JP6445378B2 - 光電変換素子 - Google Patents

光電変換素子 Download PDF

Info

Publication number
JP6445378B2
JP6445378B2 JP2015077010A JP2015077010A JP6445378B2 JP 6445378 B2 JP6445378 B2 JP 6445378B2 JP 2015077010 A JP2015077010 A JP 2015077010A JP 2015077010 A JP2015077010 A JP 2015077010A JP 6445378 B2 JP6445378 B2 JP 6445378B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
photoelectric conversion
conversion element
semiconductor layer
alkyl group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015077010A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015222808A (ja
Inventor
直毅 林
直毅 林
理生 鈴鹿
理生 鈴鹿
矢部 裕城
裕城 矢部
関口 隆史
隆史 関口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2015077010A priority Critical patent/JP6445378B2/ja
Publication of JP2015222808A publication Critical patent/JP2015222808A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6445378B2 publication Critical patent/JP6445378B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/20Light-sensitive devices
    • H01G9/2059Light-sensitive devices comprising an organic dye as the active light absorbing material, e.g. adsorbed on an electrode or dissolved in solution
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B57/00Other synthetic dyes of known constitution
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K85/00Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
    • H10K85/60Organic compounds having low molecular weight
    • H10K85/649Aromatic compounds comprising a hetero atom
    • H10K85/652Cyanine dyes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/20Light-sensitive devices
    • H01G9/2004Light-sensitive devices characterised by the electrolyte, e.g. comprising an organic electrolyte
    • H01G9/2013Light-sensitive devices characterised by the electrolyte, e.g. comprising an organic electrolyte the electrolyte comprising ionic liquids, e.g. alkyl imidazolium iodide
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

本開示は、光増感された光電変換素子に関する。ここで、光増感された光電変換素子は、いわゆる色素増感太陽電池を包含し、さらに、屋内等の照度の比較的低い環境においても発電することができる光電気化学型の発電素子を含む。
近年、光増感剤として色素を用いた、色素増感太陽電池の研究開発が進められている。従来の色素増感太陽電池は、典型的には、色素を含む光アノードと、対極と、光アノードと対極との間に設けられた電解質媒体とを備える。電解質媒体は、例えば、酸化還元物質(メディエータ)を含む電解質溶液である。
色素増感太陽電池の特性を向上させるために、それぞれの構成要素の特性の向上が求められている。例えば、特許文献1には、特定の剛直な平面構造のフルオレン残基を有する色素分子を用いることによって、光電変換効率(以下、単に「変換効率」という。)を向上させ得ることが記載されている。また、特許文献2には、メディエータとして、平均分子量が200以上で、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルを含むラジカル化合物を用いることによって、変換効率を向上させ得ることが記載されている。
特開2008−204785号公報 国際公開第2011−118197号
しかしながら、特許文献1および2の構成でも、十分に高い変換効率を得るには至っておらず、特に、屋内等の照度の比較的低い環境においても高い変換効率を有する光電変換素子が求められている。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、変換効率が高い光電変換素子を提供することを目的とする。
本開示のある実施形態による光電変換素子は、光アノードと、対極と、前記光アノードと前記対極との間に設けられた電解質媒体とを有し、前記光アノードは、色素分子を含む半導体層を有し、
前記色素分子は、下記の一般式[I]で示され、
Figure 0006445378
前記一般式[I]において、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数が8以上のアルキル基を示し、R1とR2で結合して環状構造を形成してもよく、R3は芳香環上の置換基であって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R4およびR5はそれぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R4とR5で結合して環状構造を形成してもよく、R6は芳香環上の置換基であって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、あるいはハロゲン原子を示し、Lは二価の連結基を示し、nは0または1を示し、R7は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R8はアルキレン基、アラルキレン基、またはアリーレン基を示し、R9はアルキレン基またはアラルキレン基を示し、Y1およびY2はそれぞれ独立に酸性基を示す。
本開示のある実施形態によると、変換効率が高い光電変換素子を提供することができる。
本開示のある実施形態による光電変換素子100の構造を模式的に示す図である。
本開示は、以下の項目に記載の光電変換素子および光電変換素子に用いられる色素分子を含む。
[項目1]
光アノードと、対極と、前記光アノードと前記対極との間に設けられた電解質媒体とを有し、
前記光アノードは、色素分子を含む半導体層を有し、
前記色素分子は、下記の一般式[I]で示され、
Figure 0006445378

