JP5610955B2 - 樹脂組成物並びにこれを用いた多層構造体 - Google Patents
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Description
しかしながら、EVOH樹脂はポリオレフィン系樹脂や、ポリエステル系樹脂等の疎水性熱可塑性樹脂との接着力に乏しいため、通常は接着性樹脂を介してポリオレフィン系樹脂や、ポリエステル系樹脂等の疎水性熱可塑性樹脂を積層する必要がある。
そこで、接着性樹脂層を設けず、EVOH樹脂層と汎用熱可塑性樹脂層間の接着性が優れる多層構造体を得るための技術が求められていた。
上記の問題を解決し、ガスバリア性および疎水性熱可塑性樹脂への接着性が同時に優れる樹脂組成物が求められていた。
すなわち、本発明の要旨は、エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(A)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)、エチレン含有率60モル%超であり極性基を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体(C)、数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)を含有する樹脂組成物であって、前記(C)成分の極性基が、カルボキシル基類であり、前記樹脂組成物が海島構造であり、(A)成分が海で(B)成分が島である樹脂組成物に存する。
このような本発明の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体は、ガスバリア性と接着性を兼ね備えることが可能となる。
はじめに本発明のEVOH樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(A)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)、エチレン含有率60モル%超であり極性基を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体(C)、数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)である。
以下、各成分について、順に説明する。
組成物の主成分となるEVOH樹脂(A)は、エチレン含有率20〜60モル%の公知の非水溶性の熱可塑性樹脂であり、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をケン化することによって得られる。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
特にヒドロキシ基含有α−オレフィン類を共重合したEVOH樹脂は、延伸フィルム成形、カップ成形、ボトル成形などの二次成形性改善の点で好ましく、中でも1,2−ジオールを側鎖に有するEVOH樹脂が好ましい。
本発明の効果をより顕著に得るためには、生産性に優れ添加物の分散性に優れるi)、ii)の方法、有機酸およびその塩を含有させる場合はiv)の方法が好ましい。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと称することがある)(B)とは、エチレンと、酢酸ビニルを共重合した重合体であり、上記EVA(B)は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等により製造される。
かかる上記EVA(B)のエチレン含有率は、通常60モル%超であり、好ましくは75〜98モル%であり、特に好ましくは85〜95モル%である。かかるエチレン含有率が低すぎる場合は熱安定性や押出成形性の低下や酢酸臭の発生量が増加する傾向があり、高すぎる場合は共押出成形時に他樹脂層との接着性が低下する傾向がある。
本発明に用いるエチレン含有率60モル%超であり極性基を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体(C)は、その構造からEVOH樹脂(A)とEVA(B)の両方に親和性を有する樹脂である。
極性基の種類としては、カルボキシル基、酸無水物基等のカルボキシル基類、アルキルエステル基、ニトリル基、アミド基、水酸基等が挙げられるが、本発明においては、極性基として、カルボキシル基類が用いられる。
EVOH樹脂(A)との反応性が適度である点から、カルボキシル基類を有することが最も好ましい。
また、酢酸ビニルの含有率は、未変性のEVA樹脂をベースとして通常1〜40モル%であり、特に好ましくは5〜15モル%である。
また、極性基の含有率は、通常0.01〜20モル%であり、好ましくは0.01〜15モル%である。
かかる不飽和カルボン酸としては、例えば具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸などを挙げることができる。また、不飽和カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物などを挙げることができる。また、不飽和カルボン酸エステルとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート等のα,β−不飽和モノカルボン酸エステルなどを挙げることができる
中でもα,β−不飽和カルボン酸が好ましく、例えば具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα,β−不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸などを挙げることができる。かかるカルボキシル基は金属(ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属等)塩でもよい。
