JP5966012B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

本開示は、光電変換素子に関し、特に、光増感された光電変換素子に関する。ここで、光増感された光電変換素子は、いわゆる色素増感太陽電池を包含し、さらに、屋内等の照度の比較的低い環境においても発電することができる色素増感型の発電素子を含む。
近年、光増感剤として色素を用いた、色素増感太陽電池の研究開発が進められている。従来の色素増感太陽電池は、典型的には、色素を含む光アノードと、対極と、光アノードと対極との間に設けられた電子輸送層および正孔輸送層と、酸化還元対を含む電解質溶液とを備える。色素増感太陽電池の特性を向上させるために、それぞれの構成要素の特性の向上が求められている。
特許文献1には、正孔輸送層として酸化還元部を有する有機化合物を含むゲル層を用いることによって、正孔輸送特性を向上させた光電変換素子が開示されている。特許文献1の光電変換素子は、電子輸送層にも有機化合物を含むゲル層を用いている。
特許文献2には、蓄電機能を有するエネルギー貯蔵型色素増感太陽電池が開示されている。特許文献2に記載のエネルギー貯蔵型色素増感太陽電池は、光電極と対極とが第1電解質溶液中に配置されたセル部分と、このセル部分とカチオン交換膜で仕切られ第2電解質溶液中に電荷蓄積電極が配置されたバッテリ部分とを備えている。第2電解質溶液は、第1電解質溶液とカチオン種が同じでアニオン種が異なっている。第1電解質溶液は、酸化還元物質(I-/I3 -)を含み、カチオン交換膜は、酸化還元物質が第2電解質溶液に移動するのを防止するために設けられている。
国際公開第2011/013760号 特開2006−172758号公報
しかしながら、本願発明者の検討によると、特許文献2に記載のエネルギー貯蔵型色素増感太陽電池には、放電レートが低いという問題があることが分かった。これは、セル部分とバッテリ部分とを仕切るカチオン交換膜によって、第1電解質溶液と第2電解質溶液との間のイオンの移動が阻害されることに起因している。
そこで、本開示は、特許文献2に記載のエネルギー貯蔵型色素増感太陽電池よりも放電レートを向上させた、蓄電機能を有する光電変換素子を提供する。
本開示のある実施形態による光電変換素子は、光アノードと、対極と、前記光アノードと前記対極との間に配置された固体化合物層と、前記対極と間隙を介して配置された電荷蓄積電極と、前記固体化合物層中に含まれ、且つ、前記間隙を満たす電解質媒体とを有する。
本開示のある実施形態による光電変換素子は、蓄電機能を有し、かつ、従来よりも高いレートで放電することができる。
(a)および(b)は、本開示のある実施形態の光電変換素子100の構造を模式的に示す図であり、(a)は充電状態を示し、(b)は放電状態を示している。 比較例1の光電変換素子300の構造を模式的に示す図である。 比較例2の光電変換素子400の構造を模式的に示す図である。 実施例1の光電変換素子について、光照射時から暗時にした際の、電圧の経時変化の測定を行った結果を示すグラフである。 実施例2の光電変換素子について、光照射時から暗時にした際の、電圧の経時変化の測定を行った結果を示すグラフである。 実施例1および2の光電変換素子について、光照射時から暗時にした際の、電圧の経時変化の測定を行った結果を示すグラフである。 本開示の他の実施形態による光電変換素子200の模式的な断面図である。 本開示の他の実施形態による光電変換素子200Aの模式的な断面図である。 本開示の他の実施形態による他の光電変換素子200Bの模式的な断面図である。 本開示の他の実施形態による他の光電変換素子200Cの模式的な断面図である。 実施例6および比較例4の光電変換素子の電解質溶液維持率を示すグラフである。
本開示は、以下の項目に記載の光電変換素子を含む。
[項目1]
光アノードと、対極と、前記光アノードと前記対極との間に配置された固体化合物層と、前記対極と間隙を介して配置された電荷蓄積電極と、前記固体化合物層中に含まれ、且つ、前記間隙を満たす電解質媒体とを有する、光電変換素子。
[項目2]
前記電解質媒体は電解質溶液であって、前記電解質溶液に含まれる酸化還元物質は多くとも10mMである、項目1に記載の光電変換素子。
[項目3]
前記固体化合物層は、前記光アノードおよび前記対極に直接接触している、項目1または2に記載の光電変換素子。
[項目4]
前記固体化合物層は、酸化還元部を有する高分子を含む高分子ゲル層を含む、項目1から3のいずれかに記載の光電変換素子。
[項目5]
前記高分子は、分子量が1000未満の分子を実質的に含まない、項目4に記載の光電変換素子。
[項目6]
前記高分子は、架橋構造を有している、項目4または5に記載の光電変換素子。
[項目7]
前記高分子ゲル層は、さらに導電助剤を含む、項目4から6のいずれかに記載の光電変換素子。
[項目8]
前記酸化還元部は、安定ラジカルを含む、項目4から7のいずれかに記載の光電変換素子。
[項目9]
前記光アノードは、可視光を透過する導電層と、前記導電層上に形成された、光増感剤を含む半導体層とをさらに有する、項目1から8のいずれかに記載の光電変換素子。
[項目10]
前記半導体層は、多孔質酸化チタンを含む、項目9に記載の光電変換素子。
[項目11]
第1基板と、
前記第1基板との間に間隙を形成するように配置された第2基板と、
前記間隙を満たす、電解質溶液を含む電解質媒体と、
前記第1基板と前記第2基板との間に形成され、前記間隙内の前記電解質媒体を封止するシール部と、
前記電解質媒体に接触し、かつ、それぞれが電気化学的に異なる機能を有する第1、第2および第3電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、前記電解質媒体を含む、固体化合物層とを有し、
前記第1、第2および第3電極のそれぞれの少なくとも一部分は、前記第1基板上または前記第2基板上に形成されている、光電変換素子。
[項目12]
前記第1、第2および第3電極の内の2つの電極のそれぞれの少なくとも一部分は、前記第1基板上に形成されており、かつ、前記第1、第2および第3電極の内の他の1つの電極の少なくとも一部分は、前記第2基板上に形成されている、項目11に記載の光電変換素子。
[項目13]
前記第1電極は、第1導電層と、前記第1導電層上に形成された半導体層とを有し、前記第1導電層が前記電解質媒体に直接接触しないように、前記半導体層が形成されている、項目11または12に記載の光電変換素子。
[項目14]
前記第1電極は、前記第1基板上に形成されており、前記第1基板の法線方向からみたとき、第1基板上に、前記第1導電層が存在せず、前記半導体層だけが存在する領域が存在する、項目13に記載の光電変換素子。
[項目15]
前記第1電極は光アノードであって、前記第2電極は対極であって、前記第3電極は電荷蓄積電極である、項目13または14に記載の光電変換素子。
[項目16]
前記第1電極が、前記第1基板上に形成されており、
前記第2電極および前記第3電極が、前記第2基板上に形成されている、項目15に記載の光電変換素子。
[項目17]
前記第1電極と、前記第2電極の少なくとも一部分とが、前記第1基板上に形成されており、
前記第3電極が、前記第2基板上に形成されている、項目15に記載の光電変換素子。
[項目18]
前記固体化合物層と前記第3電極との間にセパレータをさらに有する、項目11から17のいずれかに記載の光電変換素子。
[項目19]
前記半導体層は、前記導電層側に形成された非多孔質半導体層と、前記非多孔質半導体層上に形成された多孔質半導体層とを有し、前記多孔質半導体層は増感色素を含む、項目11から18のいずれかに記載の光電変換素子。
(実施形態)
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
図1(a)および(b)に、実施形態の光電変換素子100の構造を模式的に示す。図1(a)は充電状態を示し、図1(b)は放電状態を示している。図1(a)および(b)中の矢印は、電子の流れを示している。
光電変換素子100は、光アノード15と、対極32と、光アノード15と対極32との間に配置された固体化合物層22と、対極32と間隙を介して配置された電荷蓄積電極55と、固体化合物層22中に含まれ、且つ、対極32と電荷蓄積電極55との間隙を満たす電解質媒体24とを有する。電解質媒体24は、典型的には、電解質溶液であり、以下では、電解質溶液24ということがある。光電変換素子100は、光アノード15と対極32との間で光発電素子を構成し、対極32と電荷蓄積電極55との間で蓄電池を構成している。ここで例示するよう、光アノード15が光増感剤を含む半導体層を有するとき、光アノード15と対極32との間で、例えば、色素増感太陽電池が構成される。
図1(a)に示すように、充電状態においては、光アノード15と電荷蓄積電極55とが、例えばスイッチSWを介して電気的に接続される。一方、放電状態においては、図1(b)に示すように、対極32と電荷蓄積電極55とに負荷が接続される。このとき、図示したように、例えばスイッチSWによって光アノード15と電荷蓄積電極55とを電気的に切断してもよいし、あるいは、光アノード15と電荷蓄積電極55とを常時電気的に接続した状態としてもよい。なお、発電素子と蓄電池との配置は、ここで例示するものに限られず、電気的および電気化学的に等価な他の配置であってもよい。
光アノード15は、例えば、可視光を透過する導電層(「透明導電層」ということがある。)14と、導電層14上に形成された半導体層16を有し、半導体層16は光増感剤を含んでいる。半導体層16は、例えば、多孔質半導体(例えば多孔質酸化チタン)と、多孔質半導体の表面に担持された光増感剤とを含む。なお、ここでは、少なくとも可視光を吸収する光増感剤を中心に、本開示の実施形態を説明するが、光増感剤は、他の波長域の光(例えば近赤外線)をさらに吸収してもよいことは言うまでもない。
固体化合物層22は、典型的には電解質溶液24を内部に含む構造を有している。固体化合物層22は、例えば、光アノード15および対極32に直接接触するように設けられる。固体化合物層22は、光アノード15で生成された正孔を対極32まで輸送する。固体化合物層22は、例えば、酸化還元部(例えば、ニトロキシラジカルなどの安定ラジカル)を有する高分子を含む高分子ゲル層を含む。あるいは、固体化合物層22は、多孔質体またはインターカレーションが可能な固体(例えば、コバルト酸リチウム)を含む。固体化合物層22が、多孔質体またはインターカレーションが可能な固体を含むとき、固体化合物層22は、例えば、導電性を有するカーボンをさらに含む。固体化合物層22は、酸化還元物質の機能を有するとともに、酸化還元物質を固定または保持する機能を有している。したがって、固体化合物層22を用いることによって、特許文献2に記載のカチオン交換膜を省略することが可能になる。
なお、高分子ゲル層は、光アノード15および対極32との接触面積を大きくできるという利点を有している。高分子は、例えば、分子量が1000未満の分子を実質的に含まないことが好ましい。酸化還元部を有する低分子量成分が、電解質溶液24中に溶出して、電荷蓄積電極55において還元されるのを抑制することができる。また、高分子は、架橋構造を有していることが好ましく、架橋構造は、化学的な架橋構造であることが好ましい。化学的な架橋構造は、高分子鎖同士の絡み合いによって形成される物理的な架橋構造よりも、高い安定性を有するからである。高分子ゲル層は、さらに導電助剤を含むことが好ましい。酸化還元部として安定ラジカルを有する高分子ゲルは、電解質溶液中において導電性を有するが、導電助剤(例えば、気相成長炭素繊維)を混合することによって、内部抵抗をさらに低下させることができる。
対極32は、例えば、電解質溶液24を透過可能な複数の貫通孔を有する電極(例えばメッシュ白金電極)である。
電解質溶液24は、支持電解質と溶媒とを含む。電解質溶液24は、酸化還元物質を含まないことが好ましく、電解質溶液24に含まれる酸化還元物質は、例えば、多くとも10mMである。正孔の輸送は、もっぱら固体化合物層22で行われることが好ましい。電解質溶液24は、光アノード15、対極32および電荷蓄積電極55に接触している。電解質溶液24は、不図示のシール部によって、光アノード15と電荷蓄積電極55との間に封入されている。
電荷蓄積電極55は、例えば、基板52上に形成された酸化物導電層54と、酸化物導電層54上に形成された金属層56と、金属層56上に形成された電荷蓄積層58とを有している。電荷蓄積層58は、例えば、酸化タングステンと導電性カーボンとの混合物から形成され得る。電荷蓄積層58は、電解質溶液24に接触している。基板52は、例えば、可視光を透過するガラス基板またはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)である。
光電変換素子100の上記の構成要素の形成に用いられる材料の詳細は後述する。
光電変換素子100の基本的な動作を説明する。
光アノード15に所定の波長範囲の光が照射されると、光増感剤は、可視光を吸収し、励起状態となり、電子−正孔対を生成する。電子は半導体層16の伝導帯に注入され、導電層14に輸送される。正孔は、固体化合物層22を介して、対極32に導かれるとともに、光増感剤は還元される。このように固体化合物層22は、酸化還元物質として機能する。言い換えると、酸化還元物質として機能する固体の化合物は、固体化合物層22として用いることができる。図1(a)に示すように、光アノード15と電荷蓄積電極55とが電気的に接続されている状態においては、このようにして、光発電され、充電される。酸化還元物質は、固体化合物層22に固定または保持されているので、自己放電が抑制される。
一方、図1(b)に示すように、対極32と電荷蓄積電極55とに負荷を接続することによって、充電された電荷を取り出すことができる。このとき、図示したように、光アノード15と電荷蓄積電極55とを電気的に切断してもよいし、あるいは、光アノード15と電荷蓄積電極55とを電気的に接続した状態でもよい。
以下に、光電変換素子100の上記の構成要素の形成に用いられる材料を詳細に説明する。
<光アノード>
光アノード15は、上述したように、例えば、可視光を透過する導電層14と、導電層14上に形成された半導体層16を有し、半導体層16は光増感剤を含んでいる。光増感剤を含む半導体層16は、光吸収層と呼ばれることもある。このとき、基板12は、例えば、可視光を透過するガラス基板またはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)である。
可視光を透過する導電層14は、例えば、可視光を透過する材料(以下、「透明導電材料」という。)で形成され得る。透明導電材料としては、例えば、導電性を有する金属酸化物を用いることができる。金属酸化物は、例えば、インジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫、あるいはこれらの複合物である。可視光を透過する導電層14はまた、透光性を有しない導電材料を用いて形成することができる。例えば、線状(ストライプ状)、波線状、格子状(メッシュ状)、パンチングメタル状(多数の微細な貫通孔が規則的または不規則に配列された様子をいう。)のパターンを有する金属層または、これらとはネガ・ポジが反転したパターンを有する金属層を用いることができる。これらの金属層では、金属が存在しない部分を光が透過することができる。金属として、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、鉄、ニッケル、スズ、亜鉛、またはこれらのいずれかを含む合金を挙げることができる。さらに、金属に代えて、導電性を有する炭素材料を用いることもできる。
可視光を透過する導電層14の透過率は、例えば50%以上であり、80%以上であることが好ましい。透過すべき光の波長は、光増感剤の吸収波長に依存する。このとき、導電層14の厚さは、例えば、1nm〜100nmの範囲内にある。
基板12とは反対側から半導体層16に光を入射させる場合、基板12および導電層14は、可視光を透過させる必要はない。したがって、上記の金属または炭素を用いて導電層14を形成する場合、金属または炭素が存在しない領域を形成する必要がなく、さらに、これらの材料が十分な強度を有する場合、導電層14が基板12を兼ねるようにしてもよい。
なお、導電層14の表面における電子の漏れを防ぐため、すなわち、導電層14と半導体層16との間に整流性を持たせるために、導電層14と半導体層16との間に、酸化シリコン、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物層を形成してもよい。
光増感剤を有する半導体層16は、上述したように、例えば、多孔質半導体と、多孔質半導体の表面に担持された光増感剤とを含む。多孔質半導体は、例えば、多孔質酸化チタン(TiO2)である。酸化チタンは、光電変換特性が高く、かつ、電解質溶液中への光溶解が起こり難いという特徴を有している。また、多孔質体は、比表面積が大きく、多くの光増感剤を担持することができるとともに、後述の固体化合物層22および電解質溶液24との接触面積を大きくできるという利点を有している。もちろん、多孔質体に限られず、例えば、凝集した半導体粒子によって半導体層16を構成してもよい。
半導体層16の厚さは、例えば、0.01μm以上100μm以下である。半導体層16の厚さは、光電変換の効率を考慮して適宜変更され得るが、0.5μm以上50μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がさらに好ましい。また、半導体層16の表面粗さは大きい方が好ましく、実効面積/投影面積で与えられる表面粗さ係数が10以上であることが好ましく、100以上であることがさらに好ましい。なお、実効面積は、半導体層16の投影面積と厚さから求められる体積と、半導体層16を構成する材料の比表面積および嵩密度とから求められる実効表面積を意味する。
半導体層16は、TiO2の他に、下記の無機半導体を用いて形成することができる。例えば、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属元素の酸化物、SrTiO3、CaTiO3などのペロブスカイト、CdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2Sなどの硫化物、CdSe、In2Se3、WSe2、HgS、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド、その他、GaAs、Si、Se、Cd23、Zn23、InP、AgBr、PbI2、HgI2、BiI3などを用いることができる。これらの内、CdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2S、InP、Cu2O、CuO、CdSeは、波長が350nm〜1300nm程度の光を吸収することができるという利点を有している。さらに、上記の半導体から選ばれる少なくとも1種以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSx/CdSe1-x、CdSx/Te1-x、CdSex/Te1-x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO2/Cd32、CdS/CdSeCdyZn1-yS、CdS/HgS/CdSなどを用いることができる。さらに、また、ポリフェニレンビニレンやポリチオフェンやポリアセチレン、テトラセン、ペンタセン、フタロシアニンなどの有機半導体を用いることもできる。
半導体層16は、公知の種々の方法で形成され得る。無機半導体を用いる場合、例えば、半導体材料の粉末と有機バインダー(有機溶剤を含む)との混合物を導電層14上に付与し、その後、加熱処理を施し有機バインダーを除去することによって、無機半導体からなる半導体層16を得ることができる。上記混合物を付与する方法は、公知の種々の塗布法または印刷法を採用することができる。塗布法としては、例えば、ドクターブレード法、バーコート法、スプレー法、ディップコーティング法、スピンコート法が挙げられ、印刷法としては、スクリーン印刷法が挙げられる。また、必要に応じて、混合物の膜を加圧してもよい。
有機半導体を用いる場合も、種々の公知の方法で半導体層16を形成することができる。有機半導体の溶液を公知の種々の塗布法または印刷法を用いて、導電層14上に付与すればよい。また、例えば、数平均分子量が1000以上の高分子半導体を用いる場合、スピンコート法やドロップキャスト法などの塗布法、スクリーン印刷やグラビア印刷などの印刷法が挙げられる。これらのウェットプロセスの他、スパッタ法や蒸着法などのドライプロセスを採用することもできる。
光増感剤としては、例えば、半導体超微粒子、色素、顔料を用いることができる。無機材料でも有機材料でも、これらの混合物であってもよい。効率よく光を吸収し、電荷を分離する観点からは色素が好ましく、9−フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、テトラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素などが挙げられる。または、RuL2(H2O)2タイプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体(ここで、Lは4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジンを示す。)、または、ルテニウム−トリス(RuL3)、ルテニウム−ビス(RuL2)、オスニウム−トリス(OsL3)、オスニウム−ビス(OsL2)などのタイプの遷移金属錯体、または亜鉛−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシアニド錯体、フタロシアニンなどが挙げられる。その他、例えば、「FPD・DSSC・光メモリーと機能性色素の最新技術と材料開発」((株)エヌ・ティー・エス)のDSSCの章に記載されている色素も適用することができる。それらの中でも、会合性を有する色素は、密に凝集して半導体の表面を覆い、絶縁体層として機能することがある。光増感剤が絶縁体層として機能すると、電荷分離界面(光増感剤と半導体との界面)に整流性を付与することができ、電荷分離後の電荷の再結合を抑制することができる。
会合性を有する色素としては、[化1]の化学式で示される構造を有する色素分子が好ましく、例えば、[化2]の化学式で示される構造を有する色素分子を例示できる。なお、色素分子が会合体を形成しているか否かは、有機溶剤などに溶解している色素分子の吸収スペクトルと、半導体上に担持されている色素分子の吸収スペクトルとを比較することによって、容易に判別できる。
Figure 0005966012

