JP2009274680A - 重荷重用タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性と軽量化を両立し、低燃費性をも改善した重荷重用ラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】カーカスプライ層3、インナーライナーA層1、ベルト5及びトレッドを備える重荷重用ラジアルタイヤであって、関係式(I)P/G≦1.0(I)(P/GはインナーライナーA層1の耐酸素透過性能を示し、Pは、インナーライナーA層1の20℃、65%RHにおける酸素透過量(cm3・cm/cm2・sec・cmHg)×1010で表される値、GはインナーライナーA層1の製品ゲージ(mm)を示す)及び関係式(II)D≦6.0(II)(Dは、インナーライナーA層1のタイヤ径方向外側の界面からベルト交錯層の被覆ゴム界面までの距離(mm)を示す)で表される関係を同時に満足すると共に、インナーライナーA層1が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散した樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層である。
【選択図】図1
【解決手段】カーカスプライ層3、インナーライナーA層1、ベルト5及びトレッドを備える重荷重用ラジアルタイヤであって、関係式(I)P/G≦1.0(I)(P/GはインナーライナーA層1の耐酸素透過性能を示し、Pは、インナーライナーA層1の20℃、65%RHにおける酸素透過量(cm3・cm/cm2・sec・cmHg)×1010で表される値、GはインナーライナーA層1の製品ゲージ(mm)を示す)及び関係式(II)D≦6.0(II)(Dは、インナーライナーA層1のタイヤ径方向外側の界面からベルト交錯層の被覆ゴム界面までの距離(mm)を示す)で表される関係を同時に満足すると共に、インナーライナーA層1が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散した樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層である。
【選択図】図1
Description
本発明は、トラック・バス用に用いられる重荷重用ラジアルタイヤに関する。さらに詳しくは、タイヤ耐久性と軽量化を両立した重荷重用ラジアルタイヤに関するものである。
ベルト故障に対するタイヤの耐久性を考える場合、ベルト交錯層のコードを被覆しているゴムのタイヤに充填された空気中の酸素浸透による酸化劣化を抑えることが重要になってくる。そこでこれまでなされた検討では、インナーライナーのゲージを増すか、インナーライナーの酸素透過性を下げることでベルト交錯層のコードを被覆しているゴム劣化を抑制してきたが、耐久性は向上するものの、タイヤの軽量化とのバランスには限界があることが分かっている。
一方、タイヤの軽量化構造として各種部材の薄ゲージ化や、ベルト構造の簡素化(ベルト層の枚数減)、及びその組み合わせが考えられる。近年ベルト交錯層を二、三層目に有する一般的な四層のベルト構造に対して、ベルト角度の最適化によりベルトを一層削減した三層のベルト構造が提案されており、軽量化と共に、走行成長を抑えられる構造として検討がなされている。しかしながら、三層のベルト構造はベルト交錯層が四層のベルト構造に比べてタイヤ内面に配設された状態になるために、充填空気中の酸素の浸透が交錯層に到達し、被服ゴムの劣化を促進し、ベルト故障によるタイヤの耐久性が低下することが確認されている。そこで、インナーライナーのゲージを厚くすることも出来るが、軽量化とは逆方向であり、この簡素化された軽量ベルト構造を適用し、耐久性と軽量化の両立を図るためには、ベルトコードの被服ゴムの劣化度を左右する酸素透過量を制御することが最も重要な課題である。
一方、タイヤの軽量化構造として各種部材の薄ゲージ化や、ベルト構造の簡素化(ベルト層の枚数減)、及びその組み合わせが考えられる。近年ベルト交錯層を二、三層目に有する一般的な四層のベルト構造に対して、ベルト角度の最適化によりベルトを一層削減した三層のベルト構造が提案されており、軽量化と共に、走行成長を抑えられる構造として検討がなされている。しかしながら、三層のベルト構造はベルト交錯層が四層のベルト構造に比べてタイヤ内面に配設された状態になるために、充填空気中の酸素の浸透が交錯層に到達し、被服ゴムの劣化を促進し、ベルト故障によるタイヤの耐久性が低下することが確認されている。そこで、インナーライナーのゲージを厚くすることも出来るが、軽量化とは逆方向であり、この簡素化された軽量ベルト構造を適用し、耐久性と軽量化の両立を図るためには、ベルトコードの被服ゴムの劣化度を左右する酸素透過量を制御することが最も重要な課題である。
この酸素透過量を制御する方法として、多くの耐酸素透過性の優れたインナーライナーが開発されている。例えば、ブチルゴム、特にハロゲン化ブチルゴム配合系の最適化や、空気透過性が低い樹脂フイルム利用および金属蒸着膜などが挙げられる。配合系の最適化の手法としては、酸素透過性の悪い低分子成分の原料や充填材として空気遮断性のある炭酸カルシウムや扁平クレーが利用できる。また樹脂フイルムにはエチレン−ビニルアルコールを骨格とするもの(例えば、特許文献1参照)やナイロン樹脂とイソモノオレフィンとパラメチルスチレンとの共重合体の塩素化又は臭素化変性共重合体であるブチルゴムからなる熱可塑性樹脂/エラストマーブレンド等が利用できる(例えば、特許文献2又は3参照)。
さらに、空気遮断性の非常に高い金属蒸着膜(例えば、特許文献4参照)を用いることも可能である。フイルムや金属蒸着膜を利用した場合、ゴム成分からなるインナーライナーの質量が大幅に削減できるため軽量化には非常に有利である。
特許文献1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記することがある。)はガスバリア性に優れていることが知られている。EVOHは、空気透過量がブチル系ゴムを配合したインナーライナーゴム組成物の100分の1以下であるため、50μm以下の厚さでも、内圧保持性を大幅に向上することができる上、タイヤを重量低減することが可能である。したがって、空気入りタイヤの空気透過性を改良するために、EVOHをタイヤインナーライナーに用いることは有効である。
特許文献1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記することがある。)はガスバリア性に優れていることが知られている。EVOHは、空気透過量がブチル系ゴムを配合したインナーライナーゴム組成物の100分の1以下であるため、50μm以下の厚さでも、内圧保持性を大幅に向上することができる上、タイヤを重量低減することが可能である。したがって、空気入りタイヤの空気透過性を改良するために、EVOHをタイヤインナーライナーに用いることは有効である。
しかしながら、このEVOHをインナーライナーとして用いた場合は、内圧保持性改良効果は大きいが、弾性率が通常タイヤに用いられているゴムに比べ大幅に高いため、屈曲時の変形で破断、あるいはクラックが生じることがあった。このため、EVOHからなるインナーライナーを用いる場合、タイヤ使用前の内圧保持性は大きく向上するものの、タイヤ転動時の屈曲変形を受けた使用後のタイヤでは、内圧保持性が使用前に比べて低下することがあるなどの問題を有していた。
この問題を解決するためには、例えばエチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対してエポキシ化合物をインナーライナーに使用する技術が特許文献1に開示されており、該インナーライナーは、従来のEVOHからなるタイヤ用インナーライナーと比較して、ガスバリア性を保持したまま、より高度な耐屈曲性を有する。
しかし、特許文献1に開示の技術をもってしても、依然としてインナ−ライナーの耐屈曲性には改善の余地がある。
この問題を解決するためには、例えばエチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対してエポキシ化合物をインナーライナーに使用する技術が特許文献1に開示されており、該インナーライナーは、従来のEVOHからなるタイヤ用インナーライナーと比較して、ガスバリア性を保持したまま、より高度な耐屈曲性を有する。
しかし、特許文献1に開示の技術をもってしても、依然としてインナ−ライナーの耐屈曲性には改善の余地がある。
また、インナーライナーの耐酸素透過性の他に、酸素を遮断するインナーライナー層と隣接するゴムの界面からベルト交錯層の界面までの距離が重要な要素となる。ベルト交錯層までの距離を制御する手法としては、インナーライナーとプライ層の間にあるタイゴム(インナーライナ−B層)、プライ−ベルト間ゴム(プライインサート)の変更、ベルト層の枚数の増減が挙げられ、各部材の薄ゲージ化及び削減はタイヤの軽量化につながる。ただし、ベルト交錯層までの距離を不用意にタイヤ内面に近づけると前述のようにベルト故障に起因する耐久性の悪化を招く。
しかしながら、少資源、少エネルギーのためにタイヤの軽量化と耐久性を両立させる技術の開発の要求は益々高くなってきており、更なる開発が望まれている。
しかしながら、少資源、少エネルギーのためにタイヤの軽量化と耐久性を両立させる技術の開発の要求は益々高くなってきており、更なる開発が望まれている。
本発明は、このような状況下で、タイヤ耐久性と軽量化を両立した重荷重用ラジアルタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ベルト交錯層への酸素浸透量を決めるインナ―ライナー(A層)のインナーライナー性能=P(インナーライナーA層の20℃、65%RHにおける酸素透過量(cm3・cm/cm2・sec・cmHg))×1010/G(インナーライナーA層の製品ゲージ(mm))を特定の値以下とし、かつD(インナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面から交錯層の被覆ゴム界面までの距離(mm))を特定の値以下とすること及びインナーライナーとして特定のマトリックス樹脂100質量部当たり、特定の柔軟樹脂を特定量分散させることでその目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。これによりタイヤの低燃費性をも改善することができる。
すなわち本発明は
[1] ビードコア、カーカスプライ層、インナーライナーA層、ベルト及びトレッドを備えるタイヤであって、下記関係式(I)
P/G≦1.00・・・・・(I)
(式中、P/GはインナーライナーA層の耐酸素透過性能を示し、Pは、インナーライナーA層の20℃、65%RHにおける酸素透過量(cm3・cm/cm2・sec・cmHg)×1010で表される値、GはインナーライナーA層の製品ゲージ(mm)を示す。)及び関係式(II)
D≦6.0・・・・・(II)
(式中、Dは、インナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面からベルト交錯層の被覆ゴム界面までの距離(mm)を示す。)で表される関係を同時に満足すると共に、インナーライナーA層が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層であることを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤ、
