JP2010007737A - ベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機 - Google Patents

ベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動力の伝達効率の低下を抑制することができるベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】プーリ軸21と、固定シーブ22と、固定シーブ22との間に設けられるベルト4にベルト挟圧力を作用させる可動シーブ23とを備え、プーリ軸21に形成され可動シーブ23から離間するにしたがって深さが浅くなる傾斜部29cが設けられた溝部29aと、溝部29aに設けられ固定シーブ22のベルト4が設けられる側とは反対側の面22cに接触可能であると共に傾斜部29cと接触可能である接触部材29bとを有し、接触部材29bが固定シーブ22と傾斜部29cとに接触することで固定シーブ22の可動シーブ23から離間する側への移動を規制する規制手段29とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、ベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機に関するものである。
一般に、車両には、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動源の出力側に変速機が設けられている。この変速機には、変速比を無段階(連続的)に制御する無段変速機と、変速比を段階的(不連続)に制御する有段変速機とがある。ここで、このような無段変速機、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)には、プライマリプーリとセカンダリプーリに巻き掛けられたベルトを介して、プライマリプーリからセカンダリプーリに駆動力を伝達する、いわゆる、ベルト式無段変速機がある。
このような従来のベルト式無段変速機として、例えば、特許文献1に記載されているベルト式無段変速機のプライマリプーリおよびセカンダリプーリは、プーリ軸と、プーリ軸に固定される固定シーブと、プーリ軸に対して軸方向に移動自在に支持された可動シーブとにより構成されている。つまり、ベルト式無段変速機の2つのプーリは、2つのベルト式無段変速機用シーブをそれぞれ備えることとなる。ベルトは、固定シーブと可動シーブとの間で形成されるV字形状の溝に巻き掛けられている。ここで、ベルト式無段変速機は、例えば挟圧力発生油圧室であるプライマリ油圧室、セカンダリ油圧室の作動油の油圧により可動シーブを固定シーブ側に押圧することで、ベルトに対してベルト挟圧力を発生させ、ベルトと固定シーブおよび可動シーブとの間に発生する滑りを抑制して駆動力をプライマリプーリからセカンダリプーリに伝達するものである。
特開2007−192375号公報
ところで、上述のような特許文献1に記載されているベルト式無段変速機のプーリでは、例えば、固定シーブとプーリ軸とを別体の構造にした場合に、ベルトから固定シーブにベルト反力が推力として作用し固定シーブが可動シーブから離間する側に若干倒れることで、駆動力の伝達効率が低下するおそれがあった。
そこで本発明は、駆動力の伝達効率の低下を抑制することができるベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明によるベルト式無段変速機のプーリは、プーリ軸と、前記プーリ軸とは別体に形成されると共に、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる固定シーブと、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられ、かつ、前記プーリ軸の軸方向に沿って前記固定シーブに対して相対的に移動することで、前記固定シーブとの間に設けられるベルトにベルト挟圧力を作用させる可動シーブと、前記プーリ軸に形成され前記可動シーブから離間するにしたがって深さが浅くなる傾斜部が設けられた溝部と、前記溝部に設けられ前記固定シーブの前記ベルトが設けられる側とは反対側の面に接触可能であると共に前記傾斜部と接触可能である接触部材とを有し、前記接触部材が前記固定シーブと前記傾斜部とに接触することで前記固定シーブの前記可動シーブから離間する側への移動を規制する規制手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明によるベルト式無段変速機のプーリでは、前記可動シーブは、内周面に形成された軸方向のシーブ側スプライン溝と、前記プーリ軸の外周面に形成された軸方向の軸側スプライン溝とがスプライン嵌合することで前記プーリ軸に移動可能に支持され、前記プーリ軸は、外周面に前記軸側スプライン溝が形成されたスプライン形成面と前記可動シーブの内周面が接触して摺動する軸側摺動面とを有すると共に、前記スプライン形成面の外径と前記軸側摺動面の外径とが同径に設定されることを特徴とする。
請求項3に係る発明によるベルト式無段変速機のプーリでは、前記固定シーブは、前記可動シーブを前記プーリ軸に移動自在に支持するスプライン部を兼用して、前記プーリ軸に固定して支持されることを特徴とする。
請求項4に係る発明によるベルト式無段変速機のプーリでは、前記傾斜部及び前記接触部材の当該傾斜部との接触部分は、曲面状に形成されることを特徴とする。
請求項5に係る発明によるベルト式無段変速機のプーリでは、前記傾斜部及び前記接触部材の当該傾斜部との接触部分は、直線テーパ状に形成されることを特徴とする。
請求項6に係る発明によるベルト式無段変速機のプーリでは、前記固定シーブは、前記ベルトが設けられる側とは反対側の面に前記プーリ軸を回転可能に支持する軸受の内輪が圧入される圧入溝部を有すること特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項7に係る発明によるベルト式無段変速機のプーリは、プーリ軸と、前記プーリ軸とは別体に形成されると共に、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる固定シーブと、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられ、かつ、前記プーリ軸の軸方向に沿って前記固定シーブに対して相対的に移動することで、前記固定シーブとの間に設けられるベルトにベルト挟圧力を作用させる可動シーブとを備え、前記固定シーブは、前記ベルトが設けられる側とは反対側の面に前記プーリ軸を回転可能に支持する軸受の内輪が圧入される圧入溝部を有することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項8に係る発明によるベルト式無段変速機は、2つのプーリと、前記各プーリに巻き掛けられ、駆動源からの駆動力を入力側の前記プーリから出力側の前記プーリに伝達するベルトとを備え、前記2つのプーリは、それぞれ、プーリ軸と、前記プーリ軸とは別体に形成されると共に前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる固定シーブと、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられ、かつ、前記プーリ軸の軸方向に沿って前記固定シーブに対して相対的に移動することで、前記固定シーブとの間に設けられるベルトにベルト挟圧力を作用させる可動シーブとを有し、少なくとも前記2つのプーリのいずれか一方は、前記プーリ軸に形成され前記可動シーブから離間するにしたがって深さが浅くなる傾斜部が設けられた溝部と、前記溝部に設けられ前記固定シーブの前記ベルトが設けられる側とは反対側の面に接触可能であると共に前記傾斜部と接触可能である接触部材とを有し、前記接触部材が前記固定シーブと前記傾斜部とに接触することで前記固定シーブの前記可動シーブから離間する側への移動を規制する規制手段を含んで構成されることを特徴とする。
本発明に係るベルト式無段変速機のプーリによれば、プーリ軸に形成され可動シーブから離間するにしたがって深さが浅くなる傾斜部が設けられた溝部と、溝部に設けられ固定シーブのベルトが設けられる側とは反対側の面に接触可能であると共に傾斜部と接触可能である接触部材とを有し、接触部材が固定シーブと傾斜部とに接触することで固定シーブの可動シーブから離間する側への移動を規制する規制手段を備えるので、固定シーブの倒れを抑制することができ、駆動力の伝達効率の低下を抑制することができる。
本発明に係るベルト式無段変速機のプーリによれば、固定シーブは、ベルトが設けられる側とは反対側の面にプーリ軸を回転可能に支持する軸受の内輪が圧入される圧入溝部を有するので、固定シーブの倒れを抑制することができ、駆動力の伝達効率の低下を抑制することができる。
本発明に係るベルト式無段変速機によれば、プーリ軸に形成され可動シーブから離間するにしたがって深さが浅くなる傾斜部が設けられた溝部と、溝部に設けられ固定シーブのベルトが設けられる側とは反対側の面に接触可能であると共に傾斜部と接触可能である接触部材とを有し、接触部材が固定シーブと傾斜部とに接触することで固定シーブの可動シーブから離間する側への移動を規制する規制手段を備えるので、固定シーブの倒れを抑制することができ、駆動力の伝達効率の低下を抑制することができる。
以下に、本発明に係るベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機の概略構成図、図2は、本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリを示す部分断面図、図3は、本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備える規制部を示す部分断面図、図4は、本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリ可動シーブの倒れ抑制を説明する模式的断面図である。なお、以下の説明では、このベルト式無段変速機が備えるプライマリプーリは、図2に示すプーリ軸の回転軸線Xを中心としてほぼ対称になるように構成されることから、この図2には、回転軸線Xを中心として一方側のみを図示し、特に断りのない限り、回転軸線Xを中心として一方側のみを説明し、他方側の説明はできるだけ省略する。
なお、以下で説明する実施形態では、本発明のベルト式無段変速機に伝達される駆動力を発生する駆動源としてエンジントルクを発生する内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータトルクを発生するモータなどの電動機を駆動源として用いてもよい。また、駆動源として内燃機関及び電動機を併用してもよい。
図1に示すように、本実施形態に係るベルト式無段変速機1は、車両に搭載される駆動源である内燃機関としてのエンジン100からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で車輪160に伝達するためにエンジン100の出力側に設けられるものである。本実施形態に係る無段変速機は、入力側部材と出力側部材との回転数比である変速比を無段階(連続的)に制御することができる、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)である。