前記一般式[I]において、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数が8以上のアルキル基を示し、R1とR2で結合して環状構造を形成してもよく、R3は芳香環上の置換基であって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R4およびR5はそれぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R4とR5で結合して環状構造を形成してもよく、R6は芳香環上の置換基であって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、あるいはハロゲン原子を示し、Lは二価の連結基を示し、nは0または1を示し、R7は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R8はアルキレン基、アラルキレン基、またはアリーレン基を示し、R9はアルキレン基またはアラルキレン基を示し、Y1およびY2はそれぞれ独立に酸性基を示す、光電変換素子。
[項目2]
前記一般式[I]中のR1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が18以上26以下のアルキル基である、項目1に記載の光電変換素子。
[項目3]
前記一般式[I]中のR1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が20以上22以下のアルキル基であることを特徴とする、項目1に記載の光電変換素子。
[項目4]
前記半導体層の厚さは1.0μmを超えない、項目1から3のいずれかに記載の光電変換素子。
[項目5]
前記電解質媒体は、下記の化学式[II]に示されたニトロキシルラジカルを有する化合物を含有する、項目1から4のいずれかに記載の光電変換素子。
Figure 0006445378
[項目6]
前記ニトロキシルラジカルを含有する化合物の分子量は200未満である、項目5に記載の光電変換素子。
[項目7]
前記ニトロキシルラジカルを含有する化合物の酸化還元電位は0.65V(vs.Ag/Ag+)である、項目5または6に記載の光電変換素子。
[項目8]
前記ニトロキシルラジカルを含有する化合物は、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)である、項目5から7のいずれかに記載の光電変換素子。
[項目9]
光アノードと、対極と、前記光アノードと前記対極との間に設けられた電解質媒体とを有する光電変換素子の光アノードを構成する半導体層に担持される色素分子であって、
下記の一般式[I]で示され、
Figure 0006445378
前記一般式[I]において、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数が8以上のアルキル基を示し、R1とR2で結合して環状構造を形成してもよく、R3は芳香環上の置換基であって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R4およびR5はそれぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R4とR5で結合して環状構造を形成してもよく、R6は芳香環上の置換基であって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、あるいはハロゲン原子を示し、Lは二価の連結基を示し、nは0または1を示し、R7は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R8はアルキレン基、アラルキレン基、またはアリーレン基を示し、R9はアルキレン基またはアラルキレン基を示し、Y1およびY2はそれぞれ独立に酸性基を示す、色素分子。
(実施形態)
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
図1に、本開示のある実施形態による光電変換素子100の構造を模式的に示す。光電変換素子100は、光アノード15と、対極35と、光アノード15と対極35との間に配置された電解質媒体22とを有する。電解質媒体22は、典型的には、電解質溶液であり、以下では、電解質溶液22ということがある。電解質溶液の他、例えば、電解質ゲルや固体高分子電解質を用いこともできる。
光アノード15は、基板12に支持されており、例えば、可視光を透過する導電層(「透明導電層」ということがある。)14と、導電層14上に形成された半導体層16とを有し、半導体層16は光増感剤としての色素分子を含んでいる。半導体層16は、例えば、多孔質半導体層であり、多孔質酸化チタンを好適に用いることができる。半導体層16を単に半導体層16ということがある。
対極35は、電解質媒体22を間に介して半導体層16に対向するように配置されている。対極35は、基板52に支持されており、例えば、酸化物導電層34と、酸化物導電層34上に形成された金属層(例えば、白金層)36とを有する。
電解質媒体22は、例えば、メディエータを含む電解質溶液であり、不図示のシール部によって、光アノード15と対極35との間に封入されている。
本開示の実施形態による光電変換素子100では、半導体層16が含む色素分子が下記の一般式[I]で示される。
Figure 0006445378
一般式[I]において、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数が8以上のアルキル基を示し、R1とR2で結合して環状構造を形成してもよく、R3は芳香環上の置換基であって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R4およびR5はそれぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R4とR5で結合して環状構造を形成してもよく、R6は芳香環上の置換基であって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、あるいはハロゲン原子を示し、Lは二価の連結基を示し、nは0または1を示し、R7は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R8はアルキレン基、アラルキレン基、またはアリーレン基を示し、R9はアルキレン基またはアラル
キレン基を示し、Y1およびY2はそれぞれ独立に酸性基を示す。
一般式[I]で示される色素分子は、例えば、Seigo Ito et al., Chem. Commun., 2008, 5194-5196に記載の方法で合成され得る。
例えば、下記の反応式で示されるようにして、化合物(1)と化合物(2)とから一般式[I]で示される色素分子(D−3)を得ることができる。具体的には、化合物(1)と化合物(2)とを酢酸/酢酸アンモニウムの混合溶媒中で120℃、5時間撹拌する。反応終了後、冷却し沈殿物をろ過しメタノールで洗浄する。シリカゲルカラム精製を行い、赤紫の粉末として色素分子(D−3)が抽出される。
Figure 0006445378
後に実験例を示して説明するように、上記一般式[I]で表される色素分子を用いると、変換効率、特に、200lx程度の照度が比較的低い環境における変換効率が高い光電変換素を得ることができる。そのメカニズムは、以下のように説明できる。なお、以下の説明は、本開示を限定するものではない。
