JP2010071453A - ベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機 - Google Patents

ベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機 Download PDF

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一昭 石浦
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Abstract

【課題】強度を向上することができるベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】油圧室形成部材28の油圧室24側におけるプーリ軸21の外面に設けられる軸側溝部51と、軸側溝部51に設けられる規制部材52とを有し、規制部材52が軸側溝部51の壁面に当接することで可動シーブ23の移動を規制可能な規制手段50と、油圧室形成部材28を介してプーリ軸21を回転可能に支持すると共に軸方向に対する位置が軸側溝部51の位置と同等の位置に設けられる支持部材26とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、ベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機に関するものである。
一般に、車両には、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動源の出力側に変速機が設けられている。この変速機には、変速比を無段階(連続的)に制御する無段変速機と、変速比を段階的(不連続)に制御する有段変速機とがある。ここで、このような無段変速機、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)には、プライマリプーリとセカンダリプーリに巻き掛けられたベルトを介して、プライマリプーリからセカンダリプーリに駆動力を伝達する、いわゆる、ベルト式無段変速機がある。
プライマリプーリおよびセカンダリプーリは、プーリ軸と、プーリ軸に固定される固定シーブと、プーリ軸に対して軸方向に移動自在に支持された可動シーブとにより構成されている。つまり、ベルト式無段変速機の2つのプーリは、2つのベルト式無段変速機用シーブをそれぞれ備えることとなる。ベルトは、固定シーブと可動シーブとの間で形成されるV字形状の溝に巻き掛けられている。ここで、ベルト式無段変速機は、例えば挟圧力発生油圧室であるプライマリ油圧室、セカンダリ油圧室の作動油の油圧により可動シーブを固定シーブ側に押圧することで、ベルトに対してベルト挟圧力を発生させ、ベルトと固定シーブおよび可動シーブとの間に発生する滑りを抑制して駆動力をプライマリプーリからセカンダリプーリに伝達するものである。
このような従来のベルト式無段変速機として、例えば、特許文献1に記載されているベルト式無段変速機は、可動シーブの円筒部と油圧室を形成する油圧室構成部材とが、直接または間接的に接触しないように、可動シーブの軸線方向の移動を規制する規制部材を設けたことで、可動シーブから固定部材としてのナットに伝達される力が大きくなることを抑制している。
特開2006−118597号公報
ところで、上述のような特許文献1に記載されている無段変速機のプーリ連結構造では、例えば、可動シーブの軸線方向の移動を規制する部分におけるさらなる強度の向上が望まれていた。
そこで本発明は、強度を向上することができるベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明によるベルト式無段変速機のプーリは、プーリ軸と、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる固定シーブと、前記プーリ軸に一体回転可能、かつ、前記プーリ軸の軸方向に沿って前記固定シーブに対して相対的に移動自在に設けられる可動シーブと、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる油圧室形成部材により形成され、内部に供給される作動油により前記可動シーブを移動させ前記固定シーブと前記可動シーブとの間に設けられるベルトにベルト挟圧力を作用させる油圧室と、前記油圧室形成部材の前記油圧室側における前記プーリ軸の外面に設けられる軸側溝部と、前記軸側溝部に設けられる規制部材とを有し、前記規制部材が前記軸側溝部の壁面に当接することで前記可動シーブの移動を規制可能な規制手段と、前記油圧室形成部材を介して前記プーリ軸を回転可能に支持すると共に前記軸方向に対する位置が前記軸側溝部の位置と同等の位置に設けられる支持部材とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明によるベルト式無段変速機のプーリでは、前記規制部材は、前記軸方向と直交する方向の端面が前記油圧室形成部材の前記油圧室側の壁面と当接することを特徴とする。
請求項3に係る発明によるベルト式無段変速機のプーリでは、前記規制部材は、前記軸方向に対して前記油圧室とは反対側に前記油圧室形成部材とともに空間部を形成し、前記空間部は、内部に前記作動油が供給されることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項4に係る発明によるベルト式無段変速機は、2つのプーリと、前記各プーリに巻き掛けられ、駆動源からの駆動力を入力側の前記プーリから出力側の前記プーリに伝達するベルトとを備え、前記2つのプーリは、それぞれ、プーリ軸と、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる固定シーブと、前記プーリ軸に一体回転可能、かつ、前記プーリ軸の軸方向に沿って前記固定シーブに対して相対的に移動自在に設けられる可動シーブと、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる油圧室形成部材により形成され、内部に供給される作動油により前記可動シーブを移動させ前記固定シーブと前記可動シーブとの間に設けられるベルトにベルト挟圧力を作用させる油圧室とを有し、少なくとも前記2つのプーリのいずれか一方は、前記油圧室形成部材の前記油圧室側における前記プーリ軸の外面に設けられる軸側溝部と、前記軸側溝部に設けられる規制部材とを有し、前記規制部材が前記軸側溝部の壁面に当接することで前記可動シーブの移動を規制可能な規制手段と、前記油圧室形成部材を介して前記プーリ軸を回転可能に支持すると共に前記軸方向に対する位置が前記軸側溝部の位置と同等の位置に設けられる支持部材とを含んで構成されることを特徴とする。
本発明に係るベルト式無段変速機のプーリによれば、油圧室形成部材の油圧室側におけるプーリ軸の外面に設けられる軸側溝部と、軸側溝部に設けられる規制部材とを有し、規制部材が軸側溝部の壁面に当接することで可動シーブの移動を規制可能な規制手段と、油圧室形成部材を介してプーリ軸を回転可能に支持すると共に軸方向に対する位置が軸側溝部の位置と同等の位置に設けられる支持部材とを備えるので、軸側溝部の変形を抑制することができ、強度を向上することができる。
本発明に係るベルト式無段変速機によれば、油圧室形成部材の油圧室側におけるプーリ軸の外面に設けられる軸側溝部と、軸側溝部に設けられる規制部材とを有し、規制部材が軸側溝部の壁面に当接することで可動シーブの移動を規制可能な規制手段と、油圧室形成部材を介してプーリ軸を回転可能に支持すると共に軸方向に対する位置が軸側溝部の位置と同等の位置に設けられる支持部材とを備えるので、軸側溝部の変形を抑制することができ、強度を向上することができる。
以下に、本発明に係るベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機の概略構成図、図2は、本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリを示す部分断面図、図3は、本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備えるC割リングを示す断面図(図2に示すA−A断面図)である。
なお、以下で説明する実施形態では、本発明のベルト式無段変速機に伝達される駆動力を発生する駆動源としてエンジントルクを発生する内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータトルクを発生するモータなどの電動機を駆動源として用いてもよい。また、駆動源として内燃機関及び電動機を併用してもよい。
図1に示すように、本実施形態に係るベルト式無段変速機1は、車両に搭載される駆動源である内燃機関としてのエンジン100からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で車輪160に伝達するためにエンジン100の出力側に設けられるものである。本実施形態に係るベルト式無段変速機1は、入力側部材と出力側部材との回転数比である変速比を無段階(連続的)に制御することができる、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)である。
