JP2009024851A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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一昭 石浦
Takehito Hattori
勇仁 服部
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Abstract

【課題】低コスト化を図ることができるベルト式無段変速機を提供すること。
【解決手段】ベルト式無段変速機は、プーリ軸21,31と、プーリ軸21,31に嵌合することで、プーリ軸21,31と一体回転し、かつプーリ軸21,31に対して軸方向に摺動自在に支持される可動シーブ23,33とを有するプーリを備える。プーリ軸21,31と可動シーブ23,33との嵌合部Fの軸方向と直交する方向における嵌合断面は、楕円形状に形成されている。スプライン嵌合を用いずに、可動シーブ23,33とプーリ軸21,31とが一体回転でき、可動シーブ23,33がプーリ軸21,31に対して軸方向に摺動自在に支持することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ベルト式無段変速機に関するものである。
一般に、車両には、駆動源である内燃機関や電動機が発生する駆動力を車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動源の出力側に変速機が設けられている。変速機には、変速比を無段階(連続的)に制御する無段変速機と、変速比を段階的(不連続)に制御する有段変速機とがある。ここで、無段変速機には、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、ベルトとを備えるベルト式無段変速機がある。
プライマリプーリおよびセカンダリプーリは、一般的に、プーリ軸と、プーリ軸と一体径に形成される固定シーブと、プーリ軸に嵌合されることで、プーリ軸と一体回転し、かつプーリ軸に対して軸方向に摺動自在に支持される可動シーブとにより構成される。
プーリ軸と可動シーブとが嵌合する嵌合部は、プーリ軸の外周面と可動シーブの内周面とにより構成される。従来のベルト式無段変速機では、通常、プーリ軸の外周面と可動シーブの内周面とは、ともに円形状で形成されている。ここで、ベルト式無段変速機では、プーリ軸と可動シーブとの間でトルクを伝達するために、可動シーブとプーリ軸とを一体回転させることとなる。従って、スプライン嵌合などで、可動シーブがプーリ軸に嵌合されている。
スプライン嵌合としては、インボリュートスプライン嵌合、ローラスプライン嵌合、ボールスプライン嵌合などがある。ボールスプライン嵌合は、例えば特許文献1に示すように、可動シーブの内周面に形成された溝と、プーリ軸に外周面に形成された溝との間に、ボールが挿入されている。
特開2001−323978号公報
ところで、上記特許文献1に示すようなベルト式無段変速機では、プーリ軸および可動シーブに溝を加工することとなる。また、溝に対してボールを滑らかに摺動させるために、溝に対して高い加工精度が要求される。従って、低コスト化が困難であった。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、低コスト化を図ることができるベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明では、プーリ軸と、前記プーリ軸に嵌合することで、当該プーリ軸と一体回転し、かつ当該プーリ軸に対して軸方向に摺動自在に支持される可動シーブとを有するプーリを備えるベルト式無段変速機において、前記プーリ軸と前記可動シーブとの嵌合部の軸方向と直交する方向における嵌合断面は、楕円形状あるいは多角形状のいずれかで形成されていることを特徴とする。
また、本発明では、上記ベルト式無段変速機において、前記嵌合断面は、外接円径が前記プーリ軸の最大外径以下、内接円径が当該プーリ軸の最小以上に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、プーリ軸と可動シーブとが嵌合する嵌合部の軸方向と直交する方向における嵌合断面が楕円形状あるいは多角形状のいずれかで形成されているので、プーリ軸と可動シーブとの相対回転を規制することができる。従って、可動シーブとプーリ軸とを一体回転することができ、プーリ軸と可動シーブとの間でトルクを伝達することができる。これにより、スプライン嵌合を用いずに、可動シーブとプーリ軸とが一体回転でき、可動シーブがプーリ軸に対して軸方向に摺動自在に支持することができる。従って、可動シーブとプーリ軸とをスプライン嵌合させるための溝を可動シーブあるいはプーリ軸の少なくとも一方に形成しなくても良いので、低コスト化を図ることができる。
ここで、プーリ軸と可動シーブとの間でトルクを伝達する際に、スプライン嵌合では溝底に高い応力を発生し、さらにボールスプライン嵌合ではボールと溝との接触面にも高い応力が発生する。しかしながら、本発明によれば、スプライン嵌合を用いないので、可動シーブおよびプーリ軸に溝などを加工しなくても良いので、十分な強度を確保することができる。従って、発生する応力を緩和するために、嵌合部の軸方向における長さを長くしなくても良いので、軸方向における小型化を図ることができる。
