JP7339020B2 - エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物、成形体及び多層構造体 - Google Patents

エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物、成形体及び多層構造体 Download PDF

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Description

本発明は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」と略記する場合がある)を含有する樹脂組成物に関する。また本発明は当該樹脂組成物からなる層を有する多層構造体に関する。さらに本発明は当該多層構造体を備えるバッグインボックス用内容器に関する。
EVOHは、酸素等のガスに対して優れたバリア性を示し、かつ溶融成形性にも優れることから、フィルムなどに加工され、食品包装材料等として広く利用されている。しかし、EVOHのフィルムは高い結晶性を有するために剛直であり、耐衝撃性に劣り、屈曲によりピンホールを生じやすいという欠点を有する。
一方、近年、利便性、軽量、耐落下性などの利点から、ミネラルウォーターやワインなどの飲料用液体を輸送・保存するためにバッグインボックスが利用されるようになってきた。バッグインボックスとは、ダンボール箱の内部に、液体注入口を設けたフレキシブルなプラスチックの内容器(バッグインボックス用内容器)を収納したものである。
上記内容器としてEVOH層を有する多層構造体も用いられている。しかし、このバッグインボックス用内容器は、輸送時に繰り返しの屈曲に晒されるために、従来のEVOH層を有する多層構造体では輸送中にピンホールを生じる場合がある。そこで、この問題を解決すべく柔軟性及び耐屈曲性に優れるバッグインボックス用内容器が提案されている。
EVOH樹脂単独の層は、高分子側鎖に存在する水酸基同士の水素結合のため非常に強い分子間力を有することから結晶性が高く、非晶部も強い水素結合を有することから耐屈曲性に劣る。このため、バッグインボックス等の用途においては、耐屈曲性を補うために柔軟性の高いエラストマー樹脂とのブレンドが好適に用いられている。エラストマー樹脂とEVOHとはその相容性に課題があり、EVOH樹脂との反応性を有するカルボキシル基などの反応性基を有するエラストマー樹脂を使用することが提案されている。
たとえば、特許文献1には、無水マレイン酸変性されたスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加体(スチレン含量40質量%、無水マレイン酸変性度0.145mmol/gおよびスチレン含量30質量%、無水マレイン酸変性度0.123mmol/g)とEVOH(エチレン含量44モル%)からなる樹脂組成物が記載されている。実施例では射出成形体としてEVOH樹脂に比較して耐衝撃強度が向上することが示されている。
一方でEVOH樹脂に柔軟成分を均一に分散させるために反応性基を導入した柔軟成分を加えて溶融混練すると、EVOH樹脂と反応し高重合度化物が発生する場合がある。高重合度化物が発生すると溶融粘度の低下によりゲル化やフィッシュアイの発生が増加し製膜したフィルムの品質を低下させる問題がある。特許文献2では、具体的にはEVOHと未変性のスチレン-ブタジエン-スチレン共重合体水素添加物及び酸変性されたスチレン-ブタジエン-スチレン共重合体水素添加物からなる樹脂組成物が記載され、実施例には、単層フィルムが記載されており、ガスバリア性の維持と耐屈曲性の向上および低フィシュアイを両立できるとされている。
特開昭63-304043号公報 特開2010-254968号公報
しかし、上記従来の樹脂組成物においては、EVOHと特定の変性熱可塑性樹脂との間の屈折率の差が大きいことや、変性熱可塑性樹脂の変性度が高いこと等に起因すると考えられる樹脂組成物の透明性の低下に伴う、包装材として使用した際の内容物の視認性の低下が問題とされていた。
本発明は、優れた酸素バリア性、高い柔軟性及び耐屈曲性を有すると共に高い透明性を有する樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに本発明は、溶融混練時の加工性に優れかつ透明性に優れたバッグインボックス用内容器を提供することを目的とする。
本発明によれば上記目的は
[1]エチレン単位含有量が20~60モル%であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)および無水マレイン酸変性度が0.0075~0.015mmol/gである無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)を含み、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)と無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)との質量比(A)/(B)が65/35~90/10である、樹脂組成物;
[2]エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)と無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)との屈折率差の絶対値が0.04以下である、[1]の樹脂組成物;
[3]無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)におけるスチレン系単位を主とする重合体ブロックの含有率が10質量%以上30質量%以下である、[1]または[2]の樹脂組成物;
[4]無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)が、無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン/イソプレン-スチレンブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体の水素添加体である、[1]~[3]のいずれかの樹脂組成物;
[5][1]~[4]のいずれかの樹脂組成物を含む成形体;
[6][1]~[4]のいずれかの樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体;
[7][6]の多層構造体を備えるバッグインボックス用内容器;を提供することで達成される。
本発明によれば、優れた酸素バリア性、高い柔軟性及び耐屈曲性を有すると共に高い透明性を有する樹脂組成物を提供できる。特に、溶融混練時の加工性及び透明性に優れたバッグインボックス用内容器を提供できる。
本発明の樹脂組成物は、エチレン単位含有量が20~60モル%であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)(以下「EVOH(A)」と略記する場合がある)および無水マレイン酸変性度が0.0075~0.015mmol/gである無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)(以下「変性スチレン系ブロック共重合体(B)」と略記する場合がある)を含み、EVOH(A)と変性スチレン系ブロック共重合体(B)との質量比(A)/(B)が65/35~90/10
(EVOH(A))