(但し、X1、X2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基およびヘテロ環からなる群から選ばれる少なくとも1種類の基を含み、また、前記少なくとも1種類の基は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。X2は、例えば、カルボキシル基、スルホニル基、または、ホスホニル基を有する。)

Figure 0005966012
また、光増感剤として用いることができる半導体超微粒子としては、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化銀などの硫化物半導体の超微粒子を挙げることができる。半導体超微粒子の直径は、例えば、1nm〜10nmである。
光増感剤は、公知の種々の方法で半導体に担持させられる。例えば、光増感剤を溶解あるいは分散させた溶液に、半導体層(例えば、光増感剤を含まない多孔質半導体)を形成した基板を浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドなど光増感剤を溶解可能なものを適宜選択して用いればよい。また、光増感剤の溶液に浸漬させている間に、加熱したり、超音波を印加したりしてもよい。また、浸漬後、溶媒(例えばアルコール)での洗浄、および/または加熱を行うことによって、余剰の光増感剤を除去してもよい。
半導体層16における光増感剤の担持量は、例えば、1×10-10〜1×10-4mol/cm2の範囲内であり、光電変換効率およびコストの観点から、例えば、0.1×10-8〜9.0×10-6mol/cm2の範囲が好ましい。
なお、上述のCdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2S、InP、Cu2O、CuO、CdSeは、波長が350nm〜1300nm程度の光を吸収することができるので、これらを用いて半導体層を形成する場合には、光増感剤はなくともよい。
<対極>
対極32は、光電変換素子の正極として機能するものであり、後述の固体化合物層22から正孔を受け取るとともに、固体化合物層22に電子を与える。対極32を形成する材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、グラファイト、カーボンナノチューブ、白金を担持したカーボン等の炭素材料、インジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等の導電性金属酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを挙げることができる。これらのうち、白金、グラファイト、ポリエチレンジオキシチオフェンなどが好ましい。
また、図1に例示したように、光アノード15と電荷蓄積電極55との間に対極32を配置する構成においては、対極32は電解質溶液24を透過させることが可能な貫通孔を有する。このような対極32としては、例えば、メッシュ電極、グリッド電極、セパレータ上に導電層が形成されたもの、導電材の多孔質体などが挙げられる。メッシュ電極としては、例えば、市販されている汎用の白金メッシュを用いることができる。セパレータ上に導電層が形成されたものは、例えば、セパレータ上に金、白金などをスパッタ法や蒸着法によって堆積することによって製造され得る。
<電解質媒体>
電解質媒体24は、典型的には、電解質溶液24である。電解質溶液24は、支持電解質(支持塩)と溶媒とを含む。
支持電解質としては、例えば過塩素酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化リン酸テトラエチルアンモニウム、イミダゾリウム塩やピリジニウム塩などのアンモニウム塩、過塩素酸リチウムや四フッ化ホウ素カリウムなどアルカリ金属塩などが挙げられる。
溶媒は、イオン伝導性に優れるものが好ましい。溶媒は、水系溶媒および有機溶媒のいずれも使用できるが、溶質をより安定化するため、有機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して用いることもできる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、γ―ブチロラクトン、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、吉草酸ニトリル等のニトリル化合物が好ましい。
また、溶媒として、イオン液体を用いる、もしくは上記溶媒に混合してもよい。イオン液体を用いると、電解質溶液が接触する固体化合物層22が有する酸化還元部を安定化する効果を向上させることができる。また、イオン液体は、揮発性が低く、難燃性が高いという特徴を有している。
イオン液体としては、公知のイオン液体全般を用いることができるが、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレートなどイミダゾリウム系、ピリジン系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、アゾニウムアミン系のイオン液体や、欧州特許第718288号明細書、国際公開第95/18456号、電気化学第65巻11号923頁(1997年)、J. Electrochem. Soc.,143巻,10号,3099頁(1996年)、Inorg. Chem., 35巻,1168頁(1996年)に記載されたものを挙げることができる。
電解質溶液24は、上述したように、酸化還元物質を含まないことが好ましく、電解質溶液24に含まれる酸化還元物質は、例えば、多くとも10mMであることが好ましい。
酸化還元物質とは、酸化還元反応において可逆的に酸化体および還元体の形で存在する一対の物質を意味する。酸化還元物質としては、例えば、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、ニッケルイオン(II)−ニッケルイオン(III)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオンなどが挙げられる。
これら酸化還元物質が電解質溶液内に存在していると、蓄電時の自己放電が大きくなる。これは、固体化合物層と電荷蓄電電極との間において、酸化還元物質が放電の担い手(=メディエータ)として機能するからである。電解質溶液に含まれる酸化還元物質は、多くとも10mMであり、好ましくは1mM以下であり、さらに好ましくは0.1mM以下である。
なお、電解質媒体24は、電解質溶液の他、ゲル電解質または高分子電解質であってもよい。例えば、ゲル電解質は、電解質溶液にゲル化剤を混合することによって得られる。ゲル化剤としては、架橋反応によって高分子を生成するゲル化剤、重合可能な多官能モノマーを含むゲル化剤、およびオイルゲル化剤を例示することができる。ゲル化電解質または高分子電解質としては、一般に用いられるものを適用することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ化ビニリデン系重合体、ポリアクリル酸などのアクリル酸系重合体、ポリアクリロニトリルなどのアクリロニトリル系重合体およびポリエチレンオキシドなどのポリエーテル系重合体、あるいは構造中にアミド構造を有する重合体である。
<固体化合物層>
固体化合物層22は、上述したように、典型的には電解質溶液24を内部に含む構造を有している。固体化合物層22は、例えば、酸化還元部を有する高分子を含む高分子ゲル層を含む。固体化合物層22は、あるいは、多孔質体またはインターカレーションが可能な固体を含む。固体化合物層22が、多孔質体またはインターカレーションが可能な固体を含むとき、固体化合物層22は、例えば、導電性を有するカーボンをさらに含む。インターカレーションが可能な固体は、例えば、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2であり、これらの微粉末と導電性のカーボン材料とバインダーと混合して用いられる。導電性のカーボン材料は、正孔を対極32に輸送するとともに、酸化された光増感剤を還元する。固体化合物層22は、酸化還元物質の機能を有するとともに、酸化還元物質を固定または保持する機能を有している。
固体化合物層22は、図1(a)および(b)に例示したように、光アノード15および対極32に直接接触するように設けられるが、光アノード15と固体化合物層22との間に、電子輸送層を設けてもよい。電子輸送層としては、例えば、特許文献1に記載のn型のゲル層を用いることができる。
次に、高分子ゲル層に含まれる高分子について、詳しく説明する。
高分子ゲル層は、高分子と電解質溶液とを含む。高分子ゲル層は、高分子によって形成された網目構造に電解質溶液が取り込まれた状態にあり、全体として、固体状態である。高分子は、数平均分子量が1000以上のものが好ましく、分子量が1000未満の低分子量成分を実質的に含まないことがさらに好ましい。高分子の分子量の上限は特に制限されないが、例えば、100万以下である。低分子量成分を除去することによって、酸化還元部を有する低分子量成分が、電解質溶液24中に溶出して、電荷蓄積電極55において還元されるのを抑制することができる。高分子に含まれる分子量が1000以下の低分子成分の量は、沈殿精製などによって減少させることができる。高分子から電解質溶液中に溶出する酸化還元物質の濃度は、以下の式で算出される溶出濃度が1mM以下であることが好ましく、0.1mM以下であることがさらに好ましい。なお、酸化還元物質の濃度は、微分パルスボルタモグラムなどによって測定することができる。
(固体化合物層に用いられている酸化還元物質の電解質溶液中での濃度)=(溶出濃度)
また、高分子は、架橋構造を有していることが好ましい。架橋構造を有していると、低分子量成分の溶出を抑制することができる。架橋構造は、化学的な架橋構造であることが好ましい。化学的な架橋構造は、高分子鎖同士の絡み合いによって形成される物理的な架橋構造よりも、高い安定性を有するからである。化学的な架橋構造は、例えば、架橋剤を混合することによって形成することができる。例えば、高分子を生成するためのモノマー全体に対して、例えば、0.1mol%以上、より好ましくは1mol%以上の架橋剤を混合すればよい。上限は特に制限されないが、例えば、30mol%以下である。架橋密度が高すぎると、蓄電特性が低下することがある。
高分子ゲル層に含まれる高分子は、例えば、モノマーの重合体であり、1つのモノマーに対応する構造は、「繰り返し単位(repeat unit)」と呼ばれる。ここでは、単に「ユニット」ということにする。モノマーは、1種類に限られず、2種類以上のモノマーを重合することによって、高分子が生成される。例えば、重合性基を1個だけ有するモノマー(以下、「単官能モノマー」という。)を重合すると、鎖状の高分子が得られる。単官能モノマーに、2個以上の重合性基を有するモノマー(以下、「多官能モノマー」という。)を混合すると、架橋構造を有する高分子が得られる。また、架橋剤を添加することによって、高分子鎖同士を架橋することもできる。
本開示の実施形態による光電変換素子100に用いられる高分子は、繰り返し酸化還元が可能な酸化還元部を有している。酸化還元部とは、酸化還元反応(レドックス反応)により安定的に電子を授受することができる部分をいい、例えば、ニトロキシルラジカルなどの安定ラジカルを指す。また、高分子を構成するユニットの内、酸化還元部を有するユニットを酸化還元ユニット(またはレドックスユニット)と呼び、酸化還元ユニット以外のユニットを「基本ユニット」と呼ぶことにする。酸化還元ユニットは、例えば、ニトロキシルラジカルを有するTEMPO(2,2,6,6−tetramethylpiperidine 1−oxyl)を指す。基本ユニットと酸化還元ユニットとの結合は、例えば、基本ユニットで構成される主鎖に、酸化還元ユニットが側鎖として結合してもよいし、基本ユニットと酸化還元ユニットとのいずれもが主鎖を構成してもよい。基本ユニットおよび酸化還元ユニットはそれぞれ複数の種類のユニットを含んでもよく、また、基本ユニットおよび酸化還元ユニットはそれぞれ、多官能モノマーに対応する架橋ユニットを含んでもよい。ここでは、説明の簡単のために、ユニットをモノマーに対応付けたが、これに限られず、ユニットがオリゴマーまたは高分子に対応する構成単位であってもよい。
上述の酸化還元部を有する高分子を以下の一般式(1)で表すことにする。
(Xinj:Yk ・・・・・(1)
iは基本ユニットを示し、Yは酸化還元ユニットを示す。(Xinはn個のXiが結合して構成される基本重合ユニットを示している。(Xinjは、高分子がj個の基本重合ユニット(Xinを有していることを示し、Ykは、高分子がk個のYを有していることを示している。nは2以上の整数であり、jおよびkはそれぞれ独立に1以上の整数である。n、jおよびkの上限は、例えば10万である。酸化還元ユニットYは基本重合ユニット(Xinのどの位置に結合してもよく、さらに、XiおよびYは、それぞれ2種類以上であってもよい。なお、Yが2種類以上であるときは、電子交換反応の観点から、酸化還元電位が互いに近い酸化還元部を有することが好ましい。
酸化還元部を有する高分子としては、例えば、キノン類が化学結合したキノン誘導体を有する高分子、イミドを有するイミド誘導体を有する高分子、フェノキシルを有するフェノキシル誘導体を有する高分子、ビオロゲンを有するビオロゲン誘導体を有する高分子などが挙げられる。
上記の高分子のうち、キノン誘導体を有する高分子の例として、下記の[化3]〜[化6]の化学構造を有するものが挙げられる。[化3]〜[化6]において、Rはメチレン、エチレン、プロパン−1,3−ジエニル、エチリデン、プロパン−2,2−ジイル、アルカンジイル、ベンジリデン、プロピレン、ビニリデン、プロペン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,4−ジイルなどの飽和または不飽和炭化水素類;シクロヘキサンジイル、シクロヘキセンジイル、シクロヘキサジエンジイル、フェニレン、ナフタレン、ビフェニレンなど環状炭化水素類;オキサリル、マロニル、サクシニル、グルタニル、アジポイル、アルカンジオイル、セバコイル、フマロイル、マレオイル、フタロイル、イソフタロイル、テレフタロイルなどケト、2価アシル基;オキシ、オキシメチレノキシ、オキシカルボニルなどエーテル、エステル類;サルファンジイル、サルファニル、サルホニルなど硫黄を含む基;イミノ、ニトリロ、ヒドラゾ、アゾ、アジノ、ジアゾアミノ、ウリレン、アミドなど窒素を含む基;シランジイル、ジシラン−1,2−ジイルなど珪素を含む基;またはこれらの基の末端を置換した基あるいは複合化した基を示す。
[化3]は主鎖にアントラキノンが化学結合して構成される高分子の例である。[化4]はアントラキノンを含む基本ユニットで主鎖が構成されている高分子の例である。また[化5]はアントラキノンを含む架橋ユニットを有する高分子の例である。さらに[化6]は酸素原子と分子内水素結合を形成するプロトン供与性基を有するアントラキノンの例である。
Figure 0005966012