また、本発明では、上記ベルト式無段変速機において、前記嵌合断面は楕円形状であり、前記プーリ軸のうち、前記嵌合部を構成する部分に切欠部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明では、上記ベルト式無段変速機において、前記プーリ軸のうち、前記切欠部が形成された部分の軸方向における断面が円形状であることを特徴とする。
ここで、可動シーブがプーリ軸に対して軸方向に摺動するため、プーリ軸のうち嵌合部を構成する部分の軸方向における長さは、可動シーブのうち嵌合部を構成する部分の軸方向における長さよりも長くなる。従って、プーリ軸には、プーリ軸と可動シーブとが対向する部分以外に、軸方向と直交する方向における形状が楕円形状となる部分が存在することとなる。プーリ軸と可動シーブとが対向する部分は可動シーブとプーリ軸とが接触することで一体となっているので、プーリが回転してもバランスがとれているが、プーリ軸と可動シーブとが対向する部分以外が存在することにより、プーリに回転によるアンバランスが発生する虞がある。しかしながら、本発明によれば、プーリ軸のうち、嵌合部を構成する部分の一部に切欠部が形成され、例えば切欠部が形成された部分の軸方向における断面が円形状であるので、プーリ軸のうち嵌合部を構成する部分のうち、可動シーブのうち嵌合部を構成する部分の軸方向における長さよりも長い分の軸方向と直交する方向における断面が楕円形状となることを抑制することができる。従って、プーリに回転によるアンバランスが発生することを抑制することができる。これにより、トルク変動、回転変動により発生するプーリの偏荷重を抑制することができる。
本発明にかかるベルト式無段変速機は、低コスト化を図ることができるという効果を奏する。また、プーリに回転によるアンバランスが発生することを抑制することができ、トルク変動、回転変動により発生するプーリの偏荷重を抑制することができる。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記の実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。ここで、下記の実施の形態では、内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)が発生する出力トルクを伝達するベルト式無段変速機について説明するが、これに限定されるものではなく、ベルト式無段変速機が伝達する力は、モータなどの電動機が発生する出力トルクであっても良い。
[実施の形態]
図1は、実施の形態にかかるベルト式無段変速機の構成例を示す図である。図2は、嵌合部を示す図である。図3は、図2のA−A断面図である。図4は、図2のB−B断面図である。なお、図1は、変速比が最大の際におけるベルト式無段変速機を示す図である。
実施の形態にかかるベルト式無段変速機1は、図1に示すように、駆動源が発生する駆動力として内燃機関100が発生する出力トルクが入力され、複数個のベルトエレメントにより構成されるベルト4を介して、入力された内燃機関100が発生する出力トルクを所定の変速比で車輪160,160に伝達するものである。
内燃機関100が発生する出力トルクは、クランクシャフト101を介してトルクコンバータ110に伝達される。トルクコンバータ110は、発進機構であり、内燃機関100が発生する出力トルクを所定のトルク比で前後進切換機構120に伝達するものである。前後進切換機構120は、伝達された内燃機関100が発生する出力トルクの伝達方向を切り替えるものであり、従って、内燃機関100が発生する出力トルクの伝達方向を前後進切換機構120により切り替えることで、ベルト式無段変速機1が搭載された車両が前進あるいは後進をする。前後進切換機構120で伝達方向が決定された内燃機関100が発生する出力トルクは、ベルト式無段変速機1に伝達される。なお、トルクコンバータ110の制御、例えばロックアップのON/OFF制御および前後進切換機構120の制御、すなわち出力トルクの伝達方向の切替制御は、油圧制御回路6から供給される油圧が用いられる。これらの制御を行うための油圧制御回路6の油圧制御は、制御装置5により行われる。
ベルト式無段変速機1が所定の変速比で駆動することで、変速比に応じて変換された内燃機関100が発生する出力トルクは、ベルト式無段変速機1の後述するセカンダリプーリ3のセカンダリプーリ軸31を介して動力伝達機構(減速機)130に伝達される。動力伝達機構(減速機)130は、ベルト式無段変速機1とディファレンシャルギヤ機構140とを連結するものである。動力伝達機構(減速機)130に伝達された内燃機関100が発生する出力トルクは、ディファレンシャルギヤ機構140に伝達され、ディファレンシャルギヤ機構140と車輪160,160とを連結するドライブシャフト150,150を介して、車輪160,160に伝達される。