このベルト式無段変速機1は、エンジン100からの駆動力をベルト4によって入力側部材から出力側部材に伝達可能であると共に、入力側部と出力側部との回転数比である変速比を無段階(連続的)に変更するものである。すなわち、このベルト式無段変速機1は、エンジン100からの駆動力が伝達される入力側部としてのプライマリプーリ2と、プライマリプーリ2に伝達された駆動力を変化させて出力する出力側部としてのセカンダリプーリ3と、プライマリプーリ2に伝達された駆動力をセカンダリプーリ3に伝達するベルト4とを含んで構成されるものである。さらに、このベルト式無段変速機1は、エンジン100の各部やベルト式無段変速機1の各部を制御する制御手段としての電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit、以下、特に断りのない限り「ECU5」と略記する。)5と、各部の油圧を制御する油圧制御装置6とを含んで構成される。
このベルト式無段変速機1が搭載される車両の駆動系は、トルクコンバータ110、前後進切換機構120、入力されたエンジン100の駆動力を変速比に応じて変換するベルト式無段変速機1、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ140、ドライブシャフト150を介して、エンジン100が発生するエンジントルクを車輪(駆動輪)160に伝達する。なお、図1は、ベルト式無段変速機1の変速比が最大、すなわち最大変速比における図である。
エンジン100は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等が用いられており、円筒形状に形成されるシリンダの中心軸方向にピストンが往復運動し、ピストンの往復運動を回転運動に変換するクランクシャフト101から駆動力を出力する。
トルクコンバータ110は、流体クラッチの一種であり、エンジン100から出力された駆動力を、作動媒体としての作動油を介して、あるいは、直接に前後進切換機構120に伝えるものである。トルクコンバータ110は、例えば、ロックアップ機構を有するものがあり、エンジン100からの出力トルク(駆動力)を所定のトルク比で増加させて、あるいはそのままの出力トルクで、前後進切換機構120に伝達する。
前後進切換機構120は、伝達された駆動力の車輪160、160への伝達方向を切り換えるものであり、これによりベルト式無段変速機1が搭載された車両が前進あるいは後進をする。前後進切換機構120は、例えば、遊星歯車機構と、フォワードクラッチ(摩擦クラッチ)及びリバースブレーキ(摩擦ブレーキ)などによって構成される。前後進切換機構120の遊星歯車機構(プラネタリギヤ)は、回転要素としてリングギヤと、キャリアと、サンギヤとを有しており、サンギヤとリングギヤとの間に、キャリアに自転可能に支持されると共にサンギヤ周りを公転可能なピニオンギヤを備える。前後進切換機構120により伝達方向が決定された駆動力は、ベルト式無段変速機1に伝達される。
なお、トルクコンバータ110の制御、例えばロックアップ機構のON/OFF制御及び前後進切換機構120の制御、すなわちエンジントルクの伝達方向の切換制御、例えばフォワードクラッチ、リバースブレーキのON/OFF制御は、油圧制御装置6から供給される油圧が用いられる。これらの制御を行うための油圧制御装置6の油圧制御は、ECU5により行われる。
ベルト式無段変速機1は、前後進切換機構120から後述するプライマリプーリ2のプライマリプーリ軸21に入力される駆動力の回転速度を、車両の運転状態に応じて所望の回転速度に変更して出力する。ベルト式無段変速機1で変速比に応じて回転速度が変換された駆動力は、ベルト式無段変速機1の後述するセカンダリプーリ3のセカンダリプーリ軸31を介して動力伝達機構130に伝達される。なお、ベルト式無段変速機1の詳細な説明は後述する。
動力伝達機構130は、上記セカンダリプーリ軸31と連結される図示しないリダクションドライブギヤを有し、ベルト式無段変速機1とディファレンシャルギヤ140とを連結するものである。動力伝達機構130は、ベルト式無段変速機1から入力された駆動力の回転速度を減速してディファレンシャルギヤ140に駆動力を伝達する。
ディファレンシャルギヤ140は、ドライブシャフト150、150を介して車輪(駆動輪)160、160と連結されている。ディファレンシャルギヤ140は、車両が旋回する際に生じる旋回の中心側、つまり内側の車輪160と、外側の車輪160との速度差を吸収する。
ベルト式無段変速機1は、所定の間隔を設けて平行に配置した2本のプーリ軸としてのプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31と、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31に各々配置され且つプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31上を軸線方向に摺動し得る可動シーブとしてのプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33と、この各プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33に各々対向させてプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31上に配置され且つプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33との間でプライマリ溝27、セカンダリ溝37を形成する固定シーブとしてのプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32と、対向配置したそれぞれのプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33及びプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32における各プライマリ溝27、セカンダリ溝37に巻き掛けられるベルト4とを含んで構成される。
具体的には、ベルト式無段変速機1は、一方のプーリとしてのプライマリプーリ2と、他方のプーリとしてのセカンダリプーリ3と、ベルト4と、ECU5と、油圧制御装置6とを備える。
プライマリプーリ2は、一方のプーリであり、エンジン100からの駆動力が伝達されるものである。プライマリプーリ2は、前後進切換機構120を介して伝達された駆動力をベルト4により他方のプーリであるセカンダリプーリ3に伝達するものである。言い換えれば、エンジン100(駆動源)からのエンジントルク(駆動力)が入力されるプライマリプーリ2は、ベルト式無段変速機1が備える2つのプーリのうち、入力側のプーリをなす。
プライマリプーリ2は、プーリ軸としてのプライマリプーリ軸21と、固定シーブとしてのプライマリ固定シーブ22と、可動シーブとしてのプライマリ可動シーブ23と、プライマリプーリ2にベルト挟圧力を発生させることでベルト式無段変速機1の変速比を変更するプライマリ油圧室24とにより構成されている。
プライマリプーリ軸21は、エンジン100からの駆動力が伝達(入力)されるものであり、すなわち、前後進切換機構120の回転要素に連結されている。プライマリプーリ軸21は、軸受部材25、26により長手方向に沿った回転軸線X(図2参照)を回転中心として回転可能に支持されている。また、プライマリプーリ軸21は、内部に後述する作動油通路21a(図2参照)を有している。作動油通路21aは、油圧制御装置6の油圧制御回路に接続されており、油圧制御装置6からプライマリ油圧室24に供給される作動媒体としての作動油が流入する通路である。
プライマリ固定シーブ22は、円錐板状に形成され、プライマリ可動シーブ23と対向する位置に、プライマリプーリ軸21と一体回転するように固定して設けられている。ここでは、プライマリ固定シーブ22は、プライマリプーリ軸21の外周から径方向外側に突出する環状部として、プライマリプーリ軸21とは別体に設けられている。これにより、このプライマリプーリ2は、プライマリプーリ軸21とプライマリ固定シーブ22とを別体の構造とすることで、プライマリ固定シーブ22に対して、プライマリプーリ軸21とは別体で、例えば、浸炭処理(例えば、加工性の良い低炭素鋼または低炭素合金鋼を機械加工した後、その表面層の炭素量を増加させ、表面層のみを焼入硬化する処理)などの種々の表面処理を施すことができるので、製造効率を向上し低コスト化を図ることができる。
プライマリ可動シーブ23は、円錐板状に形成され、例えば、スプライン部21b(図2参照)により、プライマリプーリ軸21に対して軸方向に移動可能で、かつ、プライマリプーリ軸21と一体回転可能に支持されている。
プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23とは、プライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23に対向する傾斜面と、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22と対向する傾斜面との間に、V字形状のプライマリ溝27を形成している。プライマリ溝27は、無端であるベルト4が巻き掛けられる。つまり、ベルト4は、プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23との間に挟み込まれるようにして設けられる。
プライマリ油圧室24は、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22と対向する傾斜面の反対側の背面23aと、プライマリプーリ軸21に固定されたプライマリシリンダ28とにより構成されている。プライマリシリンダ28は、一端側が閉端した円筒状に形成され、プライマリ可動シーブ23は、このプライマリシリンダ28の開口した他端側に配置される。プライマリ油圧室24は、このプライマリシリンダ28の内面とプライマリ可動シーブ23の背面23aとによって区画される空間部として形成される。プライマリ可動シーブ23は、プライマリシリンダ28の内部に挿入されるように設けられる。プライマリ可動シーブ23の外周面とプライマリシリンダ28の円筒部28aの内周面との間には、例えばシールリングなどのプライマリ油圧室用シール部材Sが設けられている。つまり、プライマリ油圧室24は、プライマリ可動シーブ23の外周面とプライマリシリンダ28の内周面との間でプライマリ油圧室用シール部材Sによりシールされて、このプライマリ油圧室用シール部材Sにより内部に供給される作動油が漏れないようになっている。
プライマリ油圧室24には、プライマリプーリ軸21の内部に設けられる後述の作動油通路21a(図2参照)に流入した作動油が供給される。つまり、油圧制御装置6は、プライマリ油圧室24に作動油を供給し、プライマリ油圧室24の作動油の油圧(圧力)により、プライマリ可動シーブ23を軸方向(図2に示すプライマリプーリ軸21の回転軸線Xに沿った方向)に摺動させ、プライマリ可動シーブ23をプライマリ固定シーブ22に対して接近あるいは離隔させるものである。プライマリ油圧室24は、プライマリ油圧室24に供給される作動油により、プライマリ可動シーブ23を軸方向におけるプライマリ固定シーブ22側に押圧する可動シーブ押圧力をプライマリ可動シーブ23に作用させることで、プライマリ溝27に巻き掛けられるベルト4に対するベルト挟圧力を発生させる。つまり、プライマリプーリ2は、プライマリ油圧室24の油圧によりベルト4に対してベルト挟圧力を発生させ、発生したベルト挟圧力により、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、プライマリ油圧室24は、例えばベルト式無段変速機1の変速比γを変更させる機能を有するものである。
