JP5197030B2 - エピタキシャルウェーハの製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Description
ウェーハ保持部の外周部では反応ガスの流速が速いため、反応ガスによってウェーハ保持部の外周部は冷却される。また、冷却水により冷却されているチャンバの外壁への輻射により、ウェーハ保持部の外周部は冷却される。これのため、ウェーハ保持部の外周部の温度はその内側に比べて著しく低下する。この外周部と内側の温度差のために、ウェーハ保持部に大きな応力が発生し易くなる。内部ヒーターによる加熱の昇温速度を低下させることによりこの温度差を縮小し、応力を緩和できるが、このことはスループットを低下させてしまい、結果として生産性の向上に弊害があった。また、ウェーハ保持部としてウェーハの裏面を保持するサセプタを用いた場合は、サセプタの外周部の温度が低下することによりやはりサセプタ内の温度差による応力が発生した。このため、サセプタに僅かではあるが歪みが生じ、ウェーハの裏面とサセプタとの接触が不均一となり、結果としてウェーハの温度が不均一となり、均一なエピタキシャル膜を得ることが難しかった。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を例示する模式断面図である。
図1に表したように、第1の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1aは、チャンバ(処理炉)10を備える。チャンバ10の内部には、回転体ユニット70が設けられ、その上面には、ウェーハ40を保持するウェーハ保持部50が設けられている。図1においては、ウェーハ保持部50として、ウェーハ40の外周部を保持する環状ホルダー52が設けられている例が示されている。環状ホルダー52は、平面視(図1において紙面に対して平行に上方から下方に向けて眺めた場合)がリング状などの環状の形態を有する。この環状ホルダー52(ウェーハ保持部50)によってウェーハは保持され、回転体ユニット70によってウェーハ40は回転する。
回転体ユニット70の内部には、ウェーハ40を加熱する内部ヒーター100が設けられている。本実施形態においては、内部ヒーター100は、円盤状のインヒーター104と、インヒーター104よりもウェーハ保持部50側に設けられた環状のアウトヒーター102と、により構成されている。
そして、回転体ユニット70と、チャンバ10の内壁12との間に、外部ヒーター120が設けられている。外部ヒーター120としては、例えば、グラファイトを石英層で挟んだ構造や、SiCからなる抵抗加熱方式のヒーターを用いることができる。
以下、比較例のエピタキシャルウェーハの製造装置について説明する。
比較例のエピタキシャルウェーハの製造装置は、外部ヒーター120を有していない以外は、図1に例示したエピタキシャルウェーハの製造装置1aと同じ構成を有している。比較例のエピタキシャルウェーハの製造装置は、外部ヒーターを有していないため、環状ホルダー52(ウェーハ保持部50)の外周部は、反応ガスにより冷却され、また、冷却水により冷却されているチャンバの外壁への輻射によっても冷却される。このため、環状ホルダー52の内側部分に比べ外周部の温度は低くなる。この温度差のために、環状ホルダー52に大きな応力が発生し、この応力によって環状ホルダー52が破損するリスクが増大する。また、破損のリスクを低減するために内部ヒーター100による加熱の昇温速度を小さくすることはスループットを低下させ、結果として生産性を低下させる要因となる。
また、アウトヒーター102のみによって、ウェーハ40の外周部を加熱するので、ウェーハ40の全体を所定の温度以上に加熱するためには、アウトヒーター102の設定温度をかなりの高温とせねばならない。このため、アウトヒーター102の寿命が短くなり、結果として、部品コストの上昇、装置稼働率の低下となり生産性を低下させる。
また、比較例においては、ウェーハ40の温度が1100℃一定となるように、内部ヒーター100(インヒーター104とアウトヒーター102)の出力を調整し、同様に、環状ホルダー52の温度分布と応力分布、及びアウトヒーター102の温度分布を求めた。
図2は、環状ホルダー52の一部、すなわち、図1に表した環状ホルダー52の左側の部分52aの断面の温度分布を表している。薄いハッチングは高温を表し、濃いハッチングは低温を表し、その中間は中間の温度を表している。また、図2の上段の図は本実施形態の結果を表し、下段の図は比較例の結果を表している。
これに対し、図2の上段に表したように、第1の実施形態の環状ホルダー52aにおいては、内周部では高温で、比較例とほぼ同じであり、そして、外周部の温度の低下がほとんど無く、内周部と外周部の温度差は18℃であった。すなわち、本実施形態の温度差は、比較例に対して80%低減している。このように、第1の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1aにおいては、環状ホルダー52(ウェーハ保持部50)内の温度差を縮小できる。
図3は、第1の実施形態と比較例の環状ホルダーの応力分布のシミュレーション解析結果を例示する図である。