一般式[I]で示される色素分子は、R1およびR2として炭素数が8以上のアルキル基を有している。これらのアルキル基R1およびR2によって、色素分子間に立体障害が生じる。この長鎖アルキル基の立体障害により、色素分子が半導体層に吸着する際、光電変換への寄与が少ない状態で半導体層に吸着する色素分子の割合が低下し、光電変換を効率的に行うことができる状態で半導体層に吸着する色素分子の割合が増加する。このメカニズムは、アルキル基R1およびR2の炭素数の増大に伴い、半導体層に吸着した色素分子の吸光度が低下する反面、電流値が増大するという実験結果から支持される。実験結果の例を以下に示す。
後述する実施例1、15および比較例1の光電変換素子について、色素分子を担持した半導体層の吸光度と短絡電流密度を測定した結果を下記の表1に示す。一般式[I]中のアルキル基R1およびR2の炭素数は、実施例1、15および比較例1において、それぞれ、8、22および4である。
Figure 0006445378
後の実験例からわかるように、一般式[I]中のR1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が18以上26以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数が20以上22以下であることがさらに好ましい。
また、本開示の実施形態による光電変換素子100は、高い開放電圧を得ることができるという利点も有し得る。上記の色素分子を用いると、高い光電変換効率を得ることができる。したがって、半導体層の厚さが小さくても、十分な光を吸収するだけの色素分子を担持することができる。ここで、よく知られているように、半導体層中の電子密度は以下の式で求められる。
電子密度(C / cm3)=(半導体層中の電荷量)/ (半導体層の体積)
上式から明らかなように、半導体層の厚さを小さくすると、半導体層中の電子密度は増加する。また、光電変換素子の開放電圧は半導体層中の電子密度に比例することが知られている。したがって、上記の色素分子を用いることによって、半導体層の厚さを小さくすることが可能となり、結果的に、高い開放電圧が得ることができる。本開示の実施形態による光電変換素子100が有する半導体層16の厚さは、例えば1.0μmを超えない。
メディエータも光電変換素子100の変換効率に影響する。高効率な電荷分離のためには、色素分子とメディエータとの電荷分離界面に適切な電位差が形成されることが好ましい。そのようなメディエータとしては、ニトロキシルラジカルを有する化合物を挙げることができる。メディエータの酸化還元電位は0.65V(vs.Ag/Ag+)であることが好ましい。例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(以下、TEMPOと呼ぶことがある。)を好適に用いることができる。
また、メディエータが半導体層16内に十分に拡散できることが好ましい。そのためには、メディエータの分子量が大きすぎないことが好ましく、ニトロキシルラジカルを有する化合物の分子量は200未満であることが好ましい。
以下に、光電変換素子100の上記の構成要素の形成に用いられる材料を詳細に説明する。
<色素分子>
一般式[I]の色素分子を詳細に説明する。
Figure 0006445378
一般式[I]において、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数が8以上のアルキル基を示し、R1とR2で結合して環状構造を形成してもよく、R3は芳香環上の置換基であって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R4およびR5はそれぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R4とR5で結合して環状構造を形成してもよく、R6は芳香環上の置換基であって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、あるいはハロゲン原子を示し、Lは二価の連結基を示し、nは0または1を示し、R7は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、R8はアルキレン基、アラルキレン基、またはアリーレン基を示し、R9はアルキレン基またはアラルキレン基を示し、Y1およびY2はそれぞれ独立に酸性基を示す。
1とR2の具体例としては、オクチル基等の長鎖アルキル基が挙げられる。また、R1とR2は、R1とR2との間で結合して環状構造を形成する残基でもよい。
3は芳香環上の置換基であって、水素原子の他に塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基等のアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、1−ナフチル基等のアリール基、フリル基、チエニル基、インドリル基等のヘテロ環置換基が挙げられる。
4とR5の具体例としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル等のアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基等のアリール基、フリル基、チエニル基、インドリル基等のヘテロ環置換基が挙げられる。その中でも、R4とR5との間で結合して環状構造を形成する残基が好ましく、さらにR4とR5との間で結合してシクロペンタン環、あるいはシクロヘキサン環を形成するアルキレン基残基が好ましく、R4とR5との間で結合してシクロペンタン環を形成するアルキレン基残基が特に好ましい。
6は芳香環上の置換基であって、水素原子の他に、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基等のアリール基、あるいはハロゲン原子を示し、それらはさらに置換基を有していてもよい。その置換基の具体例としては、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ジ置換アミノ基、アリール基、ヘテロ環を挙げることができる。
Lの具体例は、下記の化学式(化8)で示されるような二価の連結基が挙げられるが、これらはさらに置換基を有してもよいし、これらに限定されるものではない。
Figure 0006445378
7の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基等のアリール基、あるいはフリル基、チエニル基、インドリル基等のヘテロ環置換基が挙げられる。
8の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基等のアルキレン基、ベンジレン基、フェネチレン基等のアラルキレン基、フェニレン基、2−ナフチレン基等のアリーレン基が挙げられる。
1の具体例としては、カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基、フォスフィニコ基等が挙げられるが、その中でも、カルボキシル基が特に好ましい。
9の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基等のアルキレン基、ベンジレン基、フェネチレン基等のアラルキレン基が挙げられる。
2の具体例としては、カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基、フォスフィニコ基等が挙げられるが、その中でも、カルボキシル基が特に好ましい。
次に、一般式[I]の色素の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006445378

