JP2010272812A - 化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェハの面内温度分布があることを前提にし、しかもスリップの発生を抑制できる化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法を提供する。
【解決手段】基板11上に、ドーパント原料、III族原料、V族原料及び希釈用ガスを供給してエピタキシャル層を順次形成する化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法において、基板11上に形成する最下層のエピタキシャル層の成長時のウェハ中心部とウェハエッジ部の温度分布の差を50℃未満にして最下層をエピタキシャル成長させるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、HBT等の化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法に係り、特に、成長後のウェハのスリップ発生を抑止できる化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法に関するものである。
GaAsやInGaAsなどの化合物半導体は、Si(シリコン)半導体に比べて、電子移動度が高いという特長がある。この特長をいかして、GaAsやInGaAsは高速動作や高効率動作を要求されるデバイスに多く用いられている。代表例としてHBTが挙げられる。
HBT(Hetero Junction Bipolar Transistor、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ;以下HBTという)は、携帯電話送信用等マイクロ波通信の増幅器として広く用いられている。
このHBTエピタキシャルウェハのおおまかな構造を図4に示す。
HBTエピタキシャルウェハ10は、基板11上に、サブコレクタ層12、コレクタ層13、ベース層14、エミッタ層15、エミッタコンタクト層16、ノンアロイコンタクト層17を順次結晶成長して形成される。
ノンアロイコンタクト層17およびエミッタコンタクト層16はエミッタ電極を形成するための層である。エミッタ層15、ベース層14、コレクタ層13は、それぞれトランジスタにおいてのエミッタ、ベース、コレクタ電流の流れる層である。サブコレクタ層12はコレクタ電極を形成する層である。基板11は単結晶成長するための下地である。
ところで、特許文献1には、ウェハ面に温度差があるとスリップが発生すること、すなわち、エピタキシャル成長後に、エピタキシャルウェハのエッジ部にスリップが発生することが説明されている。このスリップとは、基板の残留歪またエピタキシャル成長中の熱歪を起因としてエピタキシャル層が結晶面方向にずれ、断差状のラインとなる欠陥である。
また、特許文献2では、ウェハの面内温度分布を15〜30℃にすることが開示され、さらに特許文献3には、加熱温度の均一化を図ることでスリップの発生を抑制することが開示されている。
特開2008−66652号公報 特開11−297711号公報 特開11−243061号公報
しかしながら、ウェハの面内温度分布をなくすことは、実質的に不可能であり、また、温度分布の均一化を図ると生産性が落ちる問題がある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ウェハの面内温度分布があることを前提にし、しかもスリップの発生を抑制できる化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、基板上に、ドーパント原料、III族原料、V族原料及び希釈用ガスを供給してエピタキシャル層を順次形成する化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法において、基板上に形成する最下層のエピタキシャル層の成長時のウェハ中心部とウェハエッジ部の温度分布の差を50℃未満にして最下層をエピタキシャル成長させることを特徴とする化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法である。
請求項2の発明は、上記最下層のエピタキシャル層の成長時のウェハ中心部の成長温度を、610℃以上、660℃以下とした請求項1記載の化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法である。
請求項3の発明は、上記最下層のエピタキシャル層より上層のエピタキシャル層の成長時の上記ウェハ中心部と上記ウェハエッジ部の温度分布の差が50℃以上65℃未満とした請求項1又は2記載の化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法である。
請求項4の発明は、基板上に形成するエピタキシャル層は、HBT用のエピタキシャル層であり、基板上に形成する最下層のエピタキシャル層がサブコレクタ層からなる請求項1〜3いずれかに記載の化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法である。
本発明は、基板上に形成する最下層のエピタキシャル層の成長時のウェハ中心部とウェハエッジ部の温度分布の差を50℃未満にして最下層をエピタキシャル成長させることで、その後のエピタキシャル成長の温度分布の差を50℃以上65℃未満としても、スリップの発生原因の一つである熱歪の影響が抑制され、スリップの発生を抑えることができる。