[2] 前記カーカスプライ層の内側にインナーライナーB層、最内層にインナーラインーA層を配設した上記[1]の重荷重用ラジアルタイヤ、
[3] 前記インナーライナーA層の厚さが、4mm〜1×10-5mmである上記[1]又は[2]の重荷重用タイヤ、
[4] 下記関係式(III)
P/G≦0.50・・・・・(III)
及び関係式(IV)
D≦5.2・・・・・(IV)
で表される関係を同時に満足すると共に、インナーライナーA層が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層である上記[1]の重荷重用ラジアルタイヤ、
すなわち本発明は
[1] ビードコア、カーカスプライ層、インナーライナーA層、ベルト及びトレッドを備えるタイヤであって、下記関係式(I)
P/G≦1.00・・・・・(I)
(式中、P/GはインナーライナーA層の耐酸素透過性能を示し、Pは、インナーライナーA層の20℃、65%RHにおける酸素透過量(cm3・cm/cm2・sec・cmHg)×1010で表される値、GはインナーライナーA層の製品ゲージ(mm)を示す。)及び関係式(II)
D≦6.0・・・・・(II)
(式中、Dは、インナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面からベルト交錯層の被覆ゴム界面までの距離(mm)を示す。)で表される関係を同時に満足すると共に、インナーライナーA層が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層であることを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤ、
[2] 前記カーカスプライ層の内側にインナーライナーB層、最内層にインナーラインーA層を配設した上記[1]の重荷重用ラジアルタイヤ、
[3] 前記インナーライナーA層の厚さが、4mm〜1×10-5mmである上記[1]又は[2]の重荷重用タイヤ、
[4] 下記関係式(III)
P/G≦0.50・・・・・(III)
及び関係式(IV)
D≦5.2・・・・・(IV)
で表される関係を同時に満足すると共に、インナーライナーA層が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層である上記[1]の重荷重用ラジアルタイヤ、
[5] 前記柔軟樹脂の23℃におけるヤング率が500MPa以下である上記[1]〜[4]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
[6] 前記柔軟樹脂が、水酸基と反応する官能基を有する上記[5]の重荷重用ラジアルタイヤ、
[7] インナーライナーA層を構成するマトリックス樹脂が、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる上記[1]〜[6]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
[8] 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度が90%以上である上記[7]の重荷重用ラジアルタイヤ、
[9] 前記エポキシ化合物がグリシドール又はエポキシプロパンである上記[7]の重荷重用ラジアルタイヤ、
[10] 前記樹脂組成物の−20℃におけるヤング率が1500MPa以下である上記[1]〜[9]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
[11] 前記樹脂組成物における前記柔軟樹脂の含有率が10〜30質量%であり、マトリックス樹脂中に分散している柔軟樹脂の平均粒径が2μm以下である上記[1]〜[10]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
[12] 前記樹脂組成物からなる層が架橋されている上記[1]〜[11]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
[13] 前記樹脂組成物からなる層の表面層として熱可塑性ウレタン系エラストマーを用いる上記[1]〜[12]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、及び
[14] 前記樹脂組成物からなる層は、20℃、65%RHにおけるP値が、0.03以下である上記[1]〜[13]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
を提供するものである。
[6] 前記柔軟樹脂が、水酸基と反応する官能基を有する上記[5]の重荷重用ラジアルタイヤ、
[7] インナーライナーA層を構成するマトリックス樹脂が、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる上記[1]〜[6]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
[8] 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度が90%以上である上記[7]の重荷重用ラジアルタイヤ、
[9] 前記エポキシ化合物がグリシドール又はエポキシプロパンである上記[7]の重荷重用ラジアルタイヤ、
[10] 前記樹脂組成物の−20℃におけるヤング率が1500MPa以下である上記[1]〜[9]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
[11] 前記樹脂組成物における前記柔軟樹脂の含有率が10〜30質量%であり、マトリックス樹脂中に分散している柔軟樹脂の平均粒径が2μm以下である上記[1]〜[10]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
[12] 前記樹脂組成物からなる層が架橋されている上記[1]〜[11]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
[13] 前記樹脂組成物からなる層の表面層として熱可塑性ウレタン系エラストマーを用いる上記[1]〜[12]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、及び
[14] 前記樹脂組成物からなる層は、20℃、65%RHにおけるP値が、0.03以下である上記[1]〜[13]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、タイヤ耐久性と軽量化を両立した重荷重用ラジアルタイヤを提供ことができると共に、タイヤの低燃費性をも改善することができる。
また、インナーライナーA層としてマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を用いることでインナーライナーA層の耐クラック性を大幅に改善することができる。
また、インナーライナーA層としてマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を用いることでインナーライナーA層の耐クラック性を大幅に改善することができる。
本発明の重荷重用ラジアルタイヤは、下記関係式(I)
P/G≦1.00・・・・・(I)
[式中、P/GはインナーライナーA層の耐酸素透過性能を示し、Pは、インナーライナーA層の20℃、65%RHにおける酸素透過量(cm3・cm/cm2・sec・cmHg)×1010で表される値、GはインナーライナーA層の製品ゲージ(mm)を示す。]及び関係式(II)
D≦6.0・・・・・(II)
(式中、Dは、インナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面から交錯層の被覆ゴム界面までの距離(mm)を示す。)で表される関係を同時に満足する共に、インナーライナーA層が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層であることが必要である。
ここで本発明について図1に基づいて詳細に説明をする。図1は本発明の1実施態様を示す重荷重用ラジアルタイヤの部分断面図である。
1はインナーライナーA層(タイヤ最内面空気遮断層)、2は必要に応じて設けられるインナーライナーB層、3はラジアルコード層よりなるカーカスプライ、4は必要に応じて設けられるプライインサート(プライ−ベルト間ゴム)、5はベルト層で図1は4層ベルト構造の例を示す。カーカスプライ側から順に、1ベルト(1B)、2ベルト(2B)、3ベルト(3B)、4ベルト(4B)を示す。4層ベルト構造の場合、交錯層は2ベルトと3ベルトで構成され、ゴム被覆された層内ではコードが互いに平行に延び、隣接する層間(2ベルトと3ベルト)ではコードが互いに交差しタイヤ赤道面を挟んで逆方向に延びるように積層されており、内圧や回転によるせりだし(径成長)を抑える箍効果や路面からの入力を受け止めて緩和したりする役目を果たしている。
P/G≦1.00・・・・・(I)
[式中、P/GはインナーライナーA層の耐酸素透過性能を示し、Pは、インナーライナーA層の20℃、65%RHにおける酸素透過量(cm3・cm/cm2・sec・cmHg)×1010で表される値、GはインナーライナーA層の製品ゲージ(mm)を示す。]及び関係式(II)
D≦6.0・・・・・(II)
(式中、Dは、インナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面から交錯層の被覆ゴム界面までの距離(mm)を示す。)で表される関係を同時に満足する共に、インナーライナーA層が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層であることが必要である。
ここで本発明について図1に基づいて詳細に説明をする。図1は本発明の1実施態様を示す重荷重用ラジアルタイヤの部分断面図である。
1はインナーライナーA層(タイヤ最内面空気遮断層)、2は必要に応じて設けられるインナーライナーB層、3はラジアルコード層よりなるカーカスプライ、4は必要に応じて設けられるプライインサート(プライ−ベルト間ゴム)、5はベルト層で図1は4層ベルト構造の例を示す。カーカスプライ側から順に、1ベルト(1B)、2ベルト(2B)、3ベルト(3B)、4ベルト(4B)を示す。4層ベルト構造の場合、交錯層は2ベルトと3ベルトで構成され、ゴム被覆された層内ではコードが互いに平行に延び、隣接する層間(2ベルトと3ベルト)ではコードが互いに交差しタイヤ赤道面を挟んで逆方向に延びるように積層されており、内圧や回転によるせりだし(径成長)を抑える箍効果や路面からの入力を受け止めて緩和したりする役目を果たしている。
上記関係式(I)に示されているP/GはインナーライナーA層の「耐酸素透過性能」を示すものであり(以後インナーライナー性能ということがある。)、Pは、インナーライナーA層の20℃、65%RHにおける酸素透過量(cm3・cm/cm2・sec・cmHg)×1010で表される値、GはインナーライナーA層の製品ゲージ(mm)を示す。