ベルト式無段変速機1は、図1に示すように、プーリであるプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3と、ベルト4と、制御装置5と、油圧制御回路6とにより構成されている。なお、7は、内燃機関100の運転制御を行うECU(Engine Control Unit)である。ECU7は、内燃機関100が搭載された車両の各所に取り付けられたセンサから入力された各種入力信号と、図示しない記憶部に記憶されている各種マップとに基づいて内燃機関100の運転制御、例えば図示しない燃料噴射弁の噴射制御、スロットルバルブのスロットル開度制御、点火プラグの点火制御などを行うものである。ECU7の構成は、既に公知のものであるため説明を省略する。
プライマリプーリ2は、入力側のプーリであり、図1に示すように、前後進切換機構120を介して伝達された内燃機関100が発生する出力トルクをベルト4により、出力側のプーリであるセカンダリプーリ3に伝達するものである。プライマリプーリ2は、プライマリプーリ軸21と、プライマリ固定シーブ22と、プライマリ可動シーブ23と、プライマリプーリ2にベルト挟圧力を発生させることでベルト式無段変速機1の変速比を変更するプライマリ油圧室24とにより構成されている。
プライマリプーリ軸21は、プーリ軸であり、軸受25,26により回転可能に支持されている。プライマリプーリ軸21は、第1作動油通路21aと、第2作動油通路21bと、プーリ軸側嵌合部21cと、切欠部21dとにより構成されている。なお、プライマリプーリ軸21は、基本的に、プーリ軸側嵌合部21cを除き、軸方向と直交する方向における断面形状が円形状で形成されている。
第1作動油通路21aは、油圧制御回路6に接続されており、油圧制御回路6からプライマリ油圧室24に供給される作動油が流入する。また、第2作動油通路21bは、油圧制御回路6に接続されており、例えば、油圧制御回路6からプライマリプーリ2の潤滑部分に供給される作動油が流入する。
プーリ軸側嵌合部21cは、図2〜図4に示すように、プライマリプーリ軸21とプライマリ可動シーブ23とが嵌合する嵌合部Fを構成する部分である。プーリ軸側嵌合部21cは、プライマリプーリ軸21に嵌合されたプライマリ可動シーブ23の後述するシーブ側嵌合部23dと対向するように形成されている。ここで、プーリ軸側嵌合部21cは、プライマリプーリ軸21の外周面の一部である。プーリ軸側嵌合部21cは、実施の形態では、軸方向と直交する方向における断面が楕円形状に形成されている(図3参照)。
また、プーリ軸側嵌合部21cの軸方向における長さL1+L2+L3は、プライマリ可動シーブ23がプライマリプーリ軸21に対して軸方向に摺動しても、常にシーブ側嵌合部23dがプーリ軸側嵌合部21cと対向することができる長さに設定されている。実施の形態では、プーリ軸側嵌合部21cの軸方向における長さL1+L2+L3は、シーブ側嵌合部23dの軸方向における長さLに、プライマリ可動シーブ23がプライマリプーリ軸21に対して軸方向に摺動できる長さL4(図2の二点鎖線のプライマリ可動シーブ23と同図実線のプライマリ可動シーブ23との移動量)を加えた長さに設定されている。
切欠部21dは、プーリ軸側嵌合部21cの一部として形成されている。切欠部21dは、プライマリプーリ軸21のうち、切欠部21dが形成された部分の軸方向における断面が円形状に形成されている(図4参照)。ここで、切欠部21dが形成された部分の軸方向と直交する方向における断面は、実施の形態では、直径がプーリ軸側嵌合部21cの軸方向と直交する方向における断面の内接円形(図2に示すD2)と同一に形成されている。切欠部21dは、実施の形態では、プーリ軸側嵌合部21cの中央部に形成されている。具体的には、切欠部21dは、プライマリ可動シーブ23がプライマリプーリ軸21に対して軸方向に摺動しても、常にシーブ側嵌合部23dと対向できる位置に形成されている。ここで、切欠部21dの軸方向における長さL3は、プライマリ可動シーブ23がプライマリプーリ軸21に対して軸方向に摺動できる長さL4と同一に設定されている。つまり、シーブ側嵌合部23dの軸方向における長さLと、プーリ軸側嵌合部21cのうち切欠部21dを除く部分(以下、単に「対向プーリ軸側嵌合部」と称する)の軸方向における長さL1+L2とが同一となる。
プライマリ固定シーブ22は、図1に示すように、プライマリ可動シーブ23と対向する位置に、プライマリプーリ軸21と一体回転するように設けられている。ここでは、プライマリ固定シーブ22は、プライマリプーリ軸21の外周から径方向外側に突出する環状部として形成されている。つまり、実施の形態では、プライマリ固定シーブ22は、プライマリプーリ軸21の外周に一体的に設けられている。なお、プライマリ固定シーブ22は、基本的に、軸方向と直交する方向における断面形状が円形状に形成されている。
プライマリ可動シーブ23は、可動シーブであり、プライマリプーリ軸21に嵌合するものである。プライマリ可動シーブ23は、ボス部23aと、環状部23bと、突出部23cと、シーブ側嵌合部23dとにより構成されている。なお、プライマリ可動シーブ23は、基本的に、シーブ側嵌合部23dを除き、軸方向と直交する方向における断面形状が円形状に形成されている。
ボス部23aは、軸方向に延在して形成されている。環状部23bは、ボス部23aの軸方向における両端部のうち一方の端部(プライマリ固定シーブ22側)から径方向外側に突出して形成されている。突出部23cは、環状部23bの外周端部の近傍に軸方向のうち他方(プライマリピストン28側)に突出して環状に形成されている。