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また、酸化還元ユニットYがイミド誘導体を有する高分子として、[化7]や[化8]に示すポリイミドを用いることができる。ここで、[化7]や[化8]において、R1〜R3はフェニレン基などの芳香族基、アルキレン基、アルキルエーテルなど脂肪族鎖、エーテル基であり、R1〜R3を除く部分が酸化還元ユニットYである。ポリイミド骨格はR1〜R3の部分で架橋されてもよい。なお、フタルイミドやピロメリットイミドは、酸化還元性を有する。
Figure 0005966012

Figure 0005966012
また、フェノキシル誘導体を有する高分子として、例えば[化9]に示すようなガルビノキシ高分子が挙げられる。このガルビノキシ高分子において、[化10]に示すガルビノキシルラジカルが酸化還元部に相当する。[化10]において「・」は、不対電子を表す。
Figure 0005966012

Figure 0005966012
また、ビオロゲン誘導体を有する高分子として、例えば、[化11]や[化12]に示すようなポリビオロゲンを挙げることができる。このポリビオロゲンにおいては、[化13]に示す部分が酸化還元ユニットYに相当する。
Figure 0005966012

Figure 0005966012

Figure 0005966012
なお、[化1]〜[化3]、[化5]〜[化7]、[化9]および[化10]におけるmおよびnは、各ユニットの繰り返し数(重合度に対応)を示し、1または2以上の整数で、上限は例えば10万である。
酸化還元部として安定ラジカルを有する高分子は、例えば、安定ラジカル同士の電荷交換が速いという利点を有している。安定ラジカルは、電気化学的酸化反応または電気化学的還元反応の少なくとも一方の過程でラジカルを生成する。安定ラジカル種は特に限定されないが、ニトロキシラジカル(NO・)が好ましい。
安定ラジカルを有する高分子は、上記一般式(1)の酸化還元ユニットYとして、例えば、次の[化14]および[化15]の少なくとも一方を含む。
Figure 0005966012
[化14]中、置換基R1は、置換または非置換の炭素数2〜30のアルキレン基、炭素数2〜30のアルケニレン基、または炭素数4〜30のアリーレン基であり、Xは、ニトロキシルラジカル基の他、オキシラジカル基、硫黄ラジカル基、ヒドラジルラジカル基、炭素ラジカル基、またはホウ素ラジカル基などが好ましい。n1は、2以上の整数である。
Figure 0005966012
[化15]中、置換基R2およびR3はそれぞれ独立に、置換または非置換の炭素数2〜30のアルキレン基、炭素数2〜30のアルケニレン基、または炭素数4〜30のアリーレン基であり、Yは、ニトキシルラジカル基、硫黄ラジカル基、ヒドラジルラジカル基、または炭素ラジカル基であり、n2は、2以上の整数である。
[化14]および[化15]に示される安定ラジカルY・としては、例えば、オキシラジカル、ニトロキシルラジカル、炭素ラジカル、窒素ラジカル、ホウ素ラジカル、硫黄ラジカル等が挙げられる。
オキシラジカルの具体例としては、例えば次の[化16]、[化17]に示されるアリールオキシラジカル、[化18]に示されるセミキノンラジカル等が挙げられる。
Figure 0005966012

Figure 0005966012

Figure 0005966012
[化16]〜[化18]中、置換基R4〜R7はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族の炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアシル基である。
ニトロキシルラジカルの具体例としては、下記[化19]で示されるペリジノキシ環を有する安定ラジカル、[化20]で示されるピロリジノキシ環を有する安定ラジカル、[化21]で示されるピロリノキン環を有する安定ラジカル、[化22]で示されるニトロニルニトロキシド構造を有する安定ラジカルなどが挙げられる。
Figure 0005966012

Figure 0005966012

Figure 0005966012

Figure 0005966012
[化19]〜[化22]中、R8〜R10およびRA〜RLは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族の炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアシル基である。また、[化22]において、n4は2以上の整数である。
また、ニトロキシルラジカルの具体例としては、次の[化23]で示される3価のヒドラジル基を有するラジカル、[化24]で示される3価のフェルダジル基を有するラジカル、[化25]で示されるアミノトリアジン構造を有するラジカルなどが挙げられる。
Figure 0005966012

Figure 0005966012

Figure 0005966012
[化23]〜[化25]中、R11〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族の炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアシル基である。
[化14]〜[化25]に示したラジカルを有する高分子は安定性に優れ、その結果、光電変換素子やエネルギー蓄積素子において安定して使用できるので、安定性に優れしかも応答速度に優れた光電変換素子を得ることができる。
安定ラジカルを有する高分子として、例えば、下記[化26]〜[化29]で示されるニトロキシラジカル高分子が挙げられる。
Figure 0005966012

