JP2007173417A - 化合物半導体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】均熱板を用いて基板に所望の温度分布を形成することを可能とする。
【解決手段】化合物半導体製造装置は、基板2を収容するための開口7を持ったサセプタ3と、サセプタ3の開口7内に収容される基板2の裏面に接触させて基板2の温度分布を均一化させる均熱板1と、均熱板1を介して基板2を加熱する加熱手段とを備えて、加熱された基板2の表面に化合物半導体結晶をエピタキシャル成長させるようになっている。この化合物半導体製造装置において、均熱板1に生じる温度分布の低くなる部分で接触させ、温度分布の高くなる部分で非接触とするよう、均熱板1を基板2の裏面に部分的に接触させるように構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】化合物半導体製造装置は、基板2を収容するための開口7を持ったサセプタ3と、サセプタ3の開口7内に収容される基板2の裏面に接触させて基板2の温度分布を均一化させる均熱板1と、均熱板1を介して基板2を加熱する加熱手段とを備えて、加熱された基板2の表面に化合物半導体結晶をエピタキシャル成長させるようになっている。この化合物半導体製造装置において、均熱板1に生じる温度分布の低くなる部分で接触させ、温度分布の高くなる部分で非接触とするよう、均熱板1を基板2の裏面に部分的に接触させるように構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、化合物半導体結晶のエピタキシャル層成長時の基板温度を面内で均一とするのに適した化合物半導体製造装置、特に基板を均一に熱するために基板の裏面に設けられる均熱板に関するものである。
化合物半導体結晶を用いたFETやHEMTなどの半導体素子は、シリコン半導体に比べて電子移動度が高いため、近年携帯電話や衛星放送受信機などの高速動作や高効率が要求される高周波機器の増幅器などに幅広く使用される。
現在、上記のような半導体素子において、その化合物半導体結晶を成長する方法の一つとして、有機金属を主原料としてエピタキシャル成長を行うMOVPE(有機金属気相成長)法が数多く用いられている。MOVPE法は、III族有機金属原料ガスとV族原料ガスを、高純度水素キャリアガスとの混合ガスとして反応炉内に導入し、反応炉内で加熱された基板付近で原料が熱分解され、基板上に化合物半導体結晶がエピタキシャル成長する。
ここで従来の主なMOVPE装置が採用している反応炉を構成する方式を図10に示す。図10(a)はサセプタ101の角錐斜面に半導体基板(ウェハ)2を保持したバレル型、図10(b)はガスが反応管10の一側から他側に向かって一方向に流れ、且つ半導体基板2がサセプタ3内にフェイスダウンで設けられるタイプ(横型フェイスダウン)、図10(c)は上から下に向かうガスがサセプタ102の中央から半径方向外側に流れ、且つ半導体基板2がサセプタ102内にフェイスアップで設けられるタイプ(自転公転型フェイスアップ)、そして図10(d)は下から上に向かうガスがサセプタ3中央から半径方向外側に流れ、且つ半導体基板2がサセプタ3内にフェイスダウンで設けられるタイプ(自転公転型フェイスダウン)を示す。これらのうち、図10(b)〜(d)は横型気相エピタキシャル成長装置に属する。
図10(b)の横型フェイスダウン方式や図10(d)の自転公転型フェイスダウン方式の化合物半導体製造装置の場合、半導体基板2をサセプタ3の開口内に載置し支持している。この半導体基板2の裏面に均熱板1を設置している。
均熱板1は、エピタキシャル成長の面内均一性を向上させるために、半導体基板2に被せるように設置してある。しかし、均熱板1を用いても基板外周部については面内均一性に劣るという問題があった。これは、均熱板1の外周部分の温度が均一にならないため、均熱板1と同じ形状である半導体基板2の外周部についても、温度の均一性が保たれなかったことによる。