シーブ側嵌合部23dは、図2〜図4に示すように、嵌合部Fを構成する部分である。シーブ側嵌合部23dは、プライマリプーリ軸21のプーリ軸側嵌合部21cと対向する部分に形成されている。ここで、シーブ側嵌合部23dは、プライマリ可動シーブ23の内周面、すなわちボス部23aの内周面の一部である。シーブ側嵌合部23dは、実施の形態では、軸方向と直交する方向における断面がプーリ軸側嵌合部21cの軸方向と直交する方向における断面と同一形状である楕円形状に形成されている(図3参照)。ここで、シーブ側嵌合部23dは、プーリ軸側嵌合部21cに挿入された際に、プーリ軸側嵌合部21cに対して軸方向に摺動可能となるように形成されている。例えば、シーブ側嵌合部23dは、軸方向と直交する方向における断面がプーリ軸側嵌合部21cの軸方向と直交する方向における断面よりも若干大きく形成されている(図3参照)。また、シーブ側嵌合部23dの軸方向における長さLは、上述のように、プーリ軸側嵌合部21cのうち切欠部21dを除く部分の軸方向における長さL1+L2と同一の長さに設定されている。
プライマリ可動シーブ23は、シーブ側嵌合部23dがプーリ軸側嵌合部21cに挿入されることで、プライマリプーリ軸21に嵌合される。このとき、シーブ側嵌合部23dがプーリ軸側嵌合部21cに対して軸方向に摺動自在に支持され、プライマリ可動シーブ23がプライマリプーリ軸21に対して摺動自在に支持されることとなる。プライマリプーリ軸21とプライマリ可動シーブ23とが嵌合することで形成される嵌合部Fの軸方向と直交する方向における嵌合断面、実施の形態では、シーブ側嵌合部23dと対向プーリ軸側嵌合部とが互いに対向する部分の軸方向と直交する方向における断面は、上述のように、プーリ軸側嵌合部21cおよびシーブ側嵌合部23dの軸方向と直交する方向における断面が楕円形状であるので、楕円形状に形成されることとなる。嵌合部Fの嵌合断面が楕円形状に形成されることで、プーリ軸側嵌合部21cとシーブ側嵌合部23dとの回転方向における相対移動が規制されるので、プライマリプーリ軸21とプライマリ可動シーブ23との相対回転を規制することができる。従って、プライマリ可動シーブ23とプライマリプーリ軸21とを一体回転することができ、プライマリプーリ軸21とプライマリ可動シーブ23との間でトルクを伝達することができる。ここで、嵌合断面(プーリ軸側嵌合部21cの軸方向と直交する方向における断面を基準とする)は、外接円径D1がプライマリプーリ軸21の最大外径D3以下、内接円径D2がプライマリプーリ軸21の最小外径D4以上に形成されている。なお、シーブ側嵌合部23dと対向プーリ軸側嵌合部とが互いに対向する部分の軸方向における長さは、シーブ側嵌合部23dの軸方向における長さLから切欠部21dの軸方向における長さL3を引いた長さL−L3となる。
プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23との間、すなわちプライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23に対向する面と、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22と対向する面との間で、V字形状のプライマリ溝27が形成されている。プライマリ溝27には、無端であるベルト4が巻き掛けられている。つまり、ベルト4は、プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23との間に挟み込まれている。
プライマリ油圧室24は、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22と対向する面と反対側の背面と、プライマリプーリ軸21に固定された円筒形状のプライマリピストン28とに構成されている。突出部23cとプライマリピストン28との間には、例えばシールリングなどの図示しないプライマリ油圧室用シール部材が設けられている。つまり、プライマリ油圧室24を構成するプライマリ可動シーブ23の背面とプライマリピストン28とは、シール部材によりシールされている。なお、軸受26およびプライマリピストン28は、ロックナットにより、プライマリプーリ軸21に対して固定されている。
プライマリ油圧室24には、プライマリプーリ軸21の第1作動油通路21aに流入した作動油が供給される。つまり、油圧制御回路6は、プライマリ油圧室24に作動油を供給し、プライマリ油圧室24の油圧により、プライマリ可動シーブ23を軸方向に摺動させ、プライマリ可動シーブ23をプライマリ固定シーブ22に対して接近あるいは離隔させるものである。プライマリ油圧室24は、プライマリ油圧室24に供給される作動油により、プライマリ可動シーブ23を軸方向におけるプライマリ固定シーブ側に押圧する可動シーブ押圧力をプライマリ可動シーブ23に作用させることで、プライマリ溝27に巻き掛けられるベルト4に対するベルト挟圧力を発生させる。つまり、プライマリプーリ2は、プライマリ油圧室24の油圧によりベルト4に対してベルト挟圧力を発生させ、発生したベルト挟圧力により、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、プライマリ油圧室24は、例えばベルト式無段変速機1の変速比を変更させる機能およびプライマリプーリ2に対してベルト4がスリップすることを抑制する機能を有するものである。