Figure 0006445378

Figure 0006445378
色素分子は、公知の種々の方法で半導体に担持させられる。例えば、色素分子を溶解あるいは分散させた溶液に、半導体層(例えば、色素分子を含まない多孔質半導体)を形成した基板を浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドなど色素分子を溶解可能なものを適宜選択して用いればよい。また、色素分子の溶液に浸漬させている間に、加熱したり、超音波を印加したりしてもよい。また、浸漬後、溶媒(例えばアルコール)での洗浄、および/または加熱を行うことによって、余剰の色素分子を除去してもよい。
半導体層における色素分子の担持量は、例えば、1×10-10〜1×10-4mol/cm2の範囲内であり、光電変換効率およびコストの観点から、例えば、0.1×10-8〜9.0×10-6mol/cm2の範囲が好ましい。
<光アノード>
光アノード15は、光電変換素子100の負極として機能する。光アノード15は、上述したように、例えば、可視光を透過する導電層14と、導電層14上に形成された半導体層16を有し、半導体層16は色素分子を含んでいる。色素分子を含む半導体層16は、光吸収層と呼ばれることもある。このとき、基板12は、例えば、可視光を透過するガラス基板またはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)である。
可視光を透過する導電層14は、例えば、可視光を透過する材料(以下、「透明導電材料」という。)で形成され得る。透明導電材料としては、酸化亜鉛、インジウム−スズ複合酸化物、インジウム−スズ複合酸化物層と銀層からなる積層体、アンチモンがドープされた酸化スズ、フッ素がドープされた酸化スズ等を例示することができる。この内、フッ素がドープされた酸化スズは、導電性および透光性が特に高いので好ましい。導電層14の光透過率は高い程よいが、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
導電層14の厚さは、例えば、0.1μm〜10μmの範囲内にある。この範囲内であれば、均一な厚さの導電層14を形成することができるとともに、光透過性が低下せず、十分な光を半導体層16に入射させることができる。導電層14の表面抵抗は、低い程よく、好ましくは200Ω/□以下、より好ましくは50Ω/□以下である。下限は特に制限しないが、例えば0.1Ω/□である。太陽光の下で使用される光電変換素子の導電層のシート抵抗が10Ω/□程度であることが多い。しかし、太陽光よりも照度の低い蛍光灯等の下で使用される光電変換素子100では、光電子量(光電流値)が小さいために、導電層14に含まれる抵抗成分による悪影響を受けにくい。従って、低照度環境下で使用される光電変換素子100では、導電層14の表面抵抗は、導電層14に含まれる導電性材料の削減による低コスト化の観点から30〜200Ω/□の範囲内にあることが好ましい。
可視光を透過する導電層14はまた、透光性を有しない導電材料を用いて形成することができる。例えば、線状(ストライプ状)、波線状、格子状(メッシュ状)、パンチングメタル状(多数の微細な貫通孔が規則的または不規則に配列された様子をいう。)のパターンを有する金属層または、これらとはネガ・ポジが反転したパターンを有する金属層を用いることができる。これらの金属層では、金属が存在しない部分を光が透過することができる。金属として、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、鉄、ニッケル、スズ、亜鉛、またはこれらのいずれかを含む合金を挙げることができる。さらに、金属に代えて、導電性を有する炭素材料を用いることもできる。
可視光を透過する導電層14の透過率は、例えば50%以上であり、80%以上であることが好ましい。透過すべき光の波長は、色素分子の吸収波長に依存する。
基板12とは反対側から半導体層16に光を入射させる場合、基板12および導電層14は、可視光を透過させる必要はない。したがって、上記の金属または炭素を用いて導電層14を形成する場合、金属または炭素が存在しない領域を形成する必要がなく、さらに、これらの材料が十分な強度を有する場合、導電層14が基板12を兼ねるようにしてもよい。
なお、導電層14の表面における電子の漏れを防ぐため、すなわち、導電層14と半導体層16との間に整流性を持たせるために、導電層14と半導体層16との間に、酸化シリコン、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物層を形成してもよい。
色素分子を有する半導体層16は、上述したように、例えば、多孔質半導体と、多孔質半導体の表面に担持された色素分子を含む。多孔質半導体は、例えば、多孔質酸化チタン(TiO2)である。酸化チタンは、光電変換特性が高く、かつ、電解質溶液中への光溶解が起こり難いという特徴を有している。また、多孔質体は、比表面積が大きく、多くの色素分子を担持することができるという利点を有している。もちろん、多孔質体に限られず、例えば、凝集した半導体粒子によって半導体層16を構成してもよい。
半導体層16が厚さ方向に対して均質な単層構造を有する場合よりも、光の入射側は光散乱性が低く光が進むに従い光散乱性が高くなるような構造(例えば、多層構造)の場合の方が、光の吸収効率が高く、ひいては変換効率が高い光電変換素子を得ることができる(例えば、特開2010−272530号公報、特開2002−289274号公報参照)。
本開示の光電変換素子100の半導体層16は、例えば、凝集した半導体粒子を含み、光が最初に入射する低散乱層(半導体粒子の平均粒径は、5nm〜50nm、好ましくは5nm〜30nm)と、低散乱層を透過した光が入射する高散乱層(半導体粒子の平均粒径は、100nm〜500nm、好ましくは200nm〜400nm)とを有する。ここで、散乱性の異なる半導体層を積層する場合、低散乱層の厚さが、本開示における「半導体層の厚さ」に相当するように設定することが好ましい。
半導体層16の膜厚は、例えば、0.01μm以上1μm以下である。半導体層16の厚さは、光電変換の効率を考慮して適宜変更され得るが、上記一般式[I]で示される色素分子を用いる場合、0.5μm以上0.9μm以下が好ましい。また、半導体層16の表面粗さは大きい方が好ましく、実効面積/投影面積で与えられる表面粗さ係数が10以上であることが好ましく、100以上であることがさらに好ましい。なお、実効面積は、半導体層の投影面積と厚さから求められる体積と、半導体層を構成する材料の比表面積および嵩密度から求められる実効表面積を意味する。
