JP2010254968A - 樹脂組成物並びにこれを用いた成形品及び多層構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、芳香族ビニル単位を主とするポリマーブロックと不飽和脂肪族炭化水素を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水素添加ブロックとを有するブロック共重合体、芳香族ビニル単位を主とするポリマーブロックと不飽和脂肪族炭化水素を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水素添加ブロックとを有するブロック共重合体且つ極性基を含有する変性ブロック共重合体を含有する樹脂組成物において、各ポリマーの配合比率を特定範囲内とした。
【選択図】 なし
Description
ここでは、EVOH樹脂相とブロック共重合体相とが独立して連続相を構成するように、具体的には、EVOH樹脂:ブロック共重合体=15:85〜85:15、好ましくは80:20〜20:80、より好ましくは65:35〜35:65程度で混合している(段落番号0043)。特許文献1においては、EVOH樹脂からなる相とブロック共重合体からなる相とが相互侵入網目構造をなして分布しているため、網目構造をなすEVOH相に基づいて優れたガスバリア性等の遮断性を発揮し、網目に侵入しているブロック共重合体相に基づき柔軟性を発揮できると説明されている(段落番号0042)。
一方、EVOH樹脂におけるエチレン含有率や溶融粘度、トリブロック共重合体の分子量やブロック成分構成などにより、EVOH樹脂とトリブロック共重合体のブレンド比率が上記範囲内であっても、ガスバリア性が劣ったり、JIS D硬度が高くなったりする場合があることも開示されている(表2の参考例1、参考例2)。
ここでは、変性ブロック共重合体:極性熱可塑性重合体=98:2〜50:50の樹脂組成物は、変性ブロック共重合体の改質された組成物として有用であり、変性ブロック共重合体:極性熱可塑性重合体=2:98〜50:50の樹脂組成物は、極性熱可塑性重合体の耐衝撃性などが改善されると説明されている。具体的には、EVOH樹脂:変性ブロック共重合体=90:10〜75:25の割合で混合した樹脂組成物は、EVOH樹脂と比べて、アイゾット衝撃強度が大幅に改善されることが示されている(表5)。
ゴム用軟化剤としては、ゴム成分を柔軟化又は可塑化させる成分として、パラフィンオイルなどが用いられる。また、不飽和カルボン酸変性ブロック共重合体は、ガスバリア性を向上させる成分として配合される。
そして、組成物のガスバリア性と柔軟性のバランスの点から、EVOH樹脂:(ブロック共重合体+不飽和カルボン酸変性ブロック共重合体+ゴム用軟化剤の総量)=10:90〜40:60が好ましいと記載されている(段落番号0043)。また、組成物の力学的性能及びガスバリア性の兼ね合いの観点から、ブロック共重合体:変性ブロック共重合体=20:80〜80:20が好ましいと記載されている(段落番号0045)。
ここで、機械的特性としては、JIS A硬度、引張破断強度が測定評価されている。
はじめに本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A);芳香族ビニル単位を主とするポリマーブロック(b1)と、不飽和脂肪族炭化水素を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水素添加ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B);芳香族ビニル単位を主とするポリマーブロック(c1)と、不飽和脂肪族炭化水素を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水素添加ブロック(c2)とを有するブロック共重合体で、且つ極性基を含有する変性ブロック共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって、上記A成分、B成分、C成分を特定割合で配合した樹脂組成物である。
以下、各成分について、順に説明する。
組成物の主成分となるEVOH樹脂(A)は、非水溶性の樹脂であり、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体をケン化することによって得られる。かかるビニルエステル系モノマーは、代表的には酢酸ビニルである。エチレン−ビニルエステル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
また、本発明に用いられるEVOH樹脂としては、共重合体中に更に少量のプロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又はその塩、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレン等のコモノマーを共重合したものであっても差し支えない。さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等「後変性」されていても差し支えない。
特にヒドロキシ基含有α−オレフィン類を共重合したEVOH樹脂は、溶融成形加工性が良好になる点で好ましく、中でも1,2−ジオールを側鎖に有するEVOH樹脂が好ましい。
本発明の効果をより顕著に得るためには、添加物の分散性に優れるi)、ii)の方法、有機酸およびその塩を含有させる場合はiv)の方法が好ましい。
