JP5797909B2 - 樹脂組成物並びにこれを用いた成形品及び多層構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、EVOH樹脂に柔軟性を付与した樹脂組成物に関し、特に、バッグインボックス用バッグに代表される液体用容器など、長期間かけて繰り返し施される変形のような仕様にも耐えることができ、且つ透明性が要求される容器・包装用フィルム等の成形品を提供できる樹脂組成物、およびこれを用いた成形品、多層構造体に関する。
エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(以下、「EVOH樹脂」と称することがある)は、高分子側鎖に存在する水酸基同士の水素結合のため、非常に強い分子間力を有する。それゆえに、結晶性が高く、非晶部分においても分子間力が高いため、気体分子等はEVOH樹脂フィルムを通過することができない。このようなことから、EVOH樹脂を用いたフィルムは優れたガスバリア性を示し、水、飲食料品の容器・包装用フィルム、包装容器素材として利用されている。一方、EVOH樹脂成形品は、その高結晶性故に、柔軟性に欠けるという短所がある。
そこで、柔軟性が必要な用途では、EVOH樹脂成形品に柔軟性を付与するために、軟質樹脂とブレンドして用いることが一般に行われている。
例えば、特開平7−173348号公報(特許文献1)では、EVOH樹脂に、水素化テルペン樹脂(実施例1)、又は石油系炭化水素樹脂(実施例2)を添加した樹脂組成物、さらにはポリアミド系熱可塑性エラストマーを添加した樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1では、タッキファイヤーとして用いられるようなテルペン樹脂や炭素数5〜10の石油系樹脂を0.5〜10重量%程度含有させることにより、ヒートシール強度を高めることを目的としており、耐屈曲性についての影響、効果は評価されていない。
また、特開2004−189916号公報(特許文献2)には、EVOH樹脂、SBS、SIS、SEBSなどのブロック共重合体、不飽和カルボン酸変性ブロック共重合体、ゴム用軟化剤を配合した樹脂組成物が開示されている。
ゴム用軟化剤としては、ゴム成分を柔軟化又は可塑化させる成分として、パラフィンオイルなどが用いられている。また、不飽和カルボン酸変性ブロック共重合体は、ガスバリア性を向上させる成分として配合される。
そして、組成物のガスバリア性と柔軟性のバランスの点、組成物の力学的性能及びガスバリア性の兼ね合いの観点から、これらの成分比率を一定範囲に調節することが記載されている。
ここで、機械的特性としては、JIS A硬度、引張破断強度が測定評価されているものの、耐屈曲性については評価されていない。
一方、耐屈曲性の改善を目的としたEVOH樹脂組成物としては、例えば、特開2000−248136号公報(特許文献3)に、EVOH樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体、20℃における弾性モジュラスが100kgf/cm2以下である熱可塑性樹脂(エチレン−プロピレン共重合体、ブタジエンゴム等のゴム成分)を、所定比率で配合した樹脂組成物が提案されている。このような樹脂組成物では、ガスバリア性、透明性(ヘイズ値)、耐屈曲性が改善されると説明されている。
また、特開平8−165397号公報(特許文献4)では、EVOH樹脂に、ポリオレフィン系樹脂、カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂を配合した樹脂組成物が開示されている。特許文献4は、EVOH樹脂にポリオレフィン系樹脂をブレンドした樹脂組成物は、耐屈曲疲労性、耐衝撃性が改善されているものの、成形したフィルムについて使用する箇所により物性にばらつきが生じるといった問題があるとして(段落番号0005)、これを解決するために、押出加工時のエネルギー値を所定範囲とすることを提案している。
特開平7−173348号公報 特開2004−189916号公報 特開2000−248136号公報 特開平8−165397号公報
バッグインボックス用バッグなどの液体を充填するフィルム容器として利用する場合、折りたたむことができたり、さらには中身の液体の変形や減量に伴う、フィルム容器の変形、折れ曲がりが長時間繰り返されてもピンホールが生じにくい特性は、耐屈曲性として評価されるもので、硬度、耐衝撃性、引張強度とは異なる特性である。
特許文献3、4では、耐屈曲性が評価されている。しかしながら、SBS、SIS等の熱可塑性エラストマーやエチレン−プロピレン共重合体等のゴム成分、ポリオレフィン樹脂等の親油性ポリマーは、EVOH樹脂との親和性が低いため、EVOH樹脂中に均一に分散させることが難しい。このことに起因するかどうかは明らかにされていないが、特許文献4に記載されているように、成形安定性が十分ではなく、軟質樹脂配合の効果が、フィルムの箇所によっては十分に発揮されにくいといった問題が示されている。特許文献4では、押出加工時の条件を特定条件に設定することで、成形品(フィルム)の箇所による物性のばらつきを低減させているが、適切な加工条件が特定範囲に制限されると、加工生産速度低下の要因にもなるので、組成自体の工夫による解決が求められている。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐屈曲性、透明性に優れたフィルムが得られ、しかも、溶融混練時、押出成形時に複雑な条件設定、制御を行わなくても、フィルム成形時のばらつきが少なく、成形安定性が良好である樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、ゴム成分やポリオレフィン等の軟質高分子成分が、EVOH樹脂中に安定して存在するだけでは不十分であることから、このような現象について、さらに検討を進めた結果、下記特定の4成分を選択して用いることにより、本発明の完成にいたった。すなわち、軟質高分子成分の添加効果が、安定的に発揮されるためには、EVOH樹脂中に軟質高分子成分が微分散される必要があると考え、それを可能とする組成を案出した。
本発明の樹脂組成物は、エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)に、オレフィン系ポリマー(B)、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)、及び数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(但し、前記オレフィン系ポリマー(B)又は前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)に該当する炭化水素系樹脂を除く)(D)を配合してなる樹脂組成物であって、
前記オレフィン系ポリマー(B)に対する前記エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)の含有重量比率(A/B)は60/40〜99/1であり、
前記オレフィン系ポリマー(B)に対する前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)の含有重量比率(C/B)は0.01〜10であり、
前記オレフィン系ポリマー(B)及び前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)の含有総重量に対する前記エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)の含有重量比率(A/(B+C))は50以上/50未満〜99/1であり、
前記エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A),前記オレフィン系ポリマー(B),前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C),及び前記炭化水素系樹脂(D)の含有総重量に対する前記炭化水素系樹脂(D)の含有重量比率(D/(A+B+C+D))は、0.5重量%以上で且つ7.5重量%未満である。
前記オレフィン系ポリマー(B)の210℃、荷重2160g条件下でのメルトフローレート(MFR)は、0.01〜150g/10分であることが好ましい。また、前記オレフィン系ポリマー(B)は、低結晶性ポリオレフィンであることが好ましく、またその密度は、0.85〜0.96g/cmであることが好ましく、さらにガラス転移温度は−110〜0℃であることが好ましい。さらにまた、23℃、50%RHにおける曲げ弾性率が150MPa未満であることが好ましい。
