JP2011185416A - ベルト式無段変速機 - Google Patents
ベルト式無段変速機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011185416A JP2011185416A JP2010054184A JP2010054184A JP2011185416A JP 2011185416 A JP2011185416 A JP 2011185416A JP 2010054184 A JP2010054184 A JP 2010054184A JP 2010054184 A JP2010054184 A JP 2010054184A JP 2011185416 A JP2011185416 A JP 2011185416A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- belt
- movable piece
- sheave
- movable
- piston
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Transmissions By Endless Flexible Members (AREA)
Abstract
【課題】シーブが倒れることよるベルトの下当たり接触を抑制し、さらに可動シーブの冷却性能および潤滑性能が向上するベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】プライマリプーリとセカンダリプーリとの少なくとも一方のプーリ1は、該一方のプーリ1を構成している可動片6が嵌合している回転軸2に軸線方向に前後動自在に嵌合しかつ前記可動片6を固定片5側へと押圧するピストン部材14を有し、そのピストン部材14の最内周部14bの軸線方向での端面14cと該端面14cに対向する前記可動片6の軸線方向での端面6dとの間に所定の隙間が設定されるとともに、前記ピストン部材14は、前記端面14cより半径方向で外周側の所定箇所で前記可動片6に当接していることによる。
【選択図】図1
【解決手段】プライマリプーリとセカンダリプーリとの少なくとも一方のプーリ1は、該一方のプーリ1を構成している可動片6が嵌合している回転軸2に軸線方向に前後動自在に嵌合しかつ前記可動片6を固定片5側へと押圧するピストン部材14を有し、そのピストン部材14の最内周部14bの軸線方向での端面14cと該端面14cに対向する前記可動片6の軸線方向での端面6dとの間に所定の隙間が設定されるとともに、前記ピストン部材14は、前記端面14cより半径方向で外周側の所定箇所で前記可動片6に当接していることによる。
【選択図】図1
Description
この発明は、複数のプーリにベルトを巻き掛けて動力伝達をおこなうベルト式無段変速機に関するものである。
一般に、動力源の出力側に配置される無段変速機として、ベルト式無段変速機が知られている。ベルト式無段変速機は、互いに平行に配列された動力源側に伝動可能に接続された入力軸と、駆動輪側に伝動可能に接続された出力軸と、入力軸と出力軸とにそれぞれ設けられたプーリとを備えている。そして、このプーリに多数のエレメントと複数のリングとにより構成されたベルトを巻き掛けて、その接触面の摩擦力により動力を伝達する。また、プーリには、固定シーブと可動シーブとが設けられており、可動シーブ背面側に設けられたポンプ機構の前後動により、プーリに形成されるV字状のプーリ溝間の距離が変更される。入力軸側と出力軸側との各プーリの可動シーブの前後動作は、ポンプ機構に設けられた油圧室の圧油の給排を入出力側のプーリの双方で協調して制御されることにより行われる。この油圧の変化により各プーリの固定シーブと可動シーブとでベルトに対して挟圧力が発生されるため、プーリ溝間に巻き掛けられたベルトの巻き掛け半径が変わり、入力回転数と出力回転数との比、すなわち変速比が変更される。
そのようなベルト式無段変速機の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のベルト式無段変速機のセカンダリプーリ軸には、固定されるセカンダリプーリ軸とは別体のセカンダリ固定シーブと、セカンダリプーリ軸に対して軸方向に移動可能でセカンダリプーリ軸と一体回転可能に支持されているセカンダリ可動シーブと、ベルトに対してベルト挟圧力を発生するセカンダリ油圧室を構成するセカンダリピストンがセカンダリ固定シーブ側からリダクションドライブギヤ側に向けて、セカンダリピストン、セカンダリ可動シーブ、セカンダリ固定シーブの順番で配置される。このセカンダリプーリ軸は、軸方向における両端部のうちセカンダリ固定シーブ側の端部からセカンダリピストンが対向する位置に向けて外径が増加する構成となっている。このようにセカンダリプーリ軸の外径が増加することにより、プーリ軸の撓みを抑制する。
また、特許文献2に記載のベルト式無段変速機は、回転部材に軸線方向に移動不可能に取り付けられた固定シーブと、回転部材に軸線方向に移動可能に取り付けられた可動シーブと、固定シーブおよび可動シーブに巻き掛けられたベルトと、回転部材に取り付けられ、かつ、油圧室を形成する油圧室構成部材と、回転部材に設けられ、かつ、油圧室構成部材を回転部材の軸線方向に位置決めする固定部材とを備えている。また、可動シーブの円筒部と油圧室構成部材とが、直接または間接的に接触しないように、可動シーブの軸線方向の移動を規制する規制部材が設けられる構成となっている。これにより、可動シーブから固定部材に伝達される力が大きくなることを抑制する。
また、特許文献3に記載のベルト式無段変速機は、可動シーブを円錐板状の可動シーブ本体と円錐ドラム形状のシーブ支えとにより形成する構成となっている。これにより、可動シーブはベルトの張力に対する高いたわみ剛性を確保しつつ、可動シーブ本体の背面とシーブ支えとの間に形成される空洞部により小型化および軽量化を達成している。
また、特許文献4に記載のベルト式無段変速機は、プライマリプーリの可動シーブに備えられた外側筒部におけるシリンダ部材に対する当接箇所にシリンダ部材に向かって延びるストッパ部が一体形成されている構成となっている。これにより、変速機の作動停止状態において、ストッパ部を介して可動シーブがシリンダ部材を押圧し、このシリンダ部材を弾性変形させることで、その反力を利用してベルト狭圧を発生させる。このような構成・作用であることから新たな部品を付加することなく、ベルト式無段変速機の作動停止状態におけるベルト狭圧を十分に発生させる。
