JP2010267809A - クリーニング装置、クリーニング方法、露光装置、及びデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】露光不良の発生を抑制できるクリーニング装置を提供する。
【解決手段】クリーニング装置は、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置内の所定部材をクリーニングする。クリーニング装置は、所定部材にパルス光を照射して、所定部材の異物を溶融又は気化させて、所定部材から前記異物を除去する照射装置を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、クリーニング装置、クリーニング方法、露光装置、及びデバイス製造方法に関する。
半導体デバイス等のマイクロデバイスの製造工程において、露光光で基板を露光する露光装置が使用される。露光装置の部材、部品が汚染されると、例えば基板に形成されるパターンに欠陥が生じる等、露光不良が発生し、その結果、不良デバイスが発生する可能性がある。そのため、例えば下記特許文献に開示されているような、露光装置内の所定部材をクリーニングする技術が案出されている。
露光不良の発生を抑制するために、所定部材をクリーニングすることは有効である。そのため、露光装置内の所定部材を良好にクリーニングできる技術の案出が望まれる。
本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できるクリーニング装置、及びクリーニング方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できる露光装置を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置内の所定部材をクリーニングするクリーニング装置であって、所定部材にパルス光を照射して、所定部材の異物を溶融又は気化させて、所定部材から異物を除去する照射装置を備えるクリーニング装置が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様のクリーニング装置を備える露光装置が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、第2の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の第4の態様に従えば、第1の態様のクリーニング装置を用いて、所定部材の少なくとも一部をクリーニングすること、を含むクリーニング方法が提供される。
本発明の第5の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置内の所定部材をクリーニングするクリーニング方法であって、所定部材にパルス光を照射して、所定部材の異物を溶融又は気化させて、所定部材から異物を除去すること、を含むクリーニング方法が提供される。
本発明の第6の態様に従えば、第4,第5の態様のクリーニング方法で所定部材の少なくとも一部をクリーニングすることと、基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の態様によれば、露光不良の発生を抑制できる。また本発明の態様によれば、不良デバイスの発生を抑制できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
図1は、本実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、基板Pを保持せずに、露光光ELを計測する計測器(計測部材)を搭載して移動可能な計測ステージ3と、マスクステージ1を移動する駆動システム4と、基板ステージ2及び計測ステージ3を移動する駆動システム5と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材7と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置8とを備えている。
なお、基板を保持して移動可能な基板ステージと、基板を保持せずに、露光光を計測する計測器(計測部材)を保持して移動可能な計測ステージとを備えた露光装置の一例が、例えば米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されており、その内容を援用して本文の記載の一部とする。
また、露光装置EXは、露光装置EX内の所定部材をクリーニングするクリーニング装置50を備えている。クリーニング装置50は、所定部材にパルス光を照射して、所定部材の異物を溶融又は気化させて、所定部材から異物を除去する照射装置51を備えている。本実施形態において、照射装置51の少なくとも一部は、計測ステージ3に配置されている。本実施形態において、パルス光を射出する照射装置51の射出部52は、計測ステージ3に配置されている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜に加えて別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRに移動可能である。マスクステージ1は、照明領域IRを含むベース部材9のガイド面9G上を移動可能である。駆動システム4は、例えばリニアモータを含み、ガイド面9G上でマスクステージ1を移動可能である。本実施形態においては、マスクステージ1は、駆動システム4の作動により、ガイド面9G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影領域PRは、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸は、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ2は、基板Pを保持した状態で、投影領域PRに移動可能である。基板ステージ2は、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。計測ステージ3は、計測器(計測部材)を搭載した状態で、投影領域PRに移動可能である。計測ステージ3は、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。基板ステージ2及び計測ステージ3のそれぞれは、投影光学系PL及び液浸部材7に対して移動可能である。
