JP2008121801A - ベルト式無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸心方向の寸法を大きくすることなしにトルク容量の増大化及び作動時の静粛化を図ることができるベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】ベルト式無段変速機9を構成するプライマリプーリ36とセカンダリプーリ37とに掛け渡されるベルトとして、内周側及び外周側に複数本のベルト46A,46Bを備えさせる。これにより、個々のベルト46A,46Bに対するベルト挟圧を必要以上に高くすることなしにベルト式無段変速機9全体としてのトルク容量の増大が図れるようにする。また、ベルト挟圧の低下に伴い、ベルト式無段変速機9の作動時の振動を抑制でき、それに伴って静粛化を図ることも可能になる。
【選択図】図2
【解決手段】ベルト式無段変速機9を構成するプライマリプーリ36とセカンダリプーリ37とに掛け渡されるベルトとして、内周側及び外周側に複数本のベルト46A,46Bを備えさせる。これにより、個々のベルト46A,46Bに対するベルト挟圧を必要以上に高くすることなしにベルト式無段変速機9全体としてのトルク容量の増大が図れるようにする。また、ベルト挟圧の低下に伴い、ベルト式無段変速機9の作動時の振動を抑制でき、それに伴って静粛化を図ることも可能になる。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車用等として適用されるベルト式無段変速機に係る。特に、本発明は、軸心方向の寸法を大きくすることなしにトルク容量の増大を図るための対策に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1に開示されているように、自動車用エンジンの出力側に搭載される変速機としてベルト式無段変速機が知られている。
このベルト式無段変速機は、互いに平行に配置された2つのシャフトと、各シャフトにそれぞれ個別に設けられたプライマリプーリ及びセカンダリプーリとを有している。これらプライマリプーリ及びセカンダリプーリは、共に、固定シーブと可動シーブとを組み合わせた構成となっていて、これらシーブ間にV字形状の溝が形成されている。また、可動シーブは固定シーブに対して接離可能な構成となっている。
そして、プライマリプーリのV溝及びセカンダリプーリのV溝に渡ってベルトが巻き掛けられており、可動シーブに軸線方向の挟圧力を発生させるための油圧室が各プーリそれぞれに対応して別個に設けられている。これにより、各油圧室の油圧を個別に制御することで、各プーリの溝幅が変更されてベルトの巻き掛け半径が変化し、その変速比が変更されるようになっている。
また、この種のベルト式無段変速機に使用されている上記ベルトの構成としては、多数の金属製の駒(エレメントやブロックとも呼ばれる)が直列配置されるようにスチール製等のリング(フープやバンドとも呼ばれる)に相対移動可能に係止された構成となっている。そして、これら駒の両側面をプーリに当接させ、上記油圧室の油圧を調整することによって固定シーブと可動シーブとの間で駒を挟持しながらベルトを走行させるようになっている。つまり、上記挟圧力によって各プーリのシーブ間で駒を挟みながら、プライマリプーリから押し出された駒が前側の駒(先にプライマリプーリから押し出され、セカンダリプーリに向かって移動している駒)を押していくことでプライマリプーリからセカンダリプーリに向けてのトルク伝達が行われる構成となっている。
ところで、この種のベルト式無段変速機にあっては、高出力エンジンとの組み合わせを可能にするために、トルク容量(伝達可能なトルク)の増大化が求められている。また、車両走行時の騒音低減の目的からベルト式無段変速機の静粛化も求められている。
上記トルク容量の増大を図るための手法としては次のものが挙げられる。先ず、ベルトに対するプーリの挟み力(以下、ベルト挟圧と呼ぶ)を高く設定することである。また、上記ベルトを構成する上記駒を大型化することでトルク容量の増大を図ることも考えられる。
ところが、ベルト挟圧を高く設定する手法では、そのベルト挟圧が過剰に高くなった場合にプーリとベルトとの接触力が高くなりすぎて、プーリの損傷及びベルトの損傷が懸念されることになる。このため、単にベルト挟圧を高く設定することでトルク容量の増大を図るといった手法は上記ベルト挟圧の設定の面から実用性が難しいものである。
一方、駒を大型化する手法では、ベルト挟圧を高く設定した場合でもベルトの損傷を抑制することが可能になるが、このベルト挟圧の上昇に伴ってベルト張力が高くなりすぎてしまい、上記リングの切断が懸念される状況となる。また、プーリへの巻き掛け部分において互いに隣り合う駒の内周側端縁同士が干渉してしまい、各プーリに対するベルトの接触状態が不安定になってしまう可能性もある。このため、駒を大型化することでトルク容量の増大を可能にするといった手法も実用性に乏しいものである。
また、ベルト式無段変速機の作動時の静粛化を図るために、上記駒として厚さ寸法の異なる複数種類のものを配列することが提案されている(例えば下記の特許文献2を参照)。また、ベルト式無段変速機の作動音が外部に放出されてしまうことを阻止するべく、トランスアクスルケース等を改良し、その振動伝達特性のチューニングを行ったり、ケース内部に防音カバーを設けたりすることも考えられる。
しかし、これら手段では、未だ十分な静粛効果は得られていないのが現状である。
更に、ベルト式無段変速機の作動時の振動を抑制することは上記静粛化を図る上で重要である。このベルト式無段変速機の作動時における振動の発生原因の一つとして、この種のベルト式無段変速機に使用されているベルトが多数の駒とリングとから構成されていることが挙げられる。
つまり、上述した如く、このベルト式無段変速機では、挟圧力によって各プーリのシーブ間で挟まれた駒がプライマリプーリから押し出され、前側の駒を押していくことでトルク伝達が行われる。また、セカンダリプーリに達した駒は、このセカンダリプーリに接触し、その挟圧力によってシーブ間で挟まれることになる。このため、ある一つの駒がプライマリプーリから押し出される際には、プライマリプーリから駒に与えられていた圧力が解放されることになり、このような圧力の解放動作が所定時間間隔を存して(各駒がプライマリプーリから押し出される度に)断続的に行われ、それに伴って振動が発生する。また、ある一つの駒がセカンダリプーリに挟み込まれる際には、駒がセカンダリプーリのシーブに衝突することになり、それによっても振動が発生する。そして、このような振動は、各プーリのベルト挟圧が高く設定されている程、大きく発生することになる。
従って、このベルト挟圧としては、プーリとベルトとの間でスリップ(滑り)が生じることのない値であることが必要であるものの、このベルト挟圧が高すぎると、ベルト式無段変速機の振動が増大し、それに伴う騒音も大きくなり、且つ上述した如くベルトの損傷が懸念される状況を招いてしまうことになる。
尚、下記の特許文献3及び特許文献4には、2本のベルトを使用したベルト式無段変速機が開示されている。これら特許文献に開示されているベルト式無段変速機は、プライマリプーリ、セカンダリプーリ及びベルトで成る変速機構を軸心方向に併設した構成となっている。
特開平9−217819号公報
特開2006−170393号公報
特開2000−88076号公報
特開2003−148572号公報
上記特許文献3や特許文献4の構成によれば、個々のベルトに掛かる負荷を軽減することは可能であるものの、ベルト式無段変速機の軸心方向の寸法が非常に大きくなってしまい、エンジンルーム内への設置が困難である。
つまり、例えば横置きエンジンのFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両の場合、エンジン、トルクコンバータ、前後進切り換え機構、ベルト式無段変速機が同軸上に直列配置される構成となるが、エンジンルーム内の限られたスペース(車幅方向のスペース)にこれらを組み込む場合に、上述した如く軸心方向の寸法が大きなベルト式無段変速機を収容することは極めて困難である。つまり、上記特許文献3や特許文献4に開示されたベルト式無段変速機は、搭載性の面で実用性に欠けるものであった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軸心方向の寸法を大きくすることなしにトルク容量の増大化及び作動時の静粛化を図ることができるベルト式無段変速機を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、ベルト式無段変速機を構成するプライマリプーリ(駆動側プーリ)とセカンダリプーリ(従動側プーリ)とに掛け渡されるベルトとして、内周側及び外周側に複数本のベルトを備えさせ、各プーリの可動シーブの進退移動に伴って各ベルトのプーリに対する巻き掛け位置が変更される構成としている。つまり、個々のベルトに対するベルト挟圧を必要以上に高くすることなしにベルト式無段変速機全体としてのトルク容量の増大が図れるようにしている。
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、ベルト式無段変速機を構成するプライマリプーリ(駆動側プーリ)とセカンダリプーリ(従動側プーリ)とに掛け渡されるベルトとして、内周側及び外周側に複数本のベルトを備えさせ、各プーリの可動シーブの進退移動に伴って各ベルトのプーリに対する巻き掛け位置が変更される構成としている。つまり、個々のベルトに対するベルト挟圧を必要以上に高くすることなしにベルト式無段変速機全体としてのトルク容量の増大が図れるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、固定シーブ及び可動シーブをそれぞれ備えた駆動側プーリと従動側プーリとの間にベルト手段が掛け渡され、駆動側プーリの回転力を、ベルト手段を介して従動側プーリに伝達可能な構成となっていると共に、上記可動シーブを固定シーブに向かって進退移動させることで各プーリの半径方向におけるベルト手段の巻き掛け位置を変更して変速比が変更可能とされたベルト式無段変速機を前提とする。このベルト式無段変速機に対し、上記ベルト手段として、各プーリの内周側位置において各プーリに掛け渡された内周側ベルトと、この内周側ベルトよりも外周側位置において各プーリに掛け渡された外周側ベルトとを少なくとも備えさせる。これにより、上記可動シーブを固定シーブに向かって進退移動させることで各プーリの半径方向におけるベルトの巻き掛け位置が変更されて変速比が変更可能となる構成としている。
具体的に、本発明は、固定シーブ及び可動シーブをそれぞれ備えた駆動側プーリと従動側プーリとの間にベルト手段が掛け渡され、駆動側プーリの回転力を、ベルト手段を介して従動側プーリに伝達可能な構成となっていると共に、上記可動シーブを固定シーブに向かって進退移動させることで各プーリの半径方向におけるベルト手段の巻き掛け位置を変更して変速比が変更可能とされたベルト式無段変速機を前提とする。このベルト式無段変速機に対し、上記ベルト手段として、各プーリの内周側位置において各プーリに掛け渡された内周側ベルトと、この内周側ベルトよりも外周側位置において各プーリに掛け渡された外周側ベルトとを少なくとも備えさせる。これにより、上記可動シーブを固定シーブに向かって進退移動させることで各プーリの半径方向におけるベルトの巻き掛け位置が変更されて変速比が変更可能となる構成としている。
この特定事項により、駆動側プーリの回転力は、内周側及び外周側にそれぞれ配設された複数本のベルトによって従動側プーリに伝達されることになる。このため、各ベルトそれぞれが負担する伝達トルクは軽減され、1本のベルトのみでトルク伝達を行う従来のものに比べて、各ベルトに対する挟圧は低くて済む。従って、個々のベルトに対する挟圧を高く設定したり、ベルトを構成している駒を大型化するといったことなしに、ベルト式無段変速機全体としてのトルク容量(伝達可能なトルク)の増大化を図ることができる。その結果、ベルトの損傷や隣り合う駒同士の干渉(プーリへの巻き掛け部分において互いに隣り合う駒の内周側端縁同士の干渉)を回避しながら、トルク容量の増大を図ることが可能になる。
また、各ベルトに対する挟圧が低くて済むため、ベルト式無段変速機の作動時の振動(上述したように、駒が駆動側プーリ(プライマリプーリ)から押し出される際や駒が従動側プーリ(セカンダリプーリ)に接触する際に発生していた振動であって、ベルト挟圧が高い程、大きく発生する振動)を抑制でき、それに伴ってベルト式無段変速機の静粛化を図ることも可能になる。特に、厚さ寸法の異なる複数種類の駒を配列することで互いの振動を打ち消し合って静粛化を図る技術を適用する場合には、個々のベルトに適用されている駒同士の振動の打ち消し合いだけでなく、複数配置された各ベルト相互間での振動の打ち消し合いの効果も発揮されるため、振動抑制効果をよりいっそう高く得ることが可能になり、1本のベルトのみを備えた従来のベルト式無段変速機に比べて、より高い静粛性が得られる。
そして、本発明では、各ベルトのレイアウトとして、内外周に配置させているので、ベルト式無段変速機の軸心方向の寸法が大きくなってしまうことがない。このため、例えば横置きエンジンのFF車両に適用した場合には、エンジンルーム内の限られたスペース(車幅方向のスペース)に十分に組み込むことが可能であり、搭載性の面で実用性に優れたものとしながらも、上述したトルク容量の増大化及び作動時の高い静粛性を得ることができる。
