JP2018062963A - 車両用無段変速機 - Google Patents

車両用無段変速機 Download PDF

Info

Publication number
JP2018062963A
JP2018062963A JP2016200475A JP2016200475A JP2018062963A JP 2018062963 A JP2018062963 A JP 2018062963A JP 2016200475 A JP2016200475 A JP 2016200475A JP 2016200475 A JP2016200475 A JP 2016200475A JP 2018062963 A JP2018062963 A JP 2018062963A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shaft
oil passage
sheave
movable sheave
oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016200475A
Other languages
English (en)
Inventor
悟史 谷中
Satoshi Yanaka
悟史 谷中
亮 田中
Akira Tanaka
亮 田中
博文 中田
Hirobumi Nakada
博文 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2016200475A priority Critical patent/JP2018062963A/ja
Publication of JP2018062963A publication Critical patent/JP2018062963A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Transmissions By Endless Flexible Members (AREA)

Abstract

【課題】車両用ベルト式無段変速機において、可動シーブの油圧室に作動油を供給する油路を可動シーブに斜めに形成することによるコスト上昇を抑えることのできる無段変速機の構造を提供する。
【解決手段】
可動シーブ66b、70bのスプライン歯88aとシャフト78のスプライン歯78aの一部にスプライン歯78aの隙間を大きくした歯溝88bと、固定シーブ66a、70aのシャフト78の軸方向もしくは周方向に延伸する油溝106、108を設け、それらを油路として用いることによって、可動シーブに斜めの油路を形成することが不要となり、コストの上昇を抑えることができる。また可動シーブ70bの可動範囲外に油路を設ける場合と比較して無段変速機の小型化が容易となる。
【選択図】図6

Description

本発明は、車両用無段変速機に係り、特に可動シーブを軸方向に移動するための油圧室に作動油を供給する油路の構造に関するものである。
車両の変速機において、シャフトと一体に形成された固定シーブと、前記シャフトの軸方向に相対移動可能な前記可動シーブとから構成されるプライマリシーブと、前記プライマリシーブと同様の構造を持つセカンダリシーブと、前記プライマリシーブと前記セカンダリシーブとの間に巻き掛けられるベルトとを含んで構成される車両用無段変速機が良く知られている。油路の断面積が小さく圧損増加が大きい場合には、変速応答性能低下、油圧増加にともなう燃費の悪化が生じる虞があり、これを避けるため油路の断面積を確保する必要がある。特許文献1の車両用無段変速機においては、前記可動シーブを移動させる前記油圧室へ作動油を供給する油路が前記可動シーブの斜めに設けられている。
特開2009−287736号公報
図7は、特許文献1に記載されている油圧室に作動油を供給する油路と類似の油路を持つ無段変速機のプライマリシーブ200とセカンダリシーブ202とを示した断面図である。図1においてプライマリシーブ200の可動シーブ204を移動するための油圧室208に作動油を供給する油路212は、可動シーブ214が軸方向に長くなるのを防ぐために斜めの孔で形成されている。斜めの孔であるため、他の孔加工と同時に加工するのが難しいとともに、バリが発生しやすいためバリ取りが必要となりコスト高となっている。また、セカンダリシーブ202の可動シーブ206を移動するための油圧室210に差動油を供給する油路214は、可動シーブ206の可動範囲外に設置されており、油路214によってシャフト216の軸方向の長さが増加し、ベルト式無段変速機の小型化に不都合が生じている。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、前記可動シーブへの斜めの孔の加工を廃止することで、斜めの加工によって生じるコストの上昇を抑制するとともに、前記可動シーブの可動範囲外への油孔の設置を避けることで、前記シャフト長の軸長を増加することなく前記車両用無段変速機の小型化が容易となる構造を提供することにある。
