JP2010255700A - 車両用ベルト式無段変速機の溝幅可変プーリ - Google Patents

車両用ベルト式無段変速機の溝幅可変プーリ Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性低下が抑制された車両用ベルト式無段変速機の溝幅可変プーリを提供する。
【解決手段】可動シーブ58のスラスト荷重を受けるナット64の座面108が、そのナット64の可動シーブ58側の一端面よりも他端面側に設けられ、その一端面の軸心C1方向の可動シーブ58側には所定の隙間が形成されていることから、可動シーブ58のスラスト荷重は、ナット64の一端面には入力されずにその一端面よりも他端面側に設けられた座面108を介してナット64に入力され、そのナット64に入力されたスラスト荷重は、ナット64に形成されたねじ山に対応する回転軸部56aのねじ底全体に分散して負荷されるので、回転軸部56aでの応力集中が抑制されてプライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46(溝幅可変プーリ)の耐久性低下が抑制される。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両用ベルト式無段変速機の溝幅可変プーリに係り、特に、その溝幅可変プーリの耐久性低下を抑制するための技術に関するものである。
少なくとも一端部に設けられた軸受により回転可能に支持された回転軸部とその回転軸部の外周面から径方向へ突設された円板状の第1鍔部とを有する固定シーブと、前記回転軸部の一端部側に相対回転不能且つ軸心方向の移動可能に設けられた円筒部とその円筒部の前記第1鍔部側の一端部から径方向へ突設された円板状の第2鍔部とを有する可動シーブと、その可動シーブと前記軸受との間において油圧室を形成するためにその軸受に隣接して設けられたシリンダ部材を有し、その油圧室に供給される油圧に応じて前記可動シーブを軸心方向に移動させることにより前記第1鍔部と第2鍔部との間に形成される溝の溝幅を変化させるアクチュエータと、前記軸受およびシリンダ部材の前記回転軸部からの抜け止めのためにその回転軸部の一端部の先端に締着されたナットとを備え、前記可動シーブのスラスト荷重を前記軸受およびシリンダ部材を介して前記ナットが受ける形式の車両用ベルト式無段変速機の溝幅可変プーリが知られている。例えば、特許文献1に記載されたものがそれである。
ここで、上記可動シーブのスラスト荷重をナットが受けるとは、具体的には、例えば、車両用ベルト式無段変速機の変速比が最大変速比に設定されるときに、前記溝幅可変プーリの溝幅を最大とするために前記可動シーブが前記固定シーブの第1鍔部から最も離れる位置に移動させられる場合において、上記可動シーブの円筒部が前記シリンダ部材に直接的或いは間接的に当接することにより、可変シーブのスラスト荷重がシリンダ部材および軸受を介してナットに負荷されることである。
特開平10−196749号公報
ところで、従来の溝幅可変プーリでは、前記ナットの可動シーブ側の一端面が前記軸受に当接する座面に相当しており、その一端面を介して前記可動シーブのスラスト荷重がナットに入力されるように構成されている。そのため、上記一端面の軸心方向位置に対応する回転軸部のねじ底に応力が集中して、その回転軸部の耐久性が低下するという問題があった。
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、耐久性低下が抑制された車両用ベルト式無段変速機の溝幅可変プーリを提供することにある。
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(1)少なくとも一端部に設けられた軸受により回転可能に支持された回転軸部とその回転軸部の外周面から径方向へ突設された円板状の第1鍔部とを有する固定シーブと、前記回転軸部の一端部側に相対回転不能且つ軸心方向の移動可能に設けられた円筒部とその円筒部の前記第1鍔部側の一端部から径方向へ突設された円板状の第2鍔部とを有する可動シーブと、その可動シーブと前記軸受との間において油圧室を形成するためにその軸受に隣接して設けられたシリンダ部材を有し、その油圧室に供給される油圧に応じて前記可動シーブを軸心方向に移動させることにより前記第1鍔部と第2鍔部との間に形成される溝の溝幅を変化させるアクチュエータと、前記軸受およびシリンダ部材の前記回転軸部からの抜け止めのためにその回転軸部の一端部の先端に締着されたナットとを備え、前記可動シーブのスラスト荷重を前記軸受およびシリンダ部材を介して前記ナットが受ける形式の車両用ベルト式無段変速機の溝幅可変プーリであって、(2)前記ナットの前記可動シーブのスラスト荷重を受ける座面が、そのナットの前記可動シーブ側の一端面よりも他端面側に設けられ、その一端面の軸心方向の前記可動シーブ側には所定の隙間が形成されていることにある。