セカンダリプーリ3は、出力側のプーリであり、図1に示すように、ベルト4を介してプライマリプーリ2から伝達された内燃機関100が発生する出力トルクを動力伝達機構(減速機)130、ディファレンシャルギヤ機構140、ドライブシャフト150,150を介して車輪160,160に伝達するものである。セカンダリプーリ3は、セカンダリプーリ軸31と、セカンダリ固定シーブ32と、セカンダリ可動シーブ33と、セカンダリプーリ3にベルト挟圧力を発生させることで、ベルト4の張力を調整するセカンダリ油圧室34とにより構成されている。
セカンダリプーリ軸31は、プーリ軸であり、軸受35,36により回転可能に支持されている。セカンダリプーリ軸31は、第1作動油通路31aと、第2作動油通路31bと、プーリ軸側嵌合部31cと、切欠部31dとにより構成されている。なお、セカンダリプーリ軸31は、基本的に、プーリ軸側嵌合部31cを除き、軸方向と直交する方向における断面形状が円形状で形成されている。
第1作動油通路31aは、油圧制御回路6に接続されており、油圧制御回路6からセカンダリ油圧室34に供給される作動油が流入する。また、第2作動油通路31bは、油圧制御回路6に接続されており、例えば、油圧制御回路6からセカンダリプーリ3の潤滑部分に供給される作動油が流入する。
プーリ軸側嵌合部31cは、図2〜図4に示すように、セカンダリプーリ軸31とセカンダリ可動シーブ33とが嵌合する嵌合部Fを構成する部分である。ここで、プーリ軸側嵌合部31cは、セカンダリプーリ軸31に嵌合されたセカンダリ可動シーブ33の後述するシーブ側嵌合部33dと対向するように形成されている。ここで、プーリ軸側嵌合部31cは、セカンダリプーリ軸31の外周面の一部である。プーリ軸側嵌合部31cは、実施の形態では、軸方向と直交する方向における断面が楕円形状に形成されている(図3参照)。
また、プーリ軸側嵌合部31cの軸方向における長さL1+L2+L3は、セカンダリ可動シーブ33がセカンダリプーリ軸31に対して軸方向に摺動しても、常にシーブ側嵌合部33dがプーリ軸側嵌合部31cと対向することができる長さに設定されている。実施の形態では、プーリ軸側嵌合部31cの軸方向における長さL1+L2+L3は、シーブ側嵌合部33dの軸方向における長さLに、セカンダリ可動シーブ33がセカンダリプーリ軸31に対して軸方向に摺動できる長さL4(図2の二点鎖線のセカンダリ可動シーブ33と同図実線のセカンダリ可動シーブ33との移動量)を加えた長さに設定されている。
切欠部31dは、プーリ軸側嵌合部31cの一部として形成されている。切欠部31dは、セカンダリプーリ軸31のうち、切欠部31dが形成された部分の軸方向における断面が円形状に形成されている(図4参照)。ここで、切欠部31dが形成された部分の軸方向と直交する方向における断面は、実施の形態では、直径がプーリ軸側嵌合部31cの軸方向と直交する方向における断面の内接円形(図2に示すD2)と同一に形成されている。切欠部31dは、実施の形態では、プーリ軸側嵌合部31cの中央部に形成されている。具体的には、切欠部31dは、セカンダリ可動シーブ33がセカンダリプーリ軸31に対して軸方向に摺動しても、常にシーブ側嵌合部33dと対向できる位置に形成されている。ここで、切欠部31dの軸方向における長さL3は、セカンダリ可動シーブ33がセカンダリプーリ軸31に対して軸方向に摺動できる長さL4と同一に設定されている。つまり、シーブ側嵌合部33dの軸方向における長さLと、プーリ軸側嵌合部31cのうち切欠部31dを除く部分(以下、単に「対向プーリ軸側嵌合部」と称する)の軸方向における長さL1+L2とが同一となる。
セカンダリ固定シーブ32は、図1に示すように、セカンダリ可動シーブ33と対向する位置に、セカンダリプーリ軸31と一体回転するように設けられている。ここでは、セカンダリ固定シーブ32は、セカンダリプーリ軸31の外周から径方向外側に突出する環状部として形成されている。つまり、実施の形態では、セカンダリ固定シーブ32は、セカンダリプーリ軸31の外周に一体的に設けられている。なお、セカンダリ固定シーブ32は、基本的に、軸方向と直交する方向における断面形状が円形状に形成されている。
セカンダリ可動シーブ33は、可動シーブであり、セカンダリプーリ軸31に嵌合するものである。セカンダリ可動シーブ33は、ボス部33aと、環状部33bと、突出部33cと、シーブ側嵌合部33dとにより構成されている。なお、セカンダリ可動シーブ33は、基本的に、シーブ側嵌合部33dを除き、軸方向と直交する方向における断面形状が円形状に形成されている。
ボス部33aは、軸方向に延在して形成されている。環状部33bは、ボス部33aの軸方向における両端部のうち一方の端部(セカンダリ固定シーブ32側)から径方向外側に突出して形成されている。突出部33cは、環状部33bの外周端部の近傍に軸方向のうち他方(セカンダリピストン38側)に突出して環状に形成されている。
