JP2013234745A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 油圧により変速制御されるベルト式無段変速機において、調圧精度を向上させるとともに燃費を向上させる。
【解決手段】 ベルトが巻き掛けられるプーリがプライマリシャフト4に一体化された固定シーブとその固定シーブに対して接近もしくは離隔するように軸線方向で移動するように嵌合された可動シーブ12とによって構成されるとともに、その可動シーブ12を固定シーブに向けて押す油圧室が可動シーブ12の固定シーブに対向する面とは反対側に設けられたベルト式無段変速機において、可動シーブ12およびプライマリシャフト4のいずれか一方に溝部が形成され、かつ他方がその溝部に嵌ることによって可動シーブ12の低速変速比側への移動を規制する固定手段81を備えている。
【選択図】図4

Description

この発明は、変速比を連続的に変化させるベルト式無段変速機に関し、特に、変速比を固定させることができるベルト式無段変速機に関するものである。
従来、固定シーブと軸線方向で移動可能な可動シーブとをそれぞれ備えた駆動プーリおよび従動プーリに無端状のベルトを巻き付けたベルト式無段変速機がある。それらプーリにおける固定シーブと可動シーブとが対向するV溝の溝幅を変化させてベルトの巻き掛かり半径を変化させることに基づいて各プーリの巻き掛かり半径比を変化させて変速比を得るように構成されている。
また、軸線方向に可動シーブを移動させる推力を生じる油圧アクチュエータを備えたベルト式無段変速機において、所定の変速比に設定させる場合に変速比を固定させる構成が知られている。
例えば、特許文献1には、油圧室を備えるプーリを有するベルト式無段変速機において、その油圧室と油圧制御装置との間の油路上に弁体を有する切換機構が設けられているものが開示されている。特に、そのベルト式無段変速機は、切換機構の弁体によりプライマリ油圧室内に作動油を閉じ込めて変速比を固定させる構成を備えている。
特開2010−53903号公報
上記の特許文献1に記載されたベルト式無段変速機は、プライマリ油圧室内の油圧によって変速比を固定させる構成であり、変速比を固定させ続けるためにはプライマリ油圧室内の油圧を高圧に維持する必要がある。そのため、切換機構が閉弁した状態でプライマリ油圧室内に閉じ込めた作動油が漏れ出した場合、その油漏れにより影響を受けてしまう。例えば、漏れ油分を補うためにはプライマリ油圧室に作動油の供給する必要が生じ、そのためのエネルギーが油圧装置で消費される可能性があった。また、油漏れによって調圧する必要が生じるので、油圧を調圧する精度が低下する可能性があった。
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであって、調圧精度を向上させるとともに燃費を向上させるベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、ベルトが巻き掛けられるプーリが回転軸に一体化された固定シーブとその固定シーブに対して接近もしくは離隔するように軸線方向で移動するように嵌合された可動シーブとによって構成されるとともに、その可動シーブを前記固定シーブに向けて押す油圧室が前記可動シーブの前記固定シーブに対向する面とは反対側に設けられたベルト式無段変速機において、前記可動シーブの内周面および前記回転軸の外周面のいずれか一方に溝部が形成され、かつ他方がその溝部に嵌ることによって前記可動シーブの低速変速比側への移動を規制する固定手段を備えていることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記固定手段は、前記可動シーブの内周面と前記回転軸の外周面との間をシールするシール材が固定部材として前記回転軸に形成された前記溝部に嵌ることによって前記可動シーブの低速変速比側への移動を規制するように構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機である。
請求項3に係る発明は、請求項1または2の発明において、前記溝部は、前記可動シーブの内周面および前記回転軸の外周面の両方に形成され、前記固定手段は、固定部材が前記両方の溝部に嵌っていることによって前記可動シーブの低速変速比側への移動を規制するように構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機である。
