JP2010253856A - 円筒状部品の製造方法及び円筒状部品製造用金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ランナ11からゲート22を介して部品成形部31に溶湯を供給する溶湯流路10を備える金型1を用いて、円筒状部品50を製造する円筒状部品の製造方法において、部品成形部31の外側に沿って環状に設けられた湯廻り部17に溶湯を供給して充填し、湯廻り部17に充填された溶湯を部品成形部31の外周側から流して充填する。
【選択図】図4
Description
(1)ランナからゲートを介して部品成形部に溶湯を供給する溶湯流路を備える金型を用いて、円筒状部品を製造する円筒状部品の製造方法において、前記部品成形部の外側に沿って環状に設けられた湯廻り部に前記溶湯を供給して充填し、前記湯廻り部に充填された溶湯を前記部品成形部の外周側から流して充填する。
<金型の概略構成>
図1は、金型1の概略構成図である。
図1に示す金型1は、図2に示す樹脂製環状シール部材(円筒状部品の一例)50の製造に用いられる。金型1は、コア5をキャビティ4に接触させるように可動型3を固定型2側へ移動させて閉じると、コア5とキャビティ4の接触面に形成された溝により後述する溶湯流路10(図4〜図7参照)が形成される。金型1は、固定型2のスプルー6に図示しない射出成形機が接続され、溶融樹脂がスプルー6から後述する溶湯流路10(図4〜図7参照)に供給される。金型1は、図示しないヒータを用いて温度調整され、射出成形中の溶融樹脂の固化を防ぎ、溶融樹脂が溶湯流路10に完全に充填されるまで溶融樹脂の流動性を確保する。成形完了後は、ヒータを止めることによって冷却し、完全に固化させる。可動型3を固定型2から離すように移動させて金型1を開いた後、金型1に内蔵される図示しないエジェクタピンで成形品7を可動型3から押し出して取り出す。尚、成形品7は、環状シール部材50が中央に成形されているので、環状シール部材50の外周に設けたゲート部分を打ち抜き等で切断することにより、環状シール部材50を分離する。
図2は、環状シール部材50の外観斜視図である。図3は、環状シール部材50を用いてシールするシール構造の一例を示す図である。
図2に示す環状シール部材50は、例えば図3に示すように、第1部品61の第1接続部62と第2部品71の第2接続部72との接続部分に装着され、シールを行う。環状シール部材50は、円筒状の本体部51が、第1接続部62の端面に形成された第1環状シール溝63と第2接続部72の端面に形成された第2環状シール溝73に装着される。本体部51の一端面には、第1環状シール溝63と同心円状に設けられた第1環状突起64に嵌合する環状溝54が形成され、本体部51の他端面には、第2環状シール溝73と同心円状に設けられた第2環状突起74に嵌合する環状溝55が形成されている。環状シール部材50は、環状溝54,55の内側面と外側面に圧入代56,57がそれぞれ設けられ、第1及び第2環状突起64,74を圧入して締まり嵌めを行い、第1及び第2接続部62,72を径方向にシールする。
図4は、溶湯流路10の概念図である。図5は、図4のAA断面図である。図6は、図4のBB断面図である。図7は、図4のCC断面図である。
溶湯流路10は、環状シール部材50に対応して設けられた部品成形部31と同心円状にランナ11とゲート22とが設けられ、スプルー6(図1参照)からランナ11へ供給された溶融樹脂をゲート22から部品成形部31の外側へ均一に供給し、部品成形部31の外側から内側へ向かって溶融樹脂を流して部品成形部31に充填するように構成されている。
そのため、第2接続ランナ部16a〜16dは、湯廻り部17の外側に周方向に等間隔に配置されて、湯廻り部17に接続されている。第2接続ランナ部16a〜16dは、部品成形部31のうち湯廻り流路部35より容積の大きい把持成形部34に対応する位置に設けられ、湯廻り流路部35より把持成形部34に溶融樹脂を充填しやすくして溶融樹脂の充填量が周方向にばらつきにくくしている。
次に、環状シール部材50の射出成形方法について説明する。図8乃至図13は、溶融樹脂の流れを説明するための図である。図中ドット部分は溶融樹脂が流れた領域を示す。