このベルト式無段変速機1は、エンジン100からの駆動力をベルト4によって入力側部材から出力側部材に伝達可能であると共に、入力側部と出力側部との回転数比である変速比を無段階(連続的)に変更するものである。すなわち、このベルト式無段変速機1は、エンジン100からの駆動力が伝達される入力側部材としてのプライマリプーリ2と、プライマリプーリ2に伝達された駆動力を変化させて出力する出力側部材としてのセカンダリプーリ3と、プライマリプーリ2に伝達された駆動力をセカンダリプーリ3に伝達するベルト4とを含んで構成されるものである。さらに、このベルト式無段変速機1は、エンジン100の各部やベルト式無段変速機1の各部を制御する制御手段としての電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit、以下、特に断りのない限り「ECU5」と略記する。)5と、各部の油圧を制御する油圧制御装置6とを含んで構成される。
このベルト式無段変速機1が搭載される車両の駆動系は、トルクコンバータ110、前後進切換機構120、入力されたエンジン100の駆動力を変速比に応じて変換するベルト式無段変速機1、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ機構140、ドライブシャフト150を介して、エンジン100が発生するエンジントルクを車輪(駆動輪)160に伝達する。なお、図1は、ベルト式無段変速機1の変速比が最大、すなわち最大変速比における図である。
エンジン100は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等が用いられており、円筒形状に形成されるシリンダの中心軸方向にピストンが往復運動し、ピストンの往復運動を回転運動に変換するクランクシャフト101から駆動力を出力する。
トルクコンバータ110は、流体クラッチの一種であり、エンジン100から出力された駆動力を、作動媒体としての作動油を介して、あるいは、直接に前後進切換機構120に伝えるものである。トルクコンバータ110は、例えば、ロックアップ機構を有するものがあり、エンジン100からの出力トルク(駆動力)を所定のトルク比で増加させて、あるいはそのままの出力トルクで、前後進切換機構120に伝達する。
前後進切換機構120は、伝達された駆動力の車輪160、160への伝達方向を切り換えるものであり、これによりベルト式無段変速機1が搭載された車両が前進あるいは後進をする。前後進切換機構120は、例えば、遊星歯車機構と、フォワードクラッチ(摩擦クラッチ)及びリバースブレーキ(摩擦ブレーキ)などによって構成される。前後進切換機構120の遊星歯車機構(プラネタリギヤ)は、回転要素としてリングギヤと、キャリアと、サンギヤとを有しており、サンギヤとリングギヤとの間に、キャリアに自転可能に支持されると共にサンギヤ周りを公転可能なピニオンギヤを備える。前後進切換機構120により伝達方向が決定された駆動力は、ベルト式無段変速機1に伝達される。
なお、トルクコンバータ110の制御、例えばロックアップ機構のON/OFF制御及び前後進切換機構120の制御、すなわちエンジントルクの伝達方向の切換制御、例えばフォワードクラッチ、リバースブレーキのON/OFF制御は、油圧制御装置6から供給される油圧が用いられる。これらの制御を行うための油圧制御装置6の油圧制御は、ECU5により行われる。
ベルト式無段変速機1は、前後進切換機構120から後述するプライマリプーリ2のプライマリプーリ軸21に入力される駆動力の回転速度を、車両の運転状態に応じて所望の回転速度に変更して出力する。ベルト式無段変速機1で変速比に応じて回転速度が変換された駆動力は、ベルト式無段変速機1の後述するセカンダリプーリ3のセカンダリプーリ軸31を介して動力伝達機構(減速機)130に伝達される。なお、ベルト式無段変速機1の詳細な説明は後述する。
動力伝達機構130は、上記セカンダリプーリ軸31と連結される図示しないリダクションドライブギヤを有し、ベルト式無段変速機1とディファレンシャルギヤ機構140とを連結するものである。動力伝達機構130は、ベルト式無段変速機1から入力された駆動力の回転速度を減速してディファレンシャルギヤ機構140に駆動力を伝達する。
ディファレンシャルギヤ機構140は、ドライブシャフト150、150を介して車輪(駆動輪)160、160と連結されている。ディファレンシャルギヤ機構140は、車両が旋回する際に生じる旋回の中心側、つまり内側の車輪160と、外側の車輪160との速度差を吸収する。
ベルト式無段変速機1は、所定の間隔を設けて平行に配置した2本のプーリ軸としてのプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31と、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31に各々配置され且つプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31上を軸線方向に摺動し得る可動シーブとしてのプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33と、この各プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33に各々対向させてプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31上に配置され且つプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33との間でプライマリ溝27、セカンダリ溝37を形成する固定シーブとしてのプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32と、対向配置したそれぞれのプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33及びプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32における各プライマリ溝27、セカンダリ溝37に巻き掛けられるベルト4とを含んで構成される。
具体的には、ベルト式無段変速機1は、一方のプーリとしてのプライマリプーリ2と、他方のプーリとしてのセカンダリプーリ3と、ベルト4と、ECU5と、油圧制御装置6とを備える。
プライマリプーリ2は、一方のプーリであり、エンジン100からの駆動力が伝達されるものである。プライマリプーリ2は、前後進切換機構120を介して伝達された駆動力をベルト4により他方のプーリであるセカンダリプーリ3に伝達するものである。言い換えれば、エンジン100(駆動源)からのエンジントルク(駆動力)が入力されるプライマリプーリ2は、ベルト式無段変速機1が備える2つのプーリのうち、入力側のプーリをなす。
プライマリプーリ2は、プーリ軸としてのプライマリプーリ軸21と、固定シーブとしてのプライマリ固定シーブ22と、可動シーブとしてのプライマリ可動シーブ23と、プライマリプーリ2にベルト挟圧力を発生させることでベルト式無段変速機1の変速比を変更する油圧室としてのプライマリ油圧室24とにより構成されている。
プライマリプーリ軸21は、図1、図2に示すように、エンジン100からの駆動力(エンジン)が伝達(入力)されるものであり、すなわち、前後進切換機構120の回転要素に連結されている。プライマリプーリ軸21は、軸受25、26により長手方向に沿った回転軸線Xを回転中心として回転可能に支持されている。また、プライマリプーリ軸21は、第1作動油通路21aと、第2作動油通路21bと、プーリ軸側嵌合部21cと、プーリ軸側突出部21dと、段差部D1とを有している。
第1作動油通路21aは、油圧制御装置6に接続されており、油圧制御装置6からプライマリ油圧室24に供給される作動媒体としての作動油が流入する。また、第2作動油通路21bは、油圧制御装置6に接続されており、例えば、油圧制御装置6からプライマリプーリ2の潤滑部分に潤滑油として供給される作動油が流入する。
プーリ軸側嵌合部21cは、プライマリプーリ軸21とプライマリ可動シーブ23とが嵌合する嵌合部Fを構成する部分である。プーリ軸側嵌合部21cは、プライマリプーリ軸21に嵌合されたプライマリ可動シーブ23の後述するシーブ側嵌合部23dと対向するように形成されている。プーリ軸側嵌合部21cは、プライマリプーリ軸21の外周面の一部である。プーリ軸側嵌合部21cは、回転軸線Xに沿った方向である軸方向に形成される両端部のうち、プライマリ固定シーブ22側に位置する一方の端部が段差部D1を介してプーリ軸側突出部21dと連続する一方、他方の端部に後述するプライマリピストン28が設けられている。このプライマリピストン28は、ロックナット29により位置決めされている。
プーリ軸側突出部21dは、プーリ軸側嵌合部21cよりも径方向(回転軸線Xに沿った方向である軸方向に直交する方向)外側に突出している。プーリ軸側突出部21dとプーリ軸側嵌合部21cとの間には、プライマリピストン28側に面して上述の段差部D1が形成される。
プライマリ固定シーブ22は、図1に示すように、円錐板状に形成され、プライマリ可動シーブ23と対向する位置に、プライマリプーリ軸21と一体回転するように固定して設けられている。ここでは、プライマリ固定シーブ22は、プライマリプーリ軸21の外周から径方向外側に突出する環状部として、プライマリプーリ軸21の外周と一体に設けられている。プライマリ固定シーブ22は、基本的に、軸方向と直交する方向における断面形状が円形状に形成されている。なお、このプライマリ固定シーブ22は、プライマリプーリ軸21とは別体に構成するようにしてもよい。
