JP2008277435A - 化合物半導体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機金属気相成長法によるエピタキシャルウエハの製造において、原料の利用効率を向上させ、成長時間を短縮することによる生産性の向上により、低コスト化が可能な化合物半導体製造装置を提供する。
【解決手段】本発明の化合物半導体製造装置は、基板上に化合物半導体エピタキシャル層を成長させる有機金属気相成長装置であって、成長ガス流路を形成する上壁の一部として円板状のサセプタを有し、前記サセプタに対向して前記成長ガス流路の下壁を構成する対向板を有し、前記サセプタと同心円状に複数の前記基板を前記サセプタに配設し、かつ前記基板の成長面を前記成長ガス流路側に向けて支持し、前記対向板における前記サセプタ中心に対面する部分から成長ガスを導入し、前記サセプタの外側に向かって前記成長ガスを排気する構造において、
前記成長ガスの流量を15〜80 NL/minとし、前記成長ガス流路の高さを1〜30 mmに制御する構成とする。
【選択図】図4
【解決手段】本発明の化合物半導体製造装置は、基板上に化合物半導体エピタキシャル層を成長させる有機金属気相成長装置であって、成長ガス流路を形成する上壁の一部として円板状のサセプタを有し、前記サセプタに対向して前記成長ガス流路の下壁を構成する対向板を有し、前記サセプタと同心円状に複数の前記基板を前記サセプタに配設し、かつ前記基板の成長面を前記成長ガス流路側に向けて支持し、前記対向板における前記サセプタ中心に対面する部分から成長ガスを導入し、前記サセプタの外側に向かって前記成長ガスを排気する構造において、
前記成長ガスの流量を15〜80 NL/minとし、前記成長ガス流路の高さを1〜30 mmに制御する構成とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、化合物半導体製造装置に関し、特に、多数枚のエピタキシャルウエハが同時成長可能で、原料の利用効率が高く、エピタキシャルウエハの製造における低コスト化が可能な化合物半導体製造装置に関するものである。
GaAs(ガリウム砒素)、AlGaAs(アルミニウムガリウム砒素)やInGaAs(インジウムガリウム砒素)等は、Si(シリコン)に比べて電子移動度が高いという特長がある。この特長を活かして、それら化合物半導体は、現在、様々な高周波素子として広く用いられている。代表例として高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor: HEMT)やヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Heterojunction Bipolar Transistor: HBT)が挙げられる。
図1は、HEMT用エピタキシャルウエハの概略構造を示した断面模式図である。HEMT用エピタキシャルウエハは、半絶縁性の単結晶基板上にエピタキシャル成長したバッファ層、チャネル層、スペーサ層、キャリア供給層、およびコンタクト層よりなる。基板は、エピタキシャル成長するための下地である。バッファ層は、基板表面の残留不純物によるデバイス特性劣化を防ぐ働きや、チャネル層からのリーク電流を防ぐ働きがある。チャネル層は、自由電子が流れる層であり、高純度である必要がある。スペーサ層は、チャネル層の自由電子がキャリア供給層のn型不純物によってイオン散乱されるのを抑止する働きがある。キャリア供給層は、n型不純物がドーピングされており、発生した自由電子をチャネル層へ供給する。コンタクト層は、電極を形成するための層である。
図2は、HBT用エピタキシャルウエハの概略構造を示した断面模式図である。HBT用エピタキシャルウエハは、半絶縁性の単結晶基板上にエピタキシャル成長したコレクタ層、ベース層、エミッタ層、およびコンタクト層よりなる。上述と同様に、基板は、エピタキシャル成長するための下地である。コレクタ層は、キャリアを集めるための層である。ベース層は、動作の基盤となる層である。エミッタ層は、キャリアを注入するための層である。コンタクト層は、電極を形成するための層である。