請求項4に係る発明は、請求項3の発明において、いずれか一方の前記溝部に前記固定部材および弾性体が収容されており、前記固定手段は、前記弾性体に基づいて前記固定部材が他方の前記溝部に嵌められることによって前記可動シーブの低速変速比側への移動を規制するように構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機である。
請求項1の発明によれば、油圧室内の油圧によって可動シーブを軸線方向に移動させることができるベルト式無段変速機において、構造によって可動シーブの低速変速比側への移動を規制させることができる。そのため、可動シーブを回転軸に固定後、可動シーブの位置決めのために油圧室内に作動油を供給する必要がなくなり、作動油を供給するために使用していたエネルギーを低減でき、燃費を向上させることができる。加えて、固定手段によって可動シーブを固定させたことで油圧室から漏れる油の影響を受けず、かつプーリがベルトを挟み込む力を安定させ、油圧振動を抑制できる。そのため、調圧精度が向上し、かつ調圧のために作動油を供給もしくは排出させるために使用していたエネルギーを低減でき燃費を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、可動シーブと回転軸とをシールするシール材によって可動シーブを回転軸に固定させることができる。すなわち、回転軸に溝部を加工することにより、追加部品を必要とせずに変速比の固定をさせることができるようになる。
請求項3の発明によれば、可動シーブの内周面に形成された溝部と、回転軸の外周面に形成された溝部との両方に固定部材が嵌ることによって、その固定部材が軸線方向の力を受けることができ、軸線方向で可動シーブの動きを規制させることができる。また、両方の溝部に固定部材が嵌るのでプーリがベルトを挟みこむ力が安定し調圧精度を向上させることができる。
請求項4の発明によれば、固定部材が弾性体によって半径方向に押されるので、可動シーブから半径方向の力を作用されなくても固定部材が他方の溝部に嵌ることができる。そのため、例えば固定部材として可動シーブと回転軸をシールするシール材を用いた場合、シール機能と固定機能とを共に発揮できるようになる。したがって、可動シーブが安定して固定され、かつ調圧精度を向上させることができる。
この発明に係る一実施形態のベルト式無段変速機を搭載した車両の動力伝達経路を模式的に示したスケルトン図である。 プライマリプーリの断面図を模式的に示した図である。 プライマリプーリの一部を拡大した断面図である。 プライマリプーリに設けられた固定部を拡大した断面図である。 固定部の変形例を備えたプライマリプーリの一部を拡大した断面図である。 プライマリプーリに設けられた固定部の変形例を拡大した断面図である。 変速制御の一例を示したフローチャート図である。
以下、この発明を具体例に基づいて説明する。この発明に係るベルト式無段変速機は、ベルト式無段変速機の変速比を所定の変速比に固定させる構造を有するものである。すなわち、ベルト式無段変速機の構造に基づいてベルト式無段変速機の変速比を固定させることができるように構成されている。
まず、図1を参照して、この発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機について詳細に説明する。図1は、この実施形態のベルト式無段変速機100を搭載した車両の動力伝達経路を模式的に示したスケルトン図である。ベルト式無段変速機100は、車両の動力源1から駆動輪7に到る動力伝達経路中に配置されているものである。その動力伝達経路の始点となる動力源1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関あるいはモータを主体とするものであって、アクセル操作などの出力操作に基づいて出力が制御されるように構成されている。その動力源1から出力された動力は、動力源1の出力軸2を介して連結されたトルクコンバータや前後進切換機構などの伝動機構3に伝達される。例えば、伝動機構3が前後進切換機構である場合には、それを構成する回転要素の回転方向を正逆に切り換えることにより、動力の回転方向の正逆を切り換える。伝動機構3の出力側には、ベルト式無段変速機100の入力側の回転軸であるプライマリシャフト4が連結されており、伝動機構3からプライマリシャフト4を介してベルト式無段変速機100に動力が伝達される。
ベルト式無段変速機100は、互いに平行な一対のプライマリシャフト4とセカンダリシャフト5とを備えるとともに、プライマリシャフト4に設けられかつプライマリシャフト4と一体的に回転するプライマリプーリ10と、セカンダリシャフト5に設けられかつセカンダリシャフト6と一体的に回転するセカンダリプーリ20とからなる一対のプーリに無端状のベルト50が巻き掛けられている。具体的には、各シャフト4,5と一体化している固定シーブ11,21と軸線方向で移動可能な可動シーブ12,22とが対向する傾斜面により形成されている断面V字状の溝(V溝)にベルト50が巻き掛けられている。