第1の発明の要旨とするところは、(a)シャフトと一体に形成された固定シーブと、前記固定シーブに対向した状態でスプライン歯によって前記シャフトに軸方向の相対移動可能なスプライン嵌合された可動シーブと、前記シャフトに固定されたシリンダ部材および前記可動シーブの背面によって形成される油圧室とを、それぞれ有する一対の可変シーブを備えた車両用無段変速機であって、(b)前記可動シーブと前記シャフトとにそれぞれに形成された前記スプライン歯の一方が他方よりも長く、前記一方のスプライン歯のうちの他方のスプライン歯とスプライン嵌合しない非スプライン嵌合部において前記一方のスプライン歯間の周方向の隙間であって前記油圧室に連通する歯溝を有し、(c)前記シャフトの内部の軸方向に軸方向油路が形成されるとともに、前記軸方向油路と前記歯溝とを連通する径方向油路が前記シャフトに形成され、(d)さらに前記シャフトの外周面において、前記径方向油路と連通するとともに前記可動シーブの移動位置に係わらず前記歯溝とも連通する位置に軸方向もしくは周方向に延伸する油溝を備え、(e)前記軸方向油路、前記径方向油路、前記油溝および前記歯溝によって前記油圧室への作動油の供給油路が形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、前記油溝と前記歯溝とで油路としての充分な断面積を確保することが可能となり、前記可動シーブに斜めの油孔を形成すること、および前記可動シーブの可動範囲外に油路を形成する必要とがなくなる。これにより、前記可動シーブに斜めの孔を加工する場合と比較して、斜めの孔の加工後のバリ取りによるコスト増加、および斜めであることによって他の孔と同時に加工することが難しいことによるコストの増加を抑制できる。また、前記可動シーブの可動範囲外に油路を形成する場合と比較して、前記シャフト長の軸長を増加することなく、前記可動シーブの軸方向寸法をより短くすることが可能となり、これによって車両用ベルト式無段変速機の小型化も容易となる。
本発明が適用された車両を構成するエンジンから駆動輪までの動力伝達経路の概略構成を説明する図である。 図1の車両における動力伝達装置の走行パターンの切り替わりを説明する図である。 図1および図2の実施例において、一対の固定シーブと可動シーブとを示した断面図である。 図3の鎖線部を拡大し、スプライン嵌合部と動シーブのボス端部とスプライン端部との詳細を示した断面図である。 図3の固定シーブのシャフトに形成されている径方向油路を含む位置におけるシャフトの断面図である。 本発明が適用された他の実施例である、一対の固定シーブと可動シーブとを示した断面図である。 可動シーブへの作動油の供給油路の従来の位置を説明する概略図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図である。図1において、車両10は、走行用の駆動源として機能するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間に設けられた動力伝達装置16とを備えている。動力伝達装置16は、非回転部材としてのハウジング18内において、エンジン12に連結された流体式伝動装置としてのトルクコンバータ20、トルクコンバータ20に連結された入力軸22、入力軸22に連結されたベルト式無段変速機24(以降、無段変速機と呼ぶ)、同じく入力軸22に連結された前後進切替装置26、前後進切替装置26を介して入力軸22に連結されて無段変速機24と並列に設けられたギヤ伝動部としてのギヤ伝動機構28、無段変速機24及びギヤ伝動機構28の共通の出力回転部材である出力軸30、カウンタ軸32、出力軸30及びカウンタ軸32に各々相対回転不能に設けられて噛み合う一対のギヤから成る減速歯車装置34、カウンタ軸32に相対回転不能に設けられたギヤ36に連結されたデフギヤ38、デフギヤ38に連結された1対の車軸40等を備えている。このように構成された動力伝達装置16において、エンジン12の動力(特に区別しない場合にはトルクや力と同義)は、トルクコンバータ20、無段変速機24或いは前後進切替装置26及びギヤ伝動機構28、減速歯車装置34、デフギヤ38、及び車軸40等を順次介して1対の駆動輪14へ伝達される。また、エンジン12の作動中は、エンジン12の出力トルクは常時入力軸22に入力される。