図3は、環状ホルダー52の左側の部分52aの断面の最大主応力の分布を表している。薄いハッチングは最大主応力が大きく、濃いハッチングは最大主応力が小さいことを表し、その中間は中間の最大主応力を表している。また、図3の上段の図は本実施形態の結果を表し、下段の図は比較例の結果を表している。
図3の下段に表したように、比較例の環状ホルダー52aにおいては、内周部(図面中の右部)では最大主応力が小さく、外周部(図面中の左部)では最大主応力が大きくなっている。そして、内周部と外周部との間で最大主応力の差が大きい。
これに対して、図3の上段に表したように、第1の実施形態の環状ホルダー52aにおいては、内周部、外周部共に最大主応力は小さく、それらの差も小さい。第1の実施形態における最大主応力の最大値は、比較例の最大主応力の最大値に対して84%低減している。これは、図2で説明したように、第1の実施形態においては、外周部で温度の低下がほとんど無く、内周部と外周部の温度差が、比較例に対して80%低減したことによっており、これらの改善の割合も良く一致している。
図4は、アウトヒーター102の一部、すなわち、図1に表されたアウトヒーター102の左側の部分102aの断面の温度分布を表している。薄いハッチングは高温を表し、濃いハッチングは低温を表し、その中間は中間の温度を表している。また、図4の上段の図は本実施形態の結果を表し、図4の下段の図は比較例の結果を表している。
図4に表したように、ウェーハ40の温度を1100℃に均一に加熱するためには、比較例(下段の図)のアウトヒーター102aの温度は非常に高温に設定する必要があるが、第1の実施形態(上段の図)では、アウトヒーター102aの温度を低く設定することができる。両者を比較すると、本実施形態のアウトヒーター102aの最大温度は、比較例の最大温度より61℃低下させることができた。
このように、第1の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1aは、外部ヒーター120とアウトヒーター102の両者によって、ウェーハ40の外周部を加熱することができるので、アウトヒーター102の温度を低下することができる。また、外部ヒーター120による精密な温度調整が、内部ヒーター100(アウトヒーター102とインヒーター104)と独立して可能なので、ウェーハ40の温度の均一性を高めることもできる。
また、本実施形態では、内部ヒーター100の下方に、加熱の効率化のための遮蔽板110が設けられている。遮蔽板110には、例えば、シリコン、SiC、石英、石英でコートされたグラファイト等を用いることができる。なお、本発明の実施形態においては、遮蔽板110は必ずしも設けなくても良く、遮蔽板は必要に応じて設けられる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を例示する模式断面図である。
図5に表したように、第2の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1bにおいては、内部ヒーター100は、インヒーター104とアウトヒーター102(図1参照)とに分割されず、一体化された円盤状ヒーター106により構成されている。なお、図5に表した具体例においては、遮蔽板110は設けられていないが、遮蔽板110を設けても良い。
また、円盤状ヒーター106が、外周部と内側部との温度を独立して制御できる構成の場合は、外周部の温度を内側部より高温に設定されるが、この時、外部ヒーター120によって、外周部を加熱することができるので、円盤状ヒーター106の外周部の温度を低く設定することができる。これにより、円盤状ヒーター106を長寿命化できる。また、円盤状ヒーター106が、外周部と内側部との温度を独立して制御できない場合は、通常、外周部の温度は内側部より低温となるため、ウェーハ40の温度が不均一となる。これに対し、本実施形態では、外部ヒーター120を設けているので、ウェーハ40の外周部を加熱することができ、結果として、ウェーハ40の温度を均一にすることができ、これにより、品質の高いエピタキシャルウェーハが得られる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を例示する模式断面図である。
図6に表したように、第3の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1cは、ウェーハ保持部50として、環状ホルダー52に代えてサセプタ54を備える。
反応ガス及びチャンバ10の外壁への輻射により、サセプタ54の外周部の温度は、内側部より低下する。これにより、サセプタ54内に応力が発生し、サセプタ54の破損のリスクが増大する。さらに、この応力によって、サセプタ54に歪みが生じ、サセプタ54とウェーハ40との接触状態、または隙間の距離は不均一となり、サセプタ54とウェーハ40との間の熱伝導を不均一にする。結果としてウェーハ40の温度の均一性を低下させることがある。