セカンダリプーリ3は、他方のプーリであり、プライマリプーリ2に伝達(入力)された駆動力をベルト4を介して図示しないリダクションドライブギヤに伝達(出力)し、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ140、ドライブシャフト150を介して車輪160に伝達するものである。言い換えれば、プライマリプーリ2からの駆動力が出力されるセカンダリプーリ3は、ベルト式無段変速機1が備える2つのプーリのうち、出力側のプーリをなす。
セカンダリプーリ3は、プーリ軸としてのセカンダリプーリ軸31と、固定シーブとしてのセカンダリ固定シーブ32と、可動シーブとしてのセカンダリ可動シーブ33と、セカンダリプーリ3にベルト挟圧力を発生させることで、ベルト4の張力を調整するセカンダリ油圧室34とにより構成されている。
セカンダリプーリ軸31は、エンジン100からの駆動力を出力するものであり、すなわち、動力伝達機構130に連結されている。セカンダリプーリ軸31は、軸受部材35、36により長手方向に沿った回転軸線(不図示)を回転中心として回転可能に支持されている。また、セカンダリプーリ軸31は、内部に作動油通路(不図示)を有している。作動油通路は、油圧制御装置6の油圧制御回路に接続されており、油圧制御装置6からセカンダリ油圧室34に供給される作動油が流入する通路である。
上述のプライマリプーリ軸21とセカンダリプーリ軸31とは、互いにほぼ平行になるように配置されている。
セカンダリ固定シーブ32は、円錐板状に形成され、セカンダリ可動シーブ33と対向する位置に、セカンダリプーリ軸31と一体回転するように固定して設けられている。ここでは、セカンダリ固定シーブ32は、セカンダリプーリ軸31の外周から径方向外側に突出する環状部として、セカンダリプーリ軸31とは別体に設けられている。これにより、このセカンダリプーリ3は、セカンダリプーリ軸31とセカンダリ固定シーブ32とを別体の構造とすることで、セカンダリ固定シーブ32に対して、セカンダリプーリ軸31とは別体で、例えば、浸炭処理などの種々の表面処理を施すことができるので、製造効率を向上し低コスト化を図ることができる。
セカンダリ可動シーブ33は、円錐板状に形成され、例えば、スプライン部(不図示)により、セカンダリプーリ軸31に対して軸方向に移動可能で、セカンダリプーリ軸31と一体回転可能に支持されている。
セカンダリ固定シーブ32とセカンダリ可動シーブ33とは、セカンダリ固定シーブ32のセカンダリ可動シーブ33に対向する傾斜面と、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32と対向する傾斜面との間に、V字形状のセカンダリ溝37を形成している。セカンダリ溝37は、無端であるベルト4が巻き掛けられる。つまり、ベルト4は、セカンダリ固定シーブ32とセカンダリ可動シーブ33との間に挟み込まれるようにして設けられる。
セカンダリ油圧室34は、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32と対向する面と反対側の背面33aと、セカンダリプーリ軸31に固定されたセカンダリシリンダ38とにより構成されている。セカンダリシリンダ38は、一端側が閉端した円筒状に形成され、セカンダリ可動シーブ33は、このセカンダリシリンダ38の開口した他端側に配置される。セカンダリ油圧室34は、このセカンダリシリンダ38の内面とセカンダリ可動シーブ33の背面33aとによって区画される空間部として形成される。セカンダリ可動シーブ33は、セカンダリシリンダ38の内部に挿入されるように設けられる。セカンダリ可動シーブ33の外周面とセカンダリシリンダ38の円筒部38aの内周面との間には、例えばシールリングなどのセカンダリ油圧室用シール部材Sが設けられている。つまり、セカンダリ油圧室34は、セカンダリ可動シーブ33の外周面とセカンダリシリンダ38の内周面との間でセカンダリ油圧室用シール部材Sによりシールされて、このセカンダリ油圧室用シール部材Sにより内部の作動油が漏れないようになっている。なお、軸受部材36とセカンダリ固定シーブ32との間には、パーキングギヤ8が設けられている。
セカンダリ油圧室34には、セカンダリプーリ軸31の内部に設けられる作動油通路(不図示)に流入した作動油が供給される。つまり、油圧制御装置6は、セカンダリ油圧室34に作動油を供給し、セカンダリ油圧室34の作動油の油圧(圧力)により、セカンダリ可動シーブ33を軸方向(セカンダリプーリ軸31の回転軸線に沿った方向)に摺動させ、セカンダリ可動シーブ33をセカンダリ固定シーブ32に対して接近あるいは離隔させるものである。セカンダリ油圧室34は、セカンダリ油圧室34に供給される作動油により、セカンダリ可動シーブ33を軸方向におけるセカンダリ固定シーブ32側に押圧する可動シーブ押圧力をセカンダリ可動シーブ33に作用させることで、セカンダリ溝37に巻き掛けられるベルト4に対するベルト挟圧力を発生させる。つまり、セカンダリプーリ3は、セカンダリ油圧室34の油圧によりベルト4に対してベルト挟圧力を発生させ、発生したベルト挟圧力により、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、セカンダリ油圧室34は、例えば、ベルト4の張力を制御することで、ベルト4のプライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3に対する接触半径を一定に維持する機能の一部を担うものである。
ベルト4は、入力側であるエンジン100(駆動源)からプライマリプーリ2に入力された駆動力、すなわちエンジントルクをセカンダリプーリ3に伝達するものである。ベルト4は、プライマリプーリ2のプライマリ溝27とセカンダリプーリ3のセカンダリ溝37との間に巻き掛けられている。また、ベルト4は、多数の金属製のベルトエレメントと複数本のスチールリングで構成された無端ベルトである。
ECU5は、ベルト式無段変速機1の駆動を制御、特に変速比γを制御するものであり、ここでは、エンジン100が搭載された車両の各所に取り付けられたセンサから入力された各種入力信号や各種マップとに基づいてエンジン100の運転制御、例えば図示しない燃料噴射弁の噴射制御、エンジン100の吸入空気量を制御する図示しないスロットルバルブのスロットル開度制御、点火プラグの点火制御なども行うものである。このECU5には、ベルト式無段変速機1の変速制御を行うためのデータ、例えばアクセル開度や車速等の情報に基づいた走行状態に応じてベルト式無段変速機1の変速比γを制御するためのデータが予め記憶されている。
すなわち、ECU5は、エンジン100の燃料噴射弁、スロットルバルブ、点火プラグや後述する油圧制御装置6に電気的に接続されており、種々のセンサが検出するエンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力回転数、出力回転数、シフトポジションなどの運転状態などに基づいて、これらの駆動を制御している。
油圧制御装置6は、ベルト式無段変速機1のプライマリ油圧室24及びセカンダリ油圧室34内の作動油の油圧を制御するものであり、ここではベルト式無段変速機1が搭載される車両の駆動系各部、例えば、トルクコンバータ110、前後進切換機構120等に作動油を供給するものでもある。
油圧制御装置6は、オイルタンクに貯留されトランスミッションの各部に供給される作動油をオイルポンプにより吸引、加圧し、吐出する。そして、油圧制御装置6は、オイルポンプにより加圧された作動油がプレッシャーレギュレータバルブを介して、流量制御弁などに供給される。流量制御弁は、スプール弁子、電磁ソレノイドなどを含んで構成され、プライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34へ作動油の供給、あるいは、プライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34からの作動油の排出を制御するものである。油圧制御装置6の流量制御弁は、ECU5から入力される制御指令値入力に基づいた駆動電流により駆動する電磁ソレノイドがスプール弁子の位置を変位させることで、プライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34に供給、排出される作動油の流量を制御するものである。なお、このプレッシャーレギュレータバルブは、プレッシャーレギュレータバルブよりも下流側における油圧が所定油圧以上、すなわち、油圧制御装置6の元圧として用いられるライン圧以上になった際に、下流側にある作動油をオイルタンクに戻して所定のライン圧に調圧するものである。
そして、ECU5は、上述したように、ベルト式無段変速機1が搭載された車両の運転状態(走行状態)に応じてベルト式無段変速機1の各部の駆動を制御しベルト式無段変速機1の実際の変速比である実変速比を制御する。ECU5は、種々のセンサが検出するエンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力回転数、出力回転数、シフトポジションなどの運転状態などに基づいて目標の変速比である目標変速比を決定すると共に、油圧制御装置6を駆動して油圧制御を行うことで、プライマリ油圧室24の油圧及びセカンダリ油圧室34の油圧を調整する。したがって、ECU5は、油圧制御装置6の流量制御弁に供給する駆動電流を制御指令値に基づいてデューティ制御することで、プライマリ油圧室24の油圧及びセカンダリ油圧室34の油圧を調整し、プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33をプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して接近離間させる。そして、ECU5は、プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33をプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して接近離間させることで、プライマリプーリ2におけるベルト挟圧力及びセカンダリプーリ3におけるベルト挟圧力を調整し、プライマリプーリ2の回転数である入力軸回転数と、セカンダリプーリ3の回転数である出力軸回転数との比である変速比γを制御することができ、実際の変速比である実変速比が目標の変速比である目標変速比となるように制御することができる。
上記のように構成されるベルト式無段変速機1を含む駆動系は、このベルト式無段変速機1が搭載される車両に設けられた図示しないシフトポジション装置のシフトポジションがパーキングポジションやニュートラルポジションなどの非駆動ポジションである場合、前後進切換機構120が制御されて、エンジン100と車輪160との間で動力伝達が不可能な状態となる。これに対して、上記シフトポジション装置のシフトポジションがリバースポジションやドライブポジションなどの駆動ポジションである場合、前後進切換機構120が制御されて、エンジン100と車輪160との間で動力伝達が可能な状態となる。
