JP2010196776A - 無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定シーブと反対側に設けられた壁部への可動シーブの接触を防止できる無段変速機を提供する。
【解決手段】無段変速機は、プライマリシャフト200に固定された固定シーブ260と、プライマリシャフト200の中心軸201方向に移動可能な可動シーブ270と、プーリ溝280に装着された金属ベルト400とを備える。無段変速機はまた、プライマリシャフト200に固定され、中心軸201方向において可動シーブ270に対し固定シーブ260と反対側に設けられた、筒部295および環状鍔部296を備える。可動シーブ270は、筒部295に対し摺動可能な摺動部277を有する。可動シーブ270が固定シーブ260から離れる側に移動するとき、摺動部277と環状鍔部296との間に、密閉され、内部に非圧縮性流体が充満された、流体室230が形成される。
【選択図】図4

Description

本発明は、無段変速機に関し、特に、変速プーリのプーリ幅を変化させて変速を行なう無段変速機に関する。
従来の一般的な無段変速機は、油圧により自在に溝幅を変化させることが可能な一対の変速プーリと、変速プーリに巻き掛けられた伝動ベルトとを備える。従来の無段変速機に関する技術は、たとえば特開2001−065652号公報(特許文献1)、特開昭62−093558号公報(特許文献2)、および特開2006−275147号公報(特許文献3)に開示されている。
特開2001−065652号公報 特開昭62−093558号公報 特開2006−275147号公報
従来の無段変速機は、回転シャフトに固定された固定シーブと回転シャフトの軸方向に移動可能な可動シーブとを含む変速プーリを備え、油圧室内の油圧の増減により可動シーブを軸方向に移動させて変速する。このような無段変速機においては、可動シーブが固定シーブから離れる側に移動したとき、油圧室の壁部を構成する部材への可動シーブの接触(底付き)が発生する場合がある。
可動シーブが上記壁部に接触した状態で、伝動ベルトの引張力(すなわち、伝動ベルトが一対の変速プーリ間で回転シャフトの径方向内側向きに引っ張られることにより、伝動ベルトが固定シーブおよび可動シーブを押圧する力)が可動シーブに作用することにより、変速プーリに局部的な過大曲げ荷重が発生する。その結果、疲労強度確保のために、高荷重に耐えうる剛性確保が必要になる。つまり、回転シャフトや、回転シャフトに螺着されるねじに関し、大径化、高強度材の使用などが必要になるため、無段変速機の高容量化、小型軽量化および高燃費の妨げとなる。
従来、油圧室内の油圧を制御することにより可動シーブと油圧室の壁部との接触を防止する技術は存在するが、一対の変速プーリの両方の油圧室内の油圧を制御する必要があり、油圧の高精度な制御が必要である。また、制御弁などの設備追加を必要とすることからコストが増大する問題があった。また、油圧をフィードバック制御するときに、油圧の制御設定値に対して実際の値が変動する、油圧振動が発生する問題があった。
また、無段変速機が車両に搭載される場合、車両の停止時には通常、減速比を最大とするように伝動ベルトが配置される。このとき、油圧室内の油により可動シーブが固定シーブに近接する側へ押圧され、伝動ベルトが減速比を小さくする側へ移動すると、車両の再発進時に駆動力不足や不安定挙動の発生を招来する問題があった。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、可動シーブに対し固定シーブと反対側に設けられた壁部への可動シーブの接触を防止できる、無段変速機を提供することである。
本発明に係る無段変速機は、回転可能に設けられた回転シャフトと、回転シャフトに固定された固定シーブと、回転シャフトの軸方向に移動可能であって回転シャフトとともに回転する可動シーブと、固定シーブおよび可動シーブの対向面によって形成されたV字形状のプーリ溝に装着されたベルトとを備える。無段変速機はまた、回転シャフトに固定され、軸方向において可動シーブに対し固定シーブと反対側に設けられた壁部を備える。可動シーブは、壁部に対し軸方向に摺動可能な摺動部を有する。可動シーブが軸方向に沿って固定シーブから離れる側に移動するとき、摺動部と壁部との間に流体室が形成される。上記流体室は、密閉され、内部に非圧縮性流体が充満されている。
上記無段変速機において、非圧縮性流体を流体室に供給する流体通路が形成されており、可動シーブが軸方向に沿って固定シーブから離れる側に移動したとき、流体通路が閉塞されて流体室の内部と外部とが非連通状態になることにより、流体室が密閉されてもよい。
上記無段変速機において、流体通路は、回転シャフトに形成されていてもよい。
上記無段変速機において、流体室は、回転シャフトを周方向に取り巻く環状に形成されていてもよい。
上記無段変速機において、可動シーブが軸方向において固定シーブから最も離れる位置にあるとき、ベルトが可動シーブを押圧する押圧力と、非圧縮性流体の圧力とが、可動シーブに対し作用することにより、可動シーブが位置決めされてもよい。
本発明の無段変速機によると、可動シーブに対し固定シーブと反対側に設けられた壁部へ可動シーブが接触することを防止することができる。
本実施の形態の無段変速機の構成を示す断面模式図である。 図1中の無段変速機の最減速比時の状態を示す模式図である。 図1中の無段変速機の最増速比時の状態を示す模式図である。 図1に示す領域IV付近を拡大してプライマリプーリの構成を示す断面模式図である。 無段変速機の最増速比時における可動シーブ周辺の状態を示す断面模式図である。 無段変速機の最減速比時における可動シーブ周辺の状態を示す断面模式図である。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
