JP2006105245A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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岡田  卓也
Takatsugu Ibaraki
隆次 茨木
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Abstract

【課題】 ベルトとシーブとの間の滑りを局所的な滑りを抑制することができるベルト式無断変速機の提供。
【解決手段】 ベルト式無段変速機9は、可動シーブ38を固定シーブ37に対して移動させてベルトBの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得るものであって、可動シーブ38に対して軸方向に圧入される可動シリンダ70と、可動シリンダ70と協働して可動シーブ38を固定シーブ37に対して移動させるための油室40aを画成するピストン80とを備え、可動シーブ38の背面38dと、この背面38dと対向する可動シリンダ70の環状壁部72との間に隙間Gが形成されており、隙間Gの寸法は、環状壁部72の最大軸方向変形量ΔCY以上とされ、かつ、当該最大軸方向変形量ΔCYと可動シーブ38の軸方向変形量の許容値ΔSLとの和以下とされている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ベルトの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機に関する。
従来から、車両用の変速機として、ベルト式無段変速機が知られている。この種のベルト式無段変速機は、互いに平行に配列されたプライマリシャフト(駆動側回転軸)およびセカンダリシャフト(従動側回転軸)と、プライマリシャフトに設けられたプライマリプーリと、セカンダリシャフトに設けられたセカンダリプーリとを備える。プライマリプーリおよびセカンダリプーリは、何れも、固定シーブと、固定シーブに対して移動可能な可動シーブとを含む。固定シーブと可動シーブとの間には、略V字形状のプーリ溝が形成され、プライマリプーリおよびセカンダリプーリそれぞれのプーリ溝には、無端ベルトが巻き掛けられる。更に、プライマリプーリおよびセカンダリプーリに対しては、それぞれの可動シーブを対応する固定シーブに対して接近離間させるための油室が設けられる。
また、上述のようなベルト式無段変速機として、可動シーブと共に移動可能な可動シリンダと、固定シーブに対して固定されて可動シリンダと共に油室を画成するピストン(固定プランジャ)とを有するものが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。この種のベルト式無段変速機では、製造コストを削減すると共に可動シーブの汎用性を高め、更にメインテナンス性を向上させる観点から、可動シリンダが可動シーブに対して軸方向に圧入され、可動シーブの背面との当接により位置決め・固定される。また、上述のような可動シリンダ(シリンダ部材)を有するベルト式無段変速機として、可動シリンダの応力設計を高精度に行うために、可動シリンダと可動シーブの背面とが局所的に当接するように構成されたものも知られている(例えば、特許文献3参照。)。このベルト式無段変速機では、可動シーブの背面に、可動シリンダに向けて突出する環状の突出部が形成されている。
特許第3055747号公報 特許第3116035号公報 特開平11−6549号公報
ここで、上述のようにプライマリプーリとセカンダリプーリとにベルトが巻き掛けられると、図8に示されるように、ベルトとシーブとが接触し合う領域Xと、ベルトとシーブとが接触し合わない領域Yとが形成される。そして、ベルトとシーブとが接触し合う領域Xでは、各プーリの可動シーブにベルトの反力(可動シーブに作用する油圧に対する反力)が作用し、可動シーブは、プーリ溝を拡げるように(固定シーブから離間するように)変形する。また、上記従来例のように可動シーブの背面と可動シリンダとが少なくとも局所的に接触すると、油室内の作動油の圧力が可動シリンダを介して各プーリの可動シーブに伝わり、当該作動油からの力により、ベルトとシーブとが接触し合わない領域Yでは、可動シーブがプーリ溝を狭めるように(固定シーブに接近するように)変形する。