前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)の210℃、荷重2160g条件下でのメルトフローレート(MFR)は、0.01〜150g/10分であることが好ましく、その密度は、0.85〜0.96g/cmであることが好ましい。
本発明は、上記本発明の樹脂組成物からなる成形品、本発明の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体、当該多層構造体からなる液体容器、バックインボックス用バックも含む。
本発明の樹脂組成物は、エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)をマトリックスとし、ここに柔軟成分であるオレフィン系ポリマー(B)を分散したものである。そして、かかる(B)成分を分散させるにあたり、(A)成分と(B)成分の両方に親和性を有する、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)を分散剤として用い、さらに、数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)を分散助剤として併用することにより、(B)成分の粒径が微細化して分散性が非常に良好となる。
その結果、本発明の樹脂組成物は、耐屈曲性、透明性に優れ、成形加工性に優れる。
本発明においては、上記したように、(D)成分を分散助剤として使用することも特徴の一つであり、これによって(B)成分の分散性や樹脂組成物の透明性がさらに向上するという予想外の効果が得られたものである。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
はじめに本発明のEVOH樹脂組成物について説明する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)に、オレフィン系ポリマー(B)、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)、及び数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)を配合してなる組成物である。
以下、各成分について、順に説明する。
〔EVOH樹脂(A)〕
組成物の主成分となるEVOH樹脂(A)は、非水溶性の樹脂であり、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体をケン化することによって得られる公知の樹脂である。かかるビニルエステル系モノマーは、代表的には酢酸ビニルである。エチレン−ビニルエステル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
本発明の樹脂組成物に用いられるEVOH樹脂(A)は、ISO14663に基づいて測定したエチレン構造単位の含有量が通常20〜60モル%であり、好ましくは25〜50モル%、さらに好ましくは27〜35モル%である。エチレン構造単位の含有率が少なすぎると、樹脂組成物の成形加工性や耐屈曲性が低下する傾向にある。一方、エチレン構造単位の含有率が高くなりすぎると、必然的にポリマー鎖中に含まれるOH基の割合が低下しすぎ、ガスバリア性が不足する傾向にある。特に、本発明の樹脂組成物では、EVOH樹脂に基づく高いガスバリア性を確保する必要性から、エチレン含有率を上記範囲に設定する必要がある。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、市場入手性や製造時の不純物処理効率がよい点から、代表的には酢酸ビニルが用いられる。この他、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは4〜7の脂肪族ビニルエステルである。これらは通常単独で用いられるが、必要に応じて、2種以上混合して用いてもよい。
また、ビニルエステル成分のケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定した値で、通常95モル%以上であり、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%である。ケン化度が低くなると、ガスバリア性が低下する傾向にあるからである。
さらに、EVOH樹脂(A)のメルトフローレート(以下「MFR」称することがある)においては、210℃、荷重2160g条件下で、通常0.1〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分であり、特に好ましくは2〜20g/10分である。MFRの値が小さすぎる場合、すなわち溶融粘度が高い場合、オレフィン系ポリマー(B)との均一な溶融混練が困難になり、オレフィン系ポリマー(B)の分散性低下の原因となる。一方、MFRの値が大きすぎる場合、溶融粘度が低くなり、安定した溶融押出が困難となる傾向がある。
本発明の樹脂組成物に用いられるEVOH樹脂(A)としては、上記要件を充足するEVOH樹脂であれば、エチレン含有率、ケン化度、MFRが異なる2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明に用いられるEVOH樹脂としては、共重合体中に、以下に示すコモノマーが、更に少量含まれたものであってもよい。前記コモノマーとしては、プロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3−ブテン−1、2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又はその塩、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレン等のコモノマーが挙げられる。さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等「後変性」されていても差し支えない。
このような変性物の中でも、特にヒドロキシ基含有α−オレフィン類を共重合したEVOH樹脂は、延伸加工や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも1,2−ジオールを側鎖に有するEVOH樹脂が好ましい。
本発明で用いられるEVOH樹脂(A)には、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般にEVOH樹脂に配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが含有されていてもよい。
上記熱安定剤としては、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛などの塩;または、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛などの塩等の添加剤を添加してもよい。これらのうち、特に、酢酸、ホウ酸およびその塩を含むホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩を添加することが好ましい。
酢酸を添加する場合、その添加量は、EVOH樹脂(A)100重量部に対して通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.2重量部、特に好ましくは0.010〜0.1重量部である。酢酸の添加量が少なすぎると、酢酸の含有効果が十分に得られない傾向があり、逆に多すぎると均一なフィルムを得ることが難しくなる傾向がある。
また、ホウ素化合物を添加する場合、その添加量は、EVOH樹脂(A)100重量部に対してホウ素換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.001〜1重量部であり、好ましくは0.002〜0.2重量部であり、特に好ましくは0.005〜0.1重量部である。ホウ素化合物の添加量が少なすぎると、ホウ素化合物の添加効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。
また、酢酸塩、リン酸塩(リン酸水素塩を含む)の添加量としては、EVOH樹脂(A)100重量部に対して金属換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、特に好ましくは0.002〜0.03重量部である。かかる添加量が少なすぎるとその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。尚、EVOH樹脂(A)に2種以上の塩を添加する場合は、その総量が上記の添加量の範囲にあることが好ましい。