なお、以下に説明する実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下の実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、上記個数などは例示であり、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。
図1は、本実施の形態の無段変速機100の構成を示す断面模式図である。図1に示すベルト式の無段変速機100は、自動車などの車両に搭載される。無段変速機100は、変速機構部130を備える。
変速機構部130は、エンジンから回転力が入力される駆動側(入力側)のプライマリシャフト200と、回転力を出力する従動側(出力側)のセカンダリシャフト300と、プライマリシャフト200に設けられたプライマリプーリ250と、セカンダリシャフト300に設けられたセカンダリプーリ350とを含む。プライマリシャフト200とセカンダリシャフト300とは、互いに間隔を隔てて平行に配置されている。
無段変速機100は、ディファレンシャル部150を含む。ディファレンシャル部150は、変速機構部130と動力伝達可能に設けられている。ディファレンシャル部150は、リングギヤ153を含み、リングギヤ153は、ギヤ151,152を介在させてセカンダリシャフト300に連結されている。変速機構部130から動力伝達を受けたディファレンシャル部150は、車両旋回時の左右車輪の回転速度を変えながら、両輪に均等な駆動力を伝達する。
無段変速機100は、ケース体175を含む。ケース体175は、変速機構部130およびディファレンシャル部150を収容し、無段変速機100の外形をなす。ケース体175は、トランスアクスルハウジング171と、トランスアクスルケース170と、トランスアクスルリヤカバー172とを含む。トランスアクスルケース170に対してエンジン側にトランスアクスルハウジング171が配置され、その反対側にトランスアクスルリヤカバー172が配置されている。
ケース体175は、変速機構室135を形成する。変速機構室135には、変速機構部130が収容されている。変速機構室135は、トランスアクスルケース170およびトランスアクスルリヤカバー172により、形成されている。
プライマリプーリ250は、無段変速機100の入力側の回転シャフトであるプライマリシャフト200に設けられる、入力側の変速プーリである。プライマリプーリ250は、プライマリシャフト200とともに、仮想軸であるプライマリシャフト200の中心軸を中心に回転する。プライマリプーリ250は、固定シーブ260と、可動シーブ270と、可動シーブ270を駆動する油圧駆動部としての油圧アクチュエータ290とを備えている。
固定シーブ260は、プライマリシャフト200に固定されており、プライマリシャフト200に対して周方向および軸方向に移動しないように固定されている。固定シーブ260は、プライマリシャフト200の外周面から径方向外方側に向けて延びており、円板状に形成されている。
可動シーブ270は、固定シーブ260に対して、プライマリシャフト200の仮想の中心軸方向に間隔を隔てて、プライマリシャフト200に設けられている。可動シーブ270は、プライマリシャフト200に対して軸方向に移動可能に設けられている。可動シーブ270は、プライマリシャフト200に対して周方向に移動しないように設けられており、プライマリシャフト200とともに回転する。
固定シーブ260の動力伝達面265と、可動シーブ270の動力伝達面275とは、互いに対向する対向面として形成されている。動力伝達面265,275によって、金属ベルト400がはめ込まれるプーリ溝280が規定されている。金属ベルト400は、2つの動力伝達面265,275によって形成されたV字形状のプーリ溝280に装着されている。
セカンダリプーリ350は、無段変速機100の出力側の回転シャフトであるセカンダリシャフト300に設けられる、出力側の変速プーリである。セカンダリプーリ350は、セカンダリシャフト300とともに、仮想軸であるセカンダリシャフト300の中心軸を中心に回転する。セカンダリプーリ350は、固定シーブ360と、可動シーブ370と、可動シーブ370を固定シーブ360に対して進退可能に駆動する油圧駆動部としての油圧アクチュエータ390とを備えている。
固定シーブ360は、セカンダリシャフト300に一体成形されており、セカンダリシャフト300に対して周方向および軸方向に移動しないように固定されている。固定シーブ360は、セカンダリシャフト300の外周面から径方向外方側に向けて延びており、円板状に形成されている。
固定シーブ360の表面のうち、可動シーブ370と対向する部分は、金属ベルト400と接触する動力伝達面365とされている。動力伝達面365は、セカンダリシャフト300の径方向外方に向かうにしたがって、可動シーブ370から離れるように傾斜している。
可動シーブ370は、固定シーブ360に対して、セカンダリシャフト300の仮想の中心軸方向に間隔を隔てて、セカンダリシャフト300に設けられている。可動シーブ370は、セカンダリシャフト300に対して軸方向に移動可能に設けられている。可動シーブ370は、セカンダリシャフト300に対して周方向に移動しないように設けられており、セカンダリシャフト300とともに回転する。
可動シーブ370は、内部にセカンダリシャフト300が挿入される筒状の筒部と、この筒部のうち、固定シーブ360側の端部に連設された円板状の鍔部とを備えている。可動シーブ370の鍔部は、円環状に形成されている。
