JP2018071746A - 車両用無段変速機 - Google Patents

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和夫 江幡
秀明 高原
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秀明 高原
河野 哲也
Tetsuya Kono
哲也 河野
秀行 東
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秀行 東
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Abstract

【課題】車両用ベルト式無段変速機において、可変プーリの油圧室のシール性を改善した場合、シール部の摺動抵抗が上昇し燃費性能が低下する場合があった。このため、シール部の摺動抵抗を減少すると共に、油圧室内のシール性が改善できる構造を提供する。【解決手段】可動シーブ74の通常のシール部であるシール溝94に摺動抵抗の小さいシールリング100を用いると共に、これとは別に油圧室84内に、可動シーブ74の背面部74dと接触することでシール性を確保できるボンデットシール100を形成することによって、シールリング100を用いることによって摺動抵抗を減少すると共に、油圧室内のシール性が改善される。【選択図】図6

Description

本発明は、車両用無段変速機に係り、可動シーブの移動を可能とする可動シーブの背面に形成される油圧室のシールに関するものである。
車両の変速機において、入力軸と出力軸とにそれぞれ設けられた可動シーブと固定シーブとが対向して配置される一対の可変プーリと、その一対の可変プーリに巻き掛けられた伝動ベルトと、前記可動シーブの背面と入力軸および出力軸に固定されたシリンダ部材とによって油圧室を形成するアクチュエータとを備える車両用無段変速機が良く知られている。特許文献1の車両用無段変速機においては、前記可動シーブの外周端面に形成した環状のシール溝内に、断面が円形のOリングを内周側に設置するとともに、さらに断面が矩形のシールリングを外周側に設置する、いわゆる組合わせシールを用いることによって前記可動シーブの背面とシリンダ部材によって形成される前記油圧室のシール性能が確保されている。例えば車両が停止している非走行時には無段変速機の入力軸は車両の駆動源およびトルクコンバータと非連結とされ、無段変速機の出力軸は車軸と連結されている車両用無段変速機において、車両の被牽引時において、車両の駆動源は停止されていることによってトルクコンバータのタービン軸の回転は停止し、さらに油圧を供給するオイルポンプも停止している。このため、前記車両の牽引によって前記プライマリプーリの入力軸には回転が発生し、停止しているタービン軸との回転速度の差が大きい場合、前記タービン軸周りの部品の焼きつきが発生する虞が生じる。特許文献1の車両用無段変速機においては、前記可動シーブの外周端面に形成した環状の溝に、内周側に断面が円形のOリングを設置するとともに、さらにその外周側に断面が矩形のシールリングを設置する、いわゆる組み合わせシールを用いることによって良好な前記油圧室のシール性能が確保されている。このため前記車両の牽引時においては、牽引によって回転することによって前記プライマリプーリの前記油圧室内の作動油に遠心油圧が確実に発生させられるので、前記車両の被牽引時に、前記プライマリプーリの回転が最小変速比側に変化され、タービン軸周りの部品の焼付きが抑制される。
特開2012−036962号公報
ところで、特許文献1に示されるような車両用無段変速機では、外周側に断面が矩形のシールリングを使用し、さらに内周側に断面が円形のOリングを用いる、いわゆる組み合わせシールが可動プーリのシール溝に用いられるので、シール性は良好ではある。しかし、断面が矩形のシールリングを単独で使用した場合と比較してシールリングとOリングとの2本のリングを用い、またシール性を改善するためシールリングの装着時により大きい引張り力を要することによって組み付けが難しくなり、生産効率が低下する虞が生じている。また、シール性を保つために前記組み合わせシールをシリンダ部材へ押し当てる接触圧を加えており、これによって、変速時すなわち前記可動シーブの移動時に摺動抵抗が大きくなり、オイルポンプへの負荷が増加することによって、燃費性能の低下が発生し易くなっていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、組み付けが容易であることによって生産効率が改善し、変速時すなわち前記可動シーブの移動時に発生する摺動抵抗が減少するとともに、前記可動シーブの背面とシリンダ部材によって形成される前記油圧室のシール性を良好に保つことが可能である車両用無段変速機の構造を提供することにある。