本発明の樹脂組成物はEVOH(A)を含むことで、得られる成形体のガスバリア性を高めることができる。EVOH(A)は、通常、エチレン-ビニルエステル共重合体をケン化することで得られる。すなわちEVOH(A)は通常、エチレン-ビニルエステル共重合体のケン化物である。エチレンとビニルエステルとの共重合、及びエチレン-ビニルエステル共重合体のケン化は公知の方法で行うことができる。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的だが、他のビニルエステル、例えば脂肪酸ビニルエステル(ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサティック酸ビニル等)であってもよい。
EVOH(A)のケン化度の下限は90モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、99モル%がさらに好ましい。EVOH(A)のケン化度が90モル%以上であると、本発明の樹脂組成物におけるガスバリア性、粘度安定性、溶融成形時の熱安定性、耐湿性等が良好となる傾向となる。ケン化度の上限は100モル%であってもよく、99.97モル%であってもよく、99.94モル%であってもよい。
EVOH(A)におけるエチレン単位含有量の下限は20モル%であり、25モル%が好ましく、30モル%がより好ましい。エチレン単位含有量の上限は60モル%であり、50モル%が好ましく、45モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましい。エチレン単位含有量が20モル%未満では、本発明の樹脂組成物の耐屈曲性、粘度安定性、溶融成形時の熱安定性が低下する傾向にある。また、エチレン単位含有量が60モル%を超えると、ガスバリア性が低下する傾向にある。なお、本明細書において「ガスバリア性」は、酸素透過度の測定結果に基づいて評価する。
EVOH(A)は、本発明の目的が阻害されない範囲で、エチレン、ビニルエステル及びそのケン化物以外の他の単量体由来の単位を有していてもよい。EVOH(A)が他の単量体由来の単位を有する場合、EVOH(A)の全構造単位に対する他の単量体単位の含有量は30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下が特に好ましい。EVOH(A)が他の単量体単位を含む場合、その含有量を調整することで融点を調整することも可能である。また、EVOH(A)が他の単量体由来の単位を含む場合、その下限値は特に限定されず、例えば0.05モル%であっても、0.10モル%であってもよい。上記他の単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和酸またはその無水物、塩、またはモノ若しくはジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸またはその塩;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β-メトキシ-エトキシ)シラン、γ-メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等のビニルシラン化合物;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
また、他の単量体由来の単位が下記一般式(I)で表される構造単位(I)、下記一般式(II)で表される構造単位(II)、及び下記一般式(III)で表される構造単位(III)の少なくともいずれか1種であってもよい。EVOH(A)がこのような構造単位を有すると、得られるフィルム等の耐屈曲性等をより高めることができる。
Figure 0007339020000001
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、炭素数3~10の脂環式炭化水素基、炭素数6~10の芳香族炭化水素基又は水酸基を表す。また、R1、R2及びR3のうちの一対、R4とR5、R6とR7は結合していてもよい。また、上記炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、炭素数3~10の脂環式炭化水素基及び炭素数6~10の芳香族炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子、ホルミル基又は炭素数2~10のアルカノイル基を表す。
構造単位(I)、(II)又は(III)において、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基等が挙げられ、炭素数3~10の脂環式炭化水素基としてはシクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられ、炭素数6~10の芳香族炭化水素基としてはフェニル基等が挙げられる。
構造単位(I)において、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子、メチル基、エチル基、水酸基、ヒドロキシメチル基及びヒドロキシエチル基であることが好ましく、中でも、本発明の樹脂組成物の延伸性及び熱成形性をさらに向上できる観点からは、それぞれ独立して水素原子、メチル基、水酸基及びヒドロキシメチル基であることがさらに好ましい。
EVOH(A)中に構造単位(I)を含有させる方法は特に限定されず、例えば、エチレンとビニルエステルとの重合において、構造単位(I)に誘導される単量体を共重合させる方法等が挙げられる。かかる単量体としては、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン等のアルケン;3-ヒドロキシ-1-プロペン、3-アシロキシ-1-プロペン、3-アシロキシ-1-ブテン、4-アシロキシ-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-1-ブテン、3-アシロキシ-4-ヒドロキシ-1-ブテン、4-アシロキシ-3-ヒドロキシ-1-ブテン、3-アシロキシ-4-メチル-1-ブテン、4-アシロキシ-2-メチル-1-ブテン、4-アシロキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-2-メチル-1-ブテン、4-ヒドロキシ-1-ペンテン、5-ヒドロキシ-1-ペンテン、4,5-ジヒドロキシ-1-ペンテン、4-アシロキシ-1-ペンテン、5-アシロキシ-1-ペンテン、4,5-ジアシロキシ-1-ペンテン、4-ヒドロキシ-3-メチル-1-ペンテン、5-ヒドロキシ-3-メチル-1-ペンテン、4,5-ジヒドロキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-ジヒドロキシ-1-ヘキセン、4-ヒドロキシ-1-ヘキセン、5-ヒドロキシ-1-ヘキセン、6-ヒドロキシ-1-ヘキセン、4-アシロキシ-1-ヘキセン、5-アシロキシ-1-ヘキセン、6-アシロキシ-1-ヘキセン、5,6-ジアシロキシ-1-ヘキセン等の水酸基やエステル基を有するアルケンが挙げられる。中でも、共重合反応性、及び得られるフィルム等のガスバリア性の観点からは、プロピレン、3-アシロキシ-1-プロペン、3-アシロキシ-1-ブテン、4-アシロキシ-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-1-ブテンが好ましい。アシロキシはアセトキシであることが好ましく、具体的には3-アセトキシ-1-プロペン、3-アセトキシ-1-ブテン、4-アセトキシ-1-ブテン及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテンが好ましい。エステルを有するアルケンの場合は、ケン化反応の際に、上記構造単位(I)に誘導される。
