JP5800470B2 - 樹脂組成物並びにこれを用いた成形品及び多層構造体 - Google Patents
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Description
ここでは、EVOH樹脂相とブロック共重合体相とが独立して連続相を構成するように、具体的には、EVOH樹脂:ブロック共重合体=15:85〜85:15、好ましくは80:20〜20:80、より好ましくは65:35〜35:65程度で混合している(段落番号0043)。特許文献1においては、EVOH樹脂からなる相とブロック共重合体からなる相とが相互侵入網目構造をなして分布しているため、網目構造をなすEVOH相に基づいて優れたガスバリア性等の遮断性を発揮し、網目に侵入しているブロック共重合体相に基づき柔軟性を発揮できると説明されている(段落番号0042)。
一方、EVOH樹脂におけるエチレン含有率や溶融粘度、トリブロック共重合体の分子量やブロック成分構成などにより、EVOH樹脂とトリブロック共重合体のブレンド比率が上記範囲内であっても、ガスバリア性が劣ったり、JIS D硬度が高くなったりする場合があることも開示されている(表2の参考例1、参考例2)。
ここでは、変性ブロック共重合体:極性熱可塑性重合体=98:2〜50:50の樹脂組成物は、変性ブロック共重合体の改質された組成物として有用であり、変性ブロック共重合体:極性熱可塑性重合体=2:98〜50:50の樹脂組成物は、極性熱可塑性重合体の耐衝撃性などが改善されると説明されている。具体的には、EVOH樹脂:変性ブロック共重合体=90:10〜75:25の割合で混合した樹脂組成物は、EVOH樹脂と比べて、アイゾット衝撃強度が大幅に改善されることが示されている(表5)。
また、かかる樹脂組成物において、フィルムの熱封緘性および耐屈曲性を向上させる目的で、ハードセグメントにポリスチレン、ソフトセグメントにポリブタジエンまたはポリイソプレンを使用したブロックポリマーであるスチレン系熱可塑性エラストマーを配合することが記載されている(段落番号0016および0017)。
従って、このような仕様のフィルム容器では、耐久性の観点からも柔軟性が求められる。これらの場合に求められる柔軟性は、硬度、耐衝撃性、引張強度とは異なる特性である。
しかしながら、上記で提案されているようなEVOH樹脂組成物は、このようなフィルム容器の材料として求められている柔軟性を満足していない。
そして、EVOH樹脂マトリックス中に分散粒径の大きい柔軟成分が存在した場合、樹脂組成物をフィルムとした場合にフィルムが白濁して透明性が低下する傾向がある。
さらに、柔軟成分の分散性を向上させる目的で、上記特許文献2のように、EVOH樹脂と柔軟成分との相溶性を向上させるためにEVOH樹脂と反応性のある柔軟成分を用いる場合、溶融混練時に反応が起こり、高重合度化物が発生する場合がある。高重合度化物が発生すると、溶融粘度が高くなるために成形加工性が低下する傾向がある。
これらの課題を解決し、耐屈曲性に優れ、ガスバリア性を損なうことなく、溶融成形性が良好であり、かつ透明性も良好な製品が求められていた。
すなわち、本発明の要旨は、エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(B)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(C)、数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)を含有する上記EVOH樹脂組成物であって、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の含有総重量に対する、前記(D)成分の含有率(D/(A+B+C+D))は、0.5〜7.5重量%であり、前記(A)成分に対する(B)成分および(C)成分の含有重量比率(A)/〔(B)+(C)〕は、50以上/50未満〜99/1であり、前記(B)成分に対する(C)成分の重量比率(C/B)が0.01〜10である上記EVOH樹脂組成物に存する。
その結果、本発明の樹脂組成物を用いた成形品や、本発明の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体は、ガスバリア性、耐屈曲性、溶融成形性、透明性の各物性に優れ、高品質な柔軟性フィルムを得ることが可能となる。
はじめに本発明のEVOH樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル
共重合体ケン化物(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(B)、
極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(C)、数平均分子量100〜300
0であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)を含有
する樹脂組成物であって、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の含有総重量に対する、前記(D)成分の含有率(D/(A+B+C+D))は、0.5〜7.5重量%であり、前記(A)成分に対する(B)成分および(C)成分の含有重量比率(A)/〔(B)+(C)〕は、50以上/50未満〜99/1であり、前記(B)成分に対する(C)成分の重量比率(C/B)が0.01〜10である樹脂組成物である。
以下、各成分について、順に説明する。
組成物の主成分となるEVOH樹脂(A)は、非水溶性の樹脂であり、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体をケン化することによって得られる公知の樹脂である。かかるビニルエステル系モノマーは、代表的には酢酸ビニルである。エチレン−ビニルエステル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