このように、動力伝達装置16は、エンジン12(ここではエンジン12の動力が伝達される入力回転部材である入力軸22も同意)と駆動輪14(ここでは駆動輪14へエンジン12の動力を出力する出力回転部材である出力軸30も同意)との間に並列に設けられた、第1変速部としてのギヤ伝動機構28及び第2変速部としての無段変速機24を備えている。よって、動力伝達装置16は、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ伝動機構28を介して駆動輪14側(すなわち出力軸30)へ伝達する第1動力伝達経路PT1と、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機24を介して駆動輪14側(すなわち出力軸30)へ伝達する第2動力伝達経路PT2との複数の動力伝達経路PTを、入力軸22と出力軸30との間に並列に備えている。動力伝達装置16は、車両10の走行状態に応じてその第1動力伝達経路PT1とその第2動力伝達経路PT2とが切り替えられる。その為、動力伝達装置16は、エンジン12の動力を駆動輪14側へ伝達する動力伝達経路PTを、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とで選択的に切り替える複数の係合装置を備えている。この係合装置は、第1動力伝達経路PT1を断接する第1クラッチC1と、第2動力伝達経路PT2を断接する第2係合装置としての第2クラッチC2とを含んでいる。
トルクコンバータ20は、入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に設けられており、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、及び入力軸22に連結されたタービン翼車20tを備えている。ポンプ翼車20pには、無段変速機24を変速制御したり、前記複数の係合装置を作動したり、動力伝達装置16の各部に潤滑油を供給したりする為の作動油圧をエンジン12により回転駆動されることにより発生する機械式のオイルポンプ42が連結されている。エンジン12の作動中には、エンジン12の出力トルクがトルクコンバータ20を介して常時入力軸22へ入力される。
前後進切替装置26は、第1動力伝達経路PT1において入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心上に設けられており、ダブルピニオン型の遊星歯車装置26p、第1クラッチC1、及び第1ブレーキB1を備えている。遊星歯車装置26pは、入力要素としてのキャリヤ26cと、出力要素としてのサンギヤ26sと、反力要素としてのリングギヤ26rとの3つの回転要素を有する差動機構である。キャリヤ26cは入力軸22に一体的に連結され、リングギヤ26rは第1ブレーキB1を介してハウジング18に選択的に連結され、サンギヤ26sは入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に相対回転可能に設けられた小径ギヤ44に連結されている。又、キャリヤ26cとサンギヤ26sとは、第1クラッチC1を介して選択的に連結される。よって、第1クラッチC1は、前進ギヤ走行のために前記3つの回転要素のうちの2つの回転要素を選択的に連結する係合装置であり、第1ブレーキB1は、後進進行のために前記反力要素としてのリングギヤ26rをハウジング18に選択的に連結する係合装置である。
ギヤ伝動機構28は、小径ギヤ44と、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転不能に設けられてその小径ギヤ44と噛み合う大径ギヤ48とを備えている。又、ギヤ伝動機構28は、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転可能に設けられたアイドラギヤ50と、出力軸30回りにその出力軸30に対して同軸心に相対回転不能に設けられてそのアイドラギヤ50と噛み合う出力ギヤ52とを備えている。出力ギヤ52は、アイドラギヤ50よりも大径である。従って、ギヤ伝動機構28は、入力軸22と出力軸30との間の動力伝達経路PTにおいて、所定の変速比(変速段)としての1つの変速比(変速段)が形成されるギヤ伝動機構である。ギヤ機構カウンタ軸46回りには、更に、大径ギヤ48とアイドラギヤ50との間に、これらの間を選択的に断接する噛合式クラッチD1が設けられている。噛合式クラッチD1は、動力伝達装置16に備えられて、前後進切替装置26(第1摩擦クラッチC1も同意)と出力軸30との間の動力伝達経路に配設された(換言すれば第1クラッチC1よりも出力軸30側に設けられた)、第1動力伝達経路PT1を断接する第3係合装置(換言すれば前記第1クラッチC1と共に係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する第3係合装置)として機能するものであり、前記複数の係合装置に含まれる。