そのベルト50は、いわゆる湿式ベルトであってもよく、乾式ベルトであってもよい。例えば、ベルト50として、複数のエレメントと積層リングとにより構成された金属ベルトや、樹脂製の張力部材である芯線を有する張力帯とエレメントとにより構成された乾式複合ベルトや、樹脂製の動力伝達部である芯線を有するゴムベルトなどがある。
プライマリプーリ10の可動シーブ12を軸線方向に前後動させる推力を発生させる油圧アクチュエータ30が設けられている。油圧アクチュエータ30は、油圧によりプライマリプーリ10のV溝幅を変化させる推力を発生させるものである。その油圧アクチュエータ30が発生させた推力は、可動シーブ12に付与される。具体的には、油圧アクチュエータ30は、油圧により可動シーブ12を軸線方向で固定シーブ11側へ向けて押すように構成されている。したがって、油圧アクチュエータ30から推力を付与された可動シーブ12が軸線方向で前後動することによって、プライマリプーリ10のV溝幅が変化し、かつベルト巻き掛かり径が変化するように構成されている。なお、プライマリプーリ10および油圧アクチュエータ30の構成について後述にて詳細に説明する。
また、セカンダリプーリ20は、セカンダリシャフト5に取り付けられた可動シーブ22が、セカンダリシャフト6と一体化された固定シーブ21に接近もしくは離隔するように軸線方向に移動可能に構成されている。そのセカンダリプーリ20は、プライマリプーリ10と同様に、固定シーブ21と可動シーブ22とが対向する面により形成されたV溝にベルト50が巻き掛けられている。
さらに、セカンダリプーリ20の可動シーブ22を軸線方向に前後動させる推力を発生させる油圧アクチュエータ40が設けられている。油圧アクチュエータ40は、油圧によりセカンダリプーリ20のV溝に巻き掛けられたベルト50を挟み付ける力(ベルト挟圧力)を発生させるものである。具体的には、油圧アクチュエータ40で発生された力が可動シーブ22に軸線方向の推力として付与され、その推力を付与された可動シーブ22が固定シーブ21側へ向けて押されることによってセカンダリプーリ20がベルト挟圧力を生じるように構成されている。
すなわち、ベルト式無段変速機100は、プライマリプーリ10のベルト巻き掛かり径とセカンダリプーリ20のベルト巻き掛かり径とを変化させて、それら巻き掛かり径の比を変化させることにより、変速比を連続的に変化させるように構成されている。上述のように、動力伝達経路中のベルト式無段変速機100が変速比を変化させることにより伝達トルクを増減させ、増減されたトルクが出力側のセカンダリシャフト5に伝達される。そのセカンダリシャフト5は、図示しないディファレンシャルギアを介して、ドライブシャフト6に連結されるとともに駆動輪7に連結されている。したがって、ベルト式無段変速機100から出力されたトルク増減後の動力は、セカンダリシャフト5およびドライブシャフト6を介して駆動輪7に伝達され、その駆動輪7において駆動力を発生させる。
また、図1には例示していないが、この車両には、ベルト式無段変速機100を制御するコントローラとしての電子制御装置(ECU)が設けられている。この電子制御装置は、演算処理装置(CPU)および記憶装置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
その電子制御装置に対しては、エンジン回転数、車速、車両の加速度、アクセルペダルの操作状態、ブレーキペダルの操作状態、ブレーキ踏力、プライマリシャフト4の回転数、セカンダリシャフト5の回転数、ドライブシャフト6の回転数、駆動輪7の回転数などを検出するセンサ信号が入力される。すなわち、電子制御装置は、アップシフト要求や、ダウンシフト要求を検出することができるように構成されている。
また、電子制御装置の記憶装置には各種の制御プログラムとともに各種データが記憶されている。そのため、電子制御装置に入力される信号および記憶されているデータに基づいて、電子制御装置からベルト式無段変速機100を制御する信号が出力される。例えば、アップシフト要求やダウンシフト要求などに基づいて所定の処理を実施した結果の指示信号をベルト式無段変速機100へ出力する。具体的には、ダウンシフト要求に基づいてベルト式無段変速機100の油圧アクチュエータ30の油圧もしくは油量制御を実施し、油圧室32内の油圧を低下もしくは増大させて可動シーブ12を軸線方向で前後動させて、プライマリプーリ10のV溝幅を広げさせてダウンシフトさせるように構成されている。