構造単位(II)において、R4及びR5は共に水素原子であることが好ましい。特に、R4及びR5が共に水素原子であり、R6及びR7のうちの一方が炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、他方が水素原子であることがより好ましい。脂肪族炭化水素基は、アルキル基及びアルケニル基が好ましい。得られるフィルム等のガスバリア性を特に重視する観点からは、R6及びR7のうちの一方がメチル基又はエチル基、他方が水素原子であることが特に好ましい。また上記R6及びR7のうちの一方が(CH2hOHで表される置換基(但し、hは1~8の整数であり、hは1~4の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい)、他方が水素原子であることも特に好ましい。
EVOH(A)中に構造単位(II)を含有させる方法は特に限定されない。例えば、ケン化反応によって得られたEVOH(A)に下記一般式(IV)~(X)で示される一価エポキシ化合物を反応させる方法等が好適に用いられる。
Figure 0007339020000002
式中、R14、R15、R16、R17及びR18はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基等)、炭素数3~10の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基等)又は炭素数6~10の脂肪族炭化水素基(フェニル基等)を表す。また、i、j、k、p及びqはそれぞれ独立して1~8の整数を表す。ただし、R17が水素原子である場合、R18は水素原子以外の置換基を有する。
一般式(IV)で表される一価エポキシ化合物としては、例えばエポキシエタン(エチレンオキサイド)、エポキシプロパン、1,2-エポキシブタン、2,3-エポキシブタン、3-メチル-1,2-エポキシブタン、1,2-エポキシペンタン、3-メチル-1,2-エポキシペンタン、1,2-エポキシヘキサン、2,3-エポキシヘキサン、3,4-エポキシヘキサン、3-メチル-1,2-エポキシヘキサン、3-メチル-1,2-エポキシヘプタン、4-メチル-1,2-エポキシヘプタン、1,2-エポキシオクタン、2,3-エポキシオクタン、1,2-エポキシノナン、2,3-エポキシノナン、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシドデカン、エポキシエチルベンゼン、1-フェニル-1,2-プロパン、3-フェニル-1,2-エポキシプロパン等が挙げられる。
一般式(V)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルキルグリシジルエーテル等が挙げられる。一般式(VI)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルキレングリコールモノグリシジルエーテルが挙げられる。一般式(VII)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルケニルグリシジルエーテルが挙げられる。一般式(VIII)で表される一価エポキシ化合物としては、グリシドール等の各種エポキシアルカノールが挙げられる。一般式(IX)で表される一価エポキシ化合物としては、各種エポキシシクロアルカンが挙げられる。一般式(X)で表される一価エポキシ化合物としては、各種エポキシシクロアルケンが挙げられる。
一価エポキシ化合物の中では炭素数が2~8のエポキシ化合物が好ましい。特に化合物の取り扱いの容易さ、及び反応性の観点から、一価エポキシ化合物の炭素数は2~6がより好ましく、2~4がさらに好ましい。また、一価エポキシ化合物は上記一般式のうち一般式(IV)で表される化合物及び(V)で表される化合物であることが特に好ましく、EVOH(A)との反応性及び得られる成形体等のガスバリア性等の観点から1,2-エポキシブタン、2,3-エポキシブタン、エポキシプロパン、エポキシエタン及びグリシドールが好ましく、中でもエポキシプロパン及びグリシドールが特に好ましい。
構造単位(III)において、R8、R9、R10及びR11は水素原子又はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基及びn-ペンチル基などの炭素数1~5の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
EVOH(A)中に構造単位(III)を含有させる方法は特に限定されず、例えば特開2014-034647号公報に記載の方法が挙げられる。
EVOH(A)の融点は特に限定されないが、下限は160℃が好ましく、170℃がより好ましく、180℃がさらに好ましく、190℃又は194℃が特に好ましいことがある。一方、融点の上限は240℃が好ましく、220℃がより好ましく、200℃がさらに好ましい。EVOH(A)の融点が上記範囲にあると、溶融成形性がより高まる。
EVOH(A)の溶融粘度は、210℃、2160g荷重の条件下におけるメルトフロレート(MFR)の下限値として1g/10分が好ましく、3g/10分がより好ましい。一方、MFRの上限は15g/10分が好ましく、10g/10分がより好ましく、6g/10分がさらに好ましい。このような溶融粘度のEVOH(A)を用いることで溶融成形性が良好となり、本発明の樹脂組成物中における無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体の平均分散粒子径を小さくできる傾向がある。なお、本明細書におけるMFRの値は、ASTM D1238に準拠して測定できる。
EVOH(A)の屈折率は1.51以上が好ましく、1.52以上がより好ましく、1.53以上がさらに好ましい。また、EVOH(A)の屈折率は1.55以下が好ましく、1.54以下がより好ましい。EVOH(A)の屈折率が上記範囲にあると、後述する無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体の屈折率と同等程度に調整しやすい傾向となり、本発明の樹脂組成物の透明性をより高めることができる。EVOH(A)の屈折率は、例えばエチレン単位含有量やケン化度を変化させることで調整できる。本発明における屈折率は、例えば実施例記載の方法によって測定できる。
EVOH(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、エチレン単位含有量、ケン化度、MFR、屈折率等は2種以上のEVOH(A)の混合物を基に考慮するものとするが、各EVOH(A)が前述した好適な範囲にあることが好ましい。
(無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B))
変性スチレン系ブロック共重合体(B)は、スチレン系単位を主とするハードセグメント(Hb)と、不飽和脂肪族炭化水素を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水素添加ブロックからなるソフトセグメント(Sb)とを有し、無水マレイン酸変性されたブロック共重合体であり、無水マレイン酸変性度が0.0075~0.015mmol/gである。本発明の樹脂組成物は、特定の無水マレイン酸変性度を有する変性スチレン系ブロック共重合体(B)を特定量有することで、溶融成形時の粘度安定性、樹脂組成物の透明性及びガスバリア性を良好に維持しつつ、耐屈曲性を高めることができる。また、理由は定かでは無いが、変性スチレン系ブロック共重合体(B)を用いた場合、変性スチレン系ブロック共重合体(B)以外の変性樹脂を用いる場合と比べ、本発明の成形体の耐屈曲性が優れる傾向となる。