具体的には、噛合式クラッチD1は、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転不能に設けられたクラッチハブ54と、アイドラギヤ50とクラッチハブ54との間に配置されてそのアイドラギヤ50に固設されたクラッチギヤ56と、クラッチハブ54に対してスプライン嵌合(係合)されることによりギヤ機構カウンタ軸46の軸心回りの相対回転不能且つその軸心と平行な方向の相対移動可能に設けられた円筒状のスリーブ58とを備えている。クラッチハブ54と常に一体的に回転させられるスリーブ58がクラッチギヤ56側へ移動させられてそのクラッチギヤ56と噛み合わされることで、アイドラギヤ50とギヤ機構カウンタ軸46とが接続される。更に、噛合式クラッチD1は、スリーブ58とクラッチギヤ56とを嵌合する際に回転を同期させる、同期機構としての公知のシンクロメッシュ機構S1を備えている。このように構成された噛合式クラッチD1では、フォークシャフト60が油圧アクチュエータ62によって作動させられることにより、フォークシャフト60に固設されたシフトフォーク64を介してスリーブ58がギヤ機構カウンタ軸46の軸心と平行な方向に摺動させられ、係合状態と解放状態とが切り替えられる。
第1動力伝達経路PT1は、噛合式クラッチD1と噛合式クラッチD1よりも入力軸22側に設けられた第1クラッチC1(又は第1ブレーキB1)とが共に係合されることで形成される。動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ伝動機構28を経由して出力軸30へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第1動力伝達経路PT1は、少なくとも第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が共に解放されるか、或いは少なくとも噛合式クラッチD1が解放されると、動力伝達を遮断するニュートラル状態(動力伝達遮断状態)とされる。
無段変速機24は、トルクコンバータ20を介してエンジンと連結されて第2クラッチC2が解放されているエンジン12の作動中には車両停止中でも、エンジン12と共に回転する入力軸22に設けられた有効径が可変のプライマリシーブ(プライマリプーリ)66と、出力軸30と同軸心の回転軸68に設けられた有効径が可変のセカンダリシーブ(セカンダリプーリ)70と、それら各シーブ66,70の間に巻き掛けられた伝動ベルト72とを備え、各シーブ66,70と伝動ベルト72との間の摩擦力(ベルト挟圧力)を介して動力伝達が行われる。プライマリシーブ66では、プライマリシーブ66へ供給するシーブ油圧(すなわち油圧シリンダ66cへ供給されるプライマリ圧Pin)が図示されていない油圧制御回路によって調圧制御されることにより、固定シーブ66a,可動シーブ66b間のV溝幅を変更するプライマリ推力Win(=プライマリ圧Pin×受圧面積)が付与される。又、セカンダリシーブ70では、セカンダリシーブ70へ供給するシーブ油圧(すなわちセカンダリ側油圧アクチュエータ70cへ供給されるセカンダリ圧Pout)が前記油圧制御回路によって調圧制御されることにより、固定シーブ70a,可動シーブ70b間のV溝幅を変更するセカンダリ推力Wout(=セカンダリ圧Pout×受圧面積)が付与される。無段変速機24では、プライマリ推力Win(プライマリ圧Pin)及びセカンダリ推力Wout(セカンダリ圧Pout)が各々制御されることで、各シーブ66,70のV溝幅が変化して伝動ベルト72の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γcvt(=プライマリシーブ回転速度Npri/セカンダリシーブ回転速度Nsec)が変化させられると共に、伝動ベルト72が滑りを生じないように各シーブ66,70と伝動ベルト72との間の摩擦力が制御される。
出力軸30は、回転軸68回りにその回転軸68に対して同軸心に相対回転可能に配置されている。第2クラッチC2は、無段変速機24よりも駆動輪14(ここでは出力軸30も同意)側に設けられており(すなわちセカンダリシーブ70と出力軸30との間に設けられており)、セカンダリシーブ70(回転軸68)と出力軸30との間を選択的に断接する。第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が係合されることで形成される。動力伝達装置16では、第2動力伝達経路PT2が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機24を経由して出力軸30へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が解放されると、ニュートラル状態とされる。
図2は、動力伝達装置16の各走行パターン(走行モード)毎の係合装置の係合表を用いて、その走行パターンの切り替わりを説明する為の図である。図1において、C1は第1クラッチC1の作動状態に対応し、C2は第2クラッチC2の作動状態に対応し、B1は第1ブレーキB1の作動状態に対応し、D1は噛合式クラッチD1の作動状態に対応し、「○」は係合(接続)を示し、「×」は解放(遮断)を示している。