可動シーブ370の筒部は、円筒状に形成されており、セカンダリシャフト300の中心軸方向に向けて延びている。可動シーブ370は、セカンダリシャフト300の中心軸方向に移動可能に設けられている一方で、セカンダリシャフト300の周方向に回転できないようになっている。
可動シーブ370の鍔部の表面のうち、固定シーブ360と対向する部分は、金属ベルト400と接触する動力伝達面375とされている。動力伝達面375は、セカンダリシャフト300の径方向外方に向かうにしたがって、固定シーブ360から離れるように傾斜している。
固定シーブ360の動力伝達面365と、可動シーブ370の動力伝達面375とは、互いに対向する対向面として形成されている。動力伝達面365,375によって、金属ベルト400がはめ込まれるプーリ溝380が規定されている。金属ベルト400は、2つの動力伝達面365,375によって形成されたV字形状のプーリ溝380に装着されている。
この無段変速機100においては、金属ベルト400が、プライマリシャフト200に取付けられたプライマリプーリ250およびセカンダリシャフト300に取付けられたセカンダリプーリ350に、巻きかけられて使用される。金属ベルト400は、たとえば、可撓性を有する帯状のスチールリングと、スチールリングの長手方向に配列され、スチールリングに嵌め合わされる複数のエレメントとから構成されている。
金属ベルト400は、プライマリプーリ250の内周面であるプーリ溝280に面する動力伝達面265,275と、セカンダリプーリ350の内周面であるプーリ溝380に面する動力伝達面365,375とに摩擦接触する、動力伝達部材として機能する。これにより、金属ベルト400は、プライマリプーリ250と、セカンダリプーリ350との間で、動力を伝達する。
車両の走行状態に応じて油圧アクチュエータ290,390を制御して、溝幅を無段階に変えられるプーリ溝280,380の溝幅を変えることで、金属ベルト400のプライマリプーリ250およびセカンダリプーリ350に対する巻付け半径が変わる。これにより、変速機構部130は、プライマリシャフト200の回転数とセカンダリシャフト300の回転数との比率、すなわち変速比を無段階に(連続的に)変化させる。
図2は、図1中の無段変速機100の最減速比時の状態を示す模式図である。図3は、図1中の無段変速機100の最増速比時の状態を示す模式図である。ここで、最減速比時とは、駆動力源であるエンジンから入力された動力によって車両の動輪を回転させる通常制御状態において、プライマリシャフト200の回転数に対するセカンダリシャフト300の回転数の比が最も小さくなるときである。また最増速比時とは、上記通常制御状態において、プライマリシャフト200の回転数に対するセカンダリシャフト300の回転数の比が最も大きくなるときである。
図2および図3に示すように、油圧アクチュエータ290,390の作動に伴って、プーリ溝280および380の溝幅が可変制御される。これにより、プライマリプーリ250およびセカンダリプーリ350に対する金属ベルト400の巻き掛け半径(有効係り径)が大小に変化し、変速が実行される。つまり、プライマリプーリ250およびセカンダリプーリ350は、金属ベルト400のプーリへの有効係り径を変化させることが可能である、可変径プーリである。
図2に示すように、セカンダリプーリ350およびセカンダリシャフト300の単位時間内における回転数は、最減速比時において最も小さくなる。可動シーブ370は、最減速比時において、固定シーブ360に最も近接する。図3に示すように、セカンダリプーリ350およびセカンダリシャフト300の単位時間内における回転数は、最増速比時において最も大きくなる。可動シーブ270は、最増速比時において、固定シーブ260に最も近接する。
図4は、図1に示す領域IV付近を拡大してプライマリプーリ250の構成を示す断面模式図である。図4において、プライマリシャフト200の仮想の中心軸201より上側は、最減速比の時のプライマリプーリ250を示し、中心軸201より下側は、最増速比の時のプライマリプーリ250を示す。図1および図4に示すように、プライマリシャフト200の一方の端部202は、軸受210によって、トランスアクスルリヤカバー172に回転可能に支持されている。プライマリシャフト200の他方の端部203は、軸受211によって、トランスアクスルハウジング171に回転可能に支持されている。
プライマリシャフト200は、他方の端部203から一方の端部202に向けて延びる大径部204と、この大径部204より小径とされ、大径部204に対して端部202側に隣り合う中径部205と、この中径部205よりも小径に形成され、中径部205に対して端部202側に隣り合う小径部206とを備えている。大径部204と中径部205との境界位置には、段差部207が形成されており、中径部205と小径部206との境界位置には、段差部208が形成されている。
中径部205の外表面には、中心軸201方向に向けて延び、中径部205の周方向に間隔を隔てて形成された複数のスプライン(係合部)209が形成されている。プライマリシャフト200の端部202には、ナット240が螺着されている。端部202において、プライマリシャフト200の外周面には、ナット240が螺着可能なように、ねじ切り加工が施されている。プライマリシャフト200のうち、ナット240に対して端部203側に隣り合う部分に、軸受210が圧入されている。
固定シーブ260は、プライマリシャフト200のうち、軸受211に対して端部202側に隣り合う位置に形成されており、大径部204に一体成形されている。固定シーブ260は、プライマリシャフト200の外周面から径方向外方側に向けて延びており、円板状に形成されている。