基板ステージ2及び計測ステージ3を移動するための駆動システム5は、例えばリニアモータを含み、ガイド面10G上で基板ステージ2及び計測ステージ3を移動可能である。本実施形態においては、基板ステージ2は、駆動システム5の作動により、ガイド面10G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。同様に、計測ステージ3は、駆動システム5の作動により、ガイド面10G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
基板ステージ2は、基板Pをリリース可能に保持する基板保持部2Hを有する。本実施形態において、基板保持部2Hに保持された基板Pの表面と、その基板Pの周囲に配置される基板ステージ2の上面2Uとは、同一平面内に配置される(面一である)。上面2Uは、平坦である。本実施形態において、基板保持部2Hに保持された基板Pの表面、及び基板ステージ2の上面2Uは、XY平面とほぼ平行である。
なお、基板保持部2Hに保持された基板Pの表面と上面2Uとが同一平面内に配置されてなくてもよいし、基板Pの表面及び上面2Uの少なくとも一方がXY平面と非平行でもよい。
なお、基板ステージ2の上面2Uが、例えば米国特許出願公開第2007/0177125号明細書、米国特許出願公開第2008/0049209号明細書等に開示されているような、基板ステージにリリース可能に保持されるプレート部材の上面でもよい。
本実施形態において、計測ステージ3の上面3Uは、平坦である。制御装置8は、駆動システム5を制御して、上面2Uと上面3Uとを同一平面内に配置することができる。
本実施形態において、計測ステージ3は、観察装置80を搭載する。観察装置80は、撮像素子を有し、露光装置EX内の所定部材の光学像を取得可能である。なお、観察装置を搭載した計測ステージを備える露光装置の一例が、米国特許出願公開第2008/0084546号明細書に開示されており、その内容を援用して本文の記載の一部とする。以下の説明において、観察装置80を適宜、カメラ80、と称する。
本実施形態において、マスクステージ1、基板ステージ2、及び計測ステージ3の位置情報は、レーザ干渉計ユニット11A、11Bを含む干渉計システム11によって計測される。レーザ干渉計ユニット11Aは、マスクステージ1に配置された計測ミラーを用いて、マスクステージ1の位置を計測可能である。レーザ干渉計ユニット11Bは、基板ステージ2に配置された計測ミラー、及び計測ステージ3に配置された計測ミラーを用いて、基板ステージ2及び計測ステージ3それぞれの位置を計測可能である。基板Pの露光処理を実行するとき、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置8は、干渉計システム11の計測結果に基づいて、駆動システム4,5,6を作動し、マスクステージ1(マスクM)、基板ステージ2(基板P)、及び計測ステージ3(計測器)の位置制御を実行する。
液浸部材7は、液体LQと接触する。液浸部材7は、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能である。液浸空間LSは、液体LQで満たされた部分(空間、領域)である。液浸部材7は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子12の近傍に配置される。本実施形態において、液浸部材7は、環状の部材であり、露光光ELの光路の周囲に配置される。本実施形態においては、液浸部材7の少なくとも一部が、終端光学素子12の周囲に配置される。
終端光学素子12は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面13を有する。本実施形態において、液浸空間LSは、終端光学素子12と、終端光学素子12から射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に配置される物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように形成される。本実施形態において、投影領域PRに配置可能な物体は、投影光学系PLの像面側(終端光学素子12の射出面13側)で投影領域PRに対して移動可能な物体であり、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、及び計測ステージ3の少なくとも一つを含む。もちろん、投影領域PRに配置可能な物体は、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、及び計測ステージ3の少なくとも一つに限られない。
本実施形態において、液浸部材7は、投影領域PRに配置される物体と対向可能な下面14を有する。液浸部材7は、投影領域PRに配置される物体との間で液体LQを保持することができる。一方側の射出面13及び下面14と、他方側の物体の表面(上面)との間に液体LQが保持されることによって、終端光学素子12と物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。
少なくとも基板Pの露光時において、液浸部材7は、基板Pとの間で液体LQを保持して、射出面13から射出される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能である。本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているとき、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)の少なくとも一部は、液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
また、液浸部材7は、基板ステージ2の上面2Uとの間で液浸空間LSを形成可能であり、計測ステージ3の上面3Uとの間で液浸空間LSを形成可能である。
図2は、本実施形態に係る液浸部材7の一例を示す側断面図である。なお、図2を用いる説明においては、投影領域PR(終端光学素子12及び液浸部材7と対向する位置)に基板Pが配置される場合を例にして説明するが、上述のように、基板ステージ2、及び計測ステージ3を配置することもできる。
図2に示すように、液浸部材7は、射出面13と対向する位置に開口7Kを有する。射出面13から射出された露光光ELは、開口7Kを通過して、基板Pに照射可能である。