Figure 0005966012


Figure 0005966012

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[化26]から[化29]におけるnは、ユニットの繰り返し数(重合度に対応)を示し、1以上の整数であり、上限は例えば10万である。
高分子ゲル層は、さらに導電助剤を含むことが好ましい。酸化還元部として安定ラジカルを有する高分子ゲルは、電解質溶液中において導電性を有するが、導電助剤を混合することによって、内部抵抗をさらに低下させることができる。従って、光電変換素子の充放電容量の増加や、放電のレートを高めることができる。導電助剤は、例えば、低抵抗な微粒子であり、導電性カーボンやグラファイト、金属単体、不純物がドープされた半導体などを用いることができる。特に、例えば、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどのカーボン材料を好適に用いることができる。微粒子の粒子径は、例えば、1nm〜100μmで、好ましくは1nm〜10μmであり、さらに好ましくは、1nm〜1μmである。また、アスペクト比の高い粒子を用いることもできる。
<電荷蓄積電極>
電荷蓄積電極55は、上述したように、例えば、酸化物導電層54と、酸化物導電層54上に形成された金属層56と、金属層56上に形成された電荷蓄積層58とを有している。電荷蓄積層58は、例えば、酸化タングステンと導電性カーボンとの混合物の他、黒鉛を分散した樹脂(キャパシター用活性物質)やポリデカメチルフェロセンなどの酸化還元物質(例えば、酸化還元が可能な高分子化合物)や特許文献2に記載のポリピロールなどの導電性高分子を用いて形成することができる。
[実施例]
以下、本開示の上記実施形態を実施例によって具体的に説明する。実施例1〜5および比較例1〜3の光電変換素子を作製し、特性を評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。
[実施例1]
図1に示した光電変換素子100と実質的に同じ構造を有する光電変換素子を作製した。各構成要素は、以下の通りである。
基板12:ガラス基板 厚さ1mm
透明導電層14:フッ素ドープSnO2層(表面抵抗10Ω/□)
半導体層16:多孔質酸化チタン、光増感色素(D131、三菱化学製)
固体化合物層22:ポリ((2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−オキシル−4−イル)−グリシジルエーテル)と気相成長炭素繊維(表1で「C」と表記)との混合物(質量比2:1)
対極32:メッシュ白金電極
電解質溶液24:N−メチルベンズイミダゾールを0.025mol/l、過塩素酸リチウムを0.1mol/l、アセトニトリルに溶解した電解質溶液
基板52:ガラス基板 厚さ1mm
酸化物導電層54:フッ素ドープSnO2層(表面抵抗10Ω/□)
金属層56:白金層
電荷蓄積層58:酸化タングステン(WO3)と気相成長炭素繊維とを質量比5:1で混合した材料
実施例1の光電変換素子は、以下のようにして作製した。
フッ素ドープSnO2層を有する厚さ1mmの導電性ガラス基板(旭硝子製)を2枚用意した。これらを、透明導電層14を有する基板12および酸化物導電層54を有する基板52として用いた。
平均1次粒子径が20nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作製した。
一方の導電性ガラス基板のフッ素ドープSnO2層上にスパッタ法により厚さが約10nm厚の酸化チタン層を形成した後、この上に上記のペーストを塗布して乾燥し、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成することによって、厚さが2μmの多孔質酸化チタン層(チタンコート)を形成した。
次に、多孔質酸化チタン層を形成した基板を、上記の[化13]で示される光増感色素(D131(三菱製紙製))の濃度が0.3mMであるアセトニトリル−ブタノール1:1混合溶媒溶液中に浸漬し、室温で16時間暗所下静置し、多孔質酸化チタン層に光増感剤を担持させた。このようにして、光アノード15を形成した。
他方の導電性ガラス基板の表面にスパッタ法によって白金を堆積することにより金属層56を形成した。
酸化タングステン(WO3:WAKO製)0.5gとVGCF(昭和電工株式会社製の気相成長炭素繊維、登録商標)0.1gとを乳鉢にいれ10分間攪拌・混合した。混合後、NMP(n−メチルピロリド)を1ml、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を0.1mg添加しさらに10分間攪拌し、スラリー状の懸濁液を得た。
金属層56上に、上記スラリーをブレード法によって厚さが10μmとなるように塗布し、電荷蓄電層58を形成した。
固体化合物層22の形成には、以下の[化30]で表される高分子を用いた。
Figure 0005966012
作製方法を以下に示す。
50質量%水酸化ナトリウム水溶液 4mlに、エピクロロヒドリン 2.5ml(30mmol)と、テトラブチルアンモニウム硫酸水素ナトリウム 84mg(239μmol)とを加え、攪拌する。これに4−ヒドロキシ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン−1−オキシル 1.03g(5.98mmol)をさらに加え、室温で12時間反応させる。次に、エーテル抽出、エ−テル/ヘキサン混合溶媒(混合容積比=1/1)を用い、カラム精製を経て4−グリシジロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル 1.14g(収率84%)を得た。
上記で得られた4−グリシジロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル 228mg(1.00mmol)をテトラヒドロフラン(=THF)中、tert−ブトキシカリウム(=t−BuOK) 5.6mg(0.05mmol)を重合開始剤として加え、窒素雰囲気下、60℃で24時間反応後、ジエチルエーテルへの再沈殿精製を経て橙色粉末としてポリ((2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−オキシル−4−イル)−グリシジルエーテル)(以下、PTGEと略す。)を得た(構造式[化30]参照)。
得られた高分子の分子量は数平均分子量3600(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)1.4であった(収量150mg、収率66%)。
PTGE10mg、VGCF(昭和電工株式会社製の気相成長炭素繊維、登録商標)20mgをDMF溶媒1mlに懸濁させ、光アノード15上に、スピンコートすることにより、厚さが10μmの固体化合物層22を形成した。
次に、固体化合物層22上に白金メッシュ電極(市販品)を配置し、上部からプレスすることによって、対極32を形成した。この際、上部からプレスすることによって、固体化合物層22に直接接触した対極32を形成した。
次に、光アノード15の多孔質酸化チタン層が形成された部分を囲むように、熱溶融性接着剤(三井デュポンポリケミカル製「バイネル」)の封止材を電荷蓄積電極55の上に配置し、その上に光アノード15を形成したガラス基板を重ね、加熱しながら加圧して貼り合わせた。この電荷蓄積電極55を形成したガラス基板にはダイヤモンドドリルで孔をあけておいた。
次に、アセトニトリルに、N−メチルベンズイミダゾールを0.025mol/l、過塩素酸リチウムを0.1mol/lそれぞれ溶解した電解質溶液を調製し、この電解液を上記の孔から注入した後に、紫外線硬化樹脂を用いて孔を封止した。このようにして、実施例1の光電変換素子を得た。
[実施例2]
実施例1の光電変換素子において、電解質溶液を、アセトニトリルに、TEMPO(2,2,6,6−tetramethylpiperidine 1−oxyl)0.01mol/L(10mM)、N−メチルベンズイミダゾールを0.025mol/l、過塩素酸リチウムを0.1mol/lそれぞれ溶解した電解質溶液を調製したものを用いることによって、実施例2の光電変換素子を得た。
[実施例3]
実施例1の光電変換素子において、電荷蓄電層58を以下の層に変更した。
塗布キャパシタ材料であるヒタゾル(黒鉛や二硫化モリブデンの微粒子を溶剤に分散し、コロイド状やペースト状にした塗料、日立化成株式会社製)をPt板上に塗布し、厚さが10μmの電荷蓄電層を得た。
[実施例4]
実施例1の光電変換素子において、固体化合物層22の形成に用いる高分子を下記の[化31]に示す高分子に変更した。
Figure 0005966012
[化31]に示した高分子の合成方法を[化32]に示すスキームを参照して説明する。
4−アミノ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジンを2.8 ml(16 mmol)にベンゼン(60 ml)を加え、0℃の温度に冷却、攪拌したのち、アクリロイルクロリド1.3 ml(16 mmol)を滴下、0 ℃で1時間冷却後、室温で終夜攪拌し、結晶を析出させた。次に、溶媒除去、分液抽出を行った後、カラムクロマトグラフィーによる再結晶で精製し、下記のスキームの生成物2を収率54%で得た。
上記で得られた生成物2、105mgをメタノール1mlに溶解させ、窒素雰囲気下でAIBM(アゾビスイソブチルニトリル)1.64 mgを加え、85 ℃で終夜攪拌し、結晶を析出させた。次に、溶媒除去、分液抽出を行った後、カラムクロマトグラフィーによる再結晶で精製し、下記スキームの生成物3を得た。
さらに、この生成物3、150mgにTHF(テトラハイドロフラン)5.0mlに溶解させ、窒素雰囲気下でmCPBA(3−クロロベンゾパーオキソ酸)1.23gを加え、85 ℃で終夜攪拌した。得られた結晶を、溶媒除去後、分液抽出を行い、カラムクロマトグラフィーによる再結晶で精製することで、下記のスキームの化合物(ポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル−4−アクリルアミド))4を得た。
Figure 0005966012
[実施例5]
実施例1の光電変換素子において、電荷蓄積層58を以下の層に変更した。
下記の[化33]に示すデカメチルフェロセンを下記の[化34]に示すスキーム1に従って合成し、粉末を得た。
デカメチルフェロセンをマンガン酸バリウムとともにベンゼン:ジエチルエーテル=1:1の溶媒に溶解させ、45 ℃で15時間撹拌した。反応終了後、カラム精製(クロロホルム:ヘキサン=1:3)を経て赤色固体1を得た(収率12%)。
得られた赤色固体1を過マンガン酸カリウム・炭酸ナトリウムとともにアセトン:純水=9:1の溶媒に溶解し、室温で2時間反応させた後、カラム精製(ヘキサン:クロロホルム:エタノール=6:3:1)を経て黄色固体2を得た。
得られた黄色固体2をDMT−MMを用いてPEI(Mn=1.0×104、6.0×104)に縮合し、デカメチルフェロセンの高分子3を得た。
Figure 0005966012