固定シーブ260は、プライマリシャフト200の径方向外方側に向けて張り出す円板状の鍔部を含む。固定シーブ260の鍔部の表面のうち、可動シーブ270と対向する部分は、金属ベルト400と接触する動力伝達面265とされている。動力伝達面265は、プライマリシャフト200の径方向外方に向かうにしたがって、可動シーブ270から離れるように傾斜している。
可動シーブ270は、固定シーブ260に対して軸受211と反対側に、プライマリシャフト200の仮想の中心軸201方向に間隔を隔てて、プライマリシャフト200に設けられている。
可動シーブ270は、内部にプライマリシャフト200が挿入される筒状の筒部271と、この筒部271に形成され、プライマリシャフト200の径方向外方側に向けて張り出す円板状の鍔部272とを含む。可動シーブ270の鍔部のうち、固定シーブ260と対向する部分は、金属ベルト400と接触する動力伝達面275とされている。動力伝達面275は、プライマリシャフト200の径方向外方に向かうにしたがって、固定シーブ260から離れるように傾斜している。
鍔部272は、円環状に形成されており、固定シーブ260側の筒部271の端部に連設されている。鍔部272の内径は、筒部271の内径より大きくなるように形成されている。このため、鍔部272の内表面と、筒部271の内表面との境界部分には、段差部273が形成されている。
可動シーブ270の外周面のうち、鍔部272の筒部271側における外径は、筒部271の鍔部272側の端部の外径よりも大きくなっている。このため、可動シーブ270の外周面において、筒部271と、鍔部272との境界部分には、段差部274が形成されている。
可動シーブ270の表面のうち、動力伝達面275と反対側に位置する側面には、円筒状のシリンダ部276が形成されている。このシリンダ部276は、中心軸201方向に沿って延びており、端部202側に突出している。
大径部204と中径部205との境界位置に段差部207が形成され、鍔部272と筒部271との境界部分に段差部273が形成されていることにより、可動シーブ270の内表面がプライマリシャフト200の外周面に対し大径となる。そのため、可動シーブ270とプライマリシャフト200の外周面との隙間に空間224が形成されている。鍔部272の内表面とプライマリシャフト200の外周面との間には空間224が介在している。鍔部272の内表面は、プライマリシャフト200の外周面に対し、隙間を隔てて対向している。
空間224は、プライマリシャフト200を周方向に取り巻き、かつ中心軸201方向に沿うように延びる、円筒形状に形成されている。空間224の内側の壁部を構成するプライマリシャフト200の外周面は、径方向内側に窪んでいる。これにより、可動シーブ270と固定シーブ260とが最も近接するように可動シーブ270が中心軸201方向に移動した場合でも、確実に空間224が形成される構成とされている。
筒部271は、円筒状に形成されており、中心軸201方向に向けて延びている。筒部271の内表面には、スプライン209に対応するスプライン(係合部)が中心軸201方向に沿って形成されている。このため、可動シーブ270は、中心軸201方向に移動可能に設けられている一方で、プライマリシャフト200の周方向に回転できないようになっている。
筒部271の、固定シーブ260から離れる側の端部には、後述するハウジング部292の筒部295に対し中心軸201方向に摺動可能な摺動部277が連接されている。摺動部277の外径は、筒部271の外径よりも大きくなっている。摺動部277は、円環形状を有している。摺動部277は、端部202側の筒部271の端部の外周面が径方向外側に張り出した、フランジ形状に形成されている。
可動シーブ270の摺動部277の外周縁部は、シール部材279を介在させて、ハウジング部292の筒部295の内周側と近接対向している。摺動部277と筒部295との間には、シール部材279が介在している。シール部材279は、たとえばOリングのような、弾性変形して可動シーブ270とハウジング部292との隙間を密封できる環状のシール材である。プライマリプーリ250は、可動シーブ270とハウジング部292との間に介在するシール部材279を含む。
プライマリシャフト200の内部には、中心軸201方向に延びる流体通路220と、径方向に延びる流体通路221,223とが形成されている。流体通路221,223は、流体通路220の内壁面からプライマリシャフト200の外周面に至るように、中心軸201方向に間隔を隔てて形成されている。流体通路221は、流体通路220と、後述する流体室230とを連通する。また、可動シーブ270の内部に形成された流体通路222、可動シーブ270とプライマリシャフト200の外周面との隙間の空間224、および流体通路223を経由する経路によって、流体通路220と、後述する油圧アクチュエータ290の油圧室291とが連通されている。
油圧アクチュエータ290は、可動シーブ270に対して、固定シーブ260と反対側に設けられている。油圧アクチュエータ290は、可動シーブ270と協働して油圧室291を規定する、ハウジング部(油圧室規定部材)292を備える。油圧室291は、ハウジング部292および可動シーブ270によって囲まれている。
流体通路220から流体通路221,223を経由して、油に代表される非圧縮性流体が油圧室291内に供給され、油圧室291内の流体圧を上昇させる。油圧アクチュエータ290は、油圧室291内の流体圧を増減させて可動シーブ270をプライマリシャフト200の軸方向に移動させ、可動シーブ270を固定シーブ260に対して近接させたり、離隔させたりすることで、プーリ溝280の溝幅を変化させる。