図3は、図1,2に示したようなエピタキシャルウエハの成長に用いられる従来の化合物半導体製造装置(特に、有機金属気相成長(MOVPE)装置)の部分構造例を示す断面模式図である。この化合物半導体製造装置10は、成長ガス流路3を形成する上壁の一部として円板状のサセプタ1を有し、サセプタ1に対向して成長ガス流路3の下壁を構成する対向板2を有している。サセプタ1には、複数の基板5がサセプタ1と同心円状に配設され、かつ基板5の成長面が成長ガス流路3側に向けて(フェイスダウンで)支持されている。また、サセプタ1は回転軸4により回転(基板5が回転軸4に対して公転)するとともに、基板自身もサセプタ1に対して回転(基板5が自転、図示せず)する構造となっている。
サセプタ1と基板4の裏面側には、基板加熱用ヒータ6が設置され、基板4を加熱昇温できるようになっている。成長ガス7は、対向板2におけるサセプタ1の中心に対面する成長ガス供給口8から導入され、基板5の成長面と平行に流れた後、サセプタ1の外側に向かって排気される。このとき、成長ガス7は、加熱された基板5上で熱分解および化合して、半導体結晶をエピタキシャル成長させる。なお、成長ガスとは、半導体を構成する元素の原料ガスとキャリアガスを混合したガスの総称を意味するものとする。
一方、種々の電子デバイスの素材となるエピタキシャルウエハを安定した品質でかつ低コストで製造するためには、エピタキシャル層の成長条件が、エピタキシャルウエハ面内、製造バッチ内、および製造バッチ間で一定かつ安定していることが重要である。そのため、上述の製造装置の他、様々な製造装置が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2006−216864号公報)の化合物半導体製造装置では、対向板の裏面側に対向板加熱ヒータを設け、対向板の温度を適宜制御することにより、半導体結晶が対向板表面に堆積することを抑制し、対向板表面の状態を変化させないようにすることで、製造バッチ間の安定性が向上するとしている。
また、特許文献2(特開2004−55636号公報)の気相成長装置では、基板の公転運動の回転制御と自転運動の回転制御を独立して行う構造とすることにより、半導体薄膜の成長条件に応じた回転速度にすることができ、反応器内の原料ガスの流れを乱すことなく、高品質の半導体結晶薄膜を得ることができるとしている。
また、特許文献3(特開平5−21363号公報)の気相成長装置では、基板加熱ヒータとガス加熱ヒータを独立して設け、かつ両ヒータ間に熱遮蔽板を設けることにより、基板の温度制御が容易になるとともに、ガス加熱ヒータの熱照射が抑制され、所期組成の薄膜を得ることができるとしている。
現在、電子デバイス用エピタキシャルウエハには、国際的な競合から更なる低コスト化が強く求められている。そして、低コスト化を図る最も一般的な方法は、製造装置のサセプタを大径化し、一度に(1バッチで)製造できるウエハ枚数を増大させる(生産性を向上させる)ことと考えられる。しかしながら、サセプタの大径化は、ウエハ枚数の増大によるウエハ面積の拡大よりも、ウエハ以外の部分の面積の方がより拡大するため、必然的に原料の利用効率が低下(成長時間が増大)し、生産性向上が抑制される欠点を有する。一方、サセプタを大径化して、かつ成長時間を短縮するためには、より多くの原料を投入する必要があり、低コスト化を阻害する要因となっていた。
従って、本発明の目的は、有機金属気相成長法によるエピタキシャルウエハの製造において、原料の利用効率を向上させ、成長時間を短縮することによる生産性の向上(スループットの向上)により、エピタキシャルウエハの低コスト化が可能な化合物半導体製造装置を提供することにある。
本発明者らは、化合物半導体製造装置(特に、有機金属気相成長(MOVPE)装置)における成長ガスの流れに関する詳細な検討から、成長ガス流路の高さを制御することが原料の利用効率向上に大きく寄与することを見出したことに基づき、本発明を完成した。
本発明は、上記目的を達成するため、基板上に化合物半導体エピタキシャル層を成長させる有機金属気相成長装置であって、