よって従来の化合物半導体製造装置では、MOVPE法におけるエピタキシャル成長において、半導体基板2の面内の結晶の特性(成長速度、混晶比、キャリア濃度)の均一性、特に外周部における結晶の均一性が悪くなり、その結果、それを用いて製造される半導体素子の特性にバラツキが生じ、製造歩留を低下させる一因となっていた。
そこで、従来、図6に示すように、均熱板1を、半導体基板2に覆い被せるように設置することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、均熱板1の中央下部に、半導体基板2と同形状のフラットな接触面部1aを有すると共に、その上部に、半導体基板2を包み込むように鍔状に突き出した均熱板部1bを有する形状とした均熱板1を、半導体基板2上に設置するものである。
上述したような均熱板を半導体基板に設置する場合、図8に示すように、同じ形状の均熱板であるにもかかわらず、装置毎に加熱源と基板との相対位置に違いがあることから、次のような2種類の基板温度分布があるものと考えられる。
図8(a)に示すように基板面内の座標軸を、基板の外周部左側から基板の中心を通って基板の外周部右側に向かう方向を(+)方向に定めると、基板の温度分布は、図8(b)に示すように基板中央部の温度が高く、基板外周部の温度が低くなる凸型分布と、図8(c)に示すように基板中央部の温度が低く、基板外周部の温度が高くなる凹型分布とである。
図8(a)に示すように基板面内の座標軸を、基板の外周部左側から基板の中心を通って基板の外周部右側に向かう方向を(+)方向に定めると、基板の温度分布は、図8(b)に示すように基板中央部の温度が高く、基板外周部の温度が低くなる凸型分布と、図8(c)に示すように基板中央部の温度が低く、基板外周部の温度が高くなる凹型分布とである。
このとき、例えば基板中のキャリア濃度には、キャリア濃度を調整するための原料により、基板温度が高いほどキャリア濃度が高く(基板温度が低いほどキャリア濃度が低く)、基板温度が高いほどキャリア濃度が低い(基板温度が低いほどキャリア濃度が高い)という逆方向の温度依存性があるので、キャリア濃度分布も図9に示すように2種類あると考えられる。
図9(a)に示すように基板中央部のキャリア濃度が高く、基板外周部のキャリア濃度が低くなる凸型分布と、図9(b)に示すように基板中央部のキャリア濃度が低く、基板外周部のキャリア濃度が高くなる凹型分布とである。
特開2005−93505号公報
図9(a)に示すように基板中央部のキャリア濃度が高く、基板外周部のキャリア濃度が低くなる凸型分布と、図9(b)に示すように基板中央部のキャリア濃度が低く、基板外周部のキャリア濃度が高くなる凹型分布とである。
上述したように装置毎に加熱源(加熱手段)と基板との相対位置に違いがあることから、均熱板部を有する均熱板で基板を包み込むようにして、均熱板、サセプタ、及び半導体基板を一様に加熱しても、加熱方向12に対する熱拡散が、加熱源に近い部分とそれと比較して遠い部分において一様でないため、サセプタや均熱板に部分的な温度の不均衡が生じてしまうことは避けられない。
特に、均熱板とサセプタとは均熱板部において密接しているため、この均熱板部からの熱拡散により、均熱板の温度の均一化を図ることは容易ではなく、そこで生じた温度不均衡の影響により、均熱板と基板の接触面においても、半導体基板の中央部と外周部での温度の不均一が生じてしまう。
その結果、均熱板で基板を包み込むようにしても、なお均熱板の温度を均一化することが難しく、基板の温度分布の均一性、ひいてはキャリア濃度分布の均一性が保たれなかった。
特に、均熱板とサセプタとは均熱板部において密接しているため、この均熱板部からの熱拡散により、均熱板の温度の均一化を図ることは容易ではなく、そこで生じた温度不均衡の影響により、均熱板と基板の接触面においても、半導体基板の中央部と外周部での温度の不均一が生じてしまう。