プライマリ可動シーブ23は、図1、図2に示すように、プライマリプーリ軸21に嵌合するものである。プライマリ可動シーブ23は、ボス部23aと、環状部23bと、突出部23cと、シーブ側嵌合部23dと、シーブ側凹部23eと、段差部D2とにより構成されている。
ボス部23aは、軸方向に延在して形成されている。環状部23bは、ボス部23aの軸方向における両端部のうち、プライマリ固定シーブ22側の一方の端部から径方向外側に突出して円錐板状に形成されている。突出部23cは、環状部23bの外周端部の近傍に軸方向のうち、他方側、すなわち、プライマリピストン28側に突出して環状に形成されている。
シーブ側嵌合部23dは、上述のプーリ軸側嵌合部21cと共に嵌合部Fを構成する部分である。シーブ側嵌合部23dは、プライマリプーリ軸21のプーリ軸側嵌合部21cと対向する部分に形成されている。ここで、シーブ側嵌合部23dは、プライマリ可動シーブ23の内周面、すなわちボス部23aの内周面の一部である。シーブ側嵌合部23dとプーリ軸側嵌合部21cとは、例えば、シーブ側嵌合部23dにプーリ軸側嵌合部21cが挿入されスプライン嵌合することで、プライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21に対して一体回転可能、かつ、プライマリプーリ軸21の軸方向に沿って移動自在に支持する嵌合部Fをなす。つまり、プライマリ可動シーブ23は、この嵌合部Fによりプライマリプーリ軸21に一体回転可能、かつ、プライマリプーリ軸21の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22に対して相対的に移動自在に設けられる。プライマリ可動シーブ23は、軸方向に沿って移動する際にはこの嵌合部Fをなすシーブ側嵌合部23dとプーリ軸側嵌合部21cとが摺動することとなる。なお、このシーブ側嵌合部23dとプーリ軸側嵌合部21cとからなる嵌合部Fは、スプライン嵌合に限らず、プライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21に対して一体回転可能、かつ、プライマリプーリ軸21の軸方向に沿って移動自在に支持する構成であればよい。
シーブ側嵌合部23dは、軸方向に形成される両端部のうち、プライマリ固定シーブ22側に位置する一方の端部であるプライマリ固定シーブ側端部23dkが段差部D2を介してシーブ側凹部23eと連続する一方、プライマリピストン28側に位置する他方の端部であるプライマリピストン側端部23dpが後述する規制手段としての規制部50と対向して当接可能に形成されている。
シーブ側凹部23eは、シーブ側嵌合部23dよりも径方向外側に凹んでいる。シーブ側凹部23eとシーブ側嵌合部23dの間には、段差部D1に対して軸方向に対向するように上述の段差部D2が形成される。
プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23とは、プライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23に対向する傾斜面と、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22と対向する傾斜面との間に、V字形状のプライマリ溝27を形成している。プライマリ溝27は、無端であるベルト4が巻き掛けられる。つまり、ベルト4は、プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23との間に挟み込まれるようにして設けられる。
プライマリ油圧室24は、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22と対向する傾斜面の反対側の背面と、プライマリプーリ軸21に固定され一体回転可能な円筒形状の油圧室形成部材としてのプライマリピストン28とにより構成されている。
プライマリピストン28は、円筒部28aと、ナット側円環部28b及びプライマリ可動シーブ側円環部28cとを有する。円筒部28aは、円筒状に形成される。円筒部28aは、軸方向に形成される両端部のうち、プライマリ可動シーブ23側に位置する一方の端部が開口する一方、軸受26側に位置する他方の端部が円環板状に形成されるナット側円環部28bにより閉鎖されている。プライマリ可動シーブ23は、円筒部28aの一方の端部である開口側に配置され、ボス部23aが円筒部28aの内部に位置するように設けられる。プライマリ可動シーブ側円環部28cは、円筒部28aのプライマリ可動シーブ23側に位置する一方の端部から径方向外側に突出するように円環板状に形成され、その先端部と突出部23cとの間に、例えばシールリングなどの図示しないプライマリ油圧室用シール部材が設けられている。
プライマリ油圧室24は、この油圧室形成部材としてのプライマリピストン28の円筒部28aの内面、ナット側円環部28b及びプライマリ可動シーブ側円環部28cとプライマリ可動シーブ23の背面とによって区画される空間部として形成される。プライマリ油圧室24を構成するプライマリ可動シーブ23の背面とプライマリピストン28とは、シール部材によりシールされ、内部に供給される作動油が外部に漏洩することが防止されている。
なお、プライマリピストン28は、プライマリプーリ軸21に対して圧入される。そして、上述のロックナット29は、ナット側円環部28bのプライマリ油圧室24とは反対側の面に接触するようにしてプライマリプーリ軸21に締め付け固定される。
プライマリ油圧室24には、プライマリプーリ軸21の内部に設けられる第1作動油通路21aに流入した作動油が供給される。つまり、油圧制御装置6は、プライマリ油圧室24に作動油を供給し、プライマリ油圧室24の作動油の油圧(圧力)により、プライマリ可動シーブ23を軸方向(図2に示すプライマリプーリ軸21の回転軸線Xに沿った方向)に摺動させ、プライマリ可動シーブ23をプライマリ固定シーブ22に対して接近あるいは離隔させるものである。プライマリ油圧室24は、プライマリ油圧室24に供給される作動油により、プライマリ可動シーブ23を軸方向におけるプライマリ固定シーブ22側に押圧する可動シーブ押圧力をプライマリ可動シーブ23に作用させることで、プライマリ溝27に巻き掛けられるベルト4に対するベルト挟圧力を発生させる。つまり、プライマリプーリ2は、プライマリ油圧室24の油圧によりベルト4に対してベルト挟圧力を発生させ、発生したベルト挟圧力により、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、プライマリ油圧室24は、例えばベルト式無段変速機1の変速比γを変更させる機能、及び、プライマリプーリ2に対してベルト4がスリップすることを抑制する機能を有するものである。
ここで、軸方向に沿って移動自在なプライマリ可動シーブ23は、規定範囲内で軸方向の移動が規制される。具体的には、プライマリ可動シーブ23は、図2に示すように、プライマリピストン側端部23dpが後述する規制部50と当接することで、プライマリピストン28側への移動が規制される。これに対して、プライマリ可動シーブ23は、図2中に二点鎖線で示すように、プライマリ固定シーブ側端部23dkに設けられた段差部D2がプーリ軸側嵌合部21cの端部に設けられた段差部D1に当接することにより、プライマリ固定シーブ22側への軸方向の移動が規制される。これにより、プライマリ可動シーブ23の軸方向における移動範囲は、プライマリピストン側端部23dpが規制部50と当接する状態での段差部D2の位置から、プライマリ固定シーブ側端部23dkに設けられた段差部D2が段差部D1と当接する状態での段差部D2の位置にかけて形成される幅Wの範囲内となる。また、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22側への軸方向の移動が規制されることにより、プライマリプーリ2には、プライマリ溝27の必要幅が確保される。
セカンダリプーリ3は、図1に示すように、他方のプーリであり、プライマリプーリ2に伝達(入力)された駆動力をベルト4を介して図示しないリダクションドライブギヤに伝達(出力)し、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ機構140、ドライブシャフト150を介して車輪160に伝達するものである。言い換えれば、プライマリプーリ2からの駆動力が出力されるセカンダリプーリ3は、ベルト式無段変速機1が備える2つのプーリのうち、出力側のプーリをなす。なお、ここでは、セカンダリプーリ3は、プライマリプーリ2とほぼ同様な構成であるため、その説明をできるだけ省略する。
セカンダリプーリ3は、プーリ軸としてのセカンダリプーリ軸31と、固定シーブとしてのセカンダリ固定シーブ32と、可動シーブとしてのセカンダリ可動シーブ33と、セカンダリプーリ3にベルト挟圧力を発生させることで、ベルト4の張力を調整するセカンダリ油圧室34とにより構成されている。
セカンダリプーリ軸31は、エンジン100からの駆動力を出力するものであり、すなわち、動力伝達機構130に連結されている。セカンダリプーリ軸31は、軸受35、36により長手方向に沿った回転軸線Xを回転中心として回転可能に支持されている。また、セカンダリプーリ軸31は、内部に第1作動油通路31aと、第2作動油通路31bを有している。第1作動油通路31aと、第2作動油通路31bは、油圧制御装置6の油圧制御回路に接続されており、油圧制御装置6からセカンダリ油圧室34に供給される作動油が流入する通路である。