半導体層16は、TiO2の他に、下記の無機半導体を用いて形成することができる。例えば、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属元素の酸化物、SrTiO3、CaTiO3などのペロブスカイト、CdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2Sなどの硫化物、CdSe、In2Se3、WSe2、HgS、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド、その他、GaAs、Si、Se、Cd23、Zn23、InP、AgBr、PbI2、HgI2、BiI3などを用いることができる。これらの内、CdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2S、InP、Cu2O、CuO、CdSeは、波長が350nm〜1300nm程度の光を吸収することができるという利点を有している。さらに、上記の半導体から選ばれる少なくとも1種以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSx/CdSe1-x、CdSx/Te1-x、CdSex/Te1-x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO2/Cd32、CdS/CdSeCdyZn1-yS、CdS/HgS/CdSなどを用いることができる。さらに、また、ポリフェニレンビニレンやポリチオフェンやポリアセチレン、テトラセン、ペンタセン、フタロシアニンなどの有機半導体を用いることもできる。
半導体層16は、公知の種々の方法で形成され得る。無機半導体を用いる場合、例えば、半導体材料の粉末と有機バインダー(有機溶剤を含む)との混合物を導電層上に付与し、その後、加熱処理を施し有機バインダーを除去することによって、無機半導体からなる半導体層を得ることができる。上記混合物を付与する方法は、公知の種々の塗布法または印刷法を採用することができる。塗布法としては、例えば、ドクターブレード法、バーコート法、スプレー法、ディップコーティング法、スピンコート法が挙げられ、印刷法としては、スクリーン印刷法が挙げられる。また、必要に応じて、混合物の膜を加圧してもよい。
有機半導体を用いる場合も、種々の公知の方法で半導体層を形成することができる。有機半導体の溶液を公知の種々の塗布法または印刷法を用いて、導電層上に付与すればよい。また、例えば、数平均分子量が1000以上の高分子半導体を用いる場合、スピンコート法やドロップキャスト法などの塗布法、スクリーン印刷やグラビア印刷などの印刷法が挙げられる。これらのウェットプロセスの他、スパッタ法や蒸着法などのドライプロセスを採用することもできる。
<対極>
対極35は、光電変換素子100の正極として機能する。対極35を形成する材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、グラファイト、カーボンナノチューブ、白金を担持したカーボン等の炭素材料、インジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等の導電性金属酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを挙げることができる。これらのうち、白金、グラファイト、ポリエチレンジオキシチオフェンなどが好ましい。
なお、図1に示すように、対極35は、基板52側に透明導電層34を有してもよい。透明導電層34は、光アノード15が有する導電層14と同じ材料から形成することができる。この場合、対極35も透明であることが好ましく、対極35が透明であれば、基板52側または基板12側から受光することができる。これは、反射光等の影響によって光電変換素子100の表裏面両側から光照射が期待される場合に有効である。
<電解質媒体>
電解質媒体22としては、酸化還元物質(メディエータ)を溶媒中に溶解させた電解質溶液の他、ゲル電解質または高分子電解質を用いることができる。典型的には、電解質媒体は電解質溶液であり、電解質溶液は、メディエータ、溶媒、支持電解質を含むことが好ましい。
メディエータとしては、ニトロキシルラジカルを有する化合物が好ましい。ニトロキシルラジカルは化学式[II]で示されるものであり、繰り返し安定性の高い酸化還元能を有し、ニトロキシルラジカルと、オキソアンモニウムカチオンの状態を可逆的にとる化合物である。ニトロキシルラジカルを有する化合物は電解質溶液中に存在することによって、メディエータとして機能する。
Figure 0006445378
ニトロキシルラジカルを有する化合物の分子量は200未満が好ましく、特に140〜160が好ましい。ニトロキシルラジカルを有する化合物の酸化還元電位は、0.65 V (vs. Ag/Ag+)が好ましい。メディエータの濃度は、0.005M〜1Mが好ましく、特に0.01M〜0.15が更に好ましい。
支持電解質としては、例えば過塩素酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化リン酸テトラエチルアンモニウム、イミダゾリウム塩やピリジニウム塩などのアンモニウム塩、過塩素酸リチウムや四フッ化ホウ素カリウムなどアルカリ金属塩などが挙げられる。
溶媒は、イオン伝導性に優れるものが好ましい。溶媒は、水系溶媒および有機溶媒のいずれも使用できるが、溶質をより安定化するため、有機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して用いることもできる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、γ―ブチロラクトン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、吉草酸ニトリル等のニトリル化合物が好ましい。
また、溶媒として、イオン液体を用いる、もしくは上記溶媒に混合してもよい。イオン液体は、揮発性が低く、難燃性が高いという特徴を有している。