前記A層のインナーライナー性能(P/G)は1以下である必要がある。1を超えると交錯層を被覆しているゴムの酸化劣化に対する影響が大きくなる可能性がある。好ましいインナーライナー性能(P/G)は0.5以下であり、0.3以下が特に望ましい。
また、同時に上記関係式(II)に示されるインナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面から交錯層の被覆ゴム界面までの距離を6mm以下にする必要がある。Dが6mmを超えるとタイヤの軽量化が困難になる。
上記インナーライナーA層の厚さは4mm〜1×10-5mmが好ましい。より好ましくは2mm〜1×10-5mm、0.5mm〜1×10-5mmの範囲が特に好ましい。
インナーライナーA層の厚さを上記範囲とし、インナーライナー性能(P/G)を1以下、Dを6mm以下を同時に満足することでタイヤ耐久性と軽量化を両立した重荷重用ラジアルタイヤを得ることができる。
酸素透過性を改良する手段としては、ゴム質の変更やフイルムインナーライナーの適用等があり、低分子量成分であるオイルの減量やカーボンブラック対比遮蔽効果が高い炭酸カルシウムや扁平クレーの適用等が挙げられる。特に樹脂フイルムインナーライナーや金属蒸着膜を含むインナーライナーの適用が、耐酸素透過性能やタイヤの軽量化観点から見ても好ましい。
本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおいては、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散された樹脂組成物層を含む熱可塑性樹脂フイルム層インナーライナーであることが必要である。
マトリックス樹脂中に柔軟樹脂を分散させることによって、樹脂フイルムの弾性率が低下し、インナーライナーの耐クラック性が、大幅に改善される。
前記A層のインナーライナー性能(P/G)は1以下である必要がある。1を超えると交錯層を被覆しているゴムの酸化劣化に対する影響が大きくなる可能性がある。好ましいインナーライナー性能(P/G)は0.5以下であり、0.3以下が特に望ましい。
また、同時に上記関係式(II)に示されるインナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面から交錯層の被覆ゴム界面までの距離を6mm以下にする必要がある。Dが6mmを超えるとタイヤの軽量化が困難になる。
上記インナーライナーA層の厚さは4mm〜1×10-5mmが好ましい。より好ましくは2mm〜1×10-5mm、0.5mm〜1×10-5mmの範囲が特に好ましい。
インナーライナーA層の厚さを上記範囲とし、インナーライナー性能(P/G)を1以下、Dを6mm以下を同時に満足することでタイヤ耐久性と軽量化を両立した重荷重用ラジアルタイヤを得ることができる。
酸素透過性を改良する手段としては、ゴム質の変更やフイルムインナーライナーの適用等があり、低分子量成分であるオイルの減量やカーボンブラック対比遮蔽効果が高い炭酸カルシウムや扁平クレーの適用等が挙げられる。特に樹脂フイルムインナーライナーや金属蒸着膜を含むインナーライナーの適用が、耐酸素透過性能やタイヤの軽量化観点から見ても好ましい。
本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおいては、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散された樹脂組成物層を含む熱可塑性樹脂フイルム層インナーライナーであることが必要である。
マトリックス樹脂中に柔軟樹脂を分散させることによって、樹脂フイルムの弾性率が低下し、インナーライナーの耐クラック性が、大幅に改善される。
図1を用いて、インナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面から交錯層の被覆ゴム界面までの距離Dを具体的に説明する。図1の場合は4層のベルト構造を有しているため、該Dの値は、2のインナーライナーB層、3のカーカスプライ、4のプライインサート及び5に示される1ベルト(1B)のそれぞれの製品ゲージの合計である。
三層のベルト構造の場合は図示されてはいないが、交錯層が1ベルト(1B)と2ベルト(2B)から構成されるために、前記Dの値は2のインナーライナーB層、3のカーカスプライ及び必要に応じて設けられる4のプライインサートそれぞれの製品ゲージの合計であり、三層のベルト構造の場合、は四層のベルト構造に比べベルト層が一枚少ないため、軽量化に関しては有利であるが、前記Dの値は、一枚のベルト層の厚みの分だけ短くなる。そのためそれに対応した「耐酸素透過性能」を有するインナーライナーを用いバランスをとることが好ましい。
また、交錯層を含むベルトが三層構造である場合は関係式(III)のP/Gが0.5以下で関係式(IV)のDが5.2以下であることが好ましい。この関係式を満足することによって、より軽量化されたタイヤ耐久性の優れた重荷重用ラジアルタイヤを得ることができる。
三層のベルト構造の場合は図示されてはいないが、交錯層が1ベルト(1B)と2ベルト(2B)から構成されるために、前記Dの値は2のインナーライナーB層、3のカーカスプライ及び必要に応じて設けられる4のプライインサートそれぞれの製品ゲージの合計であり、三層のベルト構造の場合、は四層のベルト構造に比べベルト層が一枚少ないため、軽量化に関しては有利であるが、前記Dの値は、一枚のベルト層の厚みの分だけ短くなる。そのためそれに対応した「耐酸素透過性能」を有するインナーライナーを用いバランスをとることが好ましい。
また、交錯層を含むベルトが三層構造である場合は関係式(III)のP/Gが0.5以下で関係式(IV)のDが5.2以下であることが好ましい。この関係式を満足することによって、より軽量化されたタイヤ耐久性の優れた重荷重用ラジアルタイヤを得ることができる。
本発明で用いられる樹脂組成物からなるインナーライナーA層の20℃、65RH%におけるP値が2.0以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.03以下であることが特に好ましい。
[インナーライナーA層]
インナーライナーA層を構成するマトリックス樹脂中に柔軟樹脂を分散することができる熱可塑性樹脂としては、ガスバリア性が良好で、適度の機械的強度を有するものであればよく、特に制限されずに、様々な樹脂フイルムを用いることができる。このような樹脂フイルムの素材としては、例えばポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体系樹脂、さらには熱可塑性ウレタン系エラストマーなどを挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの素材を用いて作製された樹脂フイルムは、単層フイルムであっても良く、二層以上の多層フイルムであっても良い。
前記素材の中で、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、空気透過量が極めて低く、ガスバリア性に優れており、好ましい素材である。また、熱可塑性ウレタン系エラストマーは、耐水性とゴムに対する接着性に優れており、特に多層フイルムにおいて、外層部分に配置して使用することが好ましい。
インナーライナーA層を構成するマトリックス樹脂中に柔軟樹脂を分散することができる熱可塑性樹脂としては、ガスバリア性が良好で、適度の機械的強度を有するものであればよく、特に制限されずに、様々な樹脂フイルムを用いることができる。このような樹脂フイルムの素材としては、例えばポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体系樹脂、さらには熱可塑性ウレタン系エラストマーなどを挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの素材を用いて作製された樹脂フイルムは、単層フイルムであっても良く、二層以上の多層フイルムであっても良い。
前記素材の中で、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、空気透過量が極めて低く、ガスバリア性に優れており、好ましい素材である。また、熱可塑性ウレタン系エラストマーは、耐水性とゴムに対する接着性に優れており、特に多層フイルムにおいて、外層部分に配置して使用することが好ましい。
<変性エチレン−ビニルアルコール共重合体>
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂としては、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体にエポキシ化合物を反応させて得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。このように変性することにより、未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体の弾性率を大幅に下げることができ、屈曲時の破断性、クラックの発生度合いを改良することができる。
この変性処理に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体においては、エチレン単位含有量は25〜50モル%であることが好ましい。良好な耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点からは、エチレン単位含有量は、より好適には30モル%以上であり、さらに好適には35モル%以上である。また、ガスバリア性の観点からは、エチレン単位含有量は、より好適には48モル%以下であり、さらに好適には45モル%以下である。エチレン単位含有量が25モル%未満の場合は耐屈曲性及び耐疲労性が悪化するおそれがある上、溶融成形性が悪化するおそれがある。また、50モル%を超えるとガスバリア性が不足する場合がある。
さらに、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度は好ましくは90モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最適には99モル%以上である。ケン化度が90モル%未満では、ガスバリア性及び積層体作製時の熱安定性が不充分となるおそれがある。
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂としては、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体にエポキシ化合物を反応させて得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。このように変性することにより、未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体の弾性率を大幅に下げることができ、屈曲時の破断性、クラックの発生度合いを改良することができる。