そして、駆動ポジションが選択され、エンジン100からエンジントルクが出力された場合は、トルクコンバータ110、前後進切換機構120を経由して、プライマリプーリ2のプライマリプーリ軸21にトルクが伝達(入力)される。プライマリプーリ軸21を介してプライマリプーリ2に入力されたトルクは、ベルト4を介して、セカンダリプーリ3のセカンダリプーリ軸31に伝達される。そして、セカンダリプーリ軸31を介してセカンダリプーリ3から出力されるトルクは、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ140及びドライブシャフト150を介して車輪160に伝達されて駆動力が発生する。
そして、ベルト式無段変速機1における変速比を変更する場合は、ECU5が油圧制御装置6を駆動しプライマリ油圧室24及びセカンダリ油圧室34内の作動油の油圧を調整して、プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33をプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して相対的に接近又は離間させることで、プライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3からベルト4に適正なベルト挟圧力を作用させる。ベルト式無段変速機1は、プライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3からベルト4に適正なベルト挟圧力を作用させることで、ベルト4が巻き掛けられているプライマリ溝27とセカンダリ溝37の幅が変化し、ベルト式無段変速機1の変速比を変更することができると共にベルト4の張力を適正に調整することができる。
すなわち、ベルト式無段変速機1は、プライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22に対して相対的に接近又は離間させプライマリ溝27の幅を調整することで、プライマリプーリ2におけるベルト4の巻き掛け半径(ベルト4に対するプライマリプーリ2の有効径)とセカンダリプーリ3におけるベルト4の巻き掛け半径(ベルト4に対するセカンダリプーリ3の有効径)との比が変化し、この結果、プライマリプーリ2の回転数(回転速度)とセカンダリプーリ3の回転数(回転速度)との比である変速比が変更される。例えば、ベルト式無段変速機1は、プライマリ溝27の幅が狭められると、プライマリプーリ2におけるベルト4の巻き掛け半径が大きくなり、ベルト式無段変速機1の変速比が小さくなるように変速(アップシフト)する。これに対して、ベルト式無段変速機1は、プライマリ溝27の幅が広げられると、プライマリプーリ2におけるベルト4の巻き掛け半径が小さくなり、ベルト式無段変速機1の変速比が大きくなるように変速(ダウンシフト)する。
また、ベルト式無段変速機1は、セカンダリ可動シーブ33をセカンダリプーリ軸31の軸方向に沿ってセカンダリ固定シーブ32に対して相対的に接近又は離間させセカンダリ溝37の幅を調整することで、セカンダリプーリ3からベルト4に加えられるベルト挟圧力、およびベルト4の張力が変更され、この結果、プライマリプーリ2からセカンダリプーリ3に伝達されるトルクの容量が制御される。例えば、ベルト式無段変速機1は、セカンダリ溝37の幅が狭められると、セカンダリプーリ3からベルト4に加えられるベルト挟圧力が増加し、ベルト4のトルク容量が増加する。これに対して、ベルト式無段変速機1は、セカンダリ溝37の幅が広げられると、セカンダリプーリ3からベルト4に加えられるベルト挟圧力が減少し、ベルト4のトルク容量が低下する。
ところで、本実施形態のベルト式無段変速機1は、図2に示すように、プライマリプーリ軸21とは別体に形成されるプライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23から離間する側への移動を規制手段としての規制部29により規制することで、ベルト4からプライマリ固定シーブ22にベルト反力が推力として作用した際にこのプライマリ固定シーブ22がプライマリ可動シーブ23から離間する側に倒れることを抑制し、駆動力の伝達効率が低下することを抑制している。
なお、以下の説明では、プライマリプーリ2とセカンダリプーリ3とがほぼ同様の構成であるため、主にプライマリプーリ2側を詳細に説明し、セカンダリプーリ3側の説明はできる限り省略するが、本発明のベルト式無段変速機のプーリは、セカンダリプーリ3に適用することもできる。
具体的には、プライマリプーリ2のプライマリプーリ軸21は、円柱状に形成されこの円柱中心がプライマリプーリ軸21の回転軸線Xとなる。上述したプライマリ油圧室24に供給される作動油の通路である作動油通路21aは、例えば、この円柱状のプライマリプーリ軸21に対して切削加工等を施すことで、このプライマリプーリ軸21の内周面21c側に設けられる。したがって、このプライマリプーリ軸21は、全体としては作動油通路21aが中空部となるような円筒状をなす。一方、上述したプライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21に対して軸方向に移動可能で、かつ、プライマリプーリ軸21と一体回転可能に支持するスプライン部21bは、このプライマリプーリ軸21の外周面21d側に設けられる。
ここで、作動油通路21aは、プライマリプーリ軸21に形成される第1連通路21e、プライマリプーリ軸21の外周面21dとプライマリ可動シーブ23の内周面23bに形成される溝部とにより区画される第2連通路23c、プライマリ可動シーブ23に形成される第3連通路23dを介してプライマリ油圧室24と連通し、プライマリプーリ軸21の一端側に設けられる開口21f(ここではプライマリ可動シーブ23側の開口)が油圧制御装置6の油圧制御回路に接続される。したがって、プライマリ油圧室24に供給される作動油は、油圧制御装置6の油圧制御回路から開口21fを介して作動油通路21aに流入し、第1連通路21e、第2連通路23c及び第3連通路23dを順に介してプライマリ油圧室24に流入する。また、プライマリ油圧室24から排出される作動油は、プライマリ油圧室24から第3連通路23d、第2連通路23c及び第1連通路21eを順に介して作動油通路21aに流出し、開口21fを介して油圧制御装置6の油圧制御回路に流出する。
プライマリプーリ軸21の外周面21dは、軸側摺動面21gとスプライン形成面21hとを有する。軸側摺動面21gとスプライン形成面21hとは、軸方向に並んで設けられている。軸側摺動面21gは、後述するプライマリ可動シーブ23のシーブ側摺動面23eと対向して接触しこのシーブ側摺動面23eが摺動する面である。スプライン形成面21hは、プライマリプーリ軸21の外周面21dにおいて軸方向に沿って軸側スプライン溝としてのスプライン溝21iが形成されている面である。スプライン溝21iは、スプライン形成面21hの周方向に沿って複数形成されている。
一方、プライマリ可動シーブ23は、その内周面23bにシーブ側摺動面23eとスプライン形成面23fとを有する。シーブ側摺動面23eとスプライン形成面23fとは、シーブ側摺動面23eがプライマリシリンダ28側すなわち背面23a側、スプライン形成面23fがプライマリ固定シーブ22側すなわちプライマリ溝27側となるように軸方向に並んで設けられている。シーブ側摺動面23eは、上述したようにプライマリプーリ軸21の軸側摺動面21gと対向して接触しこのシーブ側摺動面23eに対して摺動する面である。スプライン形成面23fは、プライマリ可動シーブ23の内周面23bにおいて軸方向に沿ってシーブ側スプライン溝としてのスプライン溝23gが形成されている面である。スプライン溝23gは、スプライン形成面23fの周方向に沿って複数形成されている。
したがって、スプライン部21bは、プライマリプーリ軸21側のスプライン形成面21hの複数のスプライン溝21iと、プライマリ可動シーブ23側のスプライン形成面23fの複数のスプライン溝23gとが互いに噛み合うようにスプライン嵌合することで、プライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21に対して軸方向に移動可能で、かつ、プライマリプーリ軸21と一体回転可能に支持することができる。なお、ここでは、スプライン部21bは、複数のスプライン溝21iと複数のスプライン溝23gとによりいわゆるインボリュートスプラインをなす。
そして、プライマリ可動シーブ23は、シーブ側摺動面23eが軸側摺動面21gと対向し、スプライン形成面23fがスプライン形成面21hと対向するように組みつけられる。そして、シーブ側摺動面23eと軸側摺動面21gとは、互いに対向して接触する。プライマリ可動シーブ23は、プライマリプーリ軸21に対して軸方向に移動する際には、このシーブ側摺動面23eが軸側摺動面21gに対して摺動する。なお、このシーブ側摺動面23eと軸側摺動面21gとは、互いに接触して摺動することで、プライマリ可動シーブ23とプライマリプーリ軸21との隙間を介したプライマリ油圧室24からの作動油の漏洩を防止するシール部としても作用する。
プライマリ固定シーブ22は、上述したように、プライマリプーリ軸21とは別体に形成されると共に、本実施形態では、プライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21に移動自在に支持するスプライン部21bを兼用して、プライマリプーリ軸21に固定して支持される。
プライマリ固定シーブ22は、その内周面にスプライン形成面22aを有する。スプライン形成面22aは、プライマリ固定シーブ22の内周面において軸方向に沿ってスプライン溝22bが形成されている面である。プライマリ固定シーブ22は、スプライン部21bにて、プライマリプーリ軸21側のスプライン形成面21hの複数のスプライン溝21iと、プライマリ固定シーブ22側のスプライン形成面22aの複数のスプライン溝22bとが互いに噛み合ってスプライン嵌合するようにして設けられる。
そして、プライマリ固定シーブ22は、プライマリ可動シーブ23と対向する傾斜面、すなわち、ベルト4が設けられるプライマリ溝27側の面とは反対側の背面22c側にて、上述したように、規制部29によりプライマリ可動シーブ23から離間する方向への軸方向の移動が規制されている。本実施形態の規制部29は、溝部29aと接触部材としてのボール(例えば鋼球)29bとを有する。
溝部29aは、プライマリプーリ軸21の外周面21dに形成される。溝部29aは、軸方向に対してスプライン形成面21hのプライマリ固定シーブ22側の側方に設けられる。溝部29aは、少なくともプライマリ可動シーブ23から離間するにしたがって(図2中向かって右側にいくにしたがって)深さが浅くなる傾斜部29cが設けられている。ここでは、溝部29aは、全体として略半球状の穴部として形成される。溝部29aは、側壁部がプライマリプーリ軸21の径方向内方側に向かって窪むような曲面状に傾斜して形成され、この側壁部の一部、すなわち、プライマリ可動シーブ23側とは反対側(図2中向かって右側)の部分がプライマリ可動シーブ23から離間するにしたがって深さが浅くなるような上述の本発明の傾斜部29cをなす。この溝部29aは、プライマリプーリ軸21の外周面21dに周方向に対して等間隔で複数(例えば3つ)設けられている。ここで溝部29aの深さとは、プライマリプーリ軸21の外周面21dから径方向中心への径方向に対する長さである。