ハウジング部292は、プライマリシャフト200の中心軸201方向に延在する、中空円筒形状のスリーブ部293を有する。スリーブ部293は、プライマリシャフト200と中心軸201を共有する、円筒形状に形成されている。スリーブ部293は、ハウジング部292の最もプライマリシャフト200から離れる位置に形成されている。スリーブ部293は、可動シーブ270のシリンダ部276に対して、プライマリシャフト200の径方向外側に形成されている。
ハウジング部292は、スリーブ部293の内周側において、シール部材299を介在させて可動シーブ270のシリンダ部276の外周側と近接対向している。可動シーブ270とハウジング部292との間には、シール部材299が介在している。シール部材299は、たとえばOリングのような、弾性変形して可動シーブ270とハウジング部292との隙間を密封できる環状のシール材である。プライマリプーリ250は、可動シーブ270とハウジング部292との間に介在するシール部材299を含む。
ハウジング部292はまた、可動シーブ270の摺動部277に対してプライマリシャフト200の径方向外側に形成された、中空円筒形状の筒部295を有する。筒部295は、中心軸201方向に延びるスリーブ形状に形成されている。筒部295は、プライマリシャフト200と中心軸201を共有する。筒部295の内周面は、滑らかな円柱面に形成されている。そのため、中心軸201方向に往復動する可動シーブ270の摺動部277が、筒部295の内周面に対し接触状態で摺り動くことが可能とされている。
筒部295には、中心軸201方向において可動シーブ270に対し固定シーブ260と反対側の端部に、筒部295の内側へ張り出す円環形状の環状鍔部296が設けられている。環状鍔部296は、ハウジング部292の端部202側の端部を形成する。環状鍔部296の内周縁部は、軸受210およびプライマリシャフト200の段差部208により挟持され係止されている。環状鍔部296において、ハウジング部292は、プライマリシャフト200に固定されている。
可動シーブ270の摺動部277と環状鍔部296との間には、流体室230が形成されている。流体室230は、プライマリシャフト200を周方向に取り巻く環状に形成されている。流体室230には、流体通路220,221を経て、油などの非圧縮性流体が供給される。筒部295および環状鍔部296は、中心軸201方向において可動シーブ270に対し固定シーブ260と反対側に設けられた、壁部を構成する。当該壁部は、流体室230の壁面の一部を形成している。
図4において中心軸201より上側に示すプライマリプーリ250が最減速比のとき、可動シーブ270によって流体通路221が閉塞されることにより、流体室230の内部と外部とが非連通状態となる。このとき流体室230の内部には、可動シーブ270の摺動部277、ハウジング部292の筒部295ならびに環状鍔部296、およびプライマリシャフト200の外周面によって囲まれた、密閉空間が形成されている。
セカンダリプーリ350において、可動シーブ370は、固定シーブ360に対してセカンダリシャフト300の仮想の中心軸方向に間隔を隔てて、セカンダリシャフト300に設けられている。可動シーブ370は、セカンダリシャフト300の径方向外方側に向けて張り出す円板状の鍔部372を含む。可動シーブ370の表面のうち、動力伝達面375と反対側に位置する側面には、円筒状のシリンダ部376が形成されている。このシリンダ部376は、セカンダリシャフト300の仮想の中心軸方向に沿って延びており、固定シーブ360と反対側に突出している。
油圧アクチュエータ390は、可動シーブ370に対して、固定シーブ360と反対側に位置している。油圧アクチュエータ390は、可動シーブ370と協働して油圧室を規定する、ハウジング部392を備える。また油圧アクチュエータ390は、ハウジング部392および可動シーブ370の鍔部372を互いに離隔するように付勢する、コイルバネなどの弾性部材を備えている。油圧アクチュエータ390の油圧室は、ハウジング部392および可動シーブ370によって囲まれている。
油圧アクチュエータ390は、上記油圧室内の油圧を増減させて可動シーブ370をセカンダリシャフト300の軸方向に移動させ、可動シーブ370を固定シーブ360に対して近接させたり、離隔させたりすることで、プーリ溝380の溝幅を変化させる。
ハウジング部392は、シール部材399を介在させて可動シーブ370のシリンダ部376と近接対向している。可動シーブ370とハウジング部392との間には、シール部材399が介在している。
以上の構成を備える無段変速機100において、可動シーブ270が中心軸201方向に往復移動したときの挙動について説明する。図5は、無段変速機100の最増速比時における可動シーブ270周辺の状態を示す断面模式図である。
図5中に矢印で示すDR1方向とは、中心軸201方向に沿う方向であって、プライマリシャフト200の端部202から端部203へ向かう(つまり、可動シーブ270側から固定シーブ260側へ向かう)方向である。DR2方向とは、DR1方向と反対向きの中心軸201方向に沿う方向であって、プライマリシャフト200の端部203から端部202へ向かう(つまり、固定シーブ260側から可動シーブ270側へ向かう)方向である。図5に示す最増速比時において、可動シーブ270はDR1方向へ移動して、中心軸201方向において固定シーブ260に最も近接し、環状鍔部296から最も離れる位置に配置されている。