この変性処理に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体においては、エチレン単位含有量は25〜50モル%であることが好ましい。良好な耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点からは、エチレン単位含有量は、より好適には30モル%以上であり、さらに好適には35モル%以上である。また、ガスバリア性の観点からは、エチレン単位含有量は、より好適には48モル%以下であり、さらに好適には45モル%以下である。エチレン単位含有量が25モル%未満の場合は耐屈曲性及び耐疲労性が悪化するおそれがある上、溶融成形性が悪化するおそれがある。また、50モル%を超えるとガスバリア性が不足する場合がある。
さらに、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度は好ましくは90モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最適には99モル%以上である。ケン化度が90モル%未満では、ガスバリア性及び積層体作製時の熱安定性が不充分となるおそれがある。
変性処理に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、21.18N荷重下)は0.1〜30g/10分であり、より好適には0.3〜25g/10分である。但し、エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは21.18N荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
変性処理は、前記の未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物を、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜40質量部、さらに好ましくは5〜35質量部を反応させることにより行うことができる。この際、適当な溶媒を用いて、溶液中で反応させるのが有利である。
変性処理は、前記の未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物を、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜40質量部、さらに好ましくは5〜35質量部を反応させることにより行うことができる。この際、適当な溶媒を用いて、溶液中で反応させるのが有利である。
溶液反応による変性処理法では、エチレン−ビニルアルコール共重合体の溶液に酸触媒あるいはアルカリ触媒存在下でエポキシ化合物を反応させることによって変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が得られる。反応溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のエチレン−ビニルアルコール共重合体の良溶媒である極性非プロトン性溶媒が好ましい。反応触媒としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸及び三弗化ホウ素等の酸触媒や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキサイド等のアルカリ触媒が挙げられる。これらの内、酸触媒を用いることが好ましい。触媒量としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対し
、0.0001〜10質量部程度が適当である。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びエポキシ化合物を反応溶媒に溶解させ、加熱処理を行うことによっても変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を製造することができる。
、0.0001〜10質量部程度が適当である。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びエポキシ化合物を反応溶媒に溶解させ、加熱処理を行うことによっても変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を製造することができる。
変性処理に用いられるエポキシ化合物は特に制限はされないが、一価のエポキシ化合物であることが好ましい。二価以上のエポキシ化合物である場合、エチレン−ビニルアルコール共重合体との架橋反応が生じゲル、ブツ等の発生により積層体の品質が低下するおそれがある。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造の容易性、ガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性の観点から、好ましい一価エポキシ化合物としてグリシドール及びエポキシプロパンが挙げられる。
本発明に用いられる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のメルトフローレート(MFR)(190℃、21.18N荷重下)は特に制限はされないが、良好なガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点からは、0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることがより好ましく、0.5〜20g/10分であることがさらに好ましい。但し、変性EVOHの融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは21.18N荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値表す。
本発明に用いられる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のメルトフローレート(MFR)(190℃、21.18N荷重下)は特に制限はされないが、良好なガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点からは、0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることがより好ましく、0.5〜20g/10分であることがさらに好ましい。但し、変性EVOHの融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは21.18N荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値表す。
本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおけるインナーライナーA層を構成する熱可塑性フイルムとして、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層であることが必要である。柔軟樹脂は水酸基と反応する官能基を有し、23℃におけるヤング率が500MPa以下である樹脂が好ましい。
柔軟樹脂を分散させるマトリックス樹脂としては、上術のエチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対し、エポキシ化合物1〜50質量部反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、通常のエチレン−ビニルアルコール共重合体に比べて弾性率が低く、さらに、水酸基と反応する官能基を有し、上記物性を満たす柔軟樹脂を分散させることで弾性率をさらに低下させることができる。そのため、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるマトリックス中に柔軟樹脂を分散させてなる樹脂組成物は、弾性率が大幅に低下し、屈曲時の耐破断性が高く、また、クラックも発生し難い。
柔軟樹脂を分散させるマトリックス樹脂としては、上術のエチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対し、エポキシ化合物1〜50質量部反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、通常のエチレン−ビニルアルコール共重合体に比べて弾性率が低く、さらに、水酸基と反応する官能基を有し、上記物性を満たす柔軟樹脂を分散させることで弾性率をさらに低下させることができる。そのため、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるマトリックス中に柔軟樹脂を分散させてなる樹脂組成物は、弾性率が大幅に低下し、屈曲時の耐破断性が高く、また、クラックも発生し難い。
<柔軟樹脂>
上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるマトリックス中に分散させる柔軟樹脂は、水酸基と反応する官能基を有し、23℃におけるヤング率が500MPa以下であり、水酸基と反応する官能基有することで変性エチレン−ビニルアルコール共重合体中に柔軟樹脂が均一に分散するようになる。ここで、水酸基と反応する官能基としては、無水マレイン酸残基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。
かかる水酸基と反応する官能基を有する柔軟樹脂として、具体的には、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレン等が挙げられる。また柔軟樹脂の23℃におけるヤング率が500MPa以下であると、樹脂組成物の弾性率を低下させることができ、その結果耐屈曲性を向上させることができる。
上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるマトリックス中に分散させる柔軟樹脂は、水酸基と反応する官能基を有し、23℃におけるヤング率が500MPa以下であり、水酸基と反応する官能基有することで変性エチレン−ビニルアルコール共重合体中に柔軟樹脂が均一に分散するようになる。ここで、水酸基と反応する官能基としては、無水マレイン酸残基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。
かかる水酸基と反応する官能基を有する柔軟樹脂として、具体的には、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレン等が挙げられる。また柔軟樹脂の23℃におけるヤング率が500MPa以下であると、樹脂組成物の弾性率を低下させることができ、その結果耐屈曲性を向上させることができる。
上記樹脂組成物は−20℃におけるヤング率が1500MPa以下であることが好ましい。−20℃におけるヤング率が1500MPa以下であると寒冷地で使用した際の耐久性を向上させることができる。
また、上記樹脂組成物における柔軟樹脂の含有率は、10〜30質量%の範囲であることが好ましい。柔軟樹脂の含有率を上記範囲にすることによってガスバリア性の低下を抑え、耐屈曲性を向上させることができる。