EVOH樹脂(A)に酢酸、ホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩を添加する方法については、特に限定されず、i)含水率20〜80重量%のEVOH樹脂(A)の多孔性析出物を、添加物の水溶液と接触させて、添加物を含有させてから乾燥する方法;ii)EVOH樹脂(A)の均一溶液(水/アルコール溶液等)に添加物を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、さらに乾燥処理をする方法;iii)EVOH樹脂(A)と添加物を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法;iv)EVOH樹脂(A)の製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の有機酸類で中和して、残存する酢酸等の有機酸類や副生成する塩の量を水洗処理により調整したりする方法等を挙げることができる。
本発明の効果をより顕著に得るためには、添加物の分散性に優れるi)、ii)の方法、有機酸およびその塩を含有させる場合はiv)の方法が好ましい。
〔オレフィン系ポリマー(B)〕
本発明にいう、B成分たるオレフィン系ポリマーとは、炭素−炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素モノマーであるオレフィンを主モノマーとし、通常、数平均分子量1万以上の高分子で、主鎖が炭素結合のみで構成される親油性ポリマーをいう。具体的には、ポリオレフィン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、脂肪族系ゴム、オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アイオノマーが挙げられる。
上記ポリオレフィンとは、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンモノマーのホモポリマー、2種以上のオレフィンモノマーのランダムコポリマー、ブロックコポリマーをいう。中でも、オレフィンホモポリマーとしては、例えば、超低密度ポリエチレン、(直鎖状)低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。オレフィンブロックコポリマーとしては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等のエチレン−αオレフィン共重合体;プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン−αオレフィン共重合体;ブテン−エチレン共重合体、ブテン−プロピレン共重合体等のブテン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。オレフィンランダムコポリマーとしては、上記オレフィンモノマーを2種以上ランダムに共重合したもので、低結晶性を示し、例えば、三井化学株式会社製のエチレン系タフマー、プロピレン系タフマー、ブテン系タフマー等のタフマーシリーズ(商品名)などが挙げられる。
上記脂肪族系ゴムとは、オレフィンモノマーとジエンモノマーのコポリマー、又はこれらの水素添加物で、ゴム状弾性を有するポリマーである。具体的には、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)等の合成ゴムが挙げられる。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメントとしてポリオレフィン(ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)、ソフトセグメントとして上記脂肪族系ゴム(EPDMまたはEPMなど)を使用した熱可塑性を示すエラストマー樹脂であり、ポリオレフィンと脂肪族系ゴムをコンパウンドする方法(コンパウンド型)、あるいはオレフィン重合時に脂肪族ゴムを導入する方法(リアクター型)によって合成されたものが挙げられる。コンパウンド型としては、単純ブレンド品(非架橋タイプ)と動的架橋品(全面架橋タイプ、または部分架橋タイプの2種類)がある。
オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。
アイオノマー樹脂とは、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の金属塩で、樹脂中のカルボキシル基は、金属により中和されている。
本発明で用いるオレフィン系ポリマー(B)は、密度が、通常0.85〜0.96g/cmであり、好ましくは0.85〜0.92g/cm、より好ましくは0.85〜0.90g/cmである。特に、0.85〜0.92g/cmの条件を充足するオレフィン系ポリマー(B)としては、ポリプロピレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィンランダムコポリマー等の低結晶性ポリオレフィン;EPM、EPDM等の脂肪族ゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
さらに、本発明でB成分として用いるオレフィン系ポリマーは、23℃、50%RHにおける曲げ弾性率が150MPa未満、好ましくは100MPa未満、特に好ましくは50MPa未満であることが、曲げに対する柔軟性が良好であるという点から望ましい。曲げ弾性率が150MPa未満を充足するオレフィン系ポリマーとしては、超低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィンランダムコポリマー等の低結晶性ポリオレフィン;EPM、EPDM、IR、BR、IIR等の脂肪族ゴム;ハードセグメントがポリエチレンで構成されるオレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
より優れた蓄積疲労吸収効果を得るためには、密度が0.85〜0.90g/cmで、且つ23℃、50%RHにおける曲げ弾性率が50MPa未満であることが好ましい。このような条件を充足するオレフィン系ポリマーとしては、低結晶性のエチレン−αオレフィンランダムコポリマー、EPM、EPDMが挙げられる。
さらにまた、B成分のガラス転移温度は通常−110℃〜0℃、好ましくは−80℃〜−20℃であり、より好ましくは−70℃〜−40℃である。ガラス転移温度が室温に比べてはるかに低い温度範囲にあり且つ低結晶性であることにより、低温から室温に至る広い温度範囲での柔軟性に非常に優れており、EVOH樹脂に対して配合することで高い蓄積疲労効果を付与することが可能となる。ここで、ガラス転移温度とは、オレフィン系ポリマー(B)の無定形部分がガラス状態からゴム状態に転移する温度を意味しており、通常は、示差走査熱量計を用いてJIS K7121準拠の方法で測定することができる。
また、オレフィン系ポリマー(B)のメルトフローレート(MFR)においては、210℃、荷重2160g条件下で、通常0.01〜150g/10分であり、好ましくは0.1〜50g/10分であり、より好ましくは1〜25g/10分であり、さらに好ましくは2〜10g/10分である。
EVOH樹脂(A)の溶融粘度とオレフィン系ポリマー(B)の溶融粘度とが近いほど、溶融混練が容易になり、オレフィン系ポリマー(B)がEVOH樹脂中に均一に分散した樹脂組成物が得られやすく、ひいては耐屈曲性、透明性に優れた樹脂組成物が得られやすい。具体的には、210℃、荷重2160g条件下で測定したMFR値(EVOH樹脂(A)/オレフィン系ポリマー(B))が、通常、0.1〜10、好ましくは0.5〜4、より好ましくは0.7〜3.0である。
以上のようなB成分は、低結晶性、あるいはゴム性といった特性に基づいて、高結晶性のEVOH樹脂とブレンドすることにより、柔軟性が付与された樹脂組成物を得ることができ、ひいては、耐屈曲性に優れた組成物を提供できる。
〔カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)〕