第1の発明の要旨とするところは、(a)可動シーブと固定シーブとが対向して配置され入力軸と出力軸とにそれぞれ連結して設けられた一対の可変プーリと、前記一対の可変プーリに巻き掛けられた伝動ベルトと、前記可動シーブの背面と前記可動シーブの背面と前記入力軸および前記出力軸に固定されたシリンダ部材とによって油圧室を形成するアクチュエータと、を備え、前記油圧室に油圧を給排することで前記可動シーブを移動させ、前記可動シーブと前記固定シーブとの間隔を変更可能な車両用無段変速機であって、(b)前記可動シーブに形成した環状のシール溝に環状のシールリングを配置することで、前記可動シーブと前記シリンダ部材とのシールを形成するとともに、前記油圧室への油圧が供給されていないときに前記油圧室のシールを形成する前記シールリングとは別のシール部材を前記油圧室内に設けることを特徴とする。
このようにすれば、シールリングの組み付け時に、組み合わせリングにおいて環状のシール溝に断面が矩形のシールリングとOリングとの2本のリングを設置するのに比較して、1本のシールリングを設置することとなり、組みつけが容易となる。さらに、組み合わせリングにおいてはシール性が要求されるため装着時に引張り力を加える必要があるが、本発明のシールリングにおいてはシール性への要求が組み合わせリングより低く、より小さい引っ張り力で装着することができるため、さらに組み付けが容易となる。また、変速時すなわち前記可動シーブの移動時にシール部材によって生じる摺動抵抗を低減することが可能となり、燃費性能の改善が行われる。また、車両の停止時においても前記プライマリプーリの前記油圧室が油密に保たれる。これにより、車両の被牽引時において前記プライマリプーリの回転にともなって前記油圧室内の作動油に遠心油圧が発生し、前記プライマリプーリの変速比が最小変速比側に設定されることによって、前記入力軸の回転速度が低減され、前記入力軸周りの部品の焼きつきの発生が効果的に抑制されるという効果も生じる。
本発明が好適に適用された車両用動力伝達装置の骨子図である。 図1の無段変速機のプライマリプーリの可動シーブ、固定シーブおよびその周辺部品の構造を説明する断面図である。 図1の無段変速機のセカンダリプーリの可動シーブ、固定シーブ、スプリングおよびその周辺部品の構造を説明する断面図である。 従来構造のシール部に組み合わせシールを用いた一例を示す断面図である。 図4のシール部を拡大して示した断面図である。 図4のシール部に環状のオイルシールを配置するとともに、油圧室内に他のシール部材を設ける一例を示した断面図である。 図6と同様に、図4のシール部に環状のオイルシールを配置するとともに、油圧室内に他のシール部材を設ける他の一例を示した断面図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用された一例である車両用動力伝達装置10の骨子図である。図1において、車両用動力伝達装置10は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両用のものであり、車両用の駆動源として良く知られたエンジン12に連結されている。この車両用動力伝達装置10は、流体を媒体としてエンジン12のトルクを伝達する流体伝動装置として良く知られたトルクコンバータ14と、そのトルクコンバータ14から伝達されたトルクの回転方向を、車両前進用の回転方向とその反対向きである車両後進用の逆回転方向との間で切り換える前後進切換装置16と、その前後進切換装置16を介して伝達されたトルクを負荷に応じたトルクに変換する、本発明の車両用無段変速機に対応する車両用ベルト式無段変速機(以下、無段変速機と記載する)18と、その無段変速機18の出力側に連結された減速歯車装置20と、その減速歯車装置20を介して伝達されたトルクを、左右一対の車輪22に対してそれらの回転差を許容しつつ伝達する良く知られた所謂傘歯車式の差動歯車装置24とを備えている。上記トルクコンバータ14のポンプ翼車26には、例えば無段変速機18の変速制御や前後進切換装置16の前後進切換制御に用いられる油圧等を発生させる機械式のオイルポンプ28が設けられている。