かかる場合の水酸基含有率は、通常1〜25モル%である。
本発明で用いるD成分たる炭化水素系樹脂は、EVOH樹脂の連続相を維持しながらEVA成分を表層側に排斥させる作用を付与する目的で添加されるもので、炭化水素系の数平均分子量が100から3000で且つ軟化点が60℃以上170℃未満の炭化水素系樹脂である(以下、単に「炭化水素系樹脂(D)」ということがある)。このような炭化水素系樹脂は、通常、常温で液体又は固体の熱可塑性樹脂に属する。
中でも上記の芳香族系石油樹脂、または脂肪族/芳香族系石油樹脂を水素添加して得られた水添系石油樹脂が代表的であり、具体例としては、アルコン(荒川化学工業社製)、アイマーブ(出光興産社製)、エスコレッツ5000シリーズ(エクソンモービル社製)などが挙げられる。
かかる水添系石油樹脂の場合には、水添率によって樹脂の極性が異なり、主に水添率90%以上の完全水添型と水添率90%未満の部分水添型に2種類に分類される。前者の具体例としては、アルコンPグレード(荒川化学工業社製)、アイマーブPタイプ(出光興産社製)などが挙げられ、後者の具体例としては、アルコンMグレード(荒川化学工業社製)、アイマーブSタイプ(出光興産社製)などが挙げられる。
また、水添系石油樹脂の水添率については、特に限定されないが、EVA(B)との親和性を考慮すると、部分水添型の水添系石油樹脂を用いることが好ましい。
ジなど外観不良の原因となるおそれがある。
上記数平均分子量は、ゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定で得られるポリスチレン換算値により算出することができる。
また、水添系石油樹脂の場合には、ハーゼンナンバーが通常200以下好ましくは150以下、特に好ましくは100以下である。ハーゼンナンバーが200以下のものを用いると、外観特性に優れた無色透明な樹脂組成物を得ることができる。
なお、色相の測定方法としては、JIS K0071−1(ハーゼンナンバー)、JIS K0071−2(ガードナーナンバー)に準拠した方法を用いることができる。
すなわち、C成分である極性基変性ビニル系ポリマーに用いた極性基含有化合物、特にカルボキシル基とEVOH樹脂中の水酸基とは反応可能であるため、溶融混練過程において、両官能基が反応し、高重合度化物が生成される場合がある。この高重合度化物の生成によって溶融粘度が増加して、押出機内でのせん断発熱が発生しやすくなり、高重合度化物がさらに増加して、フィルム成形物においてスジやフィッシュアイなどの外観不良などを招くおそれがある。しかしながら、D成分の配合により溶融時の組成物の粘度を減少させることが可能になると、せん断発熱の抑制、高重合度化物の生成が抑制され、ひいては品質改善の観点でも有効に寄与できると考えられる。
本発明の特徴の一つは、上記(A)〜(D)成分が特定割合で配合されている点であり、特にEVOH樹脂(A)がマトリックスとして存在することが重要である。
本発明の樹脂組成物において、樹脂組成物全体に対するEVOH樹脂(A)の含有量は50〜75重量%であり、好ましくは60〜70重量%、特に好ましくは65〜70重量%である。かかる量が多すぎる場合、表面側へのEVA樹脂排斥量が不足して疎水性熱可塑性樹脂層との接着力が十分に得られない傾向があり、少なすぎる場合、ガスバリア成分であるEVOH樹脂の連続相形成が不十分となり樹脂組成物のガスバリア性が大幅に低下する傾向がある。
本発明の樹脂組成物では、極性基を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体(C)を、EVOH樹脂(A)とEVA樹脂(B)との相溶化剤として用いており、配合比率を上記のように調節することにより、マトリックスであるEVOH樹脂(A)中にEVA樹脂(B)の小さな島を全体にわたって多数分散させることが可能となり、得られた樹脂組成物のガスバリア性を制御する上で重要な役割を持つ。
かかる配合比率(C/B)が高くなりすぎると、EVOH樹脂(A)と極性基を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体(C)の親和性が高くなることによって高重合度化物が発生しやすくなり、樹脂組成物のMFRが低下して成形加工性が低下しやすい傾向がある。また、高重合度化物の発生は、樹脂組成物内での粘度の偏りの原因となり、成形により得られるフィルムにスジが発生しやすくなる傾向がある。さらに、樹脂組成物が黄色に着色しやすくなる原因ともなる。
また、EVA樹脂(B)の溶融粘度と極性基を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体(C)との溶融粘度比は例えば具体的には、190℃、荷重2160g条件下で測定したMFR比(EVA樹脂(B)/極性基を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体(C))が、通常0.1〜10、好ましくは0.1〜5、より好ましくは0.2〜3である。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば樹脂組成物の2重量%以下)にて、上記EVOH樹脂(A)、エチレン−酢酸ビニル系共重合体(B)、極性基を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体(C)、炭化水素系樹脂(D)の他に、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
本発明の樹脂組成物は、以上のような成分を混合することによって調製できる。かかる混合方法としては、溶融混合法、溶液混合法等が挙げられる。生産性の点からは溶融混合法が好ましい。