さらに、上記柔軟樹脂の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体に分散している状態での平均粒径は、2μm以下であることが好ましい。平均粒径が2μmを超えると上記樹脂組成物からなる層の耐屈曲性を充分に改善できないおそれがあり、ガスバリア性の低下、延いてはタイヤの内圧保持性の悪化をもたらすことがある。なお、樹脂組成物中の柔軟樹脂の平均粒径は、例えば、サンプルを凍結し、該サンプルをミクロトームにより切片にして、透過電子顕微鏡(TEM)で観察することができる。
さらに、上記柔軟樹脂の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体に分散している状態での平均粒径は、2μm以下であることが好ましい。平均粒径が2μmを超えると上記樹脂組成物からなる層の耐屈曲性を充分に改善できないおそれがあり、ガスバリア性の低下、延いてはタイヤの内圧保持性の悪化をもたらすことがある。なお、樹脂組成物中の柔軟樹脂の平均粒径は、例えば、サンプルを凍結し、該サンプルをミクロトームにより切片にして、透過電子顕微鏡(TEM)で観察することができる。
上記樹脂組成物は、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体と柔軟樹脂を混練して調整することができる。また、上記樹脂組成物は、インナーライナーの製造時フイルム状であることが好ましく、樹脂組成物からなる層は、溶融成形、好ましくはTダイ法、インフレーション法等の押出成形により、好ましくは150〜270℃の溶融温度でフイルムやシート等に成形さらインナーライナーとして使用される。
上記樹脂組成物からなる層は、架橋されていることが好ましい。樹脂組成物からなる層が、架橋されていない場合、タイヤの加工工程でインナーライナーが著しく変形して不均一となり、インナーライナーのガスバリア性、耐屈曲性、耐疲労性が悪化することがある。
ここで、架橋方法としては、エネルギー線を照射する方法が好ましく、エネルギー線としては、紫外線、電子線,X線、α線、γ線等の電離放射線が挙げられ、これらの中でも電子線が特に好ましい。電子線の照射は、樹脂組成物をフイルムやシート等の成形体に加工した後に行うことが好ましい。ここで電子線の線量は、10〜60Mradの範囲が好ましく、20〜50Mradの範囲がさらに好ましい。電子線の線量が10Mrad未満では、架橋が進みにくく、一方,60Mradを越えると、成形体の劣化が進みやすくなる。
ここで、架橋方法としては、エネルギー線を照射する方法が好ましく、エネルギー線としては、紫外線、電子線,X線、α線、γ線等の電離放射線が挙げられ、これらの中でも電子線が特に好ましい。電子線の照射は、樹脂組成物をフイルムやシート等の成形体に加工した後に行うことが好ましい。ここで電子線の線量は、10〜60Mradの範囲が好ましく、20〜50Mradの範囲がさらに好ましい。電子線の線量が10Mrad未満では、架橋が進みにくく、一方,60Mradを越えると、成形体の劣化が進みやすくなる。
<熱可塑性ウレタン系エラストマー>
本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおけるインナーライナーA層を構成する樹脂組成物からなるフイルムの表面層として、熱可塑性ウレタン系エラストマー層を含むものが好ましく、特に熱可塑性ウレタン系エラストマー層を含むと共に、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体層を一層以上含む多層フイルムからなる層が好ましい。また、熱可塑性ウレタン系エラストマーは、耐水性とゴムに対する接着性に優れており、特に多層フイルムにおいて、外層部分に配置して使用することが好ましい。
このような多層フイルムの具体例としては、前記の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体フイルムの両面に、それぞれ熱可塑性ウレタン系エラストマーフイルムが積層された三層構造の多層フイルムを挙げることができる。
本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおけるインナーライナーA層を構成する樹脂組成物からなるフイルムの表面層として、熱可塑性ウレタン系エラストマー層を含むものが好ましく、特に熱可塑性ウレタン系エラストマー層を含むと共に、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体層を一層以上含む多層フイルムからなる層が好ましい。また、熱可塑性ウレタン系エラストマーは、耐水性とゴムに対する接着性に優れており、特に多層フイルムにおいて、外層部分に配置して使用することが好ましい。
このような多層フイルムの具体例としては、前記の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体フイルムの両面に、それぞれ熱可塑性ウレタン系エラストマーフイルムが積層された三層構造の多層フイルムを挙げることができる。
また、本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおけるインナーライナーA層を構成する熱可塑性樹脂フイルムの前記熱可塑性ウレタン系エラストマー(以下、TPUと略記することがある。)は、分子中にウレタン基(−NH−COO−)をもつエラストマーであり、(1)ポリオール(長鎖ジオール)、(2)ジイソシアネート、(3)短鎖ジオールの三成分の分子間反応によって生成する。ポリオールと短鎖ジオールは、ジイソシアネートと付加反応をして線状ポリウレタンを生成する。この中でポリオールはエラストマーの柔軟な部分(ソフトセグメント)になり、ジイソシアネートと短鎖ジオールは硬い部分(ハードセグメント)になる。TPUの性質は、原料の性状、重合条件、配合比によって左右され、この中でポリオールのタイプがTPUの性質に大きく影響する。基本的特性の多くは長鎖ジオールの種類で決定されるが、硬さはハードセグメントの割合で調整される。
種類としては、(イ)カプロラクトン型(カプロラクトンを開環して得られるポリラクトンエステルポリオール)、(ロ)アジピン酸型(=アジペート型)<アジピン酸とグリコールとのアジピン酸エステルポリオール>、(ハ)PTMG(ポリテトラメチレングリコール)型(=エーテル型)<テトラヒドロフランの開環重合で得られたポリテトラメチレングリコール>などがある。
種類としては、(イ)カプロラクトン型(カプロラクトンを開環して得られるポリラクトンエステルポリオール)、(ロ)アジピン酸型(=アジペート型)<アジピン酸とグリコールとのアジピン酸エステルポリオール>、(ハ)PTMG(ポリテトラメチレングリコール)型(=エーテル型)<テトラヒドロフランの開環重合で得られたポリテトラメチレングリコール>などがある。
本発明において、インナーライナーA層を構成する樹脂フイルムの成形方法に特に制限はなく、単層フイルムの場合、従来公知の方法、例えば溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法などを採用することができるが、これらの方法の中で、Tダイ法やインフレーションなどの溶融押出法が好適である。また、多層フイルムの場合は、共押出しによるラミネート法が好ましく用いられる。
本発明におけるインナーライナーA層を構成する樹脂フイルム層の厚さは、熱可塑性樹脂フイルムの積層体をインナーライナーとして用いる場合の薄ゲージ化の観点から、200μm以下が好ましい。また、薄すぎるとインナーライナーA層をインナーライナーB層に例えば、接着剤層ケムロック6250(ロードコーポレーション社製)を介して接合した効果が十分に発揮されないおそれが生じる。したがって、インナーライナーA層の厚さの下限は1μm程度であり、より好ましい厚さは10〜150μm、さらに好ましい厚さは20〜100μmの範囲である。
本発明におけるインナーライナーA層を構成する樹脂フイルム層の厚さは、熱可塑性樹脂フイルムの積層体をインナーライナーとして用いる場合の薄ゲージ化の観点から、200μm以下が好ましい。また、薄すぎるとインナーライナーA層をインナーライナーB層に例えば、接着剤層ケムロック6250(ロードコーポレーション社製)を介して接合した効果が十分に発揮されないおそれが生じる。したがって、インナーライナーA層の厚さの下限は1μm程度であり、より好ましい厚さは10〜150μm、さらに好ましい厚さは20〜100μmの範囲である。
[インナーライナーB層]
本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおいて、プライコーテイングゴムとスチールコードとの接着を確保するために、所望によりインナーライナーB層をカーカスプライ層とインナーライナーA層との間に設けることができる。インナーライナーB層を構成するゴム状弾性体としては、ブチルゴム、ジエン系ゴム等が好適なものとして例示される。
インナーライナーB層にクラックが発生した後の、前記クラックの伸展を抑制する観点からは、ゴム状弾性体として、ブチルゴム及びジエン系ゴムを含む組成物を用いることが好ましい。当該インナーライナーB層におけるゴム成分中のブチル系ゴムの好ましい含有量は、耐酸素透過性の点から70〜100質量%であり、該ゴム成分中には、0〜50質量%、好ましくは0〜30質量%の割合で、ジエン系ゴムを含有させることができる。インナーライナーB層としてかかる組成物を用いることにより、インナーライナーB層に微小なクラックが発生した場合においても酸素透過を良好に抑制することができる。
また、本発明重荷重ラジアルタイヤ用のインナーライナーは上記樹脂組成物からなる層(インナーライナーA層)とインナーライナーB層との間に接着剤層を設けることもできる。なお、上記接着剤層に使用する接着剤としては、塩化ゴム・イソシアネート系の接着剤が挙げられる。
本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおいて、プライコーテイングゴムとスチールコードとの接着を確保するために、所望によりインナーライナーB層をカーカスプライ層とインナーライナーA層との間に設けることができる。インナーライナーB層を構成するゴム状弾性体としては、ブチルゴム、ジエン系ゴム等が好適なものとして例示される。
インナーライナーB層にクラックが発生した後の、前記クラックの伸展を抑制する観点からは、ゴム状弾性体として、ブチルゴム及びジエン系ゴムを含む組成物を用いることが好ましい。当該インナーライナーB層におけるゴム成分中のブチル系ゴムの好ましい含有量は、耐酸素透過性の点から70〜100質量%であり、該ゴム成分中には、0〜50質量%、好ましくは0〜30質量%の割合で、ジエン系ゴムを含有させることができる。インナーライナーB層としてかかる組成物を用いることにより、インナーライナーB層に微小なクラックが発生した場合においても酸素透過を良好に抑制することができる。
また、本発明重荷重ラジアルタイヤ用のインナーライナーは上記樹脂組成物からなる層(インナーライナーA層)とインナーライナーB層との間に接着剤層を設けることもできる。なお、上記接着剤層に使用する接着剤としては、塩化ゴム・イソシアネート系の接着剤が挙げられる。