より具体的な構成としては以下のものが挙げられる。駆動側プーリ及び従動側プーリのうち少なくとも一方のプーリにおける可動シーブに、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側可動シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側可動シーブ部材とを備えさせる。そして、上記内周側可動シーブ部材と固定シーブとの間での内周側ベルトに対する挟圧を制御する内周側挟圧制御手段と、外周側可動シーブ部材と固定シーブとの間での外周側ベルトに対する挟圧を制御する外周側挟圧制御手段とを備えさせ、各挟圧が互いに独立して制御可能な構成としている。
上述した如く、内周側及び外周側に複数のベルトを備えさせ、各ベルトによって所定の変速比で動力伝達を行う場合、各ベルトによって得られる変速比が互いに一致している必要があり、そのためには、各ベルトのプーリに対する巻き掛け位置がそれぞれ適切な位置に設定されている必要がある。この巻き掛け位置が適切に得られていない場合には、ベルトとプーリとの間にスリップが生じるなどして、動力伝達性能に支障を来したりベルトの損傷を招いたりする可能性がある。本解決手段では、内周側挟圧制御手段による内周側ベルトに対する挟圧と、外周側挟圧制御手段による外周側ベルトに対する挟圧とを互いに独立して制御することで、つまり、内周側可動シーブ部材及び外周側可動シーブ部材の進退移動位置を個別調整可能とすることで、各ベルトのプーリに対する巻き掛け位置の適正化とベルト挟圧の適正化とを図ることができる。このため、上記スリップの発生を防止することができる。また、ベルト挟圧を低く抑えることによるベルトの損傷防止及びベルト式無段変速機の静粛化を図ることも可能である。
また、一部のベルトのみを使用して動力伝達を行う状態と、全てのベルトを使用して動力伝達を行う状態とを切り換え可能とする構成としては以下のものが挙げられる。つまり、各プーリの固定シーブに、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側固定シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側固定シーブ部材とを備えさせる。一方、各プーリの可動シーブに、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側可動シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側可動シーブ部材とを備えさせる。そして、上記内周側可動シーブ部材と内周側固定シーブ部材との間での内周側ベルトに対する挟圧を制御する内周側挟圧制御手段と、外周側可動シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間での外周側ベルトに対する挟圧を制御する外周側挟圧制御手段とを備えさせ、各挟圧を互いに独立して制御可能な構成とする。また、内周側固定シーブ部材と外周側固定シーブ部材とを繋脱可能とするクラッチ機構を備えさせた構成としている。
このようにクラッチ機構を備えさせる場合におけるより具体的な構成としては以下の2タイプが挙げられる。
先ず、第1のタイプとして、内周側固定シーブ部材を変速機入力軸に回転一体とする。そして、上記クラッチ機構の離脱(切り離し)状態では、内周側可動シーブ部材と内周側固定シーブ部材との間で内周側ベルトを挟圧し、この内周側ベルトの走行によって駆動側プーリから従動側プーリへの動力伝達を行う一方、クラッチ機構の連繋(締結)状態では、内周側可動シーブ部材と内周側固定シーブ部材との間で内周側ベルトを挟圧し、且つ外周側可動シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間で外周側ベルトを挟圧し、内周側ベルト及び外周側ベルトの両ベルトの走行によって駆動側プーリから従動側プーリへの動力伝達を行う構成としている。
また、第2のタイプとして、外周側固定シーブ部材を変速機入力軸に回転一体とする。そして、上記クラッチ機構の離脱状態では、外周側可動シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間で外周側ベルトを挟圧し、この外周側ベルトの走行によって駆動側プーリから従動側プーリへの動力伝達を行う一方、クラッチ機構の連繋状態では、内周側可動シーブ部材と内周側固定シーブ部材との間で内周側ベルトを挟圧し、且つ外周側可動シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間で外周側ベルトを挟圧し、内周側ベルト及び外周側ベルトの両ベルトの走行によって駆動側プーリから従動側プーリへの動力伝達を行う構成としている。
これらの特定事項により、クラッチ機構の繋脱を切り換えることで、一部のベルトのみ(内周側ベルトのみ、または外周側ベルトのみ)を使用して動力伝達を行う状態と全てのベルトを使用して動力伝達を行う状態とを切り換えることができる。例えば伝達トルクが小さい低負荷時には、一部のベルトのみを使用して動力伝達を行うことで、ベルトとプーリとの間で生じるフリクションロスを低く抑え、効率の高い動力伝達動作を行う。一方、伝達トルクが大きい高負荷時には、全てのベルトを使用して動力伝達を行うことで、個々のベルトが負担する伝達トルクを小さく抑えながらも、ベルト式無段変速機全体としてのトルク容量の増大化を図る。
また、一部のベルトのみを使用して動力伝達を行う状態と全てのベルトを使用して動力伝達を行う状態とを切り換え可能とするための他の構成としては以下のものが挙げられる。つまり、各プーリの固定シーブに、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側固定シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側固定シーブ部材とを備えさせる。一方、各プーリの可動シーブに、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側可動シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側可動シーブ部材とを備えさせる。そして、上記内周側可動シーブ部材と内周側固定シーブ部材との間での内周側ベルトに対する挟圧を制御する内周側挟圧制御手段と、外周側可動シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間での外周側ベルトに対する挟圧を制御する外周側挟圧制御手段とを備えさせ、各挟圧が互いに独立して制御可能な構成とすると共に、内周側固定シーブ部材と変速機入力軸とを繋脱可能とする内周側クラッチ機構及び外周側固定シーブ部材と変速機入力軸とを繋脱可能とする外周側クラッチ機構を備えさせた構成としている。
この特定事項によっても、クラッチ機構の繋脱を切り換えることで一部のベルトのみを使用して動力伝達を行う状態と、全てのベルトを使用して動力伝達を行う状態とを切り換えることができ、伝達トルクの大きさに適した動力伝達形態を得ることができる。
また、固定シーブの撓みを考慮し、各ベルトのプーリに対する巻き掛け位置を適切な位置に設定してベルトとプーリとの間のスリップを抑制するための構成としては以下の3タイプのものが挙げられる。
先ず、第1のタイプとして、固定シーブが、内周側ベルトが巻き掛けられる内周側領域と、外周側ベルトが巻き掛けられる外周側領域とを備えており、上記外周側領域の表面形状を、外力が作用していない状態では、内周側領域の表面の延長線上の位置よりも可動シーブに近接する形状に形成するものである。
この特定事項によれば、仮に固定シーブの外周側に撓み(外周側ベルトから後退する方向の撓み)が生じたとしても固定シーブの外周側領域の表面形状は外周側ベルトの側面から離れることなく、この外周側ベルトの巻き掛け位置を適正に維持することになる。このため、外周側ベルトとプーリとの間でスリップが生じて動力伝達性能に支障を来したりベルトの損傷を招いたりするといったことが回避できる。
また、第2のタイプとして、可動シーブが、内周側ベルトが巻き掛けられる内周側領域と、外周側ベルトが巻き掛けられる外周側領域とを備えており、上記外周側領域の表面の弾性係数を、内周側領域の表面の弾性係数よりも小さく設定するものである。
この特定事項によっても、上記外周側領域の表面は外周側ベルトの側面から離れることなく、この外周側ベルトの巻き掛け位置を適正に維持することができる。従って、この場合にも、外周側ベルトとプーリとの間でスリップが生じて動力伝達性能に支障を来したりベルトの損傷を招いたりするといったことが回避できる。
更に、第3のタイプとして、外周側ベルトにおけるプーリとの接触面の弾性係数を、内周側ベルトにおけるプーリとの接触面の弾性係数よりも小さく設定するものである。この構成によっても、仮に固定シーブの外周側に撓み(外周側ベルトから後退する方向の撓み)が生じたとしても、それに追従するように外周側ベルトの表面が弾性変形し、シーブの表面から離れることなく、この外周側ベルトの巻き掛け位置を適正に維持することができる。このため、外周側ベルトとプーリとの間でスリップが生じて動力伝達性能に支障を来したりベルトの損傷を招いたりするといったことが回避できる。
また、上記構成のベルト式無段変速機に更なる機能を付加するための構成としては以下のものが挙げられる。先ず、より減速比を高く得る構成としては、変速機入力軸と駆動側プーリの固定シーブとの間に、遊星歯車機構で成り、且つ変速機入力軸の回転速度を減速して駆動側プーリに伝達可能とする減速機構を設ける構成である。より具体的には、駆動側プーリの固定シーブに、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側固定シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側固定シーブ部材とを備えさせる。そして、内周側固定シーブ部材に、ピニオンギヤを回転自在に支持させると共に、変速機入力軸に回転一体に設けられたギヤを上記ピニオンギヤに噛み合わせ、内周側固定シーブ部材と変速機入力軸との間に、この両者を繋脱可能とする第1クラッチ機構を備えさせる。一方、上記外周側固定シーブ部材と変速機ケーシングとの間に、この両者を繋脱可能とする第2クラッチ機構を備えさせる。そして、上記第1クラッチ機構を離脱させると共に第2クラッチ機構を連繋させることで変速機入力軸の回転速度を減速して内周側固定シーブ部材に伝達可能な構成とする。
また、ベルト式無段変速機に、正転及び逆転(前後進)を切り換えるための機能を付加する構成として、変速機入力軸と駆動側プーリの固定シーブとの間に、遊星歯車機構で成り、且つ変速機入力軸の回転方向を正転させて駆動側プーリに伝達する状態と、逆転させて駆動側プーリに伝達する状態とを切り換え可能とする正逆転切り換え機構を設ける構成である。より具体的には、駆動側プーリの固定シーブに、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側固定シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側固定シーブ部材とを備えさせる。そして、内周側固定シーブ部材に、ピニオンギヤを回転自在に支持させると共に、変速機入力軸に回転一体に設けられたギヤを上記ピニオンギヤに噛み合わせ、内周側固定シーブ部材と変速機入力軸との間に、この両者を繋脱可能とする第1クラッチ機構を備えさせる。一方、上記外周側固定シーブ部材と変速機ケーシングとの間に、この両者を繋脱可能とする第2クラッチ機構を備えさせる。そして、上記第1クラッチ機構を離脱させると共に第2クラッチ機構を連繋させることで変速機入力軸の回転方向を逆転して内周側固定シーブ部材に伝達可能な構成とする。
本発明では、ベルト式無段変速機を構成する駆動側プーリと従動側プーリとに掛け渡されるベルトとして、内周側及び外周側に複数本のベルトを備えさせ、各プーリの可動シーブの進退移動に伴って各ベルトのプーリに対する巻き掛け位置が変更される構成としている。これにより、個々のベルトに対するベルト挟圧を必要以上に高くすることなしにベルト式無段変速機全体としてのトルク容量の増大を図ることができる。その結果、ベルトの損傷や隣り合う駒同士の干渉を回避しながら、トルク容量を増大化できる。また、各ベルトに対する挟圧が低くて済むため、ベルト式無段変速機の作動時の振動を抑制でき、それに伴ってベルト式無段変速機の静粛化を図ることも可能になる。そして、各ベルトのレイアウトとしては内外周に配置しているので、ベルト式無段変速機の軸心方向の寸法が大きくなってしまうことがなく、限られたスペース(例えば自動車のエンジンルーム内)に十分に組み込むことが可能であり、搭載性の面で実用性に優れたものとしながらも、上述したトルク容量の増大化及び作動時の高い静粛性を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車用のベルト式無段変速機(所謂CVT:Continuously Variable Transmission)として本発明を適用した場合について説明する。また、以下の実施形態では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両に搭載されたベルト式無段変速機について説明する。
−第1実施形態−
(トランスアクスルの全体構成)