また、プライマリ固定シーブ22は、背面22cに溝部22dが形成されている。溝部22dは、プライマリプーリ軸21の外周面21dに形成される各溝部29aに対向するようにして複数形成される。すなわち、溝部22dは、プライマリ固定シーブ22の内周面の背面22c側の端部に周方向に対して等間隔で複数(例えば3つ)設けられている。各溝部22dは、プライマリ固定シーブ22の外周面側に向かって窪むような曲面状に形成される。
ボール29bは、球状に形成される。ボール29bは、各溝部29aにそれぞれ1つずつ設けられる。さらに言えば、ボール29bは、溝部29aと溝部22dとの間に設けられる。つまり、ボール29bは、プライマリプーリ軸21側の溝部29aとプライマリ固定シーブ22側の溝部22dとに囲われた球状の空間部にこれら溝部29aと溝部22dとに挟まれるように設けられる。そして、少なくとも溝部29aの傾斜部29c及びボール29bの傾斜部29cとの接触部分は、上述したように曲面状に形成される。
したがって、各ボール29bは、溝部22dにて、プライマリ固定シーブ22のベルト4が設けられる側とは反対側の背面22cに接触可能であると共に、溝部29aにて、この溝部29aの傾斜部29cと接触可能である。そして、規制部29は、ボール29bがプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部22dとプライマリプーリ軸21側の溝部29aの傾斜部29cとに接触することでプライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23から離間する側(図2中向かって右側)への移動を規制する。
上記のように構成されるプライマリプーリ2では、プライマリ固定シーブ22は、図2、図3に示すように、ベルト4から傾斜面にベルト反力が推力として作用し、プライマリ可動シーブ23から離間する方向に移動しようとすると、規制部29のボール29bがプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部22dとプライマリプーリ軸21側の溝部29aの傾斜部29cとに接触しこのスラスト方向(プライマリプーリ軸21の軸方向)の推力をうけることで、プライマリ可動シーブ23から離間する方向への軸方向の移動が規制される。したがって、プライマリ固定シーブ22は、スプライン部21bを兼用してプライマリプーリ軸21に固定して支持され、プライマリプーリ軸21と一体回転可能に支持される。
そしてこのとき、プライマリ固定シーブ22は、ベルト4から傾斜面にベルト反力が推力として作用し、この推力によりボール29b近傍を中心としたモーメント(図2中ボール29bを中心として時計回りのモーメント)が生じてプライマリ可動シーブ23から離間する方向に倒れようとすると、規制部29のボール29bがプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部22dとプライマリプーリ軸21側の溝部29aの傾斜部29cとに接触しこのモーメントに応じたラジアル方向(プライマリプーリ軸21の径方向)の力をうけることで、ボール29bを中心としてプライマリ可動シーブ23から離間する方向への倒れが規制される。このボール29bは、ベルト4からプライマリ固定シーブ22を介してスラスト方向(プライマリプーリ軸21の軸方向)の推力が作用すると、図3の矢印Aに示すように傾斜部29cに沿ってプライマリプーリ軸21の径方向(ラジアル方向)外方に移動して溝部22dと接触し、これにより、ボール29bとプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部22d、プライマリプーリ軸21側の溝部29aの傾斜部29cとの隙間がなくなる。すると、プライマリ固定シーブ22のラジアル方向に対するがたつきがなくなり、この結果、このボール29bに作用する推力によりプライマリ固定シーブ22の倒れを抑制することができる。そして、このプライマリプーリ2は、ベルト4からプライマリ固定シーブ22にベルト反力が推力として作用した際に規制部29によりこのプライマリ固定シーブ22がプライマリ可動シーブ23から離間する側に倒れることを抑制することができることで、駆動力の伝達効率が低下することを抑制することができる。
また、このプライマリプーリ2は、本実施形態の規制部29を傾斜部29cが形成された溝部29aとボール29bとを含んで構成することで、例えば、いわゆるC割リングを用いてプライマリ固定シーブ22をプライマリプーリ軸21に固定する構成と比較して、曲面状の傾斜部29cを相対的に大きく確保することができると共に、プライマリプーリ軸21の外周面21dに対する溝部29aの径方向深さD(図3参照)、言い換えれば、プライマリプーリ軸21の外周面21dに対する溝部29aの段付き量を小さくすることができることから、この溝部29aにおける応力集中を抑制しプライマリプーリ軸21の強度低下を抑制することができ、この結果、耐久性を向上することができる。また、例えばC割リングなどと比較して安価なボール29bを用いて規制部29を構成することで、低コスト化を図ることができる。
また、このプライマリプーリ2は、プライマリプーリ軸21とプライマリ固定シーブ22とを別体の構造とすることで、上述のように、製造効率を向上し低コスト化を図ることができると共に、プライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21に支持するスプライン部21bを兼用して、プライマリ固定シーブ22をプライマリプーリ軸21に固定して支持することで、さらに製造効率を向上し低コスト化を図ることができる。すなわち、プライマリ可動シーブ23とプライマリ固定シーブ22とを共にスプライン溝23g、スプライン溝22bが共通のスプライン溝21iに噛み合うように設けることで、例えば、プライマリ固定シーブ22をプライマリプーリ軸21に対して焼嵌めして固定するような場合と比較して、焼嵌め用の機器等を必要とせず、プライマリ可動シーブ23と同じ組み付け方法でプライマリ固定シーブ22をプライマリプーリ軸21に組み付けることができる。この結果、製造効率を向上し低コスト化を図ることができる。
さらに、このプライマリプーリ2は、プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23とを共通のスプライン部21bのスプライン溝21iによりプライマリプーリ軸21に支持することで、プライマリプーリ2が回転軸線X周りに回転した際に、プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23との回転方向、すなわち、回転軸線X周り方向へのがたつき量が等しくなるようにすることができる。この結果、プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23との回転軸線X周り方向へのがたつき量が不均一になることに起因するベルト4の損傷を防止することができ、ベルト4の耐久性を向上することができる。
ここでさらに、本実施形態のプライマリプーリ2は、図2、図4に示すように、プライマリプーリ軸21において軸側摺動面21gの外径R1とスプライン形成面21hの外径R2(スプライン溝21iが形成されていない大径部分)とを同径に設定することで、プライマリ可動シーブ23がプライマリ固定シーブ22から離間する側に倒れることをプライマリプーリ軸21の軸方向に対するプライマリ可動シーブ23の位置にかかわらず適正に抑制し、駆動力の伝達効率が低下することを抑制している。
図10は、比較例に係るプライマリプーリ002のプライマリ可動シーブ023の倒れ抑制を説明する模式的断面図である。このプライマリプーリ002のプライマリプーリ軸021は、軸側摺動面021gの外径0R1がスプライン形成面021hの外径0R2(スプライン溝021iが形成されていない大径部分)よりも大きく設定されている。プライマリ可動シーブ023は、シーブ側摺動面023eの内径スプライン形成面023fの内径よりも大きく設定されている。そして、プライマリ可動シーブ023は、シーブ側摺動面023eが軸側摺動面021gと対向し、スプライン形成面023fがスプライン形成面021hと対向するように組みつけられる。
ここで、比較例に係るプライマリプーリ002のプライマリ可動シーブ023が軸方向に沿って図中実線で示す位置からプライマリ固定シーブ(図中右側)に接近した図中二点鎖線で示す位置まで移動したとする。この場合、軸側摺動面021gの外径0R1がスプライン形成面021hの外径0R2よりも大きく設定され、言い換えれば、スプライン形成面021hの外径0R2が軸側摺動面021gの外径0R1よりも小さく設定されていることから、プライマリ可動シーブ023がプライマリ固定シーブ側に接近した図中二点鎖線で示す位置では、シーブ側摺動面023eは、一部分が軸側摺動面021gに接触する一方、他の部分が軸側摺動面021g、スプライン形成面021hのいずれにも接触していない状態となる。このため、プライマリ可動シーブ023が図中実線で示す位置にある場合におけるシーブ側摺動面023eと軸側摺動面021gとの接触面の軸方向に沿った長さを接触面長さ0L1、プライマリ固定シーブ側に接近した図中二点鎖線で示す位置にある場合におけるシーブ側摺動面023eと軸側摺動面021gとの接触面の軸方向に沿った長さを接触面長さ0L2とすると、接触面長さ0L2が接触面長さ0L1よりも短くなる。
一方、本実施形態のプライマリ可動シーブ23は、上述のように、シーブ側摺動面23eが軸側摺動面21gと対向し、スプライン形成面23fがスプライン形成面21hと対向するように組みつけられる。そして、プライマリ可動シーブ23は、プライマリプーリ軸21に対して軸方向に移動する際には、このシーブ側摺動面23eが軸側摺動面21gに対して摺動する。このとき、プライマリ可動シーブ23は、プライマリプーリ軸21の軸側摺動面21gの外径R1とスプライン形成面21hの外径R2とが同径に設定されることで、図4に示すように、プライマリ可動シーブ23のシーブ側摺動面23eがプライマリプーリ軸21の外周面21dと接触する部分の軸方向に対する長さがプライマリ可動シーブ23の位置にかかわらず一定となる。
すなわち、図4に示すように、本実施形態のプライマリプーリ2のプライマリ可動シーブ23が軸方向に沿って図中実線で示す位置からプライマリ固定シーブ(図中右側)に接近した図中二点鎖線で示す位置まで移動したとする。この場合、軸側摺動面21gの外径R1とスプライン形成面21hの外径R2とが同径に設定されていることから、プライマリ可動シーブ23がプライマリ固定シーブ側に接近した図中二点鎖線で示す位置であっても、シーブ側摺動面23eは、ほぼ全体が軸側摺動面21g又はスプライン形成面21hに接触した状態となる。つまり、シーブ側摺動面23eは、軸方向に対するプライマリ可動シーブ23の位置に関係なくプライマリプーリ軸21の外周面21dに常に接触している状態となる。このため、プライマリ可動シーブ23が図中実線で示す位置にある場合におけるシーブ側摺動面23eと軸側摺動面21gとの接触面の軸方向に沿った長さを接触面長さL1、プライマリ固定シーブ側に接近した図中二点鎖線で示す位置にある場合におけるシーブ側摺動面23eと軸側摺動面21g、スプライン形成面21hとの接触面の軸方向に沿った長さを接触面長さL2とすると、接触面長さL1と接触面長さL2とは常にほぼ等しくなる。