溶融混合方法としては、各成分をドライブレンドした後に溶融して混合する方法や、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の混練装置を使用して行うことができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いることが工業上好ましく、また、必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。
溶液混合方法としては、例えば各成分を良溶媒に溶解して混合し、貧溶媒中で析出させる方法等が挙げられる。
本発明の多層構造体は、上記本発明の樹脂組成物からなる層(以下、単に「樹脂組成物層」という)を少なくとも1層有する多層構造体である。
本発明の多層構造体を構成する樹脂組成物層以外の層を構成する樹脂としては、特に限定しないが、EVOH樹脂以外の熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、環状ポリオレフィン、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したもの等の広義のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で構成される層が挙げられる。
中でも、水のバリア性に優れた疎水性熱可塑性樹脂層を外表面層として、樹脂組成物層を中間層とする構成の多層構造体が、ガスバリア性を有する包装フィルム、包装容器用途として好ましく用いられる。かかる水のバリア性に優れた熱可塑性樹脂として好ましくはポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂であり、特に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートである。
具体的には、例えば、樹脂組成物層と熱可塑性樹脂層とを共射出する方法、EVOH樹脂組成物の成形品(例えばフィルムやシート)に熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、熱可塑性樹脂等の基材に樹脂組成物層を溶融押出する方法、樹脂組成物層と熱可塑性樹脂層とを共押出する方法が挙げられ、詳細にはT−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、異型押出等が採用される。
本発明の樹脂組成物は、接着性樹脂層を介さずに疎水性熱可塑性樹脂と接するような多層構造体を製造する場合に用いることが好ましく、さらには2種構成による共押出成形、2種構成による共射出成形によって多層構造体を製造する場合が好ましく、特には2種構成による共射出成形によって多層構造体を製造する場合が好ましい。
また、該多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品等を再溶融成形して得られる、樹脂組成物とEVOH以外の熱可塑性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/a/R、R/b/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
本発明の多層構造体は疎水性熱可塑性樹脂との接着性に優れるEVOH樹脂組成物を用いるため、接着層は不要である。しかしながら、さらに優れた接着性を得るために、上記した多層構造体の層間に公知の接着性樹脂を用いても良い。
具体的には、2種3層構造体としてポリエチレン層/樹脂組成物層/ポリエチレン層、ポリプロピレン層/樹脂組成物層/ポリプロピレン層、ポリエチレンテレフタレート層/樹脂組成物層/ポリエチレンテレフタレート層、ポリエチレンナフタレート層/樹脂組成物層/ポリエチレンナフタレート層、等;2種5層構造体として、ポリエチレン層/樹脂組成物層/ポリエチレン層/樹脂組成物層/ポリエチレン層、ポリプロピレン層/樹脂組成物層/ポリプロピレン層/樹脂組成物層/ポリプロピレン層、ポリエチレンテレフタレート層/樹脂組成物層/ポリエチレンテレフタレート層/樹脂組成物層/ポリエチレンテレフタレート層、ポリブチレンテレフタレート層/樹脂組成物層/ポリブチレンテレフタレート層/樹脂組成物層/ポリブチレンテレフタレート層等が挙げられる。なかでも、経済性および装置面の汎用度を考慮すると2種3層構造体が最も好ましい。
尚、実施例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
EVOH樹脂(A)として、エチレン含有率32モル%、ケン化度99.7モル%、MFR 2g/10分[190℃,2160g荷重]、ホウ酸をホウ素換算で160ppm(EVOH100重量部に対して0.016重量部)のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物を用いた。
EVA樹脂(B)として、酢酸ビニル含有率11モル%(28重量%)、エチレン含有率89モル%、MFR 6g/10分[190℃,2160g荷重]のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた。
極性基を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体(C)として、無水マレイン酸変性量0.8重量%、酢酸ビニル含有率11モル%(ベースとなる未変性のEVAに対して28重量%)、エチレン含有量89モル%、MFR 16g/10分[190℃,2160g荷重]を用いた。
数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)として、軟化点135℃、ハーゼンナンバー30、数平均分子量860の部分水添型脂環族系炭化水素樹脂を用いた。
以上の各成分を表1に示す重量割合でドライブレンドした。
押出機:直径(D)30mm、二軸押出機、L/D=42