成長ガス流路を形成する上壁の一部として円板状のサセプタを有し、
前記サセプタに対向して前記成長ガス流路の下壁を構成する対向板を有し、
前記サセプタと同心円状に複数の前記基板を前記サセプタに配設し、かつ前記基板の成長面を前記成長ガス流路側に向けて支持し、
前記対向板における前記サセプタ中心に対面する部分から成長ガスを導入し、
前記サセプタの外側に向かって前記成長ガスを排気する構造の化合物半導体製造装置において、
前記成長ガスの流量を15〜80 NL/minとし、前記成長ガス流路の高さを1〜30 mmに制御する構成としたことを特徴とする化合物半導体製造装置を提供する。
成長ガス流路を形成する上壁の一部として円板状のサセプタを有し、
前記サセプタに対向して前記成長ガス流路の下壁を構成する対向板を有し、
前記サセプタと同心円状に複数の前記基板を前記サセプタに配設し、かつ前記基板の成長面を前記成長ガス流路側に向けて支持し、
前記対向板における前記サセプタ中心に対面する部分から成長ガスを導入し、
前記サセプタの外側に向かって前記成長ガスを排気する構造の化合物半導体製造装置において、
前記成長ガスの流量を15〜80 NL/minとし、前記成長ガス流路の高さを1〜30 mmに制御する構成としたことを特徴とする化合物半導体製造装置を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係る化合物半導体製造装置において、前記化合物半導体エピタキシャル層がIII−V属化合物半導体であることを特徴とする化合物半導体製造装置を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係る化合物半導体製造装置において、前記化合物半導体エピタキシャル層がGa(ガリウム)を含む化合物半導体であり、Ga原料としてGa(CH3)3(トリメチルガリウム)またはGa(C2H5)3(トリエチルガリウム)を用いることを特徴とする化合物半導体製造装置を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係る化合物半導体製造装置において、前記化合物半導体エピタキシャル層がAl(アルミニウム)を含む化合物半導体であり、Al原料としてAl(CH3)3(トリメチルアルミニウム)またはAl(C2H5)3(トリエチルアルミニウム)を用いることを特徴とする化合物半導体製造装置を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係る化合物半導体製造装置において、前記化合物半導体エピタキシャル層がIn(インジウム)を含む化合物半導体であり、In原料としてIn(CH3)3(トリメチルインジウム)またはIn(C2H5)3(トリエチルインジウム)を用いることを特徴とする化合物半導体製造装置を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係る化合物半導体製造装置において、前記化合物半導体エピタキシャル層がAs(砒素)を含む化合物半導体であり、As原料としてAs(CH3)3(トリメチル砒素)、AsH3(アルシン)またはTBA(ターシャリーブチルアルシン)を用いることを特徴とする化合物半導体製造装置を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係る化合物半導体製造装置において、前記化合物半導体エピタキシャル層がP(リン)を含む化合物半導体であり、P原料としてPH3(ホスフィン)またはTBP(ターシャリーブチルホスフィン)を用いることを特徴とする化合物半導体製造装置を提供する。
本発明によれば、化合物半導体製造装置(特に、有機金属気相成長(MOVPE)装置)において、多数枚のエピタキシャルウエハが同時成長可能で、原料の利用効率が高く、エピタキシャルウエハの製造における低コスト化が可能な化合物半導体製造装置を提供することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明に係る実施の形態を説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施例に限定されることはない。