また、液浸部材7は、液浸空間LSを形成するための液体LQを供給する供給口15と、液体LQを回収する回収口16とを備えている。供給口15は、露光光ELの光路の近傍において、その光路に面するように配置されている。供給口15は、供給流路を介して、液体供給装置18と接続されている。液体供給装置18は、クリーンで温度調整された液体LQを送出可能である。供給流路は、液浸部材7の内部流路、及びその内部流路と液体供給装置18とを接続する供給管で形成される流路を含む。液体供給装置18から送出された液体LQは、供給流路を介して供給口15に供給される。
回収口16は、液浸部材7の下面14と対向する物体上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。本実施形態においては、回収口16は、露光光ELが通過する開口7Kの周囲に配置されている。回収口16は、物体の表面と対向する液浸部材7の所定位置に配置されている。回収口16には、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の多孔部材19が配置されている。なお、回収口16に、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。また、回収口16に多孔部材19が配置されていなくてもよい。本実施形態において、液浸部材7の下面14の少なくとも一部は、多孔部材19の下面を含む。回収口16は、回収流路を介して、液体回収装置21と接続されている。液体回収装置21は、回収口16を真空システムに接続可能であり、回収口16を介して液体LQを吸引可能である。回収流路は、液浸部材7の内部流路、及びその内部流路と液体回収装置21とを接続する回収管で形成される流路を含む。回収口16から回収された液体LQは、回収流路を介して、液体回収装置21に回収される。
本実施形態においては、制御装置8は、供給口15による液体LQの供給動作と並行して、回収口16による液体LQの回収動作を実行することによって、一方側の終端光学素子12及び液浸部材7と、他方側の物体(基板ステージ2、基板P、及び計測ステージ3等)との間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
なお、液浸部材7として、例えば米国特許出願公開第2007/0132976号明細書、欧州特許出願公開第1768170号明細書に開示されているような液浸部材(ノズル部材)を用いることができる。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて、基板Pを露光する方法の一例について説明する。
図3に示すように、制御装置8は、露光前の基板Pを基板ステージ2に搬入(ロード)するために、基板ステージ2を、露光位置EPと異なる基板交換位置CPに移動する。露光位置EPは、終端光学素子12から射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PRを含む位置)である。基板交換位置CPは、基板Pの交換処理が実行可能な位置である。基板Pの交換処理は、搬送装置22を用いて、基板ステージ2に保持された露光後の基板Pを基板ステージ2から搬出(アンロード)する処理、及び基板ステージ2に露光前の基板Pを搬入(ロード)する処理の少なくとも一方を含む。制御装置8は、基板交換位置CPに基板ステージ2を移動して、基板Pの交換処理を実行する。
基板ステージ2が液浸部材7から離れている期間の少なくとも一部において、制御装置8は、計測ステージ3を液浸部材7に対して所定位置に配置して、終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3の上面との間で液体LQを保持して、液浸空間LSを形成する。
また、基板ステージ2が液浸部材7から離れた期間の少なくとも一部において、必要に応じて、計測ステージ3を用いる計測処理が実行される。計測ステージ3を用いる計測処理を実行するとき、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3とを対向させ、終端光学素子12と計測器(計測部材)との間の光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。制御装置8は、投影光学系PL及び液体LQを介して、計測ステージ3に保持されている計測器(計測部材)に露光光ELを照射して、露光光ELの計測処理を実行する。その計測処理の結果は、基板Pの露光処理に反映される。
本実施形態において、計測ステージ3を用いる計測処理は、カメラ80を用いて液浸部材7の下面14の状態を観察する処理を含む。カメラ80は、液浸部材7の光学像(画像)を取得可能である。制御装置8は、液浸部材7と計測ステージ3とを対向させた状態で、カメラ80を用いて液浸部材7の下面14の状態を観察することができる。
図4は、カメラ80が液浸部材7の下面14の状態を観察している状態の一例を示す図である。図4に示すように、本実施形態においては、制御装置8は、液浸部材7と計測ステージ3との間に液体LQで液浸空間LSを形成した状態で、カメラ80を用いて液浸部材7の下面14の状態を観察する。カメラ80は、液体LQを介して、多孔部材19の下面を含む、液浸部材7の下面14の光学像を取得する。
なお、液体LQを介さずに、カメラ80で液浸部材7の光学像を取得してもよい。例えば、液浸部材7と計測ステージ3との間に液体LQで液浸空間LSを形成しない状態で、カメラ80を用いて液浸部材7の光学像を取得してもよい。
露光前の基板Pが基板ステージ2にロードされ、計測ステージ3を用いる計測処理が終了した後、制御装置8は、基板ステージ2を露光位置EPに移動して、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液浸空間LSを形成する。
終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液浸空間LSが形成された後、制御装置8は、基板Pの露光処理を開始する。基板Pの露光処理を実行するとき、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2とを対向させ、終端光学素子12と基板Pとの間の光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。制御装置8は、照明系ILにより露光光ELで照明されたマスクMからの露光光ELを投影光学系PL及び液体LQを介して基板Pに照射する。これにより、基板Pは露光光ELで露光され、マスクMのパターンの像が基板Pに投影される。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置8は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。