Figure 0005966012
上記ポリデカメチルフェロセン10mgをVGCF(昭和電工株式会社製の登録商標)30mg、PVDF0.1mgと乳鉢で10分間混合し、さらにNMP1mlを加えて10分間混合し、スラリー状の懸濁液を得た。この懸濁液をドクターブレード法でPt板上に塗布することによって、膜厚10μmの電荷蓄積層を得た。
[比較例1]
図2に示す光電変換素子300と同じ構造を有する光電変換素子を作製した。光電変換素子300は、蓄電機能を有しない。
基板12:ガラス基板 厚さ1mm
透明導電層14:フッ素ドープSnO2層(表面抵抗10Ω/□)
半導体層16:多孔質酸化チタン、光増感色素(D131、三菱化学製)
電解質溶液44:ヨウ化リチウムを0.01mol/l、N−メチルベンズイミダゾールを0.025mol/l、過塩素酸リチウムを0.1mol/l、それぞれアセトニトリルに溶解した電解質溶液
基板52:ガラス基板 厚さ1mm
酸化物導電層34:フッ素ドープSnO2層(表面抵抗10Ω/□)
対極36:白金層
比較例1の光電変換素子は、実施例1と同様の方法で作製した。電解質溶液としては、アセトニトリルに、ヨウ化リチウムを0.01mol/l、N−メチルベンズイミダゾールを0.025mol/l、過塩素酸リチウムを0.1mol/lそれぞれ溶解した電解質溶液を用いた。
[比較例2]
図3に示す光電変換素子400と同じ構造を有する光電変換素子を作製した。光電変換素子400は、特許文献2に記載の光電変換素子と同様に、カチオン交換膜62を有しており、第1電解質溶液46は酸化還元物質を含み、第2電解質溶液48は酸化還元物質を実質的に含まない。
光アノード15および対極32は、実施例1と同じものを用いた。カチオン交換膜は、(Nafion:デゥポン社製)を用いた。第1電解質溶液46は、比較例1と同じ電解質溶液(アセトニトリルに、ヨウ化リチウムを0.01mol/l、N−メチルベンズイミダゾールを0.025mol/l、過塩素酸リチウムを0.1mol/lそれぞれ溶解した電解質溶液)を用いた。第2電解質溶液48は、アセトニトリルに過塩素酸リチウムを0.1mol/l溶解した電解質溶液を用いた。
[比較例3]
比較例2の光電子変換素子において、ヨウ化リチウムの変わりにTEMPO(2,2,6,6−tetramethylpiperidine 1−oxyl)を用いることによって、比較例3の光電変換素子を得た。
[評価方法]
開放電圧・短絡電流の測定
光電変換素子に、安定化蛍光灯を用いて200lxの照度の光を照射し、電流−電圧特性を測定し、電流−電圧特性が安定した後の変換効率を求めた。なお、本測定環境は太陽光に対しては約500分の1ではあるが、当然、太陽光下でも適用でき、用途を限定するものではない。結果を表1に示す。
光蓄電機能は、光照射した状態での開放電圧から、暗時にした際に、暗時にしてから10秒間の間に、開放電圧低下が200mV以上になる場合は「×」、開放電圧低下が200mV未満の場合は「○」とした。
放電特性は、光照射時に、電荷蓄積層と対極との短絡させた際の、短絡後1秒間に流れる平均の放電電流を測定した。その放電レートを表1に示す。
Figure 0005966012
表1の結果から、実施例1〜5の光電変換素子は、蓄電機能を有するとともに、カチオン交換膜を有する特許文献2に記載されている構成の光電変換素子よりも、高い放電レートを有することがわかった。
実施例1の光電変換素子について、光照射状態から暗状態にした後の、電圧の経時変化の測定を行った結果を図4(a)および(b)に示す。図4(a)と図4(b)との違いは時間の長さだけである。
図4(a)および(b)から分かるように、暗状態にしてから1800秒経過しても、初期電圧からの電圧の低下は200mV以内であり、実施例1の光電変換素子は、長時間に亘って安定な蓄電性能を有することがわかった。
同様に、実施例2の光電変換素子について、光照射状態から暗状態にした際の、電圧の経時変化の測定を行った結果を図5に示す。また、実施例1の結果と実施例2の結果とを併せて図6に示す。
図5および図6から分かるように、実施例2の光電変換素子では、暗状態にしてから約95秒後において、初期電圧からの電圧低下が200mV以上となっている。すなわち、実施例2のように、電解質溶液に酸化還元物質を溶解させると、蓄電機能の安定性が低下する。したがって、蓄電機能の安定性を考慮すると、電解質溶液に含まれる酸化還元物質は多くとも10mMであることが好ましい。
本開示の実施形態による光電変換素子100は、例えば、0.01mAh/cm2〜100mAh/cm2の容量を有し得る。パルス放電が求められる用途(例えば室内センサーの無線送信用電源)では、一般に50C以上の放電レートが求められる。実施例1〜5の光電変換素子は、このような用途に用いられ得る。
特許文献2に開示されているエネルギー貯蔵型色素増感太陽電池は、3つの電極(光電極、対極および電荷蓄積電極)を有する、いわゆるビーカーセル型の光電変換素子である。ビーカーセル型の光電変換素子では、3つ以上の電極であっても、容易に電極を取り出せるものの、電解質溶液を長時間にわたって安定に保持することが難しい。また、光電変換素子の小型化が困難、あるいは量産性に劣るという問題がある。なお、電解質溶液に限らず、電解質溶液を内包するゲル電解質を用いる場合にも同様の問題がある。
以下に説明する本開示の他の実施形態は、電解質媒体、特に電解質溶液を長時間にわたって安定に保持することができる新規な構造を有する光電変換素子を提供する。また、他の実施形態による光電変換素子は、先の実施形態による光電変換素子の利点を備え得る。
図7に本開示の他の実施形態による光電変換素子200の模式的な断面図を示す。
光電変換素子200は、第1基板12と、第1基板12との間に間隙を形成するように配置された第2基板52と、間隙を満たす、電解質溶液を含む電解質媒体24と、第1基板12と第2基板52との間に形成され、間隙内の電解質媒体24を封止するシール部46と、電解質媒体24に接触し、かつ、それぞれが電気化学的に異なる機能を有する第1電極15、第2電極32および第3電極55を有し、第1電極15は、第1基板12上に形成されており、第2電極32および第3電極55は、第2基板52上に形成されている。例えば、第1電極15は光アノードであり、第2電極32は対極であり、第3電極55は電荷蓄積電極である。
3つの電極の配置は、この例に限られず、後に具体的な構成を例示するように、第1電極15、第2電極32および第3電極55の内の2つの電極のそれぞれの少なくとも一部分が、第1基板12上に形成されており、かつ、第1電極15、第2電極32および第3電極55の内の他の1つの電極の少なくとも一部分は、第2基板52上に形成されてもよい。さらに、第1電極15、第2電極32および第3電極55のそれぞれの少なくとも一部分が、第1基板12上または第2基板52上に形成されていればよい。例えば、導電性粒子を有する封止材を用いて、第1基板12上に形成された第1電極15を第2基板上の電極(第2基板上の他の電極とは絶縁されている)に電気的に接続することができる。このような封止材として、異方性導電材料(異方性導電フィルム(ACF)または異方性導電ペースト(ACP))として市販されているものを用いることができる。異方性導電材料は、絶縁性の樹脂に導電性粒子を分散させたもので、厚さ方向にのみ導電性を有する。もちろん、絶縁性の封止材を用いてシール部を形成し、シール部の外側において、銅線などを用いて、第1基板12上に形成された第1電極15を第2基板上の電極と電気的に接続してもよい。
本開示の他の実施形態による光電変換素子は、もちろん、4以上の電極を有してもよいが、いずれの電極も第1基板12または第2基板52上に電極の一部分が形成されている。「電極の一部分が基板上に形成されている」ということは、電極の全体が基板上に形成されている必要はなく、電極の少なくとも一部分が基板上に形成されていればよく、電極の他の部分が、電解質媒体24中に延設されていてもよい。基板上に形成された、電極の部分は、図7に例示したように、例えばシール部46から外側に延設されており、外部回路に電気的に接続される。
また、電極の一部分が「基板上に形成されている」とは、電極の一部分が、基板の表面に電解質媒体24を介することなく、直接または間接的に接触していることをいう。例えば、ガラス基板の表面に直接形成する場合だけでなく、ガラス基板の表面に形成された絶縁膜(例えば、二酸化ケイ素膜などの無機絶縁膜)の表面に形成されていてもよい。
シール部46は、公知の封止材(シール材)を用いて形成される。封止材は、典型的には、樹脂またはガラスである。樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、また、熱可塑性樹脂(熱融着樹脂)を用いることができる。封止材は、一般に絶縁性を有する。但し、上述したように、例えば、第1基板12上に形成された第1電極15を第2基板上の電極(他の電極とは絶縁されている)に電気的に接続する場合には、異方性導電材料を用いることができる。
図7に示すように、シール部46は、第1基板12上または第2基板52上に形成された第1電極15、第2電極32および第3電極55に接触するように形成されているので、電解質媒体24を確実にシールすることができるので、電解質媒体24の保存安定性が高い。例えば、ある電極が、基板上に形成されていない部分から、シール部を貫通して、外部に取り出される場合には、電極とシール部とが接触する界面の面積が増大し、界面からの電解質溶液が漏れ出す恐れがある。これに対し、本開示の他の実施形態による光電変換素子200に例示するように、3以上の電極のそれぞれの少なくとも一部分が、基板上に形成されており、基板上に形成された部分から、外部に取り出すように構成されているので、電解質溶液が漏れ出すことを効果的に抑制・防止することができる。なお、それぞれの電極の表面を覆う絶縁層(例えば、二酸化ケイ素膜などの無機絶縁膜)を設け、シール部を絶縁層と接触するように形成してもよい。
第1基板12および第2基板52は、典型的には絶縁体基板である。第1基板12および第2基板52の形状は、典型的には板状であるが、特に制限されない。具体的には、ガラス基板、プラスチック基板、または酸化アルミニウム基板などの絶縁性基板を用いることができる。電気化学的に機能が異なる複数の電極を同一基板上に形成するので、第1基板12および第2基板52の少なくも表面は絶縁性を有することが好ましい。もちろん、金属基板や半導体基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いることもできるが、必要に応じて、光透過性を有する絶縁基板を用いる。