図1に示す金型1を閉じ、フッ素樹脂を溶融させた溶融樹脂を図示しない射出装置からスプルー6に圧力をかけて供給して入力ランナ部12に入力させる。溶融樹脂は、図8に示すように、入力ランナ部12から同じ距離だけ離れた第1接続ランナ部14a,14bに均等に分かれて流れ、第2ランナ部15a,15bへ流れる。そして、溶融樹脂は、第2ランナ部15aから同じ距離だけ離れた第2接続ランナ部16a,16bに均等に流れ、湯廻り部17に90度の位相差を持って流れ込む。また、溶融樹脂は、第2ランナ部15bから同じ距離だけ離れた第2接続ランナ部16c,16dに均等に流れ、湯廻り部17に90度の位相差を持って流れ込む。連通部18の開口幅が湯廻り部17の流路径より小さく、しかも、溶融樹脂の粘性が高いため、図9に示すように、第2接続ランナ部16a〜16dの各々から湯廻り部17へ供給された溶融樹脂は、連通部18へ流れ込まずに湯廻り部17に沿って二方向へ均等に分かれて流れる。そして、溶融樹脂は、各先端部分が合流し、湯廻り部17に充填される。
以上説明したように、本実施形態の円筒状部品の製造方法及び円筒状部品製造用金型1では、部品成形部31の外側に沿って環状に設けられた湯廻り部17に溶融樹脂を供給して充填し、溶融樹脂を湯廻り部17から部品成形部31の外側に均等に流して充填するので、溶融樹脂が部品成形部31の外側から内側へ向かって円を窄めるように流れる。そのため、部品成形部31では、二方向に分かれて流れた溶融樹脂の先端部が合流する箇所がなく、部品成形部31で成形される環状シール部材50にウエルドラインが発生しない。また、部品成形部31の外側にゲート22を設けて溶融樹脂を供給するので、ゲートカット跡が環状シール部材50の内周面に残らない。更に、部品成形部31の外側から溶融樹脂を均等に供給する金型1の流路構造により、ウエルドラインが環状シール部品50に発生すること、及び、環状シール部材50の内周面にゲートカット跡が発生することを防止するので、ウエルドラインやゲートカット跡を除去するために煩わしい切削加工を行う必要がなく、環状シール部材50を安価に製造できる。
続いて、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。図14は、溶湯流路81の概念図である。図15は、図14のDD断面図である。図16は、図14のEE断面図である。図17は、図14のFF断面図である。
第2実施形態では、ランナ82の連通部83が第1実施形態の連通部18と相違する点を除き、第1実施形態と構成が同じである。よって、ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する構成は第1実施形態と同一の符号を図面に付して説明を適宜省略する。
図18に示すように、溶融樹脂は、湯廻り部17全体に均一に充填されると、後続の溶融樹脂の圧力により各連通部83へ絞り出される。連通部83は、円周方向に等間隔に設けられ、しかも各第2接続ランナ部16a〜16dから同じ距離ずつ離れているため、溶融樹脂は各連通部83に均等に流れる。連通部83は、部品成形部31の外側に断続的に開口するが、連通部83が円周方向に均等に設けられているため、図19に示すように、溶融樹脂はゲート84から部品成形部31に均等に流れ込む。張出成形部33が流量を絞るように設けられているため、溶融樹脂は、流路断面積が大きくて流れやすい把持成形部34と湯廻り流路部35内に回り込むように流れて均一に充填され、その後、張出成形部33へ絞り出されて本体成形部32の外側まで流れる。そして、溶融樹脂は、本体成形部32の外側から中心部へ向かって流れ、本体成形部32に均一に充填される。部品成形部31に溶融樹脂を充填して冷却したら、金型を開いて成形品を取り出す。そして、部品成形部31とゲート84との間の位置で成形品を切断し、環状シール部材50を成形品から分離させる。
例えば、上記実施形態では、樹脂製環状シール部材50を環状部品の一例としてあげたが、円筒状のレンズ枠など環状の部品の製造にも、上記実施形態の製造方法及び金型を用いることができる。
例えば、上記実施形態では、環状シール部材50が本体部51に張出部52と把持部53を設け、環状シール部材50を第1及び第2接続部62,72に装着しやすくしているが、本体部51のみを備える環状シール部材であっても良い。本体部51のみの環状シール部材は、バルブの弁本体とシリンダとの接続部分や、接続管や接続ブロックの接続部分などに配置される。
例えば、上記実施形態では、溶湯としてフッ素樹脂などの溶融樹脂を用いたが、溶融金属を溶湯として用いても良い。
7 成形品
10 溶湯流路
11,82 ライナ
12 入力ランナ部
13 第1ランナ部
14a,14b 第1接続ランナ部
15a,15b 第2ランナ部
16a〜16d 第2接続ランナ部
17 湯廻り部
18,83 連通部
22,84 ゲート
31 部品成形部
50 環状シール部材(円筒状部品の一例)
61 第1部品
63 第1環状シール溝
71 第2部品
73 第2環状シール溝
Claims (14)