(成長ガス流路の高さが原料の利用効率に及ぼす効果)
図3に示したような有機金属気相成長(MOVPE)装置を用い、成長ガス流路3の高さを変化させて、原料の利用効率に与える影響を調査した。作製したエピタキシャルウエハは、基板上にエピタキシャル層が1層のみの最も単純な形とした。表1に、作製したエピタキシャルウエハの仕様を示す。なお、表中のエピタキシャル層組成、エピタキシャル層厚さ、およびキャリア濃度は、いずれも公称値である。
図3に示したような有機金属気相成長(MOVPE)装置を用い、成長ガス流路3の高さを変化させて、原料の利用効率に与える影響を調査した。作製したエピタキシャルウエハは、基板上にエピタキシャル層が1層のみの最も単純な形とした。表1に、作製したエピタキシャルウエハの仕様を示す。なお、表中のエピタキシャル層組成、エピタキシャル層厚さ、およびキャリア濃度は、いずれも公称値である。
基板には、外径150 mm、厚さ500 μmの半絶縁性GaAs(表1で“i-GaAs”と表記)基板を用いた。半絶縁性のi-GaAsエピタキシャル層の成長にあたり、Ga(ガリウム)原料としてGa(CH3)3(トリメチルガリウム)を用い、As(砒素)原料としてAsH3(アルシン)を用い、キャリアガスとして高純度水素を用いた。また、成長ガスの流量は、約40 NL/minで固定した(Ga(CH3)3=0.011 NL/min、AsH3=0.3 NL/min、キャリアガス=40 NL/minとした)。また、成長時の基板温度は650℃とし、成長ガス流路内の圧力は10 kPaとした。
成長ガスの流量、基板温度および成長ガス流路内の圧力を一定としたことから、原料の利用効率は、エピタキシャル層の平均成長速度(単位時間あたりの膜厚の増分)で評価できる。成長したエピタキシャル層の膜厚は、FT-IR(フーリエ変換型赤外分光装置)により測定した。結果を図4に示す。図4は、成長ガス流路の高さと規格化平均成長速度の関係を示すグラフである。なお、図4における規格化平均成長速度は、従来条件である成長ガス流路高さ40 mmの場合の平均成長速度を基準として規格化したものである。
図4の結果から明らかなように、成長ガス流路の高さを1〜30 mmに制御することによって、従来の成長ガス流路高さ40 mmの場合に比して、1.2倍以上の原料利用効率が得られることが判る。より好ましくは、成長ガス流路の高さを3〜20 mmに制御する。これにより、1.4倍以上の原料利用効率が得られる。更に好ましくは、成長ガス流路の高さを5〜15 mmに制御する。これにより、1.6倍以上の原料利用効率が得られる。一方、従来よりも成長ガス流路の高さを高くした50 mmの場合は、原料利用効率が0.9倍に低下することが判る。
また、成長ガスの流量を変化させて上述と同様の評価を行ったところ、成長ガスの流量が15〜80 NL/minの範囲において、図4と同様な結果が得られた。なお、成長ガスの流量を20〜60 NL/minに制御することはより好ましく、30〜50 NL/minに制御することは更に好ましい。
〔実施例1〕
上記の結果を受けて、次に、HEMT用エピタキシャルウエハを作製し、成長速度増大による成長時間短縮(生産性向上)の効果を確認した。表2に、作製したHEMT用エピタキシャルウエハの仕様を示す。なお、表中のエピタキシャル層名称の“n-”および“i-”は、それぞれのエピタキシャル層が“n型導電性”および“半絶縁性”であることを表している。また、表中のエピタキシャル層組成、エピタキシャル層厚さ、およびキャリア濃度は、いずれも公称値である。
上記の結果を受けて、次に、HEMT用エピタキシャルウエハを作製し、成長速度増大による成長時間短縮(生産性向上)の効果を確認した。表2に、作製したHEMT用エピタキシャルウエハの仕様を示す。なお、表中のエピタキシャル層名称の“n-”および“i-”は、それぞれのエピタキシャル層が“n型導電性”および“半絶縁性”であることを表している。また、表中のエピタキシャル層組成、エピタキシャル層厚さ、およびキャリア濃度は、いずれも公称値である。