先ず、本実施形態に係るベルト式無段変速機が搭載されたトランスアクスルの全体構成について説明する。
(トランスアクスルの全体構成)
先ず、本実施形態に係るベルト式無段変速機が搭載されたトランスアクスルの全体構成について説明する。
図1は、本実施形態におけるベルト式無段変速機をFF車両に適用した場合のトランスアクスルのスケルトン図である。図1において、1は車両の駆動力源としてのエンジンであり、その種類は特に限定されないが、以下の説明においては、エンジン1として便宜上、ガソリンエンジンを用いた場合について説明する。
エンジン1の出力側には、トランスアクスル3が設けられ、このトランスアクスル3は、エンジン1の後端側に取り付けられたトランスアクスルハウジング4と、エンジン1とは反対側の開口端に取り付けられたトランスアクスルケース5と、トランスアクスルハウジング4とは反対側の開口端に取り付けられたトランスアクスルリヤカバー6とを順に有している。トランスアクスルハウジング4の内部には、トルクコンバータ(T/C)7が設けられており、トランスアクスルケース5及びトランスアクスルリヤカバー6の内部には、前後進切り換え機構8、ベルト式無段変速機(CVT)9、最終減速機10等が設けられている。
上記トランスアクスルハウジング4の内部には、クランクシャフト2と同一軸線上にインプットシャフト11が設けられており、このインプットシャフト11におけるエンジン1側の端部にはタービンランナ13が取り付けられている。一方、クランクシャフト2の端部にはドライブプレート14を介してフロントカバー15が連結されており、このフロントカバー15にはポンプインペラ16が連結されている。上記タービンランナ13とポンプインペラ16とは互いに対向して配置され、これらタービンランナ13及びポンプインペラ16の内側にはステータ17が設けられている。また、上記トルクコンバータ7と前後進切り換え機構8との間には、オイルポンプ20が設けられている。
上記トルクコンバータ7の動作としては、エンジン1の駆動によるクランクシャフト2の回転に伴い、ドライブプレート14及びフロントカバー15を介してポンプインペラ16が回転し、オイルポンプ20から供給される作動液の流れによりタービンランナ13が引きずられるようにして回転し始める。ポンプインペラ16とタービンランナ13との回転速度差が大きい時に、ステータ17が作動液の流れをポンプインペラ16の回転を助ける方向に変換する。
そして、車両の発進後、車速が所定速度に達すると、ロックアップクラッチ18が作動し、エンジン1からフロントカバー15に伝えられた動力がインプットシャフト11に機械的且つ直接的に伝達されるようになる。また、フロントカバー15からインプットシャフト11に伝達されるトルクの変動は、ダンパ機構19によって吸収される。
上記前後進切り換え機構8は、インプットシャフト11とベルト式無段変速機9との間の動力伝達経路に設けられている。この前後進切り換え機構8はダブルピニオン形式の遊星歯車機構24を有している。この遊星歯車機構24は、インプットシャフト11に設けられたサンギヤ25と、このサンギヤ25の外周側に、サンギヤ25と同心状に配置されたリングギヤ26と、サンギヤ25に噛み合わされた内側のピニオンギヤ27と、この内側のピニオンギヤ27及びリングギヤ26に噛み合わされた外側のピニオンギヤ28と、これらピニオンギヤ27,28を自転可能に支持し、且つピニオンギヤ27,28を、サンギヤ25の周囲で一体的に公転可能な状態で保持したキャリヤ29とを有している。そして、このキャリヤ29と、ベルト式無段変速機9の後述するプライマリシャフト(変速機入力軸)30とが連結されている。また、キャリヤ29とインプットシャフト11との間の動力伝達経路を接続・遮断するフォワードクラッチCL及びリングギヤ26の回転・固定を制御するリバースブレーキBRがそれぞれ設けられている。これらフォワードクラッチCL及びリバースブレーキBRを制御することにより動力伝達経路を変更して前進回転動力(正回転方向)や後進回転動力(逆回転方向)に切り換え可能な構成となっている。
上記ベルト式無段変速機9は、インプットシャフト11と同一軸線上に配置されたプライマリシャフト(駆動側シャフト)30と、このプライマリシャフト30に平行に配置されたセカンダリシャフト(従動側シャフト)31とを有している。プライマリシャフト30は、軸受32,33により、また、セカンダリシャフト31は軸受34,35により、それぞれ回転自在に支持されている。
プライマリシャフト30側にはプライマリプーリ(駆動側プーリ)36が設けられており、セカンダリシャフト31側にはセカンダリプーリ(従動側プーリ)37が設けられている。
プライマリプーリ36は、プライマリシャフト30に一体的に形成された固定シーブ38と、プライマリシャフト30の軸線方向に移動可能に構成された可動シーブ39とを有している。そして、固定シーブ38と可動シーブ39との対向面間にV字形状の溝40が形成されている。
また、上記可動シーブ39をプライマリシャフト30の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ39と固定シーブ38とを接近・離隔させる油圧アクチュエータ41が設けられている。
一方、セカンダリプーリ37も、同様に、セカンダリシャフト31に一体的に形成された固定シーブ42と、セカンダリシャフト31の軸線方向に移動可能に構成された可動シーブ43とを有し、固定シーブ42と可動シーブ43との対向面間にV字形状の溝44が形成されている。更に、上記可動シーブ43をセカンダリシャフト31の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ43と固定シーブ42とを接近・離隔させる油圧アクチュエータ45が設けられている。
そして、プライマリプーリ36の溝40及びセカンダリプーリ37の溝44に対し、本実施形態にあっては2本のベルト46A,46Bが巻き掛けられている。各ベルト46A,46Bは、多数の金属製の駒(エレメントやブロックとも称されている)及び複数本のスチール製等のリング(フープやバンドとも称されている)を有する、いわゆる押し式金属ベルトとして構成されている(例えば、特開2000−220697号公報、特開2002−257200号公報等を参照)。
これらベルト46A,46Bとしては、内周側に位置する内周側ベルト46Aと、この内周側ベルト46Aの外周側に近接して配置された外周側ベルト46Bとが備えられている。
上記内周側ベルト46Aと外周側ベルト46Bとの長さ(周長)を比較すると、外周側ベルト46Bの巻き掛け位置が内周側ベルト46Aの巻き掛け位置よりも外周側に位置している分、この外周側ベルト46Bの長さ寸法は内周側ベルト46Aの長さ寸法よりも長く設定されている。また、内周側ベルト46Aと外周側ベルト46Bとの幅寸法(各プーリ36,37の軸線に沿う方向の寸法)を比較すると、外周側ベルト46Bの巻き掛け位置が内周側ベルト46Aの巻き掛け位置よりも外周側に位置している分(V溝の幅が大きい領域に配設されている分)、この外周側ベルト46Bの幅寸法は内周側ベルト46Aの幅寸法よりも長く設定されている。
そして、これらベルト46A,46Bの各プーリ36,37に対する巻き掛け位置としては、図2(プライマリプーリ36及びセカンダリプーリ37及びその周辺を示す断面図)のプライマリプーリ36の上側半分に示すように、可動シーブ39が固定シーブ38から最も後退(離間)して、V溝40の溝幅が広くなった状態では、内周側ベルト46AがV溝40の底部に近接した位置に達した状態となって各ベルト46A,46Bの巻き掛け半径が小さくなる。一方、図2のセカンダリプーリ37の下側半分に示すように、可動シーブ43が固定シーブ42に対して最も前進(近接)して、V溝44の溝幅が狭くなった状態では、外周側ベルト46BがV溝44の外周側端に近接した位置に達した状態となって各ベルト46A,46Bの巻き掛け半径が大きくなる。つまり、内周側ベルト46A及び外周側ベルト46B共に、可動シーブ39,43の進退移動に従ってプーリ36,37に対する巻き掛け位置が変更されて、所定の変速比を得ながら動力伝達(トルク伝達)が行われる構成となっている。
上記セカンダリシャフト31には、カウンタドライブギヤ47が固定されており、軸受48,49により支持されている。更に、上記軸受35はトランスアクスルリヤカバー6側に設けられており、この軸受35とセカンダリプーリ37との間には、パーキングギヤPGが設けられている。尚、このパーキングギヤPGは、後述するようにセカンダリプーリ37の固定シーブ42と一体に形成されてもよい。
更に、ベルト式無段変速機9のカウンタドライブギヤ47と最終減速機10との間の動力伝達経路には、上記セカンダリシャフト31に平行なインターミディエイトシャフト50が軸受51,52により支持された状態で配設されている。インターミディエイトシャフト50には、カウンタドライブギヤ47に噛み合うカウンタドリブンギヤ53と、ファイナルドライブギヤ54とが設けられている。
一方、最終減速機10は、軸受56,57により回転自在に支持された中空のデフケース55を有し、このデフケース55の外周にはファイナルドライブギヤ54と噛み合うリングギヤ58が設けられている。そして、デフケース55の内部には2つのピニオンギヤ60,60が取り付けられたピニオンシャフト59が配置されている。このピニオンギヤ60には2つのサイドギヤ61,61が噛み合わされ、それぞれ、左右のドライブシャフト62,62を介して車輪63に連結されている。
更に、符号71及び72はそれぞれプライマリプーリ36及びセカンダリプーリ37の回転数を検出するための回転数センサである。
また、プライマリプーリ36の油圧アクチュエータ41及びセカンダリプーリ37の油圧アクチュエータ45には、油圧制御回路200を介して、上記オイルポンプ20で発生された油圧がそれぞれ制御されて供給される。ここで、符号81及び82はプライマリプーリ36の油圧アクチュエータ41及びセカンダリプーリ37の油圧アクチュエータ45にそれぞれ供給される制御油圧Ppri及びPsecを検出する油圧センサである。
より詳しくは、オイルタンクまたはオイルパンから吸引されオイルポンプ20から吐出された作動油は、デューティ制御される調圧バルブにより調圧され、ライン圧PLとして制御される。ライン圧PLを有する作動油は、デューティ制御されるプライマリ側減圧バルブにより上述の制御油圧Ppriとされ、プライマリ側の油圧アクチュエータ41に供給される。更に、ライン圧PLを有する作動油は、同じくデューティ制御され、セカンダリ側減圧バルブにより制御されて制御油圧Psecとされ、セカンダリ側の油圧アクチュエータ45に供給される。
尚、符号300はトランスアクスル3を制御するCVT電子制御ユニット(以下、CVT・ECUと称す)、符号400はエンジン1を制御するエンジン電子制御ユニット(以下、E/G・ECUと称す)であり、それぞれ、演算処理装置(CPUまたはMPU)及び記憶装置(RAM及びROM)並びに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
このCVT・ECU300に対しては、上記回転数センサ71,72及び油圧センサ81,82からの信号の他に、トランスアクスル3の状態を表す種々のパラメータ、例えば、トルクコンバータ7のトルク比や車速V等の情報が入力される。一方、E/G・ECU400には、エンジン1の運転状態を表す種々のパラメータ、例えば、エンジン回転速度、アクセル開度、スロットル開度センサの信号等が入力され、その演算結果の情報が必要に応じてCVT・ECU300に入力される。このようにして、CVT・ECU300には、上記回転数センサ71,72によるプライマリシャフト30の回転数Np及びセカンダリシャフト31の回転数Ns等、更には車速V等の情報が各種センサや演算結果の信号として入力され、予め実験等により求められているマップ等に基づいて、所要の変速比γ(=Np/Ns)やベルト挟圧力を得るべく、上述の制御油圧Ppri及び制御油圧Psecが形成される。
(プライマリプーリ36及びセカンダリプーリ37の構成)
次に、上述したベルト式無段変速機9のより具体的な構成について図2を用いて説明する。図2は、プライマリプーリ36及びセカンダリプーリ37及びその周辺を示す断面図である。
次に、上述したベルト式無段変速機9のより具体的な構成について図2を用いて説明する。図2は、プライマリプーリ36及びセカンダリプーリ37及びその周辺を示す断面図である。
プライマリプーリ36は、プライマリシャフト30の外周において、トランスアクスルリヤカバー6に取り付けられた軸受33と、トランスアクスルケース5側に取り付けられた軸受32との間に配置されている。また、プライマリシャフト30は軸線A1を中心として回転可能であり、プライマリシャフト30の内部には軸線方向に2つの油路107,108が形成されている。これら油路107,108は上述した油圧制御回路200に連通されている。更に、プライマリシャフト30には、その外周面に向け半径方向に延ばされ、且つ、油路107に連通された2本の油路109,110が設けられている。これら油路109,110は、軸線方向の互いに異なる位置にそれぞれ設けられている。具体的には、油路109の方が油路110よりも軸受33に近い位置に形成されている。