請求項1にかかる発明の車両用ベルト式無段変速機の溝幅可変プーリによれば、前記ナットの前記可動シーブのスラスト荷重を受ける座面が、そのナットの前記可動シーブ側の一端面よりも他端面側に設けられ、その一端面の軸心方向の前記可動シーブ側には所定の隙間が形成されていることから、可動シーブのスラスト荷重は、ナットの可変シーブ側の一端面には入力されずにその一端面よりも他端面側に設けられた座面を介してナットに入力され、そのナットに入力されたスラスト荷重は、ナットに形成されたねじ山に対応する回転軸部のねじ底全体に分散して負荷されるので、回転軸部の耐久性低下が抑制されて溝幅可変プーリの耐久性低下が抑制される。
ここで、好適には、前記ナットは、前記可動シーブ側が小径となるように段付円筒状に形成され、前記座面は、その段付円筒状に形成されたナットの段付部端面に設けられる。このようにすれば、可動シーブのスラスト荷重を受ける座面が、ナットの可動シーブ側の一端面よりも他端面側に設けられ得る。そして、可動シーブのスラスト荷重は、ナットの可変シーブ側の一端面には入力されずにその一端面よりも他端面側に設けられた段付端面を介してナットに入力され、そのナットに入力されたスラスト荷重は、ナットに形成されたねじ山に対応する回転軸部のねじ底全体に分散して負荷されるので、回転軸部の耐久性低下が抑制されて溝幅可変プーリの耐久性低下が抑制される。
また、好適には、前記シリンダ部材は、円環板状に形成された底部の内周面が前記固定シーブの回転軸部に嵌合されて前記可動シーブ側に開口する有底円筒状部材である。そして、上記シリンダ部材の底部には、その底部の内周部から前記ナット側に向かって軸心方向に突き出して前記固定シーブの回転軸部と同心に設けられた内側円筒部が備えられており、前記軸受は、その内側円筒部の外周面に嵌め着けられている。このようにすれば、軸受と固定シーブおよびシリンダ部材とを同心に設けることができる。すなわち、軸受の芯出しがシリンダ部材への組付けと同時にできる。
図1は、本発明が好適に適用された車両用動力伝達装置の骨子図である。 図1の車両用動力伝達装置の一部すなわちベルト式無段変速機を含む一部の構成を説明するための要部断面図である。 図2に示すプライマリプーリおよびそれを回転可能に支持する軸受だけを単独で示す断面図である。 従来のプライマリプーリを示す断面図であって、本実施例の図3に対応する図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用された車両用動力伝達装置10の骨子図である。図1において、車両用動力伝達装置10は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)形式の車両に好適に採用されるものであり、駆動力源としてガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関により構成されるエンジン12を備えている。このエンジン12の出力は、トルクコンバータ14、前後進切換装置16、車両用ベルト式無段変速機(CVT)18、および減速歯車装置20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rに分配される。
上記トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14pと、タービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tと、一方向クラッチを介して非回転部材としての例えばトランスミッションケース26に固定されたステータ翼車14sとを備えており、上記ポンプ翼車14pとタービン翼車14tとの間で流体を介して動力伝達を行う流体式伝動装置である。上記ポンプ翼車14pには、ベルト式無段変速機18を変速制御したりベルト狭圧力を発生させたり、或いは各部に潤滑油を供給したりするための油圧を発生させる機械式のオイルポンプ28が設けられている。