変性スチレン系ブロック共重合体(B)の共重合体の構造としては、Hb-Sbで表されるジブロック構造、Hb-Sb-Hb、Sb-Hb-Sbで表されるトリブロック構造、Hb-Sb-Hb-Sbで表されるテトラブロック構造、又はHbとSbとが計5個以上直鎖状に結合しているポリブロック構造であってもよい。これらの中でもHb-Sb-Hbで表されるトリブロック構造が好ましい。
Hbに使用されるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、2-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、t-ブトキシスチレン等のスチレン類などを挙げることができる。中でも、スチレンが好ましい。変性スチレン系ブロック共重合体(B)を構成するスチレン系単位を主とするハードセグメントに使用されるスチレン系単量体は1種のみでも良く、2種以上であっても良い。
変性スチレン系ブロック共重合体(B)において、Hbの割合は10~30質量%が好ましく、15~25質量%がより好ましく、17~23質量%が特に好ましい。Hbの割合が10質量%以上であると、EVOH(A)との屈折率差を小さくできる傾向となる。また、Hbの割合が30質量%以下であると、本発明の樹脂組成物の熱安定性及び耐屈曲性が良好となる傾向となる。
Sbに使用される不飽和脂肪族炭化水素としては、ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチルブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン等の共役ジエン化合物を挙げることができる。共役ジエン化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。中でも、ブタジエンおよびイソプレンの少なくとも1種を用いることが好ましく、イソプレンがより好ましい。さらに、他の不飽和炭化水素、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、スチレンなどを共重合していてもよい。また、Sbは、少なくとも部分的に水素添加された水素添加体であることが好ましい。
Sbを構成する不飽和脂肪族炭化水素が共役ジエン化合物である場合、その結合形態は特に限定されず、例えばイソプレンの場合には1,2-結合、3,4-結合、1,4-結合を、ブタジエンの場合には1,2-結合、1,4-結合をとることができる。本明細書において、Sbがイソプレン単位を含む場合は1,2-結合及び3,4-結合量の合計量をビニル結合量とし、Sbがブタジエン単位を含む場合は、1,2-結合量をビニル結合量とし、Sbを構成する全イソプレン及びブタジエン単位におけるビニル結合量の含有量をビニル化度(モル%)と称する。1,2-結合量及び3,4-結合量は1H-NMR測定によって算出できる。変性スチレン系ブロック共重合体(B)のビニル化度は3~75モル%が好ましく、4~70モル%がより好ましく、5~65モル%がさらに好ましい。変性スチレン系ブロック共重合体(B)のビニル化度が上記範囲にあると、本発明の樹脂組成物の透明性がより向上する傾向となる。
変性スチレン系ブロック共重合体(B)の具体例としては、無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン-スチレントリブロック共重合体、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン/イソプレン-スチレントリブロック共重合体、及び無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合体並びにその水素添加体が挙げられる。中でも、無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン-スチレントリブロック共重合体の水素添加体、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン/イソプレン-スチレントリブロック共重合体の水素添加体、及び無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合体の水素添加体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。中でも無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン―スチレントリブロック共重合体の水素添加体が特に好ましい。
変性スチレン系ブロック共重合体(B)の無水マレイン酸変性度の上限は0.015mmol/gであり、0.012mmolが好ましく、0.0095mmol/gがより好ましい。無水マレイン酸変性度が0.015mmol/gを超えると、EVOH(A)との混練において高重合度化物の発生に伴う透明性の低下が生じる傾向となる。無水マレイン酸変性度の下限は0.0075mmol/gであり、0.0085mmol/gが好ましい。無水マレイン酸変性度が0.0075mmol/gを下回ると、EVOH(A)との相容性が低下し、透明性が低下する傾向となる。特に、本発明の樹脂組成物において、EVOH(A)のマトリックス中に変性スチレン系ブロック共重合体(B)が分散している場合、変性スチレン系ブロック共重合体(B)の平均分散粒子径が大きくなる傾向となり、透明性の低下やペレタイズ時の目ヤニの増加を引き起こす傾向となる。
変性スチレン系ブロック共重合体(B)の屈折率は1.48~1.56が好ましく、1.49~1.55がより好ましい。変性スチレン系ブロック共重合体の屈折率は、他の熱可塑性エラストマーと比較して容易に調節できる傾向にあり、具体的には、スチレン含量やソフトセグメントの構造(ビニル化度および二重結合の水添の程度)により調節できる。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物において、EVOH(A)と変性スチレン系ブロック共重合体(B)の質量比((A)/(B))の下限は65/35であり、70/30が好ましい。一方、かかる質量比((A)/(B))の上限は90/10であり、85/15が好ましく、80/20がより好ましい。EVOH(A)と変性スチレン系ブロック共重合体(B)の質量比((A)/(B))を上記範囲とすると、良好な透明性を維持しつつ、ガスバリア性及び耐屈曲性をバランス良く高めることができる。
本発明において、EVOH(A)と変性スチレン系ブロック共重合体(B)との屈折率差の絶対値が0.04以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましく、0.02以下であることがさらに好ましい。前記屈折率差の絶対値は、0.005以上であってもよい。かかる屈折率の絶対値差が上述した範囲にあると、本樹脂組成物の透明性がより良好になる。
(平均分散粒子径)
本樹脂組成物において、EVOH(A)のマトリックス中に変性スチレン系ブロック共重合体(B)が分散していることが好ましい。すなわち、本樹脂組成物は海島構造を有し、海相がEVOH(A)を含み、島相が変性スチレン系ブロック共重合体(B)を含むことが好ましい。
海島構造における島相の変性スチレン系ブロック共重合体(B)の平均分散粒子径は、透明性を向上させる観点から、4.5μm以下が好ましく、3.5μm以下がより好ましく、3.0μm以下がさらに好ましく、2.5μm以下が特に好ましく、2.0μm以下が最も好ましい。変性スチレン系ブロック共重合体(B)の平均粒子径は、0.1μm以上であってもよい。変性スチレン系ブロック共重合体(B)の平均分散粒子径が上述した範囲にあると、ガスバリア性及び透明性を保ちつつ柔軟性が向上し、さらに耐屈曲性が向上する。本発明において変性スチレン系ブロック共重合体(B)の平均分散粒子径は、無水マレイン酸変性量、混練強度の調整、及びEVOH(A)と変性スチレン系ブロック共重合体(B)の組成比の調整により調整できる。