上記前後進切換装置16は、トルクコンバータ14のタービン軸30に連結されたサンギヤ32と、無段変速機18の入力軸56に連結され且つタービン軸30に対して前進用クラッチCを介して選択的に連結されるキャリヤ34と、非回転部材としてのトランスアクスルケース36に対して後進用ブレーキBを介して選択的に連結されるリングギヤ38とを、含むダブルピニオン型の遊星歯車装置を主体として構成されている。上記前進用クラッチCおよび後進用ブレーキBは、何れもオイルポンプ28から油圧が供給されることによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。このような前後進切換装置16では、前進用クラッチCが係合されると共に後進用ブレーキBが解放されることにより、前記遊星歯車装置が一体回転状態とされて前進用動力伝達経路が成立するようになっている。上記前進用動力伝達経路が成立した場合には、トルクコンバータ14から伝達されたトルクがそのままの回転方向で無段変速機18に出力される。また、前後進切換装置16では、後進用ブレーキBが係合させられると共に前進用クラッチCが解放されることにより、前記遊星歯車装置が入出力逆回転状態とされて後進用動力伝達経路が成立するようになっている。上記後進用動力伝達経路が成立した場合には、トルクコンバータ14から伝達されたトルクが、その回転方向が逆回転にされて無段変速機18に出力される。また、前後進切換装置16は、例えばエンジン12が停止された非走行の場合においては、前進用クラッチCおよび後進用ブレーキBが共に解放されることにより、動力伝達を遮断するニュートラル状態(遮断状態)とされる。
前記減速歯車装置20は、無段変速機18の出力軸40の外周面に相対回転不能に嵌合された第1ドライブギヤ42と、出力軸40と平行に設けられ且つ回転可能に支持された伝達軸44と、その伝達軸44の外周面に相対回転不能に嵌合されて第1ドライブギヤ42に噛み合わされた第1ドリブンギヤ46と、伝達軸44の外周面から外周側へ突設された第2ドライブギヤ48と、伝達軸44と平行に設けられ且つ回転可能に支持された差動歯車装置24のデフケース50の外周面に相対回転不能に嵌合されて、第2ドライブギヤ48に噛み合わされた第2ドリブンギヤ(デフリングギヤ)52とを、備えている。上記第1ドライブギヤ42および第2ドライブギヤ48は、上記第1ドリブンギヤ46および第2ドリブンギヤ52よりも小径に形成されている。このような減速歯車装置20では、車両の加速時には、無段変速機18の出力軸40から第1ドライブギヤ42に伝達されたトルクが、第1ドリブンギヤ46、伝達軸44、第2ドライブギヤ48、および第2ドリブンギヤ52をそれぞれ介して差動歯車装置24のデフケース50に出力される。また、減速歯車装置20では、車両の減速時には、差動歯車装置24のデフケース50から、第2ドリブンギヤ52、第2ドライブギヤ48、伝達軸44、および第1ドリブンギヤ46をそれぞれ介して第1ドライブギヤ42に伝達されたトルクが、無段変速機18の出力軸40に出力される。