前記前後進切換装置16は、トルクコンバータ14のタービン軸34に動力伝達可能に連結されたサンギヤ16sと、ベルト式無段変速機18の入力軸としての後述の固定シーブ56に動力伝達可能に連結され且つタービン軸34に前進用クラッチC1を介して選択的に動力伝達可能に連結されるキャリヤ16cと、トランスミッションケース26に後進用ブレーキB1を介して選択的に動力伝達可能に連結されるリングギヤ16rとを備えるダブルピニオン型の遊星歯車装置を主体として構成されている。上記前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。この前後進切換装置16では、前進用クラッチC1が係合されると共に後進用ブレーキB1が解放されることにより上記遊星歯車装置が一体回転状態とされて前進用動力伝達経路が成立して、前進方向の駆動力がベルト式無段変速機18へ伝達される一方、後進用ブレーキB1が係合させられると共に前進用クラッチC1が解放されることにより、ベルト式無段変速機18の固定シーブ56がタービン軸34に対して逆方向に回転させられる後進用動力伝達経路が成立して、後進方向の駆動力がベルト式無段変速機18へ伝達される。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放されることにより、動力伝達を遮断するニュートラル(遮断状態)状態になる。
図2は、図1の車両用動力伝達装置10の一部すなわちベルト式無段変速機18を含む一部の構成を説明するための要部断面図である。図1および図2において、ベルト式無段変速機18は、第1軸心C1まわりに回転可能に設けられた溝幅が可変であるプライマリプーリ(溝幅可変プーリ)42と、上記第1軸心C1と平行な第2軸心C2まわりに回転可能に設けられた溝幅が可変であるセカンダリプーリ(溝幅可変プーリ)46と、それらプライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46に巻き掛けられてそれら両プーリとの間の摩擦力により動力伝達を行う伝動ベルト48とを備えている。上記プライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46は、互いに平行な軸心C1およびC2まわりに回転可能に設けられた固定シーブ56および57と、それら固定シーブ56および57に対して相対回転不能且つ軸心方向の相対移動可能に設けられた可動シーブ58および59と、固定シーブ56と可動シーブ58との間および固定シーブ57と可動シーブ59との間に形成されるV字状のV溝の溝幅を変更するために可動シーブ58および59に推力を付与する油圧アクチュエータ60および61とを備えて構成されている。上記固定シーブ56はベルト式無段変速機18の入力軸として機能するものであり、また、固定シーブ57はベルト式無段変速機18の出力軸として機能するものである。
ベルト式無段変速機18では、それらプライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46の溝幅をそれぞれ変化させて伝動ベルト48の掛かり径(有効径)を変化させることにより、プライマリプーリ42とセカンダリプーリ46との回転速度比を連続的に変化させるようになっている。具体的には、油圧アクチュエータ60へ供給されるプライマリ油圧P1が油圧制御装置62によって調圧制御されることによって、プライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46のV溝の溝幅がそれぞれ連続的に変化させられて変速比が連続的に変化させられるようになっている。また、油圧アクチュエータ61に供給されるセカンダリ油圧P2が油圧制御装置62によって調圧制御されることにより、伝動ベルト48が滑りを生じないようにベルト挟圧力が制御されるようになっている。図2において、実線で示す伝動ベルト48が、その伝動ベルト48のプライマリプーリ42での掛かり径が最小値となり且つセカンダリプーリ46での掛かり径が最大値となって、ベルト式無段変速機18の変速比が最大変速比とされた状態を示している。また、1点鎖線で示す伝動ベルト48が、その伝動ベルト48のプライマリプーリ42での掛かり径が最大値となり且つセカンダリプーリ46での掛かり径が最小値となって、ベルト式無段変速機18の変速比が最小変速比とされた状態を示している。
なお、上記プライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46は、プライマリプーリ42の油圧アクチュエータ60がダブルピストン型であるのに対してセカンダリプーリ46の油圧アクチュエータ61がシングルピストン型であること、およびセカンダリプーリ46の油圧アクチュエータ61には、可動シーブ59を常に固定シーブ57側に付勢するコイル状のスプリング63が設けられているのに対してプライマリプーリ42の油圧アクチュエータ60には上記スプリング63が設けられていないこと以外は、構造が略同じ溝幅可変プーリである。以下では、上記プライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46を代表して、プライマリプーリ42に関して詳しく説明する。