これに対して、第3の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1cにおいては、外部ヒーター120によってサセプタ54の外周部を局部的に加熱できるので、サセプタ54の温度を均一にできる。これにより、サセプタ54の破損のリスクや歪みを低減し寿命を改善すると共に、サセプタ54とウェーハ40の接触状態を均一にし、ウェーハ40の温度を均一にすることができる。
このように、第3の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1cにより、ウェーハ保持部50(サセプタ54)内の温度差を縮小することでウェーハ保持部50(サセプタ54)の寿命を改善すると共に、円盤状ヒーター106の外周部の温度を低下させることで円盤状ヒーター106を長寿命化し、さらに、ウェーハ40の温度均一性を高め、均一なエピタキシャル膜が得られる高生産性のエピタキシャルウェーハの製造装置及び製造方法を提供できる。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図7は、本発明の第4の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を例示する模式断面図である。
図7に表したように、第4の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1dは、図1に例示した構造において、遮蔽板110を省略した構成を有する。
第4の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1dでは、外部ヒーター120を有する。このため、内部ヒーター100と独立して外部ヒーター120の出力を制御することができる。これにより、ウェーハ40の温度を均一化できる。
環状ホルダー52内の温度差の縮減と破損のリスク低減、アウトヒーター102の低温化と長寿命化の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図8は、本発明の第5の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を例示する模式断面図である。
図8に表したように、第5の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1eは、図1に例示した構造において、ウェーハ保持部50を環状ホルダー52に代えて、サセプタ54としたものである。
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
図9は、本発明の第6の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を例示する模式断面図である。
図9に表したように、第6の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1fは、図1に例示した構造において、内部ヒーター100として、実質的に同一平面上に配置されたインヒーター108とアウトヒーター107を用いたものである。
なお、環状ホルダー52内の温度差の縮減と破損のリスクの低減の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である
このように、第6の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造装置1fにより、ウェーハ保持部50内の温度差を縮小することで応力を緩和してウェーハ保持部50の破損や歪みを防止し、また、アウトヒーター107の温度を低下させることでアウトヒーター107を長寿命化し、ウェーハ40の温度均一性を高め、均一なエピタキシャル膜が得られる高生産性のエピタキシャルウェーハの製造装置及び製造方法を提供できる。
次に、本発明の第7の実施の形態であるエピタキシャルウェーハの製造方法について説明する。
図10は、本発明の第7の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造方法を例示するフローチャート図である。
図10に表したように、第7の実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造方法は、まず、チャンバ10の内部に設けられた回転体ユニット70の上部に配置したウェーハ保持部50に、例えばシリコンからなるウェーハ40を設置する(ステップS110)。この時、ウェーハ保持部50としては、第1〜第6の実施形態で説明した各種のものを用いることができる。
次に、ウェーハ40を、回転体ユニット70の内部に設けられた内部ヒーター100と、回転体ユニット70とチャンバ10の内壁12の間に設けられた外部ヒーター120とによって、加熱する(ステップS120)。この時、内部ヒーター100や外部ヒーター120としては、第1〜第6の実施形態で説明した各種のものを用いることができる。
次に、チャンバ10の内部に反応ガスを導入する(ステップS130)。例えば、反応ガスとしては、エピタキシャル成長させる膜の原料ガスであるSiH2Cl2と、キャリアガスであるH2と、の混合ガス等を用いることができる。
次に、ウェーハ40を回転体ユニット70によって回転しながら、ウェーハ40の上にエピタキシャル膜を形成する(ステップS140)。