基板Pの露光処理が終了した後、制御装置8は、基板ステージ2を基板交換位置CPに移動する。計測ステージ3は、例えば露光位置EPに配置される。制御装置8は、基板交換位置CPに移動した基板ステージ2から露光後の基板Pを搬出し、露光前の基板Pを基板ステージ2に搬入する。
以下、制御装置8は、上述の処理を繰り返して、複数の基板Pを順次露光する。
ところで、基板Pの露光中、基板Pから発生(溶出)した物質(例えば感光材等の有機物)が、異物(汚染物、パーティクル)として液浸空間LSの液体LQ中に混入する可能性がある。また、基板Pから発生する物質のみならず、例えば空中を浮遊する異物が、液浸空間LSの液体LQに混入する可能性もある。上述したように、基板Pの交換処理、計測ステージ3を用いる計測処理、及び基板Pの露光処理を含む露光シーケンスの少なくとも一部の期間において、液浸空間LSの液体LQは、液浸部材7、基板ステージ2、及び計測ステージ3の少なくとも一部と接触する。
したがって、液浸空間LSの液体LQ中に異物が混入すると、液浸部材7の下面14、基板ステージ2の上面2U、及び計測ステージ3の上面3Uの少なくとも一部に異物が付着する可能性がある。それら液体LQと接触する露光装置EX内の所定部材の表面(液体接触面)に異物が付着している状態を放置しておくと、その異物が露光中に基板Pに付着したり、供給口15から供給された液体LQが汚染されたりする可能性がある。また、液浸部材7の下面14、基板ステージ2の上面2U、計測ステージ3の上面3Uが汚染されると、例えば液浸空間LSを良好に形成できなくなる可能性もある。その結果、露光不良が発生する可能性がある。
そこで、本実施形態においては、制御装置8は、所定のタイミングで、クリーニング装置50を用いて、液浸空間LSの液体LQと接触する露光装置EX内の所定部材をクリーニングする処理を実行する。
以下、基板Pの露光の少なくとも一部において液体LQと接触する露光装置EX内の所定部材のうち、液浸部材7をクリーニングする場合を例にして説明する。
図5は、本実施形態に係るクリーニング装置50の一例を示す図である。図5は、クリーニング装置50が液浸部材7の下面14をクリーニングしている状態の一例を示す。
クリーニング装置50は、液浸部材7の下面14にパルス光を照射して、液浸部材7の下面14に付着している異物を溶融又は気化させて、液浸部材7から異物を除去する照射装置51を備えている。照射装置51は、パルス光を発生する光源53と、液浸部材7の下面14に向けてパルス光を射出可能な射出部52と、光源53から供給されたパルス光を射出部52に導く光学系54とを備えている。パルス光を射出する照射装置51の射出部52は、計測ステージ3の上面3Uに配置されている。光学系54の少なくとも一部は、計測ステージ3に配置されている。光源53は、パルス光を射出して、光学系54に供給する。光学系54は、供給されたパルス光を射出部52に導くことができる。射出部52は、液浸部材7の下面14と対向可能である。本実施形態においては、光学系54は、空気中を介して供給されたパルス光を射出部52に導く。
下面14にパルス光が照射されることによって、下面14においてパルス光の光エネルギーが熱エネルギーに変換される。これにより、下面14に付着している異物は、その熱エネルギーによって溶融又は気化される。
また、本実施形態においては、液浸部材7にパルス光を照射しているので、液浸部材7の温度が過剰に上昇することが抑制される。
本実施形態において、照射装置51は、パルスレーザ光を射出する。本実施形態において、照射装置51は、ターゲットである異物にレーザ光を照射して、その異物にレーザアブレーションを生じさせて、その異物を溶融又は気化させるレーザアブレーション装置を含む。本実施形態において、パルスレーザ光を発生する光源は、YAGレーザ装置である。本実施形態において、パルスレーザ光の波長は、空気中において、約1.06〔μm〕である。本実施形態においては、酸素が吸光物質として作用しない約1.06〔μm〕の波長を用いるので、空気中においても効率良くパルスレーザ光を伝達することが可能である。
本実施形態においては、パルス光のエネルギー密度は、0.01〔J/cm2 /puls〕〜1〔J/cm2 /puls〕である。なお、パルス光のエネルギー密度は、約0.1〔J/cm2 /puls〕であることが望ましい。また、YAGレーザ装置の平均パワーは、約10〔W〕、パルス繰り返し周波数は、約1〔kHz〕、パルス時間幅は、約20〔nsec〕である。また、パルス光のビーム直径は、約2.5mmである。
なお、パルスレーザ光が、YAGレーザ装置から射出されるレーザ光と異なる波長(例えば、紫外領域、赤外領域、可視領域の少なくとも一つ)のレーザ光でもよい。また、露光光ELをパルスレーザ光として用いてもよい。さらに、露光光ELの光源をパルスレーザ光の光源として用いてもよい。また、照射装置51が照射するパルス光は、レーザ光でなくてもよい。パルス光として、電磁波を用いることができ、例えば紫外光、赤外光、及び可視光の少なくとも一つを用いることができる。
本実施形態においては、照射装置51は、液浸部材7の下面14と液体LQとが接触している状態で、液浸部材7の下面14にパルス光を照射する。本実施形態において、照射装置51は、液浸空間LSの液体LQを介して、液浸部材7にパルス光を照射する。液浸空間LSの液体LQは、液浸部材7の下面14と接触する。照射装置51は、その液浸部材7の下面14と接触している液浸空間LSの液体LQを介して、液浸部材7にパルス光を照射する。すなわち、本実施形態においては、所謂、液相レーザアブレーションが実行される。
本実施形態において、制御装置8は、供給口15による液体LQの供給動作と並行して、回収口16による液体LQの回収動作を実行しながら、照射装置51からのパルス光を射出させ、そのパルス光を液浸部材7に照射する。
本実施形態においては、液浸部材7の下面14と液体LQとを接触させた状態で、液浸部材7の下面14にパルス光が照射されるので、液浸部材7から除去された異物が、周囲に飛散することが抑制される。