上述のプライマリプーリ軸21とセカンダリプーリ軸31とは、互いにほぼ平行になるように配置されている。
セカンダリ固定シーブ32は、円錐板状に形成され、セカンダリ可動シーブ33と対向する位置に、セカンダリプーリ軸31と一体回転するように固定して設けられている。ここでは、セカンダリ固定シーブ32は、セカンダリプーリ軸31の外周から径方向外側に突出する環状部として、セカンダリプーリ軸31の外周と一体に設けられている。
セカンダリ可動シーブ33は、円錐板状に形成され、嵌合部Fにより、セカンダリプーリ軸31に対して軸方向に移動可能で、セカンダリプーリ軸31と一体回転可能に支持されている。
セカンダリ固定シーブ32とセカンダリ可動シーブ33とは、セカンダリ固定シーブ32のセカンダリ可動シーブ33に対向する傾斜面と、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32と対向する傾斜面との間に、V字形状のセカンダリ溝37を形成している。セカンダリ溝37は、無端であるベルト4が巻き掛けられる。つまり、ベルト4は、セカンダリ固定シーブ32とセカンダリ可動シーブ33との間に挟み込まれるようにして設けられる。
セカンダリ油圧室34は、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32と対向する面と反対側の背面と、セカンダリプーリ軸31に固定されたセカンダリピストン38とにより構成されている。セカンダリ油圧室34は、このセカンダリピストン38の内面とセカンダリ可動シーブ33の背面とによって区画される空間部として形成される。セカンダリ可動シーブ33は、セカンダリピストン38の内部に挿入されるように設けられる。なお、軸受35とセカンダリ固定シーブ32との間には、パーキングギヤ39aが設けられている。また、軸受35の背面には、ロックナット39bが設けられている。
なお、セカンダリピストン38は、プライマリピストン28と同様に、セカンダリプーリ軸31に対して圧入されロックナット39によりセカンダリプーリ軸31に締め付け固定される。
セカンダリ油圧室34には、セカンダリプーリ軸31の内部に設けられる第1作動油通路31aに流入した作動油が供給される。つまり、油圧制御装置6は、セカンダリ油圧室34に作動油を供給し、セカンダリ油圧室34の作動油の油圧(圧力)により、セカンダリ可動シーブ33を軸方向(セカンダリプーリ軸31の回転軸線に沿った方向)に摺動させ、セカンダリ可動シーブ33をセカンダリ固定シーブ32に対して接近あるいは離隔させるものである。セカンダリ油圧室34は、セカンダリ油圧室34に供給される作動油により、セカンダリ可動シーブ33を軸方向におけるセカンダリ固定シーブ32側に押圧する可動シーブ押圧力をセカンダリ可動シーブ33に作用させることで、セカンダリ溝37に巻き掛けられるベルト4に対するベルト挟圧力を発生させる。つまり、セカンダリプーリ3は、セカンダリ油圧室34の油圧によりベルト4に対してベルト挟圧力を発生させ、発生したベルト挟圧力により、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、セカンダリ油圧室34は、例えば、ベルト4の張力を制御することで、ベルト4のプライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3に対する接触半径を一定に維持する機能の一部を担うものである。
ベルト4は、入力側であるエンジン100(駆動源)からプライマリプーリ2に入力された駆動力、すなわちエンジントルクをセカンダリプーリ3に伝達するものである。ベルト4は、プライマリプーリ2のプライマリ溝27とセカンダリプーリ3のセカンダリ溝37との間に巻き掛けられている。また、ベルト4は、多数の金属製のベルトエレメントと複数本のスチールリングで構成された無端ベルトである。
ECU5は、ベルト式無段変速機1の駆動を制御、特に変速比γを制御するものであり、ここでは、エンジン100が搭載された車両の各所に取り付けられたセンサから入力された各種入力信号や各種マップとに基づいてエンジン100の運転制御、例えば図示しない燃料噴射弁の噴射制御、エンジン100の吸入空気量を制御する図示しないスロットルバルブのスロットル開度制御、点火プラグの点火制御なども行うものである。このECU5には、ベルト式無段変速機1の変速制御を行うためのデータ、例えばアクセル開度や車速等の情報に基づいた走行状態に応じてベルト式無段変速機1の変速比γを制御するためのデータが予め記憶されている。
すなわち、ECU5は、エンジン100の燃料噴射弁、スロットルバルブ、点火プラグや後述する油圧制御装置6に電気的に接続されており、種々のセンサが検出するエンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力回転数、出力回転数、シフトポジションなどの運転状態などに基づいて、これらの駆動を制御している。
油圧制御装置6は、ベルト式無段変速機1のプライマリ油圧室24及びセカンダリ油圧室34内の作動油の油圧を制御するものであり、ここではベルト式無段変速機1が搭載される車両の駆動系各部、例えば、トルクコンバータ110、前後進切換機構120等に作動油を供給するものでもある。
油圧制御装置6は、オイルタンクに貯留されトランスミッションの各部に供給される作動油をオイルポンプにより吸引、加圧し、吐出する。そして、油圧制御装置6は、オイルポンプにより加圧された作動油がプレッシャーレギュレータバルブを介して、流量制御弁などに供給される。流量制御弁は、スプール弁子、電磁ソレノイドなどを含んで構成され、プライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34へ作動油の供給、あるいは、プライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34からの作動油の排出を制御するものである。油圧制御装置6の流量制御弁は、ECU5から入力される制御指令値入力に基づいた駆動電流により駆動する電磁ソレノイドがスプール弁子の位置を変位させることで、プライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34に供給、排出される作動油の流量を制御するものである。なお、このプレッシャーレギュレータバルブは、プレッシャーレギュレータバルブよりも下流側における油圧が所定油圧以上、すなわち、油圧制御装置6の元圧として用いられるライン圧以上になった際に、下流側にある作動油をオイルタンクに戻して所定のライン圧に調圧するものである。
そして、ECU5は、上述したように、ベルト式無段変速機1が搭載された車両の運転状態(走行状態)に応じてベルト式無段変速機1の各部の駆動を制御しベルト式無段変速機1の実際の変速比である実変速比を制御する。ECU5は、種々のセンサが検出するエンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力回転数、出力回転数、シフトポジションなどの運転状態などに基づいて目標の変速比である目標変速比を決定すると共に、油圧制御装置6を駆動して油圧制御を行うことで、プライマリ油圧室24の油圧及びセカンダリ油圧室34の油圧を調整する。したがって、ECU5は、油圧制御装置6の流量制御弁に供給する駆動電流を制御指令値に基づいてデューティ制御することで、プライマリ油圧室24の油圧及びセカンダリ油圧室34の油圧を調整し、プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33をプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して接近離間させる。そして、ECU5は、プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33をプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して接近離間させることで、プライマリプーリ2におけるベルト挟圧力及びセカンダリプーリ3におけるベルト挟圧力を調整し、プライマリプーリ2の回転数である入力軸回転数と、セカンダリプーリ3の回転数である出力軸回転数との比である変速比γを制御することができ、実際の変速比である実変速比が目標の変速比である目標変速比となるように制御することができる。
上記のように構成されるベルト式無段変速機1を含む駆動系は、このベルト式無段変速機1が搭載される車両に設けられた図示しないシフトポジション装置のシフトポジションがパーキングポジションやニュートラルポジションなどの非駆動ポジションである場合、前後進切換機構120が制御されて、エンジン100と車輪160との間で動力伝達が不可能な状態となる。これに対して、上記シフトポジション装置のシフトポジションがリバースポジションやドライブポジションなどの駆動ポジションである場合、前後進切換機構120が制御されて、エンジン100と車輪160との間で動力伝達が可能な状態となる。