本発明に用いるカルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)は、オレフィン系ポリマーをカルボン酸変性したものである。カルボン酸変性されるオレフィン系ポリマーとしては、(B)成分で記載したようなオレフィン系ポリマー、すなわち、ポリオレフィン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、脂肪族系ゴム、オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー等の通常、数平均分子量1万以上の高分子で、主鎖が炭素結合のみで構成される親油性ポリマーを用いることができる。樹脂組成物において、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)に用いられているオレフィン系ポリマーとオレフィン系ポリマー(B)とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ここでカルボン酸変性とは、オレフィン系ポリマーを構成するモノマーの一部を、α,β―不飽和カルボン酸又はその無水物モノマーに代えて共重合することにより、あるいはグラフト反応等により側鎖の一部にα,β―不飽和カルボン酸又はその無水物モノマーを導入することにより行われる。
上記カルボン酸変性に用いられるα,β―不飽和カルボン酸又はその無水物としては、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。中でも無水マレイン酸が好適に用いられる。
カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)における変性量(変性用のカルボン酸量)は、ベースとなるオレフィン系ポリマーの、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%、殊に好ましくは0.2〜1重量%である。変性量が少なすぎると、得られる樹脂組成物の相溶性が低下して本発明の効果が得られにくくなり、逆に多すぎると、EVOH樹脂中の水酸基との反応点が増し、溶融混練過程において高重合度化物が生成して、フィルム成形時の成形性、熱安定性等が低下する傾向にある。
カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)の密度は、通常0.85〜0.96g/cm3であり、好ましくは0.85〜0.92g/cm3、より好ましくは0.85〜0.90g/cm3である。
また、かかるカルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)のメルトフローレート(MFR)は、210℃、荷重2160g条件下で、通常0.01〜150g/10分であり、好ましくは0.1〜50g/10分であり、より好ましくは1〜25g/10分であり、さらに好ましくは1.5〜10g/10分である。
EVOH樹脂(A)の溶融粘度とカルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)との溶融粘度が近いほど、溶融混練が容易になり、耐屈曲性、透明性に優れた樹脂組成物が得られやすい。具体的には、210℃、荷重2160g条件下で測定したMFR比(EVOH樹脂(A)/カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C))が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜7.5である。
このようなC成分としては、市販品を用いてもよい。カルボン酸変性オレフィン系ポリマーの市販品としては、例えば、「アドマー」、「タフマー」Mシリーズ(三井化学社製)、「バイネル」、「フサボンド」(デュポン社製)、「オレヴァック」(アルケマ社製)、「プレクサー」(イクイスター社製)、「モディックAP」(三菱化学社製)などが挙げられる。
また、本発明で用いられるC成分としては、本発明の効果を阻害しない範囲において、C成分に含有されるカルボン酸成分を部分的に他の化合物(例えば、ポリアミド6、ポリアミド6/12などのポリアミド樹脂)によって後変性した変性重合体であっても差し支えない。
以上のようなカルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)は、EVOH樹脂をマトリックスとする海に、B成分の島が安定に存在できるようにする働きを有する。そもそも、結晶性が高く、かつ親水性が高いEVOH樹脂と親油性のB成分とは相溶性がなく、しかも一般に比重も異なることから、溶融混練した場合、分離しやすい傾向にある。しかしながら、本発明の樹脂組成物においては、C成分であるカルボン酸変性オレフィン系ポリマーはEVOH樹脂(A)とオレフィン系ポリマー(B)間の相溶化剤として機能することができる。すなわち、C成分のカルボキシル基はEVOH樹脂の水酸基との反応性を有しているので、溶融混合することでA成分とC成分とのグラフト化物が生成され、親水性部位と親油性部位を併せもつグラフト化物がA成分とB成分との境界に存在することになって、B成分をEVOH樹脂の海中に安定な島として存在させることができる。
〔炭化水素系樹脂(分散助剤(D))〕
本発明で用いるD成分たる炭化水素系樹脂は、分散助剤として添加されるもので、数平均分子量が100から3000で且つ軟化点が60℃以上170℃未満の炭化水素系樹脂(但し、前記オレフィン系ポリマー(B)又は前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)に該当する炭化水素系樹脂を除く)である(以下、このD成分たる炭化水素系樹脂を「分散助剤(D)」ということがある)具体的には、ロジン系樹脂(ロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン、変性ロジンのグリセリンエステルやペンタエリスリトールエステル等のロジンエステル、等)やテルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等の天然炭化水素樹脂;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール系樹脂(アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、等)、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の合成炭化水素が挙げられる。
なお、かかる(D)成分をMFRで表現した場合、210℃、荷重2160g条件下では、通常150g/10分超の非常に大きな値を示すものである。
このようなD成分は、B成分との親和性が高い。しかも軟化点が上記範囲内にあることから、溶融混練温度において、流体状態として存在することができることから、溶融混練時にB成分の分子構造内にも入り込んで、B成分の凝集状態を解放することができる。その結果、EVOH樹脂の海中に、B成分が均一に拡散し、微分散した状態が可能になると考えられる。このようにして、D成分は、樹脂組成物において分散助剤としての機能を果たすことができる。さらに詳述すると、D成分を含まない場合、C成分の作用により、EVOH樹脂の海中に、B成分の島を安定的に存在させることが可能であっても、B成分の島が大きい状態で点在する傾向が高いため、B成分による柔軟性付与効果が十分発揮されず、耐屈曲性改善効果が不十分であったり、成形加工性の問題を解決できなかった。D成分を含む場合、溶融混練の際に、EVOH樹脂の海中にB成分たるオレフィン系ポリマーが微分散されることが可能となり、C成分による安定化効果が有効に発揮される。ひいては優れた耐屈曲性、成形安定性が得られると考えられる。
上記石油樹脂とは、石油ナフサ等の熱分解により副生する不飽和炭化水素モノマーを含有する留分を重合したものを意味し、具体的には、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)、脂肪族/芳香族系石油樹脂(C5/C9系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂(水添系石油樹脂)に分類される。
脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)とは、石油ナフサ分解油のC5留分の精製成分を重合して得られた合成樹脂であり、具体例としては、クイントン100シリーズ(日本ゼオン社製)、エスコレッツ1000シリーズ(エクソンモービル社製)などが挙げられる。
芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)とは、石油ナフサ分解油のC9留分の精製成分を重合して得られた合成樹脂であり、具体例としては、ペトコール(東ソー社製)、日石ネオポリマー(新日本石油社製)などが挙げられる。
脂肪族/芳香族系石油樹脂(C5/C9系石油樹脂)とは、上記C5留分とC9留分をブレンドした原料を共重合して得られた合成樹脂であり、具体例としては、ペトロタック(東ソー社製)、トーホーハイレジン(東邦化学工業社製)、クイントン100シリーズ(日本ゼオン社製)、エスコレッツ2000シリーズ(エクソンモービル社製)などが挙げられる。