また、本発明に用いられるEVOH樹脂としては、共重合体中に更に少量の共重合可能なモノマーを共重合してもよい。共重合可能なモノマーとしては例えばプロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3―ブテン―1,2―ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又はその塩、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレン等のコモノマーを共重合したものであっても差し支えない。さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等「後変性」されていても差し支えない。
特にヒドロキシ基含有α−オレフィン類を共重合したEVOH樹脂は、延伸加工や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも1,2−ジオールを側鎖に有するEVOH樹脂が好ましい。
これらのうち、特に、酢酸、ホウ酸およびその塩を含むホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩を添加することが好ましい。
本発明の効果をより顕著に得るためには、添加物の分散性に優れるi)、ii)の方法、有機酸およびその塩を含有させる場合はiv)の方法が好ましい。
本発明で用いられる、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(B)は、通常ハードセグメントとなるビニル芳香族モノマーのポリマーブロック(b1)と、通常ソフトセグメントとなるゴム成分たる不飽和炭化水素化合物のポリマーブロック及び/又はその水添ブロック(b2)とを有するもので、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られているものを用いることができる。(本発明においては、かかる極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(B)を「ブロック共重合体(B)」と称することがある。)
上記共役ジエン化合物としては、例えば、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。上記ジエンとしては、ヘキサジエンなどが挙げられる。なおジエン化合物からなる上記脂肪族炭化水素ポリマーブロック(b2)は、上記共役ジエン化合物からなるポリマーブロックの水素添加の結果、得られたものであってもよい。上記アルケンとしては、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレンなどが挙げられる。これらのアルケンからなる上記脂肪族炭化水素ポリマーブロック(b2)は、上記共役ジエン又はジエンからなるポリマーブロックの水素添加の結果、得られたものであってもよい。
ただし、他の共重合性モノマーを含む場合、各ポリマーブロックにおける他の共重合性モノマーの含有率は、各ポリマーブロック重量の10重量%以下とすることが好ましく、5重量%以下とすることがより好ましい。
EVOH樹脂(A)の溶融粘度とブロック共重合体(B)との溶融粘度が近い程、溶融混練が容易になり、ブロック共重合体(B)がEVOH樹脂中に均一に分散した樹脂組成物が得られやすく、ひいては耐屈曲性、透明性に優れた樹脂組成物が得られやすい。具体的には、230℃、荷重2160g条件下で測定したMFR比(EVOH樹脂(A)/ブロック共重合体(B))が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜4、より好ましくは0.7〜3である。
本発明で用いられる極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(C)は、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロック(c1)と、不飽和炭化水素化合物を重合してなるポリマーブロック又はその水素添加ブロック(c2)とを有するブロック共重合体であり、さらに極性基を有するブロック共重合体である。
変性ブロック共重合体(C)は、EVOH樹脂(A)と適度な反応性を有することが好ましく、この点から、カルボキシル基及びアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性基を有する変性ブロック共重合体(C)が好ましく、より好ましくはカルボキシル基を有する変性ブロック共重合体(C)である。
変性ブロック共重合体(C)のブロック共重合体と、ブロック共重合体(B)の各ポリマーブロックのモノマー構成(すなわちb1とc1、b2とc2)やブロック構造は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
かかる酸価が高すぎると、EVOH樹脂との反応点が多くなるため、高重合度化物が発生しやすくなり、樹脂組成物のMFRが低下して成形加工性が不足しやすい傾向にある。また、高重合度化物が発生することで、樹脂組成物内で粘度の偏りが発生し、樹脂組成物をフィルムとしたときにスジが発生しやすくなり、耐屈曲性が低下する傾向がある。
EVOH樹脂(A)の溶融粘度と変性ブロック共重合体(C)との溶融粘度が近いほど、溶融混練が容易になり、耐屈曲性、透明性に優れた樹脂組成物が得られやすい。具体的には、230℃、荷重2160g条件下で測定したMFR比(EVOH樹脂(A)/変性ブロック共重合体(C))が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜4.0、より好ましくは0.7〜3.0である。
また、ブロック共重合体(B)の溶融粘度と変性ブロック共重合体(C)との溶融粘度比は例えば具体的には、230℃、荷重2160g条件下で測定したMFR比(ブロック共重合体(B)/変性ブロック共重合体(C))が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜4.0、より好ましくは0.7〜3.0である。