基板には、外径150 mm、厚さ500 μmの半絶縁性のi-GaAs基板を用い、成長ガス流路の高さは、10 mmとした。また、成長時の基板温度は650℃とし、成長ガス流路内の圧力は10 kPaとし、キャリアガスの流量は40 NL/minで固定した。
はじめに、i-GaAs基板の直上にi-GaAs層を500 nm厚さで成長した。Ga原料にはGa(CH3)3を用い、As原料にはAsH3を用いた。Ga(CH3)3の流量は0.011 NL/minとし、AsH3の流量は0.32 NL/minとした。なお、Ga原料としてGa(C2H5)3(トリエチルガリウム)を用いたり、As原料としてAs(CH3)3(トリメチル砒素)やTBA(ターシャリーブチルアルシン)等を用いても同様の成長ができる。
次に、100 nm厚さのi-Al0.25Ga0.75As層と200 nm厚さのi-GaAs層を順次成長させた。Al原料、Ga原料およびAs原料には、それぞれAl(CH3)3(トリメチルアルミニウム)、Ga(CH3)3およびAsH3を用いた。i-Al0.25Ga0.75As層の成長においては、Ga(CH3)3の流量を0.0053 NL/minとし、Al(CH3)3の流量を0.0014 NL/minとし、AsH3の流量を0.63 NL/minとした。i-GaAs層の成長においては、原料ガス流量を前述のi-GaAs層と同様にした。なお、Al原料としてAl(C2H5)3(トリエチルアルミニウム)を用いても同様の成長ができる。
次に、200 nm厚さのi-Al0.25Ga0.75As層と20 nm厚さのi-In0.2Ga0.8As層を順次成長させた。Al原料、Ga原料、As原料およびIn原料には、それぞれAl(CH3)3、Ga(CH3)3、AsH3およびIn(CH3)3(トリメチルインジウム)を用いた。i-Al0.25Ga0.75As層の成長においては、原料ガス流量を前述のi-Al0.25Ga0.75As層と同様にした。i-In0.2Ga0.8As層の成長においては、Ga(CH3)3の流量を0.0053 NL/minとし、In(CH3)3の流量を0.0021 NL/minとし、AsH3の流量を0.5 NL/minとした。なお、In原料としてIn(C2H5)3(トリエチルインジウム)を用いても同様の成長ができる。
次に、250 nm厚さでn型導電性のn-Al0.25Ga0.75As層(キャリア濃度3×1018 cm-3)と50 nm厚さのi-Al0.25Ga0.75As層を順次成長させた。その後、最上層には、100 nm厚さでn型導電性のn-GaAs層(キャリア濃度3×1018 cm-3)を成長させた。Al原料、Ga原料およびAs原料には、それぞれAl(CH3)3、Ga(CH3)3およびAsH3を用いた。また、n型導電性のドーパントとしてSi(珪素)を用い、Si原料としてSi2H6(ジシラン)を供給した。n-Al0.25Ga0.75As層の成長においては、i-Al0.25Ga0.75As層の成長と同様の原料ガス流量に加えて、Si2H6の流量を7.8×10-6 NL/minとした。i-Al0.25Ga0.75As層の成長においては、原料ガス流量を前述のi-Al0.25Ga0.75As層と同様にした。n-GaAs層の成長においては、i-GaAs層の成長と同様の原料ガス流量に加えて、Si2H6の流量を1.5×10-7 NL/minとした。なお、Si原料としてSiH4(モノシラン)を用いたり、他のn型導電性ドーパントとしてSe(セレン)を用い、Se原料としてH2Se(セレン化水素)を用いても同様の成長ができる。
有機金属気相成長(MOVPE)装置における成長ガス流路の高さを10 mmと制御したことにより、上記実施例1のHEMT用エピタキシャルウエハの各エピタキシャル層の成長時間は、従来の成長時間に比して35〜40%も短縮されることが確認できた。
〔実施例2〕
次に、HBT用エピタキシャルウエハを作製し、成長速度増大による成長時間短縮(生産性向上)の効果を確認した。表3に、作製したHBT用エピタキシャルウエハの仕様を示す。なお、表中のエピタキシャル層名称の“n-”および“p-”は、それぞれのエピタキシャル層が“n型導電性”および“p型導電性”であることを表している。また、表中のエピタキシャル層組成、エピタキシャル層厚さ、およびキャリア濃度は、いずれも公称値である。