つぎに、図2を参照して、ベルト式無段変速機100のプライマリプーリ10および油圧アクチュエータ30について詳細に説明する。図2は、プライマリプーリ10の断面図を模式的に示した図である。この実施形態のベルト式無段変速機100は、プライマリプーリ10がベルト式無段変速機100の変速比を所定の変速比に固定させる固定部81を備え、特に固定部81によってプライマリプーリ10の可動シーブ12が高速変速比から低速変速比側へ移動することを規制するように構成されている。ここでは、固定部81により固定される変速比をベルト式無段変速機100の変速比のうち最も高速側の変速比として説明する。
プライマリプーリ10の固定シーブ11は、プライマリシャフト4から半径方向に突出するように形成されている。可動シーブ12の内周面12bは、プライマリシャフト4の外周面4aとスプライン嵌合している。その固定シーブ11の傾斜面11aと、可動シーブ12の傾斜面12aとが互いに対向して、プライマリプーリ10におけるV溝を形成している。したがって、そのV溝にベルト50が巻き掛けられているプライマリプーリ10が回転すると、各シーブ11,12の傾斜面11a,12aは、ベルト50との接触により摩擦係合して摩擦力を生じ、その摩擦力に基づいてプライマリプーリ10からベルト50に動力が伝達される。
また、油圧アクチュエータ30は、可動シーブ12の傾斜面12aとは反対の背面側に設けられた油圧室32を有する。その油圧室32は、プライマリシャフト4の外周面4aと可動シーブ12の外周側とを連結するように設けられた隔壁31と、それらプライマリシャフト4および可動シーブ12とによって形成された空間である。また、油圧室32は、可動シーブ12の外周側に形成された外周シール材溝12cに嵌め込まれた外周シール材62によって可動シーブ12の外周側と隔壁31の内周側とがシールされ、可動シーブ12の内周側に形成された内周シール材溝12dに嵌め込まれたシール部61によって可動シーブ12の内周側とプライマリシャフト4の外周側とがシールされていることに基づいて作動油が充満されている。言い換えれば、内周シール材溝12dにシール部61が収容されている。すなわち、シール部61は、可動シーブ12の内周面12bとプライマリシャフト4の外周面4aとの間に設けられている。
また、油圧アクチュエータ30の油圧室32は、図示しないオイル供給排出装置と油路を介して接続されており、オイルポンプから吐出され油路を流通した作動油が油圧室32に供給されるように構成されている。そのオイル供給排出装置と油圧室32とを連通させる油路の一部が、図2に例示されており、中空に形成されたプライマリシャフト4内部に圧油を流通させる油路71と、油路71からプライマリシャフト4の外側に向けて形成された油路72と、可動シーブ12の円筒部に内周側と外周側とを連通される油路73とが設けられ、オイルポンプと油圧室32とが連通されている。なお、オイル供給排出装置とは、油圧室32に圧油を供給させかつ油圧室32から作動油を排出させるように構成され、例えばオイルポンプや、オイルパンや、調圧用弁などを含む構成である。
さらに、プライマリシャフト4の外周面4aには円周上に溝部4bが形成されている。この溝部4bは、プライマリプーリ10における固定部81に含まれる。この発明に含まれる固定部とは、プライマリプーリ10が有する構造であって、可動シーブ12およびプライマリシャフト4のいずれか一方に形成された溝に他方が嵌ることによって軸線方向で可動シーブ12の移動を規制させるものである。この実施形態の固定部81では、プライマリシャフト4に形成された溝部4bに可動シーブ12が嵌るように構成されている。具体的には、可動シーブ12の内周面12bに形成された内周シール材溝12dに嵌め込まれたシール部61がプライマリシャフト4の溝部4bに嵌ることによって軸線方向で可動シーブ12の移動を規制させるように固定部81が構成されている。すなわち、固定部81は、可動シーブ12の内周シール材溝12dと、シール部61と、プライマリシャフト4の溝部4bとから構成されている。
また、軸線方向で可動シーブ12が移動することに伴い、固定部81を構成する内周シール材溝12dと溝部4bとの軸線方向距離が変化するように構成されている。具体的には、図2に例示するように、ベルト式無段変速機100の変速比が低速側の変速比である場合、内周シール材溝12dと溝部4bとの軸線方向距離が長くなる。言い換えれば、低速側の変速比では、固定部81は可動シーブ12をプライマリシャフト4に固定させず、半径方向で内周シール材溝12dと溝部4bとが対向しないように構成されている。