インナーライナーB層は、プライコーテイングゴム及びインナーライナーA層に隣接する。通常、プライコーテイングゴムにはブラスメッキされたスチールコードとの接着を確保するためにナフテン酸コバルトやステアリン酸コバルトなどの接着プロモーターと通常のゴム組成物に比べて多量の硫黄が配合されている。
インナーライナーB層を省略しプライコーテイングゴムとマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層であるコバルトや硫黄の配合されていないインナーライナーA層が隣接した場合、バッシュブレッド現象によりスチールコードがインナーライナーA層に近くなることによって部分的にプライコーテイングゴムとスチールコードとの接着が低下する。そのような問題を避けるために、インナーライナーB層を設けることが好ましい。
インナーライナーB層を省略しプライコーテイングゴムとマトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層であるコバルトや硫黄の配合されていないインナーライナーA層が隣接した場合、バッシュブレッド現象によりスチールコードがインナーライナーA層に近くなることによって部分的にプライコーテイングゴムとスチールコードとの接着が低下する。そのような問題を避けるために、インナーライナーB層を設けることが好ましい。
本発明に係わるインナーライナーB層のゴム状弾性体層の厚さは、通常50〜2000μm範囲であることが好ましく、100〜1000μm範囲であることがさらに好ましく、300〜800μm範囲であることが特にこのましい。インナーライナーB層の厚さの合計が50μm未満ではその効果が十分発揮されず、樹脂組成物からなる層に破断・亀裂が生じた際の弊害を制御することが困難となり,タイヤの内圧保持性を十分に維持できないことがある。一方、2000μmを越えると、タイヤ重量の低減効果が小さくなる。
当該インナーライナーB層には、耐酸素透過性、耐低温クラック性及び耐屈曲疲労性などを向上させるために、前記ゴム成分以外に、無機充填剤を含有させることができる。無機充填剤としては、層状又は板状のものが好ましく、このようなものとしては、例えばカオリン、クレー、マイカ、長石、シリカ及びアルミナの含水複合体などが挙げられる。この無機充填剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部当たり、通常10〜180質量部程度、好ましくは20〜120質量部の範囲である。
また、未加硫ゴムの強度を向上させるなどの目的で、前記ゴム成分100質量部当たり、さらにカーボンブラック0〜50質量部、好ましくは10〜50質量部を含有させることができる。
また、未加硫ゴムの強度を向上させるなどの目的で、前記ゴム成分100質量部当たり、さらにカーボンブラック0〜50質量部、好ましくは10〜50質量部を含有させることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、各種の測定法は下記の方法に基づいておこなった。
<インナーライナーA層[A〜C]、フイルムインナーライナーA層[D]、及び柔軟樹脂を含む樹脂組成物からなるフイルムインナーライナーA層[フイルム1〜5]の製造>
第1表に記載の配合組成に基づいて、常法により混練り機を用いてインナーライナーA〜C層を製造した。
また、柔軟樹脂を分散するマトリックス樹脂として用いられる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は特開2004−176048号公報の記載に基づいて、樹脂フイルムDのDVAは特開11−199713号公報の記載に基づいて製造した。それぞれその代表例を示す。
<インナーライナーA層[A〜C]、フイルムインナーライナーA層[D]、及び柔軟樹脂を含む樹脂組成物からなるフイルムインナーライナーA層[フイルム1〜5]の製造>
第1表に記載の配合組成に基づいて、常法により混練り機を用いてインナーライナーA〜C層を製造した。
また、柔軟樹脂を分散するマトリックス樹脂として用いられる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は特開2004−176048号公報の記載に基づいて、樹脂フイルムDのDVAは特開11−199713号公報の記載に基づいて製造した。それぞれその代表例を示す。
*2.カオリンクレーJ.M.HUBER社製 、商品名「POLYFILE DL」、平均粒径 約10μm、扁平率 約15%
注1.製造例1、により得られた樹脂フイルムDを用いた。
注2、製造例2で得られた樹脂組成物フイルム1〜3を用いた。
<樹脂フイルムD(DVA)>
製造例1 熱可塑性エラストマーの製造
ゴム成分:Br−IPMS:EXXPRO(エクソン化学製)60質量部と加硫系:亜鉛華0.3質量部、ステアリン酸亜鉛1.2質量部、ステアリン酸0.6質量部をバンバリーミキサーに投入し、約2分間混練し、120℃で放出して加硫系入りエラストマー成分を調整し、ゴム用ペレタイザーでペレット化した。その後、エラストマー成分と樹脂成分N11(ナイロン11):リルサンBMN O (アトケム製)、8質量部、N6/661)(ナイロン6/66共重合体): (東レ製) アミランCM6001、32質量部をドライブレンドし、2軸混練機に投入し、動的加硫して熱可塑性エラストマー組成物を作製した。この時の混練条件は、温度230℃、剪断速度1000s-1で行なった。2軸混練によって作製された熱可塑性エラストマー組成物は、水冷した後、ペレット化して、次に単軸押出機でTダイを通して、厚さ100μmのフイルム化を実施した。
製造例1 熱可塑性エラストマーの製造
ゴム成分:Br−IPMS:EXXPRO(エクソン化学製)60質量部と加硫系:亜鉛華0.3質量部、ステアリン酸亜鉛1.2質量部、ステアリン酸0.6質量部をバンバリーミキサーに投入し、約2分間混練し、120℃で放出して加硫系入りエラストマー成分を調整し、ゴム用ペレタイザーでペレット化した。その後、エラストマー成分と樹脂成分N11(ナイロン11):リルサンBMN O (アトケム製)、8質量部、N6/661)(ナイロン6/66共重合体): (東レ製) アミランCM6001、32質量部をドライブレンドし、2軸混練機に投入し、動的加硫して熱可塑性エラストマー組成物を作製した。この時の混練条件は、温度230℃、剪断速度1000s-1で行なった。2軸混練によって作製された熱可塑性エラストマー組成物は、水冷した後、ペレット化して、次に単軸押出機でTダイを通して、厚さ100μmのフイルム化を実施した。
合成例1 変性エチレン−ビニルアルコール共重合体−1の合成
加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン化度99.9モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(190℃、21.18N荷重下MFR:5.5g/10分)2質量部及びN−メチル−2−ピロリドン8質量部を仕込み、120℃で、2時間加熱攪拌することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体を完全に溶解させた。これにエポキシ化合物としてエポキシプロパン0.4質量部を添加後、160℃で4時間加熱した。加熱終了後、蒸留水100質量部に析出させ、多量の蒸留水で充分にN−メチル−2−ピロリドン及び未反応のエポキシプロパンを洗浄し、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を得た。さらに、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を粉砕機で粒子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥した後、2軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレット化した。
なお、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の23℃におけるヤング率は1300MPaであった。
加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン化度99.9モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(190℃、21.18N荷重下MFR:5.5g/10分)2質量部及びN−メチル−2−ピロリドン8質量部を仕込み、120℃で、2時間加熱攪拌することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体を完全に溶解させた。これにエポキシ化合物としてエポキシプロパン0.4質量部を添加後、160℃で4時間加熱した。加熱終了後、蒸留水100質量部に析出させ、多量の蒸留水で充分にN−メチル−2−ピロリドン及び未反応のエポキシプロパンを洗浄し、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を得た。さらに、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を粉砕機で粒子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥した後、2軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレット化した。
なお、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の23℃におけるヤング率は1300MPaであった。
合成例2 変性エチレン−ビニルアルコール共重合体−2の合成
エチレン含量44モル%、ケン化度99.9モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(190℃、21.18N荷重下MFR:5.5g/10分)に替えてエチレン含量32モル%、ケン化度99.9%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(190℃、21.18N荷重下MFR:7.0g/10分)を用いる以外は、上記合成例1と同様にして変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を合成し、ペレット化した。なお、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は23℃におけるヤング率が1700MPaであった。
エチレン含量44モル%、ケン化度99.9モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(190℃、21.18N荷重下MFR:5.5g/10分)に替えてエチレン含量32モル%、ケン化度99.9%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(190℃、21.18N荷重下MFR:7.0g/10分)を用いる以外は、上記合成例1と同様にして変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を合成し、ペレット化した。なお、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は23℃におけるヤング率が1700MPaであった。