(その他添加剤)
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、樹脂成分以外の金属塩、酸、ホウ素化合物、可塑剤、フィラー、ブロッキング防止剤、滑剤、耐熱安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、充填材、各種繊維などの補強材等、他の成分を有していてもよい。中でも、熱安定性や他の樹脂との接着性の観点から、金属塩、酸およびホウ素化合物を含むことが好ましい。
金属塩としては、層間接着性を高める観点からはアルカリ金属塩が好ましく、熱安定性の観点からはアルカリ土類金属塩が好ましい。本発明の樹脂組成物が金属塩を含む場合、その含有量は金属塩の金属原子換算で1ppm以上が好ましく、5ppm以上がより好ましく、10ppm以上がさらに好ましく、20ppm以上が特に好ましい。また金属塩の含有量は樹脂組成物に対し金属塩の金属原子換算で10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、1000ppm以下がさらに好ましく、500ppm以下が特に好ましい。金属塩の含有量が上記範囲にあると、層間接着性を良好に保ちつつ、本発明の成形体を再使用の目的で粉砕し再度成形(リサイクル)した際の熱安定性が良好となる傾向になる。
酸としては、シュウ酸、コハク酸、安息香酸、クエン酸、酢酸、乳酸等のカルボン酸化合物又はリン酸、亜リン酸等のリン酸化合物が溶融成形時の熱安定性を高める観点から好ましい。本発明の樹脂組成物がカルボン酸化合物を含む場合、カルボン酸の含有量は樹脂組成物に対し1ppm以上が好ましく、10ppm以上がより好ましく、50ppm以上がさらに好ましい。カルボン酸の含有量は10000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましい。リン酸化合物を含む場合、リン酸化合物の含有量は樹脂組成物に対し1ppm以上が好ましく、10ppm以上がより好ましく、30ppm以上がさらに好ましい。リン酸化合物の含有量は10000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、300ppm以下がさらに好ましい。本発明の樹脂組成物がカルボン酸化合物又はリン酸化合物を上記範囲内で含むと、溶融成形時の熱安定性が良好になる傾向にある。
ホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が好ましい。本発明の樹脂組成物がホウ素化合物を含む場合、その含有量は樹脂組成物に対し1ppm以上が好ましく、10ppm以上がより好ましく、50ppm以上がさらに好ましい。ホウ素化合物の含有量は2000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましい。ホウ素化合物の含有量が上記範囲内であると、溶融成形時の熱安定性が良好になる傾向にある。
本発明の樹脂組成物の形状は特に限定されないが、通常、ペレット状や粉末状である。また、本発明の樹脂組成物は通常乾燥物で、その含水率は例えば10質量%以下であってもよく、1質量%以下であってよく、0.1質量%以下であってよい。
本発明の樹脂組成物における、EVOH(A)および変性スチレン系ブロック共重合体(B)の合計量の割合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましく、実質的にEVOH(A)および変性スチレン系ブロック共重合体(B)のみからなっても良い。EVOH(A)および変性スチレン系ブロック共重合体(B)の合計量の割合が50質量%以上であると、酸素バリア性、柔軟性、耐屈曲性及び透明性により優れる傾向となる。
本発明の樹脂組成物の210℃、2160g荷重の条件下におけるメルトフロレート(MFR)は1.0g/10分以上が好ましく、1.2g/10分以上がより好ましく、1.6g/10分以上がさらに好ましい。また、本発明の樹脂組成物のMFRは10g/10分以下が好ましく、7g/10分以下がより好ましく、5g/10分以下がさらに好ましい。本発明の樹脂組成物のMFRを上記範囲とすると、成形時の流動性が良好になり厚薄精度のよい成形体が得られる。成形体の厚薄精度が均一であると屈曲時の応力集中箇所が減少し耐屈曲性を向上できる。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、EVOH(A)と変性スチレン系ブロック共重合体(B)を溶融条件下で十分に混合又は混練して製造される。
溶融条件下における混合又は混練は、例えばニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の既知の混合装置又は混練装置を使用して行うことができる。混合又は混練の際の温度は、使用するEVOH(A)及び変性スチレン系ブロック共重合体(B)の融点等に応じて適宜調節すればよいが、通常160℃以上300℃以下の温度範囲内の温度を採用すればよく、180℃以上290℃以下であってもよく、200℃以上280℃以下であってもよい。
溶融条件下における混練装置として押出機を用いる場合には、単軸押出機、同方向または異方向噛合型の二軸押出機、プラネタリーギア式混練押出機などを使用できる。中でも、混練強度を制御する点から二軸押出機が最も好ましい。二軸押出機を用いた場合は、スクリューの回転数の上昇やスクリューエレメントの選択により混練強度を高めることができる。混練強度を高めることで本発明の樹脂組成物における変性スチレン系ブロック共重合体(B)の平均分散粒子径を小さくできる傾向となる。
分散状態を均一にし、ゲルや異物の発生や混入を抑制する観点からは、押出機を用い溶融混練する際に混練度の高い押出機を使用し、ホッパー口を窒素シールし、低温で押出すことが好ましい。
本発明の樹脂組成物が、リン酸化合物、カルボン酸、ホウ素化合物等を含有する場合、これらを含有させる方法は特に限定されない。例えば、本発明の樹脂組成物のペレット等を調製する際に組成物に添加して混練する方法が好適に採用される。添加する方法も特に限定されないが、乾燥粉末として添加する方法、溶媒を含浸させたペースト状で添加する方法、液体に懸濁させた状態で添加する方法、溶媒に溶解させて溶液として添加する方法、溶液に浸漬させる方法などが例示される。中でも、均質に分散させる観点から、溶媒に溶解させて溶液として添加する方法又は溶液に浸漬させる方法が好ましい。溶媒は特に限定されないが、添加剤の溶解性、コストの観点、取り扱いの容易性、作業環境の安全性等の観点から水が好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物は、良好な成形性、特に多層の共押出成形を行う際の成形性に優れ、ガスバリア性や、破断伸度等で評価される機械特性および透明性も良好である。このため本発明の樹脂組成物は、包装材料等の溶融成形材料、特にバックインボックス内容器の材料として好適に用いることができる。
<成形体>
本発明の一実施形態に係る成形体は、本発明の樹脂組成物を含む。かかる成形体は、本発明の樹脂組成物のみからなる成形体であってもよい。当該成形体としては、フィルム、シート、チューブ、ボトル、パイプ、袋、容器等が挙げられる。