一方、ベルト式無段変速機100の変速比が高速側の変速比である場合、内周シール材溝12dと溝部4bとの軸線方向距離は、上述の低速側の変速比の場合の距離に比べて小さくなる。そして、最も高速側の変速比となる場合に、その軸線方向距離がなくなり半径方向で内周シール材溝12dと溝部4bとが対向するように構成されている。この場合に、固定部81は可動シーブ12をプライマリシャフト4に固定させる。すなわち、最も高速側の変速比に設定された場合、可動シーブ12の軸線方向の移動を固定部81によって規制されるように構成されている。言い換えれば、固定部81の構造によって、プライマリプーリ10のベルト巻き掛かり径が固定される。
ここで、図3,4を参照して、プライマリプーリ10が固定部81によってプライマリシャフト4に固定される動作について説明する。図3は、可動シーブ12の内周シール材溝12dとプライマリシャフト4の溝部4bとの配置を例示した拡大図である。図4(a)〜(c)は、固定部81の断面図であって、図4(a)は低速側の変速比における状態を、図4(b)は溝部4bをシール部61が通過する状態を、図4(c)は固定部81が可動シーブ12をプライマリシャフト4に固定させている状態をそれぞれ例示した拡大図である。
図4に例示するように、固定部81に含まれるシール部61は、プライマリシャフト4の外周面4aおよび可動シーブ12の内周面12bと当接する環状の内周シール材61aと、その内周シール材61aに半径方向内側への弾性力を作用している環状の弾性体61bとから構成されている。すなわち、内周シール材61aは、油圧室32をシールするとともに弾性体61bから回転中心に向けて弾性力を受けている。さらに、内周シール材61aと弾性体61bとは一体的に構成されており、内周シール材61aが軸線方向で摺動する際に弾性体61bと分離しないように構成されている。
そして、油圧アクチュエータ30により発生される推力が増大すると、その推力を付与された可動シーブ12は固定シーブ11側へ移動する。例えば、図4(a),(b)に白抜き矢印で記載する方向、すなわち低速変速比から高速変速比側へと変速する方向へと可動シーブ12が推力によって移動させられる。具体的には、図4(a)に例示するように、高速変速比側へ変速するにつれて内周シール材溝12dと溝部4bとの軸線方向距離は次第に小さくなる。さらに高速側の変速比へ変速すると、図4(b)に例示するように、内周シール材溝12dおよびシール部61と溝部4bとの一部が軸線方向で重なる。そして、最も高速側の変速比に設定されると、図4(c)に例示するように、シール部61の内周シール材61aと溝部4bとが半径方向で対向しシール部61が溝部4bに嵌る。
上記のように内周シール材61aが溝部4bに嵌ると、溝部4bによって内周シール材61aが軸線方向で係止され、かつ係止された内周シール材61aによって内周シール材溝12dが可動シーブ12の低速変速比側の移動を規制するようにして係止される。すなわち、溝部4bに嵌った状態の内周シール材61aは固定部材として機能するように構成されている。また、図4に例示するように、内周シール材61aは内周シール材溝12dにおける固定シーブ11側の面を形成する部分と当接して溝部4bに嵌っている。
また、プライマリプーリ10は、プライマリプーリ10に巻き掛けられたベルト50が抜け落ちないように図示しないストッパーを備えており、そのストッパーによって可動シーブ12が固定シーブ11側へ接近しすぎないように可動域が制限されている。すなわち、溝部4bおよび内周シール材溝12bに嵌っている内周シール材61aは、可動シーブ12が最も高速側の変速比から低速変速比側への移動することを規制するようにして、その可動シーブ12を係止するように構成されている。したがって、固定部81によって可動シーブ12がプライマリシャフト4に固定されたことで、ベルト50を挟みこむために必要なプライマリプーリ10にかかる力の一部もしくは全部を固定部81が受け持つことができるようになる。言い換えれば、最も高速側の変速比に固定し続けるために可動シーブ12に作用する推力は、油圧アクチュエータ30により生じる推力とベルト50の荷重に対して固定部81で生じる反力との合力とも言える。
さらに、内周シール材61aは、弾性体61bによって半径方向内側へ弾性力を作用されている。具体的には、この実施形態のシール部61は、弾性体61bが弾性変形した状態でプライマリシャフト4に嵌合している。すなわち、内周シール材61aが溝部4bに嵌る際に半径方向で作用する力は、弾性体61bが生じる回転中心へ向かう弾性力である。したがって、内周シール材61aは可動シーブ12から半径方向の力を作用されずに溝部4bに嵌ることができるように構成されている。また、内周シール材61aが弾性部材により形成されていてもよい。この場合、プライマリシャフト4に嵌合することにより弾性変形している内周シール材61aが生じる弾性力によって溝部4bに嵌合するための半径方向の力を生じるように構成されている。