図3は、図2に示すプライマリプーリ42およびそれを回転可能に支持する軸受53および54だけを単独で示す断面図である。図3において、前記プライマリプーリ42は、軸受52および軸受54により回転可能に支持された固定シーブ56と、その固定シーブ56に相対回転不能且つ軸心C1方向の移動可能に設けられた可動シーブ58と、供給される油圧に応じて可動シーブ58を軸心C1方向に移動させることにより固定シーブ56と可動シーブ58との間に形成されるV字状のV溝の溝幅を変化させる油圧アクチュエータ60と、軸受52の抜け止めおよび油圧アクチュエータ60の固定のために固定シーブ56の先端に締着されたナット64とを備えて構成されている。
上記固定シーブ56は、一端部および他端部に設けられた軸受52および軸受54により回転可能に支持された回転軸部56aと、その回転軸部56aの外周面から周方向に連続して径方向へ突設された円錐板状の第1鍔部56bとを有している。上記回転軸部56aは、図2に示すように、その回転軸部56aの他端部に前後進切換装置16のキャリヤ16cが例えばスプライン嵌合されることによってそのキャリヤ16cと同心に且つ動力伝達可能に連結されており、図1に示すエンジン12の駆動力がトルクコンバータ14および前後進切換装置16を介して伝達されることにより回転駆動されるようになっている。また、回転軸部56aの一端部は、先端側ほど小径となるように3段の段付円筒状に形成されており、先端側から2段目に位置する段付部の外周面には、周方向の所定の間隔で軸心C1方向に平行な複数の溝66が形成されている。上記第1鍔部56bの回転軸部56aの一端部側すなわち後述の第2鍔部58b側の端面には、回転軸部56aの一端部側ほど直径が小さいテーパ状斜面68が形成されている。
前記可動シーブ58は、回転軸部56aの一端部側においてその回転軸部56aに相対回転不能且つ軸心C1方向の移動可能に嵌め合わされた円筒部58aと、その円筒部58aの第1鍔部56b側の一端部から周方向に連続して径方向へ突設された円錐板状の第2鍔部58bと、その第2鍔部58bの外周部から円筒部58aの他端部側に向けて軸心C1方向に突設された外側筒部58cとを有している。上記円筒部58bの内周面は、その円筒部58bの他端部側の内径が一端部側に比べて小さくなるように2段の段付状に形成されており、その他端部側の内周面には、前記回転軸部56aの一端部に設けられた溝66に対応して周方向の所定の間隔で軸心C1方向に平行な複数の溝70が形成されている。上記溝66内および溝70内には、それら溝66および溝70を跨ぐように複数(本実施例では3つ)のボール72が介装されている。可動シーブ58は、上記ボール72が介装されることによって、固定シーブ56に対して相対回転不能且つ軸心C1方向の移動可能とされている。上記第2鍔部58bの第1鍔部56bのテーパ状斜面64との対向面には、軸心C1方向の第1鍔部56b側に向かうほど直径が小さくなるテーパ状斜面74が形成されている。前記固定シーブ56と可動シーブ58との間に形成されるV溝とは、上記テーパ状斜面64とテーパ状斜面74との間の円環状の間隙により形成されるものである。
前記油圧アクチュエータ60は、アウタシリンダ部材(シリンダ部材)81、インナシリンダ部材(シリンダ部材)82、およびアウタピストン84により形成される第1油圧室(油圧室)86と、可動シーブ58およびインナシリンダ部材82により形成される第2油圧室(油圧室)87とに供給される油圧に応じて可動シーブ58を軸心C1方向に移動させるものである。可動シーブ58は、それら第1油圧室86および第1油圧室87の油圧に基づく押圧力によって軸心C1方向に移動させられるようになっている。図3において、軸心C1の上側に実線で示す可動シーブ58が、固定シーブ56との間に形成されるV溝が最大幅とされた状態を示しており、また、軸心C1の下上側に示す可動シーブ58が、固定シーブ56との間に形成されるV溝が最小幅とされた状態を示している。そして、図3において、実線で示す伝動ベルト48が、その伝動ベルト48の掛かり径が最小値となってベルト式無段変速機18の変速比が最大変速比とされた状態を示しており、また、1点鎖線で示す伝動ベルト48が、その伝動ベルト48の掛かり径が最大値となってベルト式無段変速機18の変速比が最小変速比とされた状態を示している。上記第1油圧室86および第1油圧室87には、回転軸部56a内に軸心C1と平行に形成された供給油路88と、その供給油路88から径方向に回転軸部56aを貫通して形成された供給油路89および90とを通って作動油が供給されるようになっている。この作動油の油圧は、図示しない電子制御装置によって制御されるリニアソレノイドバルブなどによって適宜調圧制御される。なお、本実施例のアウタシリンダ部材81およびインナシリンダ部材82が、本発明のシリンダ部材に相当し、また、第1油圧室86および第1油圧室87が、本発明の油圧室に相当するものである。