シーブ側嵌合部33dは、図2〜図4に示すように、嵌合部Fを構成する部分である。シーブ側嵌合部33dは、セカンダリプーリ軸31のプーリ軸側嵌合部31cと対向する部分に形成されている。ここで、シーブ側嵌合部33dは、セカンダリ可動シーブ33の内周面、すなわちボス部33aの内周面の一部である。シーブ側嵌合部33dは、実施の形態では、軸方向と直交する方向における断面がプーリ軸側嵌合部31cの軸方向と直交する方向における断面と同一形状である楕円形状に形成されている(図3参照)。ここで、シーブ側嵌合部33dは、プーリ軸側嵌合部31cに挿入された際に、プーリ軸側嵌合部31cに対して軸方向に摺動可能となるように形成されている。例えば、シーブ側嵌合部33dは、軸方向と直交する方向における断面がプーリ軸側嵌合部31cの軸方向と直交する方向における断面よりも若干大きく形成されている(図3参照)。また、シーブ側嵌合部33dの軸方向における長さLは、上述のように、プーリ軸側嵌合部31cのうち切欠部31dを除く部分の軸方向における長さL1+L2と同一の長さに設定されている。
セカンダリ可動シーブ33は、シーブ側嵌合部33dがプーリ軸側嵌合部31cに挿入されることで、セカンダリプーリ軸31に嵌合される。このとき、シーブ側嵌合部33dがプーリ軸側嵌合部31cに対して軸方向に摺動自在に支持され、セカンダリ可動シーブ33がセカンダリプーリ軸31に対して摺動自在に支持されることとなる。セカンダリプーリ軸31とセカンダリ可動シーブ33とが嵌合することで形成される嵌合部Fの軸方向と直交する方向における嵌合断面、実施の形態では、シーブ側嵌合部33dと対向プーリ軸側嵌合部とが互いに対向する部分の軸方向と直交する方向における断面は、上述のように、プーリ軸側嵌合部31cおよびシーブ側嵌合部33dの軸方向と直交する方向における断面が楕円形状であるので、楕円形状に形成されることとなる。嵌合部Fの嵌合断面が楕円形状に形成されることで、プーリ軸側嵌合部31cとシーブ側嵌合部33dとの回転方向における相対移動が規制されるので、セカンダリプーリ軸31とセカンダリ可動シーブ33との相対回転を規制することができる。従って、セカンダリプーリ軸31とセカンダリ可動シーブ33とを一体回転することができ、セカンダリプーリ軸31とセカンダリ可動シーブ33との間でトルクを伝達することができる。ここで、嵌合断面(プーリ軸側嵌合部31cの軸方向と直交する方向における断面を基準とする)は、外接円径D1がセカンダリプーリ軸31の最大外径D3以下、内接円径D2がセカンダリプーリ軸31の最小外径D4以上に形成されている。なお、シーブ側嵌合部33dと対向プーリ軸側嵌合部とが互いに対向する部分の軸方向における長さは、シーブ側嵌合部33dの軸方向における長さLから切欠部31dの軸方向における長さL3を引いた長さL−L3となる。
セカンダリ固定シーブ32とセカンダリ可動シーブ33との間、すなわちセカンダリ固定シーブ32のセカンダリ可動シーブ33に対向する面と、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32と対向する面との間で、V字形状のセカンダリ溝37が形成されている。セカンダリ溝37には、無端であるベルト4が巻き掛けられている。つまり、ベルト4は、セカンダリ固定シーブ32とセカンダリ可動シーブ33との間に挟み込まれている。
セカンダリ油圧室34は、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32と対向する面と反対側の背面と、セカンダリプーリ軸31に固定された円筒形状のセカンダリピストン38とに構成されている。突出部33cとセカンダリピストン38との間には、例えばシールリングなどの図示しないセカンダリ油圧室用シール部材が設けられている。つまり、セカンダリ油圧室34を構成するセカンダリ可動シーブ33の背面とセカンダリピストン38とは、シール部材によりシールされている。なお、軸受35およびセカンダリピストン38は、ロックナットにより、セカンダリプーリ軸31に対して固定されている。また、軸受36およびパーキングギヤ39は、ロックナットにより、セカンダリプーリ軸31に対して固定されている。
セカンダリ油圧室34には、セカンダリプーリ軸31の第1作動油通路31aに流入した作動油が供給される。つまり、油圧制御回路6は、セカンダリ油圧室34に作動油を供給し、セカンダリ油圧室34の油圧により、セカンダリ可動シーブ33を軸方向に摺動させ、セカンダリ可動シーブ33をセカンダリ固定シーブ32に対して接近あるいは離隔させるものである。セカンダリ油圧室34は、セカンダリ油圧室34に供給される作動油により、セカンダリ可動シーブ33を軸方向におけるセカンダリ固定シーブ側に押圧する可動シーブ押圧力をセカンダリ可動シーブ33に作用させることで、セカンダリ溝37に巻き掛けられるベルト4に対するベルト挟圧力を発生させる。つまり、セカンダリプーリ3は、セカンダリ油圧室34の油圧によりベルト4に対してベルト挟圧力を発生させ、発生したベルト挟圧力により、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、セカンダリ油圧室34は、例えばベルト4のプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3に対する接触半径を一定に維持し、ベルト4の張力を調整する機能を有するものである。なお、セカンダリプーリ3には、ベルト4に対してベルト挟圧力を発生する手段として、セカンダリ油圧室34のみならずトルクカムを備えていても良い。