そして、駆動ポジションが選択され、エンジン100からエンジントルクが出力された場合は、トルクコンバータ110、前後進切換機構120を経由して、プライマリプーリ2のプライマリプーリ軸21にトルクが伝達(入力)される。プライマリプーリ軸21を介してプライマリプーリ2に入力されたトルクは、ベルト4を介して、セカンダリプーリ3のセカンダリプーリ軸31に伝達される。そして、セカンダリプーリ軸31を介してセカンダリプーリ3から出力されるトルクは、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ機構140及びドライブシャフト150を介して車輪160に伝達されて駆動力が発生する。
そして、ベルト式無段変速機1における変速比を変更する場合は、ECU5が油圧制御装置6を駆動しプライマリ油圧室24及びセカンダリ油圧室34内の作動油の油圧を調整して、プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33をプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して相対的に接近又は離間させることで、プライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3からベルト4に適正なベルト挟圧力を作用させる。ベルト式無段変速機1は、プライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3からベルト4に適正なベルト挟圧力を作用させることで、ベルト4が巻き掛けられているプライマリ溝27とセカンダリ溝37の幅が変化し、ベルト式無段変速機1の変速比を変更することができると共にベルト4の張力を適正に調整することができる。
すなわち、ベルト式無段変速機1は、プライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22に対して相対的に接近又は離間させプライマリ溝27の幅を調整することで、プライマリプーリ2におけるベルト4の巻き掛け半径(ベルト4に対するプライマリプーリ2の有効径)とセカンダリプーリ3におけるベルト4の巻き掛け半径(ベルト4に対するセカンダリプーリ3の有効径)との比が変化し、この結果、プライマリプーリ2の回転数(回転速度)とセカンダリプーリ3の回転数(回転速度)との比である変速比が変更される。例えば、ベルト式無段変速機1は、プライマリ溝27の幅が狭められると、プライマリプーリ2におけるベルト4の巻き掛け半径が大きくなり、ベルト式無段変速機1の変速比が小さくなるように変速(アップシフト)する。これに対して、ベルト式無段変速機1は、プライマリ溝27の幅が広げられると、プライマリプーリ2におけるベルト4の巻き掛け半径が小さくなり、ベルト式無段変速機1の変速比が大きくなるように変速(ダウンシフト)する。
また、ベルト式無段変速機1は、セカンダリ可動シーブ33をセカンダリプーリ軸31の軸方向に沿ってセカンダリ固定シーブ32に対して相対的に接近又は離間させセカンダリ溝37の幅を調整することで、セカンダリプーリ3からベルト4に加えられるベルト挟圧力、およびベルト4の張力が変更され、この結果、プライマリプーリ2からセカンダリプーリ3に伝達されるトルクの容量が制御される。例えば、ベルト式無段変速機1は、セカンダリ溝37の幅が狭められると、セカンダリプーリ3からベルト4に加えられるベルト挟圧力が増加し、ベルト4のトルク容量が増加する。これに対して、ベルト式無段変速機1は、セカンダリ溝37の幅が広げられると、セカンダリプーリ3からベルト4に加えられるベルト挟圧力が減少し、ベルト4のトルク容量が低下する。
ところで、本実施形態のベルト式無段変速機1は、図2に示すように、プライマリ可動シーブ23のプライマリピストン28側への移動を規制手段としての規制部50により規制すると共にこの規制部50と軸受26との位置を適正に設定することで、このプライマリプーリ2の強度を向上させている。
なお、以下の説明では、プライマリプーリ2とセカンダリプーリ3とがほぼ同様の構成であるため、主にプライマリプーリ2側を詳細に説明し、セカンダリプーリ3側の説明はできる限り省略するが、本発明のベルト式無段変速機のプーリは、セカンダリプーリ3に適用することもでき、すなわち、図1に示すように、規制手段としての規制部50をセカンダリプーリ3に設け、この規制部50と軸受36との位置を適正に設定することで、このセカンダリプーリ3の強度を向上することもできる。
具体的には、プライマリプーリ2の規制部50は、図2に示すように、軸側溝部51と、規制部材としてのC割リング52と、カバー部材53とを有する。
まず、C割リング52は、プライマリプーリ軸21の周りに設けられるものである。C割リング52は、図3に示すように、プライマリプーリ軸21の周方向に対して複数、ここでは2つに分割されており、すなわち、C型をなすような半円形状の部材を2つ組み合わせることで構成される。
軸側溝部51は、プライマリ油圧室24内のプライマリプーリ軸21の外周面に設けられる。すなわち、軸側溝部51は、プライマリプーリ軸21の外周面にて、軸方向に対してプライマリピストン28のナット側円環部28bよりプライマリ可動シーブ23側、つまり、軸方向に対してナット側円環部28bよりプライマリ油圧室24側の位置に設けられている。この軸側溝部51は、プライマリプーリ軸21の外周面に凹部状の段差部分として、回転軸線X周りに円環状に形成されている。また、軸側溝部51は、プライマリプーリ軸21のプーリ軸側嵌合部21cから径方向中心への径方向に対する長さがほぼ一定に形成され、回転軸線Xに沿った方向の断面形状が略矩形状になるように形成されている。C割リング52は、プライマリ油圧室24内にてこの軸側溝部51内に設けられる。
カバー部材53は、中心軸線が回転軸線Xとほぼ一致するような円筒形状に形成されており、プライマリプーリ軸21の外周面側に圧入して固定して設けられる。したがって、カバー部材53は、プライマリプーリ軸21と一体で回転可能である。
このカバー部材53は、軸方向に対してプライマリピストン28のナット側円環部28bよりプライマリ可動シーブ23側、つまり、軸方向に対してナット側円環部28bよりプライマリ油圧室24側の位置に設けられている。さらに、カバー部材53は、軸方向に対して軸側溝部51とプライマリピストン側端部23dpとの間に設けられている。
カバー部材53は、軸方向に形成される両端部のうち、プライマリ可動シーブ23側に位置する一方の端面である接触端面53dが軸方向に沿ってプライマリピストン側端部23dpと対向して当接可能である一方、プライマリピストン28側に位置する他方の端部である非接触端面53eが軸方向に対してプライマリピストン28のナット側円環部28bとは間隔があけられており、ナット側円環部28bとは当接不能となっている。そして、カバー部材53は、内周面側にカバー側溝部54が設けられている。
カバー側溝部54は、カバー部材53の内周面にて、非接触端面53e側に形成されている。すなわち、カバー部材53は、軸方向に形成される両端面のうち、プライマリ可動シーブ23側に位置する一方の端面である接触端面53dにてプライマリ可動シーブ23のプライマリピストン側端部23dpと当接可能である一方、他方の端面である非接触端面53eの内周面側にカバー側溝部54が形成されている。なお、この接触端面53d及び非接触端面53eは、回転軸線Xとほぼ直交するように形成されている。
カバー側溝部54は、カバー部材53の内周面の非接触端面53e側にて、径方向に沿って上述の軸側溝部51と対向する位置に設けられている。このカバー側溝部54は、カバー部材53の内周面に凹部状の段差部分として、回転軸線X周りに円環状に形成されている。また、カバー側溝部54は、カバー部材53の内周面から径方向外方への径方向に対する長さがほぼ一定に形成され、回転軸線Xに沿った方向の断面形状が略矩形状になるように形成されている。
そして、プライマリプーリ軸21の外周面に設けられた軸側溝部51とカバー部材53の内周面に設けられたカバー側溝部54とは、上述のように、径方向に沿って互いに対向することで、C割リング52を収容する空間部をなす。つまり、軸側溝部51とカバー側溝部54とにより円環状に形成される空間部にC割リング52が収容される。この軸側溝部51とカバー側溝部54とにより形成される空間部は、C割リング52とほぼ同じ形状、大きさで形成され、すなわち、軸側溝部51とカバー側溝部54とにより形成される空間部とC割リング52とは、内径、外径及び軸方向長さがほぼ同等に設定される。
ここで、この規制部50の組み付け方法について説明する。まず、すでにプライマリ可動シーブ23が設置されているプライマリプーリ軸21に対して、カバー部材53を圧入する。このとき、カバー部材53は、プライマリ可動シーブ23の背面側(図2中向かって左側)から圧入され、軸方向に対してカバー部材53の非接触端面53eが軸側溝部51よりもプライマリ固定シーブ22側(図2中向かって右側)の位置まで移動される。そして、軸側溝部51内にC割リング52を設ける。その後、カバー部材53をC割リング52側に移動し、カバー側溝部54の軸方向壁面がC割リング52と当接する位置で位置決めされる。その後、プライマリプーリ軸21に対して、プライマリピストン28を圧入し、ロックナット29によりナット側円環部28bをプライマリプーリ軸21の所定の位置で位置決めして締め付け固定する。このようにして規制部50は、C割リング52が軸側溝部51とカバー側溝部54とからなる空間部内に収容されるようにしてプライマリプーリ軸21に組み付けられる。