さらに、特許文献5に記載のベルト式無段変速機のドライブプーリの可動側プーリ半体は、制御油圧室に作用する指令油圧と、制御油圧及びキャンセラー油圧室に作用する遠心油圧の差分に相当する有効遠心油圧とによって作動する。制御油圧室及びキャンセラー油圧室の内壁面を構成する可動側プーリ半体、ピストン及びシリンダに放射状にリブを形成することにより、制御油圧室及びキャンセラー油圧室内に作動油がドライブプーリの回転速度の変化に遅滞なく追従し、所望の遠心油圧が発生するように構成されている。これにより、制御油圧室に作用する指令油圧及び遠心油圧によって作動する油圧アクチュエータの回転速度が変化するとき、遠心油圧の変化の応答遅れを防止して油圧アクチュエータを的確に作動させる。
図7は、従来構造のベルト式無段変速機におけるプーリ30の回転軸(シャフト)31の撓んでいる状態とシーブ倒れの状態もしくは前述の撓んでいる状態によるシーブ倒れの状態とを表している。駆動中のベルト式無段変速機の回転軸31には、矢印E2の方向に荷重が作用つまり軸線E1の外側で対となるプーリ(図示せず)が配置されている位置とは反対の方向に荷重が作用して撓みが生じる。回転軸31に撓みが生じることから、回転軸が変形して矢印E3の方向に固定シーブ32に倒れが生じるともに可動シーブ33にも力が加わって倒れが生じる。
このようないわゆるシーブ倒れについて、特許文献1ないし5の発明の構成を検討すると、上述した特許文献1に記載された発明は、セカンダリプーリ軸の撓みを抑制するためにセカンダリプーリ軸の外径を増加させる構成が記載されている。しかしながら、この特許文献1に記載された構成では、プライマリ油圧室の油圧が、プライマリ可動シーブの背面全体に加わえてプライマリ固定シーブに対して接近あるいは離隔させるため、軸の撓みを抑制してさらにシーブ倒れによるいわゆるエレメントの下当たり接触を抑制することはできない。
また、特許文献2に記載された発明によれば、可動シーブから固定部材に伝達される力が大きくなることを抑制することはできるが、可動シーブは規制部材とは接触する構成となっているため、軸の撓みを抑制してさらにシーブ倒れによるいわゆるエレメントの下当たり接触を抑制することはできない。
また、特許文献3に記載された発明によれば、可動シーブはベルトの張力に対する高いたわみ剛性を確保しつつ、可動シーブ本体の背面とシーブ支えとの間に形成される空洞部により小型化および軽量化を可能としている。しかしながら、軸の撓みを抑制してさらにシーブ倒れによるいわゆるエレメントの下当たり接触を抑制することはできない。
さらに、特許文献4に記載された発明によれば、シリンダ部材の弾性変形によりベルト式無段変速機の作動停止状態でのベルト狭圧を十分に発生させることができる。しかしながら、可動シーブのボス部などを含む背面全体がシリンダ部材とにより構成された油圧室に作用する油圧を受けるピストン構造となっているため、シーブ倒れによるいわゆるエレメントの下当たり接触を抑制することはできない。
そして、特許文献5に記載された発明では、ピストン及びシリンダに放射状にリブを形成することにより、所望の遠心油圧が発生するように構成されて、また、ピストンによる油圧が可動シーブの背面の他にスプリングでも可動シーブの最内周側と最外周側との間で力を加える構成となっている。しかしながら、軸の撓みを抑制してさらにシーブ倒れによるいわゆるエレメントの下当たり接触を抑制することはできない。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、回転軸の撓みによるいわゆるシーブ倒れを抑制し、それにともなうベルトの下当たり接触を抑制し、さらに可動シーブに冷却性能および潤滑が向上するベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、回転可能に設けられたプライマリプーリおよびセカンダリプーリと、前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに巻き掛けられたベルトとを有し、前記各プーリは、軸線方向で互いに対向する固定片とその固定片に対して接近および離隔するように前後動させられる可動片とを有するとともに、これら固定片と可動片との間に前記ベルトを巻き掛ける溝幅の変更可能なベルト溝が形成されているベルト式無段変速機において、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとの少なくとも一方のプーリは、該一方のプーリを構成している前記可動片が嵌合している回転軸に軸線方向に前後動自在に嵌合しかつ前記可動片を前記固定片側へと押圧するピストン部材を有し、そのピストン部材の最内周部の軸線方向での端面と該端面に対向する前記可動片の軸線方向での端面との間に所定の隙間が設定されるとともに、前記ピストン部材は、前記端面より半径方向で外周側の所定箇所で前記可動片に当接する当接部を有することを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ベルトは、板片状の多数のエレメントを、姿勢を揃えて積層した状態で環状に配列し、その環状に配列された前記エレメントの列に複数列の帯状のリングを嵌め込んで組み付けられて構成され、前記固定片にはテーパ面が設けられており、この固定片のテーパ面との間に前記ベルトを巻き掛けるために前記可動片にはテーパ面が設けられ、この可動片のテーパ面と前記回転軸の軸線に対して垂直な線との間の角度がシーブ角となっており、前記エレメントには前記可動片のテーパ面に当接するフランク面が設けられており、このフランク面と前記回転軸の軸線に対して垂直な線との間の角度がフランク角となっており、前記微少隙間の大きさをδ、前記フランク角をθ[deg]、前記可動片の可変変形によりδ=0であるときの接触時シーブ角をψ[deg]とすると、前記微少隙間δは、前記接触時シーブ角ψが不等号式{(θ−0.3)<ψ≦θ}の範囲にあることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記可動片には、前記当接部の半径方向の外周側で前記ピストン部材に向かって