このため、上述のように可動シーブの背面と可動シリンダとが接触する場合、ベルトとシーブとが接触し合う領域Xと、ベルトとシーブとが接触し合わない領域Yとの境界付近において、プーリ溝の幅が全周において微妙に変化してしまい、それにより、ベルトと各シーブ間において局所的な滑り(ベルトの径方向における微小な移動)が発生してしまうおそれがある。また、可動シリンダと可動シーブの背面とが局所的に当接するように構成された変速機では、上述のベルトとシーブとの滑りにより、可動シリンダと可動シーブの背面との当接部の磨耗が進行させられてしまう。
そこで、本発明は、ベルトとシーブとの間の局所的な滑りを抑制することができるベルト式無断変速機の提供を目的とする。
本発明によるベルト式無段変速機は、固定シーブおよび可動シーブと、これらの固定シーブおよび可動シーブに巻き掛けられるベルトとを含み、可動シーブを固定シーブに対して移動させてベルトの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機において、可動シーブに対して軸方向に圧入される可動側部材と、固定シーブに対して固定されており、可動側部材と協働して可動シーブを固定シーブに対して移動させるための流体室を画成する固定側部材とを備え、可動シーブの背面と、この背面と対向する可動側部材の環状壁部との間に、環状壁部の軸方向における最大変形量以上の寸法の隙間が形成されることを特徴とする。
このベルト式無段変速機では、可動シーブの背面と、この背面と対向する可動側部材の環状壁部との間に形成される隙間の寸法が、環状壁部の軸方向における最大変形量以上とされる。これにより、流体室内の流体からの力によって可動側部材の環状壁部が変形しても、環状壁部が可動シーブの背面に強く押し当てられてしまうことが抑制されるので、可動シーブのベルトと接触し合っていない領域に、環状壁部を介して上記流体からの力が伝えられることが抑制される。この結果、ベルトと可動シーブとが接触し合う領域と、ベルトと可動シーブとが接触し合わない領域との境界付近におけるプーリ溝の幅の変化が抑制されるので、当該境界付近において、ベルトと可動シーブとの間の局所的な滑りが発生してしまうことを良好に抑制可能となる。
更に、可動シーブの背面と環状壁部との間に形成される隙間の寸法は、環状壁部の最大軸変形量と可動シーブの可動側部材に向けた軸方向変形量の許容値との和以下であると好ましい。
このような構成のもとでは、流体室内の流体からの力に対するベルトの反力によって可動シーブの一部が環状壁部に向けて変形し、可動シーブの変形量が、ベルトや可動シーブ等の耐久性や性能に影響を与えない最大の値である許容値を超えると、可動シーブと環状壁部とが緩やかに接触することになるため、特に、ベルトと接触し合っている領域における可動シーブの上記許容値を超える変形が環状壁部によって抑えられる。これにより、ベルトと可動シーブとが接触し合う領域と、ベルトと可動シーブとが接触し合わない領域との境界付近におけるプーリ溝の幅の変化を確実に抑制することが可能となる。
そして、可動シーブの背面と可動側部材の環状壁部との間に形成される隙間の寸法は、可動シーブの背面および可動側部材の環状壁部のうち、可動側部材に作用する流体圧に起因して最接近する部位同士間の距離とされると好ましい。
すなわち、基本的には、可動シーブの概ね最外周部と環状壁部との隙間、あるいは、環状壁部の概ね最外周部と可動シーブとの隙間の寸法を、上述の範囲内に設定すればよい。また、可動シーブの背面等に突起が設けられており、可動シーブの背面と環状壁部とが局所的に当接するように構成された無段変速機においては、局所的に当接し合う部位同士の隙間、可動シーブの概ね最外周部と環状壁部との隙間、および環状壁部の概ね最外周部と可動シーブとの隙間のうち、最も早期に狭まる隙間の寸法を上述の範囲内に設定すればよい。
本発明によれば、ベルトとシーブとの間の局所的な滑りを抑制することができるベルト式無断変速機の実現が可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明によるベルト式無段変速機が適用された車両を示す概略構成図である。図1に示される車両1は、いわゆるFF車両(フロントエンジンフロントドライブ:エンジン前置き前輪駆動車両)として構成されており、駆動源としてのエンジン2を備える。エンジン2としては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジン、水素エンジン、あるいは、バイフューエルエンジン等が採用され得るが、ここでは、エンジン2としてガソリンエンジンが用いられるものとして説明する。