一方、プライマリシャフト30の外周における油路109の開口部分と軸受33との間には、段部112が形成されている。可動シーブ39は、プライマリシャフト30の外周面に沿ってスライドする内筒部39Aと、この内筒部39Aの固定シーブ38側の端部から外周側に向けて連続された半径方向部39Bと、この半径方向部39Bの外周端に連続され、且つ、軸受33側に向けて軸線方向に延ばされた外筒部39Cとを有している。そして、内筒部39Aには、その内周面から外周面に亘って貫通する油路116が形成されている。この油路116と上記油路110とはプライマリシャフト30の外周面に形成されたスプライン部を介して連通されている。
また、可動シーブ39と軸受33との間にはピストン部材117が配置されている。このピストン部材117は、ピストン部材117の内周側を構成する半径方向部117Aと、この半径方向部117Aの外周端に連続され、且つ、可動シーブ39の半径方向部39B側に向けて延ばされた円筒部117Bと、この円筒部117Bの端部に連続され、且つ、可動シーブ39の半径方向部39Bの背面にほぼ沿って外側に向けて延ばされた半径方向部117Cとを備えている。そして、ピストン部材117の上記半径方向部117Aは、上記段部112と軸受33のインナーレースを介して、プライマリシャフト30の外周に締め付けられるロックナット130によりプライマリシャフト30に固設されている。また、軸受33はプライマリシャフト30とトランスアクスルリヤカバー6との間に配置されている。尚、ピストン部材117の上記半径方向部117Cの外周端には樹脂製のシールリング117Dが取り付けられており、このシールリング117Dと可動シーブ39の外筒部39Cの内周面とが軸線方向に相対移動可能な状態で接触し、その接触部分にシール面が形成されている。上述のようにして、可動シーブ39とピストン部材117とにより取り囲まれた空間に上記プライマリプーリ36の油圧アクチュエータ41(図1参照)の一部を構成する制御油圧室41Aが画成され、この油圧室41Aと油路116とが連通されている。
また、可動シーブ39の内筒部39Aの内周面には軸線方向のスプライン溝123が形成され、プライマリシャフト30の外周面には軸線方向のスプライン歯124が形成されている。スプライン溝123及びスプライン歯124は、円周方向に所定間隔をおいて複数形成されている。そして、各スプライン溝123と各スプライン歯124とが円周方向で同一の位相となるように結合され、プライマリシャフト30と可動シーブ39とは、軸線方向に滑らかに相対移動可能であるが、円周方向には相対移動が不可能な状態で結合されている。
一方、セカンダリプーリ37のセカンダリシャフト31は軸線B1を中心として回転可能であり、内部には両端側から軸線方向に油路178,179がそれぞれ形成されている。そして、この油路178,179は上記油圧制御回路200に連通されている。更に、セカンダリシャフト31の外周面に向けて半径方向に延ばされ、且つ油路178に連通された油路180が設けられている。更に、セカンダリシャフト31の外周面に向けて半径方向に延ばされ、且つ油路179に連通された油路181が設けられている。また、セカンダリシャフト31の外周における油路181の開口部分の近傍には、段部31Bが形成されている。
そして、上記固定シーブ42がセカンダリシャフト31の外周に嵌合されて、軸方向への移動が不能に固定されている。詳しくは、固定シーブ42は筒状部42Aと、この筒状部42Aの可動シーブ43側の端部から外周側に向けて連続され、コーン面を有する半径方向部42Bとが一体に形成されており、この筒状部42Aがセカンダリシャフト31の外周に嵌合されて、セカンダリシャフト31の一端に形成された拡径部31Cによる段部31Dに当接する形態で軸方向に固定されている。尚、固定シーブ42の半径方向部42Bにおけるコーン面の背面にはパーキングギヤPGが一体に形成されている。
一方、可動シーブ43は、セカンダリシャフト31の外周面に沿ってスライドする内側筒状部43Aと、内側筒状部43Aの固定シーブ42側の端部から外周側に向けて連続されコーン面を有する半径方向部43Bと、半径方向部43Bの外周端に連続され、且つ、軸線方向に延ばされた外側筒状部43Cとを有している。
可動シーブ43の内側筒状部43Aの内周面には複数のスプライン溝43Dが形成され、他方、可動シーブ43を摺動自在に支持するセカンダリシャフト31の外周面には、複数のスプライン歯31Kが形成されている。スプライン歯31K及びスプライン溝43Dは、歯面または溝表面が例えばインボリュート曲線を成すように形成されており、セカンダリシャフト31と可動シーブ43とは、軸方向に滑らかに相対移動可能であるが、円周方向には相対移動が不可能なスプライン結合状態とされている。
更に、セカンダリプーリ37のセカンダリ油圧アクチュエータ45(図1参照)は環状のピストン部材190を含む。このピストン部材190は、セカンダリシャフト31の径方向に延びる第一径方向基部190Aと、この第一径方向基部190Aからセカンダリシャフト31の軸線と概ね平行に延びる筒状部190Bと、この筒状部190Bから可動シーブ43の背面に向かって屈曲しつつセカンダリシャフト31の径方向に延びる第二径方向部190Cとを有している。この第二径方向部190Cの外縁部には、可動シーブ43の外側筒状部43Cの内周面と摺接するようにシール部材190Dが配置されている。
また、符号192は略漏斗形の隔壁部材であり、その大径側の外縁部192Aが可動シーブ43の外側筒状部43Cの内周面に圧入された状態でスナップリング192Bにより可動シーブ43に固定されている。一方、符号194は略椀形をした案内部材であり、後述の通路が形成された径方向部194Aとその外周端からセカンダリシャフト31の軸線と略平行でピストン部材190の筒状部190Bに近接して延びる筒状部194Bを有している。そして、隔壁部材192の小径側の内縁部192Cと案内部材194の筒状部194Bの外周面との間には、ドレーン用隙間が形成されている。
そして、これらのピストン部材190及び案内部材194は、ピストン部材190の第一径方向基部190A及び案内部材194の径方向部194Aに形成されている中心孔に対し、セカンダリシャフト31の先端の小径部が圧入され、ロックナット196を用いてセカンダリシャフト31の上記段部31Bとの間に軸受34と共に固定されている。
このようにして、可動シーブ43の内側筒状部43A、半径方向部43B、外側筒状部43C及びピストン部材190によって、上記セカンダリ油圧アクチュエータ45の一部を構成する制御油圧室45Aが画成されている。尚、この制御油圧室45A内には、可動シーブ43を最小変速比方向に付勢する圧縮ばね43Eがピストン部材190と可動シーブ43との間に設けられている。一方、ピストン部材190の第二径方向部190C、可動シーブ43の外側筒状部43C及び隔壁部材192によって、上記油圧アクチュエータ45の一部を構成する遠心油圧キャンセル室45Bが画成されている。
また、本実施形態では、セカンダリシャフト31の油路178を大径にすると共に、軸端の拡径部31Cに対応する内周おいて僅かに肉抜きされ、軽量化が図られている。即ち、セカンダリシャフト31の軸端部には拡大内径部31Hが、軸線方向に形成された油路178と同心に形成されている。そして、この拡大内径部31Hにはスリーブ31Pが装着されている。このスリーブ31Pは、外周部にシールリングが設けられて拡大内径部31Hの内周面に当接されて、油路178をシールしている。また、スリーブ31Pから延在する細径部は、トランスアクスルリヤカバー6に形成された油路に連通する嵌合口に圧入され保持されている。このようにして、トランスアクスルリヤカバー6に形成された油路からスリーブ31Pを介して、油路178に制御油圧が供給される。更に、本実施形態においては、上記セカンダリシャフト31の拡径部31Cを、ローラベアリングで成る軸受35の内輪として用いている。
また、プライマリプーリ36側にあっては、上記回転数センサ71はその検出端面が、プライマリプーリ36の固定シーブ38の外周側部に所定の間隔毎に形成された凸型の歯Hの頂面と対向する状態で、トランスアクスルケース5に固設されている。一方、セカンダリプーリ37側にあっては、回転数センサ72が、トランスアクスルリヤカバー6に固設されている。
(制御・動作)
ベルト式無段変速機9は、CVT・ECU300及びE/G・ECU400に記憶されているデータ(例えば、エンジン回転数Ne及びスロットル開度をパラメータとする最適燃費曲線)や車速V及びアクセル開度などの条件から判断される車両の加速要求等に基づいて、エンジン1の運転状態が最適状態になるように、その変速比及びベルト挟圧力が制御される。具体的には、プライマリ側の油圧アクチュエータ41の制御油圧Ppriを制御することにより、プライマリプーリ36の溝40の幅が調整される。その結果、プライマリプーリ36における各ベルト46A,46Bの巻き掛け半径が変化し、ベルト式無段変速機9の入力回転数Npと出力回転数Nsとの比、すなわち変速比γが無段階(連続的)に制御される。
ベルト式無段変速機9は、CVT・ECU300及びE/G・ECU400に記憶されているデータ(例えば、エンジン回転数Ne及びスロットル開度をパラメータとする最適燃費曲線)や車速V及びアクセル開度などの条件から判断される車両の加速要求等に基づいて、エンジン1の運転状態が最適状態になるように、その変速比及びベルト挟圧力が制御される。具体的には、プライマリ側の油圧アクチュエータ41の制御油圧Ppriを制御することにより、プライマリプーリ36の溝40の幅が調整される。その結果、プライマリプーリ36における各ベルト46A,46Bの巻き掛け半径が変化し、ベルト式無段変速機9の入力回転数Npと出力回転数Nsとの比、すなわち変速比γが無段階(連続的)に制御される。
更に、セカンダリ側の油圧アクチュエータ45の制御油圧Psecを制御することにより、セカンダリプーリ37の溝44の幅が変化する。つまり、ベルト46A,46Bに対するセカンダリプーリ37の軸線方向のベルト挟圧力(言い換えれば推力)が制御される。このベルト挟圧力によりベルト46A,46Bの張力が制御され、プライマリプーリ36及びセカンダリプーリ37とベルト46A,46Bとの接触面圧が制御される。この制御油圧Psecは、ベルト式無段変速機9のプライマリシャフト30に入力されるトルクT及び変速比γなどに基づいて制御される。
以上説明したように、本実施形態にあっては、プライマリプーリ36とセカンダリプーリ37との間に巻き掛けられるベルトとして、内周側ベルト46Aと外周側ベルト46Bとの2本のベルトが設けられ、これらベルト46A,46Bが共に、可動シーブ39,43の進退移動に従ってプーリ36,37に対する巻き掛け位置が変更されて、所定の変速比を得ながら動力伝達が行われる構成となっている。
図2のプライマリプーリ36の上側半分は、可動シーブ39が固定シーブ38から最も後退(離間)して、V溝40の溝幅が広くなり、各ベルト46A,46Bの巻き掛け半径が小さくなっている状態を示している。このとき、セカンダリプーリ37では、図2の下側半分に示すように、可動シーブ43が固定シーブ42に対して最も前進(近接)して、V溝44の溝幅が狭くなり、各ベルト46A,46Bの巻き掛け半径が大きくなる。
逆に、プライマリプーリ36の可動シーブ39が固定シーブ38に対して前進(近接)して、V溝40の溝幅が狭くなり、各ベルト46A,46Bの巻き掛け半径が大きくなると、それに応じて、セカンダリプーリ37では、可動シーブ43が固定シーブ42から後退(離間)して、V溝44の溝幅が広くなり、各ベルト46A,46Bの巻き掛け半径が小さくなる。
以上の如く内外2本のベルト46A,46Bによって所定の変速比を得ながら動力伝達が行われる構成としているため、各ベルト46A,46Bそれぞれが負担する伝達トルクは軽減され、1本のベルトのみでトルク伝達を行う従来のものに比べて、各ベルト46A,46Bに対する挟圧は低くて済む。従って、個々のベルト46A,46Bに対する挟圧を高く設定したり、ベルト46A,46Bを構成している駒を大型化するといったことなしに、ベルト式無段変速機9全体としてのトルク容量(伝達可能なトルク)の増大化を図ることができる。その結果、ベルト46A,46Bの損傷や隣り合う駒同士の干渉(プーリ36,37への巻き掛け部分において互いに隣り合う駒の内周側端縁同士の干渉)を回避しながら、トルク容量の増大を図ることが可能になる。
また、各ベルト46A,46Bに対する挟圧が低くて済むため、ベルト式無段変速機9の作動時の振動(上述したように、ベルト挟圧が高い程、大きく発生する振動)を抑制でき、それに伴ってベルト式無段変速機9の静粛化を図ることも可能になる。
そして、本実施形態では、各ベルト46A,46Bのレイアウトとして、内外周に配置しているので、ベルト式無段変速機9の軸心方向の寸法が大きくなってしまうことがない。このため、エンジンルーム内の限られたスペース(車幅方向のスペース)に十分に組み込むことが可能であり、搭載性の面で実用性に優れたものとしながらも、上述したトルク容量の増大化及び作動時の高い静粛性を得ることができる。
−第2実施形態−
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリプーリ36の可動シーブ39の構成及びプライマリ側の油圧アクチュエータ41の構成が上述した第1実施形態のものと異なっており、その他の構成及び動作は第1実施形態と同様である。従って、ここでは可動シーブ39及び油圧アクチュエータ41の構成について主に説明する。