張り出して円筒部が設けられ、この円筒部の内周面に嵌合するように前記ピストン部材が形成されていることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記ピストン部材の前記可動片に嵌合する部位は前記可動片に対する背面側に屈曲されて湾曲部が設けられ、この湾曲部の前記可動片に対する背面側に第1補強部が設けられており、前記第1補強部は屈曲された前記湾曲部がさらに屈曲することを抑制するように設けられていることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記ピストン部材の前記可動片に当接している前記当接部は、前記可動片の方向に張り出して屈曲されて設けられており、この当接部における前記可動片に対する背面側に第2補強部が設けられており、前記第2補強部は屈曲された前記当接部がさらに屈曲することを抑制するように設けられていることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記ピストン部材の最内周部は前記可動片に対する背面側に屈曲されて構成され、最内周部で屈曲された前記ピストン部材の前記可動片に対する背面側に第3補強部が設けられており、前記第3補強部は最内周部で屈曲されたピストン部材がさらに屈曲することを抑制するように設けられていることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記回転軸の内部には油路が設けられ、前記可動片と前記回転軸との間にはスプラインが前記回転中心線に沿った方向に移動可能なように設けられ、このスプラインに潤滑油を供給するための油孔が、回転軸の内部に設けられた油路から前記回転軸の外周面へと連通するように設けられていることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明において、前記第1補強部と第2補強部と第3補強部とが設けられた前記ピストン部材の前記可動片に対向する側でそれぞれに溝部が設けられ、前記各溝部は、オイルを流通させるように構成されていることを特徴とするものである。
したがって、請求項1の発明によれば、そのピストン部材の最内周部の軸線方向での端面と該端面に対向する可動片の軸線方向での端面との間に所定の隙間が設定されるとともに、ピストン部材は、前記端面より半径方向で外周側の所定箇所で可動片に当接していることから、可動片が固定片に対する背面側に傾斜するいわゆるシーブ倒れを抑制することができる。
また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明による効果と同様の効果に加えて、微少隙間δは、接触時シーブ角ψが不等号式{(θ−0.3)<ψ≦θ}の範囲にあることから、可動片が固定片に対する背面側に傾斜するいわゆるシーブ倒れを抑制する場合の適切な値を設定することができる。
また、請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明による効果と同様の効果に加えて、可動片には、当接部の半径方向の外周側でピストン部材に向かって張り出して円筒部が設けられ、この円筒部の内周面に嵌合するようにピストン部材が形成されていることから、この円筒部の内周面にピストン部材を嵌合させて例えば溶接や締結部材による固定などの手段を用いずに支持することができ、生産性が向上する。
また、請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明による効果と同様の効果に加えて、湾曲部は可動片に対する背面側に屈曲されており、この湾曲部の可動片に対する背面側に第1補強部が設けられており、第1補強部は屈曲された湾曲部がさらに屈曲することを抑制するように設けられていることから、ピストン部材に作用する応力集中が緩和され、剛性が増してその耐久性が向上する。
また、請求項5の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかの発明による効果と同様の効果に加えて、当接部は、可動片の方向に張り出して屈曲されて設けられており、この当接部における可動片に対する背面側に第2補強部が設けられており、第2補強部は屈曲された当接部がさらに屈曲することを抑制するように設けられていることから、ピストン部材に作用する応力集中をが緩和され、剛性が増してその耐久性が向上する。
また、請求項6の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかの発明による効果と同様の効果に加えて、ピストン部材の最内周部は可動片に対する背面側に屈曲されて構成され、この最内周部で屈曲されたピストン部材の可動片に対する背面側に第3補強部が設けられており、第3補強部は最内周部で屈曲されたピストン部材がさらに屈曲することを抑制するように設けられていることから、ピストン部材に作用する応力集中を緩和され、剛性が増してその耐久性が向上する。
また、請求項7の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかの発明による効果と同様の効果に加えて、回転軸には油路が設けられ、可動片と回転軸との間にはスプラインが回転中心線に沿った方向に移動可能なように設けられ、このスプラインに潤滑油を供給するための油孔が、回転軸の内部に設けられた油路から回転軸の外周面へと連通するように設けられていることから、可動片が回転軸の軸線方向で前後動した場合であってもスプラインの潤滑を行うことができる。また、スプラインから微少隙間にオイルが供給されるため、可動片が弾性変形することにより、微少隙間δが0となって、ピストン部材の最内周部の軸線方向での端面と該端面に対向する可動片の軸線方向での端面とが接触した状態となっても両端面の接触部の摩耗を抑制できる。
そして、請求項8の発明によれば、請求項1ないし7のいずれかの発明による効果と同様の効果に加えて、前記第1補強部と第2補強部と第3補強部とが設けられたピストン部材の可動片に対向する側でそれぞれに溝部が設けられ、各溝部は、オイルを流通させるように構成されていることにより、可動片の固定片に対する背面側でオイルを流通させることができ、可動片のテーパ面にオイルが供給されて、このテーパ面を冷却することができ、また、そのテーパ面とベルトとの接触部の摩耗を抑制することができる。
つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。この発明は、車両の動力源の出力側に動力伝達可能に備えられたベルト式無段変速機に関するものである。図1は、この発明のベルト式無段変速機における入力側のプーリ(プライマリプーリ)1を示している。このプライマリプーリ1は、内燃機関や電動機などの図示しない動力源などからトルクコンバータ(図示せず)を介して動力が伝達される回転軸(プライマリシャフト)2を有している。このプライマリシャフト2は、一方の端部(図1の左側)がベアリング(軸受け)3によって回転自在に支持され、他方の端部(図1の右側)がベアリング(軸受け)4によって回転自在に支持される。また、プライマリシャフト2には、これと一体化されている固定シーブ5が設けられている。さらに、このプライマリプーリ1は、プライマリシャフト2に嵌合させられて、固定シーブ5とプライマリシャフト2の軸線A1の方向で対向するように設けられた可動シーブ6を備える。この可動シーブ6と固定シーブ5との対向面は、両シーブ5,6のテーパ面7,8が対向してV字状の巻き掛け溝9を構成する。このV字状の巻き掛け溝9にベルト10が巻き掛けられる。
ベルト10は、従来のものと同様の構成であって、姿勢を揃えて環状に配列した多数のエレメント11に図示しないリング(もしくはフープ)を巻き掛けて結束して構成されている。このベルト10を構成するエレメント11には、ベルト10が前述のV字状の巻き掛け溝9に巻き掛けられている状態で、両シーブ5,6のテーパ面7,8と摩擦伝動するために接触するフランク面11a,11bが形成されている。
一方、可動シーブ6には、プライマリシャフト2にスプライン部12を介して嵌合させられるボス部6aが形成されている。つまり、プライマリシャフト2に設けられたスプライン2cと可動シーブ6に設けられたスプライン6bとにより、軸線A1の方向には摺動自在に、軸線A1に対する周方向には動力が伝達可能なようにスプライン部12が構成されている。このように、可動シーブ6は、プライマリシャフト2に嵌合させられて、その軸線A1の方向に固定シーブ5に対して前後動する構成となっている。この前後動作は、電子制御装置(図示せず)により電子制御されて、図示しない動力源の動力などにより動作する図示しないポンプからのオイルの給排出により駆動される油圧機構13によって行われる構成となっている。
油圧機構13は、プライマリシャフト2の内部で軸線A1の方向に有底筒状に形成されて設けられた油路2dと、油路2dからプライマリシャフト2の外周面へと連通する油孔2eと、ピストン14のボス部14bの内周面(外壁面14d)からボス部14bの外周面(内壁面14e)へと連通する油孔14fとが設けられて、油圧室16にオイルを供給する構成となっている。油圧室16は、ピストン14とケーシング17との間にオイルが給排出される空間が設けられて、シール(パッキン)18などにより液密に構成されている。このように油圧機構13は、図示しないポンプにより駆動されたオイルが図示しない油路などを介して、プライマリシャフト2内で油路2dから油孔2eを通って、ピストン14のボス部14bの油孔14fから油圧室16にオイルが給排出される構成となっている。
また、油圧機構13は、可動シーブ6の固定シーブ5に対する背面6cに当接するピストン14を備えている。この可動シーブ6の背面6cとピストン14とが当接する当接部15は、前述のボス部6aの外周側に位置し、可動シーブ6の最外周に対しては内周側に位置する。このように当接部15が配置されるために、ピストン14には可動シーブ6側(図1の右側)に張り出して形成された押圧部14aが形成されている。また、ピストン14には、軸線A1の方向に摺動自在にプライマリシャフト2に嵌合させられるボス部14bが設けられている。このボス部14bにおける可動シーブ6のボス部6aと対向する端面14cと可動シーブ6のボス部6aにおけるボス部14bと対向する端面6dとの間には、所定の微少間隔が設けられた隙間δが設定される。
この微少隙間δは、当接部15において可動シーブ6の背面6cとピストン14の押圧部14aとが当接した状態で設定される。図2に示すように、微少隙間δの大きさδ[mm]は、前述の可動シーブ6に形成されたテーパ面7とプライマリシャフト2の軸線に対して垂直な線との間の角度をシーブ角ψ[deg(度)]とし、前述のエレメント11に設けられたフランク面11aとプライマリシャフト2の軸線に対して垂直な線との間の角度をフランク角θ[deg(度)]とすると、δ=0のとき、すなわち可動シーブ6とピストン14とが内周側で接触したときのシーブ角(接触時シーブ角)ψが不等号式{(θ−0.3)<ψ≦θ}の範囲にあるように設定される。
また、可動シーブ6の最外周部にはピストン14側(図1の左側)に突出した円筒部6eが設けられ、ピストン14には、この円筒部6eと嵌合する湾曲部14gが形成されている。この湾曲部14gは、当接部15の外周側でケーシング17の側すなわち可動シーブ6に対する背面側に屈曲して形成されている。このピストン14の湾曲部14gに対して可動シーブ6に形成された円筒部6eが嵌合する構成となっている。
さらに、前述のプライマリシャフト2の内部で軸線A1の方向に形成されて設けられて油圧室16にオイルが給排出するための油路2dの他に、スプライン部12にオイルを供給するための油路2fが設けられている。油路2fは固定シーブ5のある軸受け4側のプライマリシャフト2の端面2gから有底筒状に設けられている。また、プライマリシャフト2の端面2gからプライマリシャフト2の軸線A1の方向での固定シーブ5の付近までの間では、軸径が大きく、そこから油路2dとを隔てる壁部2hまでは軸径が小さくなっている。なお、プライマリシャフト2の油路2dと油路2fとの間には、壁部2hが設けられて隔てられているが、油路2dと油路2fとが連通している構成であってもよい。