合成例3 柔軟樹脂−1の合成
無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−スチレンブロック共重合体を公知の方法により合成し、ペレット化した。得られた無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−スチレンブロック共重合体は、23℃におけるヤング率が3MPa、スチレン含量が20%、無水マレイン酸量が0.3meq/gであった。
なお、23℃におけるヤング率は、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体と同様の方法で測定した。
無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−スチレンブロック共重合体を公知の方法により合成し、ペレット化した。得られた無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−スチレンブロック共重合体は、23℃におけるヤング率が3MPa、スチレン含量が20%、無水マレイン酸量が0.3meq/gであった。
なお、23℃におけるヤング率は、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体と同様の方法で測定した。
合成例4 柔軟樹脂−2の合成
無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレンを公知の方法により合成し、ペレト化した。得られた無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレンは、23℃におけるヤング率が40MPa、無水マレイン酸量が0.04meq/gであった。
無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレンを公知の方法により合成し、ペレト化した。得られた無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレンは、23℃におけるヤング率が40MPa、無水マレイン酸量が0.04meq/gであった。
(1)23℃におけるヤング率の測定
東洋精機社製二軸押出し機によって、下記押し出し条件で製膜し、厚さ20μmの単層フイルムを作製した。次に該フイルムを用いて、幅15mmの短冊状の試験片を作成し、23℃、50%RHの条件下で恒温室内に1週間放置した後、株式会社島津製作所製オートグラフ[AG−A500型]を用いてチャック間隔50mm、引張り速度50mm/分の条件で、23℃50RHにおける応力−歪曲線を測定し、応力−歪曲線の初期傾きからヤング率を求めた。
スクリュー:フルフライト
シリンダー、ダイ温度設定:C1/C2/C3/ダイ=200/200/200(℃)
東洋精機社製二軸押出し機によって、下記押し出し条件で製膜し、厚さ20μmの単層フイルムを作製した。次に該フイルムを用いて、幅15mmの短冊状の試験片を作成し、23℃、50%RHの条件下で恒温室内に1週間放置した後、株式会社島津製作所製オートグラフ[AG−A500型]を用いてチャック間隔50mm、引張り速度50mm/分の条件で、23℃50RHにおける応力−歪曲線を測定し、応力−歪曲線の初期傾きからヤング率を求めた。
スクリュー:フルフライト
シリンダー、ダイ温度設定:C1/C2/C3/ダイ=200/200/200(℃)
(2)エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含量及びケン化度の測定
重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした1H−NMR測定[日立電子社製「JNM−GX−500型」を使用]で得られたスペクトルから算出値である。
重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした1H−NMR測定[日立電子社製「JNM−GX−500型」を使用]で得られたスペクトルから算出値である。
(3)エチレン−ビニルアルコール共重合体のメルトフローレートの測定
上記メルトフローレート(MFR)の測定は、メルトインデクサーL244[宝工業株式会社製]の内径9.55mm、長さ162mmのシリンダーにサンプルを充填し、190℃で溶融した後、重さ2160g、直径9.48mmのプランジャーを使用して均等に荷重をかけ、シリンダー中央に設けた径2.1mmのオリフィスより単位時間当たり押し出される樹脂量(g/10分)から求めた。
但し、エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点が190℃付近あるいは190℃を越える場合は2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿して算出した値をメルトフロー(MFR)とした。
上記メルトフローレート(MFR)の測定は、メルトインデクサーL244[宝工業株式会社製]の内径9.55mm、長さ162mmのシリンダーにサンプルを充填し、190℃で溶融した後、重さ2160g、直径9.48mmのプランジャーを使用して均等に荷重をかけ、シリンダー中央に設けた径2.1mmのオリフィスより単位時間当たり押し出される樹脂量(g/10分)から求めた。
但し、エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点が190℃付近あるいは190℃を越える場合は2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿して算出した値をメルトフロー(MFR)とした。
<樹脂組成物フイルム>
製造例2 樹脂組成物フイルム1〜3の作製
合成例1,2で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体と、合成例3、4で得られた柔軟樹脂とを二軸押し出し機で混練し、第2表に示す配合処方の樹脂組成物を得た。ここで、樹脂組成物中の柔軟樹脂の平均粒径は、得られた樹脂組成物の試料を凍結した後、該試料をミクロトームにより切片にして、透過電子顕微鏡で測定した。また、設定温度を−20℃に変更する以外には、上記ヤング率の測定方法と同様にして、樹脂組成物の−20℃のヤング率を測定した。測定結果を第2表に示す。
次に、得られた樹脂組成物と熱可塑性ウレタン(TPU)((株)クラレ製、クラミロン3190)とを使用し、2種3層共押出装置を用いて、下記共押出成形条件で3層フイルム(熱可塑性ポリウレタン層/樹脂組成物層/熱可塑性ポリウレタン層)又は(熱可塑性ポリウレタン層/変性EVOH層/熱可塑性ポリウレタン層)を作製した。各フイルムに使用した各層の厚みは、第2表に示す。
なお、フイルム4及び5は、樹脂組成物の替わりに変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のみを使用した。
共押出成形条件は以下のとおりである。
層構成:
熱可塑性ポリウレタン/変性EVOH/熱可塑性ポリウレタン又は熱可塑性ポリウレタン/樹脂組成物/熱可塑性ポリウレタン
各樹脂の押出温度:
C1/C2/C3/ダイ=170/170/220/220℃
各樹脂の押出機仕様:
熱可塑性ポリウレタン:
25mmφ押出機 P25−18AC(大阪精機工作株式会社製)
変性EVOH:
20mmφ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(株式会社東洋精機製)
Tダイ仕様:
500mm幅2種3層用 (株式会社プラスチック工学研究所製)
冷却ロールの温度:50℃
引き取り速度:4m/分
製造例2 樹脂組成物フイルム1〜3の作製
合成例1,2で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体と、合成例3、4で得られた柔軟樹脂とを二軸押し出し機で混練し、第2表に示す配合処方の樹脂組成物を得た。ここで、樹脂組成物中の柔軟樹脂の平均粒径は、得られた樹脂組成物の試料を凍結した後、該試料をミクロトームにより切片にして、透過電子顕微鏡で測定した。また、設定温度を−20℃に変更する以外には、上記ヤング率の測定方法と同様にして、樹脂組成物の−20℃のヤング率を測定した。測定結果を第2表に示す。
次に、得られた樹脂組成物と熱可塑性ウレタン(TPU)((株)クラレ製、クラミロン3190)とを使用し、2種3層共押出装置を用いて、下記共押出成形条件で3層フイルム(熱可塑性ポリウレタン層/樹脂組成物層/熱可塑性ポリウレタン層)又は(熱可塑性ポリウレタン層/変性EVOH層/熱可塑性ポリウレタン層)を作製した。各フイルムに使用した各層の厚みは、第2表に示す。
なお、フイルム4及び5は、樹脂組成物の替わりに変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のみを使用した。
共押出成形条件は以下のとおりである。
層構成:
熱可塑性ポリウレタン/変性EVOH/熱可塑性ポリウレタン又は熱可塑性ポリウレタン/樹脂組成物/熱可塑性ポリウレタン
各樹脂の押出温度:
C1/C2/C3/ダイ=170/170/220/220℃
各樹脂の押出機仕様:
熱可塑性ポリウレタン:
25mmφ押出機 P25−18AC(大阪精機工作株式会社製)
変性EVOH:
20mmφ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(株式会社東洋精機製)
Tダイ仕様:
500mm幅2種3層用 (株式会社プラスチック工学研究所製)
冷却ロールの温度:50℃
引き取り速度:4m/分
上記ようにして得られたフイルムの酸素透過量及び耐屈曲性を下記の方法で評価した。
(4)フイルムの酸素透過量の測定
作成したゴム及び各フイルムを、20℃、65%RHにて五日間調湿した。該調湿済みのゴム及び各フイルム2枚のサンプルを使用して、モダンコントロール社製MOCON OX−TRAN2/20型を用い、20℃−65%RH条件下でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準じて、酸素透過量を測定し、その平均値を求め、下記式に基づいてP値を求めた。
P=平均値(酸素透過量)×1010
P値の測定結果を第1表に示し酸素透過量の測定結果を第2表に示す。
(5)耐屈曲性の評価
21cm×30cmカットされたフイルムを50枚作製し、それぞれのフイルムを0℃で7日間調湿した後、ASTM F 392−74に準拠して、理化学工業社製ゲルボフレックステスターを使用し屈曲回数50回、75回、100回、125回、150回、175回、200回、225回、250回、300回、400回、500回、600回、700回、800回、1000回、1500回屈曲させた後、ピンホールの数を測定した。それぞれの屈曲回数において、測定を5回行い、その平均値をピンホール個数とした。屈曲回数を横軸に、ピンホール数(N)を縦軸に取り、上記測定結果をプロットしピンホール数が1個のときの屈曲回数(Np1)を外挿により求め、有効数字2桁とした。但し1500回の屈曲でピンホールが観察されないフイルムについては、以降500回おきに屈曲回数を増やし、ピンホールがみられた屈曲回数を(Np1)とした。評価結果を第2表に示す。