なお、軸線方向で可動シーブ12を固定シーブ11側へ移動させる際に、シール部61を固定シーブ11側へ摺動させる力は、シール部61が作動油から受ける油圧によるものである。すなわち、内周シール材溝12dの軸線方向距離が内周シール材溝12d内でシール部61の移動を許容する長さを有するように形成されている場合でも、シール部61によって可動シーブ12とプライマリシャフト4とがシールされた状態を保ちながら可動シーブ12は固定シーブ11側へ移動する。また、図4では、内周シール材61aの断面が四角形状で、弾性体61bの断面が円形状であるが、これは一例であって、この発明に係るシール部61は例示された形状に限定されない。例えば、シール部61を構成する内周シール材61aおよび弾性体61bの断面形状は、当接する部材の形状に応じた形状に変更可能である。さらに、そのシール部61は、溝部4bに嵌ることにより弾性変形するように構成されてもよい。
つぎに、図5,6を参照して、プライマリプーリ10が備える固定部の変形例についてより詳細に説明する。この変形例における固定部90は、プライマリシャフト4の外周面4aに形成されたキー溝4cに収容されたストッパー部91を備えている。なお、ここでは、上述の実施形態と同様の構成については説明を省略し、その同様の構成の参照符号を用いる。図5は、可動シーブ12の内周シール材溝12dとプライマリシャフト4のキー溝4cとの配置を例示した拡大図である。図6は、固定部90の断面図であって、ストッパー部91を拡大した断面図である。また、図6(a)は低速側の変速比における状態を、図6(b)はキー溝4cをシール部61が通過する状態を、図6(c)は固定部90が可動シーブ12をプライマリシャフト4に固定させている状態をそれぞれ例示した拡大図である。
そのストッパー部91は、半径方向で内側に設けられた弾性体91bと、半径方向で外側に設けられかつ弾性体91bから半径方向の弾性力を付勢されるキー91aとを備えている。すなわち、ストッパー部91のキー91aが可動シーブ12の内周シール材溝12dおよびプライマリシャフト4のキー溝4cに嵌ることによって、軸線方向で可動シーブ12をプライマリシャフト4に固定させるように構成されている。したがって、固定部90は、内周シール材溝12dと、シール部61と、キー溝4cと、ストッパー部91とから構成されている。また、キー溝4cは、図5に例示するように、プライマリシャフト4の外周上に設けられている。この変形例では、プライマリシャフト4の同一円周上に複数のキー溝4cが形成されており、固定部90は、複数のストッパー部91を含む構成である。なお、弾性体91bは、キー91aとキー溝4cとを連結させているばね部材として説明する。
また、図6(a)に例示するように、ストッパー部91の弾性体91bの弾性力によりキー91aが、キー溝4cから半径方向外側に突出している。そのキー91aにおける半径方向外側に突出している部分はテーパー状に形成され、その断面が図6に例示するように、可動シーブ12側から固定シーブ11側へと半径方向外方へ傾斜するように形成されている。そして、図6(b)に例示するように、可動シーブ12がキー溝4c上を通過する際、キー91bは、可動シーブ12の内周面12bによって半径方向内側に押し込まれ、キー91bの一部がキー溝4b内へ押し込まれる。
さらに高速側の変速比へ変速すると、図6(c)に例示するように、半径方向でキー溝4cと内周シール材溝12dとが対向し、弾性体91bの弾性力によりキー91aが内周シール材溝12dに挿入される。このように、キー91aが内周シール材溝12dおよびキー溝4cに嵌ることによってキー91aが可動シーブ12をプライマリシャフト4に固定させる。言い換えれば、キー溝4cおよび内周シール材溝12dに嵌った状態のキー91aは固定部材として機能するように構成されている。
つぎに、ベルト式無段変速機100における変速制御について説明する。図7は、電子制御装置により実施される変速制御の一例を示したフローチャートである。まず、電子制御装置は、ダウンシフト要求を受け付けたか否かを判別する(ステップS1)。ダウンシフト要求を受け付けていないことによりステップS1で否定的に判断された場合、変速比が最も高速側の変速比であるか否かを判別する(ステップS2)。変速比が最も高速側の変速比でないことによりステップS2で否定的に判断された場合、この変速制御は終了される。