スクリーンパック:90/90メッシュ
スクリュ回転数 :150rpm
吐出量:12kg/hr
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6−D=120/180/220/220/220/220℃
樹脂組成物層押出機:40mmφ単軸押出機(バレル温度230℃)
(a)(d)層押出機:40mmφ単軸押出機(バレル温度220℃)
(b)(c)層押出機:32mmφ単軸押出機(バレル温度220℃)
ダイ温度 :220℃
引取速度 :4m/分
ロール温度 :50℃
〔フィルム物性評価〕
各樹脂組成物から得られた多層フィルムについて、上記評価方法に基づいて、ガスバリア性、LLDPE/EVOH層間の接着強度を測定評価した。結果を表2に示す。
(1)ガスバリア性
得られた多層フィルムについて、MOCON社のOxtran2/20を用いて、20℃、80%RH条件下の酸素透過度(cc/m2・day・atm)を測定した。
(2)LLDPE/EVOH層間の接着強度
得られた多層フィルムより、TD軸方向15mm、MD軸方向に100mmの短冊状試験片を切り出し、試験片端部のLLDPE層と樹脂組成物の界面を僅かに剥離させてからオートグラフのチャックに掴み、T型剥離試験法でLLDPE/EVOH層間の接着強度を測定した。結果を表2に示す。
〔接着強度試験条件〕
装置:島津製作所製オートグラフ AGS−H
試験雰囲気:23℃,50%RH
試験方法:T型剥離
試験片幅:15mm
試験速度:300mm/分
(C)成分を用いなかった比較例1は、酸素透過度が非常に高く、ガスバリア性が不足する結果となった。また、(D)成分を用いなかった比較例2は、接着強度が非常に弱く、接着性が不足する結果となった。
得られたペレットのEVOH樹脂の良溶媒に対する溶解性、及びEVAの良溶媒に対する溶解性を観察することより、得られた樹脂組成物の相構造を評価した。
〔相構造評価試験条件〕
EVOH樹脂良溶媒として水/イソプロパノール(重量比)=50/50を用いた。また、EVA良溶媒としてキシレンを用いた。
300ml三角フラスコに溶媒49gと樹脂組成物のペレット1gを入れ、ホットスターラーを用いて溶媒を加熱沸騰させてからペレットを1時間攪拌した。攪拌後のペレット状態を目視で確認した。結果を表3に示す。
[目視観察基準]
・溶解:良溶媒に溶解してペレット形状が完全崩壊する。溶解した成分が連続相を形成していると判定。
・半溶解:溶解までは至らないもののペレット形状が崩れモチ状に変形する、あるいは未溶解ペレットが部分的に残存する。半溶解した成分が部分的に連続相を形成していると判定。
・未溶解:ペレットが溶解せず試験前の形状を維持する。未溶解成分が非連続相であると判定
(C)成分を用いなかった比較例1では、EVOH樹脂が連続相を形成することが出来なかったために、上記評価においてガスバリア性が十分でなかったと推測される。また、(D)成分を用いなかった比較例2においては、EVOH樹脂相が連続相となったが、上記評価において接着性が十分でなかった。これは、樹脂組成物層の表面にEVA(B)成分が排斥される力が弱く、樹脂組成物層とLLDPE層の境界面に存在するEVA(B)粒子が少なかったためであると推測される。
本発明の樹脂組成物を東洋精機社のメルトインデクサーF−BO1を用いて、荷重2160g、温度190℃にてMFR(g/10分)を測定した。結果を表4に示す。
(C)成分、(D)成分を共存させた実施例1、実施例2では、EVOH樹脂(A)に近い溶融粘度を示し、フィルム成形性低下を招くおそれがある溶融粘度低下、およびフィルムでのスジやフィッシュアイ発生を招くおそれがある溶融粘度上昇を抑制できることが認められる。
Claims (6)
- エチレン含有率20〜60モル%のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(A)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)、エチレン含有率が60モル%超であり極性基を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体(C)、数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)を含有し、かつ組成物中におけるエチレン含有率20〜60モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)の含有量が50〜75重量%であり、組成物中における数平均分子量100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(D)の含有量が1〜20重量%である樹脂組成物であって、前記(C)成分の極性基が、カルボキシル基類であり、前記樹脂組成物が海島構造であり、(A)成分が海で(B)成分が島である樹脂組成物。
- 前記(A)成分に対する(B)成分の重量比率(A/B)が70/30〜99/1である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)成分に対する(C)成分の重量比率(C/B)が0.01〜0.5である請求項1または2のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(A)成分と(B)成分の190℃、荷重2160gにおけるメルトフローレート値の比(A/B)が0.05〜1.5である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(D)成分が、石油樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体。
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