本発明で用いるD成分たる炭化水素系樹脂は、分散助剤として添加されるもので、炭化水素系の数平均分子量が100から3000で且つ軟化点が60℃以上170℃未満の炭化水素系樹脂である(以下、単に「炭化水素系樹脂(D)」ということがある)。このような炭化水素系樹脂は、通常、常温で液体又は固体の熱可塑性樹脂に属する。
中でも上記の芳香族系石油樹脂、または脂肪族/芳香族系石油樹脂を水素添加して得られた水添系石油樹脂が代表的であり、具体例としては、アルコン(荒川化学工業社製)、アイマーブ(出光興産社製)、エスコレッツ5000シリーズ(エクソンモービル社製)などが挙げられる。
かかる水添系石油樹脂の場合には、水添率によって樹脂の極性が異なり、主に水添率90%以上の完全水添型と水添率90%未満の部分水添型に2種類に分類される。前者の具体例としては、アルコンPグレード(荒川化学工業社製)、アイマーブPタイプ(出光興産社製)などが挙げられ、後者の具体例としては、アルコンMグレード(荒川化学工業社製)、アイマーブSタイプ(出光興産社製)などが挙げられる。
また、水添系石油樹脂の水添率については、特に限定されないが、極性が低いSEBS、SEPSなどの水添されたブロック共重合体(B)との親和性を考慮すると、完全水添型の水添系石油樹脂を用いることが好ましい。
上記数平均分子量は、ゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定で得られるポリスチレン換算値により算出することができる。
また、水添系石油樹脂の場合には、ハーゼンナンバーが通常200以下好ましくは150以下、特に好ましくは100以下である。ハーゼンナンバーが200以下のものを用いると、外観特性に優れた無色透明な樹脂組成物を得ることができる。
なお、色相の測定方法としては、JIS K0071−1(ハーゼンナンバー)、JIS K0071−2(ガードナーナンバー)に準拠した方法を用いることができる。
本発明の特徴の一つは、上記(A)〜(D)成分が特定割合で配合されている点であり、特にEVOH樹脂(A)がマトリックスとして存在することが重要である。
EVOH樹脂は主成分であり、その樹脂組成物全体における含有率は通常60〜99重量%であり、好ましくは65〜90重量%、より好ましくは65〜85重量%、さらに好ましくは70〜80重量%である。
D成分の重量比率は、A〜D成分の総量に対して、0.5重量%以上、7.5重量%未満であり、好ましくは1〜6重量%であり、好ましくは2超〜5重量%である。分散助剤たるD成分の配合量が少なすぎる場合、Dの配合効果が得られにくくなる。一方、多すぎる場合、過剰な炭化水素系樹脂(D)が排斥されることで、フィルムスジ、目ヤニなどの外観不良が発生するおそれがある。
また、本発明の樹脂組成物の総重量に対する、ブロック共重合体(B)および変性ブロック共重合体(C)が有する芳香族ビニル部位の総含有量は、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは2〜20重量%、殊に好ましくは2〜15重量%である。
ことができる。
本発明の樹脂組成物では、変性ブロック共重合体(C)を、EVOH樹脂(A)とブロック共重合体(B)との相溶化剤として用いており、配合比率を上記のように調節することにより、マトリックスであるEVOH樹脂(A)中にブロック共重合体(B)の小さな島を全体にわたって多数分散させることが可能となる。
かかる配合比率(C/B)が高くなりすぎると、耐屈曲性の改善効果が得られにくい反面、EVOH樹脂(A)と変性ブロック共重合体(C)の親和性が高くなることによって高重合度化物が発生しやすくなり、樹脂組成物のMFRが低下して成形加工性が低下しやすい傾向がある。また、高重合度化物の発生は、樹脂組成物内での粘度の偏りの原因となり、成形により得られるフィルムにスジが発生しやすくなり、結果として耐屈曲性改善効
果を損なう傾向がある。さらに、樹脂組成物が黄色に着色しやすくなる原因ともなる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば樹脂組成物の2重量%以下)にて、上記EVOH樹脂(A)、ブロック共重合体(B)、変性ブロック共重合体(C)の他に、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
本発明の樹脂組成物は、以上のような成分を混合することによって調製できる。かかる混合方法としては、溶融混合法、溶液混合法等が挙げられる。生産性の点からは溶融混合法が好ましい。
溶融混合方法としては、各成分をドライブレンドした後に溶融して混合する方法や、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の混練装置を使用して行うことができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いることが工業上好ましく、また、必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。
本発明の樹脂組成物では柔軟成分であるブロック共重合体(B)が、疲労吸収の役割を果たしており、さらに極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(C)と、数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)を併用することにより、(B)成分が均一かつ微細に分散することでさらにガスバリア性、成形加工性、透明性に優れるという効果が得られると考えられる。
本発明の多層構造体は、上記本発明の樹脂組成物からなる層(以下、単に「樹脂組成物層」という)を少なくとも1層有する多層構造体である。