その結果、均熱板で基板を包み込むようにしても、なお均熱板の温度を均一化することが難しく、基板の温度分布の均一性、ひいてはキャリア濃度分布の均一性が保たれなかった。
本発明の目的は、上述した問題点を解消して、均熱板を用いて、基板の温度分布の均一性を改善することが可能な化合物半導体製造装置の構造を提供することにある。
第1の発明は、基板を収容するための開口を持ったサセプタと、そのサセプタの開口内に収容される前記基板の裏面に接触させて前記基板の温度分布を均一化させる均熱板と、該均熱板を介して前記基板を加熱する加熱手段とを備え、加熱された前記基板の表面に化合物半導体結晶をエピタキシャル成長させる化合物半導体製造装置において、前記均熱板に生じる温度分布の低くなる部分で接触させ、温度分布の高くなる部分で非接触とするよう、前記均熱板を前記基板の裏面に部分的に接触させたことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記均熱板の前記基板との接触面側に、前記温度分布の低くなる均熱板の外周部で接触し、温度分布の高くなる均熱板の中央部で非接触となる凹面部を形成したことを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、前記凹面部の形状が楕円面形状になっていることを特徴とする。
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記基板の中央部と、前記凹面部の非接触部分との隙間が0.05〜0.15mmであることを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明において、前記均熱板の前記基板との接触面側に、前記温度分布の高くなる均熱板の中央部で接触し、温度分布の低くなる均熱板の外周部で非接触となる凸面部を形成したことを特徴とする。
なお、本発明の化合物半導体製造装置においては、同時に多数枚の半導体基板をエピタキシャル成長することができる構造とすることが望ましい。
本発明によれば、均熱板に生じる温度分布の低くなる部分で接触させ、温度分布の高くなる部分で非接触とするよう、均熱板を基板の裏面に部分的に接触させたので、基板の温度分布の均一性を改善できる。
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。
図7に横型気相エピタキシャル成長装置からなる実施の形態の化合物半導体製造装置の反応炉の構成を示す。図7に示すように、化合物半導体製造装置の反応炉9は、両端にガス導入口10aおよびガス排気口10bを備えたガス整流管から成る反応管10を備える。この反応管10の上壁に板状のサセプタ3が設けられる。サセプタ3はモータ15によって回転可能に支持されている。また、サセプタ3は、半導体基板2の表面を下向きにした状態で半導体基板2を収容し支持するための開口7を周方向に複数個有する。
半導体基板2をサセプタ3の開口内に載置し支持する構造を得るため、サセプタ3の開口7の下面周縁部には、開口7の中心方向に張り出した段差から成る基板支持部としての内向爪4が一体に形成される。半導体基板2は、この内向爪4に外周部が支えられて開口7の下面に保持される。
サセプタ3の開口7内に収容支持された半導体基板2の裏面に接触して均熱板1が設けられる。均熱板1は、基板の温度分布を均一化させる。上記のサセプタ3の上方に加熱手段としてのヒータ8が設けられ、上記の均熱板1、半導体基板2、及びサセプタ3を加熱して原料ガスGを熱分解するようになっている。原料ガスGの熱分解により、半導体基板2の表面に化合物半導体結晶がエピタキシャル成長する。
ここで半導体基板2は半導体ウェハであり、これに隣接する均熱板1の材質はカーボンから成る。