図2において、ギヤ伝動機構28を介してエンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行モード(すなわちギヤ伝動機構28を介した第1動力伝達経路PT1を用いる走行モード)であるギヤ走行モードでは、第1クラッチC1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1ブレーキB1が解放される。このギヤ走行モードでは前進走行が可能となる。尚、第1ブレーキB1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1クラッチC1が解放されると、後進走行が可能となる。
又、無段変速機24を介してエンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行モード(すなわち無段変速機24を介した第2動力伝達経路PT2を用いる走行モード)であるCVT走行モード(ベルト走行モードともいう)では、第2クラッチC2が係合され且つ第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が解放される。このCVT走行モードでは前進走行が可能となる。このCVT走行モードのうちでCVT走行(中車速)モードでは噛合式クラッチD1が係合される一方で、CVT走行(高車速)モードでは噛合式クラッチD1が解放される。噛合式クラッチD1は、駆動輪14側からの入力を遮断する被駆動入力遮断クラッチとして機能する。
ギヤ走行モードは、例えば車両停止中を含む低車速領域において選択される。動力伝達装置16では、ギヤ伝動機構28を介した第1動力伝達経路PT1にて形成される変速比γgear(変速比ELともいう)は、無段変速機24を介した第2動力伝達経路PT2にて形成できる最大変速比(すなわち最低車速側の変速比である最ロー変速比)γmaxよりも大きな値(すなわちロー側の変速比)に設定されている。つまり、第2動力伝達経路PT2は、第1動力伝達経路PT1にて形成される変速比ELよりも高車速側(ハイ側)の変速比γcvtが形成される。例えば変速比ELは、動力伝達装置16における第1速変速段の変速比γである第1速変速比γ1に相当し、無段変速機24の最ロー変速比γmaxは、動力伝達装置16における第2速変速段の変速比γである第2速変速比γ2に相当する。その為、ギヤ走行モードとCVT走行モードとは、例えば有段変速機の変速マップにおける第1速変速段と第2速変速段とを切り替える為の変速線に従って切り替えられる。又、CVT走行モードにおいては、例えばアクセル開度や車速などの走行状態に基づいて変速比γcvtが変化させられる変速が実行される。
図3は、図1の無段変速機24のセカンダリシーブ70の断面図である。なお、本実施例においてはセカンダリシーブ70の固定シーブ70aと可動シーブ70bとを用いて以下説明するが、特にセカンダリシーブ70に限らず、プライマリシーブ66の固定シーブ66と可動シーブ66bにおいても同様に構成され同様の効果が得られる。セカンダリシーブ70は、軸受74を介してハウジング18に回転可能に支持されているシャフト78に一体成形されている円盤状の固定シーブ70aと、その固定シーブ70aとの間にV字形状のシーブ溝80を形成するように、シャフト78に相対回転不能且つ軸方向の相対移動可能である可動シーブ70bと、供給される油圧に応じて可動シーブ70bを軸方向に移動させて、固定シーブ70aと可動シーブ70bとを軸方向に接近または離間させることにより、シーブ溝80の溝幅を変化させる油圧シリンダ70cとを備えている。シャフト78の外周端部と軸受け74の内輪とはナット84によって回転不能に固定され、軸受け74の外輪はハウジング18によって固定されている。可動シーブ70bの内径には側面がインボリュート曲線をもつ溝すなわちスプライン歯88aが形成され、シャフト78の外径に形成された側面がインボリュート曲線をもつ溝すなわちスプライン歯78aとでインボリュートスプライン嵌合(以降、スプライン嵌合とする)することで、可動シーブ70bとシャフト78とが相対回転不能かつ相対移動可能とされている。
固定シーブ70aは、シャフト78の外周面から径方向に突き出す円盤状の部材である。この固定シーブ70aには、径方向に向かうに従って可動シーブ70bから離間する方向に形成される円錐状のテーパ面82が形成されている。可動シーブ70bは、内周部がシャフト78に対して軸方向の相対移動可能且つ第1軸心RC1まわりの相対回転不能にスプライン嵌合されているボス部88と、そのボス部88の軸方向において固定シーブ70a側の端部から径方向に突き出す円盤部90と、その円盤部90の外周部から軸方向において固定シーブ70aから遠ざかる方向に第1軸心RC1と並行に伸びる外周筒部92とから構成されている。円盤部90には、径方向に向かうに従って固定シーブ70aから離間する方向に形成される円錐状のテーパ面94が形成されている。