イオン液体としては、公知のイオン液体全般を用いることができるが、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレートなどイミダゾリウム系、ピリジン系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、アゾニウムアミン系のイオン液体や、欧州特許第718288号明細書、国際公開第95/18456号、電気化学第65巻11号923頁(1997年)、J. Electrochem. Soc.143巻,10号,3099頁(1996年)、Inorg. Chem. 35巻,1168頁(1996年)に記載されたものを挙げることができる。
以下、本開示を実施例によって具体的に説明する。実施例1〜15および比較例1〜10の光電変換素子を作製し、特性を評価した。評価結果は、表2にまとめて示す。
[実施例1]
図1に示した光電変換素子100と実質的に同じ構造を有する光電変換素子を作製した。各構成要素は、以下の通りである。
基板12:ガラス基板 厚さ1mm
透明導電層14:フッ素ドープSnO2層(表面抵抗10Ω/□)
半導体層16:多孔質酸化チタン、色素分子(D−3)
電解質溶液22:0.03 mol/L TEMPO、0.1 mol/L LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)をGBL(γ―ブチロラクトン)に溶解した溶液
基板52:ガラス基板 厚さ1mm
酸化物導電層34:フッ素ドープSnO2層(表面抵抗10Ω/□)
金属層36:白金層
実施例1の光電変換素子は、以下のようにして作製した。
フッ素ドープSnO2層を有する厚さ1mmの導電性ガラス基板(旭硝子製)を2枚用意した。これらを、透明導電層14を有する基板12および酸化物導電層34を有する基板52として用いた。
平均1次粒子径が20nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作製した。
一方の導電性ガラス基板のフッ素ドープSnO2層上にスパッタ法により厚さが約10nm厚の酸化チタン層を形成した後、この上に上記のペーストを塗布して乾燥し、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成することによって、厚さが1.0μmの多孔質酸化チタン層(チタンコート)を形成した。
次に、多孔質酸化チタン層を形成した基板を、上記色素分子(D−3)の濃度が0.3mMであるアセトニトリル−ブタノール1:1混合溶媒溶液中に浸漬し、室温で16時間暗所下静置し、多孔質酸化チタン層に色素分子を担持させた。このようにして、光アノードを形成した。
他方のガラス基板の表面に、スパッタ法によって白金を堆積することにより対極を形成した。
次に、熱溶融性接着剤(三井デュポンポリケミカル製)の封止材を、光アノードの多孔質酸化チタン層が形成された部分を囲むように、光アノードが形成されたガラス基板の上に配置した。そして、光アノードが形成された基板の上に対極が形成されたガラス基板を重ね、加熱しながら加圧して貼り合わせた。この対極が形成されたガラス基板にはダイヤモンドドリルで孔をあけておいた。
次に、GBL(γ―ブチロラクトン)に0.03 mol/L TEMPOを溶解した電解質溶液を調製し、この電解質溶液を上記の孔から注入し、実施例1の光電変換素子を得た。
この光電変換素子を、安定化蛍光灯を用いて200lxの照度の光を照射し、電流−電圧特性を測定して安定化後の変換効率を求めた。尚、本測定環境は太陽光に対しては約500分の1ではあるが、当然、太陽光下でも適用でき、用途を限定するものではない。結果を表2に示す。
[実施例2〜15および比較例1〜9]
実施例1において、色素分子(一般式[I]におけるR1およびR2の炭素数)、酸化チタン層の厚さ、メディエータを表2に示すとおりに変更し、そのほかは同じ工程によって、光電変換素子を作製した。評価結果を表2に示す。
メディエータの化学式と、略称を下記に示す。OH−TEMPO、NHCO−TEMPO、CN−TEMPOは、それぞれTEMPOの4位の置換基を表しており、PTMAは、ポリ(4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル))の略称である。PTMAは、平均分子量の異なるものを用意した。
Figure 0006445378
[比較例10]
実施例1において、色素分子をY2の酸性基を持たないものに変更した。具体的には、上記色素分子(D−3)において、(CH211COOHを(CH210CH3に変更したものを用い、その他は同じ工程によって光電変換素子を作製した。評価結果を表2に示す。
Figure 0006445378
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例4と比較例3、実施例5と比較例4、実施例6と比較例5、実施例8と比較例6、実施例9と比較例7、実施例10と比較例8、実施例11と比較例9とを比較すると明らかなように、R1およびR2の炭素数が4の比較例1〜9に比べて、炭素数が8の実施例1〜11は、メディエータの種類等によらず、いずれも高い変換効率が得られている。さらに、炭素数が18〜26の実施例12〜15の変換効率はさらに高く、特に、炭素数が20〜22の実施例14および15については、20%を超える変換効率が得られている。
また、実施例1〜4の比較から、酸化チタン層の厚さが1.0μm以下で、高い変換効率が得られることがわかる。
実施例1と実施例5、6との比較により、ニトロキシルラジカルを有する化合物をメディエータに用いた光電変換素子で高い変換効率が得られることがわかる。
実施例1と実施例7〜11との比較により、分子量200未満で酸化還元電位が0.65V (vs.Ag/Ag+)のニトロキシルラジカルを有する化合物をメディエータに用いたときに、高い変換効率が得られることがわかる。
実施例1と比較例10との比較により、Y2の酸性基を付加した色素を用いた光電変換素子で高い変換効率が得られることがわかる。すなわち、Y2の酸性基が高い変換効率に寄与していることがわかる。
本開示の光電変換素子は、例えば、屋内等の照度の比較的低い環境においても発電することができる色素増感型発電素子として利用することができる。
12 基板
14 透明導電層
15 光アノード
16 色素分子を含む半導体層
22 電解質媒体(電解質溶液)
34 酸化物導電層(透明導電層)
35 対極
36 金属層(白金層)
52 基板
100 光電変換素子