上記のように構成されるベルト式無段変速機1、プライマリプーリ2では、プライマリ可動シーブ23がプライマリピストン28側に移動しプライマリピストン側端部23dpとカバー部材53の接触端面53dとが当接すると、プライマリ可動シーブ23及びカバー部材53のプライマリ固定シーブ22から離間する側(図2中向かって左側)への移動は、規制部50のC割リング52が軸側溝部51の軸方向壁面に当接することで規制される。また、この規制部50のC割リング52は、カバー側溝部54の径方向壁面に当接することで径方向外方への移動が規制されることから、軸側溝部51から脱落することが防止される。
したがって、規制部50は、C割リング52が軸側溝部51の軸方向壁面に当接することでプライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22から離間する側(図2中向かって左側)への移動を規制することから、例えば、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22から離間する側(図2中向かって左側)への移動を規制する構造としてロックナットを用いる場合などと比較して、溝部の隅半径を大きくすることができ、この規制部50の強度を向上することができ、この結果、プライマリ可動シーブ23の移動を確実に規制することができる。
また、規制部50は、プライマリ油圧室24内に設けられるC割リング52が軸側溝部51の軸方向壁面に当接することでプライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22から離間する側(図2中向かって左側)への移動を規制することから、プライマリ可動シーブ23のプライマリピストン側端部23dpが直接的にプライマリピストン28のナット側円環部28bに接触することが防止され、これにより、ベルト4からプライマリ可動シーブ23に作用するベルト反力がナット側円環部28bを介して作動油を介さずにロックナット29に直接的に作用することを防止することができ、ロックナット29に作用する力が大きくなることを防止することができる。この結果、ロックナット29が強度不足となることを確実に防止することができる。
例えば、プライマリプーリ2におけるベルト4の巻き掛け半径が最小となり、プライマリ可動シーブ23のプライマリピストン側端部23dpがプライマリピストン28のナット側円環部28bに作動油を介さずに直接的に当接する場合、ベルト4からプライマリ可動シーブ23に作用するベルト反力は、作動油を介さずに、プライマリピストン28のナット側円環部28bを介してロックナット29に直接的に作用することとなる。このとき、ベルト4が巻き掛けられているプライマリ可動シーブ23が回転することで、ベルト4とプライマリ可動シーブ23との接触部分もこの回転に伴って周期的に変化する。すると、ベルト反力がプライマリピストン28のナット側円環部28bを介してロックナット29に直接的に作用していると、作動油を介さないがためにベルト反力が分散されず、ロックナット29においてベルト反力が作用する部分もこの回転に伴って周期的に変化することになる。この結果、ベルト反力が作動油を介さずにナット側円環部28bを介してロックナット29に直接的に作用する場合には、ベルト反力が作用する部分がプライマリ可動シーブ23の回転に伴って周期的に変化することによってこのロックナット29に作用する荷重に対しても十分な強度を確保する必要がある。
しかしながら、本実施形態のプライマリプーリ2は、プライマリ油圧室24内に設けられる規制部50のC割リング52が軸側溝部51の軸方向壁面に当接することでプライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22から離間する側(図2中向かって左側)への移動を規制することから、ベルト4からプライマリ可動シーブ23に作用するベルト反力が作動油を介さずにナット側円環部28bを介してロックナット29に直接的に作用することを防止することができるので、ロックナット29が強度不足となることを確実に防止することができる。
そして、本実施形態のプライマリプーリ2は、支持部材としての軸受26がプライマリピストン28を介してプライマリプーリ軸21を回転可能に支持すると共に、この軸受26は、軸方向に対する位置が軸側溝部51の位置と同等の位置に設けられる。
ここで、軸受26は、内輪26aと、外輪26bと、転動体26cを有している。内輪26aは、中心軸線が回転軸線Xとほぼ一致するような円筒形状に形成されており、プライマリピストン28の円筒部28aの外周面側(外径側)に固定して設けられる。したがって、内輪26aは、プライマリピストン28の円筒部28aを介してプライマリプーリ軸21と一体で回転可能である。一方、外輪26bは、中心軸線が回転軸線Xとほぼ一致するような円筒形状に形成されており、ケーシング(不図示)に固定して設けられている。外輪26bは、内輪26aに対して径方向に隙間をあけてこの内輪26aの径方向外側に設けられる。そして、転動体26cは、この内輪26aと外輪26bとの間に複数設けられる。転動体26cは、例えば、球状に形成され内輪26aと外輪26bとに接触しながら転動可能、すなわち、自転しながら公転可能である。したがって、この軸受26は、プライマリプーリ軸21がプライマリピストン28、内輪26aと共に回転する際には転動体26cが内輪26aと外輪26bとに接触しながら転動することで、このプライマリプーリ軸21をケーシング(不図示)に対して回転可能に支持することができる。
ここで、このようにプライマリプーリ軸21とプライマリピストン28の円筒部28aとを径方向に重ねた状態で、この円筒部28aを介して軸受26によってプライマリピストン28及びプライマリプーリ軸21を回転可能に支持することにより、このプライマリプーリ2、ベルト式無段変速機1の軸方向の長さを相対的に短くすることができ、よって、装置を小型化することができる。なお、本実施形態の軸受26は、内輪26a、外輪26bをプライマリピストン28の円筒部28a、ケーシング(不図示)とは別体に形成されるものとして説明したが、これに限らず、円筒部28a、ケーシング(不図示)と一体に形成されるものであってもよい。つまり、軸受26は、内輪として円筒部28aを兼用するものであってもよいし、外輪としてケーシング(不図示)を兼用するものであってもよい。
そして、この軸受26は、上記のように軸方向に対する位置が軸側溝部51の位置と同等の位置に設けられる。ここでは、軸受26と軸側溝部51とは、軸受26の軸方向中心位置と軸側溝部51の軸方向中心位置とが一致するように配置される。したがって、プライマリプーリ2は、軸受26と軸側溝部51との軸方向に対する位置がほぼ同等の位置に設定されることで、軸側溝部51の軸方向の位置が軸受26による回転支持部分、すなわち、軸方向において、プライマリプーリ軸21の径方向に対する変形が最小となる部分に位置するため、軸受26によりこの軸側溝部51の変形を抑制することができる。この結果、軸側溝部51が変形することによって軸側溝部51に作用する応力を低減することができ、例えば、補強部材を設けるなどによって製造コストを増加させることなく、この軸側溝部51の強度を向上することができる。これにより、例えば、このベルト式無段変速機1を高容量化したり、対応可能な変速比域を拡大させたりした場合であっても、軸側溝部51にてプライマリプーリ軸21の強度が不足することを防止することができ、言い換えれば、プライマリプーリ軸21を大径化せずに十分な強度を確保することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1のプライマリプーリ2によれば、プライマリプーリ軸21と、プライマリプーリ軸21に一体回転可能に設けられるプライマリ固定シーブ22と、プライマリプーリ軸21に一体回転可能、かつ、プライマリプーリ軸21の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22に対して相対的に移動自在に設けられるプライマリ可動シーブ23と、プライマリプーリ軸21に一体回転可能に設けられるプライマリピストン28により形成され、内部に供給される作動油によりプライマリ可動シーブ23を移動させプライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23との間に設けられるベルト4にベルト挟圧力を作用させるプライマリ油圧室24と、プライマリピストン28のプライマリ油圧室24側におけるプライマリプーリ軸21の外周面に設けられる軸側溝部51と、軸側溝部51に設けられるC割リング52とを有し、C割リング52が軸側溝部51の壁面に当接することでプライマリ可動シーブ23の移動を規制可能な規制部50と、プライマリピストン28を介してプライマリプーリ軸21を回転可能に支持すると共に軸方向に対する位置が軸側溝部51の位置と同等の位置に設けられる軸受26とを備える。