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリプーリ36の可動シーブ39の構成及びプライマリ側の油圧アクチュエータ41の構成が上述した第1実施形態のものと異なっており、その他の構成及び動作は第1実施形態と同様である。従って、ここでは可動シーブ39及び油圧アクチュエータ41の構成について主に説明する。
図3は、本実施形態に係るベルト式無段変速機9のプライマリプーリ36の一部を示す断面図(プライマリシャフト30の軸線に沿う方向の断面図)である。
この図3に示すように、本実施形態のプライマリプーリ36では、固定シーブ38の構成は上記第1実施形態のものと同一である一方、可動シーブ39としては、内周側可動シーブ部材39Dと外周側可動シーブ部材39Eとを備えている。
そして、内周側ベルト46Aは、上記内周側可動シーブ部材39Dと固定シーブ38との間に配設され、この両者39D,38間で所定のベルト挟圧を受ける。一方、外周側ベルト46Bは、上記外周側可動シーブ部材39Eと固定シーブ38との間に配設され、この両者39E,38間で所定のベルト挟圧を受けるようになっている。
また、油圧アクチュエータ41の制御油圧室41A−i,41A−oを形成するためのピストン部材117としては、上記半径方向部117Cの外周側端から固定シーブ38側に向かって延びる外筒部117Eと、この外筒部117Eとプライマリシャフト30との間の略中間位置から固定シーブ38側に向かって延びる中間筒部117Fとを備えている。
そして、上記内周側可動シーブ部材39Dは、プライマリシャフト30と上記ピストン部材117の中間筒部117Fとの間に亘って配設され、プライマリシャフト30、上記ピストン部材117の半径方向部117C及び中間筒部117Fとの間で、内周側挟圧制御手段を構成する内周側制御油圧室(内周側の油圧室)41A−iを形成している。つまり、この内周側制御油圧室41A−iの油圧が制御されることにより、内周側可動シーブ部材39Dの固定シーブ38に対する進退移動位置及び内周側ベルト46Aに対する挟圧が調整される構成となっている。尚、内周側可動シーブ部材39Dは、プライマリシャフト30の外周面及び中間筒部117Fの内周面に対してスプライン結合され、固定シーブ38に向う進退移動のみが許容された状態で配設されている。
同様に、上記外周側可動シーブ部材39Eは、ピストン部材117の外筒部117Eと中間筒部117Fとの間に亘って配設され、このピストン部材117の半径方向部117C、外筒部117E及び中間筒部117Fの間で、外周側挟圧制御手段を構成する外周側制御油圧室(外周側の油圧室)41A−oを形成している。つまり、この外周側制御油圧室41A−oの油圧が制御されることにより、外周側可動シーブ部材39Eの固定シーブ38に対する進退移動位置及び外周側ベルト46Bに対する挟圧が調整される構成となっている。尚、外周側可動シーブ部材39Eは、外筒部117Eの内周面及び中間筒部117Fの外周面に対してスプライン結合され、固定シーブ38に向う進退移動のみが許容された状態で配設されている。
一方、上記プライマリシャフト30には、その軸線方向に沿って内周側油路107Aと外周側油路107Bとがそれぞれ独立して形成されている。内周側油路107Aは、プライマリシャフト30の半径方向に延びた後、内周側制御油圧室41A−iに連通している。一方、外周側油路107Bは、プライマリシャフト30及びピストン部材117の半径方向部117Cに亘って半径方向に延びた後、外周側制御油圧室41A−oに連通している。
そして、油圧制御回路200としては、上記内周側制御油圧室41A−iに作用させる油圧を制御する回路と、外周側制御油圧室41A−oに作用させる油圧を制御する回路とがそれぞれ個別に備えられており、これにより、各制御油圧室41A−i,41A−oに供給する油圧がそれぞれ独立して制御可能な構成となっている。
以上のようにして、内周側ベルト46Aに対する挟圧と外周側ベルト46Bに対する挟圧とが互いに独立して制御可能な構成となっている。例えば、固定シーブ38の外周側が拡がる側(可動シーブ39から離れる側)に撓むことを考慮する場合、内周側制御油圧室41A−iに作用させる油圧よりも外周側制御油圧室41A−oに作用させる油圧を僅かに高く設定し、各ベルト46A,46Bに作用する挟圧の均等化を図るようにする。
上述した如く内周側及び外周側に2本のベルト46A,46Bを備えさせ、各ベルト46A,46Bによって所定の変速比で動力伝達を行う場合、各ベルト46A,46Bによって得られる変速比が互いに一致している必要があり、そのためには、各ベルト46A,46Bのプーリ36,37に対する巻き掛け位置がそれぞれ適切な位置に設定されている必要がある。この巻き掛け位置が適切に得られていない場合には、ベルト46A,46Bとプーリ36,37との間にスリップが生じるなどして、動力伝達性能に支障を来したりベルト46A,46Bの損傷を招いたりする可能性がある。本実施形態では、上述した如く、内周側ベルト46Aに対する挟圧と、外周側ベルト46Bに対する挟圧とを互いに独立して制御することで、つまり、内周側可動シーブ部材39D及び外周側可動シーブ部材39Eの進退移動位置を個別調整可能とすることで、各ベルト46A,46Bのプーリ36,37に対する巻き掛け位置の適正化とベルト挟圧の適正化とを図ることができる。このため、上記スリップの発生を防止することができ、また、ベルト挟圧を低く抑えることによるベルト46A,46Bの損傷防止及びベルト式無段変速機9の静粛化を図ることも可能である。
尚、本実施形態では、プライマリプーリ36の可動シーブ39を内周側可動シーブ部材39Dと外周側可動シーブ部材39Eとの分割構造とし、それぞれに対して個別に油圧を制御する構成としたが、セカンダリプーリ37においても同様の構成(可動シーブ43の分割構造)としてもよい。
−第3実施形態−
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリプーリ36の固定シーブ38の構成が上述した第2実施形態のものと異なっており、その他の構成及び動作は第2実施形態と同様である。従って、ここでは固定シーブ38の構成について主に説明する。
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリプーリ36の固定シーブ38の構成が上述した第2実施形態のものと異なっており、その他の構成及び動作は第2実施形態と同様である。従って、ここでは固定シーブ38の構成について主に説明する。
図4は、本実施形態に係るベルト式無段変速機9のプライマリプーリ36の一部を示す断面図(プライマリシャフト30の軸線に沿う方向の断面図)である。
この図4に示すように、本実施形態のプライマリプーリ36の可動シーブ39の構成は上述した第2実施形態のものと同様であり、内周側ベルト46Aに対する挟圧を調整するための内周側可動シーブ部材39Dと、外周側ベルト46Bに対する挟圧を調整するための外周側可動シーブ部材39Eとを備えている。また、内周側制御油圧室41A−i及び外周側制御油圧室41A−oに油圧を作用させるための構成も上記第2実施形態のものと同様である。
本実施形態におけるプライマリプーリ36の固定シーブ38の構成としては、内周側固定シーブ部材38Aと外周側固定シーブ部材38Bとを備えている。
そして、内周側固定シーブ部材38Aは、上記内周側可動シーブ部材39Dとの間で内周側ベルト46Aを挟持している。一方、外周側固定シーブ部材38Bは、上記外周側可動シーブ部材39Eとの間で外周側ベルト46Bを挟持している。
そして、上記内周側固定シーブ部材38Aの外周縁部と外周側固定シーブ部材38Bの内周縁部との間にはクラッチ機構38Cが備えられている。このクラッチ機構38Cは、例えば電磁式の乾式多板クラッチで構成されており、内周側固定シーブ部材38Aと外周側固定シーブ部材38Bとを繋脱可能としている。
上記内周側固定シーブ部材38Aはプライマリシャフト30と一体形成されているため、クラッチ機構38Cの離脱状態では、内周側固定シーブ部材38Aがプライマリシャフト30と一体的に回転し、外周側固定シーブ部材38Bは非回転状態となる。つまり、内周側ベルト46Aのみによる動力伝達動作が行われる。
一方、クラッチ機構38Cの連繋状態では、内周側固定シーブ部材38Aと外周側固定シーブ部材38Bとが一体化され、プライマリシャフト30の回転に伴って各シーブ部材38A,38Bも一体的に回転する状態となる。つまり、内周側ベルト46A及び外周側ベルト46Bの両ベルトによる動力伝達動作が行われる。
尚、本実施形態にあっては、プライマリプーリ36の固定シーブ38ばかりでなく、セカンダリプーリ37の固定シーブ42についても同様に、内周側固定シーブ部材と外周側固定シーブ部材(共に図示省略)とを備えさせ、これら内周側固定シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間にクラッチ機構を配設している。そして、プライマリ側及びセカンダリ側の各固定シーブ38,42に備えられたクラッチ機構38Cを連動(同一タイミングで作動)させることで、各プーリ36,37とベルト46A,46Bとの間でスリップ等が発生しないようにされている。
このように、本実施形態では、クラッチ機構38Cの繋脱を切り換えることで、動力伝達動作を行うベルト46A,46Bの本数を変更することができる。このため、例えば伝達トルクが小さい低負荷時には、クラッチ機構38Cを離脱状態として内周側ベルト46Aのみによる動力伝達動作を行って、ベルト46A,46Bとプーリ36,37との間で生じるフリクションロスを低く抑え、効率の高い動力伝達動作を行うことができる。一方、伝達トルクが大きい高負荷時には、両ベルト46A,46Bを使用して動力伝達を行うことで、個々のベルト46A,46Bが負担する伝達トルクを小さく抑えながらも、ベルト式無段変速機9全体としてのトルク容量の増大化を図ることができる。
−第4実施形態−
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリプーリ36の固定シーブ38の構成が上述した第3実施形態のものと異なっており、その他の構成及び動作は第3実施形態と同様である。従って、ここでは固定シーブ38の構成について主に説明する。
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリプーリ36の固定シーブ38の構成が上述した第3実施形態のものと異なっており、その他の構成及び動作は第3実施形態と同様である。従って、ここでは固定シーブ38の構成について主に説明する。
図5は、本実施形態に係るベルト式無段変速機9のプライマリプーリ36の一部を示す断面図(プライマリシャフト30の軸線に沿う方向の断面図)である。
この図5に示すように、本実施形態のプライマリプーリ36の可動シーブ39の構成は上述した第2実施形態及び第3実施形態のものと同様であり、内周側ベルト46Aに対する挟圧を調整するための内周側可動シーブ部材39Dと、外周側ベルト46Bに対する挟圧を調整するための外周側可動シーブ部材39Eとを備えている。また、内周側制御油圧室41A−i及び外周側制御油圧室41A−oに油圧を作用させるための構成も上記第2実施形態及び第3実施形態のものと同様である。
そして、本実施形態におけるプライマリプーリ36の固定シーブ38の構成としては、上記第3実施形態のものと同様に、上記内周側可動シーブ部材39Dとの間で内周側ベルト46Aを挟持する内周側固定シーブ部材38Aと、上記外周側可動シーブ部材39Eとの間で外周側ベルト46Bを挟持する外周側固定シーブ部材38Bとを備えている。
そして、本実施形態にあっては外周側固定シーブ部材38Bがプライマリシャフト30と一体形成されている一方、内周側固定シーブ部材38Aは、プライマリシャフト30及び外周側固定シーブ部材38Bに対してクラッチ機構38D,38Eを介して連繋されている。つまり、内周側固定シーブ部材38Aの内周側が第1クラッチ機構38Dを介してプライマリシャフト30に対して繋脱可能となっている一方、内周側固定シーブ部材38Aの外周側が第2クラッチ機構38Eを介して外周側固定シーブ部材38Bに対して繋脱可能となっている。これらクラッチ機構38D,38Eも、例えば電磁式の乾式多板クラッチで構成されている。
上述した如く外周側固定シーブ部材38Bはプライマリシャフト30と一体形成されているため、各クラッチ機構38D,38Eの離脱状態では、外周側固定シーブ部材38Bがプライマリシャフト30と一体的に回転し、内周側固定シーブ部材38Aは非回転状態となる。つまり、外周側ベルト46Bのみによる動力伝達動作が行われる。
一方、各クラッチ機構38D,38Eの連繋状態では、内周側固定シーブ部材38Aと外周側固定シーブ部材38Bとが一体化され、プライマリシャフト30の回転に伴って各シーブ部材38A,38Bも一体的に回転する状態となる。つまり、内周側ベルト46A及び外周側ベルト46Bの両ベルトによる動力伝達動作が行われる。
尚、本実施形態にあっても、プライマリプーリ36の固定シーブ38ばかりでなく、セカンダリプーリ37の固定シーブ42についても同様に、内周側固定シーブ部材と外周側固定シーブ部材(共に図示省略)とを備えさせ、これら内周側固定シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間、内周側固定シーブ部材とセカンダリシャフト31との間にクラッチ機構を配設している。そして、プライマリ側及びセカンダリ側の各クラッチ機構38D,38Eを連動させることで、各プーリ36,37とベルト46A,46Bとの間でスリップ等が発生しないようにされている。