無段変速機18は、入力軸56の外周側に設けられたプライマリプーリ58と、出力軸40に設けられたセカンダリプーリ62と、それらのプーリの間に巻き掛けられた伝動ベルト66とを備え、各プーリ58、62と伝動ベルト66との間の摩擦力(ベルト挟圧力)を介して動力伝達が行われる。プライマリプーリ58では、プライマリプーリ58へ供給する油圧が図示されていない油圧制御回路によって調圧制御されることにより、プライマリ側固定シーブ72、プライマリ側可動シーブ74間のV溝幅を変更するプライマリ推力Win(=プライマリ圧Pin×受圧面積)が付与される。又、セカンダリプーリ62においても、同様の制御が行われ、セカンダリ推力Wout(=セカンダリ圧Pout×受圧面積)が付与される。無段変速機24では、プライマリ推力Win(プライマリ圧Pin)及びセカンダリ推力Wout(セカンダリ圧Pout)が各々制御されることで、プライマリプーリ58、セカンダリプーリ62のV溝幅が変化して伝動ベルト66の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=プライマリシーブ回転速度Npri/セカンダリシーブ回転速度Nsec)が変化させられると共に、伝動ベルト66が滑りを生じないように各プーリ58、62と伝動ベルト66との間の摩擦力が制御される。
図2は、無段変速機18のプライマリプーリ58の断面図である。プライマリプーリ58は、軸受54を介してトランスアクスルケース36に回転可能に支持されている入力軸56に一体成形されている円板状の固定シーブ72と、その固定シーブ72との間にV字形状のV溝64を形成するように、入力軸56に相対回転不能且つ軸方向の相対移動可能であるプライマリ側可動シーブ74と、供給される油圧に応じてプライマリ側可動シーブ74を軸方向に移動させて、固定シーブ72とプライマリ側可動シーブ74とを軸方向に接近または離間させることにより、V溝64の溝幅を変化させる油圧アクチュエータ76とを備えている。入力軸56は、その外周両端がトランスアクスルケース36に嵌め着けられている軸受け54によって第1軸心RC1周りに回転可能に支持されている。プライマリ側可動シーブ74の内径には側面がインボリュート曲線をもつ溝が形成され、プライマリ側可動シーブ74に形成された溝と入力軸56の外径に形成された溝とでインボリュートスプライン嵌合(以降、スプライン嵌合とする)することで、プライマリ側可動シーブ74と入力軸56が相対回転不能かつ相対移動可能とされている。
プライマリプーリ58のプライマリ側固定シーブ72は、入力軸56の外周面から径方向に突き出す円盤状の部材である。このプライマリ側固定シーブ72には、径方向に向かうに従ってプライマリ側可動シーブ74から離間する方向に形成される円錐状のテーパ面78が形成されている。プライマリプーリ58のプライマリ側可動シーブ74は、内周部が入力軸56に対して軸方向の相対移動可能且つ第1軸心RC1まわりの相対回転不能にスプライン嵌合されているボス部74aと、そのボス部74aの軸方向においてプライマリ側固定シーブ72側の端部から径方向に突き出す円板部74bと、その円板部74bの外周部から軸方向においてプライマリ側固定シーブ72から遠ざかる方向に第1軸心RC1と並行に伸びる外周筒部74cと、から構成されている。円板部74bには、径方向に向かうに従ってプライマリ側固定シーブ72から離間する方向に形成される円錐状のテーパ面80とその背面側に背面部74dとが形成されている。このプライマリ側可動シーブ74に形成されるテーパ面80と、プライマリ側固定シーブ72に形成されるテーパ面78によって、V溝64が形成される。
油圧アクチュエータ76は、プライマリ側可動シーブ74のテーパ面80とは反対側の背面側位置に配設されている入力軸56に固定された有底円筒状のシリンダ部材82を備えている。シリンダ部材82は、円盤状のシート70を介して入力軸56の段差部とナット68との間にナット68が締結されることで軸方向への移動不能に固定されている。入力軸56のプライマリ側固定シーブ72とは反対側の軸方向に形成された段付き端面と軸受54との間に内周部が固定された壁部82aと、その壁部82aの外周部からプライマリ側可動シーブ74の外側筒部74cの外周側に周方向に連続して突設され、プライマリ側可動シーブ74の外側筒部74cの外周面に対してシール部材を介して接触する筒部82bとを、有している。このシリンダ部材82とプライマリ側可動シーブ74の背面部74dと入力軸56とによって油密に囲まれる空間である、油圧室84が形成されている。この油圧室84にはトランクアクセルケース36に形成された第1油路86と、入力軸56の内周側に形成されて第1油路86に連通された第2油路88と、その第2油路88から入力軸56を径方向に貫通して形成された第3油路90とをそれぞれ通じて、前記オイルポンプ28から圧送された油圧が図示しない油圧制御回路により適宜調圧されて供給されるようになっている。