また、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1によれば、プライマリプーリ2、セカンダリプーリ3と、各プライマリプーリ2、セカンダリプーリ3に巻き掛けられ、エンジン100からの駆動力を入力側のプライマリプーリ2から出力側のセカンダリプーリ3に伝達するベルト4とを備え、プライマリプーリ2、セカンダリプーリ3は、それぞれ、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31と、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31に一体回転可能に設けられるプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32と、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31に一体回転可能、かつ、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して相対的に移動自在に設けられるプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33と、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31に一体回転可能に設けられるプライマリピストン28、セカンダリピストン38により形成され、内部に供給される作動油によりプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33を移動させプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32とプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33との間に設けられるベルト4にベルト挟圧力を作用させるプライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34とを有し、少なくとも2つのプライマリプーリ2、セカンダリプーリ3いずれか一方、ここでは、プライマリプーリ2は、プライマリピストン28のプライマリ油圧室24側におけるプライマリプーリ軸21の外周面に設けられる軸側溝部51と、軸側溝部51に設けられるC割リング52とを有し、C割リング52が軸側溝部51の壁面に当接することでプライマリ可動シーブ23の移動を規制可能な規制部50と、プライマリピストン28を介してプライマリプーリ軸21を回転可能に支持すると共に軸方向に対する位置が軸側溝部51の位置と同等の位置に設けられる軸受26とを含んで構成される。
したがって、プライマリプーリ2は、軸受26とプライマリ油圧室24内に設けられる規制部50の軸側溝部51との軸方向に対する位置がほぼ同等の位置に設定されることで、軸側溝部51の軸方向の位置が、軸方向において、プライマリプーリ軸21の径方向に対する変形が最小となる部分に位置するため、軸受26によりこの軸側溝部51の変形を抑制することができる。この結果、軸側溝部51が変形することによって軸側溝部51に作用する応力を低減することができ、この軸側溝部51の強度、さらに言えば、プライマリプーリ軸21の強度を向上することができ、プライマリプーリ2の強度を向上することができる。
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリを示す部分断面図である。実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリ及び無段変速機は、実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリ及び無段変速機と略同様の構成であるが、カバー部材を備えていない点で実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリ及び無段変速機とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1を参照する。
実施形態2に係る無段変速機としてのベルト式無段変速機201のプライマリプーリ202では、実施形態1で説明したカバー部材53(図2参照)を備えない代わりに、規制手段としての規制部250が有する規制部材としてのC割リング252は、軸方向と直交する方向、すなわち、径方向の端面がプライマリピストン28のプライマリ油圧室24側の壁面と当接する。すなわち、C割リング252は、外径がプライマリピストン28の円筒部28aの内径とほぼ同等に設定され、したがって、このC割リング252は、外周面がプライマリピストン28の円筒部28aの内周面と当接する。
C割リング252は、軸側溝部51内に設けられ、軸方向に形成される両端部のうち、プライマリ可動シーブ23側に位置する一方の端面である接触端面252dが軸方向に沿ってプライマリピストン側端部23dpと対向して当接可能である一方、プライマリピストン28側に位置する他方の端部である非接触端面252eが軸方向に対してプライマリピストン28のナット側円環部28bとは間隔があけられており、ナット側円環部28bとは当接不能となっている。
上記のように構成されるベルト式無段変速機201、プライマリプーリ202では、プライマリ可動シーブ23がプライマリピストン28側に移動しプライマリピストン側端部23dpとC割リング252の接触端面252dとが当接すると、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22から離間する側(図4中向かって左側)への移動は、規制部250のC割リング252が軸側溝部51の軸方向壁面に当接することで規制される。
また、この規制部250のC割リング252は、外周面がプライマリピストン28の円筒部28aの内周面に当接することで径方向外方への移動が規制されることから、軸側溝部51から脱落することが防止される。すなわち、プライマリピストン28の円筒部28aがC割リング252の径方向外方への移動を規制するための部材として兼用されることから、例えば、カバー部材53(図2参照)を用いる場合と比較して、ベルト式無段変速機201、プライマリプーリ202を構成する部品点数を削減して製造コストを低減することができると共に、このベルト式無段変速機201、プライマリプーリ202の軸方向の長さを相対的に短くすることができ、よって、装置を小型化することができる。
そして、プライマリプーリ202は、軸受26と軸側溝部51との軸方向に対する位置がほぼ同等の位置に設定されることで、軸側溝部51の軸方向の位置が軸受26による回転支持部分、すなわち、軸方向において、プライマリプーリ軸21の径方向に対する変形が最小となる部分に位置するため、軸受26によりこの軸側溝部51の変形を抑制することができる。このとき、本実施形態のプライマリプーリ202は、軸受26が設けられているプライマリピストン28の円筒部28aにおいて、径方向に対して円筒部28aの外径側に軸受26の内輪26aが接触すると共に、内径側にC割リング252が接触していることから、この軸受26による回転支持部分の剛性が向上するので、軸側溝部51の変形をより効果的に抑制することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機201、プライマリプーリ202によれば、プライマリプーリ202は、軸受26と規制部250の軸側溝部51との軸方向に対する位置がほぼ同等の位置に設定されることで、軸側溝部51の軸方向の位置が、軸方向において、プライマリプーリ軸21の径方向に対する変形が最小となる部分に位置するため、軸受26によりこの軸側溝部51の変形を抑制することができる。この結果、軸側溝部51が変形することによって軸側溝部51に作用する応力を低減することができ、この軸側溝部51の強度、さらに言えば、プライマリプーリ軸21の強度を向上することができ、プライマリプーリ202の強度を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機201、プライマリプーリ202によれば、C割リング252は、軸方向と直交する径方向の端面がプライマリピストン28のプライマリ油圧室24側の壁面と当接する。したがって、プライマリピストン28をC割リング252の径方向外方への移動を規制するための部材として兼用することができることから、ベルト式無段変速機201、プライマリプーリ202を構成する部品点数を削減して製造コストを低減することができ、軸方向の長さを相対的に短くすることができ、よって、装置を小型化することができる。そして、径方向に対してプライマリピストン28の外径側に軸受26の内輪26aが接触すると共に、内径側にC割リング252が接触していることから、この軸受26による回転支持部分の剛性が向上するので、軸側溝部51の変形をより効果的に抑制することができ、この軸受26による軸側溝部51の変形抑制の効果を向上することができる。
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリを示す部分断面図である。実施形態3に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリ及び無段変速機は、実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリ及び無段変速機と略同様の構成であるが、規制部材により形成される空間部に作動油を供給する点で実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリ及び無段変速機とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1を参照する。
実施形態3に係る無段変速機としてのベルト式無段変速機301のプライマリプーリ302では、規制手段としての規制部250が有する規制部材としてのC割リング252により形成される空間部355に作動油を供給している。