本発明で用いられるブロック共重合体(B)は、通常ハードセグメントとなる芳香族ビニルを主とするポリマーブロック(b1)と、通常ソフトセグメントとなる不飽和脂肪族炭化水素を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水添ブロック(b2)とを有するもので、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られているものを用いることができる。
また、他の共重合性モノマーを含む場合、芳香族ビニルポリマーブロック(b1)における他の共重合性モノマーの含有率は、ブロック共重合体(B)のエラストマー性が損なわれないように、ポリマーブロック重量の10重量%以下とすることが好ましく、5重量%以下とすることがより好ましい。
上記ジエンとしては、イソブチレン、ヘキサジエンなどが挙げられる。これらのジエンは、上記共役ジエン化合物からなるポリマーブロックの水素添加の結果、得られたものであってもよい。
上記アルケンとしては、エチレン、プロピレン、ブチレンなどが挙げられる。これらのアルケンは、上記共役ジエン又はジエンからなるポリマーブロックの水素添加の結果、得られたものであってもよい。
EVOH樹脂(A)の溶融粘度とブロック共重合体(B)との溶融粘度が近い程、溶融混練が容易になり、ブロック共重合体(B)がEVOH樹脂中に均一に分散した樹脂組成物が得られやすく、ひいては耐屈曲性、透明性に優れた樹脂組成物が得られやすい。具体的には、230℃、荷重2160g条件下で測定したMFR比(EVOH樹脂(A)/ブロック共重合体(B))が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜4、より好ましくは0.7〜3.0である。
本発明で用いられる変性ブロック共重合体(C)は、芳香族ビニル単位を主とするポリマーブロック(c1)と、不飽和脂肪族炭化水素を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水素添加ブロック(c2)とを有するブロック共重合体であり、さらに極性基を有するブロック共重合体である。具体的には、上述のブロック共重合体(B)を極性基含有化合物で、変性したものである。
変性ブロック共重合体(C)としては、EVOH樹脂(A)と適度に反応性を有することが好ましく、この点から、カルボキシル基及びアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性基を有する変性ブロック共重合体(C)が好ましく、より好ましくはカルボキシル基を有する変性ブロック共重合体(C)である。
変性ブロック共重合体(C)のブロック共重合体と、ブロック共重合体(B)の各ポリマーブロックのモノマー構成(すなわちb1とc1、b2とc2)やブロック構造は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
かかる酸価が高すぎると、EVOH樹脂との反応点が多くなるため、高重合度化物が発生しやすくなり、樹脂組成物のMFRが低下して溶融成形加工性が不足し、フィッシュアイが発生しやすい傾向にある。また、高重合度化物が発生することで、樹脂組成物内で粘度の偏りが発生し、樹脂組成物をフィルムとしたときにスジが発生しやすくなり、耐屈曲性が低下する傾向がある。
EVOH樹脂(A)の溶融粘度と変性ブロック共重合体(C)との溶融粘度が近いほど、溶融混練が容易になり、耐屈曲性、透明性に優れた樹脂組成物が得られやすい。具体的には、230℃、荷重2160g条件下で測定したMFR比(EVOH樹脂(A)/変性ブロック共重合体(C))が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜4.0、より好ましくは0.7〜3.0である。
本発明の樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分が特定割合で配合されているところに特徴があり、特にEVOH樹脂(A)がマトリックスとして存在するところに特徴がある。
本発明の樹脂組成物において、EVOH樹脂(A)とブロック共重合体(B)との重量比率(A/B)が70/30〜99/1、好ましくは70/30〜85/15、より好ましくは70/30〜80/20である。EVOH樹脂(A)を主成分とし、ブロック共重合体(B)の2倍以上の比率で配合することにより、EVOH樹脂(A)がマトリックスとして存在するとともに、EVOH樹脂(A)が本来有するガスバリア性を保持することができる。
かかる配合比率(C/B)が高くなりすぎると、耐屈曲性の改善効果が得られにくい反面、EVOH樹脂(A)と変性ブロック共重合体(C)の親和性が高くなることによって高重合度化物が発生しやすくなり、樹脂組成物のMFRが低下して溶融成形加工性が低下し、フィッシュアイが発生しやすい傾向がある。また、高重合度化物の発生は、樹脂組成物内での粘度の偏りの原因となり、成形により得られるフィルムにスジが発生しやすくなり、結果として耐屈曲性改善効果を損なう傾向がある。さらに、樹脂組成物が黄色に着色しやすくなる原因ともなる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば樹脂組成物の2重量%以下)にて、上記EVOH樹脂(A)、ブロック共重合体(B)、変性ブロック共重合体(C)の他に、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
本発明の樹脂組成物は、以上のような成分を混合することによって調製できる。かかる混合方法としては、溶融混合法、溶液混合法等が挙げられる。生産性の点からは溶融混合法が好ましい。