(4)フイルムの酸素透過量の測定
作成したゴム及び各フイルムを、20℃、65%RHにて五日間調湿した。該調湿済みのゴム及び各フイルム2枚のサンプルを使用して、モダンコントロール社製MOCON OX−TRAN2/20型を用い、20℃−65%RH条件下でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準じて、酸素透過量を測定し、その平均値を求め、下記式に基づいてP値を求めた。
P=平均値(酸素透過量)×1010
P値の測定結果を第1表に示し酸素透過量の測定結果を第2表に示す。
(5)耐屈曲性の評価
21cm×30cmカットされたフイルムを50枚作製し、それぞれのフイルムを0℃で7日間調湿した後、ASTM F 392−74に準拠して、理化学工業社製ゲルボフレックステスターを使用し屈曲回数50回、75回、100回、125回、150回、175回、200回、225回、250回、300回、400回、500回、600回、700回、800回、1000回、1500回屈曲させた後、ピンホールの数を測定した。それぞれの屈曲回数において、測定を5回行い、その平均値をピンホール個数とした。屈曲回数を横軸に、ピンホール数(N)を縦軸に取り、上記測定結果をプロットしピンホール数が1個のときの屈曲回数(Np1)を外挿により求め、有効数字2桁とした。但し1500回の屈曲でピンホールが観察されないフイルムについては、以降500回おきに屈曲回数を増やし、ピンホールがみられた屈曲回数を(Np1)とした。評価結果を第2表に示す。
実施例1〜10、比較例1〜15
トラック・バス用重荷重ラジアルタイヤ、サイズ11R22.5を第3表(4層べルト構造)および第4表(3層ベルト構造)の記載に従って、常法にて試作した。各例ごとにベルト層の枚数、ベルト角度について記載した。ベルトはカーカスコード側から順に1ベルト、2ベルト、3ベルト、4ベルトであることを示す。
ベルト傾斜角度の数値の前に付した符号Rは、コード、横方向溝が右上がり,Lは、コード、横方向溝が左上がりであることを示す。
それぞれのタイヤについて以下に示す評価法に基づいて製品ゲージ、劣化後のロングラン(LR)走行距離、走行成長率、RR(走行抵抗)試験及び低内圧走行ドラム試験の評価をおこなった。
トラック・バス用重荷重ラジアルタイヤ、サイズ11R22.5を第3表(4層べルト構造)および第4表(3層ベルト構造)の記載に従って、常法にて試作した。各例ごとにベルト層の枚数、ベルト角度について記載した。ベルトはカーカスコード側から順に1ベルト、2ベルト、3ベルト、4ベルトであることを示す。
ベルト傾斜角度の数値の前に付した符号Rは、コード、横方向溝が右上がり,Lは、コード、横方向溝が左上がりであることを示す。
それぞれのタイヤについて以下に示す評価法に基づいて製品ゲージ、劣化後のロングラン(LR)走行距離、走行成長率、RR(走行抵抗)試験及び低内圧走行ドラム試験の評価をおこなった。
(6)製品ゲージ
タイヤカットセクションを作成後、周上5箇所の平均ゲージとして算出した。測定結果を第3表及び第4表に示す。
(7)劣化後のロングラン(LR)走行距離
タイヤの事前劣化を酸素/空気=50%/50%、内圧900kPaにて2ヶ月間放置し、その後、空気100%充填、内圧900kPa、80Km/hでドラム走行させたときの故障に至る距離を指数化したもの。数値の大きいほうが耐劣化性に優れる。測定結果を第3表及び第4表に示す。
(8)走行成長率
内圧800kPa充填時、QCドラム3ステップ収量後のタイヤ成長比率(試験前及び試験後の半径成長比)を測定した。測定結果を第3表及び第4表に示す。
(9)RR(走行抵抗)試験
80km/hで走行時のタイヤ接地面に発生する進行方向に対する抵抗を測定した。測定結果を第3表及び第4表に示す。
(10)低内圧走行ドラム試験
内圧200kpa、正規荷重にて200,000km走行後のインナーライナーA層の亀裂の有無につき外観チックを行なった。チェック結果を第3表及び第4表に示す。
タイヤカットセクションを作成後、周上5箇所の平均ゲージとして算出した。測定結果を第3表及び第4表に示す。
(7)劣化後のロングラン(LR)走行距離
タイヤの事前劣化を酸素/空気=50%/50%、内圧900kPaにて2ヶ月間放置し、その後、空気100%充填、内圧900kPa、80Km/hでドラム走行させたときの故障に至る距離を指数化したもの。数値の大きいほうが耐劣化性に優れる。測定結果を第3表及び第4表に示す。
(8)走行成長率
内圧800kPa充填時、QCドラム3ステップ収量後のタイヤ成長比率(試験前及び試験後の半径成長比)を測定した。測定結果を第3表及び第4表に示す。
(9)RR(走行抵抗)試験
80km/hで走行時のタイヤ接地面に発生する進行方向に対する抵抗を測定した。測定結果を第3表及び第4表に示す。
(10)低内圧走行ドラム試験
内圧200kpa、正規荷重にて200,000km走行後のインナーライナーA層の亀裂の有無につき外観チックを行なった。チェック結果を第3表及び第4表に示す。
四層ベルトから三層ベルトに変更し交錯そとの距離Dが短くなってもP/Gの値を適正化し両者のバランスをとることによってタイヤ耐久性、軽量化、及び低燃費性に優れる重荷重ラジアルタイヤを得ることができる。インナーライナーA層として、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体をマトリックスとし柔軟樹脂を分散させた樹脂組成物からなる実施例は低内圧走行後のインナーライナーA層外観チェック結果はいずれもインナーライナーに亀裂の発生がなく、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体をインナーライナーA層に適用した比較例7、8及び14、15に比較し大幅に耐屈曲性に優れていることがわかる。
本発明は、タイヤ耐久性と軽量化を両立した重荷重用用ラジアルタイヤを提供することができる共に、タイヤの低燃費性をも改善することができる。
1:インナーライナーA層(タイヤ最内面空気遮断層)
2:インナーライナーB層
3:カーカスプライ
4:プライインサート
5:ベルト層
2:インナーライナーB層
3:カーカスプライ
4:プライインサート
5:ベルト層
Claims (14)
- ビードコア、カーカスプライ層、インナーライナーA層、ベルト及びトレッドを備えるタイヤであって、下記関係式(I)
P/G≦1.00・・・・・(I)
(式中、P/GはインナーライナーA層の耐酸素透過性能を示し、Pは、インナーライナーA層の20℃、65%RHにおける酸素透過量(cm3・cm/cm2・sec・cmHg)×1010で表される値、GはインナーライナーA層の製品ゲージ(mm)を示す。)及び関係式(II)
D≦6.0・・・・・(II)
(式中、Dは、インナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面からベルト交錯層の被覆ゴム界面までの距離(mm)を示す。)で表される関係を同時に満足すると共に、インナーライナーA層が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層であることを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤ。 - 前記カーカスプライ層の内側にインナーライナーB層、最内層にインナーラインーA層を配設した請求項1に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記インナーライナーA層の厚さが、4mm〜1×10-5mmである請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
- 下記関係式(III)
P/G≦0.50・・・・・(III)
及び関係式(IV)
D≦5.2・・・・・(IV)
で表される関係を同時に満足すると共に、インナーライナーA層が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層である請求項1に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。 - 前記柔軟樹脂の23℃におけるヤング率が500MPa以下である請求項1〜4のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記柔軟樹脂が、水酸基と反応する官能基を有する請求項5に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- インナーライナーA層を構成するマトリックス樹脂が、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる請求項1〜6のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度が90%以上である請求項7に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記エポキシ化合物がグリシドール又はエポキシプロパンである請求項7に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記樹脂組成物の−20℃におけるヤング率が1500MPa以下である請求項1〜9のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記樹脂組成物における前記柔軟樹脂の含有率が10〜30質量%であり、マトリックス樹脂中に分散している柔軟樹脂の平均粒径が2μm以下である請求項1〜10のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記樹脂組成物からなる層が架橋されている請求項1〜11のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記樹脂組成物からなる層の表面層として熱可塑性ウレタン系エラストマーを用いる請求項1〜12のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記樹脂組成物からなる層は、20℃、65%RHにおけるP値が、0.03以下である請求項1〜13のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
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WO2012165441A1 (ja) * | 2011-05-31 | 2012-12-06 | 株式会社クラレ | 空気入りタイヤ用インナーライナー、その製造方法及び空気入りタイヤ |
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- 2008-05-16 JP JP2008130015A patent/JP2009274680A/ja active Pending
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