プライマリシャフト2の端面2gからプライマリシャフト2の軸線A1の方向での固定シーブ5の付近までの軸径が大きくなっている油路2fの部位の内周面からベアリング4およびベアリング4と固定シーブ5との接触部位を潤滑および冷却するための油孔2iが設けられている。そして、プライマリシャフト2の端面2gからプライマリシャフト2の軸線A1の方向での固定シーブ5の付近までの軸径が小さくなっている油路2fの壁部2hの内周面からスプライン部12にオイルを供給する油孔2jがスプライン2cに連通して設けられている。この油孔2jが設けられる位置は、図3に示すように、可動シーブ6の可動範囲における固定シーブ5に対する前方端(図3の(b)の位置)から後方端(図3の(a)の位置)までの範囲で可動シーブ6がプライマリシャフト2に沿って移動した場合であっても、スプライン部12に矢印B1に示すようにオイルが供給される構成となっている。また、スプライン部12からは可動シーブ6の端面6dからオイルが漏洩するように形成されている。なお、スプライン部12からは可動シーブ6の端面6dからオイルが漏洩しないように形成されていてもよい。
図4は、上述したベルト式無段変速機の内部のオイルの流れおよび力の作用状態が示されている。このベルト式無段変速機の動作は、油圧機構13が作動することにより行われる。運転者のアクセルペダルおよびブレーキペダルの操作状態が図示しないセンサなどから検知されて電子制御装置(図示せず)などを介して変速の指令がベルト式無段変速機に出されて、図示しない動力源の動力により図示しないポンプが駆動する。ポンプが駆動することから、その駆動状態によって油圧室16へのオイルの給排出が行われる。ポンプが駆動することからオイルが供給されると、プライマリシャフト2の内部で、オイルは油路2dに供給されて油孔2e内を油路2dの内周面(外壁面14d)側からプライマリシャフト2の外周面(内壁面14e)側へとオイルが流れる。油路2dからプライマリシャフト2の外周面へと流れたオイルはピストン14に設けられた油孔14fを通って油圧室16に供給される。油圧室16に供給されたオイルは図4の矢印C1に示すようにピストン14の固定シーブ5に対する背面(内壁面14e)を押圧する。ピストン14が押圧されることから、ピストン14が、可動シーブ6側に移動する。ピストン14が移動することから、それとともにピストン14の押圧部14aも移動して、当接部15を介して可動シーブ6の背面6cが押圧される。可動シーブ6が押圧されることから、可動シーブ6はプライマリシャフト2の軸線A1の方向に沿って固定シーブ側に移動する。
このように可動シーブ6が固定シーブ側の方向に移動することにより、固定シーブ5と可動シーブ6とにより構成されるV字状の巻き掛け溝9の間隔が狭められる。V字状の巻き掛け溝9の間隔が狭められることから、固定シーブ5と可動シーブ6との各テーパ面7,8に沿って、エレメント11のフランク面11a,11bを当接させながらベルト10がプライマリプーリ1に巻き掛けられている巻き掛け半径が大きくなる。すなわち、ベルト10はプライマリプーリ1の内周側から外周側へと巻き掛けられている位置が変わる。それとともに、プライマリプーリ1のプライマリシャフト2に平行に配置されたセカンダリシャフト(図示せず)を有するセカンダリプーリ(図示せず)も、プライマリプーリ1とともに巻き掛け半径を変える。ベルト10がプライマリプーリ1とセカンダリプーリ(図示せず)とに巻き掛けられる巻き掛け半径がそれぞれ変化することから、動力源からの動力がプライマリシャフト2を伝達されてベルト10を介して変速比が変更されて、セカンダリシャフト(図示せず)に動力が伝達される。
一方、図示しないポンプが駆動することからオイルが排出されると、油圧室16内のオイルは、ピストン14に設けられた油孔14fを通ってボス部14bの外周面(内壁面14e)側から内周面(外壁面14d)側へと流れる。油孔14fを通ったオイルは、プライマリシャフト2の油孔2eを介して、プライマリシャフト2の油路2dを通って排出される。このようにオイルが排出されることから、ピストン14の固定シーブ5に対する背面(内壁面14e)に負圧が作用して、ピストン14が可動シーブ6の配置された位置とは反対側(図4の左側)に後退する。ピストン14が後退することから、それとともに可動シーブ6も固定シーブ5の配置された位置とは反対側(図4の左側)に後退する。ピストン14が後退することから、固定シーブ5と可動シーブ6とにより構成されるV字状の巻き掛け溝9の間隔が拡げられる。
V字状の巻き掛け溝9の間隔が拡げられることから、固定シーブ5と可動シーブ6との各テーパ面7,8に沿って、エレメント11のフランク面11a,11bを当接させながらベルト10がプライマリプーリ1に巻き掛けられている巻き掛け半径が小さくなる。すなわち、ベルト10はプライマリプーリ1の外周側から内周側へと巻き掛けられている位置が変わる。それとともに、プライマリプーリ1のプライマリシャフト2に平行に配置されたセカンダリプーリ(図示せず)を有するセカンダリシャフト(図示せず)も、プライマリプーリ1とともに巻き掛け半径を変える。ベルト10がプライマリプーリ1とセカンダリプーリ(図示せず)とに巻き掛けられる巻き掛け半径がそれぞれ変化することから、動力源からの動力がプライマリシャフト2に伝達されてベルト10を介して変速比が変更されて、セカンダリシャフト(図示せず)に動力が伝達される。
また、図示しないポンプにより、プライマリシャフト2に設けられた油路2fにもオイルが供給される。油路2fに供給されたオイルにより、油孔2iを介して、ベアリング4およびベアリング4と固定シーブ5との接触部位が潤滑される。さらに、プライマリシャフト2に設けられた油路2fに供給されたオイルは、油孔2jを介してスプライン部12にも供給される。スプライン部12にオイルが供給されて潤滑および冷却が行われる。上述した油圧機構13によるオイルの給排出による可動シーブ6の前後動作は、車両などの走行状態であってプライマリシャフト2およびセカンダリシャフト(図示せず)が回転している状態において行われる。
このように、可動シーブ6の前後動作が行われる際、プライマリシャフト2には、軸線A1のセカンダリプーリ(図示せず)が配置されている位置とは反対の方向に荷重が作用して撓みが生じる。プライマリシャフト2に撓みが生じることから、プライマリシャフト2が前述の図7の矢印E2に示したような方向に撓む。プライマリシャフト2が撓みによる変形を起こすことから、固定シーブ5と可動シーブ6とにいわゆるシーブ倒れが生じる。固定シーブ5と可動シーブ6とにいわゆるシーブ倒れが生じることから、図7に示すようなエレメント11のフランク面11a,11bとに対して固定シーブ5と可動シーブ6とが傾斜した状態で当接して、図7のE4に示すような固定シーブ5と可動シーブ6とのテーパ面7,8の内周側で、エレメント11のフランク面11a,11bの内周側が接触する、いわゆるエレメントの下当たり接触が起こる。