例えば射出部52から多孔部材19に向けて射出されたパルス光は、その多孔部材19の下面のみならず、多孔部材19の孔の内面に照射される。また、射出部52から射出されたパルス光は、多孔部材19の孔を介して、多孔部材19の上面の少なくとも一部にも照射される。
下面14にパルス光が照射されることによって、下面14の近傍において、液体LQの一部が沸騰する。その液体LQの沸騰の衝撃により、下面14に付着している異物を効果的に除去することができる。また、多孔部材19の下面の近傍において液体LQが沸騰することによって、多孔部材19の孔の内面にも液体LQの沸騰の衝撃が付与される。これにより、多孔部材19の孔の内面も良好にクリーニングされる。
また、本実施形態においては、供給口15による液体LQの供給動作と並行して回収口16による液体LQの回収動作を実行しながら、液浸部材7にパルス光が照射されるので、供給口15から供給されるクリーンな液体LQと下面14とを接触させた状態で、その下面14にパルス光を照射することができる。また、下面14から除去された異物は、液体LQとともに回収口16から回収される。これにより、異物の飛散が抑制されるとともに、液浸空間LSの液体LQの汚染が抑制される。
本実施形態においては、制御装置8は、クリーニングにおける液浸空間LSの大きさを、露光シーケンスにおける液浸空間LSの大きさより大きくする。なお、液浸空間LSの大きさは、下面14と上面3Uとの間における、XY平面内での液浸空間LSの大きさである。すなわち、本実施形態においては、制御装置8は、下面14に対する液体LQの接触面積を大きくした状態で、その下面14にパルス光を照射する。制御装置8は、クリーニングにおける供給口15からの単位時間当たりの液体LQの供給量を、露光シーケンスにおける供給口15からの単位時間当たりの液体LQの供給量より多くすることによって、クリーニングにおける液浸空間LSの大きさを大きくすることができる。また、制御装置8は、クリーニングにおける回収口16からの単位時間当たりの液体LQの回収量を、露光シーケンスにおける回収口16からの単位時間当たりの液体LQの回収量より少なくすることによって、クリーニングにおける液浸空間LSの大きさを大きくすることができる。
また、クリーニングにおいて、供給口15からの単位時間当たりの液体LQの供給量を多くして、液浸空間LSにおける液体LQの流速を高めることによって、その液体LQの流れ(力)によって、下面17に付着している異物を良好に除去することができる。
なお、クリーニングにおける液浸空間LSの大きさと、露光シーケンスにおける液浸空間LSの大きさとが同じでもよい。
制御装置8は、液浸部材7に対して計測ステージ3をXY平面内で移動しながら、射出部52よりパルス光を射出する。本実施形態において、下面14におけるパルス光の照射領域は、下面14より小さい。制御装置8は、液浸部材7に対して計測ステージ3をXY平面内で移動しながら、射出部52よりパルス光を射出することによって、例えば液浸部材7の下面14のほぼ全域にパルス光を照射することができる。なお、下面14の一部の領域にパルス光が照射されてもよい。また、制御装置8は、計測ステージ3をZ軸方向に移動して、液浸部材7の下面14と射出部52との距離を調整しながら、射出部52よりパルス光を射出してもよい。
図6及び図7は、本実施形態に係る照射装置51及び駆動システム5の一例を示す図である。図6及び図7に示すように、本実施形態において、光源53は、射出部52が設けられている計測ステージ3と離れた位置に配置されている。
駆動システム5は、複数のリニアモータ31,32,33,34,35,36を備えている。駆動システム5は、Y軸方向に長い一対のYガイド部材37、38を備えている。Yガイド部材37、38のそれぞれは、複数のコイルを含むコイルユニットを備えている。一方のYガイド部材37は、スライド部材39,41をY軸方向に移動可能に支持し、他方のYガイド部材38は、スライド部材40,42をY軸方向に移動可能に支持する。スライド部材39,40,41,42のそれぞれは、永久磁石を含む磁石ユニットを備えている。Yガイド部材37及びスライド部材39によってリニアモータ31が形成され、Yガイド部材38及びスライド部材40によってリニアモータ32が形成され、Yガイド部材37及びスライド部材41によってリニアモータ33が形成され、Yガイド部材38及びスライド部材42によってリニアモータ34が形成される。
また、駆動システム5は、X軸方向に長い一対のXガイド部材43、44を備えている。Xガイド部材43、44のそれぞれは、複数のコイルを含むコイルユニットを備えている。一方のXガイド部材43は、基板ステージ2をX軸方向に移動可能に支持し、他方のXガイド部材44は、計測ステージ3をX軸方向に移動可能に支持する。基板ステージ2及び計測ステージ3のそれぞれは、永久磁石を含む磁石ユニットを備えている。Xガイド部材43及び基板ステージ2の磁石ユニットによってリニアモータ35が形成され、Xガイド部材44及び計測ステージ3の磁石ユニットによってリニアモータ36が形成される。
Xガイド部材43の一端は、スライド部材39に固定され、他端は、スライド部材40に固定されている。Xガイド部材44の一端は、スライド部材41に固定され、他端は、スライド部材42に固定されている。Xガイド部材43は、リニアモータ31,32によってY軸方向に移動可能であり、Xガイド部材44は、リニアモータ33,34によってY軸方向に移動可能である。
また、基板ステージ2は、リニアモータ35によってXガイド部材43にガイドされてX軸方向に移動可能であり、計測ステージ3は、リニアモータ36によってXガイド部材44にガイドされてX軸方向に移動可能である。
光源53は、計測ステージ3と離れた位置に配置されている。本実施形態において、光学系54は、スライド部材42に配置された第1光学部材54Aと、計測ステージ3の内部に配置された第2,第3光学部材54B,54Cとを備えている。なお、光学系54として、光ファイバーを用いても構わない。光ファイバーを用いることで、パルス光が空気に触れることなく、パルス光を伝送することが可能である。
光源53と第1光学部材54AとはY軸方向に沿って配置されており、対向する。光源53Aと第1光学部材54Aとの間の光路は、Y軸方向とほぼ平行である。第1光学部材54Aは、反射面を有する反射ミラーであり、光源53に対して−Y側で、光源53の射出面と対向する位置に配置されている。光源53は、Y軸に沿って、+Y方向から−Y方向へ向けてパルス光を射出する。光源53から射出されたパルス光は、第1光学部材54Aの反射面に入射する。第1光学部材54Aは、入射したパルス光を反射して、計測ステージ3に配置されている第2光学部材54Bに供給する。