図1に示されるように、車両1は、横置きにされたエンジン2の側方に配置され、エンジン2のクランクシャフトSCと連結されるトランスアクスル3を有する。トランスアクスル3は、トランスアクスルハウジング4、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6を含む。ハウジング4は、エンジン2の側方に配置され、ケース5は、ハウジング4のエンジン2とは反対側の開口端に固定されている。また、リヤカバー6は、ケース5のハウジング4とは反対側の開口端に固定されている。そして、トランスアクスルハウジング4の内部には、トルクコンバータ7が配置されており、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6の内部には、前後進切り換え機構8、本発明によるベルト式無段変速機(CVT)9、減速歯車装置および差動装置を含む最終減速機10が配置されている。
トルクコンバータ7は、ドライブプレート11と、ドライブプレート11を介してエンジン2のクランクシャフトSCに固定されるフロントカバー12とを有する。フロントカバー12には、図1に示されるように、ポンプインペラ14が取り付けられている。また、トルクコンバータ7は、ポンプインペラ14と対向する状態で回転可能なタービンランナ15を含む。
タービンランナ15は、クランクシャフトSCと概ね同軸に延びる入力シャフトSIに固定されている。更に、ポンプインペラ14およびタービンランナ15の内側にはステータ16が配置されており、ステータ16の回転方向は、ワンウェイクラッチ17によって一方向にのみ設定される。ステータ16には、ワンウェイクラッチ17を介して中空軸18が固定されており、上述の入力シャフトSIは、この中空軸18の内部に挿通されている。そして、入力シャフトSIのフロントカバー12側の端部には、ダンパ機構19を介してロックアップクラッチ20が取り付けられている。
上述のポンプインペラ14、タービンランナ15およびステータ16は、作動液室を画成し、この作動液室には、トルクコンバータ7と前後進切り換え機構8との間に配置されたオイルポンプ21から作動液が供給される。そして、エンジン2が作動し、フロントカバー12およびポンプインペラ14が回転すると、作動液の流れによりタービンランナ15が引きずられるようにして回転し始める。また、ステータ16は、ポンプインペラ14とタービンランナ15との回転速度差が大きい時に、作動液の流れをポンプインペラ14の回転を助ける方向に変換する。
これにより、トルクコンバータ7は、ポンプインペラ14とタービンランナ15との回転速度差が大きい時には、トルク増幅機として作動し、両者の回転速度差が小さくなると、流体継手として作動する。そして、車両1の発進後、車速が所定速度に達すると、ロックアップクラッチ20が作動され、エンジン2からフロントカバー12に伝えられた動力が入力シャフトSIに機械的かつ直接に伝達されるようになる。また、フロントカバー12から入力シャフトSIに伝達されるトルクの変動は、ダンパ機構19によって吸収される。
トルクコンバータ7と前後進切り換え機構8との間のオイルポンプ21は、ロータ22を有し、このロータ22は、ハブ23を介してポンプインペラ14と接続されている。また、ハブ23は、中空軸18に対してスプライン嵌合されており、オイルポンプ21の本体24は、トランスアクスルケース5側に固定されている。従って、エンジン2の動力は、ポンプインペラ14を介してロータ22に伝達されることになり、これにより、オイルポンプ21が駆動される。
前後進切り換え機構8は、ダブルピニオン形式の遊星歯車機構25を有している。遊星歯車機構25は、入力シャフトSIの無段変速機9側の端部に取り付けられたサンギヤ26と、サンギヤ26の外周側に同心状に配置されたリングギヤ27と、サンギヤ26と噛み合う複数のピニオンギヤ28と、リングギヤ27およびピニオンギヤ28の双方と噛み合う複数のピニオンギヤ29と、各ピニオンギヤ28を自転可能に保持し、かつ、ピニオンギヤ28をサンギヤ26の周囲で一体的に公転可能な状態に保持するキャリヤ30とを含む。
前後進切り換え機構8のキャリヤ30は、ベルト式無段変速機9に含まれるプライマリ軸であるプライマリシャフトSPに固定され、キャリヤ30と入力シャフトSIとの間の動力伝達経路は、フォワードクラッチCLを用いて接続または遮断される。また、前後進切り換え機構8は、リングギヤ27の回転・固定を制御するリバースブレーキBRを有している。