油圧シリンダ70cは、可動シーブ70bの軸方向においてテーパ面94の背面側に配設されている有底円筒状のシリンダ部材96を備えている。シリンダ部材96は、第1軸心RC1方向への移動不能に固定されている。シリンダ部材96は屈曲形状を有し、その外周端部は、可動シーブ70bの外周筒部92の内周面とオイルシールを介して接触しており、可動シーブ70bの外周筒部92の内周面とシリンダ部材96の外周端部とがオイルシールを介して摺動可能に構成されている。これにより、シリンダ部材96と可動シーブ70bの背面との間に、油密な油圧室98が形成される。セカンダリシーブ70の可動シーブ70bには、その円板部90とシリンダ部材96との間に、可動シーブ70bを固定シーブ70a側に付勢するコイルスプリング76が設けられている。また、油圧室98には、図示しない油圧制御回路からシャフト78の内部に形成されている軸方向油路102、径方向油路104、下記する油溝106と歯溝88b、およびシリンダ部材空隙部110を経由して作動油が供給される。
図4は、図3において鎖線で示されたA部の拡大図であり、シャフト78、可動シーブ70bのボス部88、コイルスプリング76が示されている。第1軸心RC1の回転方向におけるボス部88の内周面には、シャフト78のスプライン歯78aとスプライン嵌合するためのスプライン歯88aがボス部88の内周面の全面に形成されている。一方、第1軸心RC1の回転方向におけるシャフト78の外周面に形成されているスプライン歯78aは、ボス部88の外周面のスプライン歯88aと比較すると軸方向において短く、このためスプライン歯78aとスプライン歯88aとの嵌合時において、ボス部88の外周面に形成されているスプライン歯88aは、スプライン歯78aと嵌合していない部分である非スプライン嵌合部100を持っている。この非スプライン嵌合部100の一部であり油路として使用される部分を歯溝88bと呼ぶ。したがって、シャフト78のスプライン歯78aは、径方向油路104からの作動油の供給に支障が生じない固定シーブ70aに近い位置に設けられる。また、径方向油路104と接続する油溝106は、シリンダ部材96と接する位置まで形成されており、可動シーブ70bのボス部88が最もシリンダ部材96に近づいた場合、すなわちシーブ溝80が最大となった場合においても、油溝106と歯溝88bとによって構成される油路によってシリンダ部材空隙部110と、その先の油圧室98とに作動油が送られる。なお、図4に示された可動シーブ70bが最もシリンダ部材96から遠ざかる場合、すなわちシーブ溝80が最小となった場合においては、径方向油路104は大きく開口されたシリンダ部材空隙部110と直接接続する油路を構成する。なお、シリンダ部材空隙部110は、ボス部88の端部の全周に形成されており、例えば可動シーブ70bのボス部88が最もシリンダ部材96に近づいた場合において、シリンダ部材空隙部110の第1軸心RC1方向における空隙が径方向油路104の直径と比較してかなり小さくとも油路の充分な断面積の確保は容易である。
図5は、図3および図4と直角を成し図3に示されている径方向油路104を含む位置における、シャフト78の断面図である。シャフト78の中央部分に第1軸心RC1方向と平行をなす軸方向油路102が形成され、この油路からシャフト78の外周面に接続する径方向油路104が3箇所に形成されている。径方向油路104は、シャフト78の外周面において、シャフト78の軸方向に延伸して形成されている油溝106に接続されている。油溝106は、径方向油路104と接続し、シリンダ部材96と接する位置まで形成されている。油溝106は、例えば径方向油路104と接続し、径方向油路104からシャフト78のスプライン歯78aと近接する位置にまで達する溝としても良いし、さらに軸方向に延伸し円盤部90とシャフト78との間にある油溝112まで達する溝であっても良い。
本実施例によれば、シャフト78と一体に形成された固定シーブ70aと、固定シーブ70aに対向した状態でスプライン歯88aによってシャフト78に軸方向の相対移動可能且つ実質的には軸まわりの相対回転不能にスプライン嵌合された可動シーブ70bと、シャフト78に固定されたシリンダ部材96および可動シーブ70bの背面によって形成される油圧室98とを有する一対の可変シーブ70を備えた車両用無段変速機24であって、可動シーブ70bとシャフト78とにそれぞれに形成されたスプライン歯78a、88aの一方のスプライン歯88aが他方のスプライン歯78aよりも長く、スプライン歯88aのうちのスプライン歯78aとスプライン嵌合しない非スプライン嵌合部100においてスプライン歯88aの歯間の周方向の隙間であって油圧室98に連通する歯溝88bを有し、シャフト78の内部の軸方向に軸方向油路102が形成されるとともに、軸方向油路102と歯溝88bとを連通する径方向油路104がシャフト78に形成され、さらにシャフト78の外周面において、径方向油路104と連通するとともに可動シーブ70bの移動位置に係わらず歯溝88bとも連通する位置に軸方向もしくは周方向に延伸する油溝106を備え、軸方向油路102、径方向油路104、油溝106および歯溝88bによって油圧室98への作動油の供給油路が形成される。