第1光学部材54Aと第2光学部材54Bとは、X軸方向に沿って配置されており、対向する。第1光学部材54Aと第2光学部材54Bとの間の光路は、X軸方向とほぼ平行である。第2光学部材54Bは、反射面を有する反射ミラーであり、第1光学部材54Aに対して+X側で、第1光学部材54Aの反射面と対向する位置に配置されている。第1光学部材54Aは、X軸に沿って、−X方向から+X方向へ向けてパルス光を供給する。第1光学部材54Aの反射面で反射したパルス光は、第2光学部材54Bの反射面に入射する。第2光学部材54Bは、入射したパルス光を反射して、第3光学部材54Cに供給する。
第3光学部材54Cの上面は、計測ステージ3の上面3Uに配置されている。射出部52は、第3光学部材54Cの上面を含む。射出部52は、液浸部材7の下面14と対向可能である。第3光学部材54Cと液浸部材7との間の光路は、Z軸方向とほぼ平行である。第3光学部材54Cは、Z軸に沿って、−Z方向から+Z方向へ向けてパルス光を供給する。射出部52より射出されたパルス光は、液浸部材7の下面14に照射される。
本実施形態においては、計測ステージ3と離れた位置に光源53が配置されているので、計測ステージ3の軽量化を図ることができる。したがって、計測ステージ3の移動を精度良く制御することができる。
次に、上述の構成を有するクリーニング装置50を用いて、液浸部材7をクリーニングする方法について説明する。
図8は、本実施形態に係るクリーニング方法の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、本実施形態に係るクリーニングシーケンスにおいては、液浸部材7の異物を検出する処理(ステップSA1)と、その検出結果に基づいて、計測ステージ3を制御して、液浸部材7に対する射出部52の位置を調整する処理(ステップSA2)と、液浸部材7にパルス光を照射して、液浸部材7をクリーニングする処理(ステップSA3)とが実行される。
なお、クリーニングシーケンスは、例えば露光シーケンスが実行されない露光装置EXの待機時間(アイドリング状態の時間)に実行可能である。露光装置EXのアイドリング状態とは、基板Pに感光膜等を形成するコーティング装置から露光装置EXに基板Pが搬送されていない状態を含む。
なお、クリーニングシーケンスは、露光シーケンスのうち、基板Pの交換処理に実行することもできる。基板Pの交換処理においては、基板ステージ2が基板交換位置CPに配置され、計測ステージ3が露光位置EPに配置されている状態で、クリーニングシーケンスを実行可能である。
なお、基板Pの交換処理においてクリーニングを実行する場合、クリーニングにおける供給口15からの単位時間当たりの液体LQの供給量、及び回収口16からの単位時間当たりの液体LQの回収量と、基板Pの露光における供給口15からの単位時間当たりの液体LQの供給量、及び回収口16からの単位時間当たりの液体LQの回収量とは、等しいことが望ましい。
まず、液浸部材7における異物の検出処理が実行される(ステップSA1)。本実施形態においては、カメラ80が液浸部材7の異物を検出する。制御装置8は、液浸部材7と計測ステージ3とを対向させた状態で、干渉計システム11で計測ステージ3の位置を計測しながら、計測ステージ3をXY平面内で移動して、計測ステージ3に配置されているカメラ80を用いて、液浸部材7の下面14の光学像を取得する。
カメラ80の検出結果(画像情報)は、制御装置8に出力される。制御装置8は、カメラ80の検出結果を画像処理して、下面14における異物に関する情報を取得することができる。異物に関する情報は、異物の有無、異物の位置、及び異物の量等を含む。
制御装置8は、クリーンな状態(初期状態)の液浸部材7の画像情報を予め記憶している。制御装置8は、カメラ80の検出結果を画像処理して、その画像処理の結果と、初期状態の液浸部材7の画像情報とを比較して、液浸部材7における異物に関する情報を取得することができる。また、制御装置8は、干渉計システム11の計測結果と、カメラ80の検出結果とに基づいて、干渉計システム11によって規定される座標系内における異物の位置を特定することができる。以上により、液浸部材7の下面14の異物の位置を含む、異物に関する情報が、カメラ80によって検出される。
次に、液浸部材7に対する射出部52の位置を調整する処理が実行される(ステップSA2)。制御装置8は、カメラ80の検出結果に基づいて、液浸部材7の下面14に付着している異物と射出部52とが対向するように、計測ステージ3の位置を制御する。また、制御装置8は、カメラ80の検出結果に基づいて、照射装置51を制御しても構わない。例えば、異物の量(数、大きさなど)に応じて、パルス光のビーム直径を制御する。
制御装置8は、照射装置51の射出部52よりパルス光を射出して、液浸部材7の下面14に付着している異物にパルス光を照射する(ステップSA3)。これにより、異物が除去される。
パルス光の照射が終了した後、制御装置8は、カメラ80を用いて、液浸部材7の下面14の光学像を取得し、異物が除去されたかどうかを確認する。異物が除去されたと判断した場合、制御装置8は、例えば露光シーケンスを実行(再開)する。一方、異物が除去されていないと判断した場合、制御装置8は、クリーニングシーケンスを再度実行する。
なお、ステップSA1において、カメラ80が異物を検出しないとき、制御装置8は、ステップSA2,SA3を実行せずに、露光シーケンスを実行することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、パルス光を照射して、そのパルス光に基づく熱エネルギーを用いて異物を除去するので、液浸部材7を短時間で効率良くクリーニングすることができる。したがって、露光装置EXの稼動率の低下を抑制することができる。また、液浸部材7を良好にクリーニングできるので、露光不良の発生、不良デバイスの発生を抑制することができる。また、本実施形態においては、赤外領域の波長のパルス光を用いたので、赤外領域の波長より短いパルス光を用いた場合と比較して、照射対象への光化学作用を小さくすることができる。したがって、照射対象の変質(例えば、撥液性(撥水性)の低下)を抑制することができる。
なお、上述の実施形態においては、供給口15による液体LQの供給動作と並行して、回収口16による液体LQの回収動作を実行しながら、液浸部材7にパルス光を照射することとしたが、供給口15による液体LQの供給動作、及び回収口16による液体LQの回収動作を停止した状態で、液浸部材7にパルス光を照射してもよい。