このようなプライマリプーリ58では、油圧室84に供給される油圧に応じてプライマリ側可動シーブ74が軸心RC1方向においてプライマリ側固定シーブ72に接近または離間して、V溝64の幅が変化させられるようになっている。図2において、軸心RC1の上側に実線で示すプライマリ側可動シーブ74は、プライマリ側固定シーブ72との間に形成されるV溝64が最大幅とされた状態を示している。この状態においては、伝動ベルト66の巻掛径が最小であり、変速比γは、最大変速比γmaxとなる。また、軸心RC1の下側に実線で示すプライマリ側可動シーブ74は、プライマリ側固定シーブ72との間に形成されるV溝64が最小幅とされた状態を示している。この状態においては、伝動ベルト66の巻掛径が最大であり、変速比γは、最小変速比γminとなる。
図3は、セカンダリプーリ62の断面図である。セカンダリプーリ62は、プライマリプーリ58と同様にセカンダリ側可動シーブ75、セカンダリ側固定シーブ73、セカンダリ側アクチュエータ77から構成されている。セカンダリプーリ62には、セカンダリ側可動シーブ75をセカンダリ側固定シーブ73側に押す力を与えるスプリング69が備えられており、スプリング69によってエンジン12の停止中において変速比γが最大変速比γmaxに設定されると共に、伝動ベルト66がスリップしない最低限の伝動ベルト66への挟圧力が与えられている。
図4は、特許文献1における、プライマリプーリ58のシール部を詳しく示している。特許文献1の無段変速機18においては、プライマリ側可動シーブ74の外側筒部74cの外周端面に環状に形成されているシール溝92内に、組み合わせリング94を設置することによって、組み合わせリング94とシリンダ部材82の筒部82bの内周面とのシールすなわち油圧室84が油密に保たれている。図5は、図4においてAで示された、上記のシーブ部分の拡大図である。外側筒部74cに形成されたシール溝92の内周側にOリング98が設置されると共に、外周側に断面が矩形のシールリング96が設置された、組み合わせリング94となっている。
組み合わせリング94は、プライマリ側油圧アクチュエータ76の油圧室84におけるシール性能を確保することを主な目的として用いられている。例えば車両の停止中、すなわち非走行時においてエンジン12は停止されており油圧を供給するオイルポンプ28も停止され、エンジン12が連結されているタービン軸30と無段変速機18の入力軸56とは非連結とされている。一方、車両が牽引される被牽引時において、無段変速記18の出力軸40は、減速歯車装置20、作動歯車装置24等を介して車軸60と連結されており、被牽引によって入力軸56に回転が生じることとなる。非回転であるタービン軸30と無段変速記18の入力軸56との回転速度差が大きい場合、前後進切換装置16に焼きつきが発生する虞が生じる。一般的に、車両の停止時において変速比γは、例えば前記のセカンダリプーリ62に設置されている前記スプリングのわずかな付勢力によって最大変速比γmaxとなるように設定されている。しかし、被牽引時においては、無段変速機18の出力軸40の回転によって生じる無段変速機18の入力軸56の回転速度を減少することが望ましいことから、無段変速機18の変速比γは、最小変速比γmin側が望ましい。プライマリ側油圧アクチュエータ76の油圧室84のシール性能が良好であれば、被牽引時においてプライマリ側油圧アクチュエータ76の油圧室84に油量が確保されており、プライマリプーリ58が被牽引によって回転させられることによって生じる遠心油圧によって、プライマリ側油圧アクチュエータ76の油圧室84を構成するプライマリ側可動シーブ74がプライマリ固定シーブ72側に移動する。この遠心油圧に基づくプライマリ側可動シーブ74の移動によって、変速比γは、最小変速比γmin側に変化し、無段変速機18の入力軸56の回転速度が減少される。図5の組み合わせリング94を用いた場合は、プライマリ側油圧アクチュエータ76の油圧室84におけるシール性能は確保されるが、断面が矩形のオイルシール94を単独で使用した場合と比較して組み付けが難しくなり、生産効率の低下が生じていた。また、シール性を保つために組み合わせシール94をシリンダ部材84の筒部82bの内周面に押し当てる接触圧を加えており、走行時の変速において、プライマリ側可動シーブ74の移動の際に生じる摺動抵抗が大きくなりオイルポンプ28への負荷が増加し、燃費が低下し易い状態にあった。