次に、HBT用エピタキシャルウエハを作製し、成長速度増大による成長時間短縮(生産性向上)の効果を確認した。表3に、作製したHBT用エピタキシャルウエハの仕様を示す。なお、表中のエピタキシャル層名称の“n-”および“p-”は、それぞれのエピタキシャル層が“n型導電性”および“p型導電性”であることを表している。また、表中のエピタキシャル層組成、エピタキシャル層厚さ、およびキャリア濃度は、いずれも公称値である。
基板には、外径150 mm、厚さ500 μmの半絶縁性のi-GaAs基板を用い、成長ガス流路の高さは、5 mmとした。成長時の基板温度は、表3に併記した。また、成長ガス流路内の圧力は10 kPaとし、成長ガスの流量は約20 NL/min(キャリアガスの流量=20 NL/min)で固定した。なお、原料ガスの流量は、各エピタキシャル層が所望の組成となるように適宜調整した。
はじめに、i-GaAs基板上にn型導電性で250 nm厚さのn-GaAs層(キャリア濃度5×1018 cm-3)とn型導電性で500 nm厚さのn-GaAs層(キャリア濃度1×1016 cm-3)とp型導電性で50 nm厚さのp-GaAs層(キャリア濃度4×1019 cm-3)を順次成長させた。Ga原料にはGa(C2H5)3を用い、As原料にはAsH3を用いた。また、n型導電性ドーパントのSi原料としてSiH4を用い、p型導電性ドーパントのC原料としてCBr4(四臭化炭素)を用いた。
次に、n型導電性で20 nm厚さのn-Al0.13Ga0.87As層(キャリア濃度3×1017 cm-3)と100 nm厚さのn-Al0.25Ga0.75As層(キャリア濃度3×1017 cm-3)と20 nm厚さのn-Al0.13Ga0.87As層(キャリア濃度3×1017 cm-3)を順次成長させた。Al原料、Ga原料およびAs原料には、それぞれAl(C2H5)3、Ga(C2H5)3およびAsH3を用いた。また、n型導電性ドーパントのSi原料としてSiH4を用いた。
次に、n型導電性で200 nm厚さのn-GaAs層(キャリア濃度5×1018 cm-3)と50 nm厚さのn-In0.25Ga0.75As層(キャリア濃度2×1019 cm-3)を順次成長させた。その後、最上層には、50 nm厚さでn型導電性のn-In0.5Ga0.5As層(キャリア濃度4×1019 cm-3)を成長させた。In原料、Ga原料およびAs原料には、それぞれIn(C2H5)3、Ga(C2H5)3およびAsH3を用いた。また、n型導電性ドーパントのSi原料としてSiH4を用いた。
有機金属気相成長(MOVPE)装置における成長ガス流路の高さを5 mmと制御したことにより、上記実施例2のHBT用エピタキシャルウエハの各エピタキシャル層の成長時間は、従来の成長時間に比して35〜40%も短縮されることが確認できた。
〔実施例3〕
次に、実施例2と異なるHBT用エピタキシャルウエハを作製し、成長速度増大による成長時間短縮(生産性向上)の効果を確認した。表4に、作製したHBT用エピタキシャルウエハの仕様を示す。なお、表中のエピタキシャル層名称の“n-”および“p-”は、それぞれのエピタキシャル層が“n型導電性”および“p型導電性”であることを表している。また、表中のエピタキシャル層組成、エピタキシャル層厚さ、およびキャリア濃度は、いずれも公称値である。
次に、実施例2と異なるHBT用エピタキシャルウエハを作製し、成長速度増大による成長時間短縮(生産性向上)の効果を確認した。表4に、作製したHBT用エピタキシャルウエハの仕様を示す。なお、表中のエピタキシャル層名称の“n-”および“p-”は、それぞれのエピタキシャル層が“n型導電性”および“p型導電性”であることを表している。また、表中のエピタキシャル層組成、エピタキシャル層厚さ、およびキャリア濃度は、いずれも公称値である。