一方、本発明によるベルト式無段変速機9は、入力シャフトSIと概ね同軸に延びる上述のプライマリシャフト(駆動側回転軸)SPと、プライマリシャフトSPと平行をなすように配置されたセカンダリシャフト(従動側回転軸)SSとを有する。プライマリシャフトSPは、軸受31および32によって回転自在に支持されており、セカンダリシャフトSSは、軸受33および34によって回転自在に支持されている。そして、プライマリシャフトSPには、プライマリプーリ35が、セカンダリシャフトSSには、セカンダリプーリ36がそれぞれ装備されている。
プライマリプーリ35は、プライマリシャフトSPの外周に一体に形成された固定シーブ37と、プライマリシャフトSPの外周に摺動自在に装着された可動シーブ38とにより構成されている。可動シーブ38は、後述の可動シリンダ70の位置決めに用いられる拡径部38aと、ベルト摺動面38cと(可動シーブ38の)背面38dとを定めるベルト支持部38bとを含む。可動シーブ38の内周面には、図示されない複数のスプラインが形成されており、可動シーブ38を摺動自在に支持するプライマリシャフトSPの外周面には、可動シーブ38のスプラインと噛み合う複数のスプライン溝が形成されている。これにより、スプラインおよびスプライン溝によって、可動シーブ38がプライマリシャフトSPに対し軸方向に移動可能とされる一方、プライマリシャフトSPに対する可動シーブ38の回転が規制される。固定シーブ37と可動シーブ38とは互いに対向し合い、両者間には、略V字形状のプーリ溝39が形成される。また、可動シーブ38は、固定シーブ37に対してプライマリシャフトSPの軸方向に移動可能であり、無段変速機9は、可動シーブ38をプライマリシャフトSPの軸方向に移動させて固定シーブ37と可動シーブ38とを接近・離間させる油圧アクチュエータ40を有している。
同様に、セカンダリプーリ36も、セカンダリシャフトSSの外周に一体に形成された固定シーブ41と、セカンダリシャフトSSの外周に摺動自在に装着された可動シーブ42とにより構成されている。固定シーブ41と可動シーブ42とは互いに対向し合い、両者間には、略V字形状のプーリ溝44が形成される。また、可動シーブ42は、後述の可動シリンダ75の位置決めに用いられる拡径部42aと、ベルト摺動面42cと(可動シーブ42の)背面とを定めるベルト支持部42bとを含む。可動シーブ42も、固定シーブ41に対してセカンダリシャフトSSの軸方向に移動可能であり、無段変速機9は、可動シーブ42をセカンダリシャフトSSの軸方向に移動させて固定シーブ41と可動シーブ42とを接近・離間させる油圧アクチュエータ45を有している。
上述のプライマリプーリ35のプーリ溝39と、セカンダリプーリ36のプーリ溝44とには、多数の金属製の駒および複数本のスチールリングにより構成されるベルトBが巻き掛けられる。そして、各油圧アクチュエータ40および45による油圧が別個に制御され、これにより、プライマリプーリ35およびセカンダリプーリ36の溝幅が変更されてベルトBの巻き掛け半径が変化する。この結果、無段変速機9による変速比が所望の値に設定されると共に、ベルトBの張力が調整されることになる。なお、セカンダリシャフトSSを支持する軸受34はトランスアクスルリヤカバー6に固定されており、軸受34とセカンダリプーリ36との間には、パーキングギヤPGが設けられている。
更に、ベルト式無段変速機9のセカンダリシャフトSSは、図1に示されるように、軸受33を超えて延長されており、セカンダリシャフトSSの延長部には、リダクションドライブギヤ47が固設されている。このリダクションドライブギヤ47を介して、ベルト式無段変速機9から最終減速機10に動力が伝達される。最終減速機10は、セカンダリシャフトSSと平行をなすように配置された中間軸であるインターミディエイトシャフト50を含んでいる。インターミディエイトシャフト50は、軸受51および52によって支持されており、インターミディエイトシャフト50には、減速歯車装置の一部としてセカンダリシャフトSSのリダクションドライブギヤ47と噛み合うリダクションドリブンギヤ53が設けられている。
また、最終減速機10は、中空のデフケース55を有している。デフケース55は、軸受56および57によって回転自在に支持されており、その外周には、リングギヤ58が設けられている。このリングギヤ58は、インターミディエイトシャフト50のリダクションドリブンギヤ53と噛み合っている。更に、デフケース55は、その内部にピニオンシャフト59を支持しており、ピニオンシャフト59には、2体のピニオンギヤ60が固定されている。各ピニオンギヤ60には、2体のサイドギヤ61が噛み合わされており、各サイドギヤ61には、フロントドライブシャフト62がそれぞれ別個に接続され、各フロントドライブシャフト62には、車輪(前輪)FWが固定されている。