上記の反応炉を用いて有機金属気相成長法によりIII−V族化合物半導体結晶を成長するには、V族原料として、AsH3(アルシン)、As(CH3)3(トリメチル砒素)、TBA(ターシャリーブチルアルシン)、PH3(ホスフィン)またはTBP(ターシャリーブチルホスフィン)のいずれかを用い、III族原料として、Al(CH3)3(トリメチルアルミニウム)、Ga(CH3)3(トリメチルガリウム)、In(CH3)3(トリメチルインジウム)、Al(CH3CH2)3(トリエチルアルミニウム)、Ga(CH3CH2)3(トリエチルガリウム)、In(CH3CH2)3(トリエチルインジウム)のいずれかを用いる。
実際のエピタキシャル成長においては、これらの原料の他に、必要に応じて適当なドーパント原料、SiH4(モノシラン)、Si2H6(ジシラン)、H2Se(セレン化水素)を供給する。また希釈用ガスとして、H2(水素)、N2(窒素)またはAr(アルゴン)を用いる。
図1は、上述した半導体基板2及び均熱板1を収容するサセプタ3の要部構造を示す縦断面図である。
この均熱板1は、図6の場合と同様に、半導体基板2の裏面と同一の形状寸法の接触面部1aを有すると共に、その上部に、半導体基板2を包み込むように鍔状に突き出した均熱板部1bを有する。均熱板部1bの肉厚は半導体基板2より厚く、かつ均熱板部1bは半導体基板2より大きい円板形状をしている。
この均熱板1の接触面部1aは、接触面部1aと同一の形状寸法の半導体基板2の裏面に部分的に接触している。接触面部1aは、均熱板1の温度分布の低くなる部分では半導体基板2と接触させ、温度分布の高くなる部分では半導体基板2とは非接触としている。図1の例では、均熱板1の温度分布の低くなる部分は接触面部1aの外周部15bであり、温度分布の高くなる部分は接触面部1aの中央部15aである。このため、均熱板1の接触面部1aの下面、すなわち半導体基板2との接触面に、接触面部1aの外周部15bで半導体基板2の外周部2bと接触し、接触面部1aの中央部15aで半導体基板2の中央部2aと非接触となる凹面部5が形成されている。
この凹面部5は、半導体基板2の直径を長軸とし、半導体基板2の中心を短軸として回転させたときに得られる回転楕円体の楕円面(楕円体面ともいう)11に近い楕円面形状の上半分(半楕円面)から成る。この半楕円面11状をした凹面部5の外周部は、半導体基板2の外周部2bと密接している。半導体基板2の外周部2bは、この均熱板1の密接部分からの熱伝導により加熱されることになる。半楕円面11状をした凹面部5の中央部(天井)と半導体基板2との間に隙間13が形成され、半導体基板2の中央部2aとは非接触である。半導体基板2の中央部2aは、この隙間13を介しての熱輻射により加熱されることになる。
このように本実施の形態では、接触面部1aの接触面を凹面形状にし、半導体基板2の裏面との間に隙間13を設け、半導体基板2の外周部2bでは接触面部1aを密接させて、半導体基板2の中央部2aの領域に対しては、あえて接触面部1aを半導体基板2に密接させないように構成している。
したがって、均熱板1自体に温度分布が生じている場合において、接触面部1aの非接触により、均熱板部1bでの熱拡散の比較的少ない(出熱量が少ない)接触面部1aの中央部15aでは、接触面部1aから半導体基板2への入熱量が少なくなり、半導体基板2の中央部2aの温度上昇が抑制される。これに対して、接触面部1aの密接により、均熱板部1bでの熱拡散が多い(出熱量が多い)接触面部1aの外周部15bでは、接触面部1aから半導体基板2への入熱量が多くなり、半導体基板2の外周部2bの温度低下が抑制される。
その結果、均熱板部1bを有する均熱板1ではカバーできなかった加熱手段に近い部分と遠い部分での部分的な温度の不均衡が、有効に緩和される。このため、均熱板1の中心部と外周部とに温度分布の不均一があったとしても、半導体基板2における中央部2aと外周部2bとの温度分布の均一性を図ることができる。
その結果、均熱板部1bを有する均熱板1ではカバーできなかった加熱手段に近い部分と遠い部分での部分的な温度の不均衡が、有効に緩和される。このため、均熱板1の中心部と外周部とに温度分布の不均一があったとしても、半導体基板2における中央部2aと外周部2bとの温度分布の均一性を図ることができる。