前記第1油圧室87は、可動シーブ58およびインナシリンダ部材82に囲まれて形成されている。上記インナシリンダ部材82は、回転軸部56aの一端部の先端側に形成された段付部端面91に当接する状態で内周面が回転軸部56aの一端部の外周面に嵌め合わされた円環板状の内周壁部(底部)82aと、その内周壁部82aの外周部から軸心C1方向の第2鍔部58b側に向けて突設された円筒部82bと、その円筒部82bの第2鍔部58b側の一端部から周方向に連続して径方向の外側に突設された円環板状の外周壁部82cとを有する有底円筒状部材である。このインナシリンダ部材82は、段付部端面91とアウタシリンダ部材81との間に挟まれることで軸心C1方向の移動が阻止されている。上記外周壁部82cの外周面は、可動シーブの外側筒部58cの内周面に摺動可能とされ、その外周面には円環状のオイルシール92が設けられている。これにより、第1油圧室87内は油密に保たれている。なお、第1油圧室87には、作動油が供給油路88から供給油路89および90と可動シーブ58の円筒部58bを径方向に貫通する第2供給油路100とを通って供給されるようになっている。
前記第1油圧室86は、アウタシリンダ部材81とインナシリンダ部材82とアウタピストン84とに囲まれて形成されている。上記アウタシリンダ部材81は、インナシリンダ部材82の内周壁部82aの可動シーブ58とは反対側に当接する状態で内周面が回転軸部56aの一端部の外周面に嵌め合わされた円環板状の壁部(底部)81aと、その壁部82aの外周部から軸心C1方向の第2鍔部58b側に向けて突設された円筒部81bと、壁部82aの内周部から軸心C1方向のインナシリンダ部材82とは反対側に向けて突設されて回転軸受56aおよび軸心C1と同心に設けられた内側円筒部81cとを有する有底円筒状部材である。上記内側円筒部81cの外周面には、軸受52が嵌め着けられており、これにより、軸受52は、回転軸受56aおよび軸心C1と同心に設けられている。アウタシリンダ部材81は、インナシリンダ部材82と軸受52との間に挟まれることで軸心C1方向の移動が阻止されている。
上記アウタピストン84は、アウタシリンダ部材81の円筒部81bの内周面とインナシリンダ部材82の円筒部82bの外周面との間に軸心C1方向の摺動可能に嵌め入れられた円環板状部材である。このアウタピストン84は、可動シーブ58の外側筒部58cの先端面に当接可能となっている。また、アウタピストン84の外周面および内周面には、円環状のオイルシール102および104が設けられている。これにより、第1油圧室86内は油密に保たれている。
第1油圧室86には、作動油が第1油圧室87からインナシリンダ部材82に貫設された第1供給油路106を通して供給されるようになっている。アウタピストン84は、第1油圧室86に供給される油圧に応じて軸心C1方向に移動して可動シーブ58の外側筒部58cを押すことで、その可動シーブ58に第1鍔部56b側に向かう推力を与えることができるようになっている。なお、アウタピストン84とインナシリンダ82との間に形成される空間は、図示しない連通孔を介して大気に連通させられた大気圧室107を形成している。
油圧アクチュエータ60では、第1油圧室87および第1油圧室86に作動油が供給されることにより、その作動油の油圧に応じて可動シーブ58を固定シーブ56の第1鍔部56bに対して接近或いは離間させる方向へ移動させるようになっている。本実施例では、可動シーブ58は、図3に示すように、円筒部58bの内周面の段付部端面が回転軸部56aの一端部の第1鍔部56b側に形成された段付部端面に当接することにより、第1鍔部56bに接近する側への移動が阻止されるようになっており、また、円筒部58bの他端面がインナシリンダ部材82に当接することにより、第1鍔部56bから離間する側への移動が阻止されるようになっている。