第1基板12および第2基板52の絶縁性表面に形成される3以上の電極は、公知の導電材料を用いて形成される。絶縁性表面に形成される複数の電極は、互いに分離して形成すれば互いに電気的に絶縁される。互いに分離した複数の電極は、例えば、マスク堆積法を用いて形成することもできるし、全面に形成した導電膜をフォトリソグラフィプロセス等を用いてエッチングすることによって、複数の電極に分離してもよい。電極は、金属層で形成されてもよいし、酸化物導電層(透明導電層)であってもよいし、さらに、これらを積層したものであってもよい。電極を形成する材料や形成方法は、当業者にはよく知られている。
次に、図8〜図10を参照して、本開示の他の実施形態による光電変換素子を説明する。例示する光電変換素子においては、上記第1電極は光アノードであって、上記第2電極は対極であって、上記第3電極は電荷蓄積電極である。先の実施形態による光電変換素子100の構成要素と実質的に同様の機能を有する構成要素は共通の参照符号で示すなどして、説明を省略することがある。
図8に、実施形態の光電変換素子200Aの模式的な断面図を示す。
光電変換素子200Aは、第1基板12上に形成された光アノード15Aと、第2基板52上に形成された対極32Aと、光アノード15Aと対極32Aとの間に配置された固体化合物層22と、対極32Aと間をあけて第2基板52上に形成された電荷蓄積電極55Aと、固体化合物層22中に含まれ、且つ、対極32Aと電荷蓄積電極55Aとの間隙を満たす電解質媒体24とを有する。電解質媒体24は、典型的には、電解質溶液であり、以下では、電解質溶液24ということがある。固体化合物層22と電荷蓄積電極55Aとの間隙には、これらが互いに直接接触するのを防止するためのセパレータ42が設けられている。セパレータ42は省略され得るが、光電変換素子200Aを小型・薄型化する際には、設けることが好ましい。セパレータ42としては、例えば、多孔質プラスチックフィルムや、プラスチックの不織布を用いることができる。
光電変換素子200Aは、光アノード15Aと対極32Aとの間で光発電素子を構成し、対極32Aと電荷蓄積電極55Aとの間で蓄電池を構成している。ここで例示するよう、光アノード15Aが光増感剤を含む半導体層16bを有するとき、光アノード15Aと対極32Aとの間で、例えば、色素増感太陽電池が構成される。
光電変換素子200Aは、充電状態においては、光アノード15Aと電荷蓄積電極55Aとが、例えばスイッチSW(不図示)を介して電気的に接続される。一方、放電状態においては、対極32Aと電荷蓄積電極55Aとに負荷が接続される。このとき、光アノード15Aと電荷蓄積電極55Aとを電気的に切断してもよいし、あるいは、光アノード15Aと電荷蓄積電極55Aとを常時電気的に接続した状態としてもよい。このように、光電変換素子200Aは、基本的に、光電変換素子100と同様に動作し得る。
光アノード15Aは、例えば、可視光を透過する導電層14と、導電層14上に形成された半導体層16を有する。半導体層16は、導電層14側に形成された非多孔質半導体層16aと、非多孔質半導体層16a上に形成された多孔質半導体層16bとを有し、多孔質半導体層16bは光増感剤を含んでいる。多孔質半導体層16bは、例えば、多孔質半導体(例えば多孔質酸化チタン)と、多孔質半導体の表面に担持された光増感剤とを含む。なお、ここでは、少なくとも可視光を吸収する光増感剤を中心に、本開示の他の実施形態を説明するが、光増感剤は、他の波長域の光(例えば近赤外線)をさらに吸収してもよいことは言うまでもない。
半導体層16は、導電層14が電解質溶液24に直接接触しないように形成されることが好ましい。半導体層16を構成する多孔質半導体層16bは、電解質溶液24を通過させるので、図8に示すように、導電層14の電解質溶液24側の表面は非多孔質半導体層16aで完全に覆われることが好ましい。
導電層14が電解質溶液24に直接接触すると、導電層14と電解質溶液24の酸化還元電位が異なる場合、リーク電流が発生してしまう。導電層14が電解質溶液24に直接接触しないように半導体層16を形成することによって、導電層14と電解質溶液24との間にショットキー接合を形成し、整流性を与えることができる。これによって、導電層14と電解質溶液24との間のリークを防ぐことができる。また、導電層14を非多孔質半導体層16aが覆うように形成することによって、導電層14と電解質溶液24との間のリークをさらに確実に防止することができる。
固体化合物層22は、典型的には電解質溶液24を内部に含む構造を有している。固体化合物層22は、例えば、光アノード15Aおよび対極32Aに直接接触するように設けられる。固体化合物層22は、光アノード15Aで生成された正孔を対極32Aまで輸送する。固体化合物層22は、先の実施形態による光電変換素子100の固体子化合物層22と同じ構成を有し、同じ材料を用いて同様の方法で形成され得る。固体化合物層22は、酸化還元物質の機能を有するとともに、酸化還元物質を固定または保持する機能を有している。したがって、固体化合物層22を用いることによって、特許文献2に記載のカチオン交換膜を省略することが可能になる。
なお、高分子ゲル層は、光アノード15Aおよび対極32Aとの接触面積を大きくできるという利点を有している。高分子は、例えば、分子量が1000未満の分子を実質的に含まないことが好ましい。酸化還元部を有する低分子量成分が、電解質溶液24中に溶出して、電荷蓄積電極55において還元されるのを抑制することができる。また、高分子は、架橋構造を有していることが好ましく、架橋構造は、化学的な架橋構造であることが好ましい。化学的な架橋構造は、高分子鎖同士の絡み合いによって形成される物理的な架橋構造よりも、高い安定性を有するからである。高分子ゲル層は、さらに導電助剤を含むことが好ましい。酸化還元部として安定ラジカルを有する高分子ゲルは、電解質溶液中において導電性を有するが、導電助剤(例えば、気相成長炭素繊維)を混合することによって、内部抵抗をさらに低下させることができる。
対極32Aは、光電変換素子の正極として機能するものであり、例えば、可視光を透過する導電層34と、導電層34上に形成された金属層36とで構成され得る。透明導電層34の材料は、例えば、フッ素ドープSnO2であり、金属層36の材料は、例えば、白金である。
電解質溶液24は、支持電解質と溶媒とを含む。電解質溶液24は、酸化還元物質を含まないことが好ましく、電解質溶液24に含まれる酸化還元物質は、例えば、多くとも10mMである。正孔の輸送は、もっぱら固体化合物層22で行われることが好ましい。電解質溶液24は、光アノード15A、対極32Aおよび電荷蓄積電極55Aに接触している。電解質溶液24は、シール部46によって、第1基板12と第2基板52との間に封止されている。
電荷蓄積電極55Aは、例えば、基板52上に形成された酸化物導電層54と、酸化物導電層54上に形成された金属層56と、金属層56上に形成された電荷蓄積層58とを有している。電荷蓄積層58は、例えば、酸化タングステンと導電性カーボンとの混合物から形成され得る。電荷蓄積層58は、電解質溶液24に接触している。基板52は、例えば、可視光を透過するガラス基板またはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)である。
次に、光電変換素子200Aと電気化学的に等価な他の光電変換素子200Bおよび200Cを説明する。
図9に、光電変換素子200Bの模式的な断面図を示す。光電変換素子200Bにおいては、光アノード15Bおよび対極32Bが基板12上に形成されており、電荷蓄積電極55Bが基板52上に形成されている。
上述したように、半導体層16は、導電層14が電解質溶液24に直接接触しないように形成されることが好ましい。光電変換素子200Bのように、導電層14のエッジが電解質溶液24と直接接触する可能性がある場合(シール部46で包囲された空間内に導電層14のエッジが存在する場合)、図9に示すように、基板12の法線方向からみたとき、基板12上に、導電層14が存在せず、半導体層16だけが存在する領域が存在することが好ましい。半導体層16を構成する多孔質半導体層16bは、電解質溶液24を通過させるので、基板12の法線方向からみたとき、基板12上に、導電層14が存在せず、非多孔質半導体層16aだけが存在する領域が存在することが好ましい。すなわち、導電層14の表面だけでなくエッジの側面も非多孔質半導体層16aで覆うことが好ましい。
図10に、光電変換素子200Cの模式的な断面図を示す。光電変換素子200Cにおいては、光アノード15Cおよび対極32Cの一部分が基板12上に形成されており、電荷蓄積電極55Cが基板52上に形成されている。光電変換素子200Cにおいては、光アノード15Cおよび電荷蓄積電極55Cと、対極32Cとの距離を、光電変換素子200Bにおける光アノード15Bおよび電荷蓄積電極55Bと、対極32Bとの距離よりも小さくできるので、光電変換素子200Cの内部抵抗は、光電変換素子200Bの内部抵抗よりも小さくできる。なお、光電変換素子200Cの対極32Cは電解質溶液24を透過させることが可能な貫通孔を有する点において、光電変換素子200Bの対極32Bと異なる。
また、光電変換素子200Cにおいても、半導体層16は、導電層14が電解質溶液24に直接接触しないように形成されることが好ましく、基板12上に、導電層14が存在せず、非多孔質半導体層16aだけが存在する領域が存在することが好ましい。
以下に、光電変換素子200A、200Bおよび200Cの上記の構成要素の形成に用いられる材料を詳細に説明する。以下では、光電変換素子200Aの構成要素を例に説明するが、特に説明しない限り、光電変換素子200Bおよび200Cの対応する構成要素の形成にも用いられる。
<光アノード>
光アノード15Aは、上述したように、例えば、可視光を透過する導電層14と、導電層14上に形成された半導体層16を有し、半導体層16は光増感剤を含んでいる。光増感剤を含む半導体層16は、光吸収層と呼ばれることもある。このとき、基板12は、例えば、可視光を透過するガラス基板またはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)である。光アノード15Aは、先の実施形態による光電変換素子100の光アノード15と同じ構成を有し、同じ材料を用いて同様の方法で形成され得る。
なお、導電層14の表面における電子の漏れを防ぐため、すなわち、導電層14と半導体層16との間に整流性を持たせるために、導電層14と半導体層16との間に、酸化シリコン、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物層を形成してもよい。