変速比が最も高速側の変速比であることによりステップS2で肯定的に判断された場合、プライマリプーリ10の油圧室32の油圧を低下させるようにベルト式無段変速機100へ動作指示を出力する(ステップS3)。具体的には、このステップS3では、プライマプーリ10の油圧室32内の油圧を低下させるようにオイル供給排出装置を制御する信号を出力し、その油圧室32内の作動油を排出させるように制御される。なお、図7に記載されているPri圧とは、プライマリプーリ10の油圧室32内の油圧を表現した記載である。
他方、ダウンシフト要求を受け付けたことによりステップS1で肯定的に判断された場合、プライマリプーリ10の油圧室32内の油圧が目標圧になるように増圧させるようにベルト式無段変速機100へ動作指示を出力する(ステップS4)。具体的には、このステップS4では、プライマリプーリ10の油圧室32内の油圧を目標圧まで増大させるようにオイル供給排出装置を制御する信号を出力し、その油圧室32内に作動油を供給させるように制御される。
そして、油圧アクチュエータ30の油圧室32内の油圧が目標圧に達するとベルト式無段変速機100にダウンシフトを開始させる(ステップS5)。例えば、油圧室32内の油圧を目標圧にすることによって、可動シーブ12がプライマリシャフト4に固定された状態が解除され、可動シーブ12が固定シーブ11から離隔するように軸線方向を移動し、プライマリプーリ10のV溝幅が広がるように構成されている。上述のステップS4,5の制御によって、ダウンシフトを開始させた際にベルト挟圧力が不足してベルト滑りが生じることを防止させることができる。
なお、この発明に係るベルト式無段変速機は、上述してきた実施形態に限定されるものではなく、この発明の目的を逸脱しない範囲内において適宜変更が可能である。例えば、この発明に係るベルト式無段変速機は、湿式のベルト式無段変速機であってもよく、乾式のベルト式無段変速機であってもよい。
1…動力源、 4…プライマリシャフト、 4b…溝部、 4c…キー溝、 5…セカンダリシャフト、 10…プライマリプーリ、 11…固定シーブ、 12…可動シーブ、 12d…内周シール材溝、 20…セカンダリプーリ、 21…固定シーブ、 22…可動シーブ、 30,40…油圧アクチュエータ、 50…ベルト、 61…シール部、 61a…内周シール材、 61b…弾性体、 81,90…固定部、 91…ストッパー部、 91a…キー、 91b…弾性体、 100…ベルト式無段変速機。

Claims (4)

  1. ベルトが巻き掛けられるプーリが回転軸に一体化された固定シーブとその固定シーブに対して接近もしくは離隔するように軸線方向で移動するように嵌合された可動シーブとによって構成されるとともに、その可動シーブを前記固定シーブに向けて押す油圧室が前記可動シーブの前記固定シーブに対向する面とは反対側に設けられたベルト式無段変速機において、
    前記可動シーブの内周面および前記回転軸の外周面のいずれか一方に溝部が形成され、かつ他方がその溝部に嵌ることによって前記可動シーブの低速変速比側への移動を規制する固定手段を備えていることを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 前記固定手段は、前記可動シーブの内周面と前記回転軸の外周面との間をシールするシール材が固定部材として前記回転軸に形成された前記溝部に嵌ることによって前記可動シーブの低速変速比側への移動を規制するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
  3. 前記溝部は、前記可動シーブの内周面および前記回転軸の外周面の両方に形成され、
    前記固定手段は、固定部材が前記両方の溝部に嵌っていることによって前記可動シーブの低速変速比側への移動を規制するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機。
  4. いずれか一方の前記溝部に前記固定部材および弾性体が収容されており、
    前記固定手段は、前記弾性体に基づいて前記固定部材が他方の前記溝部に嵌められることによって前記可動シーブの低速変速比側への移動を規制するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のベルト式無段変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112032266A (zh) * 2020-10-26 2020-12-04 山东交通职业学院 一种机械式增力传动装置

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