本発明の多層構造体を構成する樹脂組成物層以外の層を構成する樹脂としては、特に限定しないが、EVOH樹脂以外の熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、環状ポリオレフィン、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したもの等の広義のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で構成される層が挙げられる。これらの樹脂の他に、紙、金属箔、1軸又は2軸延伸プラスチックフイルム又はシート、織布、不織布、金属綿条、木質面、アルミやシリカ蒸着と組み合わせた多層構造体であってもよい。中でも機械的強度や成形加工性の点で、好ましくはポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンである。
具体的には、例えば、EVOH樹脂組成物の成形品(例えばフィルムやシート)に熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、熱可塑性樹脂等の基材に樹脂組成物層を溶融押出する方法、樹脂組成物層と熱可塑性樹脂層とを共押出する方法が挙げられ、詳細にはT−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、異型押出等が採用される。
さらには、EVOH樹脂組成物フィルムと熱可塑性樹脂フィルム等の基材とを、有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエチレンイミン系化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン系化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、接着性樹脂層を介層させてラミネートする方法等が採用される。
また、場合によっては共射出法も採用可能である。
また、該多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品等を再溶融成形して得られる、樹脂組成物とEVOH以外の熱可塑性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/a/R、R/b/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
さらに上記した多層構造体の層間には公知の接着性樹脂を用いても良い。
例えば、具体的には、熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/樹脂組成物層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層を構成単位とする多層構造体が最も好ましい。
外装の基材としては紙やダンボールの他にプラスチックや金属であってもよく、形状についても例えばボックスやカートン(正方形、直方体)、ドラム(円柱)が挙げられる。
以下、これらを総称してバッグインボックスと称する。
以下、バッグインボックス用バッグ等の袋状の液体容器について説明するが、本発明の多層構造体の用途はこれに限定されるものではない。
このときに、該積層体と打ち抜き処理のしていない別の積層体とを合わせて四方ヒートシールして袋状の液体容器とすることができる。
ブロー成形法では、複数の押出機から共押出法により押し出された円筒状の上記の多層構造体(パリソン)を金型で型締めして成形する。液体注入口の密封栓は、予め射出成形で成形したものを金型内にセットしておき、ブロー成形時に成形容器と融着させる。その後、液体注入口をあけることにより袋状の液体容器とすることができる。
従って、長期間繰り返し変形を受けるような成形品にも適用できる。例えば、折り畳んだり、内容物の量の変化に伴って変形していくような袋状の液体容器、より具体的にはバッグインボックス用バッグの用途に好適である。
尚、実施例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
(1)ガスバリア性
調製した樹脂組成物で作製した厚み30μmの単層フィルムについて、20℃、65%RH条件下で、MOCON社のOxtran2/20を用いて、厚み30μmあたりの酸素透過度(cc/m2・day・atm)を測定した。
乾燥状態でA4サイズ、厚み30μmの乾燥状態の単層フィルムを、23℃、50%RHの条件下で、理学工業社のゲルボフレックステスターを用いて、捻じり試験を行った。なお、かかるゲルボフレックステスターの条件は、捻り:440°,3.5インチ、水平方向:2.5インチである。
上記捻じり試験を500回(40サイクル/分)加えた後、該単層フィルムの中央部28cm×17cmあたりのピンホール発生数を数えた。かかるテストを5回試行し、その平均値を求めた。
得られた単層フィルムの透明性を、ヘイズメーター(日本電色社製「NDH2000」)を用い、JIS K7105に順じてヘイズ値(%)を測定した。ヘイズ値は、試験片の拡散光線透過率を全光線透過率で割ったものを百分率で表したものであり、ヘイズ値が低い値であるほどフィルム透明性が良好であること(白濁度合が少ない)を示す。
なお、フィルム内部のヘイズを評価するために、評価の際にはフィルム両面に流動パラフィンを塗布した試料を用いて、フィルム表面の凹凸による影響を取り除いた状態にして評価した。
樹脂組成物を東洋精機社のメルトインデクサーF−BO1を用いて、荷重2160g、温度210℃にてMFR(g/10分)を測定した。
EVOH樹脂(A)として、表1に示す2種類のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH1、EVOH2)を用いた。EVOH1、2は、いずれも表1に示すホウ酸量のホウ素化合物が添加されている。
また、変性SEBSは、SEBSにおいて極性基としてカルボキシル基を含有するものである。変性量は表2中、酸価(mgCH3ONa/g)で示す。ブロック共重合体(B)及び変性ブロック共重合体(C)は、いずれも旭化成ケミカルズ株式会社製の「タフテック」シリーズを用いた。
押出機:直径(D)30mm、二軸押出機、L/D=42