図2は、上述の車両1に含まれる本発明によるベルト式無段変速機9の要部を示す拡大断面図であり、同図は、無段変速機9のプライマリプーリ35およびプライマリシャフトSPに関連する構成を示している。図2に示されるように、無段変速機9は、環状の可動シリンダ(可動側部材)70を含む。可動シリンダ70は、可動シーブ38に形成されている拡径部38aに対してプライマリシャフトSPの軸方向に圧入・固定される嵌合部71と、嵌合部71の一端部(図2における右側の端部、すなわち、固定シーブ37側の端部)から外方(概ねプライマリシャフトSPの径方向)に延出された環状壁部72と、環状壁部72の外周端から固定シーブ37とは反対側に向けてプライマリシャフトSPと概ね平行に延出された外側筒状部73とを有する。
また、プライマリシャフトSP(固定シーブ37)には、ピストン80(固定側部材)が固定されている。ピストン80は、プライマリシャフトSPの径方向に延びる基部81と、この基部81から可動シーブ38の背面38dに沿うようにして外方に延びる外周部82とを有する。ピストン80の基部81は、軸受32と共に、プライマリシャフトSPに形成された凹部内に位置決め・固定されており、ピストン80の外周部82は、可動シリンダ70の環状壁部72を挟んで可動シーブ38の背面38dと対向する。そして、外周部82の外縁は、可動シリンダ70の外側筒状部73の内周面と摺接する。また、外周部82の外縁には、外側筒状部73の内周面との隙間を封止するためのシールリング83が配置されている。これにより、可動シリンダ70、ピストン80および可動シーブ38の一部により、上述の油圧アクチュエータ40を構成する油室(流体室)40aが画成される。
一方、プライマリシャフトSPの内部には、その一端から他端まで軸方向に延びる貫通孔が形成されており、この貫通孔は、可動シリンダ70および可動シーブ38を移動させるために用いられる作動油を流通させる内部流路SPaとして利用される。また、プライマリシャフトSPには、内部流路SPaと連通する2本の径方向油路(図示省略)が軸方向に所定の間隔をおいて形成されている。更に、可動シーブ38には、プライマリシャフトSPの2本の径方向油路と連通可能な1本の油路が形成されている。これにより、可動シリンダ70、ピストン80および可動シーブ38の一部によって画成される油室40aは、可動シーブ38の油路と、プライマリシャフトSPの2本の径方向油路の何れか一方とを介して、プライマリシャフトSPの内部流路SPaと連通する。
プライマリシャフトSPの内部流路SPaには、トランスアクスルリヤカバー6に形成されている油路等を介して作動油が供給される。そして、プライマリシャフトSPの内部流路SPa、何れかの径方向油路および可動シーブ38の油路を介して、油室40a内の油圧を制御することにより、可動シリンダ70および可動シーブ38を固定シーブ37に対して共に移動させてベルトBの巻き掛け半径を変化させ、それにより、所望の変速比を得ることが可能となる。
さて、上述のように構成されるベルト式無段変速機9においても、プライマリプーリ35とセカンダリプーリ36とにベルトBが巻き掛けられると、ベルトBと可動シーブ38(ベルト摺動面38c)とが接触し合う領域Xと、ベルトBと可動シーブ38(ベルト摺動面38c)とが接触し合わない領域Yとが形成される(図8参照)。従って、何ら対策を施さなければ、ベルトBと可動シーブ38とが接触し合う領域Xと、ベルトBと可動シーブ38とが接触し合わない領域Yとの境界付近において、プーリ溝39の幅が全周において微妙に変化してしまい、それにより、ベルトBと特に可動シーブ38との間において局所的な滑り(ベルトBの径方向における微小な移動)が発生してしまうおそれがある。
このため、本実施形態のベルト式無段変速機9では、可動シーブ38(ベルト支持部38b)の背面38dと環状壁部72との間に隙間Gが形成されるように、可動シリンダ70が可動シーブ38に対してプライマリシャフトSPの軸方向に位置決めされる。すなわち、本実施形態では、可動シーブ38の拡径部38aとベルト支持部38bとの間には、所定の幅を有する位置決め部38eが形成されており、可動シリンダ70は、当該位置決め部38eの端面(ピストン80側の面)と当接することにより、環状壁部72が背面38dと接触しない状態で可動シーブ38に対して軸方向に位置決めされる。本実施形態では、可動シーブ38の背面38dと環状壁部72の可動シーブ38側の面とが共にプライマリシャフトSPの径方向に延在しており(プライマリシャフトSPの中心軸と直交しており)、可動シーブ38の背面38dと環状壁部72との間の隙間Gは、中心から外側まで概ね一定の寸法を有する。