このように、本実施形態の構成によっても、各クラッチ機構38D,38Eの繋脱を切り換えることで、動力伝達動作を行うベルト46A,46Bの本数を変更することができる。このため、例えば伝達トルクが小さい低負荷時には、各クラッチ機構38D,38Eを離脱状態として外周側ベルト46Bのみによる動力伝達動作を行って、ベルト46A,46Bとプーリ36,37との間で生じるフリクションロスを低く抑え、効率の高い動力伝達動作を行うことができる。一方、伝達トルクが大きい高負荷時には、両ベルト46A,46Bを使用して動力伝達を行うことで、個々のベルト46A,46Bが負担する伝達トルクを小さく抑えながらも、ベルト式無段変速機9全体としてのトルク容量の増大化を図ることができる。
−第5実施形態−
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリプーリ36の固定シーブ38の構成が上述した第4実施形態のものと異なっており、その他の構成及び動作は第4実施形態と同様である。従って、ここでは固定シーブ38の構成について主に説明する。
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリプーリ36の固定シーブ38の構成が上述した第4実施形態のものと異なっており、その他の構成及び動作は第4実施形態と同様である。従って、ここでは固定シーブ38の構成について主に説明する。
図6は、本実施形態に係るベルト式無段変速機9のプライマリプーリ36の一部を示す断面図(プライマリシャフト30の軸線に沿う方向の断面図)である。
上述した第4実施形態では、内周側固定シーブ部材38Aの内周側とプライマリシャフト30との間、内周側固定シーブ部材38Aの外周側と外周側固定シーブ部材38Bとの間にそれぞれクラッチ機構38D,38Eを備えさせていた。本実施形態は、それに代えて、内周側固定シーブ部材38Aの内周側とプライマリシャフト30との間に第1クラッチ機構(内周側クラッチ機構)38Fを、外周側固定シーブ部材38Bの内周側とプライマリシャフト30との間に第2クラッチ機構(外周側クラッチ機構)38Gをそれぞれ備えさせたものである。
つまり、第1クラッチ機構38Fのみを連繋させた場合には、内周側固定シーブ部材38Aがプライマリシャフト30と一体的に回転し、内周側ベルト46Aのみによる動力伝達動作が行われる。また、第2クラッチ機構38Gのみを連繋させた場合には、外周側固定シーブ部材38Bがプライマリシャフト30と一体的に回転し、外周側ベルト46Bのみによる動力伝達動作が行われる。更に、各クラッチ機構38F,38Gを共に連繋させた場合には、内周側固定シーブ部材38A及び外周側固定シーブ部材38Bが共にプライマリシャフト30と一体的に回転し、内周側ベルト46A及び外周側ベルト46Bの両ベルトによる動力伝達動作が行われるようになっている。
尚、本実施形態にあっても、プライマリプーリ36の固定シーブ38ばかりでなく、セカンダリプーリ37の固定シーブ42についても同様に、内周側固定シーブ部材と外周側固定シーブ部材(共に図示省略)とを備えさせ、同様のクラッチ機構を配設している。そして、プライマリ側及びセカンダリ側の各クラッチ機構38F,38Gを連動させることで、各プーリ36,37とベルト46A,46Bとの間でスリップ等が発生しないようにされている。
このように、本実施形態の構成によっても、各クラッチ機構38F,38Gの繋脱を切り換えることで、動力伝達動作を行うベルト46A,46Bの本数を変更することができる。このため、例えば伝達トルクが小さい低負荷時には、一方のクラッチ機構38F(38G)のみを連繋状態として一方のベルト46A(46B)のみによる動力伝達動作を行って、ベルト46A,46Bとプーリ36,37との間で生じるフリクションロスを低く抑え、効率の高い動力伝達動作を行うことができる。一方、伝達トルクが大きい高負荷時には、両ベルト46A,46Bを使用して動力伝達を行うことで、個々のベルト46A,46Bが負担する伝達トルクを小さく抑えながらも、ベルト式無段変速機9全体としてのトルク容量の増大化を図ることができる。
−第6実施形態−
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリプーリ36の固定シーブ38における外周側ベルト46Bに対する接触面部分の形状を改良したものであり、その他の構成及び動作は上記第2実施形態と同様である。従って、ここでは固定シーブ38の上記接触面部分の形状についてのみ説明する。
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリプーリ36の固定シーブ38における外周側ベルト46Bに対する接触面部分の形状を改良したものであり、その他の構成及び動作は上記第2実施形態と同様である。従って、ここでは固定シーブ38の上記接触面部分の形状についてのみ説明する。
図7は、本実施形態に係るベルト式無段変速機9のプライマリプーリ36の一部を示す断面図である(ベルトの図示を省略している)。
この図7に示すように、本実施形態に係るプライマリプーリ36の固定シーブ38は、内周側ベルト46A(図示せず)が巻き掛けられる内周側領域(図7における領域X)と、外周側ベルト46B(図示せず)が巻き掛けられる外周側領域(図7における領域Y)とを備えており、上記外周側領域Yの表面形状として、外力が作用していない状態では、内周側領域Xの表面の延長線(図中に仮想線で示す直線L)よりも外周側可動シーブ部材39Eに近接するように膨出した形状に形成されている。
この構成によれば、仮に固定シーブ38の外周部分に撓み(外周側可動シーブ部材39Eから離れる方向への撓み)が生じたとしても固定シーブ38の外周側領域Yの表面形状は外周側ベルト46Bの側面から離れることなく、この外周側ベルト46Bの巻き掛け位置を適正に維持することになる。このため、外周側ベルト46Bとプライマリプーリ36との間でスリップが生じて動力伝達性能に支障を来したり外周側ベルト46Bの損傷を招いたりするといったことが回避できる。
尚、本実施形態は、上記第2実施形態に係る固定シーブ38に対して外周側ベルト46Bに対する接触面部分の形状を改良したものであったが、上記その他の実施形態に係る固定シーブ38に対して同様の構成(外周側ベルト46Bに対する接触面部分の形状の改良)を採用してもよい。また、セカンダリプーリ37の固定シーブ43に対して適用してもよい。
(変形例)
上述した第6実施形態のように、固定シーブ38の撓みを考慮し、各ベルト46A,46Bのプーリ36,37に対する巻き掛け位置を適切な位置に設定してベルト46A,46Bとプーリ36,37との間のスリップを抑制するための変形例としては以下の構成を採用することも可能である。
上述した第6実施形態のように、固定シーブ38の撓みを考慮し、各ベルト46A,46Bのプーリ36,37に対する巻き掛け位置を適切な位置に設定してベルト46A,46Bとプーリ36,37との間のスリップを抑制するための変形例としては以下の構成を採用することも可能である。
先ず、プライマリプーリ36の可動シーブ39において外周側領域(外周側ベルト46Bが巻き掛けられる領域)の表面を、内周側領域(内周側ベルト46Aが巻き掛けられる領域)の表面よりも弾性係数を小さく設定する(弾性変形し易い材料で構成する)ものである。
例えば、上記第1実施形態の構成の場合、可動シーブ39の外周側部分の構成材料として、内周側部分の構成材料よりも弾性変形し易い材料を採用する。
この構成によれば、仮に可動シーブ39に撓みが生じたとしても、この可動シーブ39における外周側領域の表面形状は外周側ベルト46Bの側面から離れることなく、この外周側ベルト46Bの巻き掛け位置を適正に維持することになる。従って、この場合にも、外周側ベルト46Bとプーリ36,37との間でスリップが生じて動力伝達性能に支障を来したりベルト46Bの損傷を招いたりするといったことが回避できる。
尚、この構成は、プライマリプーリ36ばかりでなく、セカンダリプーリ37に対しても適用可能であり、上述した各実施形態の何れに対しても適用可能である。
また、外周側ベルト46Bにおけるプーリ36,37に対する接触面を、内周側ベルト46Aにおけるプーリ36,37に対する接触面よりも弾性係数を小さく設定する(弾性変形し易い材料で構成する)ようにしてもよい。この構成によっても、仮に固定シーブ38や可動シーブ39の外周側に撓み(対向する相手側シーブから後退する方向の撓み)が生じたとしても、それに追従するように外周側ベルト46Bの表面が弾性変形し、シーブ38,39の表面から離れることなく、この外周側ベルト46Bの巻き掛け位置を適正に維持することができる。このため、外周側ベルト46Bとプーリ36,37との間でスリップが生じて動力伝達性能に支障を来したりベルトの損傷を招いたりするといったことが回避できる。
尚、この構成も、プライマリプーリ36ばかりでなく、セカンダリプーリ37に対しても適用可能であり、上述した各実施形態の何れに対しても適用可能である。
−第7実施形態−
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間での動力伝達のための機構に特徴がある。その他の構成及び動作は上述した各実施形態のものと同様であるので、ここでは、このプライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間での動力伝達のための機構について主に説明する。
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間での動力伝達のための機構に特徴がある。その他の構成及び動作は上述した各実施形態のものと同様であるので、ここでは、このプライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間での動力伝達のための機構について主に説明する。
図8は、本実施形態に係るベルト式無段変速機9のプライマリプーリ36の一部を示す断面図(プライマリシャフト30の軸線に沿う方向の断面図)である。
この図8に示すように、本実施形態のプライマリプーリ36では、プライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間に、シングルピニオン形式の遊星歯車機構と略同様の減速機構が備えられており、プライマリシャフト30の回転速度を減速してベルト式無段変速機9に入力することが可能な構成となっている。以下、具体的に説明する。
本実施形態におけるプライマリプーリ36の固定シーブ38は、プライマリシャフト30の外周部に嵌め込まれていることで、このプライマリシャフト30に対して相対回転自在となっている。また、この固定シーブ38は、内周側固定シーブ部材38Aと外周側固定シーブ部材38Bとに分割されており、これら内周側固定シーブ部材38A及び外周側固定シーブ部材38Bも相対回転自在となっている。
そして、固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38Aにおける可動シーブ39とは反対側の側面(図8における右側の側面)には1本のシャフト38bが突設されていて、このシャフト38bにピニオンギヤ38Iが回転自在に支持されている。このピニオンギヤ38Iはプライマリシャフト30の軸心回りの複数箇所(例えば3箇所)に備えられている。
また、プライマリシャフト30には、外周側に延びる円板形状のフランジ30Aが形成されており、このフランジ30Aの外周面の全体に亘ってギヤが形成されている。そして、このギヤに上記ピニオンギヤ38Iが噛み合っている。また、このピニオンギヤ38Iは外周側固定シーブ部材38Bに形成された内歯にも噛み合っている。
更に、プライマリシャフト30には、外周側に延びるアーム30Bが形成されており、このアーム30Bと上記内周側固定シーブ部材38Aに突設されているシャフト38bとの間に第1クラッチ機構38Jが配設されている。
そして、上記固定シーブ38の外周側固定シーブ部材38Bの外周部分とトランスアクスルケース(変速機ケーシング)5との間には第2クラッチ機構38Kが設けられている。
以上の構成により、プライマリシャフト30及びフランジ30Aが遊星歯車機構のサンギヤに相当し、内周側固定シーブ部材38Aに支持されたピニオンギヤ38Iが遊星歯車機構のピニオンギヤに相当し、内周側固定シーブ部材38Aが遊星歯車機構のキャリヤに相当し、外周側固定シーブ部材38Bが遊星歯車機構のリングギヤに相当したものとして構成される。また、上記アーム30Bとシャフト38bとの間に設けられた第1クラッチ機構38Jがフォワードクラッチに相当し、外周側固定シーブ部材38Bの外周部分とトランスアクスルケース5との間に設けられた第2クラッチ機構38Kがリバースブレーキに相当することになる。これにより、本発明でいう減速機構が構成されている。
このため、第1クラッチ機構38Jを連繋させ、第2クラッチ機構38Kを離脱させると、プライマリシャフト30、固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38A及び外周側固定シーブ部材38Bが一体となって回転することになり、プライマリシャフト30の回転数がそのまま固定シーブ38の回転数となる。つまり、プライマリシャフト30とプライマリプーリ36とが一体的に回転する状態となる。