スクリーンパック:90/90メッシュ
スクリュ回転数 :160rpm
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6−D=150/200/220/220/220/220−℃
吐出量:18kg/hr
押出機:直径(D)40mm、L/D=28
スクリュ:フルフライトタイプ 圧縮比=3.5
スクリーンパック:90/120/90メッシュ
ダイ:幅450mm、コートハンガータイプ
設定温度:C1/C2/C3/C4/A/D=190/210/230/230/220/220℃
スクリュ回転数:10rpm
引取速度:3m/min
ロール温度:80℃
エアーギャップ:15cm
※2 フィルム靱性の不足により試験途中でフィルムが裂けたために、測定不可となった。
※3 樹脂組成物のペレットが黄色く着色していた。
実施例1にて得られた樹脂組成物は、酸素透過量が非常に小さくガスバリア性が優れることがわかる。また、炭化水素系樹脂(D)によるブロック共重合体(B)成分の分散補助効果に伴って、耐屈曲性試験でのピンホール発生数も非常に少なく優れている上に、ヘイズ値も小さく透明性に関しても非常に優れている。さらに、荷重2160g、温度210℃でのMFR値についても3より大きいことから、溶融状態での流動性が良好で溶融成形性に優れることがわかる。
また、実施例3は、実施例2に対して(A)/(B)配合比を小さくしたものであるが、かかる樹脂組成物は、(B)成分の割合を増加したことにより特に優れた耐屈曲性を示しながら、実施例2と同等に優れたガスバリア性、透明性、MFR値を有することがわかる。
実施例4は、実施例1の炭化水素系樹脂(D)の水添状態を完全水添型から部分水添型の脂環族系炭化水素樹脂に変更したものであるが、実施例1と同等に優れたガスバリア性、耐屈曲性、透明性、MFR値を有することがわかる。
実施例5は、実施例4に対して(A)/(B)配合比を小さくしたものであるが、かかる樹脂組成物は、(B)成分の割合を増加したことにより特に優れた耐屈曲性を示しながら、実施例4と同等に優れたガスバリア性、透明性、MFR値を有することがわかる。
実施例6は、実施例1の炭化水素系樹脂(D)を水素添加以外の方法で得られる脂環族系炭化水素樹脂に変更したものであるが、実施例1と同等に優れた耐屈曲性、透明性、MFR値を有することがわかる。
しかしながら、荷重2160g、温度210℃でのMFR値が2.2となり、主成分であるEVOH(A)のMFR値(4)と比べると大きく低下しており、溶融状態での流動性が低く成形する際に高いエネルギー量が必要となるため、溶融加工において扱いにくい点が課題として挙げられる。また、ガスバリア性、耐屈曲性、透明性に関しても、本発明の実施例1で得られた樹脂組成物のほうが、より優れた効果が得られることがわかる。
Claims (12)
- エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(B)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(C)、数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)を含有する樹脂組成物であって、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の含有総重量に対する、前記(D)成分の含有率(D/(A+B+C+D))は、0.5〜7.5重量%であり、前記(A)成分に対する(B)成分および(C)成分の含有重量比率(A)/〔(B)+(C)〕は、50以上/50未満〜99/1であり、前記(B)成分に対する(C)成分の重量比率(C/B)が0.01〜10である樹脂組成物。
- 前記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(B)が、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロック(b1)と、不飽和炭化水素化合物を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水素添加ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B)であり、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(C)が、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロック(c1)と、不飽和炭化水素化合物を重合してなるポリマーブロック及び/又はその水素添加ブロック(c2)とを有するブロック共重合体で、且つ極性基を含有する変性ブロック共重合体(C)である請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記(B)成分におけるビニル芳香族含有率は5〜50重量%である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分の極性基の含有量は、1.0×10-3〜1ミリモル/gである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分の極性基がカルボキシル基である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分のカルボキシル基の含有量は20mgCH3ONa/g以下である請求項5に記載の樹脂組成物。
- 前記(D)成分が、石油樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体。
- 厚みが1〜1500μmである請求項9に記載の多層構造体。
- 請求項9又は10に記載の多層構造体からなる液体容器。
- 請求項9又は10に記載の多層構造体からなるバッグインボックス用バッグ。
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