このようなシーブ倒れやエレメントの下当たり接触の一因として、例えば可動シーブ6の押圧力を加える位置が挙げられる。この発明においては、可動シーブ6の前後動作を直接的に行うピストン14に、ボス部6aの外周側に位置し、可動シーブ6の最外周に対しては内周側に位置する当接部15が設けられて、この当接部15によりピストン14に押圧力が加えられる。このように、ボス部6aの外周側で、かつ可動シーブ6の最外周に対しては内周側の位置で、ピストン14から可動シーブ6が押圧されることから、ベルト10の位置がこの当接部15を含む内周側でプライマリプーリ1に巻き掛かっている場合には、シーブ倒れとは逆向きに図4の矢印C2で表される方向に偶力が作用してプライマリシャフト2が撓みによる変形を起こした状態などによるシーブ倒れが抑制される。
また、ベルト10の位置がこの当接部15を含む外周側でプライマリプーリ1に巻き掛かっている場合であっても、可動シーブ6に設けられた円筒部6eにピストン14が嵌合されていることから、シーブ倒れを抑制できる。さらに、このように円筒部6eにピストン14を嵌合させて支持できることから、溶接などの接合手段を施すことなく、また締結部材などを設けないため部品点数を削減でき、生産性が向上する。そして、可動シーブ6のボス部6aに設けられた端面6dとピストン14のボス部14bに設けられた14cとの間で微少隙間δが設定されることから、エレメント11の下当たり接触が発生するような状況では、図4の矢印C2で示される偶力が作用する際に、この偶力により可動シーブ6が弾性変形することから、ボス部6aの端面6dがピストン14の端面14cが接近する。このように微少隙間δが設けられていることにより、ボス部6aの端面6dとピストン14の端面14cとを接近させたり離隔させるスペースがあることから、前述の図4の矢印C2で示される偶力が作用しやすくなる。これによりプライマリシャフト2の撓みなどによるシーブ倒れを抑制することができる。
また、スプライン部12にオイルを供給するために設けられている油路2fに連通される油孔2jが、可動シーブ6の可動範囲における固定シーブ5に対する前方端(図3の(b)の位置)から後方端(図3の(a)の位置)までの範囲で可動シーブ6が動いた場合であっても、スプライン部12にオイルを供給できる構成となっていることから、スプライン部12に対してオイルにより潤滑および冷却が適切におこなえる。さらに、スプライン部12から微少隙間δにオイルが供給されるため、ピストン14が弾性変形することにより、微少隙間δが0となって、ピストン14の端面14cとこの端面14cに対向する可動シーブ6の端面6dとが接触した状態となって、両端面14c,6dの接触部が摩耗することを抑制できる。またさらに、ベアリング4およびベアリング4と固定シーブ5との接触部位にも油孔2iが設けられていることから、オイルにより潤滑が適切におこなえる。
つぎに、他の構成例を図面に基づいて説明する。この他の構成例が図5に示されている。図5に示すとおりこの他の構成例は、上記に示した図1の構成例において、ピストン14の構造が変更されたピストン20により構成されたものである。それ以外の構成に関しては上記に示した図1の構成例と同様であるため、同様の部位および構成については同じ符号を付して説明を省略する。また、作用・効果についても、同様である部分に関しては省略する。さらに、この他の構成例を示した図5には、微少隙間δが設けられていない構成が示してあるが、この他の構成例においてはこの微少隙間δがある構成であってもよい。
ピストン14の構造が変更されたピストン20には、ピストン14と同様の構成に加えて、屈曲された部位に補強するためのリブ21,22,23が設けられている。リブ(第1補強部)21は、ピストン20の湾曲部20gに設けられている。このリブ21は、ピストン20の可動シーブ6に対する背面(内壁面20e)側で、屈曲された湾曲部20gを補強するように構成される。つまり、屈曲された湾曲部20gがさらに屈曲するのを抑制するように設けられている。また、このリブ21のピストン20の可動シーブ6に対する前面(外壁面20d)側では、リブ21が設けられた分だけピストン20の湾曲部20gの内壁面20eが後退して溝部21aが設けられる。この溝部21aは、可動シーブ6の円筒部6eとピストン20の湾曲部20gとが嵌合して接触してもオイルが遮られないようにするための油路の役割をする構成となっている。
リブ(第2補強部)22は、ピストン20の押圧部20aに設けられている。このリブ22は、ピストン20の押圧部20aが可動シーブ6に対する背面(内壁面20e)側で、屈曲されて張り出した背面側を補強するように形成されている。つまり、屈曲されて張り出した押圧部20aがさらに屈曲しないように設けられている。また、このリブ22のピストン20の可動シーブ6に対する前面(外壁面20d)側では、リブ22が設けられた分だけピストン20の押圧部20aの内壁面20eが後退して溝部22aが設けられる。この溝部22aは、可動シーブ6の背面とピストン20の押圧部20aとが接触してもオイルが遮られないようにするための油路の役割をする構成となっている。
リブ(第3補強部)23は、ピストン20のボス部20bに設けられている。このリブ23は、ピストン20のボス部20bが可動シーブ6に対する背面(内壁面20e)側で、屈曲されて張り出した背面側を補強するように形成されている。つまり、屈曲されて張り出したボス部20bがさらに屈曲しないように設けられている。また、このリブ23のピストン20の可動シーブ6に対する前面(外壁面20d)側では、リブ23が設けられた分だけピストン20のボス部20bの内壁面20eが後退して溝部23aが設けられる。この溝部23aは、可動シーブ6の背面とピストン20の押圧部20aとが接触してもオイルが遮られないようにするための油路の役割をする構成となっている。