脂環族系石油樹脂には、上記の芳香族系石油樹脂、または脂肪族/芳香族系石油樹脂を水素添加して得られた水添系石油樹脂およびC5留分から抽出されたジシクロペンタジエンを主原料に合成して得られた合成樹脂がある。
中でも上記の芳香族系石油樹脂、または脂肪族/芳香族系石油樹脂を水素添加して得られた水添系石油樹脂が代表的であり、具体例としては、アルコン(荒川化学工業社製)、アイマーブ(出光興産社製)、エスコレッツ5000シリーズ(エクソンモービル社製)などが挙げられる。
かかる水添系石油樹脂の場合には、水添率によって樹脂の極性が異なり、主に水添率90%以上の完全水添型と水添率90%未満の部分水添型に2種類に分類される。前者の具体例としては、アルコンPグレード(荒川化学工業社製)、アイマーブPタイプ(出光興産社製)などが挙げられ、後者の具体例としては、アルコンMグレード(荒川化学工業社製)、アイマーブSタイプ(出光興産社製)などが挙げられる。
また、水素添加以外の方法で得られる脂環族系石油樹脂としてはC5留分から抽出されたジシクロペンタジエンを主原料に合成して得られた合成樹脂の具体例としては、クイントン1000シリーズ(日本ゼオン社製)、マルカレッツMシリーズ(丸善石油化学製)が挙げられる。
以上のようなD成分のうち、樹脂組成物の透明性や色調などの外観や無臭性を向上させる点で、石油樹脂を用いることが好ましく、さらには脂環族系石油樹脂を用いることが好ましく、特には水添系石油樹脂を用いることが好ましい。
また、水添系石油樹脂の水添率については、特に限定しないが、極性の低いオレフィン系ポリマー(B)との親和性を考慮すると、完全水添型の水添系石油樹脂を用いることが好ましい。
D成分の数平均分子量としては、通常100〜3000、好ましくは300以上1500未満、特に好ましくは400以上1000未満である。数平均分子量が小さすぎる場合、溶融混合の際に原料投入部で液体になりやすく、特に粘度が低い液体になると、混合不良をおこしやすくなり、分散不良によってフィルム透明性が低下するおそれや、D成分が成形品から溶出しやすくなるおそれがある。また、数平均分子量が大きすぎる場合、溶融混練時に流体としてB成分の凝集体内に侵入しにくくなり、分散助剤としての役割を十分果たせないばかりか、親油性というD成分の特性から、EVOH樹脂と分離しやすくなり、ひいては成形品において、目ヤニやスジなど外観不良の原因となるおそれがある。
上記数平均分子量は、ゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定で得られるポリスチレン換算値により算出することができる。
D成分の軟化点としては、通常60℃以上170℃未満、好ましくは95℃以上160℃未満、特に好ましくは120℃以上150℃未満である。軟化点が低すぎる場合、溶融混合の際に原料投入部で粘度の低い液状になりやすく、D成分の分散助剤としての役割を十分に果たせない。ひいては、B成分の分散不良によって、耐屈曲性、透明性の改善効果が十分得られにくい。また、D成分が成形品から溶出しやすくなるといった問題も生じやすい。軟化点が高すぎる場合は、溶融混合の際にD成分の未溶融部分が残存して、分散助剤としての機能が低下し、十分な耐屈曲性や透明性が得られないおそれがあり、さらには残存した未溶融部分によってフィルム成形物にフィッシュアイなどの異物が発生するおそれがある。
なお、軟化点の測定方法としては、JIS K2207(環球法)に準拠した方法を用いることができる。
D成分の色相としては、ガードナーナンバーが通常3以下好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。ガードナーナンバーが3を超えると、樹脂組成物の黄色度が強くなり外観特性が低下する恐れがある。
また、水添系石油樹脂の場合には、ハーゼンナンバーが通常200以下好ましくは150以下、特に好ましくは100以下である。ハーゼンナンバーが200以下のものを用いると、外観特性に優れた無色透明な樹脂組成物を得ることができる。
なお、色相の測定方法としては、JIS K0071−1(ハーゼンナンバー)、JIS K0071−2(ガードナーナンバー)に準拠した方法を用いることができる。
分散助剤(D)の常温での形態としては、特に限定しないが、例えば粉末状、塊状、フレーク状、ペレット状(粒状)などが挙げられるが、混合時の作業性や計量性の観点から、フレーク状、ペレット状であることが好ましく、特にはペレット状であることが好ましい。
以上のようなD成分は、B成分がEVOH樹脂の海中に微分散化するという効果だけでなく、溶融成形時には液体化しているので、溶融時における組成物の粘度を減少(MFR値を増加)させることも可能となる。このことは、以下のような効果をもたらすと考えられる。すなわち、C成分であるカルボン酸変性オレフィン系ポリマーのカルボキシル基とEVOH樹脂中の水酸基とは反応可能であるため、溶融混練過程において、両官能基が反応し、高重合度化物が生成される場合がある。この高重合度化物の生成によって樹脂粘度が増加するが、樹脂粘度が増加すると押出機内でのせん断発熱が発生しやすくなり、高重合度化物がさらに増加して、フィルム成形物においてスジやフィッシュアイなどの外観不良などを招くおそれがある。しかしながら、D成分の配合により溶融時の組成物の粘度を減少させることが可能になると、せん断発熱の抑制、高重合度化物の生成が抑制され、ひいては品質改善の観点でも有効に寄与できると考えられる。
〔配合比率〕
本発明の樹脂組成物において、上記(A)〜(D)成分は特定割合で配合されることが好ましい。具体的には、EVOH樹脂(A)とオレフィン系ポリマー(B)との重合比率(A/B)が60/40〜99/1、好ましくは65/35〜85/15、より好ましくは70/30〜80/20である。EVOH樹脂(A)を主成分とし、オレフィン系ポリマー(B)の1.5倍以上の比率で配合することにより、EVOH樹脂(A)がマトリックスとして存在するとともに、EVOH樹脂(A)が本来有するガスバリア性を保持することができる。
オレフィン系ポリマー(B)に対するカルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)の重量比率(C/B)は、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)の変性率にもよるが、通常0.01〜10であり、好ましくは0.01〜1であり、より好ましくは0.02〜0.8、更に好ましくは0.03〜0.5である。
かかる配合比率(C/B)が低くなりすぎると、C成分による相溶化効果が十分得られず、B成分をEVOH樹脂の海中に安定な島として存在させる安定化効果が不足する。その結果、フィルムの耐屈曲性や成形安定性の低下、及びEVOH樹脂の連続層の欠陥によるガスバリヤ性の低下を生ずるおそれがある。
一方、配合比率(C/B)が高くなりすぎると、相対的にEVOH樹脂のOH基と反応可能なカルボキシル基が増えることになるため、溶融混練中に、A成分とC成分とが反応して、高重合度化物が発生しやすくなる。その結果、樹脂組成物のMFRが低下して溶融成形加工性が低下し、フィッシュアイが発生しやすくなる。また、高重合度化物の発生は、樹脂組成物内での粘度の偏りの原因となり、成形により得られるフィルムにスジが発生しやすくなり、結果として耐屈曲性改善効果を損なう傾向がある。さらに、樹脂組成物が黄色に着色しやすくなる原因ともなる。
したがって、EVOH樹脂(A)に対する(B)成分と(C)成分の和の総量は、重量比率(A)/〔(B)+(C)〕として、通常、50以上/50未満〜99/1、好ましくは60/40〜99/1、特に好ましくは70/30〜99/1である。
A〜D成分の総量に対して、D成分の重量比率は、通常0.5重量%以上、7.5重量%未満であり、好ましくは1〜6重量%であり、好ましくは2〜5重量%である。分散助剤たるD成分の配合量が少なすぎる場合、B成分の微分散が不十分となり、本発明の効果が得られにくくなる。一方、多すぎる場合、過剰な分散助剤(D)が排斥されることで、フィルムスジ、目ヤニなどの外観不良が発生するおそれがある。
以上のような配合比率で配合した本発明の樹脂組成物は、溶融混練過程において、分散助剤たるD成分の作用により、B成分が微分散され、相溶化剤たるC成分の作用により、B成分の微分散状態が安定化されていると考えられる。具体的には、210℃、2160gにおけるメルトフローレート(MFR)が、通常0.5〜30g/10分であり、好ましくは2〜20g/10分であり、好ましくは2.5〜15g/10分である。樹脂組成物としてのMFRが上記範囲となることにより、押出機に供給した場合に、溶融加工性が良好で、スジの発生が少ない、外観的にも優れたフィルムを得ることができる。