最増速比時に、流体通路220と流体室230とは、流体通路221を介して連通されている。また流体通路220と油圧室291とは、流体通路223、空間224および流体通路222を介して連通されている。可動シーブ270の摺動部277に対し固定シーブ260側の油圧室291と、摺動部277に対し環状鍔部296側の流体室230とは、いずれも流体通路220と連通している。油圧室291内の流体の圧力が、流体室230内の流体の圧力と釣り合い、かつ、金属ベルト400の引張力と釣り合って、摺動部277は中心軸201方向に移動しない静止状態にある。
図6は、無段変速機100の最減速比時における可動シーブ270周辺の状態を示す断面模式図である。図6に示す最減速比時において、可動シーブ270は固定シーブ260から離れる側のDR2方向へ移動して、中心軸201方向において固定シーブ260から最も離れ環状鍔部296に最も近接する位置にある。
図5に示す最増速時の状態から、セカンダリプーリ350の油圧アクチュエータ390が可動シーブ370を固定シーブ360に近づける方向に移動させる。このとき、固定シーブ360および可動シーブ370によって金属ベルト400が押圧される。そのため、金属ベルト400がセカンダリシャフト300から離れるように移動し、セカンダリシャフト300周りの金属ベルト400の巻き掛け径が増加する。
このとき同時に、プライマリシャフト200周りの金属ベルト400の巻き掛け径が減少して、プライマリシャフト200に近づくように金属ベルト400が移動する。そのため、可動シーブ270に対して、金属ベルト400により動力伝達面275が押圧される押圧力が作用する。可動シーブ270に押圧力が作用するのとタイミングを合わせ、油圧室291内から油を流出させて、油圧室291内部の圧力を減少させる。これにより、可動シーブ270は、中心軸201方向に沿って固定シーブ260から離れる側に移動する。
可動シーブ270が環状鍔部296に近接する側へ移動し、環状鍔部296と対向する摺動部277の対向面が、プライマリシャフト200に形成された流体通路221の端部202側の内壁を越えると、プライマリシャフト200の外周面側の流体通路221の開口部が可動シーブ270の筒部271によって覆われる。一方の開口部が被覆されることにより流体通路221が閉塞され、流体室230の内部と外部とが非連通状態となり、流体室230が密閉される。
可動シーブ270は、スプライン209によって、プライマリシャフト200に対し中心軸201方向に往復動可能かつ一体回転可能に嵌合されている。このスプライン209は、筒部271の内表面において、鍔部272側に形成されている。つまり、筒部271の摺動部277側の内表面は、スプライン209が形成されていない滑らかな円柱面に形成されている。摺動部277側の可動シーブ270の内表面とプライマリシャフト200の外周面との間には、微小な隙間が形成される。この隙間は、当該隙間を経由して流体室230から流体通路221へ非圧縮性流体が漏洩するのを抑制でき、流体室230の密閉性を十分確保できる程度に微小な寸法に形成されている。
流体室230が密閉された状態で、可動シーブ270が環状鍔部296に更に近接する側に移動すると、流体室230の容積が減少する。流体室230内の容積減少に伴い、流体室230の内部に充満されている非圧縮性流体の圧力が上昇する。摺動部277と環状鍔部296との間に形成される密閉空間の流体室230と、流体室230の内部に充満された非圧縮性流体とは、DR2方向への可動シーブ270の移動を制限する、オイルダンパの機能を有している。
可動シーブ270の摺動部277は、ハウジング部292の筒部295および環状鍔部296により形成されるシリンダ部の内部に嵌入する、ピストン部として機能している。ピストン部としての摺動部277は、シリンダ部の内部に充満されている非圧縮性流体の圧力によって、シリンダ部の底部(すなわち環状鍔部296)に対して浮いているフローティング状態で保持される。
このようにすれば、図6に示す可動シーブ270が軸方向において固定シーブ260から最も離れる位置にあるとき、可動シーブ270の摺動部277とハウジング部292の環状鍔部296とは、流体室230内の上昇した圧力によって緩衝されることにより、非接触の状態に保たれる。
金属ベルト400の引張力が可動シーブ270に伝達されるとき、ハウジング部292が可動シーブ270と接触していると、可動シーブ270とハウジング部292との接触部分に局部的な大荷重が作用し、ハウジング部292は可動シーブ270から分布荷重を受ける。つまり、プライマリプーリ250の動力伝達面265,275に金属ベルト400が接触する一部分(具体的には、プライマリプーリ250のセカンダリシャフト300から離れる側であって、図4に示す図上側)において、金属ベルト400の引張力が可動シーブ270を経由してハウジング部292に伝達される。一方、プライマリプーリ250のセカンダリシャフト300に近接する側(図4に示す図下側)では、動力伝達面265,275に金属ベルト400が接触しないので、ハウジング部292に伝達される荷重は相対的に小さくなる。
ハウジング部292が上記のような分布荷重を受けると、ハウジング部292が固定されているプライマリシャフト200に、曲げモーメントが発生する。この曲げモーメントが、プライマリプーリ250を曲げるように作用し、図4に示す無段変速機100の配置において、プライマリシャフト200の端部202を図下側方向へ移動させる。曲げモーメントが過大になると、ナット240が螺着されている小径部206に応力集中が発生する。そのため、プライマリプーリ250の疲労強度確保が必要とされていた。