この場合、固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38A及び外周側固定シーブ部材38Bが共に回転することになるので、プライマリプーリ36からセカンダリプーリ37への動力伝達は、内周側ベルト46A及び外周側ベルト46Bの両ベルトにより行われることになる。
これに対し、第1クラッチ機構38Jを離脱させ、第2クラッチ機構38Kを連繋させると、外周側固定シーブ部材38Bが回転不能となって、プライマリシャフト30の回転力はフランジ30Aからピニオンギヤ38Iに伝達され、このピニオンギヤ38Iが外周側固定シーブ部材38Bの内歯に噛み合いながらプライマリシャフト30の周囲を公転し、その公転速度で固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38Aがプライマリシャフト30の周囲を自転することになる。つまり、プライマリシャフト30の回転速度が減速されて固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38Aに伝達されることになるため、プライマリプーリ36は、プライマリシャフト30の回転速度に対して減速されることになる。
この場合、外周側固定シーブ部材38Bが回転不能になっているので、プライマリプーリ36からセカンダリプーリ37への動力伝達は、内周側ベルト46Aのみによって行われることになる。
このように、プライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間に遊星歯車機構と略同様の減速機構を備えさせたことにより、ベルト式無段変速機9や上記最終減速機10で得られる減速比よりも更に大きな減速比を得ることが可能な構成となっている。
例えば、車両の発進時、特に上り勾配の坂道発進時等にあっては、発進性能を高めるために高い減速比が要求されるが、本実施形態では、従来の減速機構に加えて、上記プライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間に遊星歯車機構と略同様の減速機構を備えさせたことで、大きな減速比が得られ、発進性能を極めて良好にすることが可能になる。
−第8実施形態−
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間にダブルピニオン形式の遊星歯車機構と略同様の機構を備えさせ、この機構に上記前後進切り換え機構8としての機能を発揮させることにより、この前後進切り換え機構8を不要にするものである。その他の構成及び動作は上述した各実施形態のものと同様であるので、ここでは、このプライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間に配設された前後進切り換え機構について主に説明する。
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態は、プライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間にダブルピニオン形式の遊星歯車機構と略同様の機構を備えさせ、この機構に上記前後進切り換え機構8としての機能を発揮させることにより、この前後進切り換え機構8を不要にするものである。その他の構成及び動作は上述した各実施形態のものと同様であるので、ここでは、このプライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間に配設された前後進切り換え機構について主に説明する。
図9は、本実施形態に係るベルト式無段変速機9のプライマリプーリ36の一部を示す断面図(プライマリシャフト30の軸線に沿う方向の断面図)である。この図9では、上述した第7実施形態のもの(図8参照)と同一の部材及び部位については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態における上記第7実施形態との相違点として、上記固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38Aにおける可動シーブ39とは反対側の側面(図9における右側の側面)には内外2本のシャフト38a,38bが突設されていて、これらシャフト38a,38bにそれぞれピニオンギヤ38H,38Iが互いに噛み合いながら回転自在に支持されている。
そして、プライマリシャフト30及びフランジ30Aが遊星歯車機構のサンギヤに相当し、内周側固定シーブ部材38Aに支持されたピニオンギヤ38H,38Iが遊星歯車機構のピニオンギヤに相当し、内周側固定シーブ部材38Aが遊星歯車機構のキャリヤに相当し、外周側固定シーブ部材38Bが遊星歯車機構のリングギヤに相当したものとして構成されている点は、上記第7実施形態と同様である。また、上記アーム30Bとシャフト38bとの間に設けられた第1クラッチ機構38Jがフォワードクラッチに相当し、外周側固定シーブ部材38Bの外周部分とトランスアクスルケース5との間に設けられた第2クラッチ機構38Kがリバースブレーキに相当したものとして構成されている点も、上記第7実施形態と同様である。これにより、本発明でいう正逆転切り換え機構が構成されている。
このため、第1クラッチ機構38Jを連繋させ、第2クラッチ機構38Kを離脱させると、プライマリシャフト30、固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38A及び外周側固定シーブ部材38Bが一体となって回転することになり、プライマリシャフト30の回転数がそのまま固定シーブ38の回転数となる。つまり、プライマリシャフト30とプライマリプーリ36とが一体的に回転する状態となる。つまり、プライマリシャフト30の回転方向と同方向(正転方向)にプライマリプーリ36が回転することになる。
この場合、固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38A及び外周側固定シーブ部材38Bが共に回転することになるので、プライマリプーリ36からセカンダリプーリ37への動力伝達は、内周側ベルト46A及び外周側ベルト46Bの両ベルトにより行われることになる。
これに対し、第1クラッチ機構38Jを離脱させ、第2クラッチ機構38Kを連繋させると、外周側固定シーブ部材38Bが回転不能となって、プライマリシャフト30の回転力はフランジ30Aからピニオンギヤ38H,38Iに伝達され、外周側のピニオンギヤ38Iが外周側固定シーブ部材38Bの内歯に噛み合いながらプライマリシャフト30の周囲を公転(プライマリシャフト30の回転方向とは逆方向に公転)し、その公転速度で固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38Aがプライマリシャフト30の周囲を自転(プライマリシャフト30の回転方向とは逆方向に自転)することになる。つまり、プライマリシャフト30の回転速度が減速され、且つその回転方向が逆転されて固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38Aに伝達されることになる。
この場合、外周側固定シーブ部材38Bが回転不能になっているので、プライマリプーリ36からセカンダリプーリ37への動力伝達は、内周側ベルト46Aのみによって行われることになる。
このように、プライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間に遊星歯車機構と略同様の前後進切り換え機構を備えさせたことにより、この前後進切り換え機構をベルト式無段変速機9に一体的に組み込むことが可能になり、従来の前後進切り換え機構を不要にしてエンジン1からベルト式無段変速機9に亘る軸心方向の長さ寸法を大幅に短縮化することが可能になる。
−第9実施形態−
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態は、上述した第7実施形態のものと同様に、プライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間にシングルピニオン形式の遊星歯車機構と略同様の機構を備えさせ、この機構に、正転方向での減速機構(上記第7実施形態のものと同様の機構)と前後進切り換え機構(上記第8実施形態のものと同様の機構)とを兼ね備えさせた構成とするものである。その他の構成及び動作は上述した各実施形態のものと同様であるので、ここでも、このプライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間に配設された減速機構及び前後進切り換え機構について主に説明する。
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態は、上述した第7実施形態のものと同様に、プライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間にシングルピニオン形式の遊星歯車機構と略同様の機構を備えさせ、この機構に、正転方向での減速機構(上記第7実施形態のものと同様の機構)と前後進切り換え機構(上記第8実施形態のものと同様の機構)とを兼ね備えさせた構成とするものである。その他の構成及び動作は上述した各実施形態のものと同様であるので、ここでも、このプライマリシャフト30とベルト式無段変速機9との間に配設された減速機構及び前後進切り換え機構について主に説明する。
図10は、本実施形態に係るベルト式無段変速機9のプライマリプーリ36の一部を示す断面図(プライマリシャフト30の軸線に沿う方向の断面図)である。この図10では、上述した第7実施形態のもの(図8参照)と同一の部材及び部位については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態における上記第7実施形態との相違点として、トランスアクスルケース5からシャフト38bに向かって延びるアーム5Aが設けられており、このアーム5Aとシャフト38bとの間に第3クラッチ機構38Lが配設されている。
このため、第1クラッチ機構38Jを連繋させ、第2クラッチ機構38K及び第3クラッチ機構38Lを離脱させると、プライマリシャフト30、固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38A及び外周側固定シーブ部材38Bが一体となって回転することになり、プライマリシャフト30の回転数がそのまま固定シーブ38の回転数となる。つまり、プライマリシャフト30とプライマリプーリ36とが一体的に回転する状態となる。つまり、プライマリシャフト30の回転方向と同方向(正転方向)で且つ減速されることなくプライマリプーリ36が回転することになる。
この場合、固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38A及び外周側固定シーブ部材38Bが共に回転することになるので、プライマリプーリ36からセカンダリプーリ37への動力伝達は、内周側ベルト46A及び外周側ベルト46Bの両ベルトにより行われることになる。
これに対し、第1クラッチ機構38J及び第3クラッチ機構38Lを離脱させ、第2クラッチ機構38Kを連繋させると、外周側固定シーブ部材38Bが回転不能となって、プライマリシャフト30の回転力はフランジ30Aからピニオンギヤ38Iに伝達され、このピニオンギヤ38Iが外周側固定シーブ部材38Bの内歯に噛み合いながらプライマリシャフト30の周囲を公転(プライマリシャフト30の回転方向と同方向に公転)し、その公転速度で固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38Aがプライマリシャフト30の周囲を自転(プライマリシャフト30の回転方向と同方向に自転)することになる。つまり、プライマリシャフト30の回転速度が減速され、且つその回転方向と同方向に固定シーブ38の内周側固定シーブ部材38Aが回転することになる。
この場合、外周側固定シーブ部材38Bが回転不能になっているので、プライマリプーリ36からセカンダリプーリ37への動力伝達は、内周側ベルト46Aのみによって行われることになる。
更に、第1クラッチ機構38J及び第2クラッチ機構38Kを離脱させ、第3クラッチ機構38Lを連繋させると、内周側固定シーブ部材38Aが回転不能となって、プライマリシャフト30の回転力はフランジ30Aからピニオンギヤ38Iを介して外周側固定シーブ部材38Bに伝達され、この外周側固定シーブ部材38Bがプライマリシャフト30の周囲を自転(プライマリシャフト30の回転方向とは逆方向に自転)することになる。つまり、プライマリシャフト30の回転速度が減速され、且つその回転方向が逆転されて固定シーブ38の外周側固定シーブ部材38Bに伝達されることになる。
この場合、内周側固定シーブ部材38Aが回転不能になっているので、プライマリプーリ36からセカンダリプーリ37への動力伝達は、外周側ベルト46Bのみによって行われることになる。
このように、本実施形態では、大きな減速比を得ることが可能な機構と、前後進の切り換えが可能な機構とをベルト式無段変速機9に一体的に組み込むことが可能になる。
−その他の実施形態−
以上説明した各実施形態は、自動車用のベルト式無段変速機として本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、自動車用以外の用途で使用されるベルト式無段変速機に対しても適用可能である。