上述の実施形態2で説明したようにC割リング252は、外径がプライマリピストン28の円筒部28aの内径とほぼ同等に設定され、外周面がプライマリピストン28の円筒部28aの内周面と当接している。このため、C割リング252は、軸方向に対してプライマリ油圧室24とは反対側にプライマリピストン28の円筒部28a及びナット側円環部28bとともに空間部355を形成することになる。つまり、この空間部355は、C割リング252の非接触端面252eと、プライマリピストン28の円筒部28aの内周面及びナット側円環部28bとによって区画されている。
そして、本実施形態に係るプライマリプーリ302では、プライマリプーリ軸21にこの空間部355と第1作動油通路21aとを連通する連通路321eが設けられている。このため、この空間部355には、第1作動油通路21aに流入した作動油が連通路321eを介して供給される。
これにより、このプライマリプーリ302では、空間部355に供給された作動油の油圧がC割リング252の非接触端面252eに作用する。そして、この油圧による押圧力は、ベルト4からプライマリ可動シーブ23のプライマリピストン側端部23dpを介してC割リング252の接触端面252dに作用するベルト反力に対する反力として非接触端面252eに作用することから、C割リング252と軸側溝部51との接触部分に作用する応力を低減することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機301、プライマリプーリ302によれば、プライマリプーリ302は、軸受26と規制部250の軸側溝部51との軸方向に対する位置がほぼ同等の位置に設定されることで、軸側溝部51の軸方向の位置が、軸方向において、プライマリプーリ軸21の径方向に対する変形が最小となる部分に位置するため、軸受26によりこの軸側溝部51の変形を抑制することができる。この結果、軸側溝部51が変形することによって軸側溝部51に作用する応力を低減することができ、この軸側溝部51の強度、さらに言えば、プライマリプーリ軸21の強度を向上することができ、プライマリプーリ302の強度を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機301、プライマリプーリ302によれば、プライマリピストン28をC割リング252の径方向外方への移動を規制するための部材として兼用することができることから、ベルト式無段変速機301、プライマリプーリ302を構成する部品点数を削減して製造コストを低減することができ、軸方向の長さを相対的に短くすることができ、よって、装置を小型化することができる。そして、径方向に対してプライマリピストン28の外径側に軸受26の内輪26aが接触すると共に、内径側にC割リング252が接触していることから、この軸受26による回転支持部分の剛性が向上するので、軸側溝部51の変形をより効果的に抑制することができ、この軸受26による軸側溝部51の変形抑制の効果を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機301、プライマリプーリ302によれば、C割リング252は、軸方向に対してプライマリ油圧室24とは反対側にプライマリピストン28とともに空間部355を形成し、空間部355は、内部に作動油が供給される。したがって、このプライマリプーリ302では、空間部355内の油圧による押圧力がC割リング252の接触端面252dに作用するベルト反力に対する反力として非接触端面252eに作用することから、C割リング252と軸側溝部51との接触部分に作用する応力をさらに低減することができ、この軸側溝部51の強度、さらに言えば、プライマリプーリ軸21の強度をさらに向上することができ、プライマリプーリ302の強度をさらに向上することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機のプーリ、ベルト式無段変速機は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、本発明のベルト式無段変速機のプーリとして主にプライマリプーリ側を詳細に説明したが、本発明のベルト式無段変速機のプーリは、セカンダリプーリに適用することもできる。
以上のように、本発明に係るベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機は、強度を向上することができるものであり、種々のベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機に適用して好適である。
本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機の概略構成図である。 本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリを示す部分断面図である。 本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリが備えるC割リング及びカバー部材を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリを示す部分断面図である。 本発明の実施形態3に係るベルト式無段変速機のプライマリプーリを示す部分断面図である。
符号の説明
1、201、301 ベルト式無段変速機
2、202、302 プライマリプーリ(プーリ)
3 セカンダリプーリ(プーリ)
4 ベルト
5 ECU
6 油圧制御装置
21 プライマリプーリ軸(プーリ軸)
22 プライマリ固定シーブ(固定シーブ)
23 プライマリ可動シーブ(可動シーブ)
24 プライマリ油圧室(油圧室)
25、35 軸受
26、36 軸受(支持部材)
26a 内輪
26b 外輪
26c 転動体
27 プライマリ溝
28 プライマリピストン(油圧室形成部材)
31 セカンダリプーリ軸(プーリ軸)
32 セカンダリ固定シーブ(固定シーブ)
33 セカンダリ可動シーブ(可動シーブ)
34 セカンダリ油圧室(油圧室)
37 セカンダリ溝
38 セカンダリピストン(油圧室形成部材)
50、250 規制部(規制手段)
51 軸側溝部
52、252 C割リング(規制部材)
53 カバー部材
54 カバー側溝部
100 エンジン(駆動源)
321e 連通路
355 空間部

Claims (4)

  1. プーリ軸と、
    前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる固定シーブと、
    前記プーリ軸に一体回転可能、かつ、前記プーリ軸の軸方向に沿って前記固定シーブに対して相対的に移動自在に設けられる可動シーブと、
    前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる油圧室形成部材により形成され、内部に供給される作動油により前記可動シーブを移動させ前記固定シーブと前記可動シーブとの間に設けられるベルトにベルト挟圧力を作用させる油圧室と、
    前記油圧室形成部材の前記油圧室側における前記プーリ軸の外面に設けられる軸側溝部と、前記軸側溝部に設けられる規制部材とを有し、前記規制部材が前記軸側溝部の壁面に当接することで前記可動シーブの移動を規制可能な規制手段と、
    前記油圧室形成部材を介して前記プーリ軸を回転可能に支持すると共に前記軸方向に対する位置が前記軸側溝部の位置と同等の位置に設けられる支持部材とを備えることを特徴とする、
    ベルト式無段変速機のプーリ。
  2. 前記規制部材は、前記軸方向と直交する方向の端面が前記油圧室形成部材の前記油圧室側の壁面と当接することを特徴とする、
    請求項1に記載のベルト式無段変速機のプーリ。
  3. 前記規制部材は、前記軸方向に対して前記油圧室とは反対側に前記油圧室形成部材とともに空間部を形成し、
    前記空間部は、内部に前記作動油が供給されることを特徴とする、
    請求項2に記載のベルト式無段変速機のプーリ。
  4. 2つのプーリと、
    前記各プーリに巻き掛けられ、駆動源からの駆動力を入力側の前記プーリから出力側の前記プーリに伝達するベルトとを備え、
    前記2つのプーリは、それぞれ、プーリ軸と、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる固定シーブと、前記プーリ軸に一体回転可能、かつ、前記プーリ軸の軸方向に沿って前記固定シーブに対して相対的に移動自在に設けられる可動シーブと、前記プーリ軸に一体回転可能に設けられる油圧室形成部材により形成され、内部に供給される作動油により前記可動シーブを移動させ前記固定シーブと前記可動シーブとの間に設けられるベルトにベルト挟圧力を作用させる油圧室とを有し、
    少なくとも前記2つのプーリのいずれか一方は、前記油圧室形成部材の前記油圧室側における前記プーリ軸の外面に設けられる軸側溝部と、前記軸側溝部に設けられる規制部材とを有し、前記規制部材が前記軸側溝部の壁面に当接することで前記可動シーブの移動を規制可能な規制手段と、
    前記油圧室形成部材を介して前記プーリ軸を回転可能に支持すると共に前記軸方向に対する位置が前記軸側溝部の位置と同等の位置に設けられる支持部材とを含んで構成されることを特徴とする、
    ベルト式無段変速機。
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