〔その他の成分〕
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば樹脂組成物の2重量%以下)にて、上記EVOH樹脂(A)、オレフィン系ポリマー(B)、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)、分散助剤(D)の他に、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
〔樹脂組成物の調製及びその成形品(単層フィルム)〕
本発明の樹脂組成物は、以上のような成分を混合することによって調製できる。かかる混合方法としては、溶融混合法、溶液混合法等が挙げられる。生産性の点からは溶融混合法が好ましい。
溶融混合方法としては、各成分をドライブレンドした後に溶融して混合する方法や、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の混練装置を使用して行うことができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いることが工業上好ましく、また、必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。
溶融混練温度としては、通常、押出機及びダイの設定温度として170〜250℃の範囲であり、好ましくは180〜240℃、特に好ましくは180〜230℃である。かかる温度が低すぎた場合には、樹脂が未溶融状態となり、加工状態が不安定になる傾向があり、高すぎた場合には、樹脂組成物が熱劣化して、得られる成形品の品質が低下する傾向にある。また、原料投入時にD成分がホッパー直下で液状化すると、生産性が低下するおそれがあるので、ホッパー直下の設定温度はD成分の軟化点未満の温度に設定して加工することが好ましい。
溶液混合方法としては、例えば各成分を良溶媒に溶解して混合し、貧溶媒中で析出させる方法等が挙げられる。
以上のような組成を有する本発明の樹脂組成物は、EVOH樹脂(A)が本来有するガスバリア性を保持しつつ、しかも耐屈曲性に優れている。具体的には、厚み30μmのフィルムでの酸素ガス透過量は、通常23℃、65%RHにて、10cc/m・day・atm以下であり、ゲルボフレックステスターで500回捻じっても、面積476cm中のピンホールの発生量を通常5個以下、MFR(210℃、2160g)を通常0.5〜30g/10分にすることが可能である。
つまり、本発明でいう耐屈曲性とは、衝撃のような瞬間的外力に対する耐性ではなく、長時間をかけて徐々に蓄積される疲労に対する耐性である。このような耐性は、1つは、屈曲によって生じるエネルギーを吸収して、蓄積される疲労を軽減することにより得られるものである。
本発明の樹脂組成物では柔軟成分であるオレフィン系ポリマー(B)が、疲労吸収の役割を果たしている。B成分は親油性ポリマーであるため、通常、EVOH樹脂とは相溶性がないが、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)が、B成分がEVOH樹脂と分離しないように、安定的にEVOH樹脂の海中に存在できるように相溶化剤として働く。さらに、D成分が溶融混練時に、B成分の凝集を防止して、EVOH樹脂の海中に均一に拡散し微分散させる働きを有するので、B成分の柔軟化効果をフィルム全体にわたってまんべんなく得ることができ、しかも透明性及びフィルムの成形安定性に優れている。さらにまた、EVOH樹脂の海が連続的に存在できるようになるので、EVOH樹脂が本来有している優れたガスバリア性も損なわれずに済む。
<多層構造体>
本発明の多層構造体は、上記本発明の樹脂組成物からなる層(以下、単に「樹脂組成物層」という)を少なくとも1層有する多層構造体である。
本発明の多層構造体を構成する樹脂組成物層以外の層を構成する樹脂としては、特に限定しないが、EVOH樹脂以外の熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、環状ポリオレフィン、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したもの等の広義のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で構成される層が挙げられる。これらの樹脂の他に、紙、金属箔、1軸又は2軸延伸プラスチックフイルム又はシート、織布、不織布、金属綿条、木質面、アルミやシリカ蒸着と組み合わせた多層構造体であってもよい。中でも機械的強度や溶融成形加工性の点で、好ましくはポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンである。
これらのうち、水のバリア性に優れた熱可塑性樹脂層を外表面層として、樹脂組成物層を中間層とする構成の多層構造体が、ガスバリア性を有する包装フィルム、包装容器用途として好ましく用いられる。かかる水のバリア性に優れた熱可塑性樹脂として好ましくはポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンである。
該多層構造体の製造方法としては、樹脂組成物を溶融した状態で成形する方法(溶融成形法)と、樹脂組成物を溶媒に溶解して成形する方法(例えば溶液コート法)等に大別される。中でも生産性の観点から、溶融成形法が好ましい。
具体的には、例えば、本発明の樹脂組成物の成形品(例えばフィルムやシート)に熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、熱可塑性樹脂等の基材に樹脂組成物層を溶融押出する方法、樹脂組成物層と熱可塑性樹脂層とを共押出する方法が挙げられ、詳細にはT−ダイ押出、チューブラー押出、ブロー成形、異型押出等が採用される。
さらには、本発明の樹脂組成物フィルムと熱可塑性樹脂フィルム等の基材とを、有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエチレンイミン系化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン系化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、接着性樹脂層を介層させてラミネートする方法等が採用される。
また、場合によっては共射出法も採用可能である。
接着性樹脂層を構成する接着性樹脂としては特に限定されず、種々のものを使用することができるが、一般的には、不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体(前述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。
以上のように、本発明の多層構造体は、本発明に係る樹脂組成物層を少なくとも1層含むものであればよく、その構成は特に限定しないが、水分による樹脂組成物のガスバリア性能の低下を防ぐ目的で、樹脂組成物層が中間層であることが好ましい。
多層構造体の層構成は、樹脂組成物層をa(a1、a2、・・・)、EVOH樹脂以外の熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、通常3〜20層、好ましくは3〜15層、特に好ましくは3〜10層である。例えば具体的には、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能である。
また、該多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品等を再溶融成形して得られる、樹脂組成物とEVOH以外の熱可塑性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/a/R、R/b/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
さらに上記した多層構造体の層間には公知の接着性樹脂を用いても良い。
中でも、樹脂組成物層のガスバリア性能の低下防止のために、樹脂組成物層への水分の透過を防止できるように、樹脂組成物層が中間層となるような多層構造が最も好ましい。例えば、具体的には、熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/樹脂組成物層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層を構成単位とする多層構造体が最も好ましい。