半導体層16は、上述したように、導電層14側に形成された非多孔質半導体層16aと、非多孔質半導体層16a上に形成された多孔質半導体層16bとを有し、多孔質半導体層16bは光増感剤を含んでいることが好ましい。光増感剤を有する多孔質半導体層16bは、多孔質半導体と、多孔質半導体の表面に担持された光増感剤とを含み、多孔質半導体は、例えば、多孔質酸化チタン(TiO2)である。酸化チタンは、光電変換特性が高く、かつ、電解質溶液中への光溶解が起こり難いという特徴を有している。また、多孔質体は、比表面積が大きく、多くの光増感剤を担持することができるとともに、後述の固体化合物層22および電解質溶液24との接触面積を大きくできるという利点を有している。もちろん、多孔質体に限られず、例えば、凝集した半導体粒子によって半導体層16を構成してもよい。なお、非多孔質半導体層16aは、例えば、非多孔質酸化チタン層である。非多孔質半導体層16aの厚さは、例えば、1nm以上100nm以下である。非多孔質半導体層16aの厚さが、1nm未満であるとリーク電流の発生を十分に抑制できないことがあり、100nm超であると、電気抵抗が大きく、光電流を低下させることがある。
<対極>
対極32Aは、光電変換素子の正極として機能するものであり、後述の固体化合物層22から正孔を受け取るとともに、固体化合物層22に電子を与える。対極32Aを形成する材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、グラファイト、カーボンナノチューブ、白金を担持したカーボン等の炭素材料、インジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等の導電性金属酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを挙げることができる。これらのうち、白金、グラファイト、ポリエチレンジオキシチオフェンなどが好ましい。
対極32Aは、図8〜図10に示したように、可視光を透過する導電層34と、導電層34上に形成された金属層36cとで構成してもよい。
また、図10に例示したように、光アノード15Cと電荷蓄積電極55Cとの間に対極32Cを配置する構成においては、対極32Cの金属層36cは電解質溶液24を透過させることが可能な貫通孔を有する。このような対極32Cの金属層36cとしては、例えば、メッシュ電極、グリッド電極、セパレータ上に導電層が形成されたもの、導電材の多孔質体などが挙げられる。メッシュ電極としては、例えば、市販されている汎用の白金メッシュを用いることができる。セパレータ上に導電層が形成されたものは、例えば、セパレータ上に金、白金などをスパッタ法や蒸着法によって堆積することによって製造され得る。
<電解質媒体>
電解質媒体24は、典型的には電解質溶液24である。電解質溶液24は、支持電解質(支持塩)と溶媒とを含む。電解質媒体24は、先の実施形態による光電変換素子100の電解質媒体24と同じであってよい。
<固体化合物層>
固体化合物層22は、上述したように、典型的には電解質溶液24を内部に含む構造を有している。固体化合物層22は先の実施形態による光電変換素子100の固体化合物層22と同じであってよい。
<電荷蓄積電極>
電荷蓄積電極55Aは、上述したように、例えば、酸化物導電層54と、酸化物導電層54上に形成された金属層56と、金属層56上に形成された電荷蓄積層58とを有している。電荷蓄積電極55Aは、先の実施形態による光電変換素子100の電荷蓄積電極55と同じであってよい。
なお、本開示のさらに他の実施形態による光電変換素子は、上記の光電変換素子200A〜200Cにおける光アノード15A、15Bおよび15Cに代えて、例えば、光カソードを備える。このような光電変換素子も、蓄電機能を有する。光カソードとしては、例えば、酸化ニッケル上に増感剤が担持されたものを用いることができる。
[実施例]
以下、本開示の他の実施形態を実施例によって具体的に説明する。実施例6、7および比較例4の光電変換素子を作製し、特性を評価した。
[実施例6]
図8に示した光電変換素子200Aと実質的に同じ構造を有する光電変換素子を作製した。各構成要素は、以下の通りである。
基板12:ガラス基板 厚さ1mm
透明導電層14:フッ素ドープSnO2層(表面抵抗10Ω/□)
非多孔質半導体層16a:酸化チタン層 厚さ10nm
多孔質半導体層16b:多孔質酸化チタン、光増感色素(D131、三菱化学製)
固体化合物層22:ポリ((2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−オキシル−4−イル)−グリシジルエーテル)と気相成長炭素繊維(表1で「C」と表記)との混合物(質量比2:1)
電解質溶液24:N−メチルベンズイミダゾールを0.025mol/l、過塩素酸リチウムを0.1mol/l、アセトニトリルに溶解した電解質溶液
基板52:ガラス基板 厚さ1mm
酸化物導電層34、54:フッ素ドープSnO2層(表面抵抗10Ω/□)
金属層36、56:白金層
電荷蓄積層58:酸化タングステン(WO3)と気相成長炭素繊維とを質量比5:1で混合した材料
実施例6の光電変換素子は、以下のようにして作製した。
フッ素ドープSnO2層を有する厚さ1mmの導電性ガラス基板(旭硝子製)を2枚用意した。これらを、透明導電層14を有する基板12および酸化物導電層34、54を有する基板52として用いた。
平均1次粒子径が20nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作製した。
一方の導電性ガラス基板のフッ素ドープSnO2層14上にスパッタ法により厚さが約10nm厚の酸化チタン層16aを形成した後、この上に上記のペーストを塗布して乾燥し、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成することによって、厚さが2μmの多孔質酸化チタン層(チタンコート)を形成した。
次に、多孔質酸化チタン層を形成した基板を、上記の[化13]で示される光増感色素(D131(三菱製紙製))の濃度が0.3mMであるアセトニトリル−ブタノール1:1混合溶媒溶液中に浸漬し、室温で16時間暗所下静置し、多孔質酸化チタン層に光増感剤を担持させた(多孔質半導体層16b)。このようにして、光アノード15Aを形成した。
他方のガラス基板の表面にマスキングを施した上で、スパッタ法によって白金を堆積することにより金属層36、56を形成した。
酸化タングステン(WO3:WAKO製)0.5gとVGCF(昭和電工株式会社製の気相成長炭素繊維、登録商標)0.1gとを乳鉢にいれ10分間攪拌・混合した。混合後、NMP(n−メチルピロリド)を1ml、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を0.1mg添加しさらに10分間攪拌し、スラリー状の懸濁液を得た。
マスクを剥がした後、金属層56上に、上記スラリーをブレード法によって厚さが10μmとなるように塗布し、電荷蓄積層58を形成した。このようにして、電荷蓄積電極55Aを得た。
固体化合物層22は、実施例1と同様に、[化30]で表される高分子を用いて形成した。
次に、固体化合物層22上にセパレータ42を配置した。この際、固体化合物22の一部が露出されるように、セパレータ42を配置した。セパレータ42としては、セルガード2400”(ポリポア社製)を用いた。
次に、光アノード15Aの多孔質酸化チタン層16bが形成された部分を囲むように、熱溶融性接着剤(三井デュポンポリケミカル製「バイネル」)の封止材を2つの電極32A、55Aを有するガラス基板52の上に付与し、その上に光アノード15Aを形成したガラス基板12を重ね、加熱しながら加圧して貼り合わせた。この際、厚さ方向へ加圧し、固体化合物22のセパレータ42から露出されている部分と対極32Aとを接触させた。なお、固体化合物22と電荷蓄積層58との間にはセパレータ42が介在し、固体化合物22と電荷蓄積層58との接触はセパレータ42によって防止された。
次に、光アノード15Aの多孔質酸化チタン層16bが形成された部分を囲むように、熱溶融性接着剤(三井デュポンポリケミカル製「バイネル」)の封止材を2つの電極32A、55Aを有するガラス基板52の上に配置し、その上に光アノード15Aを形成したガラス基板12を重ね、加熱しながら加圧して貼り合わせた。この電荷蓄積電極55Aを形成したガラス基板52にはダイヤモンドドリルで孔をあけておいた。
次に、アセトニトリルに、N−メチルベンズイミダゾールを0.025mol/l、過塩素酸リチウムを0.1mol/lそれぞれ溶解した電解質溶液を調製し、この電解質溶液24を上記の孔から注入し、実施例6の光電変換素子を得た。孔は、封孔材(硬化性樹脂)で塞いだ。
[実施例7]
図9に示した光電変換素子200Bと実質的に同じ構造を有する光電変換素子を作製した。
実施例6の光電変換素子200Aの製造方法における、光アノード15Aを有する基板の作製において、透明導電層14をパターニングすることによって、透明導電層14および34を形成した。透明導電層34に、白金メッシュ電極36を導電性接着剤により接着させることによって、対極32Bを形成した。
一方、透明導電層54を有するガラス基板52上に白金層56を堆積し、白金層56上に電荷蓄積層58を形成し、電荷蓄積電極55Bを得た。
これら2つの基板を用いて、実施例6と同様にして、実施例7の光電変換素子を形成した。
[比較例4]
実施例6の光電変換素子200Aの製造方法と同様にして、光アノード15Aを有する基板12と、対極32Aおよび電荷蓄積電極55Aを有する基板52とを作製し、ビーカー内に配置した。
次に、アセトニトリルに、N−メチルベンズイミダゾールを0.025mol/l、過塩素酸リチウムを0.1mol/lそれぞれ溶解した電解質溶液を調製し、ビーカー内に注ぎ、実施例6の光電変換素子200Aと電気化学的に等価なビーカーセルを作製した。
図11に、上記の実施例6および比較例4の光電変換素子を大気中、室温で保存した時の電解質溶液の維持率(%)を評価した結果を示す。図11中、◇は実施例6の結果を示し、◆は比較例4の結果を示す。
図11からわかるように、実施例6の光電変換素子は、大気中、室温で200時間保存後も、電解質溶液の維持率が90%以上であり、保存安定性に優れていることが確認された。一方、比較例4の光電変換素子では、電解質溶液が容易に揮発し、数十時間で0%近くまで減少し、安定したものでは得られなかった。
このように、本開示の他の実施形態によると、上述の構造的な特徴を有することによって、電気化学的に機能が異なる3以上の電極を有する光電変換素子における電解質媒体の保存安定性を向上させることができる。
本開示によると、例えば、屋内等の照度の比較的低い環境においても発電することができる色素増感型発電素子に蓄電機能が付与されるとともに、従来よりも高いレートで放電することが可能になる。本開示によると、さらに、光電変換素子の電解質媒体の保存安定性を向上させることができる。
12 基板
14 透明導電層
15、15A 光アノード
16 光増感剤を含む半導体層
22 固体化合物層
24 電解質媒体(電解質溶液)
32、32A、32B、32C 対極
42 セパレータ
52 基板
54 酸化物導電層
55、55A 電荷蓄積電極
56 金属層
58 電荷蓄積層
100、200A、200B、200C 光電変換素子