前記ナット64は、固定シーブ56の回転軸部56aの一端部の先端に形成された雄ねじ部に螺合されており、軸受52の内輪、アウタシリンダ部材81、およびインナシリンダ部材82を、軸受52の内輪と係合された座面108と段付部端面91との間で挟圧している。ここで、本実施例のプライマリプーリ42は、図2および図3において軸心C1の上側に示すように、可動シーブ58の円筒部58aの他端面がインナシリンダ部材82に当接された状態において、可動シーブ58のスラスト荷重をインナシリンダ部材82、アウタシリンダ部材81、および軸受52の内輪を介してナット64の座面108で受ける形式のものである。本実施例では、上記可動シーブ58のスラスト荷重を受けるナット64の座面108が、そのナット64の可動シーブ58側すなわち段付部端面91側の一端面よりも他端面側に設けられており、上記一端面の可動シーブ58側すなわちその一端面とアウタシリンダ部材81との間には、所定の隙間が形成されている。
具体的には、本実施例のナット64は、可動シーブ58側すなわち段付部端面91側が小径となるように2段の段付円筒状に形成されており、上記座面108は、その段付円筒状に形成されたナット64の外周部の段付部端面に設けられている。そして、ナット64の小径部108の外径は、アウタシリンダ部材81の内側円筒部81cの外径および軸受52の内輪の内径に比べて小さく形成され、大径部110の外径は、軸受52の内輪の内径に比べて大きく形成されている。そして、ナット64の小径部の軸心C1方向の長さは、軸受52の内輪の軸心C1方向長さに比較して小さくされ、アウタシリンダ部材81の内側円筒部81cの軸心C1方向長さは、軸受52の内輪の軸心C1方向長さに比較して小さくされ、さらに、上記ナット64の小径部の軸心C1方向長さとアウタシリンダ部材81の内側円筒部81cの軸心C1方向長さとの合計は、軸受52の内輪の軸心C1方向長さに比較して小さくされている。これにより、前述のように、ナット64とアウタシリンダ部材81との間には所定の隙間が形成される。
以上のように構成されて本発明の溝幅可変プーリとして機能する本実施例のプライマリプーリ42では、図2および図3において軸心C1の上側に示すように、可動シーブ58の円筒部58aの他端面がインナシリンダ部材82に当接された状態において、可動シーブ58のスラスト荷重をインナシリンダ部材82、アウタシリンダ部材81、および軸受52の内輪を介してナット64の座面108が受けるようになっている。そして、座面108を介してナット64に入力されたスラスト荷重は、ナット64の内周面に形成されたねじ山に対応する回転軸部56aのねじ底全体に分散して負荷される。上記のようにインナシリンダ部材82、アウタシリンダ部材81、および軸受52の内輪を介して入力される荷重をナット64の一端面よりも他端面側で受けるようにすることで、例えば、上記荷重をナット64の一端面で受ける場合にその荷重が上記一端面に対応する回転軸部56aのねじ底に集中して負荷されることすなわち回転軸部56aのねじ底への応力集中が防止されるようになっている。
因みに、図4は、従来のプライマリプーリを示す断面図であって、本実施例の図3に対応する図である。図4に示すように、従来では、可動シーブ58のスラスト荷重を受けるナット64の座面108が、そのナット64の一端面に形成されている。これにより、インナシリンダ部材82、アウタシリンダ部材81、および軸受52の内輪を介してナット64の座面108が受けた荷重が、座面108に対応する回転軸部56aのねじ底に集中して負荷されるようになっている。
また、本実施例と従来とでナット64の軸心C1方向の長さは同じであるが、本実施例のナット64の座面108がそのナット64の一端面より他端面側に設けられているため、従来のプライマリプーリの全長L’よりも本実施例のプライマリプーリ42の全長Lが短縮されている。
上述のように、本実施例の車両用ベルト式無段変速機18のプライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46(溝幅可変プーリ)によれば、可動シーブ58のスラスト荷重を受けるナット64の座面108が、そのナット64の可動シーブ58側の一端面よりも他端面側に設けられ、その一端面の軸心C1方向の可動シーブ58側には所定の隙間が形成されていることから、可動シーブ58のスラスト荷重は、ナット64の一端面には入力されずにその一端面よりも他端面側に設けられた座面108を介してナット64に入力され、そのナット64に入力されたスラスト荷重は、ナット64に形成されたねじ山に対応する回転軸部56aのねじ底全体に分散して負荷されるので、回転軸部56aでの応力集中が抑制されてプライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46の耐久性低下が抑制される。
また、本実施例の車両用ベルト式無段変速機18のプライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46によれば、ナット64は、可動シーブ58側が小径となるように段付円筒状に形成され、座面108は、上記段付円筒状に形成されたナット64の段付部端面に設けられる。このようにすれば、可動シーブ58のスラスト荷重を受ける座面108が、ナット64の可動シーブ58側の一端面よりも他端面側に設けられ得る。