本発明の多層構造体の厚みは、通常1〜1500μm、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは10〜700μmである。また、多層構造体中の熱可塑性樹脂層の厚みは、特に限定しないが、通常0.1〜1000μm、1〜500μmが好ましい。樹脂組成物層の厚みは、特に限定しないが、通常0.1〜500μm、好ましくは1〜100μmである。接着性樹脂層の厚みは、特に限定しないが、通常0.1〜250μm、好ましくは0.1〜100μmである。
また、熱可塑性樹脂層/樹脂組成物層の厚み比は、各層が複数ある場合は、最も厚みの厚い層同士の比で、通常1超〜30であり、好ましくは2〜30であり、接着性樹脂層/樹脂組成物層の厚み比は、通常0.1〜2であり、好ましくは0.1〜1である。
本発明の多層構造体は、上記のように、他の熱可塑性樹脂や基材と積層しただけの多層構造体であるが、延伸処理されていてもよい。
なお、延伸については、公知の延伸方法を用いることができる。例えば、一軸延伸、二軸延伸等が挙げられる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は、多層構造体の温度(多層構造体近傍温度)で、通常40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸倍率は、面積比にて、通常2〜50倍、好ましくは2〜20倍である。また、得られた延伸フィルムに寸法安定性を付与することを目的として、延伸が終了した後、次いで熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムの緊張状態を保ちながら80〜180℃、好ましくは100〜165℃で2〜600秒間程度熱処理を行う。
かくして得られた本発明の多層構造体は、例えばチューブ状や袋状などの形態に加工され、みりん、醤油、ソース、麺つゆ、食用油等の食品、ワイン、ジュース、牛乳、ミネラルウォーター、日本酒、焼酎、コーヒー、紅茶等の飲料、医薬品、化粧品、次亜塩素酸ソーダ、現像液、バッテリー液等の工業用薬品、液体肥料等の農薬、洗剤等各種の液体の包装材料として広範囲の用途に使用することが可能である。なかでも液体容器として袋状の容器として用いることが好ましく、特にはバッグインボックス用バッグに用いることが好ましい。
該バッグインボックスとは、折り畳み可能なプラスチックの薄肉内容器と、積み重ね性、持ち運び性、内容器保護性、印刷適性を有する外装箱(バッグインボックス)とを組み合わせた容器のことである。
外装の基材としては紙やダンボールの他にプラスチックや金属であってもよく、形状についても例えばボックスやカートン(正方形、直方体)、ドラム(円柱)が挙げられる。
以下、バッグインボックス用バッグ等の袋状の液体容器の製造方法について説明するが、本発明の多層構造体の用途はこれに限定されるものではない。
該バッグインボックス用バッグ等の袋状の液体容器は、主に、ヒートシール法及びブロー成形法により製造することができる。
ヒートシール法では、上記共押出法等により製膜された積層体をそのまま、あるいは必要に応じて2重又は3重に重ね合わせて、液体注入口の密封取り付け用の穴を打ち抜き、その穴に、予め射出成形で成形した液体注入口の密封栓をヒートシール法で融着させる。このときに、該積層体と打ち抜き処理のしていない別の積層体とを合わせて四方ヒートシールして袋状の液体容器とすることができる。
ブロー成形法では、複数の押出機から共押出法により押し出された円筒状の上記の多層構造体(パリソン)を金型で型締めして成形する。液体注入口の密封栓は、予め射出成形
で成形したものを金型内にセットしておき、ブロー成形時に成形容器と融着させる。その
後、液体注入口をあけることにより袋状の液体容器とすることができる。
かくして得られた袋状の液体容器は、食品、飲料、医薬品、化粧品、工業薬品、農薬、洗剤等の包装材料として用いることができる。
また、場合によっては、本発明の多層構造体からカップやトレイ状の多層容器を得ることも可能である。その場合は、通常絞り成形法が採用され、具体的には真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト式真空圧空成形法等が挙げられる。更に多層パリソン(ブロー前の中空管状の予備成形物)からチューブやボトル状の多層容器を得る場合はブロー成形法が採用され、具体的には押出ブロー成形法(双頭式、金型移動式、パリソンシフト式、ロータリー式、アキュムレーター式、水平パリソン式等)、コールドパリソン式ブロー成形法、射出ブロー成形法、二軸延伸ブロー成形法(押出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出成形インライン式二軸延伸ブロー成形法等)などが挙げられる。得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
本発明の多層構造体は、種々の成形品材料として用いることができるが、上述のように、EVOH樹脂(A)本来の有するガスバリア性を損なうことなく、耐屈曲性のように、長期間又は繰り返し施される変形のような蓄積される疲労に対して、耐性を有している。従って、長期間繰り返し変形を受けるような成形品にも適用できる。本発明は、本発明の多層構造体を用いて作製されるバッグインボックス容器等の液体容器をはじめとする成形品も対象とする。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、実施例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
〔測定評価方法〕
(1)耐屈曲性
乾燥状態でA4サイズ、厚み30μmの乾燥状態の単層フィルムを、23℃、50%RHの条件下で、理学工業社のゲルボフレックステスターを用いて、捻じり試験を行った。
3.5インチで440°の捻じりをした後、2.5インチ水平に進む捻じり操作を500回(40サイクル/分)加えた後、該単層フィルムの中央部28cm×17cmあたりのピンホール発生数を数えた。かかるテストを5回試行し、その平均値を求めた。
(2)ヘイズ値
得られた単層フィルムの透明性を、ヘイズメーター(日本電色社製「NDH2000」)を用いて、JIS K7105に準じてヘイズ値(%)を測定した。ヘイズ値は、試験片の拡散光線透過率を全光線透過率で割ったものを百分率で表わしたものであり、ヘイズ値が低い値であるほど、フィルム透明性が良好である(白濁度合が少ない)ことを示す。
なお、フィルム内部のヘイズを評価するために、評価の際にはフィルム両面に流動パラフィンを塗布した試料を用いて、フィルム表面の凹凸による影響を取り除いた状態にして評価した。
(3)メルトフローレート測定
EVOH樹脂(A)、オレフィン系ポリマー(B)、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)、及び二軸押出機で作製した樹脂組成物を東洋精機社のメルトインデクサーF−BO1を用いて、荷重2160g、温度210℃にてMFR(g/10分)を測定した。
(4)フィルムの成形安定性
得られた単層フィルムのフィルム幅(W(cm))を、MD方向側に15cmごとに合計150cm間(計11点)でそれぞれ測定した。
得られた11点のフィルム幅のうち、最大幅(Wmax)と最小幅(Wmin)の差(Wmax−Wmin)を求め、フィルム成形時の成形安定性の指標とした。
差(Wmax−Wmin)が小さくなるに従い、フィルム成形時のサージング現象(押出時の周期的変動)が少なく、成形安定性が良好であることを示す。フィルム幅差(Wmax−Wmin)が大きい場合には、フィルム幅の周期的変動が激しく、押出加工が不安定傾向であることを示す。
(5)オレフィン系ポリマー(B)の曲げ弾性率(MPa)
オートグラフ(島津製作所社製「AGS−H5kN」)を用いて、ISO178に準じて、23℃、50%RH条件下で、試験速度2mm/minとして測定した。
(6)ポリマーの密度(g/cm
JIS K7112に準じて、23℃条件下の密度を測定した。
〔樹脂組成物ペレット及びフィルムの製造〕
EVOH樹脂(A)として、下記に示すエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(「A1」と略記)を用いた。
エチレン含有量:29モル%
ケン化度 :99.6モル%
MFR(210℃、2160g荷重):6.7g/10min
ホウ素含有量 :110ppm
オレフィン系ポリマー(B)として、三井化学株式会社製の「タフマーA−4085S」(「B1」と略記)を用いた。これは、下記物性を有するエチレン−ブテンランダム共重合体である。