これに対し、本実施の形態のプライマリプーリ250では、摺動部277と環状鍔部296とは非接触の状態にあり、摺動部277と環状鍔部296との間の流体室230には非圧縮性流体が充満されている。上述したように、可動シーブ270の筒部271の内部にプライマリシャフト200が挿入されており、流体室230は、プライマリシャフト200の周囲全体を囲う環状に形成されている。そのため、金属ベルト400の引張力が可動シーブ270へ伝達された場合、流体室230内の非圧縮性流体の圧力は、プライマリシャフト200の周囲に設けられたハウジング部292に対し均等に作用する。
したがって、本実施の形態の無段変速機100では、可動シーブ270を介してハウジング部292へ伝達される金属ベルト400の引張力が、ハウジング部292の全体で分担されており、ハウジング部292が分布荷重を受けることが抑制される。また、非圧縮性流体の圧力が可動シーブ270をプライマリシャフト200の周方向全体に作用するために、プライマリプーリ250の傾きの発生が抑制される。そのため、プライマリシャフト200に作用する曲げモーメントが緩和されている。
その結果、プライマリシャフト200の疲労強度を向上させることができるので、プライマリシャフト200に一層大きなトルクを負荷させることができ、プライマリシャフト200の高容量化が可能となる。または、プライマリシャフト200の小径化および軽量化、もしくは安価な低強度材料によりプライマリシャフト200を形成することにより、プライマリプーリ250のコスト低減を達成することができる。
流体室230は、可動シーブ270が中心軸201方向に沿って固定シーブ260から離れる側に移動したときに流体通路221が閉塞されることにより、密閉されるように形成されている。そのため、摺動部277が環状鍔部296に接近するように可動シーブ270が移動した場合にのみ、流体室230内の非圧縮性流体の圧力が可動シーブ270に作用する。
流体通路221が形成されておらず、流体室230が常時密閉された空間として形成されていると、可動シーブ270が環状鍔部296から離れ固定シーブ260に近付く側へ移動しようとしたときに、流体室230内の流体圧により可動シーブ270を環状鍔部296側へ引っ張る力が作用し、可動シーブ270の移動に対する抵抗が発生する。本実施の形態のように、流体通路221の開閉により流体室230内部を密閉空間とする構成とすれば、可動シーブ270が環状鍔部296に接近したときにのみ流体室230内の圧力を可動シーブ270に作用させることができるので、可動シーブ270が環状鍔部296から離れるときに流体室230内の圧力が可動シーブ270の移動の妨げとなることを回避することができる。
図6に示す、可動シーブ270が軸方向において固定シーブ260から最も離れる位置にある状態において、油圧室291の内部の圧力が低下すると、流体室230内部の圧力によって摺動部277が押圧され、可動シーブ270が固定シーブ260側へ移動しようとする。可動シーブ270が固定シーブ260側へ移動すると、プライマリプーリ250に巻き掛けられた金属ベルト400がプライマリシャフト200の径方向外側へ移動し、車両の再発進時に駆動力不足や挙動不安定が発生する。
しかしながら、流体通路221が形成されていると、可動シーブ270の移動に伴い流体室230と流体通路221とが連通して、流体室230内の流体が流体通路221へ排出されるので、流体室230は減圧される。可動シーブ270を押圧していた流体室230内部の圧力が低下するので、可動シーブ270はそれ以上移動しない。したがって、金属ベルト400の移動量を制限して、車両の再発進時の不具合の発生を抑制することができる。
また、流体室230に非圧縮性流体を供給する流体通路220,221は、プライマリシャフト200の内部が穿設されて形成されている。このようにすれば、流体室230に流体を供給するために他の部材を設ける必要はなく、部材数増加によるコスト増大を回避することができ、かつ省スペース化できるので無段変速機100を小型化することができる。
また、流体室230をプライマリシャフト200を周方向に取り巻く環状に形成することにより、環状の流体室230内に充満された非圧縮性流体の圧力がプライマリシャフト200周りのハウジング部292に対し均等に作用するために、ハウジング部292が分布荷重を受けることを確実に抑制することができる。
可動シーブ270のハウジング部292への衝突を緩和するためには、たとえばバネやゴムなどに代表される弾性体を摺動部277と環状鍔部296との間に配置してダンパ機構を設けることも考えられる。しかし、弾性体を用いたダンパ機構では、金属ベルト400の引張力が弾性体の一箇所に集中するために、弾性体の早期の磨耗や破損を招来する。かつ、ハウジング部292への分布荷重の作用を回避することはできない。
本実施の形態のように、可動シーブ270とハウジング部292との間にオイルダンパを設ける構成とすれば、パスカルの原理により、流体室230内の非圧縮性流体の圧力をプライマリシャフト200周りのハウジング部292全体に対し均等に作用させ、ハウジング部292への分布荷重の作用を確実に抑制することができる。
また、図6に示す、可動シーブ270が軸方向において固定シーブ260から最も離れる位置にあるとき、可動シーブ270に対し、金属ベルト400が可動シーブ270を押圧する押圧力がDR2方向に作用する。また、可動シーブ270に対し、流体室230内に閉じ込められた非圧縮性流体の圧力が、DR1方向に作用する。
金属ベルト400の押圧力と流体室230内の非圧縮性流体の圧力とが、可動シーブ270に対し反対方向に作用し、可動シーブ270に作用する中心軸201方向の力成分が釣り合うことにより、可動シーブ270が位置決めされる。可動シーブ270は、流体室230内部の非圧縮性流体の圧力によりDR1方向に押圧され、可動シーブ270と環状鍔部296とは非接触の状態で位置決めされる。