溶融混合方法としては、各成分をドライブレンドした後に溶融して混合する方法や、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の混練装置を使用して行うことができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いることが工業上好ましく、また、必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。
溶液混合方法としては、例えば各成分を良溶媒に溶解して混合し、貧溶媒中で析出させる方法等が挙げられる。
本発明の多層構造体は、上記本発明の樹脂組成物からなる層(以下、単に「樹脂組成物層」という)を少なくとも1層有する多層構造体である。
本発明の多層構造体を構成する樹脂組成物層以外の層を構成する樹脂としては、特に限定しないが、EVOH樹脂以外の熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、環状ポリオレフィン、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したもの等の広義のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で構成される層が挙げられる。これらの樹脂の他に、紙、金属箔、1軸又は2軸延伸プラスチックフイルム又はシート、織布、不織布、金属綿条、木質面、アルミやシリカ蒸着と組み合わせた多層構造体であってもよい。中でも機械的強度や溶融成形加工性の点で、好ましくはポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンである。
また、該多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品等を再溶融成形して得られる、樹脂組成物とEVOH以外の熱可塑性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/a/R、R/b/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
さらに上記した多層構造体の層間には公知の接着性樹脂を用いても良い。
本発明の多層構造体は、種々の成形品材料として用いることができる。例えば、本発明の多層構造体を、例えばチューブ状や袋状などの形態に加工して、みりん、醤油、ソース、麺つゆ、食用油等の食品、ワイン、ジュース、牛乳、ミネラルウォーター、日本酒、焼酎、コーヒー、紅茶等の飲料、医薬品、化粧品、次亜塩素酸ソーダ、現像液、バッテリー液等の工業用薬品、液体肥料等の農薬、洗剤等各種の液体の包装材料として広範囲の用途に使用することが可能である。
ヒートシール法では、上記共押出法等により製膜された積層体をそのまま、あるいは必要に応じて2重又は3重に重ね合わせて、液体注入口の密封取り付け用の穴を打ち抜き、その穴に、予め射出成形で成形した液体注入口の密封栓をヒートシール法で融着させる。このときに、該積層体と打ち抜き処理のしていない別の積層体とを合わせて四方ヒートシールして袋状の液体容器とすることができる。
ブロー成形法では、複数の押出機から共押出法により押し出された円筒状の上記の多層構造体(パリソン)を金型で型締めして成形する。液体注入口の密封栓は、予め射出成形
で成形したものを金型内にセットしておき、ブロー成形時に成形容器と融着させる。その
後、液体注入口をあけることにより袋状の液体容器とすることができる。
尚、実施例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
(1)ガスバリア性
調製した樹脂組成物で作製した厚み30μmの単層フィルムについて、20℃、65%RH条件下で、MOCON社のOxtran2/20を用いて、厚み30μmあたりの酸素透過度(cc/m2・day・atm)を測定した。
乾燥状態でA4サイズ、厚み30μmの乾燥状態の単層フィルムを、23℃、50%RHの条件下で、理学工業社のゲルボフレックステスターを用いて、捻じり試験を行った。
なお、かかるゲルボフレックステスターの捻じり条件は、440°捻じり:3.5インチ、直線水平:2.5インチである。上記捻じり試験を500回(40サイクル/分)加えた後、該単層フィルムの中央部28cm×17cmあたりのピンホール発生数を数えた。かかるテストを5回試行し、その平均値を求めた。
調製した樹脂組成物で作製した厚み30μmの単層フィルムについて、マミヤ・オービー社のデジタル表面欠陥検査システムGX70LT−HSを用いて、10cm×10cmの範囲で直径0.1m以上のフィッシュアイの個数を測定した。さらに、直径0.1mm以上のフィッシュアイ中の直径0.2mm以上のフィッシュアイの個数を数えた。
樹脂組成物を東洋精機社のメルトインデクサーF−BO1を用いて、荷重2160g、温度210℃にてMFR(g/10分)を測定した。
EVOH樹脂(A)として、表1に示す2種類のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH1、EVOH2)を用いた。EVOH1、2は、いずれも表1に示すホウ酸量のホウ素化合物が添加されている。
また、表1及び表2に示すメルトフローレート(MFR)は、いずれも230℃、荷重2160gの測定値である。
押出機:直径(D)30mm、二軸押出機、L/D=42
スクリーンパック:90/90メッシュ
スクリュ回転数 :160rpm