ベルト4は、プライマリプーリ2とセカンダリプーリ3との間で力、例えば内燃機関100が発生する出力トルクの伝達を行うものである。ベルト4は、上述のように、プライマリプーリ2とセカンダリプーリ3とに巻き掛けられる無端ベルトである。
制御装置5は、ベルト式無段変速機1の駆動を制御、特に変速比を制御するものである。制御装置5は、油圧制御回路6と接続されており、油圧制御回路6の油圧制御を行うことで、プライマリ油圧室24の油圧およびセカンダリ油圧室34の油圧を調整する。従って、制御装置5は、プライマリプーリ2におけるベルト挟圧力およびセカンダリプーリ3におけるベルト挟圧力を調整し、プライマリプーリ2の回転数である入力軸回転数と、セカンダリプーリ3の回転数である出力軸回転数との比である変速比を制御するものである。ここで、制御装置5は、図示しない入力軸回転数センサにより検出された入力軸回転数と、図示しない出力軸回転数センサにより検出された出力軸回転数との比から検出された実際の変速比に基づいて、内燃機関100の運転状態に応じて決定された目標変速比に対するフィードバック制御が行われる。また、制御装置5は、ECU7と接続されており、ECU7から内燃機関100に供給される燃料の燃料供給量や、内燃機関100に空気を導入する図示しない吸気経路の圧力、内燃機関100の機関回転数、上記スロットル開度などが入力される。なお、制御装置5の構成は、既に公知であるトランスミッションコントロールコンピュータの構成と同様のものであるため説明を省略する。
次に、実施の形態にかかるベルト式無段変速機1の動作について説明する。内燃機関100がECU7により運転制御されると、内燃機関100が発生した出力トルクにより、ベルト式無段変速機1が駆動する。また、ベルト式無段変速機1は、内燃機関100の運転状態に応じて制御装置5により変速比が変更される。
具体的には、図1に示すように、プライマリプーリ2には、トルクコンバータ110および前後進切換機構120を介して、内燃機関100が発生する出力トルクが伝達される。このとき、内燃機関100が発生した出力トルクは、プライマリプーリ軸21に伝達され、プライマリプーリ軸21に一体に形成されたプライマリ固定シーブ22および嵌合部Fによりプライマリプーリ軸21に一体回転するプライマリ可動シーブ23に伝達される。プライマリプーリ2は、プライマリ油圧室24の油圧によりベルト4に対してベルト挟圧力を発生している。従って、プライマリ溝27に巻き掛けられたベルト4とプライマリプーリ2との間に面圧が発生する。これにより、プライマリ固定シーブ22およびプライマリ可動シーブ23と、これらに接触するベルト4との間で摩擦力が発生し、プライマリプーリ2に伝達された内燃機関100が発生する出力トルクにより、ベルト4がセカンダリプーリ3に向かって移動する。
また、セカンダリプーリ3は、セカンダリ油圧室34の油圧によりベルト4に対してベルト挟圧力を発生している。従って、セカンダリ溝37に巻き掛けられたベルト4とセカンダリプーリ3との間に面圧が発生する。これにより、セカンダリ固定シーブ32およびセカンダリ可動シーブ33と、ベルト4との間で摩擦力が発生し、ベルト4に伝達された内燃機関100が発生する出力トルクは、セカンダリ固定シーブ32に一体に形成され、嵌合部Fによりセカンダリ可動シーブ33と一体回転するセカンダリプーリ軸31に伝達され、セカンダリプーリ3に伝達される。従って、ベルト式無段変速機1に伝達され、変換された内燃機関100が発生する出力トルクは、例えば、セカンダリプーリ軸31と一体回転可能に支持された図示しないリダクションドライブギヤを介して動力伝達機構(減速機)130に伝達される。
以上のように、実施の形態にかかるベルト式無段変速機1は、スプライン嵌合を用いずに、プライマリ可動シーブ23とプライマリプーリ軸21とが一体回転でき、プライマリ可動シーブ23がプライマリプーリ軸21に対して軸方向に摺動自在に支持することができる。また、スプライン嵌合を用いずに、セカンダリ可動シーブ33とセカンダリプーリ軸31とが一体回転でき、セカンダリ可動シーブ33がセカンダリプーリ軸31に対して軸方向に摺動自在に支持することができる。つまり、スプライン嵌合を用いずに、可動シーブとプーリ軸とが一体回転でき、可動シーブがプーリ軸に対して軸方向に摺動自在に支持することができる。従って、可動シーブとプーリ軸とをスプライン嵌合させるための溝を可動シーブあるいはプーリ軸の少なくとも一方に形成しなくても良いので、ベルト式無段変速機1の低コスト化を図ることができる。
また、スプライン嵌合を用いずに、可動シーブおよびプーリ軸に溝などの応力が集中する部分の加工をせずに、可動シーブとプーリ軸との接触面積を確保することができる。従って、十分な強度を確保することができる。これにより、発生する応力を緩和するために、嵌合部Fの軸方向における長さを長くしなくても良いので、ベルト式無段変速機1の軸方向における小型化を図ることができる。