この結果、プライマリ可動シーブ23は、ベルト4から傾斜面にベルト反力が推力として作用し、この推力によりプライマリ固定シーブ22から離間する方向に倒れようとすると、倒れようとする力を軸側摺動面21gがシーブ側摺動面23eを介してうけることで、プライマリ固定シーブ22から離間する方向への倒れが規制される。このとき、上述したように軸側摺動面21gの外径R1とスプライン形成面21hの外径R2とが同径に設定されていることから、接触面長さL1と接触面長さL2とをプライマリ可動シーブ23の位置にかかわらず常にほぼ等しくすることができ、プライマリ可動シーブ23の位置にかかわらずこのプライマリ可動シーブ23の倒れ量をほぼ一定に維持することができる。この結果、プライマリ可動シーブ23がプライマリ固定シーブ22から離間する側に倒れることをプライマリプーリ軸21の軸方向に対するプライマリ可動シーブ23の位置にかかわらず常に適正に抑制することができ、駆動力の伝達効率が低下することを抑制することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1のプライマリプーリ2によれば、プライマリプーリ軸21と、プライマリプーリ軸21とは別体に形成されると共に、プライマリプーリ軸21に一体回転可能に設けられるプライマリ固定シーブ22と、プライマリプーリ軸21に一体回転可能に設けられ、かつ、プライマリプーリ軸21の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22に対して相対的に移動することで、プライマリ固定シーブ22との間に設けられるベルト4にベルト挟圧力を作用させるプライマリ可動シーブ23と、プライマリプーリ軸21に形成されプライマリ可動シーブ23から離間するにしたがって深さが浅くなる傾斜部29cが設けられた溝部29aと、溝部29aに設けられプライマリ固定シーブ22のベルト4が設けられる側とは反対側の背面22cに接触可能であると共に傾斜部29cと接触可能であるボール29bとを有し、ボール29bがプライマリ固定シーブ22と傾斜部29cとに接触することでプライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23から離間する側への移動を規制する規制部29とを備える。
また、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1によれば、プライマリプーリ2、セカンダリプーリ3と、各プライマリプーリ2、セカンダリプーリ3に巻き掛けられ、エンジン100からの駆動力を入力側のプライマリプーリ2から出力側のセカンダリプーリ3に伝達するベルト4とを備え、プライマリプーリ2、セカンダリプーリ3は、それぞれ、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31と、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31とは別体に形成されると共にプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31に一体回転可能に設けられるプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32と、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31に一体回転可能に設けられ、かつ、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して相対的に移動することで、プライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32との間に設けられるベルト4にベルト挟圧力を作用させるプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33とを有し、少なくとも2つのプライマリプーリ2、セカンダリプーリ3いずれか一方、ここでは、プライマリプーリ2は、プライマリプーリ軸21に形成されプライマリ可動シーブ23から離間するにしたがって深さが浅くなる傾斜部29cが設けられた溝部29aと、溝部29aに設けられプライマリ固定シーブ22のベルト4が設けられる側とは反対側の背面22cに接触可能であると共に傾斜部29cと接触可能であるボール29bとを有し、ボール29bがプライマリ固定シーブ22と傾斜部29cとに接触することでプライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23から離間する側への移動を規制する規制部29を含んで構成される。
したがって、ベルト4からプライマリ固定シーブ22にベルト反力が推力として作用した際に規制部29のボール29bがプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部22dとプライマリプーリ軸21側の溝部29aの傾斜部29cとに接触し力をうけることで、ボール29bに作用する推力によりプライマリ固定シーブ22がプライマリ可動シーブ23から離間する側に倒れることを抑制することができ、駆動力の伝達効率が低下することを抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1のプライマリプーリ2及びベルト式無段変速機1によれば、傾斜部29c及び接触部材としてのボール29bの傾斜部29cとの接触部分は、曲面状に形成される。したがって、ボール29bにベルト4からプライマリ固定シーブ22を介してスラスト方向の推力が作用すると、このボール29bがこの曲面状の傾斜部29cに沿ってプライマリプーリ軸21の径方向外方に移動することから、ボール29bとプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部22d、プライマリプーリ軸21側の溝部29aの傾斜部29cとの隙間がなくなり、この結果、このボール29bに作用する推力によりプライマリ固定シーブ22の倒れを適正に抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1のプライマリプーリ2及びベルト式無段変速機1によれば、プライマリ可動シーブ23は、内周面23bに形成された軸方向のスプライン溝23gと、プライマリプーリ軸21の外周面21dに形成された軸方向のスプライン溝21iとがスプライン嵌合することでプライマリプーリ軸21に移動可能に支持され、プライマリプーリ軸21は、外周面21dにスプライン溝21iが形成されたスプライン形成面21hとプライマリ可動シーブ23の内周面23bのシーブ側摺動面23eが接触して摺動する軸側摺動面21gとを有すると共に、スプライン形成面21hの外径R2と軸側摺動面21gの外径R1とが同径に設定される。したがって、接触面長さL1と接触面長さL2とをプライマリ可動シーブ23の位置にかかわらず常にほぼ等しくすることができ、プライマリ可動シーブ23の位置にかかわらずこのプライマリ可動シーブ23の倒れ量をほぼ一定に維持することができる。この結果、プライマリ可動シーブ23がプライマリ固定シーブ22から離間する側に倒れることをプライマリプーリ軸21の軸方向に対するプライマリ可動シーブ23の位置にかかわらず常に適正に抑制することができ、駆動力の伝達効率が低下することを抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1のプライマリプーリ2及びベルト式無段変速機1によれば、プライマリ固定シーブ22は、プライマリプーリ軸21とは別体に形成されると共に、プライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21に移動自在に支持するスプライン部21bを兼用して、プライマリプーリ軸21に固定して支持される。したがって、プライマリプーリ軸21とプライマリ固定シーブ22とを別体の構造とすることで、プライマリ固定シーブ22に対して、プライマリプーリ軸21とは別体で種々の表面処理を施すことができるので、製造効率を向上し低コスト化を図ることができると共に、プライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21に支持するスプライン部21bを兼用して、プライマリ固定シーブ22をプライマリプーリ軸21に固定して支持することで、さらに製造効率を向上し低コスト化を図ることができる。また、プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23との回転方向へのがたつき量が等しくなるようにすることができるので、ベルト4の耐久性を向上することができる。
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備える規制部を示す部分断面図、図6は、本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備えるテーパ部材を示す斜視図、図7−1、図7−2は、本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備えるテーパ部材の配置例を示す模式図である。実施形態2に係るベルト式無段変速機のプーリは、実施形態1に係るベルト式無段変速機のプーリと略同様の構成であるが接触部材の形状が実施形態1に係るベルト式無段変速機のプーリとは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1を参照する。
本実施形態に係るベルト式無段変速機201のプライマリプーリ202は、図5、図6に示すように、プライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23から離間する側への移動を規制手段としての規制部229により規制することで、ベルト4からプライマリ固定シーブ22にベルト反力が推力として作用した際にこのプライマリ固定シーブ22がプライマリ可動シーブ23から離間する側に倒れることを抑制し、駆動力の伝達効率が低下することを抑制している。
具体的には、プライマリ固定シーブ22は、プライマリ可動シーブ23と対向する傾斜面、すなわち、ベルト4が設けられるプライマリ溝27側の面とは反対側の背面22c側にて、上述したように、規制部229によりプライマリ可動シーブ23から離間する方向への軸方向の移動が規制されている。本実施形態の規制部229は、溝部229aと接触部材としてのテーパ部材229bとを有する。
溝部229aは、プライマリプーリ軸21の外周面21dに形成される。溝部229aは、軸方向に対してスプライン形成面21hのプライマリ固定シーブ22側の側方に設けられる。溝部229aは、少なくともプライマリ可動シーブ23から離間するにしたがって(図5中向かって右側にいくにしたがって)深さが浅くなる傾斜部229cが設けられている。ここでは、溝部229aは、プライマリプーリ軸21の周方向に沿って外周面21dの一周分に渡って設けられている。溝部229aは、側壁部が直線テーパ状に傾斜して形成され、この側壁部の一部、すなわち、プライマリ可動シーブ23側とは反対側(図5中向かって右側)の部分がプライマリ可動シーブ23から離間するにしたがって深さが浅くなるような上述の本発明の傾斜部229cをなす。