本発明の成形体は、通常、本発明の樹脂組成物の溶融成形により製造できる。溶融成形としては、例えば押出成形、キャスト成形、インフレーション押出成形、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形、射出ブロー成形等が挙げられ、中でも押出成形を好適に採用できる。また、溶融成形温度は本発明の樹脂組成物の融点等により異なるが、150~270℃程度が好ましい。これらの成形体は再使用の目的で粉砕し再度成形(リサイクル)することも可能である。また、フィルム、シート等を一軸又は二軸延伸することも可能である。
<単層フィルム>
本発明の成形体が単層のフィルムである場合は、従来の単層フィルムと同様の方法により製造できる。中でも、本発明の樹脂組成物をキャスティングロール上に溶融押出するキャスト成形工程、及び/又は本発明の樹脂組成物から得られる無延伸フィルムを延伸する工程(一軸延伸工程、逐次二軸工程、同時二軸延伸工程、インフレーション成形工程)を備える方法が好ましい。
<多層構造体>
本発明の一実施形態に係る多層構造体は、本発明の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する。本発明の多層構造体は、2層以上の多層であってもよく、通常、本発明の樹脂組成物から形成される層と、他の成分からなる層とを有する。本発明の多層構造体は、シート又はフィルムなどであってよく、その他の形状に成形されたものであってもよい。前記他の成分からなる層としては、例えば、EVOH(A)及び変性スチレン系ブロック共重合体(B)以外の他の熱可塑性樹脂、紙、織布、不織布、金属綿条、木質面、熱硬化性樹脂から形成される層が挙げられ、中でも他の熱可塑性樹脂層が好ましい。本発明の多層構造体の層構造は特に限定されず、本発明の樹脂組成物からなる層をE、接着層をAd、他の熱可塑性樹脂から得られる層をTで表わす場合、T/E/T、E/Ad/T、T/Ad/E/Ad/T等の構造が挙げられる。これらの各層は単層であっても多層であってもよい。
本発明の多層構造体の製造方法としては、例えば本発明の樹脂組物から得られる成形体(フィルム、シート等)に熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、本発明の樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、本発明の樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを共射出する方法、本発明の樹脂組成物から得られる層と他の熱可塑性樹脂層とを公知の接着剤を用いてラミネートする方法等が挙げられる。
他の熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン(炭素数4~20のα-オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又はその共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエステルエラストマー、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリスチレン及びポリエステルが好ましく用いられる。
接着層としては、本発明の樹脂組成物の層及び他の熱可塑性樹脂の層との接着性を有していれば特に限定されないが、カルボン酸変性ポリオレフィンを含有する接着性樹脂が好ましい。カルボン酸変性ポリオレフィンとしては、オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン酸、そのエステル又はその無水物を化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を好適に用いることができる。ここでオレフィン系重合体とは、ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン、オレフィンと他の単量体との共重合体を意味する。中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチルエステル共重合体が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン-酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
<バッグインボックス用内容器>
本発明のバックインボックス用内容器は、本発明の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体を備える。例えば、液体注入口が他の樹脂組成物から成形され、容器本体が上記多層構造体で形成されたバックインボックス用内容器が挙げられ、上記多層構造体のフィルムやシートをヒートシールし、更に液体注入口を通常のヒートシール条件でヒートシールすることにより作成できる。なお、バックインボックス用内容器全体が本発明の樹脂組成物から形成されていてもよい。バックインボックス用内容器は、通常、輸送時等に繰り返しの屈曲にさらされる。バックインボックス用内容器成形時には、屈曲箇所や密封栓の周囲の厚みを増すなどの加工を施してもよい。本発明のバックインボックス用内容器は、優れた耐屈曲性と透明性を有する本発明の樹脂組成物層からなる層を備えるため、耐久性と内容物可視性に優れる。
以下、本発明について実施例等を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
<評価方法>
(1)無水マレイン酸変性度
実施例及び比較例で使用する変性スチレン系ブロック共重合体(B)について、JIS K 0070:1992に記載の中和滴定法に従って酸価を測定した。なお、測定する樹脂を溶解する溶媒をキシレンに変更し、得られた測定値を水酸化カリウムの物質量に換算した値を無水マレイン酸変性度とした。測定結果を表1に示す。
(2)屈折率
実施例及び比較例で用いるEVOH(A)および変性スチレン系ブロック共重合体(B)を用い、卓上用熱プレス装置(神藤金属工業所)を用いて、テフロン(登録商標)のシートの上に置いた厚さ2.0mmの鉄板スペーサーの円形の開口部に各樹脂を25g投入し、もう一枚のテフロン(登録商標)のシートで挟み、200℃で5分間熱プレスし厚さ2.0mmのシートを得た。得られたEVOH(A)及び変性スチレン系ブロック共重合体(B)の各単層シートについて、下記の装置を用いて屈折率を測定した。測定結果を表1に示す。
測定機器:プリズム カプラ Model 2010/M (アイリックス株式会社製)
波長:523nm
(3)メルトフローレート(MFR)
実施例及び比較例で得られる樹脂組成物ペレットについて、メルトインデクサーL244(宝工業株式会社製)を用いASTM D1238に準拠して、温度210℃、荷重2160gの条件下で流出速度(g/10分)を測定した。
(4)粘度安定性
実施例および比較例で得られる樹脂組成物ペレットを60g計量し230℃に設定したミキサー試験機(東洋精機製作所製R-60)に投入した。100rpmで90分間混練し、開始10分間後までの最大トルクに対して90分後までのトルク挙動の変化を観察した。
判定基準
A:90分間の混練中に、開始10分後までの最大トルクの60%未満のトルクを維持する
B:90分間の混練中に、開始10分後までの最大トルクの60%以上100%未満のトルクを維持する
C:90分以内に開始10分後までの最大トルクの100%以上のトルクを示す
(5)耐屈曲性