また、プライマリ可動シーブ23のシーブ側嵌合部23dおよびプライマリプーリ軸21の対向プーリ軸側嵌合部は、ともに軸方向と直交する方向における断面が楕円形状であるとともに、軸方向における長さが同一である。また、プーリ軸側嵌合部21cの対向プーリ軸側嵌合部を除いた部分、すなわちプライマリプーリ軸21のうち切欠部21dが形成された部分の軸方向における断面が円形状に形成されている。また、セカンダリ可動シーブ33のシーブ側嵌合部33dおよびセカンダリプーリ軸31の対向プーリ軸側嵌合部は、ともに軸方向と直交する方向における断面が楕円形状であるとともに、軸方向における長さが同一である。また、プーリ軸側嵌合部31cの対向プーリ軸側嵌合部を除いた部分、すなわちセカンダリプーリ軸31のうち切欠部31dが形成された部分の軸方向における断面が円形状に形成されている。つまり、プーリ軸側嵌合部21c,31cのうち、シーブ側嵌合部23d,33dの軸方向における長さよりも長い部分の軸方向と直交する方向における断面が実施の形態ではすべて円形状であり、楕円形状となることを抑制することができる。従って、プーリ軸側嵌合部21c,31cがシーブ側嵌合部23d,33dよりも、軸方向と直交する方向における断面が楕円形である部分が多くなることで、プーリに回転によってアンバランスが発生することを抑制することができる。これにより、ベルト式無段変速機1のトルク変動、回転変動により発生するプーリの偏荷重を抑制することができる。
なお、上記実施の形態では、楕円形状としたが本発明はこれに限定されるものではない。図5は、他の嵌合部を示す図である。図6は、図5のC−C断面図である。図5および図6に示すように、プーリ軸側嵌合部21c,31cおよびシーブ側嵌合部23d,33dの軸方向と直交する方向における断面が多角形状(同図では、正6角形)であっても良い。つまり、プライマリプーリ軸21とプライマリ可動シーブ23とが嵌合することで形成される嵌合部Gの軸方向と直交する方向における嵌合断面、プーリ軸側嵌合部21f,31fおよびシーブ側嵌合部23e,33eの軸方向と直交する方向における断面が多角形状であるので、多角形状に形成されていても良い。嵌合部Gの嵌合断面が多角形状に形成されることで、プーリ軸側嵌合部21f,31fとシーブ側嵌合部23e,33eとの回転方向における相対移動が規制されるので、プーリ軸と可動シーブとの相対回転を規制することができる。従って、可動シーブとプーリ軸とを一体回転することができ、プーリ軸と可動シーブとの間でトルクを伝達することができる。これにより、スプライン嵌合を用いずに、可動シーブとプーリ軸とが一体回転でき、可動シーブがプーリ軸に対して軸方向に摺動自在に支持することができる。従って、ベルト式無段変速機1の低コスト化を図ることができ、ベルト式無段変速機1の軸方向における小型化を図ることができる。
以上のように、本発明にかかるベルト式無段変速機は、プーリ軸と可動シーブが嵌合するベルト式無段変速機に有用であり、特に、低コスト化を図るのに適している。
実施の形態にかかるベルト式無段変速機の構成例を示す図である。 嵌合部を示す図である。 図2のA−A断面図である。 図2のB−B断面図である。 他の嵌合部を示す図である。 図5のC−C断面図である。
符号の説明
1 ベルト式無段変速機
2 プライマリプーリ(プーリ)
21 プライマリプーリ軸(プーリ軸)
21a 第1作動油通路
21b 第2作動油通路
21c プーリ軸側嵌合部
21d 切欠部
22 プライマリ固定シーブ
23 プライマリ可動シーブ(可動シーブ)
23a ボス部
23b 環状部
23c 突出部
23d シーブ側嵌合部
24 プライマリ油圧室
25,26 軸受
27 プライマリ溝
28 プライマリピストン
3 セカンダリプーリ(プーリ)
31 セカンダリプーリ軸(プーリ軸)
31a 第1作動油通路
31b 第2作動油通路
31c プーリ軸側嵌合部
31d 切欠部
32 セカンダリ固定シーブ
33 セカンダリ可動シーブ(可動シーブ)
33a ボス部
33b 環状部
33c 突出部
33d シーブ側嵌合部
34 セカンダリ油圧室
35,36 軸受
37 セカンダリ溝
38 セカンダリピストン
39 パーキングギヤ
4 ベルト
5 制御装置
6 油圧制御回路
7 ECU
100 内燃機関
101 クランクシャフト
110 トルクコンバータ
120 前後進切換機構
130 動力伝達機構(減速機)
140 ディファレンシャルギヤ機構
150 ドライブシャフト
160 車輪

Claims (4)

  1. プーリ軸と、前記プーリ軸に嵌合することで、当該プーリ軸と一体回転し、かつ当該プーリ軸に対して軸方向に摺動自在に支持される可動シーブとを有するプーリを備えるベルト式無段変速機において、
    前記プーリ軸と前記可動シーブとの嵌合部の軸方向と直交する方向における嵌合断面は、楕円形状あるいは多角形状のいずれかで形成されていることを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 前記嵌合断面は、外接円径が前記プーリ軸の最大外径以下、内接円径が当該プーリ軸の最小外径以上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
  3. 前記嵌合断面は楕円形状であり、前記プーリ軸のうち、前記嵌合部を構成する部分に切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機。
  4. 前記プーリ軸のうち、前記切欠部が形成された部分の軸方向における断面が円形状であることを特徴とする請求項3に記載のベルト式無段変速機。
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