Claims (10)

  1. 半導体層を含む光アノードと、
    複数の貫通孔を有する対極と、
    前記光アノードと前記対極との間に配置され、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルを含む高分子を含む固体化合物層と、
    前記対極と間隙を介して配置された電荷蓄積電極と、
    前記固体化合物層中に含まれ、且つ、前記間隙を満たす電解質溶液
    を有し、
    前記半導体層は、多孔質酸化チタンを含み、
    前記多孔質酸化チタンには、(化1)に示す構造を有する色素が担持され、
    前記電荷蓄積電極は、第1酸化還元物質を含む、
    光電変換素子。
    Figure 0005966012
  2. 前記電解質溶液は第2酸化還元物質を含み、前記電解質溶液に含まれる第2酸化還元物質は多くとも10mMである、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記固体化合物層は、前記光アノードおよび前記対極に直接接触している、請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記固体化合物層は、前記高分子を含む高分子ゲル層を含む、請求項1から3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 前記高分子は、分子量が1000未満の分子を含まない、請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 前記高分子は、架橋構造を有している、請求項4または5に記載の光電変換素子。
  7. 前記高分子ゲル層は、さらに導電助剤を含む、請求項4から6のいずれかに記載の光電変換素子。
  8. 前記光アノードは、可視光を透過する導電層を有し、
    前記半導体層は、前記導電層上に形成される、
    請求項1からのいずれかに記載の光電変換素子。
  9. 前記2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルを含む高分子は、グリシジルエーテル骨格を有する、請求項1から8のいずれかに記載の光電変換素子。
  10. 前記2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルを含む高分子は、アクリルアミド骨格を有する、請求項1から8のいずれかに記載の光電変換素子。
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