また、プライマリ固定シーブ22は、背面22cに溝部222dが形成されている。溝部222dは、プライマリプーリ軸21の外周面21dに形成される溝部229aに対向するようにして形成される。すなわち、溝部222dは、プライマリ固定シーブ22の内周面の背面22c側の端部に周方向に沿って内周面の一周分に渡って設けられている。ここでは、この溝部222dは、この溝部222dを形成する2つの壁面がほぼ垂直に交わるように形成される。
テーパ部材229bは、図6に示すように、長手方向に沿ってテーパ面229dが設けられた柱状に形成され、図5に示すように、このテーパ面229dが傾斜部229cに接触可能なように溝部229aに設けられる。さらに言えば、テーパ部材229bは、溝部229aと溝部222dとの間に設けられる。つまり、テーパ部材229bは、プライマリプーリ軸21側の溝部229aとプライマリ固定シーブ22側の溝部222dとに囲われた環状の空間部にこれら溝部229aと溝部222dとに挟まれるように設けられる。このテーパ部材229bの溝部222d側の角部は、ほぼ直角に形成されている。そして、少なくとも溝部229aの傾斜部229c及びテーパ部材229bの傾斜部229cとの接触部分は、上述したように直線テーパ状に形成されている。なお、このテーパ部材229bは、施工性等に応じて、例えば、図7−1に示すように、プライマリプーリ軸21の周方向に沿って多角形(ここでは八角形)環状に設けられていてもよいし、例えば、図7−2に示すように、プライマリプーリ軸21の周方向に沿って円環状に設けられていてもよい。溝部229a溝部222dは、このテーパ部材229bの配置に応じて適宜形成されればよい。
したがって、テーパ部材229bは、溝部222dにて、プライマリ固定シーブ22のベルト4が設けられる側とは反対側の背面22cに接触可能であると共に、溝部229aにて、この溝部229aの傾斜部229cと接触可能である。そして、規制部229は、テーパ部材229bがプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部222dとプライマリプーリ軸21側の溝部229aの傾斜部229cとに接触することでプライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23から離間する側(図5中向かって右側)への移動を規制する。
上記のように構成されるプライマリプーリ202では、プライマリ固定シーブ22は、図5に示すように、ベルト4から傾斜面にベルト反力が推力として作用し、プライマリ可動シーブ23から離間する方向に移動しようとすると、規制部229のテーパ部材229bがプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部222dとプライマリプーリ軸21側の溝部229aの傾斜部229cとに接触しこのスラスト方向(プライマリプーリ軸21の軸方向)の推力をうけることで、プライマリ可動シーブ23から離間する方向への軸方向の移動が規制される。したがって、プライマリ固定シーブ22は、スプライン部21bを兼用してプライマリプーリ軸21に固定して支持され、プライマリプーリ軸21と一体回転可能に支持される。
そしてこのとき、プライマリ固定シーブ22は、ベルト4から傾斜面にベルト反力が推力として作用し、この推力によりテーパ部材229b近傍を中心としたモーメント(図5中テーパ部材229bを中心として時計回りのモーメント)が生じてプライマリ可動シーブ23から離間する方向に倒れようとすると、規制部229のテーパ部材229bがプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部222dとプライマリプーリ軸21側の溝部229aの傾斜部229cとに接触しこのモーメントに応じたラジアル方向(プライマリプーリ軸21の径方向)の力をうけることで、テーパ部材229bを中心としてプライマリ可動シーブ23から離間する方向への倒れが規制される。このテーパ部材229bは、ベルト4からプライマリ固定シーブ22を介してスラスト方向(プライマリプーリ軸21の軸方向)の推力が作用すると、図5の矢印Bに示すように傾斜部229cに沿ってプライマリプーリ軸21の径方向(ラジアル方向)外方に移動して溝部222dと接触し、これにより、テーパ部材229bとプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部222d、プライマリプーリ軸21側の溝部229aの傾斜部229cとの隙間がなくなる。すると、プライマリ固定シーブ22のラジアル方向に対するがたつきがなくなり、この結果、このテーパ部材229に作用する推力によりプライマリ固定シーブ22の倒れを抑制することができる。そして、このプライマリプーリ202は、ベルト4からプライマリ固定シーブ22にベルト反力が推力として作用した際に規制部229によりこのプライマリ固定シーブ22がプライマリ可動シーブ23から離間する側に倒れることを抑制することができることで、駆動力の伝達効率が低下することを抑制することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機201のプライマリプーリ202及びベルト式無段変速機201によれば、ベルト4からプライマリ固定シーブ22にベルト反力が推力として作用した際に規制部229のテーパ部材229bがプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部222dとプライマリプーリ軸21側の溝部229aの傾斜部229cとに接触し力をうけることで、テーパ部材229bに作用する推力によりプライマリ固定シーブ22がプライマリ可動シーブ23から離間する側に倒れることを抑制することができ、駆動力の伝達効率が低下することを抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機201のプライマリプーリ202及びベルト式無段変速機201によれば、傾斜部229c及び接触部材としてのテーパ部材229bの傾斜部229cとの接触部分は、直線テーパ状に形成される。したがって、テーパ部材229bにベルト4からプライマリ固定シーブ22を介してスラスト方向の推力が作用すると、このテーパ部材229bがこの直線テーパ状の傾斜部229cに沿ってプライマリプーリ軸21の径方向外方に移動することから、テーパ部材229bとプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部222d、プライマリプーリ軸21側の溝部229aの傾斜部229cとの隙間がなくなり、この結果、このテーパ部材229bに作用する推力によりプライマリ固定シーブ22の倒れを適正に抑制することができる。
(実施形態3)
図8は、本発明の実施形態3に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリを示す部分断面図である。実施形態3に係るベルト式無段変速機のプーリは、実施形態1に係るベルト式無段変速機のプーリと略同様の構成であるが、固定シーブが圧入溝部を有する点で実施形態1に係るベルト式無段変速機のプーリとは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1を参照する。
本実施形態に係るベルト式無段変速機301のプライマリプーリ302は、図8に示すように、プライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23から離間する側への移動を規制手段としての規制部29により規制することで、ベルト4からプライマリ固定シーブ22にベルト反力が推力として作用した際にこのプライマリ固定シーブ22がプライマリ可動シーブ23から離間する側に倒れることを抑制し、駆動力の伝達効率が低下することを抑制している。
そして、さらに、本実施形態のプライマリプーリ302のプライマリ固定シーブ22は、ベルトが設けられる側とは反対側の面、すなわち、背面22c側に圧入溝部322eを有する。この圧入溝部322eは、プライマリ固定シーブ22の背面22cの内周面側に段差部分として設けられている。圧入溝部322eは、回転軸線X周りに円環状に形成されている。また、圧入溝部322eは、底部が回転軸線Xとほぼ直交するように平坦に形成されている。
ここで、プライマリプーリ軸21を回転可能に支持する軸受としての軸受部材325は、内輪325aと、外輪325bと、転動体325cを有している。内輪325aは、中心軸線が回転軸線Xとほぼ一致するような円筒形状に形成されており、プライマリプーリ軸21の外周面21d側に固定して設けられている。したがって、内輪325aは、プライマリプーリ軸21と一体で回転可能である。一方、外輪325bは、中心軸線が回転軸線Xとほぼ一致するような円筒形状に形成されており、ケーシング(不図示)に固定して設けられている。外輪325bは、内輪325aに対して径方向に隙間をあけてこの内輪325aの径方向外側に設けられる。そして、転動体325cは、この内輪325aと外輪325bとの間に複数設けられる。転動体325cは、例えば、球状に形成され内輪325aと外輪325bとに接触しながら転動可能である。したがって、この軸受部材325は、プライマリプーリ軸21が内輪325aと共に回転する際には転動体325cが内輪325aと外輪325bとに接触しながら転動することで、このプライマリプーリ軸21をケーシング(不図示)に対して回転可能に支持することができる。
本実施形態の軸受部材325は、内輪325aが回転軸線Xに沿った方向に対して外輪325bよりもプライマリ固定シーブ22側に突出するような形状に形成されている。そして、プライマリ固定シーブ22は、背面22c側に形成された上述の圧入溝部322eにこの内輪325aのプライマリ固定シーブ22側の端部が圧入して固定される。