そして、本実施形態では、上記隙間Gの寸法(位置決め部38eの幅)が、環状壁部72の軸方向における最大変形量(以下「最大軸方向変形」という)ΔCY以上(図3参照)となり、かつ、当該最大軸方向変形量ΔCYと可動シーブ38(ベルト支持部38b)の可動シリンダ70に向けた軸方向変形量の許容値ΔSL(図3参照)との和以下となるように設定されており、ΔCY≦隙間Gの寸法≦ΔCY+ΔSLという関係が満たされる。ここで、環状壁部72の最大軸方向変形量ΔCYと可動シーブ38の可動シリンダ70に向けた軸方向変形量の許容値ΔSLとは、図4からわかるように、ベルト式無段変速機9に入力するトルク(プライマリシャフトSPに入力するトルク)に基づいて定めることができる。
すなわち、可動シリンダ70を変形させると共に、可動シーブ38を変形させるベルトBの反力をもたらす油室40a内の作動油の圧力は、ベルト式無段変速機9に入力するトルクに概ね比例する。これにより、可動シリンダ70の環状壁部72の最大軸方向変形量ΔCYと、可動シーブ38の可動シリンダ70に向けた軸方向変形量の許容値ΔSLも、ベルト式無段変速機9に入力するトルクに概ね比例することになる。従って、環状壁部72の最大軸方向変形量ΔCYと、可動シーブ38の軸方向変形量の許容値ΔSLとしては、それぞれ、環状壁部72と可動シーブ38との変形が最大になる変速比(最大になると想定される変速比)のもとで無段変速機9に入力するトルクが最大となるときの値を求めればよい。
このように、本実施形態のベルト式無段変速機9では、可動シーブ38の背面38dと可動シリンダ70の環状壁部72との間に形成される隙間Gの寸法が、環状壁部72の最大軸方向変形量ΔCY以上とされ、かつ、当該最大軸方向変形量ΔCYと可動シーブ38の軸方向変形量の許容値ΔSLとの和以下とされる。これにより、油室40a内の作動油からの力によって可動シリンダ70の環状壁部72が変形し、油室40a内の油圧に起因するベルトBからの反力により可動シーブ38のベルト支持部38bが変形しても、基本的には、環状壁部72と可動シーブ38の背面38dとが互いに接触し合うことが抑制され、仮に両者が接触したとしても、環状壁部72が可動シーブ38の背面38dに強く押し当てられてしまうことはない。これにより、可動シーブ38のベルトと接触し合っていない領域Yに、環状壁部72を介して作動油からの力が伝えられてしまうことが抑制される。
また、可動シーブ38(ベルト支持部38b)の変形量が、ベルトBや可動シーブ38等の耐久性や性能に影響を与えない最大の値である許容値ΔSLを超えると、可動シーブ38の背面38dと環状壁部72とが緩やかに接触することになるため、特に、ベルトBと接触し合っている領域Xにおける可動シーブ38の許容値ΔSLを超える変形が環状壁部72によって抑えられる。この結果、ベルト式無段変速機9では、ベルトBと可動シーブ38とが接触し合う領域と、ベルトBと可動シーブ38とが接触し合わない領域Yとの境界付近におけるプーリ溝39の幅の変化が確実に抑制されることになるので、当該境界付近において、ベルトBと可動シーブ38との間の局所的な滑りが発生してしまうことを良好に抑制可能となる。
なお、本実施形態のように、可動シーブ38の背面38dと可動シリンダ70の環状壁部72との間の隙間Gが中心から外側まで概ね一定の寸法となっていない場合、隙間Gの寸法は、可動シーブ38の背面38dおよび環状壁部72のうち、ベルトBから可動シーブ38に加えられる力および可動シリンダ70に作用する油圧に起因して最接近する部位同士間の距離とされる。この場合、可動シーブ38のベルト支持部38bや可動シリンダ70の環状壁部72の軸方向変形量は、一般に、それぞれの最外周部において最大となることから、可動シーブ38の背面38dの最外周部と環状壁部72との隙間G(場合によっては、環状壁部72の概ね最外周部と可動シーブ38の背面38dとの隙間)の寸法を、上述の範囲内に設定すればよい。
また、本発明は、可動シーブ38と環状壁部72とが局所的に当接するように構成された無段変速機に対しても適用され得る。すなわち、図5に示されるように、可動シーブ38の背面38dに突起38fが設けられている場合には、局所的に当接し合う部位同士の隙間Ga、すなわち、可動シーブ38の突起38fの端面と環状壁部72との間の隙間Gaが、ΔCY≦隙間Gaの寸法≦ΔCY+ΔSLを満たすように形成されればよい。また、図6に示されるように、可動シリンダ70の環状壁部72に可動シーブ38の背面38dと対向する突起72aが設けられている場合には、局所的に当接し合う部位同士の隙間Gb、すなわち、可動シリンダ70の突起72aの端面と可動シーブ38の背面38dとの間の隙間Gbが、ΔCY≦隙間Gbの寸法≦ΔCY+ΔSLを満たすように形成されればよい。