本発明の化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法に用いる半導体製造装置の模式図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明において、基板上の最下層のサブコレクタ層を成長させた際の温度差毎の化合物半導体エピタキシャルウェハのスリップの発生状況を示す図である。 HBTのエピタキシャルウェハの構造を示す縦断面図である。
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
先ず、図4で説明したHBTエピタキシャルウェハ10の構造例を表1に示す。
Figure 2010272812
結晶成長のことをエピタキシャルと言う。
表1において、エピタキシャル層名称のn−,p−,i−はエピタキシャル層がそれぞれn型,p型,半絶縁性であることを表している。厚さの単位はnm(10-9m)である。キャリア濃度の単位はcm-3である。
表1に示したHBTエピタキシャルウェハの成長する方法を以下に説明する。
原料としてi−GaAsを成長する場合には、Ga原料のGa(CH33(トリメチルガリウム)とAs原料のAsH3(アルシン)を基板に供給する。なお、Ga原料として他にGa(CH3CH23(トリエチルガリウム)がある。As原料として他にAs(CH33(トリメチル砥素)、TBA(ターシャリーブチルアルシン)がある。
p−GaAs(ベース層)を成長する場合には、Ga(CH33、AsH3、及びp型ドーパントを基板に供給する。p型ドーパントの元素としてはCがある。C原料としてはCBr4、CCl3Brがある。
n+GaAs(サブコレクタ層、エミッタコンタクト層)やn−GaAs(コンタクト層)を成長する場合には、Ga(CH33、AsH3及びn型ドーパントを基板に供給する。n型ドーパントの元素としてはSiやSe(セレン)がある。Si原料としてSiH4(モノシラン)、Si26(ジシラン)がある。Se原料としてはH2Se(セレン化水素)がある。
n−InGaP(エミッタ層)を成長する場合には、In(CH33(トリメチルインジウム)、Ga(CH33、PH3、及びn型ドーパントを基板に供給する。P原料としては他にTBP(ターシャリーブチルホスフィン)がある。
さて、図1、図2により、エピタキシャル成長させる半導体製造装置を説明する。
原料ガスが供給される成長炉21内には、複数枚の基板11を保持する基板保持具としてのサセプタ22が回転自在に設けられ、また図には示していないが、サセプタ22に保持された基板11もサセプタ22の回転で公転しながら自転するようにされる。
基板11は、サセプタ22により成長炉21の反応室23に面するように保持され、反応室23の中心から供給され、図示の矢印24のように径方向外方に流れる原料ガスと接し、基板11にエピタキシャル層が成長される。
反応室23と反対側のサセプタ22上には、サセプタ22の回転中心に対して同心円上のリングヒータ25−1〜25−nが設けられ、サセプタ22にセットされた基板11を加熱する。サセプタ22には、基板11をセットする際に、均熱板26が基板11上に載せられる。この均熱板26は基板11面内の温度分布を均一にする働きがある。
成長炉21の反応室23内に原料ガスを矢印24のように供給すると、原料ガスが熱により分解し、基板11上にエピタキシャル層を成長する。
ここで、スリップは、基板11上にエピタキシャル層が成長される際に、各ヒータ25の温度バランスや昇降温時に発生する熱歪を起因としてエピタキシャルウェハ10のエッジ部に応力が掛かり、エピタキシャル層が断層状にずれる現象である。
加熱用のリングヒータ25−1〜25−nは、リングゾーン毎の温度制御によりウェハ面内のエピタキシャル層の厚さ・キャリア濃度等の均一性を調整している。ただし各ゾーンの実温度の差が大きいと成長中のウェハ内温度分布も大きくなり熱歪が大きくなる。
そこで、本発明者が種々検討した結果、基板11の最下層となるサブコレクタ層12(図4)を成長する際に、特に温度分布を厳密に制御することで、その後のコレクタ層13以下、ノンアロイコンタクト層17まで、エピタキシャル成長させる際の温度分布を従来と同様な温度制御を行っても、成長後のエピタキシャルウェハ10にスリップ30が発生しないことを見出した。
より具体的には、基板11の最下層となるサブコレクタ層12(図4)を成長する際の温度分布を、ウェハ中心部とエッジ部の温度差が50℃未満となるようにし、その後のエピタキシャル成長層は、50℃以上65℃未満であってもスリップが発生しないことを確かめて本発明を成すに至った。
以下にこの理由について説明する。
エピタキシャル成長時の熱は、リングヒータ25から均熱板26を介して基板11に伝わる他に、サセプタ22から基板11の外周(エッジ部)、或いは基板11の外周(エッジ部)からサセプタ22に伝わる熱がある。
エピタキシャル成長時のウェハの温度分布は、リングヒータ25−1〜25−nを制御することで、調節することができるが、基板11に対してサセプタ22の熱容量が大きいため、サセプタ22から基板11に伝熱する熱量が大きくなり、このため基板の温度分布は、ウェハ外周(エッジ部)が高く、ウェハ中心部が低い温度分布となる。
そこで、ウェハ中心部の温度を高くするには、図1,2に示したように基板11の中央に位置する中央部のリングヒータ25−4,25−5の加熱温度を高くすればよいが、中央部のリングヒータ25−4,25−5の加熱温度を高くしても、エピタキシャル成長につれて、基板11から、形成したエピタキシャル層を介しての伝熱となるため、応答性が悪く、主に熱容量のあるサセプタ22を加熱してしまう。
そこで、基板11の最下層のサブコレクタ層12のエピタキシャル成長時の温度に着目し、このサブコレクタ層12の温度分布を制御することで、スリップが発生しないことが分かった。このサブコレクタ層12は基板11に直接形成される厚さ800nmの層であり、中央部のリングヒータ25−4,25−5の加熱温度を制御することで、比較的応答性の良い温度制御が行え、ウェハ中心部とエッジ部の温度差を50℃未満とすることができる。