一方、本発明においては、炭化珪素の他にも、各種の化合物の薄膜を形成することも可能である。例えば、III-V族化合物半導体やサファイアなどからなる基板の上に、III-V族化合物半導体やその他の各種の化合物を形成することができる。この場合、形成する化合物は、半導体には限定されず、絶縁体や誘電体でも良い。
具体的には、例えば、本発明の実施形態は、超高周波・マイクロ波用のショットキーダイオードやヘテロ接合バイポーラトランジスタ、可視光半導体レーザなどの構成材料に用いられるガリウムヒ素(GaAs)系の膜をエピタキシャル成長する際にも応用できる。この時、用いるガスとしては、トリメチルガリウム、トリエチルガリウムなどの有機金属が例示できる。また、各種のドーパントガスを使用することができる。
また、本発明の実施形態において、ウェーハ保持部50が、環状の環状ホルダー52と円盤状のサセプタ54である場合を例示したが、これらに限らず、突起部を有した構造のものなど、各種の形態のウェーハ保持部50が使用できる。
また、内部ヒーター100についても、上記で説明した環状や円盤状のものの他、放射状など各種の形態の内部ヒーターが使用できる。
なお、本願明細書において、「円盤状」、「環状」とは、大略の形状を指しており、各種の変形された形状も含む。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
10 チャンバ
12 内壁
20 ガス導入口
30 ガス排気口
40 ウェーハ
50 ウェーハ保持部
52 環状ホルダー
52a 環状ホルダーの左側部分
53 ウェーハ保持位置
54 サセプタ
70 回転体ユニット
100 内部ヒーター
102、107 アウトヒーター
102a アウトヒーターの左側部分
104、108 インヒーター
106 円盤状ヒーター
110 遮蔽板
120 外部ヒーター
150 循環パイプ
Claims (9)
- チャンバと、
前記チャンバに設けられ前記チャンバ内に反応ガスを導入するガス導入口と、
前記チャンバに設けられ前記反応ガスを排出するガス排気口と、
前記チャンバの内部に設けられた回転体ユニットと、
前記回転体ユニットの上部に設けられ、ウェーハを保持するウェーハ保持部と、
前記回転体ユニットの内部に設けられた内部ヒーターと、
前記回転体ユニットと、前記チャンバの内壁と、の間に設けられ、上面が前記回転体ユニットの上面と同じ高さまたは前記回転体ユニットの前記上面よりも下方に位置している外部ヒーターと、
を備えたことを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造装置。 - 前記外部ヒーターは、前記ウェーハ保持部の外側に配置され、前記ウェーハ保持部の外周部を加熱可能であることを特徴とする請求項1記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
- 前記ウェーハ保持部は、前記ウェーハの外周部を保持する環状の環状ホルダーであることを特徴とする請求項1または2に記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
- 前記ウェーハ保持部は、前記ウェーハの裏面を保持するサセプタであることを特徴とする請求項1または2に記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
- 前記内部ヒーターは、円盤状のインヒーターと前記インヒーターの外周部に設けられた環状のアウトヒーターとを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
- 前記アウトヒーターは、前記インヒーターよりも前記ウェーハ保持部の側に設けられていることを特徴とする請求項5記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
- 前記回転体ユニットの内部において前記内部ヒーターの下方に設けられた遮蔽板をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
- チャンバの内部に設けられた回転体ユニットの上部に配置されたウェーハ保持部にウェーハを設置し、
前記ウェーハを、前記回転体ユニットの内部に設けられた内部ヒーターと、前記回転体ユニットと前記チャンバの内壁との間に設けられ上面が前記回転体ユニットの上面と同じ高さまたは前記回転体ユニットの前記上面よりも下方に位置している外部ヒーターと、によって加熱し、
前記チャンバの内部に反応ガスを導入し、
前記ウェーハを前記回転体ユニットにより回転しながら、前記ウェーハの上にエピタキシャル膜を形成することを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法。 - 前記外部ヒーターは前記ウェーハ保持部の外側に配置されており、前記外部ヒーターにより前記ウェーハ保持部の外周部を加熱することを特徴とする請求項8記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
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