JP2010248055A - 磁性焼結体、磁性体と誘電体との複合焼結体、およびそれらの製造方法、ならびにそれらを用いた電子部品 - Google Patents

磁性焼結体、磁性体と誘電体との複合焼結体、およびそれらの製造方法、ならびにそれらを用いた電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、GHz帯領域で使用可能で抗折強度の高い磁性焼結体、および磁性体と誘電体との複合焼結体、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 Y型六方晶BaフェライトおよびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とし、(Ba,Ca)SiOの針状結晶を含むことを特徴とする磁性焼結体を用いる。前記磁性焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積の割合が10〜15%であることが好ましい
【選択図】 図2

Description

本発明は、磁性焼結体、磁性体と誘電体との複合焼結体、およびそれらの製造方法、ならびにそれらを用いた電子部品に関し、例えば、機器の高周波ノイズ対策用EMIフィルタ等に用いられる、磁性焼結体にインダクタ回路形成されている電子部品および磁性体の性質と誘電体の性質とを合わせ持つ、磁性体と誘電体との複合焼結体にコンデンサ回路およびインダクタ回路が形成されている電子部品に好適なものである。
従来、電子機器の高周波ノイズ対策用としては、EMI(Electro Magnetic Interference)フィルタが多く用いられている。近年では、携帯電話機、無線LAN等の移動体通信機器の高周波化に伴い、EMIフィルタにも数百MHz〜数GHzの高周波数帯域でも使用可能なフィルタ特性が求められている。
一般的に、このような電子機器のノイズ対策用として使用されているEMIフィルタは、コンデンサとインダクタとを個々に組み合わせて構成されているものが多い。しかし、近年では電子機器の小型化に伴い、磁性体により形成されるインダクタ層と、誘電体により形成されるコンデンサ層とを積層して両者を一体化した複合積層体の中に、銀電極などでコイルを形成したものが提案されてきている。その一例として、磁性体と誘電体とが混合焼成された複合焼結体の内部に、銀あるいは銀−パラジウム電極などでコイルを形成したノイズフィルタがある(例えば、特許文献1を参照。)。
用いられる磁性体材料としては、数MHz〜数百MHz帯領域で比透磁率が高いMn−Zn系、Ni−Zn系、Ni−Cu−Zn系等のスピネル型フェライトが多く用いられてきた。しかし、このスピネル型フェライトは、磁気異方性が低いために数百MHzの周波数で自然共鳴を起こしてしまい、透磁率の周波数限界(スネークの限界)を超えることができず、数百MHz〜数GHz帯領域では十分な透磁率が得られないため、高い周波数帯域でのフィルタ材料には適用することができなかった。
そこで、最近では、スピネル型フェライトの周波数限界を超えた高い周波数領域まで比透磁率を維持する六方晶フェライトが、数百MHz〜数GHz帯領域での磁性体材料として提案されている。
この六方晶フェライトは、c軸に対して垂直な面内に磁化容易軸を持ち、フェロックスプレーナ型フェライトとも呼ばれる磁性体材料である。フェロックスプレーナ型の代表的なフェライトとしては、Co置換系Z型六方晶Baフェライト(3BaO・2CoO・12Fe)、Co置換系Y型六方晶Baフェライト(2BaO・2CoO・6Fe)、Co置換系W型六方晶Baフェライト(BaO・2CoO・8Fe)等が知られている。
これらのフェロックスプレーナ型フェライトの中でも、Y型六方晶Baフェライト単相の合成温度(約1050℃)は、Z型六方晶Baフェライト単相(1300℃)およびW型六方晶Baフェライト単相(1200℃)それぞれの合成温度に比べて低く、また、Y型六方晶Baフェライトは、比透磁率の周波数限界が3GHz以上と高くなっているため、数百MHz〜数GHz帯領域での磁性体材料として有望視されている。
また、フェライトの抗折強度を高くするため、フェライト粉末とホウ珪酸ガラス粉末とを混合して製造する、磁性焼結体が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開平2−249294号公報 特開平1−110708号公報
しかしながら、特許文献2に記載された磁性焼結体では、抗折強度は100MPa程度とまだ低く、チップ部品などの電子部品に使用した場合に、大きな応力や落下などの際に生じる大きな衝撃が加わった際に壊れてしまうおそれがあった。
このことは、フェライトを主成分とする磁性体と誘電体との複合焼結体を用いる電子部品でも同様であった。
したがって、本発明は、GHz帯領域で使用可能で抗折強度の高い磁性焼結体、磁性体と誘電体との複合焼結体、およびそれらの製造方法、ならびにそれらを用いた電子部品を提供することを目的とする。
本発明の磁性焼結体は、六方晶BaフェライトおよびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とし、(Ba,Ca)SiOの針状結晶を含むことを特徴とするものである。
また、前記磁性焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積の割合が10〜15%であることが好ましい。
さらに、前記針状結晶のアスペクト比が10〜15であることが好ましい。
また、本発明の磁性体と誘電体との複合焼結体は、前記磁性焼結体とアルカリ土類金属のチタン酸塩の誘電体とを含むことを特徴とする。