基板には、外径150 mm、厚さ500 μmの半絶縁性のi-GaAs基板を用い、成長ガス流路の高さは、15 mmとした。成長時の基板温度は、表4に併記した。また、成長ガス流路内の圧力は10 kPaとし、成長ガスの流量は約60 NL/min(キャリアガスの流量=60 NL/min)で固定した。なお、原料ガスの流量は、各エピタキシャル層が所望の組成となるように適宜調整した。
はじめに、基板上にn型導電性で250 nm厚さのn-GaAs層(キャリア濃度5×1018 cm-3)とn型導電性で500 nm厚さのn-GaAs層(キャリア濃度1×1016 cm-3)とp型導電性で50 nm厚さのp-GaAs層(キャリア濃度4×1019 cm-3)を順次成長させた。Ga原料にはGa(CH3)3を用い、As原料にはAs(CH3)3を用いた。また、n型導電性ドーパントのSe原料としてH2Seを用い、p型導電性ドーパントのC原料としてCBr4(四臭化炭素)を用いた。
次に、n型導電性で40 nm厚さのn-In0.5Ga0.5P層(キャリア濃度3×1017 cm-3)と200 nm厚さのn-GaAs層(キャリア濃度5×1018 cm-3)と50 nm厚さのn-In0.25Ga0.75As層(キャリア濃度2×1019 cm-3)を順次成長させた。その後、最上層には、50 nm厚さでn型導電性のn-In0.5Ga0.5As層(キャリア濃度4×1019 cm-3)を成長させた。In原料、Ga原料、As原料およびP原料には、それぞれIn(CH3)3、Ga(CH3)3、As(CH3)3およびPH3を用いた。また、n型導電性ドーパントのSe原料としてH2Seを用いた。
有機金属気相成長(MOVPE)装置における成長ガス流路の高さを15 mmと制御したことにより、上記実施例3のHBT用エピタキシャルウエハの各エピタキシャル層の成長時間は、従来の成長時間に比して35〜40%も短縮されることが確認できた。
なお、上述の実施例では、図3に示したような有機金属気相成長(MOVPE)装置を用いたが、本発明の実施の形態は、図3の製造装置に限定されることは無く、本発明の趣旨を変えない範囲で適宜変更が可能である。例えば、特開2006−216864号公報に開示されているような化合物半導体製造装置(対向板の裏面側に対向板加熱ヒータを設け、対向板の温度を適宜制御する)を用いることは好ましい。
〔実施の形態の効果〕
上記の本発明の実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)有機金属気相成長法によるエピタキシャル層の成長において、原料の利用効率を向上させ、平均成長速度を向上させることで成長時間を短縮することができる。
(2)各エピタキシャル層の成長時間が短縮することから、エピタキシャルウエハのスループットが向上し、製造コストを低減することができる。
(3)原料の利用効率が向上することから、サセプタを大径化し、一度に(1バッチで)製造できるウエハ枚数を増大させてもスループット(各エピタキシャル層の成長時間)が低下することなく、生産性向上により製造コストを低減することができる。
(4)原料の利用効率が向上することから、従来と同じスループット(各エピタキシャル層の成長時間)において、供給する原料量を削減することができ、製造コストを低減することができる。
上記の本発明の実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)有機金属気相成長法によるエピタキシャル層の成長において、原料の利用効率を向上させ、平均成長速度を向上させることで成長時間を短縮することができる。
(2)各エピタキシャル層の成長時間が短縮することから、エピタキシャルウエハのスループットが向上し、製造コストを低減することができる。
(3)原料の利用効率が向上することから、サセプタを大径化し、一度に(1バッチで)製造できるウエハ枚数を増大させてもスループット(各エピタキシャル層の成長時間)が低下することなく、生産性向上により製造コストを低減することができる。
(4)原料の利用効率が向上することから、従来と同じスループット(各エピタキシャル層の成長時間)において、供給する原料量を削減することができ、製造コストを低減することができる。