このようにすれば、可動シーブ270が環状鍔部296に最接近するときの可動シーブ270の位置決めのために、油圧室291内の油圧を制御する必要はない。金属ベルト400が環状鍔部296側へ可動シーブ270を押圧する力と、流体室230内部の圧力との作用によって、可動シーブ270が適切に位置決めされるように、流体室230の容積を設定することができる。この構造上の規定によって、可動シーブ270を固定シーブ260側から環状鍔部296側へ押圧するだけで、可動シーブ270の中心軸201方向における位置を決定することができ、簡単な構成で可動シーブ270の位置決めを容易に行なうことができる。
なお、これまでの説明においては、無段変速機100のプライマリシャフト200に設けられたプライマリプーリ250の可動シーブ270とハウジング部292との間に流体室230が形成される例について説明した。本発明の無段変速機は上記の構成に限られるものではなく、セカンダリシャフト300に設けられたセカンダリプーリ350に流体室230が設けられてもよい。
また、ハウジング部292の壁部(すなわち筒部295および環状鍔部296)、摺動部277、およびプライマリシャフト200によって、流体室230が規定される例について説明した。本発明の流体室230は、この構成に限られない。可動シーブ270が固定シーブ260から離れるように移動するとき、内部に非圧縮性流体が充満されて可動シーブ270とハウジング部292とを非接触状態に保つことができれば、任意の部材によって流体室230を形成することが可能である。
また、プライマリプーリ250の可動シーブ270を移動させる油圧アクチュエータ290が設けられ、油圧室291内に非圧縮性流体が供給される構成について説明したが、流体室230内部に非圧縮性流体を供給可能であれば、油圧室291を形成しなくてもよい。つまり、セカンダリプーリ350側の油圧アクチュエータ390の油圧制御によって可動シーブ270を移動させる構成であってもよい。その場合、可動シーブ270の動力伝達面275と反対側の面に、可動シーブ270を固定シーブ260に近接するように付勢するリターンスプリングとして機能し得る、コイルバネなどの弾性部材を備えてもよい。
また、摺動部277の内表面とプライマリシャフト200の外周面との間に微小な隙間が形成される例について説明したが、流体室230が密閉されるとき摺動部277の内表面とプライマリシャフト200の外周面との間に、Oリングに代表されるシール部材が介在して設けられてもよい。このようにすれば、流体室230の密封性をより向上させることができる。シール部材は摺動部277とプライマリシャフト200とのいずれかに取り付けられていればよいが、プライマリシャフト200の外周面にシール部材を取り付ける構成とすれば、自己張力作用によってプライマリシャフト200にシール部材を密着させることができるので好ましい。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 無段変速機、200 プライマリシャフト、201 中心軸、202,203 端部、209 スプライン、220〜223 流体通路、224 空間、230 流体室、240 ナット、250 プライマリプーリ、260,360 固定シーブ、265,275 動力伝達面、270,370 可動シーブ、271 筒部、272 鍔部、276 シリンダ部、277 摺動部、279 シール部材、280,380 プーリ溝、290,390 油圧アクチュエータ、291 油圧室、292 ハウジング部、293 スリーブ部、295 筒部、296 環状鍔部、299 シール部材、300 セカンダリシャフト、350 セカンダリプーリ、400 金属ベルト。

Claims (5)

  1. 回転可能に設けられた回転シャフトと、
    前記回転シャフトに固定された固定シーブと、
    前記回転シャフトの軸方向に移動可能であって前記回転シャフトとともに回転する可動シーブと、
    前記固定シーブおよび前記可動シーブの対向面によって形成されたV字形状のプーリ溝に装着されたベルトと、
    前記回転シャフトに固定され、前記軸方向において前記可動シーブに対し前記固定シーブと反対側に設けられた壁部とを備え、
    前記可動シーブは、前記壁部に対し前記軸方向に摺動可能な摺動部を有し、
    前記可動シーブが前記軸方向に沿って前記固定シーブから離れる側に移動するとき、前記摺動部と前記壁部との間に、密閉され、内部に非圧縮性流体が充満された流体室が形成される、無段変速機。
  2. 前記非圧縮性流体を前記流体室に供給する流体通路が形成されており、
    前記可動シーブが前記軸方向に沿って前記固定シーブから離れる側に移動したとき、前記流体通路が閉塞されて前記流体室の内部と外部とが非連通状態になることにより、前記流体室が密閉される、請求項1に記載の無段変速機。
  3. 前記流体通路は、前記回転シャフトに形成されている、請求項2に記載の無段変速機。
  4. 前記流体室は、前記回転シャフトを周方向に取り巻く環状に形成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の無段変速機。
  5. 前記可動シーブが前記軸方向において前記固定シーブから最も離れる位置にあるとき、前記ベルトが前記可動シーブを押圧する押圧力と、前記非圧縮性流体の圧力とが、前記可動シーブに対し作用することにより、前記可動シーブが位置決めされる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の無段変速機。
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