また、本実施例の車両用ベルト式無段変速機18のプライマリプーリ42およびセカンダリプーリ46によれば、アウタシリンダ部材(シリンダ部材)81は、内周面が回転軸部56aの一端部の外周面に嵌め合わされた円環板状の壁部(底部)81aと、その壁部81aの内周部からナット64側に向かって軸心C1方向に突き出すとともに固定シーブ56の回転軸部56aと同心に設けられた内側円筒部81cとを有する有底円筒状部材であり、軸受52は、上記内側円筒部81cの外周面に嵌め着けられていることから、軸受52と固定シーブ56とを同心に設けることができる。すなわち、軸受52の芯出しがアウタシリンダ部材81への組付けと同時にできる。
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
たとえば、前述の実施例において、本発明は、車両用ベルト式無段変速機18のプライマリプーリ42だけでなく、セカンダリプーリ46にも適用できる。要するに、ベルト式無段変速機に設けられた溝幅可変プーリであれば、本発明が好適に適用され得る。
また、前述の実施例において、油圧アクチュエータ60は、ダブルピストン型のものであったが、これに限らず、例えばシングルピストン型、または3つ以上のピストンを備えるものであってもよい。
また、前述の実施例において、アウタシリンダ部材81は、内側円筒部81cを備え、軸受52は、その内側円筒部81cの外周面に嵌め着けられていたが、これに限らず、例えば、軸受52の内輪から回転軸部56aに向けて突設された円環状部が内側円筒部81cの外周面に嵌め着けられてもよいし、軸受52やアウタシリンダ部材81とは別の環状部材が内側円筒部81cの外周面に嵌め着けられ、その環状部材の外周面に軸受52が嵌め着けられてもよい等、種々の態様が可能である。
また、前述に実施例において、車両用動力伝達装置10の構成は、その一例が示されたものであって、その他の機械的構成のものであってもよい。例えば、駆動力源としてエンジン12だけでなく電動機を備えたものであってもよい。また、FF形式に限らず、例えばFR形式等のその他の駆動形式のものであってもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
18:ベルト式無段変速機(CVT)
42:プライマリプーリ(溝幅可変プーリ)
46:セカンダリプーリ(溝幅可変プーリ)
48:伝動ベルト
52:軸受
54:軸受
56,57:固定シーブ
56a:回転軸部
56b:第1鍔部
58,59:可動シーブ
58a:円筒部
58b:第2鍔部
60,61:油圧アクチュエータ
64:ナット
81:アウタシリンダ部材(シリンダ部材)
82:インナシリンダ部材(シリンダ部材)
86:第1油圧室(油圧室)
87:第2油圧室(油圧室)
108:座面

Claims (1)

  1. 少なくとも一端部に設けられた軸受により回転可能に支持された回転軸部と該回転軸部の外周面から径方向へ突設された円板状の第1鍔部とを有する固定シーブと、前記回転軸部の一端部側に相対回転不能且つ軸心方向の移動可能に設けられた円筒部と該円筒部の前記第1鍔部側の一端部から径方向へ突設された円板状の第2鍔部とを有する可動シーブと、該可動シーブと前記軸受との間において油圧室を形成するために該軸受に隣接して設けられたシリンダ部材を有し、該油圧室に供給される油圧に応じて該可動シーブを軸心方向に移動させることにより前記第1鍔部と第2鍔部との間に形成される溝の溝幅を変化させる油圧アクチュエータと、前記軸受およびシリンダ部材の前記回転軸部からの抜け止めのために該回転軸部の一端部の先端に締着されたナットとを備え、前記可動シーブのスラスト荷重を該軸受およびシリンダ部材を介して該ナットが受ける形式の車両用ベルト式無段変速機の溝幅可変プーリであって、
    前記ナットの前記可動シーブのスラスト荷重を受ける座面が、該ナットの前記可動シーブ側の一端面よりも他端面側に設けられ、該一端面の軸心方向の前記可動シーブ側には所定の隙間が形成されていることを特徴とする車両用ベルト式無段変速機の溝幅可変プーリ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018179222A (ja) * 2017-04-18 2018-11-15 トヨタ自動車株式会社 車両用無段変速機

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