より具体的には、ウェハの中心部の温度を、610℃以上、660℃以下、例えば中心部の温度を630℃とし、エッジ部を670℃に温度調整することが可能であり、これにより、その後のエピタキシャル成長時の温度差を50℃以上で行っても、スリップが発生しないことが分かった。
以上、従来技術ではスリップ状欠陥の発生を抑えることはできなかったが、本発明によりエピタキシャル成長中のリングヒータ25−1〜25−nの温度バランスを制御することによりエピタキシャルウェハの熱歪を抑え、スリップの発生を抑えることができる。
次に表1に示したHBTエピタキシャルウェハ10に適用した実施例1と比較例1,2とを説明する。
実施例1
成長時の成長炉内圧力は70Torr、希釈用ガスは水素である。基板には、GaAs基板を用いた。
先ず基板11の最下層のサブコレクタ層12の成長には、Ga(CH33、及びAsH3、Si26を用いた。それらの流量はそれぞれ90cm3/分、19cm3/分及び3400cm3/分である。
この際、リングヒータ25−1〜25−nを制御して、ウェハの中心部の温度が630℃、エッジ部の温度を670℃となるよう調製した。中心部とエッジ部の温度差は40℃である。
次に、このリングヒータ25−1〜25−nの各制御温度を保ちながらコレクタ層以下の成長を行った。
コレクタ層の成長には、n+GaAsの成長に使用したGa(CH33、AsH3及びSi26を用いた。それらの流量はそれぞれ200cm3/分、640cm3/分及び10cm3/分である。
ベース層の成長には、Ga(CH3CH23、AsH3に加えてドーパントとしてCBr4を用いた。Ga(CH3CH23、AsH3の流量はそれぞれ500cm3/分、10cm3/分、CBr4の流量は17cm3/分である。
エミッタ層(n−In0.56GaP)の成長には、In(CH33、Ga(CH3CH23、PH3及びSi26を用いた。それらの流量は、それぞれ260cm3/分、130cm3/分及び1.0cm3/分で、50cm3/分である。
エミッタコンタクト層の成長には、Ga(CH33、及びAsH3、Si26を用いた。それらの流量はそれぞれ90cm3/分、19cm3/分及び3400cm3/分である。
n+InGaAs層(ノンアロイコンタクト層)の成長には、Ga(CH3CH23、In(CH33、AsH3に加えてH2Seを使用した。それらの流量はそれぞれ200cm3/分、400cm3/分及び120cm3/分で、300cm3/分である。
上記の条件においてエピタキシャル成長したエピタキシャルウェハ10は、図3(a)のようにウェハエッジ部にスリップは発生していない。
比較例1,2
上記実施例1の条件において、
温度差がウェハの中心部の温度が620℃、エッジ部の温度を670℃として、温度差50℃とした場合(比較例1)、中心部の温度が620℃、エッジ部の温度を680℃として、温度差60℃とした場合(比較例2)、図3(b)、図3(c)のようにスリップ30が発生した。
すなわち温度差50℃の比較例1では、エピタキシャルウェハ10に、2箇所のスリップ30が発生し、そのスリップ長さは3〜5mm程度であった。温度差60℃の比較例2では、エピタキシャルウェハ10に、11箇所のスリップ30が発生し、そのスリップ長さは5〜8m程度であった。
比較例1,2より、温度差が大きいほどスリップの発生が多くなることが分かった。
以上より、本発明においては、基板の最下層のエピタキシャル層の温度分布(中心部とエッジ部)の温度差を50℃未満とすることで、スリップの発生を防止することができ、これによりエピタキシャルウェハのエッジ部のチップ取得率(歩留)を高くすることができる。
なお、上述の実施例では、HBTについて説明したが、本発明は、同じ電子デバイス用途のHEMT、FETおよびすべてのエピタキシャル製品に適用できる。
10 エピタキシャルウェハ
11 基板
21 成長炉
22 サセプタ
23 反応室
25−1〜25−n リングヒータ

Claims (4)

  1. 基板上に、ドーパント原料、III族原料、V族原料及び希釈用ガスを供給してエピタキシャル層を順次形成する化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法において、基板上に形成する最下層のエピタキシャル層の成長時のウェハ中心部とウェハエッジ部の温度分布の差を50℃未満にして最下層をエピタキシャル成長させることを特徴とする化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法。
  2. 上記最下層のエピタキシャル層の成長時のウェハ中心部の成長温度を、610℃以上、660℃以下とした請求項1記載の化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法。
  3. 上記最下層のエピタキシャル層より上層のエピタキシャル層の成長時の上記ウェハ中心部と上記ウェハエッジ部の温度分布の差が50℃以上65℃未満とした請求項1又は2記載の化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法。
  4. 基板上に形成するエピタキシャル層は、HBT用のエピタキシャル層であり、基板上に形成する最下層のエピタキシャル層がサブコレクタ層からなる請求項1〜3いずれかに記載の化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法。
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