密度 :0.89g/cm
曲げ弾性率 :30MPa
MFR(210℃、2160g荷重):5.2g/10min
カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)として、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(変性量0.4重量%、MFR(210℃、2160g荷重)1.8g/10min、密度0.88g/cm)(以下「C1」と略記)を用いた。
分散助剤(D)として、下記2種類(D1、D2)の脂環族系炭化水素樹脂、すなわち、「D1」として、荒川化学工業株式会社製の「アルコンP125」(商品名)及び日本ゼオン株式会社製の「クイントン1345」(商品名)を用いた。尚、軟化点は、JIS K2207(環球法)に準じて測定した値であり、ハーゼンナンバーはJIS K0071−1に準じて測定した値であり、ガードナーナンバーはJIS K0071−2に準じて測定した値であり、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定で得られるポリスチレン換算値である。
D1:「アルコンP125」(完全水添型)
軟化点 :125℃
数平均分子量 :750
ハーゼンナンバー:30
D2:「クイントン1345」
軟化点 :140℃
数平均分子量 :500
ガードナーナンバー:3
上記EVOH樹脂(A)、オレフィン系ポリマー(B1)、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C1)、分散助剤(D1、D2)を、表1に示す割合でドライブレンドし、下記条件で溶融混練して、ストランド状に押出し、ペレタイザーでカットして、円柱形ペレットの樹脂組成物を得た。
尚、表1中の配合比(A/B)は、総量100に振り分けた場合の比率に換算した値を示している。
押出機 :直径(D)30mm、L/D=42の二軸押出機
スクリーンパック:90/90メッシュ
スクリュ回転数:150rpm
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6−D=30/200/220/220/220/220−℃
吐出量:14kg/hr
さらに、 得られたペレットNo.1〜4を、下記条件で製膜(厚み30μm)した。
押出機:直径(D)40mm、L/D=28
スクリュ:フルフライトタイプ 圧縮比=3.5
スクリーンパック:90/120/90メッシュ
ダイ:幅450mm、コートハンガータイプ
設定温度:C1/C2/C3/C4/A/D=190/210/230/230/220/220℃
スクリュ回転数:10rpm
引取速度:3m/min
ロール温度:80℃
エアーギャップ:15cm
各樹脂組成物から得られたフィルムNo.1〜4について、上記評価方法に基づいて、耐屈曲性、ヘイズ値、MFRを測定した。結果をあわせて表1に示す。
Figure 0005797909
No.4は、分散助剤(D)を含まない組成物である。耐屈曲性、透明性が不足する結果となった。また、EVOH(A1)に対してMFR値が低下する傾向がみられ、フィルム製膜時にサージング現象(周期的変動)が発生して不安定な加工状態であることが観察された。No.3は、分散助剤(D)が配合されているものの、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)が配合されていない組成物である。相溶化剤となるC成分(カルボン酸変性オレフィン系ポリマー)が配合されていないため、B成分(オレフィン系ポリマー)が安定化できなかったためと考えられるが、No.4と比べても、耐屈曲性、透明性が劣っていた。相溶化剤の欠如により、B成分の安定化が図られなかったためか、MFR値が高くなり、フィルムの成形安定性についても、不安定な状態であった。
No.1、2は、いずれも、相溶化剤たるカルボン酸変性オレフィン系ポリマー及び分散助剤となる炭化水素系樹脂(D)が配合されているので、耐屈曲性及び透明性に優れる結果となった。
また、No.1、2は、MFRについても、EVOH樹脂(A1)に近い溶融粘度を示し、No.4と比較すると、フィルムでのスジやフィッシュアイ発生を招くおそれがある溶融粘度上昇を抑制できることが認められる。
さらに、D成分の配合によるB成分の微分散効果のためか、No.3、No.4で発生したフィルム製膜時のサージング現象が軽減され、フィルム成形安定性が向上する効果も観察された。
本発明の樹脂組成物は、耐屈曲性、透明性が、押出成形加工品(フィルム)全体にわたってまんべんなく優れているので、バッグインボックス用フィルムのように、使用するフィルム部位に関係なく、優れた耐屈曲性、透明性が要求される成形品(フィルム)材料として有用である。

Claims (12)

  1. エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)に、オレフィン系ポリマー(B)、カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)、及び数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(但し、前記オレフィン系ポリマー(B)又は前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)に該当する炭化水素系樹脂を除く)(D)を配合してなる樹脂組成物であって、
    前記オレフィン系ポリマー(B)に対する前記エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)の含有重量比率(A/B)は60/40〜99/1であり、
    前記オレフィン系ポリマー(B)に対する前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)の含有重量比率(C/B)は0.01〜10であり、
    前記オレフィン系ポリマー(B)及び前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)の含有総重量に対する前記エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A)の含有重量比率(A/(B+C))は50以上/50未満〜99/1であり、
    前記エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(A),前記オレフィン系ポリマー(B),前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C),及び前記炭化水素系樹脂(D)の含有総重量に対する前記炭化水素系樹脂(D)の含有重量比率(D/(A+B+C+D))は、0.5重量%以上で且つ7.5重量%未満である樹脂組成物。
  2. 前記オレフィン系ポリマー(B)の210℃、荷重2160g条件下でのメルトフローレート(MFR)は、0.01〜150g/10分である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記オレフィン系ポリマー(B)は、低結晶性ポリオレフィンである請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記オレフィン系ポリマー(B)の密度は、0.85〜0.96g/cmである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記オレフィン系ポリマー(B)のガラス転移温度は、−110〜0℃である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記オレフィン系ポリマー(B)の、23℃、50%RHにおける曲げ弾性率が150MPa未満である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)の210℃、荷重2160g条件下でのメルトフローレート(MFR)は、0.01〜150g/10分である請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記カルボン酸変性オレフィン系ポリマー(C)の密度は、0.85〜0.96g/cmである請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体。
  11. 請求項10に記載の多層構造体からなる液体容器。
  12. 請求項10に記載の多層構造体からなるバックインボックス用バック。
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