図4を用いて、上述したような凹型の均熱板を半導体基板に設置した場合の温度分布及びキャリア濃度分布の特性改善例を説明する。
基板面内の座標軸を図4(a)のように決めると、均熱板1の中央部は基板2の中央部と接触していないために、図4(b)の実線で示すように基板2の温度分布が基板中央部で高く外周部で低くなるという温度分布を呈している場合は、一点鎖線で示すように、基板2の中央部の温度が低くなり、相対的に基板2の中央部と外周部との温度が近くなる。したがって、基板2の面内温度の均一性が改善される。
基板面内の座標軸を図4(a)のように決めると、均熱板1の中央部は基板2の中央部と接触していないために、図4(b)の実線で示すように基板2の温度分布が基板中央部で高く外周部で低くなるという温度分布を呈している場合は、一点鎖線で示すように、基板2の中央部の温度が低くなり、相対的に基板2の中央部と外周部との温度が近くなる。したがって、基板2の面内温度の均一性が改善される。
このような基板温度の均一性の改善により、次のように基板のキャリア濃度分のバラツキが低減して、キャリア濃度分布の均一性を改善できる。
図4(c)において、基板温度が高いほどキャリア濃度が高くなるという温度依存性がある場合であって、実線で示すように中央部のキャリア濃度が高く外周部のキャリア濃度が低いときは、一点鎖線で示すように中央部のキャリア濃度が低くなり、相対的に基板の中央部と外周部とのキャリア濃度が近くなる。
また、図4(d)において、基板温度が低いほどキャリア濃度が高くなるという温度依存性がある場合であって、実線で示すように中央部のキャリア濃度が低く外周部のキャリア濃度が高いときは、一点鎖線で示すように中央部のキャリア濃度が高くなり、相対的に基板の中央部と外周部とのキャリア濃度が近くなる。
図4(c)において、基板温度が高いほどキャリア濃度が高くなるという温度依存性がある場合であって、実線で示すように中央部のキャリア濃度が高く外周部のキャリア濃度が低いときは、一点鎖線で示すように中央部のキャリア濃度が低くなり、相対的に基板の中央部と外周部とのキャリア濃度が近くなる。
また、図4(d)において、基板温度が低いほどキャリア濃度が高くなるという温度依存性がある場合であって、実線で示すように中央部のキャリア濃度が低く外周部のキャリア濃度が高いときは、一点鎖線で示すように中央部のキャリア濃度が高くなり、相対的に基板の中央部と外周部とのキャリア濃度が近くなる。
したがって、均熱板1に凹面部5を形成することによって、均熱板1の温度分布の不均衡がそのまま基板に反映されるのを防止でき、半導体基板2における中心部2aと外周部2bとの間の不均衡な温度分布を均一化方向に修正することができる。その結果、基板の温度分布の均一性、ひいてはキャリア濃度分布の均一性を保つことができるようになる。
特に、この温度分布ひいてはキャリア濃度を均一化する効果は、均熱板の凹面部を中心部から外周部に向かって対称な楕円面とすることで、より確実に確保され、偏りのない温度分布を得ることができる。
ここで、接触面部1aの楕円面とした凹面部5にて半導体基板2との間に生じる隙間13の程度と、半導体基板2の面内の特性バラツキとの関係について、最適条件を吟味してみる。図3のグラフは、横軸に半導体基板2の中央部で凹面部5との間に生じる隙間(mm)を、また縦軸は化合物半導体製造装置の反応炉9でエピタキシャル成長させた薄膜のp型キャリア濃度の面内特性バラツキ(%)をとったものである。図3中の黒丸のプロットが実験結果の値である。この図3の実験結果から、半導体基板2の中央部で凹面部5の天井との隙間が0.15mmのとき、p型キャリア濃度の面内特性バラツキが最も小さくなることが判る。また、実験結果に基づいて引いたフィッティング曲線から推測して、隙間が0.05〜0.15mmの範囲に入っていると、面内特性バラツキが許容値内に入っているものと考えられる。