Claims (5)

  1. 光アノードと、対極と、前記光アノードと前記対極との間に設けられTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル)またはOH−TEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル)を含有する電解質媒体とを有し、
    前記光アノードは、色素分子を含む半導体層を有し、
    前記色素分子は、下記の一般式[I]で示され、
    Figure 0006445378
    前記一般式[I]において、
    1およびR2はそれぞれ独立に炭素数が8以上のアルキル基を示し、RとRで結合して環状構造を形成してもよく、
    3は芳香環上の置換基であって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、
    4およびR5はそれぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、RとRで結合して環状構造を形成してもよく、
    6は芳香環上の置換基であって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、あるいはハロゲン原子を示し、Lは二価の連結基を示し、nは0または1を示し、
    7は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環置換基を示し、
    8はアルキレン基、アラルキレン基、またはアリーレン基を示し、
    9はアルキレン基またはアラルキレン基を示し、
    1およびY2はそれぞれ独立に酸性基を示す、光電変換素子。
  2. 前記一般式[I]中のR1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が18以上26以下のアルキル基である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記一般式[I]中のR1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が20以上22以下のアルキル基である、請求項1に記載の光電変換素子。
  4. 前記半導体層の厚さは1.0μmを超えない、請求項1から3のいずれかに記載の光電
    変換素子。
  5. 前記電解質媒体は、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル)を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子。
JP2015077010A 2014-04-28 2015-04-03 光電変換素子 Active JP6445378B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015077010A JP6445378B2 (ja) 2014-04-28 2015-04-03 光電変換素子