上記のように構成されるプライマリプーリ302では、例えば、本図中に一点鎖線で示すようにプライマリ可動シーブ23がプライマリ固定シーブ22に近接しベルト4の巻き掛け半径が相対的に大きくなった場合などに、ベルト4から傾斜面に大きなベルト反力が推力として作用すると、プライマリ固定シーブ22は、この推力によりボール29b近傍を中心としたモーメント荷重(図8中ボール29bを中心として時計回りのモーメント荷重)が生じてプライマリ可動シーブ23から離間する方向に倒れようとする。このとき、このプライマリ固定シーブ22は、背面22c側の圧入溝部322eに内輪325aが圧入されていることから、この内輪325aと圧入溝部322eとの圧入部分にて上記モーメント荷重をうけることで、プライマリ可動シーブ23から離間する方向への倒れが抑制される。そして、このプライマリプーリ302は、ベルト4からプライマリ固定シーブ22にベルト反力が推力として作用した際に内輪325aと圧入溝部322eとによりこのプライマリ固定シーブ22がプライマリ可動シーブ23から離間する側に倒れることを抑制することができることで、駆動力の伝達効率が低下することを抑制することができる。また、プライマリプーリ302は、プライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23から離間する方向への倒れが抑制されることで、プライマリ固定シーブ22とプライマリプーリ軸21との接合部、すなわち、規制部29やスプライン部21bに作用するモーメント荷重を抑制することもできるので、この規制部29やスプライン部21bの耐久性も向上させることができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機301のプライマリプーリ302及びベルト式無段変速機301によれば、ベルト4からプライマリ固定シーブ22にベルト反力が推力として作用した際に規制部29のボール29bがプライマリ固定シーブ22の背面22c側の溝部22dとプライマリプーリ軸21側の溝部29aの傾斜部29cとに接触し力をうけることで、ボール29bに作用する推力によりプライマリ固定シーブ22がプライマリ可動シーブ23から離間する側に倒れることを抑制することができ、駆動力の伝達効率が低下することを抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機301のプライマリプーリ302及びベルト式無段変速機301によれば、プライマリ固定シーブ22は、ベルト4が設けられる側とは反対側の背面22cにプライマリプーリ軸21を回転可能に支持する軸受部材325の内輪325aが圧入される圧入溝部322eを有する。したがって、ベルト4からプライマリ固定シーブ22にベルト反力が推力として作用した際に内輪325aと圧入溝部322eとの圧入部分によりこのプライマリ固定シーブ22がプライマリ可動シーブ23から離間する側に倒れることを抑制することができることで、駆動力の伝達効率が低下することを抑制することができ、また、プライマリ固定シーブ22とプライマリプーリ軸21との接合部、すなわち、規制部29やスプライン部21bの耐久性を向上させることができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機のプーリ、ベルト式無段変速機は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、本発明のベルト式無段変速機のプーリとして主にプライマリプーリ側を詳細に説明したが、本発明のベルト式無段変速機のプーリは、セカンダリプーリに適用することもできる。
また、以上の説明では、プーリ軸は、スプライン形成面の外径と軸側摺動面の外径とが同径に設定されるものとして説明したが、軸側摺動面の外径がスプライン形成面の外径より大きく設定されていてもよい。
また、以上の実施形態2の説明では、接触部材は、長手方向に沿ってテーパ面229dが設けられた柱状のテーパ部材229bにより構成されるものとして説明したが、これに限らず、例えば、図9の変形例に示すように、円柱状のローラ429bにより構成してもよい。この場合、少なくとも溝部229aの傾斜部229c及びローラ429bの傾斜部229cとの接触部分が曲面状に形成されていればよい。
以上のように、本発明に係るベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機は、駆動力の伝達効率の低下を抑制することができるものであり、種々のベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機に適用して好適である。
本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機の概略構成図である。 本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリを示す部分断面図である。 本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備える規制部を示す部分断面図である。 本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリ可動シーブの倒れ抑制を説明する模式的断面図である。 本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備える規制部を示す部分断面図である。 本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備えるテーパ部材を示す斜視図である。 本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備えるテーパ部材の配置例を示す模式図である。 本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備えるテーパ部材の配置例を示す模式図である。 本発明の実施形態3に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリを示す部分断面図である。 本発明の変形例に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備えるローラを示す斜視図である。 比較例に係るプライマリプーリのプライマリ可動シーブの倒れ抑制を説明する模式的断面図である。
符号の説明
1、201、301 ベルト式無段変速機
2、202、302 プライマリプーリ(プーリ)
3 セカンダリプーリ(プーリ)
4 ベルト
5 ECU
6 油圧制御装置
21 プライマリプーリ軸(プーリ軸)
21a 作動油通路
21b スプライン部
21c 内周面
21d 外周面
21e 第1連通路
21f 開口
21g 軸側摺動面
21h スプライン形成面
21i スプライン溝(軸側スプライン溝)
22 プライマリ固定シーブ(固定シーブ)
22a スプライン形成面
22b スプライン溝
22c 背面
22d、222d 溝部
23 プライマリ可動シーブ(可動シーブ)
23a 背面
23b 内周面
23c 第2連通路
23d 第3連通路
23e シーブ側摺動面
23f スプライン形成面
23g スプライン溝(シーブ側スプライン溝)
24 プライマリ油圧室
25、26、35、36 軸受部材
27 プライマリ溝
28 プライマリシリンダ
29、229 規制部(規制手段)
29a、229a 溝部
29b ボール(接触部材)
29c、229c 傾斜部
31 セカンダリプーリ軸(プーリ軸)
32 セカンダリ固定シーブ(固定シーブ)
33 セカンダリ可動シーブ(可動シーブ)
34 セカンダリ油圧室
37 セカンダリ溝
38 セカンダリシリンダ
100 エンジン(駆動源)
229b テーパ部材(接触部材)
229d テーパ面
322e 圧入溝部
325 軸受部材(軸受)
325a 内輪
325b 外輪
325c 転動体
429b ローラ(接触部材)

Claims (8)

  1. プーリ軸と、
    前記プーリ軸とは別体に形成されると共に、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる固定シーブと、
    前記プーリ軸に一体回転可能に設けられ、かつ、前記プーリ軸の軸方向に沿って前記固定シーブに対して相対的に移動することで、前記固定シーブとの間に設けられるベルトにベルト挟圧力を作用させる可動シーブと、
    前記プーリ軸に形成され前記可動シーブから離間するにしたがって深さが浅くなる傾斜部が設けられた溝部と、前記溝部に設けられ前記固定シーブの前記ベルトが設けられる側とは反対側の面に接触可能であると共に前記傾斜部と接触可能である接触部材とを有し、前記接触部材が前記固定シーブと前記傾斜部とに接触することで前記固定シーブの前記可動シーブから離間する側への移動を規制する規制手段とを備えることを特徴とする、
    ベルト式無段変速機のプーリ。
  2. 前記可動シーブは、内周面に形成された軸方向のシーブ側スプライン溝と、前記プーリ軸の外周面に形成された軸方向の軸側スプライン溝とがスプライン嵌合することで前記プーリ軸に移動可能に支持され、
    前記プーリ軸は、外周面に前記軸側スプライン溝が形成されたスプライン形成面と前記可動シーブの内周面が接触して摺動する軸側摺動面とを有すると共に、前記スプライン形成面の外径と前記軸側摺動面の外径とが同径に設定されることを特徴とする、
    請求項1に記載のベルト式無段変速機のプーリ。
  3. 前記固定シーブは、前記可動シーブを前記プーリ軸に移動自在に支持するスプライン部を兼用して、前記プーリ軸に固定して支持されることを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載のベルト式無段変速機のプーリ。
  4. 前記傾斜部及び前記接触部材の当該傾斜部との接触部分は、曲面状に形成されることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のベルト式無段変速機のプーリ。
  5. 前記傾斜部及び前記接触部材の当該傾斜部との接触部分は、直線テーパ状に形成されることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のベルト式無段変速機のプーリ。
  6. 前記固定シーブは、前記ベルトが設けられる側とは反対側の面に前記プーリ軸を回転可能に支持する軸受の内輪が圧入される圧入溝部を有すること特徴とする、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のベルト式無段変速機のプーリ。
  7. プーリ軸と、
    前記プーリ軸とは別体に形成されると共に、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる固定シーブと、
    前記プーリ軸に一体回転可能に設けられ、かつ、前記プーリ軸の軸方向に沿って前記固定シーブに対して相対的に移動することで、前記固定シーブとの間に設けられるベルトにベルト挟圧力を作用させる可動シーブとを備え、
    前記固定シーブは、前記ベルトが設けられる側とは反対側の面に前記プーリ軸を回転可能に支持する軸受の内輪が圧入される圧入溝部を有することを特徴とする、
    ベルト式無段変速機のプーリ。
  8. 2つのプーリと、
    前記各プーリに巻き掛けられ、駆動源からの駆動力を入力側の前記プーリから出力側の前記プーリに伝達するベルトとを備え、
    前記2つのプーリは、それぞれ、プーリ軸と、前記プーリ軸とは別体に形成されると共に前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる固定シーブと、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられ、かつ、前記プーリ軸の軸方向に沿って前記固定シーブに対して相対的に移動することで、前記固定シーブとの間に設けられるベルトにベルト挟圧力を作用させる可動シーブとを有し、
    少なくとも前記2つのプーリのいずれか一方は、前記プーリ軸に形成され前記可動シーブから離間するにしたがって深さが浅くなる傾斜部が設けられた溝部と、前記溝部に設けられ前記固定シーブの前記ベルトが設けられる側とは反対側の面に接触可能であると共に前記傾斜部と接触可能である接触部材とを有し、前記接触部材が前記固定シーブと前記傾斜部とに接触することで前記固定シーブの前記可動シーブから離間する側への移動を規制する規制手段を含んで構成されることを特徴とする、
    ベルト式無段変速機。
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