したがって、半導体基板との接触面部における半導体基板の中心部と凹面部との隙間を0.05〜0.15mmとすることにより、基板面内のキャリア濃度などの特性バラツキを最小にすることができる。
この結果、従来、エピタキシャル成長した半導体基板より半導体素子を製造するにあたって、特性のバラツキにより、製造歩留が低下する可能性があり、一枚の半導体基板を有効に使用するには必ずしも半導体基板の温度均一性が十分ではなったが、本実施の形態によれば、このような問題を有効に解決できる。
なお、上記実施形態では、均熱板1の半導体基板2との接触面側に凹面部を形成するようにしたが、本発明は、これに限定されず、均熱板1の半導体基板2との接触面側に凸面部を形成するようにしてもよい。
図2はそのような凸面部を形成した他の実施の形態を示す半導体基板2及び均熱板1を収容するサセプタ3の要部構造を示す縦断面図である。
同図に示すように、均熱板1の半導体基板2との接触面側に、半導体基板2の中央部で半導体基板2に接触し、外周部2bで非接触となる凸面部6を形成してある。本実施形態の場合、均熱板1における接触面部1aの接触面は、半導体基板2に対し中央部が最も下に突出した凸形状となっている。半導体基板2の中心部2aから外周部2bに向かって対称に形成された楕円面14からなり、半導体基板2の外周部2bで隙間があき、熱輻射により半導体基板2の外周部2bを加熱するようになっている。接触面部1aはこの楕円面14の中央部で半導体基板2の裏面に密接し、熱伝導により半導体基板2の中央部2aを加熱するようになっている。
したがって、均熱板1自体に温度分布が生じている場合において、接触面部1aの非接触により、均熱板部1bでの熱拡散の比較的少ない接触面部1aの中央部15aでは、接触面部1aから半導体基板2への入熱量が多くなり、半導体基板2の中央部2aの温度が上昇する。これに対して、接触面部1aの非接触により、均熱板部1bでの熱拡散が多い(出熱量が多い)接触面部1aの外周部15bでは、接触面部1aから半導体基板2への入熱量が少なくなり、半導体基板2の外周部2bの温度が低下する。
図5を用いて、上述したような凸型の均熱板を半導体基板に設置した場合の温度分布及びキャリア濃度分布の特性改善例を説明する。
基板面内の座標軸を図5(a)のように定めると、均熱板1の外周部は基板2の外周部と接触していないために、図5(b)の実線で示すように基板2の温度分布が基板中央部で低く外周部で高くなるという温度分布を呈している場合は、一点鎖線で示すように、基板の外周部の温度が低くなり、相対的に基板の中央部と外周部との温度が近くなる。
基板面内の座標軸を図5(a)のように定めると、均熱板1の外周部は基板2の外周部と接触していないために、図5(b)の実線で示すように基板2の温度分布が基板中央部で低く外周部で高くなるという温度分布を呈している場合は、一点鎖線で示すように、基板の外周部の温度が低くなり、相対的に基板の中央部と外周部との温度が近くなる。
このような基板温度の均一性の改善により、次のように基板のキャリア濃度分のバラツキが低減して、キャリア濃度分布の均一性を改善できる。
図5(c)において、基板温度が低いほどキャリア濃度が高くなるという温度依存性がある場合であって、実線で示すように中央部のキャリア濃度が低く外周部のキャリア濃度が高いときは、一点鎖線で示すように外周部のキャリア濃度が低くなり、相対的に基板の中央部と外周部とのキャリア濃度が近くなる。
また、図5(d)において、基板温度が低いほどキャリア濃度が高くなるという温度依存性がある場合であって、実線で示すように中央部のキャリア濃度が高く外周部のキャリア濃度が低いときは、一点鎖線で示すように外周部のキャリア濃度が高くなり、相対的に基板の中央部と外周部とのキャリア濃度が近くなる。
図5(c)において、基板温度が低いほどキャリア濃度が高くなるという温度依存性がある場合であって、実線で示すように中央部のキャリア濃度が低く外周部のキャリア濃度が高いときは、一点鎖線で示すように外周部のキャリア濃度が低くなり、相対的に基板の中央部と外周部とのキャリア濃度が近くなる。