図6は、本発明の一実施例を示している。図6においては、組み合わせリング94に代えて、断面が矩形のシールリング96のみが設置されていて、シリンダ部材82への接触圧が図4の場合よりも大幅に低く設定されている。さらに、例えば弾性を有する合成ゴム等のエラストマーからなる、良好なシール性能を持つシールリップとして機能するボンデットシール100が、シリンダ部材82の筒部82bの近傍の油圧室84側に例えば加硫接合等で接着されている。これ以外は、従来の構造と同一である。上記の構造によれば、車両の停止中においては、プライマリプーリ58の変速比γが車両の停止中として一般的な最大変速比γmax、すなわちプライマリ側可動シーブ74とプライマリ側固定シーブ72とが最も離れた位置を取る場合において、ボンデットシール100がプライマリ側可動シーブ74のシール溝92の近傍の油圧室側84内において背面部74dと接触することとなり、油圧室84はシールリング96とボンデットシール100とによって良好なシール性能が保たれる。また、被牽引時においては、油圧室84内の作動油によって生じる遠心油圧によりプライマリ側可動シーブ74がプライマリ側固定シーブ72側に移動され、変速比γが最小変速比γmin側に変化されることによって入力軸56の回転速度は低減される。
可動シーブ74、75と固定シーブ72、73とが対向して配置され入力軸56と出力軸40とにそれぞれ連結して設けられたプライマリプーリ58とセカンダリプーリ62と、プライマリプーリ58とセカンダリプーリ62とに巻き掛けられた伝動ベルト66と、可動シーブ74の背面74dと入力軸56および出力軸40に固定されたシリンダ部材82とによって油圧室84を形成するアクチュエータ76とを備え、油圧室84に油圧を給排することで可動シーブ74を移動させ、可動シーブ74と固定シーブ72との間隔、すなわちV溝64の幅を変更可能な無段変速機18であって、可動シーブ74の端部に形成されたシール溝92に環状のシールリング96を配置すると共に、油圧室84への油圧が供給されていないときに油圧室84のシールを形成するボンデットシール100を設けることができる。このようにすれば、シール溝94に嵌めこまれるシール部材を組み合わせリング94からシールリング96へと変更することが可能となり、シールリングの組み付け時に、環状のシール溝92に断面が矩形のシールリング96とOリング98との2本のリングを設置するのに比較して、1本の断面が矩形のシールリング96を設置することとなり組みつけが容易となる。さらに組み合わせリング94おいてはシール性が要求されるため装着時に引張り力を加える必要があるがシールリング96においてはシール性への要求が組み合わせリング94より低く、より小さい引張り力で装着することができるためさらに組み付けが容易となる。また、従来の構造においては、組み合わせリング94のシール性を保つために組み合わせシール94をシリンダ部材へ押し当てる接触圧を加えており、これによって、変速時すなわちプライマリ側可動シーブ74の移動時に摺動抵抗が大きくなっていたが、組み合わせリング94を接触圧の大幅に低いシールリング96に変更することによって、変速時すなわちプライマリ側可動シーブ74の移動時に、組み合わせリング94によって生じる摺動抵抗を低減することが可能となり、燃費性能の改善が可能となる。また、車両の停止時においてもプライマリプーリ58の油圧室84が油密に保たれる。これによって、車両の被牽引時においてプライマリプーリ58の回転に伴ってプライマリプーリ58の油圧室84内の作動油に遠心油圧が発生し、プライマリプーリ58の変速比γが最小変速比γmin側へ設定されることによって、入力軸56の回転速度が低減され、入力軸56周りの部品の焼きつきが効果的に抑制されるという効果がさらに期待できる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、本発明の他の実施例を示している。