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014092716 2014-04-28
JP2014092716 2014-04-28
JP2015077010A JP6445378B2 (ja) 2014-04-28 2015-04-03 光電変換素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015222808A JP2015222808A (ja) 2015-12-10
JP6445378B2 true JP6445378B2 (ja) 2018-12-26

Family

ID=54335416

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015077010A Active JP6445378B2 (ja) 2014-04-28 2015-04-03 光電変換素子

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9472352B2 (ja)
JP (1) JP6445378B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210071496A (ko) * 2019-12-06 2021-06-16 삼성전기주식회사 적층 세라믹 전자부품

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008091137A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Mitsubishi Paper Mills Ltd 光電変換材料、半導体電極並びにそれを用いた光電変換素子
JP5096758B2 (ja) * 2007-02-20 2012-12-12 三菱製紙株式会社 光電変換材料、半導体電極並びにそれを用いた光電変換素子
JP5416118B2 (ja) * 2008-08-06 2014-02-12 三菱製紙株式会社 色素増感型太陽電池用色素、半導体電極及び色素増感型太陽電池
CN102792515B (zh) * 2010-02-05 2015-07-08 松下电器产业株式会社 光电元件
WO2011118197A1 (ja) 2010-03-24 2011-09-29 日本電気株式会社 光電変換素子、光センサ及び太陽電池
JP5894372B2 (ja) * 2010-11-01 2016-03-30 パナソニック株式会社 光電気素子、及び光電気素子の製造方法
WO2012115094A1 (ja) * 2011-02-22 2012-08-30 日本電気株式会社 光電変換素子
JP2013035936A (ja) 2011-08-08 2013-02-21 Kemikurea:Kk 光増感剤および光電変換素子
ITTO20110778A1 (it) * 2011-08-26 2013-02-27 Giuseppe Caputo Coloranti asimmetrici e loro usi
JP5856915B2 (ja) * 2012-06-27 2016-02-10 三菱製紙株式会社 色素増感型太陽電池用色素、半導体電極及び色素増感型太陽電池
JP6224403B2 (ja) * 2013-05-21 2017-11-01 三菱製紙株式会社 色素増感型太陽電池用色素、半導体電極及び色素増感型太陽電池

Also Published As

Publication number Publication date
US20150310999A1 (en) 2015-10-29
US9472352B2 (en) 2016-10-18
JP2015222808A (ja) 2015-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5237664B2 (ja) 光電変換素子
JP5285062B2 (ja) 光増感素子及びそれを用いた太陽電池
JP5966012B2 (ja) 光電変換素子
WO2013099567A1 (ja) 電極複合体、及びこれを備える光電気素子
JP5815157B2 (ja) 電気化学デバイス
JP2005251736A (ja) 光電変換素子およびそれを用いた光電池、ならびに電子機器の筐体
JP6010549B2 (ja) 光電気素子及びその製造方法
JP2009037861A (ja) 色素増感型太陽電池モジュール
JP2004241378A (ja) 色素増感型太陽電池
JP2008027860A (ja) 光電変換素子
JP5957012B2 (ja) 光電気素子
JP5584447B2 (ja) 光電気素子
JP2012156096A (ja) 光電変換素子およびそれを用いた色素増感型太陽電池
JP2009080988A (ja) 光電変換素子
JP6445378B2 (ja) 光電変換素子
JP2012051952A (ja) 色素、光電変換素子及び光電気化学電池
JP2014186995A (ja) 透明色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール
JP2003297445A (ja) 光電変換素子用塗布組成物
JP4537693B2 (ja) 色素増感太陽電池
JP4455868B2 (ja) 色素増感太陽電池
JP2008186632A (ja) 光電変換素子及びその製造方法
JP6472629B2 (ja) 光電変換素子
JP6415380B2 (ja) 光電変換素子
JP2011150881A (ja) 光電変換素子、光センサ、および、太陽電池
JP2011150883A (ja) 光電変換素子、光センサ、および、太陽電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171019

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180817

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180828

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181010

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181129

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6445378

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151