実施例及び比較例で得られた単層フィルムから12インチ×8インチにカットしたフィルムを20℃、65%RHの条件下で調湿したのち、理学工業製のゲルボフレックステスターを使用し、装置内を5℃に維持して屈曲性の測定を行った。具体的には、まず、12インチ×8インチのフィルムを直径3.5インチの円筒状とした。この両端を把持し、初期把持間隔7インチ、最大屈曲時の把持間隔1インチ、ストロークの最初の3.5インチで角度440度のひねりを加え、その後2.5インチは直進水平運動である動作の繰り返しからなる往復運動を40回/分の早さで行い、最初のピンホールが発生するまでの屈曲回数について測定した。ピンホールの有無は、屈曲後のフィルムを白色紙上に置き、かかるフィルムの屈曲部にASTRAZON Brilliant Red 4G (東京化成株式会社製)の0.5%水溶液からなる赤インクを塗布し、インク塗布部を上部から押さえつけた場合に、インクがフィルムを通過し白色紙が着色するか否かで判定した。
(6)ヤング率
実施例及び比較例で得られた単層フィルムを用いて、フィルムの流れに垂直な方向(TD方向)へ幅15mm、フィルムの流れ方向へ長さ120mm(MD方向)の短冊状の試験片を作製し、23℃、50%RHの条件下で恒温室内に1週間放置した後、株式会社島津製作所製オートグラフ(AG-A500型)を用いて、JIS K 7127に準じ、チャック間隔50mm、引張速度50mm/分の条件で、23℃、50%RHにおけるS-Sカーブ(応力-歪み曲線)を測定し、S-Sカーブの初期傾きからヤング率(MPa)を求めた。
(7)内部ヘイズ
実施例及び比較例で得られた単層フィルムを用いて、JIS K 7375に準じて、ポイック積分球式光線透過率・全光線反射率計(村上色彩技術研究所製「HR-100型」)を使用し内部ヘイズを測定した。内部ヘイズとは、厚み20μmのフィルム両面に水を塗布し、スライドグラスで挟んで測定したヘイズ値(曇り度)である。
(8)酸素透過度(OTR)
実施例及び比較例で得られた単層フィルムを20℃、65%RHの条件下で調湿したのち、酸素透過度測定装置(ModernControlの「OX-Tran2/20」)を使用し、JIS K 7162-2に準じて20℃、65%RHの条件下で酸素透過度(OTR)を測定した。
(9)平均分散粒子径
実施例及び比較例で得られた単層フィルムを流れ方向と直角の方向にミクロトームで切断し、120℃に熱したキシレンで洗浄することで断面に露出した変性スチレン系ブロック共重合体(B)を溶出させた。乾燥後、露出した断面に減圧雰囲気下で白金を蒸着した。白金が蒸着された断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて3000倍で測定し、変性スチレン系ブロック共重合体(B)の溶出痕20個程度を含む領域を任意に選択し、該領域中に存在する各々の溶出痕の粒径(長径(最も長い部分))の平均値を平均分散粒子径とした。
平均分散粒子径の評価は以下の通りとした。
A:1.2μm未満
B:1.2μm以上2.5μm未満
C:2.5μm以上5μm未満
D:5μm以上
<実施例及び比較例で用いた材料>
・EVOH(A)
A1:エバール(登録商標)F104B(株式会社クラレ製、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン単位含有量32モル%、融点183℃)
A2:エバール(登録商標)L104B(株式会社クラレ製、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン単位含有量27モル%、融点186℃)
A3:エバール(登録商標)E105B(株式会社クラレ製、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン単位含有量44モル%、融点165℃)
・変性スチレン系ブロック共重合体(B)
B1:無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン-スチレン共重合体水素添加物、マレイン酸変性量0.0087mmol/g、ビニル化度55モル%、スチレン系単位含有量20質量%
B2:無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン-スチレン共重合体水素添加物、マレイン酸変性量0.0076mmol/g、ビニル化度55モル%、スチレン系単位含有量20質量%
B3:無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン-スチレン共重合体水素添加物、マレイン酸変性量0.014mmol/g、ビニル化度55モル%、スチレン系単位含有量20質量%
B4:無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン-スチレン共重合体水素添加物、マレイン酸変性量0.0039mmol/g、ビニル化度55モル%、スチレン系単位含有量20質量%
B5:無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン-スチレン共重合体水素添加物、マレイン酸変性量0.018mmol/g、ビニル化度55モル%、スチレン系単位含有量20質量%
B6:無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン-スチレン共重合体水素添加物、マレイン酸変性量0.011mmol/g、ビニル化度5モル%、スチレン系単位含有量18質量%
B7:無水マレイン酸変性スチレン-エチレン/イソプレン-スチレン共重合体水素添加物、マレイン酸変性量0.011mmol/g、ビニル化度5モル%、スチレン系単位含有量20質量%
B8:Tuftec(登録商標)M1911(旭化成株式会社製、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体水素添加物、マレイン酸変性量0.019mmol/g、スチレン系単位含有量30質量%)
・その他樹脂
C1:未変性スチレン-イソプレン-スチレン共重合体水素添加物、ビニル化度55モル%、スチレン系単位含有量20質量%
C2:Tuftec(登録商標)H1041(旭化成株式会社製、未変性スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体水素添加物、スチレン系単位含有量20質量%)
[実施例1]
EVOH(A)としてA1を90重量部、無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)としてB1を10重量部ドライブレンドし、二軸押出機供給し、下記の条件で溶融押出した。押出したストランドを冷却槽で冷却固化した後に切断し、樹脂組成物ペレットを得た。
装置 :26mmφ二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製「15C300」)
L/D :25
スクリュー :同方向完全噛合型
ダイスホール:2ホール(3mmφ)
押出温度(℃):C1=200、C2~C5=230、Die=230
回転数 :100rpm
吐出量 :約3.5kg/hr
得られた樹脂組成物ペレットを用い、単軸押出装置(株式会社東洋精機製作所、D2020、D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=3.5、スクリュー:フルフライト)にて厚み20μmの単層フィルムを作製した。押出条件は以下の通りである。
ダイ :300mmコートハンガーダイ
押出温度(℃) :C1=180、C2~C3=220、Die=220
スクリーンメッシュ :50/100/50
スクリュー回転数 :45rpm
冷却ロール温度 :80℃
引取り速度(平均値) :3.0m/分
実施例1で得られた樹脂組成物ペレット、単層フィルムを用いて上述の(3)~(9)の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2~11、比較例1~10]