また、図5(d)において、基板温度が低いほどキャリア濃度が高くなるという温度依存性がある場合であって、実線で示すように中央部のキャリア濃度が高く外周部のキャリア濃度が低いときは、一点鎖線で示すように外周部のキャリア濃度が高くなり、相対的に基板の中央部と外周部とのキャリア濃度が近くなる。
したがって、均熱板1に凸面部6を形成することによっても、均熱板1の温度分布の不均衡がそのまま基板に反映されるのを防止でき、半導体基板2における中心部2aと外周部2bとの間の不均衡な温度分布を均一化方向に修正することができる。その結果、基板の温度分布の均一性、ひいてはキャリア濃度分布の均一性を保つことができるようになる。
1 均熱板
1a 接触面部
1b 均熱板部
2 半導体基板
2a 基板中央部
2b 基板外周部
3 サセプタ
5 凹面部
6 凸面部
7 開口
8 ヒータ
9 反応炉
10 反応管
11 楕円面
12 加熱方向
13 隙間
14 楕円面
15a 接触面部中央部(温度均熱部中央部)
15b 接触面部外周部(温度均熱部外周部)
1a 接触面部
1b 均熱板部
2 半導体基板
2a 基板中央部
2b 基板外周部
3 サセプタ
5 凹面部
6 凸面部
7 開口
8 ヒータ
9 反応炉
10 反応管
11 楕円面
12 加熱方向
13 隙間
14 楕円面
15a 接触面部中央部(温度均熱部中央部)
15b 接触面部外周部(温度均熱部外周部)
Claims (5)
- 基板を収容するための開口を持ったサセプタと、該サセプタの開口内に収容される前記基板の裏面に接触させて前記基板の温度分布を均一化させる均熱板と、該均熱板を介して前記基板を加熱する加熱手段とを備え、加熱された前記基板の表面に化合物半導体結晶をエピタキシャル成長させる化合物半導体製造装置において、
前記均熱板に生じる温度分布の低くなる部分で接触させ、温度分布の高くなる部分で非接触とするよう、前記均熱板を前記基板の裏面に部分的に接触させたことを特徴とする化合物半導体製造装置。 - 請求項1記載の化合物半導体製造装置において、
前記均熱板の前記基板との接触面側に、前記温度分布の低くなる均熱板の外周部で接触し、温度分布の高くなる均熱板の中央部で非接触となる凹面部を形成したことを特徴とする化合物半導体製造装置。 - 請求項2記載の化合物半導体製造装置において、
前記凹面部の形状が楕円面形状になっていることを特徴とする化合物半導体製造装置。 - 請求項2または3記載の化合物半導体製造装置において、
前記基板の中央部と、前記凹面部の非接触部分との隙間が0.05〜0.15mmであることを特徴とする化合物半導体製造装置。 - 請求項1記載の化合物半導体製造装置において、
前記均熱板の前記基板との接触面側に、前記温度分布の高くなる均熱板の中央部で接触し、温度分布の低くなる均熱板の外周部で非接触となる凸面部を形成したことを特徴とする化合物半導体製造装置。
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JP2005367219A JP2007173417A (ja) | 2005-12-20 | 2005-12-20 | 化合物半導体製造装置 |
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JP2009071122A (ja) * | 2007-09-14 | 2009-04-02 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 半導体装置の製造装置および製造方法 |
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2005
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