この他の構成例では、リブ21がピストン20の湾曲部20gに設けられ、リブ22がピストン20の押圧部20aに設けられ、リブ23がピストン20のボス部20bに設けられることから、ピストン20の剛性が増してピストン20の挙動が確かなものとなり、動力伝達効率が向上する。このようにリブ21,22,23によりピストン20が補強されることから、鋳造などに比較して剛性を確保するのが難しいような製造方法、例えば、プレス成形などによりピストン20が製造されて、この剛性を確保するのが難しい場合などに強度を増して剛性を確保することができる。
また、図示しないポンプにより、プライマリシャフト2に設けられた油路2fに供給されたオイルが、図6の矢印D1に示すように、油孔2jを介してオイルがスプライン部12に供給される。供給されたオイルは、このスプライン部12を介して一方は、直接に固定シーブ5と可動シーブ6とのV字状の巻き掛け溝9に供給されて、両シーブ5,6とベルト10との接触部位の潤滑を行う。それとともに、このV字状の巻き掛け溝9でベルト10や両シーブ5,6の冷却を行う。
また、他方では、溝部23aが設けられていることから、可動シーブ6とピストン20とに設けられた微少隙間δおよびリブ23とともに設けられた溝部23aをオイルが通る。溝部22aが設けられていることから、このオイルは、押圧部20aの軸線A1に対する内周側で、ピストン20の前面と可動シーブ6の背面とから構成される空間を通り、リブ22とともに設けられた溝部22aを通る。そして、溝部21aが設けられていることから、溝部22aを通ったオイルは、押圧部20aの軸線A1に対する外周側で、ピストン20の前面と可動シーブ6の背面との空間を通り、可動シーブ6の円筒部6eとピストン20の湾曲部20gにリブ21とともに設けられた溝部21aを通る。溝部21aを通ったオイルは、円筒部6eとケーシング17との隙間から、固定シーブ5と可動シーブ6とのV字状の巻き掛け溝9に供給されて、両シーブ5,6とベルト10との接触部位の潤滑を行う。それとともに、このV字状の巻き掛け溝9でベルト10や両シーブ5,6の冷却を行う。
上記のとおり、この他の構成例では、ピストン20にリブ21とリブ22とリブ23とが設けられたことから、ピストン20の剛性が増して、その挙動が確かなものとなり、動力伝達効率が向上できる。また、ピストン20にリブ21とリブ22とリブ23とともに溝部21a,22a,23aとが設けられたことから、固定シーブ5と可動シーブ6とのV字状の巻き掛け溝9に供給されるオイルの油量を増大することができる。
なお、この発明は、ベルト式無段変速機において、可動シーブ6のボス部6aに設けられた端面6dとピストン14のボス部14bに設けられた14cとの間で微少隙間δを設定される構成であればよく、それとともにスプライン2cとリブ21,22,23と溝部21a,22a,23aが設けられている構成であればよい。そのような構成は、従動(セカンダリ)プーリに適用にも可能であるため、この発明は、従動(セカンダリ)プーリにも適用することができる。さらに、上述したベルト式無段変速機の他にもいわゆるシーブ倒れが発生するような構成、例えば、上述のようなベルトではなくチェーンなどを用いた巻き掛け式の無段変速機であって、軸間が設けられて複数のプーリが配置されて、このプーリにチェーンが巻き掛けられて、巻き掛け半径を変えることにより変速比を変更するような構成にも適用可能である。
1…プーリ(プライマリプーリ)、 2…回転軸(プライマリシャフト)、 5…固定片(固定シーブ)、 6…可動片(可動シーブ)、 6d…端面、 14…ピストン部材(ピストン)、 14b…最内周部(ボス部)、 14c…端面。
Claims (8)
- 回転可能に設けられたプライマリプーリおよびセカンダリプーリと、前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに巻き掛けられたベルトとを有し、前記各プーリは、軸線方向で互いに対向する固定片とその固定片に対して接近および離隔するように前後動させられる可動片とを有するとともに、これら固定片と可動片との間に前記ベルトを巻き掛ける溝幅の変更可能なベルト溝が形成されているベルト式無段変速機において、
前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとの少なくとも一方のプーリは、該一方のプーリを構成している前記可動片が嵌合している回転軸に軸線方向に前後動自在に嵌合しかつ前記可動片を前記固定片側へと押圧するピストン部材を有し、
そのピストン部材の最内周部の軸線方向での端面と該端面に対向する前記可動片の軸線方向での端面との間に所定の隙間が設定されるとともに、
前記ピストン部材は、前記端面より半径方向で外周側の所定箇所で前記可動片に当接する当接部を有することを特徴とするベルト式無段変速機。 - 前記ベルトは、板片状の多数のエレメントを、姿勢を揃えて積層した状態で環状に配列し、その環状に配列された前記エレメントの列に複数列の帯状のリングを嵌め込んで組み付けられて構成され、前記固定片にはテーパ面が設けられており、この固定片のテーパ面との間に前記ベルトを巻き掛けるために前記可動片にはテーパ面が設けられ、この可動片のテーパ面と前記回転軸の軸線に対して垂直な線との間の角度がシーブ角となっており、前記エレメントには前記可動片のテーパ面に当接するフランク面が設けられており、このフランク面と前記回転軸の軸線に対して垂直な線との間の角度がフランク角となっており、
前記微少隙間の大きさをδ、前記フランク角をθ[deg]、前記可動片の可変変形によりδ=0であるときの接触時シーブ角をψ[deg]とすると、前記微少隙間δは、前記接触時シーブ角ψが不等号式{(θ−0.3)<ψ≦θ}の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。 - 前記可動片には、前記当接部の半径方向の外周側で前記ピストン部材に向かって張り出して円筒部が設けられ、この円筒部の内周面に嵌合するように前記ピストン部材が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機。
- 前記ピストン部材の前記可動片に嵌合する部位は前記可動片に対する背面側に屈曲されて湾曲部が設けられ、この湾曲部の前記可動片に対する背面側に第1補強部が設けられており、前記第1補強部は屈曲された前記湾曲部がさらに屈曲することを抑制するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のベルト式無段変速機。