EVOH(A)、変性スチレン系エラストマー(B)及びその他樹脂(C)の種類及び配合量を変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物ペレット及び単層フィルムを作製し評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 0007339020000003
実施例1~3から、変性スチレン系ブロック共重合体(B)の含有量が増えるに従って、耐屈曲性及び柔軟性が向上することがわかる(屈曲回数の上昇、ヤング率の低下)。一方、変性スチレン系ブロック共重合体(B)を含まない比較例1は耐屈曲性及び柔軟性が低く、未変性のスチレン系共重合体を含む比較例2及び3では、平均分散粒子径が大きく内部ヘイズの悪化が見られるか、製膜が困難な結果となっている。また、変性スチレン系ブロック共重合体(B)の含有量が少ない比較例4では、耐屈曲性及び柔軟性が不十分なものとなり、変性スチレン系ブロック共重合体(B)の含有量が過剰な比較例5では、粘度安定性の悪化及び分散粒子径の増大が見られ、内部ヘイズが悪化している。無水マレイン酸変性度の低い変性スチレン系ブロック共重合体を含む比較例6では、平均分散粒子径が大きく内部ヘイズが悪化しており、無水マレイン酸変性度の高い変性スチレン系ブロック共重合体を含む比較例7~9では、粘度安定性及び内部ヘイズの悪化が見られ、特に樹脂組成物の過度な粘度上昇が見られる。また、高い無水マレイン酸変性度のスチレン系ブロック共重合体および未変性のスチレン系ブロック共重合体を含む比較例10でも、比較例7~9と同様の傾向が見られる。
実施例3~5の対比から、無水マレイン酸変性度の変化による柔軟性及び内部ヘイズの変化の傾向が読み取れる。また、エチレン単位含有量が本発明に与える影響は、実施例3、6、7から読み取れる。ビニル化度が低い変性スチレン系ブロック共重合体(B)を含む実施例8~10は耐屈曲性に優れる結果となっており、この傾向は酸変性度が高い点のみではなく、ビニル化度が低い点にも起因することが、例えば実施例3、5及び10の対比により読み取れる。
[実施例12]
実施例10で得られた樹脂組成物、LLDPE(「ウルトゼックス2022L」株式会社プライムポリマー製、直鎖状低密度ポリエチレン)及び接着性樹脂(「アドマーNF500」三井化学株式会社製、無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン)を用いて、フィードブロック型3種5層フィルム共押出成形機にて、LLDPE層/接着性樹脂層/樹脂組成物層/接着性樹脂層/LLDPE層=36μm/6μm/6μm/6μm/36μmの多層フィルムを作製した。
(多層フィルムの製造条件)
ダイ温度 :220℃
冷却ロール温度 :60℃
引取り速度 :5.0m/min
(LLDPE層押出機の条件)
押出機 :32φ単軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所製)
回転数 :57rpm
押出温度 :供給部/圧縮部/計量部=150℃/200℃/220℃
(接着性樹脂層押出機の条件)
押出機 :20φ単軸押出機(株式会社テクノベル製)
回転数 :25rpm
押出温度 :供給部/圧縮部/計量部=150℃/200℃/220℃
(樹脂組成物層押出機の条件)
押出機 :20φ単軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)
回転数 :12.5rpm
押出温度 :供給部/圧縮部/計量部=180℃/220℃/220℃
得られた多層フィルムを230mm×180mmに2枚切り出し、1方のフィルムに直径43mmの穴を開けた。穴を開けていない多層フィルムと穴の開いた多層フィルムとを重ね合わせ、フィルムの端部三辺をヒートシールし袋を作製した。次に、上記の穴に高密度ポリエチレン製の密封栓を取り付け、ヒートシールし固定した。得られた袋に1.5Lの水を充填し、残りの一辺をヒートシールして密閉し、水が充填されたバッグ(バッグインボックス用内容器)を作製した。得られたバッグを190mm×130mm×65mmのダンボール箱の中に収納し、バッグインボックスを作製した。
得られたバッグインボックスを、輸送包装試験機(アイデックス株式会社製「BF-50UT」)を使用し、以下の条件で輸送包装試験を行った。輸送包装試験後にピンホールの有無をバッグからの水の漏出により評価した。
周波数:10~25Hz
掃引時間:120秒
掃引回数:30回
上述の方法により、バッグインボックス用内容器は容易に作製できた。また輸送包装試験において、ボックス中のバッグインボックス用内容器にピンホールの発生は認められず、バッグインボックス用内容器からの水の漏出はなかった。
本発明の樹脂組成物は、フィルム、シート、チューブ、ボトル、パイプ、袋、容器等の成形体として使用でき、特にバックインボックス用内容器として好適に使用できる。

Claims (8)

  1. エチレン単位含有量が20~60モル%であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)および無水マレイン酸変性度が0.0075~0.015mmol/gである無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)を含み、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)と無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)との質量比(A)/(B)が65/35~90/10であり、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)及び無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)の合計含有量の割合が90質量%以上である、樹脂組成物。
  2. エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)と無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)との屈折率差の絶対値が0.04以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)におけるスチレン系単位を主とする重合体ブロックの含有率が10質量%以上30質量%以下である、請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 無水マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(B)が、無水マレイン酸変性スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン/イソプレン-スチレンブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体の水素添加体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体。
  7. 請求項6に記載の多層構造体を備えるバッグインボックス用内容器。
  8. 未変性のスチレン系ブロック共重合体を含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
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