このようにすれば、歯溝88bおよび油溝106によって油路として充分な断面積を確保することが容易となり、油路の断面積が小さいことによって生じる変速応答性能低下、油圧増加にともなう燃費の悪化等を効果的に抑制することができる。また、可動シーブ70bに斜めの孔を形成する必要がなくなり、前記斜めの孔の加工後のバリ取りによるコスト増加、および斜めであることで他の孔と同時に加工することが難しいことによるコスト増加も抑制することができる。また、可動シーブ70bの可動範囲を避けて油路を形成する場合と比較して、シャフト78の長さをより短くすることが可能となり、無段変速機の小型化も容易となる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図6において、シャフト78は第1軸心RC1を回転中心とするその外周に環状油溝108を持っている。環状油溝108は、径方向油路104を含む位置すなわち径方向油路104と接続される位置に環状の溝として形成されており、固定シーブ側スプライン歯78aとシリンダ部材96との間に位置している。従って環状油溝108は、可動シーブ70bの位置に係わらず、常にボス部88の歯溝88bと重なっている。このため、軸方向油路102、径方向油路104、環状油溝108を介して供給される作動油は、さらに環状油溝108とその全周において接する歯溝88bとシリンダ部材空隙部110とを経由して油圧室98に供給される。なお、シリンダ部材空隙部110は、ボス部88の端部の全周に形成されており、例えば可動シーブ70bのボス部88が最もシリンダ部材96に近づいた場合において、シリンダ部材空隙部110の第1軸心RC1方向における空隙が径方向油路104の直径と比較してかなり小さくとも油路の充分な断面積の確保は容易である。このようにすれば、環状油溝108と歯溝88bとによって油路として充分な断面積を確保することが可能となり、油路の断面積が小さいことによって生じる変速応答性能低下、油圧増加にともなう燃費の悪化等を効果的に抑制することができる。したがって可動シーブ70bの可動範囲を避けて油路を形成する場合と比較して、シャフト78の長さをより短くすることが可能となり、無段変速機の小型化も容易になる。また、シャフト78の長さを短くするために可動シーブ70bに斜めの孔を形成する必要もなくなり、前記斜めの孔の加工後のバリ取りによるコスト増加、および斜めであることで他の孔と同時に加工することが難しいことによるコスト増加も抑制することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例では、可動シーブ70bのボス部88がスプライン嵌合する部分すべてにスプライン歯88aを持つものとし、固定シーブ66a側のシャフト78のスプライン歯78aは、部分的なスプライン歯78aを持ち、これによって歯溝88bを生じるものとした。すなわちシャフト78のスプライン歯78aを可動シーブ70bのスプライン歯88aより短いものとした。しかし、シャフト78がスプライン嵌合する全ての部分にスプライン歯78aを形成するものとし、可動シーブ70bのボス部88は、部分的なスプライン歯88aを持ち、これによって歯溝88bを生じるものとする、すなわちシャフト78のスプライン歯78aを可動シーブ70bのスプライン歯88aより長いものとしても、同様の効果が期待できる。
実施例1において、径方向油路104を3箇所形成するものとしたが、特に3箇所である必要はなく、充分な油路の断面積を持つのであれば、より少数の径方向油路を形成しても良い。また、より多数の油路を形成するものであっても良い。
また、前述の実施例において、シャフト78はボス部88のスプライン歯88aとのスプライン嵌合において、スプライン歯78a以外にはスプライン歯を持たないことによってボス部88のスプライン歯88aの歯溝88を油路として用いるものとしたが、スプライン歯78aの高さを部分的に低減したスプライン歯を形成し、スプライン歯の高さを低減することで生じた空隙を油路として用いても良い。
前述の実施例の無段変速機24は、伝動ベルト72によって動力が伝達されるものであったが、必ずしも伝動ベルトに限定されず、例えばチェーンなど各シーブに巻き掛け可能な構成であれば特に限定されない。
さらに、前述の実施例では、固定シーブ66aは、シャフト78と一体に形成されていたが、特に一体成型する必要はなく剛性が確保されるものであれば機械的な方法によって一体に形成するものであれば良い。
上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
24:無段変速機
66、70:可変シーブ
66a、70a:固定シーブ
66b、70b:可動シーブ
78:シャフト
78a、88a:スプライン歯
88b:歯溝
96:シリンダ部材