- 前記ピストン部材の前記可動片に当接している前記当接部は、前記可動片の方向に張り出して屈曲されて設けられており、この当接部における前記可動片に対する背面側に第2補強部が設けられており、前記第2補強部は屈曲された前記当接部がさらに屈曲することを抑制するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のベルト式無段変速機。
- 前記ピストン部材の最内周部は前記可動片に対する背面側に屈曲されて構成され、最内周部で屈曲された前記ピストン部材の前記可動片に対する背面側に第3補強部が設けられており、前記第3補強部は最内周部で屈曲されたピストン部材がさらに屈曲することを抑制するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のベルト式無段変速機。
- 前記回転軸の内部には油路が設けられ、前記可動片と前記回転軸との間にはスプラインが前記回転中心線に沿った方向に移動可能なように設けられ、このスプラインに潤滑油を供給するための油孔が、回転軸の内部に設けられた油路から前記回転軸の外周面へと連通するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のベルト式無段変速機。
- 前記第1補強部と第2補強部と第3補強部とが設けられた前記ピストン部材の前記可動片に対向する側でそれぞれに溝部が設けられ、前記各溝部は、オイルを流通させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のベルト式無段変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010054184A JP2011185416A (ja) | 2010-03-11 | 2010-03-11 | ベルト式無段変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010054184A JP2011185416A (ja) | 2010-03-11 | 2010-03-11 | ベルト式無段変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011185416A true JP2011185416A (ja) | 2011-09-22 |
Family
ID=44791938
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010054184A Pending JP2011185416A (ja) | 2010-03-11 | 2010-03-11 | ベルト式無段変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011185416A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016076381A1 (ja) * | 2014-11-14 | 2016-05-19 | 本田技研工業株式会社 | 変速機用プーリ |
-
2010
- 2010-03-11 JP JP2010054184A patent/JP2011185416A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016076381A1 (ja) * | 2014-11-14 | 2016-05-19 | 本田技研工業株式会社 | 変速機用プーリ |
JPWO2016076381A1 (ja) * | 2014-11-14 | 2017-07-27 | 本田技研工業株式会社 | 変速機用プーリ |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5835391B2 (ja) | 発進装置 | |
US11506257B2 (en) | Transmission belt element and transmission belt | |
JP7001837B2 (ja) | 無段変速機 | |
JP6809368B2 (ja) | 無段変速機および伝動ベルト | |
WO2015045847A1 (ja) | 無段変速機用の可動シーブ支持構造及びそれを備えた従動側プーリ装置 | |
JPWO2017138217A1 (ja) | 伝動ベルト | |
JP6747377B2 (ja) | 無段変速機および伝動ベルト | |
JP2012215222A (ja) | クラッチ装置およびそれを備えた流体伝動装置 | |
JP2015194185A (ja) | クラッチ装置 | |
JP6173814B2 (ja) | クラッチ | |
KR101851458B1 (ko) | 차량용 변속 장치의 트랜스미션 케이스 | |
US11454299B2 (en) | Transmission belt element and transmission belt | |
JP2018204776A (ja) | 伝動ベルトおよび伝動ベルト用エレメント | |
JP2011185416A (ja) | ベルト式無段変速機 | |
JP5505357B2 (ja) | クラッチ装置およびそれを備えた流体伝動装置 | |
JP7387222B2 (ja) | 変速機 | |
JP2008208861A (ja) | ベルト式無段変速機 | |
JP6398735B2 (ja) | ベルト式無段変速機のケース構造 | |
JP2013160295A (ja) | 乾式のベルト式無段変速機 | |
US8079454B2 (en) | Friction engagement apparatus | |
US20210131534A1 (en) | Belt-type continuously variable transmission | |
JP2010071453A (ja) | ベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機 | |
JP2013234745A (ja) | ベルト式無段変速機 | |
JP2014098400A (ja) | ベルト式無段変速機のプーリ構造 | |
JP5969431B2 (ja) | 無段変速機 |