以上説明した各実施形態は、自動車用のベルト式無段変速機として本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、自動車用以外の用途で使用されるベルト式無段変速機に対しても適用可能である。
また、上述した各実施形態では、2本のベルト46A,46Bを備えさせた構成としたが、内外周に亘って3本以上のベルトを備えさせる構成としてもよい。
9 ベルト式無段変速機
30 プライマリシャフト(変速機入力軸)
36 プライマリプーリ(駆動側プーリ)
37 セカンダリプーリ(従動側プーリ)
38,42 固定シーブ
38A 内周側固定シーブ部材
38B 外周側固定シーブ部材
38C,38D,38E,38F,38G クラッチ機構
38H,38I ピニオンギヤ
38J 第1クラッチ機構
38K 第2クラッチ機構
39,43 可動シーブ
39D 内周側可動シーブ部材
39E 外周側可動シーブ部材
41A−i 内周側制御油圧室(内周側挟圧制御手段)
41A−o 外周側制御油圧室(外周側挟圧制御手段)
46A 内周側ベルト
46B 外周側ベルト
5 トランスアクスルケース(変速機ケーシング)
X 内周側領域
Y 外周側領域
30 プライマリシャフト(変速機入力軸)
36 プライマリプーリ(駆動側プーリ)
37 セカンダリプーリ(従動側プーリ)
38,42 固定シーブ
38A 内周側固定シーブ部材
38B 外周側固定シーブ部材
38C,38D,38E,38F,38G クラッチ機構
38H,38I ピニオンギヤ
38J 第1クラッチ機構
38K 第2クラッチ機構
39,43 可動シーブ
39D 内周側可動シーブ部材
39E 外周側可動シーブ部材
41A−i 内周側制御油圧室(内周側挟圧制御手段)
41A−o 外周側制御油圧室(外周側挟圧制御手段)
46A 内周側ベルト
46B 外周側ベルト
5 トランスアクスルケース(変速機ケーシング)
X 内周側領域
Y 外周側領域
Claims (13)
- 固定シーブ及び可動シーブをそれぞれ備えた駆動側プーリと従動側プーリとの間にベルト手段が掛け渡され、駆動側プーリの回転力を、ベルト手段を介して従動側プーリに伝達可能な構成となっていると共に、上記可動シーブを固定シーブに向かって進退移動させることで各プーリの半径方向におけるベルト手段の巻き掛け位置を変更して変速比が変更可能とされたベルト式無段変速機おいて、
上記ベルト手段は、各プーリの内周側位置において各プーリに掛け渡された内周側ベルトと、この内周側ベルトよりも外周側位置において各プーリに掛け渡された外周側ベルトとを少なくとも備えており、上記可動シーブを固定シーブに向かって進退移動させることで各プーリの半径方向におけるベルトの巻き掛け位置が変更されて変速比が変更可能な構成とされていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項1記載のベルト式無段変速機において、
駆動側プーリ及び従動側プーリのうち少なくとも一方のプーリにおける可動シーブは、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側可動シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側可動シーブ部材とを備えており、
上記内周側可動シーブ部材と固定シーブとの間での内周側ベルトに対する挟圧を制御する内周側挟圧制御手段と、外周側可動シーブ部材と固定シーブとの間での外周側ベルトに対する挟圧を制御する外周側挟圧制御手段とを備え、各挟圧が互いに独立して制御可能な構成とされていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項1記載のベルト式無段変速機において、
各プーリの固定シーブは、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側固定シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側固定シーブ部材とを備えている一方、
各プーリの可動シーブは、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側可動シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側可動シーブ部材とを備えており、
上記内周側可動シーブ部材と内周側固定シーブ部材との間での内周側ベルトに対する挟圧を制御する内周側挟圧制御手段と、外周側可動シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間での外周側ベルトに対する挟圧を制御する外周側挟圧制御手段とを備え、各挟圧が互いに独立して制御可能な構成とされていると共に、
上記内周側固定シーブ部材と外周側固定シーブ部材とを繋脱可能とするクラッチ機構が備えられていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項3記載のベルト式無段変速機において、
内周側固定シーブ部材は変速機入力軸に回転一体であって、
クラッチ機構の離脱状態では、内周側可動シーブ部材と内周側固定シーブ部材との間で内周側ベルトを挟圧し、この内周側ベルトの走行によって駆動側プーリから従動側プーリへの動力伝達を行う一方、
クラッチ機構の連繋状態では、内周側可動シーブ部材と内周側固定シーブ部材との間で内周側ベルトを挟圧し、且つ外周側可動シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間で外周側ベルトを挟圧し、内周側ベルト及び外周側ベルトの両ベルトの走行によって駆動側プーリから従動側プーリへの動力伝達を行うよう構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項3記載のベルト式無段変速機において、
外周側固定シーブ部材は変速機入力軸に回転一体であって、
クラッチ機構の離脱状態では、外周側可動シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間で外周側ベルトを挟圧し、この外周側ベルトの走行によって駆動側プーリから従動側プーリへの動力伝達を行う一方、
クラッチ機構の連繋状態では、内周側可動シーブ部材と内周側固定シーブ部材との間で内周側ベルトを挟圧し、且つ外周側可動シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間で外周側ベルトを挟圧し、内周側ベルト及び外周側ベルトの両ベルトの走行によって駆動側プーリから従動側プーリへの動力伝達を行うよう構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項1記載のベルト式無段変速機において、
各プーリの固定シーブは、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側固定シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側固定シーブ部材とを備えている一方、
各プーリの可動シーブは、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側可動シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側可動シーブ部材とを備えており、
上記内周側可動シーブ部材と内周側固定シーブ部材との間での内周側ベルトに対する挟圧を制御する内周側挟圧制御手段と、外周側可動シーブ部材と外周側固定シーブ部材との間での外周側ベルトに対する挟圧を制御する外周側挟圧制御手段とを備え、各挟圧が互いに独立して制御可能な構成とされていると共に、
上記内周側固定シーブ部材と変速機入力軸とを繋脱可能とする内周側クラッチ機構及び外周側固定シーブ部材と変速機入力軸とを繋脱可能とする外周側クラッチ機構が備えられていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項1記載のベルト式無段変速機において、
固定シーブは、内周側ベルトが巻き掛けられる内周側領域と、外周側ベルトが巻き掛けられる外周側領域とを有しており、
上記外周側領域の表面形状は、外力が作用していない状態では、内周側領域の表面の延長線上の位置よりも可動シーブに近接する形状に形成されていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項1記載のベルト式無段変速機において、
可動シーブは、内周側ベルトが巻き掛けられる内周側領域と、外周側ベルトが巻き掛けられる外周側領域とを有しており、
上記外周側領域の表面は、内周側領域の表面よりも弾性係数が小さく設定されていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項1記載のベルト式無段変速機において、
外周側ベルトにおけるプーリとの接触面は、内周側ベルトにおけるプーリとの接触面よりも弾性係数が小さく設定されていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項1記載のベルト式無段変速機において、
変速機入力軸と駆動側プーリの固定シーブとの間には、遊星歯車機構で成り、且つ変速機入力軸の回転速度を減速して駆動側プーリに伝達可能とする減速機構が設けられていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項10記載のベルト式無段変速機において、
駆動側プーリの固定シーブは、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側固定シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側固定シーブ部材とを備えており、
上記内周側固定シーブ部材は、ピニオンギヤを回転自在に支持していると共に、変速機入力軸に回転一体に設けられたギヤが上記ピニオンギヤに噛み合っており、内周側固定シーブ部材と変速機入力軸との間にはこの両者を繋脱可能とする第1クラッチ機構が備えられている一方、
上記外周側固定シーブ部材と変速機ケーシングとの間にはこの両者を繋脱可能とする第2クラッチ機構が備えられていて、
上記第1クラッチ機構を離脱させると共に第2クラッチ機構を連繋させることで変速機入力軸の回転速度を減速して内周側固定シーブ部材に伝達可能な構成とされていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項1記載のベルト式無段変速機において、
変速機入力軸と駆動側プーリの固定シーブとの間には、遊星歯車機構で成り、且つ変速機入力軸の回転方向を正転させて駆動側プーリに伝達する状態と、逆転させて駆動側プーリに伝達する状態とを切り換え可能とする正逆転切り換え機構が設けられていることを特徴とするベルト式無段変速機。 - 上記請求項12記載のベルト式無段変速機において、
駆動側プーリの固定シーブは、内周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された内周側固定シーブ部材と、外周側ベルトが巻き掛けられる領域に配設された外周側固定シーブ部材とを備えており、
上記内周側固定シーブ部材は、ピニオンギヤを回転自在に支持していると共に、変速機入力軸に回転一体に設けられたギヤが上記ピニオンギヤに噛み合っており、内周側固定シーブ部材と変速機入力軸との間にはこの両者を繋脱可能とする第1クラッチ機構が備えられている一方、
上記外周側固定シーブ部材と変速機ケーシングとの間にはこの両者を繋脱可能とする第2クラッチ機構が備えられていて、
上記第1クラッチ機構を離脱させると共に第2クラッチ機構を連繋させることで変速機入力軸の回転方向を逆転して内周側固定シーブ部材に伝達可能な構成とされていることを特徴とするベルト式無段変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006306915A JP2008121801A (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | ベルト式無段変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006306915A JP2008121801A (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | ベルト式無段変速機 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008121801A true JP2008121801A (ja) | 2008-05-29 |
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Family Applications (1)
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JP2006306915A Pending JP2008121801A (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | ベルト式無段変速機 |
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-
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