図6において、ボンデットシール100は、シール溝92の近傍の油圧室84側に設置されているとしたが、特にシール溝92の近傍である必要はなく、車両の被牽引時において、遠心油圧によって変速比γが最小変速比γmin側に変化されるのに充分な量の作動油が確保できるのであれば、ボンデトシール100をシール溝92からより離れた油圧室84内の位置に設けることができる。また、油圧室84内に設置されるボンデットシールは、その全体が弾性を有する合成ゴム等のエラストマーからなるものである必要はなく、図7において一例として示したように、ボンデットシール100は、例えばエラストマーからなるリップシール部102を加硫接合等によって金属部104に接着したシール部材であっても良い。また、金属部104は、油圧室84側にシリンダ部材82の一部が突起状に形成された部材、もしくはシリンダ部材82とは別の金属部材で形成され、シリンダ部材82の油圧室側に油密に接合された部材等を用いることができる。
本実施例によれば、実施例1と同様の効果、すなわち、シールリング96のシール溝92への組み付けが容易となること、および変速時すなわちプライマリ側可動シーブ74の移動時に組み合わせリング94によって生じる摺動抵抗が低減されることによる燃費性能の改善。また、車両の停止時においてもプライマリプーリ58の油圧室84が油密に保たれ、車両の被牽引時においてプライマリプーリ58の油圧室84内の作動油に遠心油圧が発生し、これによってプライマリプーリ58の変速比γが最小変速比γmin側へ設定されることによって、入力軸56の回転速度が低減され、入力軸56周りの部品の焼きつきが効果的に抑制されるという効果が期待できる。またこれ以外に、ボンデットシール100の設置位置の選択範囲が広がることによって、リップシール部102のシール性能が確保し易い場所の選択、およびリップシール部102の形状、寸法等のより幅広い選択が可能となる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例においては、プライマリプーリ58を用いて説明したが、特にプライマリプーリに限らず、他の摺動部においてたとえば摺動抵抗の軽減とシール性能の改善を目的として用いることができる。
前述の実施例の無段変速機18は、伝動ベルト66によって動力が伝達されるものであったが、必ずしも伝動ベルトに限定されず、例えばチェーンなど各プーリに巻き掛け可能な構成であれば特に限定されない。
さらに、前述の実施例では、固定シーブ72は、入力軸56と一体に形成されていたが、特に一体成型する必要はなく剛性が確保されるものであれば機械的な方法によって一体に形成するものであれば良い。
上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
18:車両用ベルト式無段変速機(車両用無段変速機)
40:出力軸
56:入力軸
58、62:可変プーリ
66:伝動ベルト
72:固定シーブ
74:可動シーブ
74d:(可動シーブ)背面
76:アクチュエータ
82:シリンダ部材
84:油圧室
92:シール溝
96:シールリング
100:ボンデットシール(シール部材)

Claims (1)

  1. 可動シーブと固定シーブとが対向して配置され入力軸と出力軸とにそれぞれ連結して設けられた一対の可変プーリと、前記一対の可変プーリに巻き掛けられた伝動ベルトと、前記可動シーブの背面と前記入力軸および前記出力軸に固定されたシリンダ部材とによって油圧室を形成するアクチュエータと、を備え、
    前記油圧室に油圧を給排することで前記可動シーブを移動させ、前記可動シーブと前記固定シーブとの間隔を変更可能な車両用無段変速機であって、
    前記可動シーブに形成した環状のシール溝に環状のシールリングを配置することで、前記可動シーブと前記シリンダ部材とのシールを形成するとともに、
    前記油圧室への油圧が供給されていないときに前記油圧室のシールを形成する前記シールリングとは別のシール部材を前記油圧室内に設ける
    ことを特徴とする車両用無段変速機。
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