なお、本実施形態においては、異物を検出するカメラ80の検出結果に基づいて、クリーニングが実行されることとしたが、カメラ80の検出結果を用いずにクリーニングが実行されてもよい。例えば所定時間間隔毎、所定枚数の基板Pを露光する毎等、定期的にクリーニング装置50を用いるクリーニングが実行されてもよい。
また、異物を直接検出する手段は、カメラ80に限られない。例えば、下面14に光を照射し、照射光の反射もしくは散乱を検出し、下面14の異物の有無を検出しても構わない。また、異物の有無を間接的に検出しても構わない。例えば、液体回収装置21に回収水のパーティクル数を計測する装置を設け、その計測結果に基づいて、下面14の異物の有無を検出しても構わない。
また、予備実験、あるいはシミュレーション等によって、液浸部材7の特定部位に異物が付着し易いことが事前に把握されている場合には、カメラ80の検出結果を用いずに、その特定部位に対してパルス光を照射することによって、液浸部材7を効率良くクリーニングできる。
なお、基板Pの交換処理において下面14の所定領域にパルス光を照射する場合、例えば、第1の基板の露光終了後、第2の基板の露光開始前に、下面14の所定領域の第1部分にパルス光を照射し、第2の基板の露光終了後、第3の基板の露光開始前に、第1部分と異なる所定領域の第2部分にパルス光を照射してもよい。こうすることにより、ある基板Pの露光終了後、次の基板の露光開始までの時間が短い場合でも、所定領域の全てにパルス光を照射することができる。このように、所定時間間隔毎にパルス光の照射を実行する場合、その照射動作毎に、パルス光の照射位置を変えてもよい。
なお、上述の実施形態においては、射出部52が計測ステージ3に配置され、液浸部材7と計測ステージ3との間に形成された液浸空間LSの液体LQを介して液浸部材7にパルス光を照射することしたが、射出部52が基板ステージ2の上面2Uに配置されてもよい。また、液浸部材7と基板ステージ2との間に形成された液浸空間LSの液体LQを介して、基板ステージ2に設けられた射出部52からパルス光を射出して、液浸部材7に照射してもよい。
なお、上述の実施形態においては、液浸空間LSの液体LQを介して液浸部材7にパルス光を照射することとしたが、液浸空間LSを形成しないで、液浸部材7にパルス光を照射してもよい。例えば、液浸部材7の下面14と気体とを接触させた状態でその下面14にパルス光を照射しても、下面14に付着している異物を除去することができる。
さらに、下面14の周辺に、下面14から除去した異物を回収する異物回収装置を設けても構わない。例えば、静電気の力により、異物を異物回収装置に回収する。例えば、異物のゼータ電位がプラスの場合、電極をマイナスに帯電することによって、異物を効率良く回収することができる。また、異物に電位を与えても構わない。例えば、下面14にプラスの電位を与え、異物にプラスの電位を与え、異物を帯電させることで、下面14から除去した異物をマイナスの電極に効率良く回収することができる。もちろん、異物のゼータ電位に応じて、異物回収装置の電極の電位を調整しても構わない。異物回収装置としては、静電気を使用するものに限られない。例えば、異物回収装置は、粘着性の交換可能なフィルムでも構わない。
なお、上述の各実施形態においては、露光装置EX内の液浸部材7をクリーニングする場合を例にして説明したが、例えば基板ステージ2の少なくとも一部、及び計測ステージ3の少なくとも一部にパルス光を照射してもよい。例えば露光シーケンスにおいて液体LQと接触する基板ステージ2の上面2U、及び計測ステージ3の上面3Uの少なくとも一方にパルス光を照射することによって、露光不良の発生を抑制することができる。また、基板ステージ2及び計測ステージ3のみならず、液体LQと接触する露光装置EX内の各種の部材をクリーニングすることができる。
なお、上述の各実施形態においては、露光装置EX内の液浸部材7にパルス光を照射し、熱エネルギーによって付着している異物を溶融又は気化させたが、パルス光を照射し、熱エネルギーによって付着している液体を溶融又は気化させても構わない。
また、液体LQと接触しない部材をクリーニングすることもできる。また、例えば、米国特許出願公開第2007/0288121号明細書等に開示されているような、基板ステージ(計測ステージ)の上面と対向する位置に配置され、基板ステージの上面に設けられているスケールを計測して、その基板ステージの位置を検出するエンコーダシステム(エンコーダヘッド)の少なくとも一部にパルス光を照射して、そのエンコーダシステムの少なくとも一部をクリーニングしてもよい。
また、米国特許出願公開第2006/0227309号明細書に開示されているような、基板ステージの上面と対向する位置に配置され、基板ステージに設けられているエンコーダヘッドによって計測されるグリッド板(スケール板)の少なくとも一部にパルス光を照射して、そのグリッド板の少なくとも一部をクリーニングしてもよい。
なお、上述の実施形態においては、基板Pの露光処理において、投影光学系PLの終端光学素子12の射出側(像面側)の光路が液体LQで満たされているが、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子12の入射側(物体面側)の光路も液体で満たされる投影光学系を採用することもできる。なお、終端光学素子12の入射側の光路に満たされる液体は、液体LQと同じ種類の液体でもよいし、異なる種類の液体でもよい。
なお、上述の各実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることも可能である。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば対応米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
また、上述の各実施形態では、露光光ELとしてArFエキシマレーザ光を発生する光源装置として、ArFエキシマレーザを用いてもよいが、例えば、米国特許第7023610号明細書に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザなどの固体レーザ光源、ファイバーアンプなどを有する光増幅部、及び波長変換部などを含み、波長193nmのパルス光を出力する高調波発生装置を用いてもよい。さらに、上記実施形態では、前述の各照明領域と、投影領域がそれぞれ矩形状であるものとしたが、他の形状、例えば円弧状などでもよい。