ただし、図6や図7の例のように可動シーブと環状壁部とが局所的に当接する構成のもとであっても、突起の位置によっては、局所的に当接し合う部位同士の隙間(突起とその対向面との隙間)よりも、可動シーブの最外周部と環状壁部との隙間(あるいは、環状壁部の最外周部と可動シーブとの隙間)の方が早期に狭まる(可動シーブと環状壁部の外周部同士が早期に接触する)こともあり得る。従って、このような場合には、可動シーブの最外周部と環状壁部との隙間(あるいは、環状壁部の最外周部と可動シーブとの隙間)の寸法を上述の範囲内に設定すればよい。
更に、例えばサイズ等が異なる他の無段変速機と可動シリンダ70が共用されるような場合、図7に示されるように、可動シーブ38と可動シリンダ70との間にスペーサ90が介設されるが、本発明は、このようなスペーサ90を含む無段変速機に対しても適用され得る。図7の例においては、スペーサ90の可動シリンダ70側の面の最外周部と環状壁部72との間の隙間Gcが、ΔCY≦隙間Gcの寸法≦ΔCY+ΔSLを満たすように形成されればよい。加えて、上述の可動シーブ38の背面38dと可動シリンダ70の環状壁部72との間の隙間Gに関連する構成がセカンダリプーリ36に対して適用され得ることはいうまでもない。
本発明によるベルト式無段変速機を含む車両の概略構成図である。 図1に示されるベルト式無段変速機を示す拡大断面図である。 図1に示されるベルト式無段変速機の要部を示す模式図である。 本発明のベルト式無段変速機に入力するトルクと固定シーブおよび可動シリンダの変形量との関係を示すグラフである。 本発明によるベルト式無段変速機の変形例を示す模式図である。 本発明によるベルト式無段変速機の他の変形例を示す模式図である。 本発明によるベルト式無段変速機の更に他の変形例を示す模式図である。 無段変速機におけるベルトとシーブとが接触し合う領域と、ベルトとシーブとが接触し合わない領域とを説明するための模式図である。
符号の説明
9 ベルト式無段変速機
35 プライマリプーリ
36 セカンダリプーリ
37 固定シーブ
38 可動シーブ
38a 拡径部
38b ベルト支持部
38c ベルト摺動面
38d 背面
38f 突起
39 プーリ溝
40 油圧アクチュエータ
40a 油室
70 可動シリンダ
71 嵌合部
72 環状壁部
72a 突起
73 外側筒状部
80 ピストン
90 スペーサ
B ベルト
SP プライマリシャフト

Claims (3)

  1. 固定シーブおよび可動シーブと、これらの固定シーブおよび可動シーブに巻き掛けられるベルトとを含み、前記可動シーブを前記固定シーブに対して移動させて前記ベルトの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機において、
    前記可動シーブに対して軸方向に圧入される可動側部材と、
    前記固定シーブに対して固定されており、前記可動側部材と協働して前記可動シーブを前記固定シーブに対して移動させるための流体室を画成する固定側部材とを備え、
    前記可動シーブの背面と、この背面と対向する前記可動側部材の環状壁部との間に、前記環状壁部の軸方向における最大変形量以上の寸法の隙間が形成されることを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 前記可動シーブの前記背面と前記環状壁部との間に形成される前記隙間の寸法は、前記環状壁部の前記最大変形量と前記可動シーブの前記可動側部材に向けた軸方向変形量の許容値との和以下であること特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
  3. 前記可動シーブの前記背面と前記可動側部材の前記環状壁部との間に形成される隙間の寸法は、前記可動シーブの前記背面および前記可動側部材の前記環状壁部のうち、前記可動側部材に作用する流体圧に起因して最接近する部位同士間の距離とされること特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014228062A (ja) * 2013-05-22 2014-12-08 ジヤトコ株式会社 ベルト式無段変速機のプーリ構造

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