1…サセプタ、2…対向板、3…成長ガス流路、4…回転軸、5…基板、
6…基板加熱用ヒータ、7…成長ガス、8…成長ガス供給口、
10…化合物半導体製造装置。
6…基板加熱用ヒータ、7…成長ガス、8…成長ガス供給口、
10…化合物半導体製造装置。
Claims (7)
- 基板上に化合物半導体エピタキシャル層を成長させる有機金属気相成長装置であって、
成長ガス流路を形成する上壁の一部として円板状のサセプタを有し、
前記サセプタに対向して前記成長ガス流路の下壁を構成する対向板を有し、
前記サセプタと同心円状に複数の前記基板を前記サセプタに配設し、かつ前記基板の成長面を前記成長ガス流路側に向けて支持し、
前記対向板における前記サセプタ中心に対面する部分から成長ガスを導入し、
前記サセプタの外側に向かって前記成長ガスを排気する構造の化合物半導体製造装置において、
前記成長ガスの流量を15〜80 NL/minとし、前記成長ガス流路の高さを1〜30 mmに制御する構成としたことを特徴とする化合物半導体製造装置。 - 請求項1に記載の化合物半導体製造装置において、
前記化合物半導体エピタキシャル層がIII−V属化合物半導体であることを特徴とする化合物半導体製造装置。 - 請求項1乃至請求項2に記載の化合物半導体製造装置において、
前記化合物半導体エピタキシャル層がGa(ガリウム)を含む化合物半導体であり、Ga原料としてGa(CH3)3(トリメチルガリウム)またはGa(C2H5)3(トリエチルガリウム)を用いることを特徴とする化合物半導体製造装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の化合物半導体製造装置において、
前記化合物半導体エピタキシャル層がAl(アルミニウム)を含む化合物半導体であり、Al原料としてAl(CH3)3(トリメチルアルミニウム)またはAl(C2H5)3(トリエチルアルミニウム)を用いることを特徴とする化合物半導体製造装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の化合物半導体製造装置において、
前記化合物半導体エピタキシャル層がIn(インジウム)を含む化合物半導体であり、In原料としてIn(CH3)3(トリメチルインジウム)またはIn(C2H5)3(トリエチルインジウム)を用いることを特徴とする化合物半導体製造装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の化合物半導体製造装置において、
前記化合物半導体エピタキシャル層がAs(砒素)を含む化合物半導体であり、As原料としてAs(CH3)3(トリメチル砒素)、AsH3(アルシン)またはTBA(ターシャリーブチルアルシン)を用いることを特徴とする化合物半導体製造装置。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の化合物半導体製造装置において、
前記化合物半導体エピタキシャル層がP(リン)を含む化合物半導体であり、P原料としてPH3(ホスフィン)またはTBP(ターシャリーブチルホスフィン)を用いることを特徴とする化合物半導体製造装置。
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JP2007117273A JP2008277435A (ja) | 2007-04-26 | 2007-04-26 | 化合物半導体製造装置 |
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JP2013229485A (ja) * | 2012-04-26 | 2013-11-07 | Taiyo Nippon Sanso Corp | 気相成長装置 |
-
2007
- 2007-04-26 JP JP2007117273A patent/JP2008277435A/ja active Pending
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