なお、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。可変成形マスクは、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)等を含む。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。自発光型画像表示素子としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等が挙げられる。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
以上のように、本実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図9に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
2…基板ステージ、3…計測ステージ、7…液浸部材、8…制御装置、15…供給口、16…回収口、50…クリーニング装置、51…照射装置、52…射出部、53…光源、54…光学系、80…カメラ、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、P…基板
Claims (19)
- 液体を介して露光光で基板を露光する露光装置内の所定部材をクリーニングするクリーニング装置であって、
前記所定部材にパルス光を照射して、前記所定部材の異物を溶融又は気化させて、前記所定部材から前記異物を除去する照射装置を備えるクリーニング装置。 - 前記所定部材は、前記液体と接触する部材を含む請求項1記載のクリーニング装置。
- 前記所定部材は、前記基板との間で液体を保持して前記露光光の光路が前記液体で満たされるように液浸空間を形成可能である請求項2記載のクリーニング装置。
- 前記照射装置は、前記所定部材の表面と液体とが接触している状態で、前記所定部材の表面に前記パルス光を照射する請求項1〜3のいずれか一項記載のクリーニング装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載のクリーニング装置を備える露光装置。
- 前記所定部材に対して移動可能な可動部材を備え、
前記パルス光を射出する前記照射装置の射出部は、前記可動部材に配置されている請求項5記載の露光装置。 - 前記照射装置は、少なくとも一部が前記可動部材に配置され、供給されたパルス光を前記射出部に導く光学系と、
前記可動部材と離れた位置に配置され、前記パルス光を射出して、前記光学系に供給する光源とを含む請求項6記載の露光装置。 - 前記異物の位置を検出可能な検出装置と、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記可動部材を制御する制御装置とを備える請求項6又は7記載の露光装置。 - 前記所定部材は、前記基板の露光の少なくとも一部において、前記液体と接触する部材を含む請求項5〜8のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記基板との間で前記液体を保持して前記露光光の光路が前記液体で満たされるように液浸空間を形成可能な液浸部材を備え、
前記所定部材は、前記液浸部材を含む請求項9記載の露光装置。 - 前記露光光が照射可能な位置に移動可能なステージを備え、
前記液浸部材は、前記ステージとの間で前記液浸空間を形成可能であり、
前記照射装置は、前記液浸空間の液体を介して、前記液浸部材に前記パルス光を照射する請求項10記載の露光装置。 - 前記液浸空間を形成するための液体を供給する供給口と、
前記液体を回収する回収口とを備える請求項11記載の露光装置。 - 前記供給口による前記液体の供給動作と並行して前記回収口による前記液体の回収動作を実行しながら、前記液浸部材に前記パルス光が照射される請求項12記載の露光装置。
- 前記ステージは、前記基板を保持する請求項11〜13のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記ステージは、前記露光光を計測する計測器を搭載する請求項11〜14のいずれか一項記載の露光装置。
- 請求項5〜15のいずれか一項記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、
を含むデバイス製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項記載のクリーニング装置を用いて、前記所定部材の少なくとも一部をクリーニングすること、
を含むクリーニング方法。 - 液体を介して露光光で基板を露光する露光装置内の所定部材をクリーニングするクリーニング方法であって、
前記所定部材にパルス光を照射して、前記所定部材の異物を溶融又は気化させて、前記所定部材から前記異物を除去すること、
を含むクリーニング方法。 - 請求項17又は18記載のクリーニング方法で前記所定部材の少なくとも一部をクリーニングすることと、
前記基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、
を含むデバイス製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009117928A JP2010267809A (ja) | 2009-05-14 | 2009-05-14 | クリーニング装置、クリーニング方法、露光装置、及びデバイス製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2458337A2 (en) | 2010-11-30 | 2012-05-30 | Aisin AW Co., Ltd. | Guiding apparatus, guiding method, guiding program, and storage medium |
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2009
- 2009-05-14 JP JP2009117928A patent/JP2010267809A/ja active Pending
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