられた電荷輸送層と、前記電荷輸送層の周囲に形成され、前記電極と対電極との間で前記電荷輸送層を保持する封止部とを備え、
    前記増感色素が、下記式(1)に示すルテニウム錯体が、このルテニウム錯体1モルに対して2モル未満のテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドを含有するアルコール溶液で洗浄されたものを含むことを特徴とする色素増感型光電変換素子。
    Figure 2010277911
    式(1)において、Xは炭素数6〜12のアルキル基、カルボキシル基、又は芳香環上に炭素数4〜8のアルキル基若しくは炭素数4〜8のアルコキシ基を有していてもよいスチリル基を示す。
  2. 上記ルテニウム錯体が、下記式(1’)に示す構造を有することを特徴とする請求項1に記載の色素増感型光電変換素子。
    Figure 2010277911
    式(1’)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数4〜8のアルコキシ基を示す。
  3. 下記式(1)又は(1’)に示すルテニウム錯体を、当該ルテニウム錯体1モルに対して2モル未満のテトラアルキルアンモニウム=ヒドロキシドを含有するアルコール溶液で洗浄し、洗浄後のルテニウム錯体を含む増感色素を、電極に設けられた半導体層に担持させ、この半導体層と対電極とを対峙させると共にこの半導体層と対電極との間に電解質を封入した後、60〜85℃の温度で熱処理を施すことを特徴とする色素増感型光電変換素子の製造方法。
    Figure 2010277911
    式(1)において、Xは炭素数6〜12のアルキル基、カルボキシル基、又は芳香環上に炭素数4〜8のアルキル基若しくは炭素数4〜8のアルコキシ基を有していてもよいスチリル基を示す。
    Figure 2010277911
    式(1’)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数4〜8のアルコキシ基を示す。
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