- ランナからゲートを介して部品成形部に溶湯を供給する溶湯流路を備える金型を用いて、円筒状部品を製造する円筒状部品の製造方法において、
前記部品成形部の外側に沿って環状に設けられた湯廻り部に前記溶湯を供給して充填し、前記湯廻り部に充填された溶湯を前記部品成形部の外周側から流して充填する
ことを特徴とする円筒状部品の製造方法。 - 請求項1に記載する円筒状部品の製造方法において、
前記ランナの入力ランナ部に供給されてから溶湯を分流させて、前記湯廻り部の外周に周方向に等間隔に供給し、さらに、湯廻り部から部品成形部へ溶湯を周方向に均等に供給する
ことを特徴とする円筒状部品の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載する円筒状部品の製造方法において、
前記湯廻り部の内側と前記部品成形部の外側との間に連通部を環状に設け、前記湯廻り部から前記連通部に流れる前記溶湯の流量を絞って、前記連通部から前記部品成形部の外側から前記溶湯を供給する
ことを特徴とする円筒状部品の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載する円筒状部品の製造方法において、
前記湯廻り部の内側と前記部品成形部の外側との間に連通流路を放射線状に設けて前記湯廻り部を前記部品成形部に周方向に等間隔に接続し、前記湯廻り部から前記連通部に流れる前記溶湯の流量を絞って、前記連通部から前記部品成形部の外側から前記溶湯を供給する
ことを特徴とする円筒状部品の製造方法。 - 請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載する円筒状部品の製造方法において、
前記金型から取り出して成形品を前記ゲートと前記部品成形部との間の位置で切断することにより、前記円筒状部品を前記成形品から分離させる
ことを特徴とする円筒状部品の製造方法。 - 請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載する円筒状部品の製造方法において、
前記円筒状部品が、第1部品と第2部品の流路開口部外側に設けられたシール溝に装着されて前記第1部品と前記第2部品の接続部をシールする環状シール部材である
ことを特徴とする円筒状部品の製造方法。 - 請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載する円筒状部品の製造方法において、
前記溶湯が、フッ素樹脂を溶融させたものである
ことを特徴とする円筒状部品の製造方法。 - 円筒形状をなす円筒状部品の製造に用いられ、前記円筒状部品に対応する部品成形部と、前記部品成形部へ溶湯を流すランナと、前記ランナから前記部品成形部へ前記溶湯を供給するゲートと、を有する円筒状部品製造用金型において、
前記ランナは、
前記部品成形部の外側に前記部品成形部と同心円状に設けられた環状の湯廻り部と、
前記湯廻り部の内側と前記部品成形部の外側とを連通させる連通部と、
前記湯廻り部に前記溶湯を充填するランナ部と、を有する
ことを特徴とする円筒状部品製造用金型。 - 請求項8に記載する円筒状部品製造用金型において、
前記ランナ部は、前記溶湯を入力する1個の入力ランナ部が分岐して、前記湯廻り部に対して周方向に等間隔に接続したものである
ことを特徴とする円筒状部品製造用金型。 - 請求項9に記載する円筒状部品製造用金型において、
前記入力ランナ部が分岐して前記湯廻り部に接続する接続部の数が、偶数である
ことを特徴とする円筒状部品製造用金型。 - 請求項8乃至請求項10の何れか1つに記載する円筒状部品製造用金型において、
前記連通部は、前記湯廻り部に開口する外側開口幅が前記湯廻り部の流路幅より小さく、且つ、前記部品成形部に開口する内側開口幅が前記部品成形部の外周の流路幅より小さい
ことを特徴とする円筒状部品製造用金型。 - 請求項11に記載する円筒状部品製造用金型において、
前記連通部は、前記湯廻り流路部と前記部品成形部との間に環状又は放射線状に設けられている
ことを特徴とする円筒状部品製造用金型。 - 請求項8乃至請求項12の何れか1つに記載する円筒状部品製造用金型において、
前記円筒状部品が、第1部品と第2部品の流路開口部外側に設けられたシール溝に装着されて前記第1部品と前記第2部品の接続部をシールする環状シール部材である
ことを特徴とする円筒状部品製造用金型。 - 請求項8乃至請求項13の何れか1つに記載する円筒状部品製造用金型において、
前記溶湯が、フッ素樹脂を溶融させたものである
ことを特徴とする円筒状部品製造用金型。
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