98:油圧室
100:非スプライン嵌合部
102:軸方向油路
104:径方向油路
106:油溝
108:環状油溝(油溝)

Claims (1)

  1. シャフトと一体に形成された固定シーブと、前記固定シーブに対向した状態でスプライン歯によって前記シャフトに軸方向の相対移動可能なスプライン嵌合された可動シーブと、前記シャフトに固定されたシリンダ部材および前記可動シーブの背面によって形成される油圧室とを、それぞれ有する一対の可変シーブを備えた車両用無段変速機であって、
    前記可動シーブと前記シャフトとにそれぞれに形成された前記スプライン歯の一方が他方よりも長く、前記一方のスプライン歯のうちの他方のスプライン歯とスプライン嵌合しない非スプライン嵌合部において前記一方のスプライン歯間の周方向の隙間であって前記油圧室に連通する歯溝を有し、
    前記シャフトの内部の軸方向に軸方向油路が形成されるとともに、前記軸方向油路と前記歯溝とを連通する径方向油路が前記シャフトに形成され、
    さらに前記シャフトの外周面において、前記径方向油路と連通するとともに前記可動シーブの移動位置に係わらず前記歯溝とも連通する位置に軸方向もしくは周方向に延伸する油溝を備え、
    前記軸方向油路、前記径方向油路、前記油溝および前記歯溝によって前記油圧室への作動油の供給油路が形成されている
    ことを特徴とする車両用無段変速機。
JP2016200475A 2016-10-11 2016-10-11 車両用無段変速機 Pending JP2018062963A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016200475A JP2018062963A (ja) 2016-10-11 2016-10-11 車両用無段変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016200475A JP2018062963A (ja) 2016-10-11 2016-10-11 車両用無段変速機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018062963A true JP2018062963A (ja) 2018-04-19

Family

ID=61966578

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016200475A Pending JP2018062963A (ja) 2016-10-11 2016-10-11 車両用無段変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018062963A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4670904B2 (ja) 無段変速機
WO2011108127A1 (ja) 車両用ベルト式無段変速機
US20190293129A1 (en) Frictional coupling device of vehicular power transmitting system
JP5397552B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機
JP7036944B2 (ja) 車両用の無段変速機
WO2013057833A1 (ja) 車両用ベルト式無段変速機のプーリ機構
JP2009275718A (ja) 無段変速機
JP2018062963A (ja) 車両用無段変速機
JP2008232389A (ja) ベルト式無段変速機
JP2006105217A (ja) 車両用ベルト式無段変速機の潤滑装置
JP6493346B2 (ja) 車両用無段変速機
JP2008309292A (ja) 車両用油圧式摩擦係合装置のスナップリング
JP2018179222A (ja) 車両用無段変速機
JP6112068B2 (ja) 噛合式クラッチ
JP2017198306A (ja) 車両用動力伝達装置およびその製造方法
JP6359044B2 (ja) 動力伝達機構
JP2018071746A (ja) 車両用無段変速機
JP2020122559A (ja) 車両用動力伝達装置
JP2015215065A (ja) 車両用無段変速機
JP6146347B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機
JP6517688B2 (ja) 動力伝達装置
JP4894552B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機
JP2018059614A (ja) 車両用自動変速機
JP2010216613A (ja) 車両用駆動装置
JP2017106548A (ja) 変速機及び支持構造の製造方法