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6−D=150/200/220/220/220/220−℃
吐出量:18kg/hr
押出機:直径(D)40mm、L/D=28
スクリュ:フルフライトタイプ 圧縮比=3.5
スクリーンパック:90/120/90メッシュ
ダイ:幅450mm、コートハンガータイプ
設定温度:C1/C2/C3/C4/A/D=190/210/230/230/220/220℃
スクリュ回転数:10rpm
引取速度:3m/min
ロール温度:80℃
エアーギャップ:15cm
ブロック共重合体(B)のスチレン含有率が12重量%と低いSEBS3を用いた場合(No.4,5)よりも、ブロック共重合体(B)のスチレン含有率が18重量%と高いSEBS4を用いた場合(No.3,6)の方が、耐屈曲性の向上効果が大きかった。ブロック共重合体(B)のスチレン含有率が高いほど、耐屈曲性が向上する傾向にあることがわかる。
ブロック共重合体(B)および変性ブロック共重合体(C)の配合比率(C/B)が0.11であるNo.8では、相溶化剤となる変性SEBSの量が少ないために、EVOH樹脂(A)中におけるブロック共重合体(B)の分散が不十分となるためか、ブロック共重合体(B)および変性ブロック共重合体(C)の配合比率(C/B)が0.2であるNo.4よりも、耐屈曲性が劣る傾向にあった。
一方、ブロック共重合体(B)に対する変性ブロック共重合体(C)の配合比率が0.2である場合(No.4)と0.5である場合(No.9)とを比べると、耐屈曲性評価は、いずれも良好であった。より好ましくは、耐屈曲性の観点から、C/Bを0.15以上としておく方がよいことがわかる。ただし、No.9で得られたフィルムについては、細かいスジが多いことが目視で判別できる程度であったため、実用には足るものであるものの、透明性に改善の余地があった。また、No.9のMFR値は0.8g/10分であり、溶融成形性についても、No.4、8と比べて、低下する傾向にあった。No.9では、ブロック共重合体(B)に対する変性ブロック共重合体(C)の配合比率(C/B)の値が大きくなったため、EVOH樹脂(A)と変性ブロック共重合体(C)が反応して高重合度化物を発生し、それが樹脂組成物内で粘度の偏りを引き起こし、樹脂の均一性が若干不足したためと考えられる。従って、フィルム外観、溶融成形性の観点から、C/Bを0.25未満とすることが好ましいことがわかる。
一方、No.10、11は、フィッシュアイ数やMFR値に関しては、No.7よりも優れていた。ガスバリア性、耐屈曲性、フィッシュアイ数、MFR値を総合的に判断すると、No.10、11が、上記特性の全てがバランスよく優れたものであることがわかる。
Claims (11)
- エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A);芳香族ビニル単位を主とするポリマーブロック(b1)と、不飽和脂肪族炭化水素を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水素添加ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B);芳香族ビニル単位を主とするポリマーブロック(c1)と、不飽和脂肪族炭化水素を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水素添加ブロック(c2)とを有するブロック共重合体で、且つ極性基を含有する変性ブロック共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって、
前記ブロック共重合体(B)に対する前記エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)の重量比率(A/B)が70/30〜99/1であり、
前記ブロック共重合体(B)に対する前記変性ブロック共重合体(C)の重量比率(C/B)が0.01〜10である樹脂組成物。 - エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)とブロック共重合体(B)の230℃、荷重2160gにおけるメルトフローレート値の比(A/B)が0.1〜10である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記ブロック共重合体(B)における芳香族ビニル含有率は5〜50重量%である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記変性ブロック共重合体(C)の極性基の含有量は、0.1×10-2〜1ミリモル/gである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記変性ブロック共重合体(C)の極性基がカルボキシル基である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記ブロック共重合体(C)のカルボキシル基の含有量は20mgCH3ONa/g以下である請求項5に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体。
- 厚みが1〜1500μmである請求項6に記載の多層構造体。
- 請求項8又は9に記載の多層構造体からなる液体容器。
- 請求項8又は9に記載の多層構造体からなるバックインボックス用バック。
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