また、本発明の電子部品は、前記磁性焼結体からなる絶縁基体の内部または表面に、インダクタ回路が形成されていることを特徴とする。
さらに、前記電子部品の表面に銀を主成分とする外部電極が焼き付けられており、前記外部電極付近の磁性焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積が13.0〜18.6%であることが好ましい。
また、本発明の電子部品は、前記磁性体と誘電体との複合焼結体からなる絶縁基体の内部または表面に、コンデンサ回路およびインダクタ回路が形成されていることを特徴とする。
さらに、前記電子部品の表面に銀を主成分とする外部電極が焼き付けられており、前記外部電極付近の磁性焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積が13.0〜18.6%であることが好ましい。
本発明の磁性焼結体の製造方法は、六方晶Baフェライト粉末と、LiO換算で5.0モル%以上のLi、BaO換算およびCaO換算の合量で15.4モル%以上のBaおよびCa、およびSiO換算で17.0〜24.1モル%のSiを含み、軟化点が400〜470℃のガラス粉末とを、前記六方晶Baフェライト粉末および前記ガラス粉末の合量に対して前記ガラス粉末が10〜30体積%となるように混合し、成形した成形体を焼成することを特徴とする。
また、六方晶Baフェライト粉末と、アルカリ土類金属のチタン酸塩粉末と、LiO換算で5.0モル%以上のLi、BaO換算およびCaO換算の合量で15.4モル%以上のBaおよびCa、およびSiO換算で17.0〜24.1モル%のSiを含み、軟化点が400〜470℃のガラス粉末とを、前記六方晶Baフェライト粉末、前記アルカリ土類金属のチタン酸塩粉末および前記ガラス粉末の合量に対して前記ガラス粉末が10〜30体積%となるように混合し、成形した成形体を焼成することを特徴とするものである。
本発明の磁性焼結体によれば、六方晶BaフェライトおよびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とし、(Ba,Ca)SiOの針状結晶を含むことにより、GHz帯領域で比透磁率が高く、抗折強度も高くなる。
また、前記磁性焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積の割合が10〜15%である場合、より抗折強度が高くなる。
さらに、前記針状結晶のアスペクト比が10〜15である場合、より抗折強度が高くなる。
また、本発明の磁性体と誘電体との複合焼結体によれば、前記磁性焼結体とアルカリ土類金属のチタン酸塩の誘電体とを含むことにより、比誘電率が高くなる。
また、本発明の電子部品によれば、前記磁性焼結体からなる絶縁基体の内部または表面に、コンデンサ回路およびインダクタ回路が形成されているため、GHz帯領域で使用可能であるとともに、抗折強度も高くなる。
また、本発明の電子部品によれば、磁性体と誘電体との複合焼結体からなる絶縁基体の内部または表面にインダクタ回路が形成されていることにより、GHz帯領域で使用可能であるとともに、抗折強度も高くなる。
さらに、前記電子部品の表面に銀を主成分とする外部電極が焼き付けられており、前記外部電極付近の磁性焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積が13.0〜18.6%である場合、外部電極の接着強度が強くなる。
また、本発明の電子部品によれば、前記磁性体と誘電体との複合焼結体からなる絶縁基体の内部または表面に、コンデンサ回路およびインダクタ回路が形成されていることにより、GHz帯領域で使用可能であるとともに、抗折強度も高くなる。
さらに、前記電子部品の表面に銀を主成分とする外部電極が焼き付けられており、前記外部電極付近の磁性焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積が13.0〜18.6%である場合、外部電極の接着強度が強くなる。
本発明の磁性焼結体の製造方法によれば、六方晶Baフェライト粉末と、LiO換算で5.0モル%以上のLi、BaO換算およびCaO換算の合量で15.4モル%以上のBaおよびCa、およびSiO換算で17.0〜24.1モル%のSiを含み、軟化点が400〜470℃のガラス粉末とを、前記六方晶Baフェライト粉末および前記ガラス粉末の合量に対して前記ガラス粉末が10〜30体積%となるように混合し、成形した成形体を焼成することにより、焼結体は六方晶Baフェライト、もしくはこれとガラスの原料とから生成されたLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶を主結晶とするものになり、それらの間に(Ba,Ca)SiOの針状結晶が生成されるため、GHz帯領域で比透磁率が高く、抗折強度も高くなる。
また、本発明の磁性体と誘電体との複合焼結体の製造方法は、六方晶Baフェライト粉末と、アルカリ土類金属のチタン酸塩粉末と、LiO換算で5.0モル%以上のLi、BaO換算およびCaO換算の合量で15.4モル%以上のBaおよびCa、およびSiO換算で17.0〜24.1モル%のSiを含み、軟化点が400〜470℃のガラス粉末とを、前記六方晶Baフェライト粉末、前記アルカリ土類金属のチタン酸塩および前記ガラス粉末の合量に対して前記ガラス粉末が10〜30体積%となるように混合し、成形した成形体を焼成することより、焼結体は六方晶Baフェライト、もしくはこれとガラスの原料とから生成されたLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶(Li−Zn−Cu−Fe−Oスピネルフェライト)を主結晶とし、アルカリ土類金属のチタン酸塩の結晶を含み、それらの間に(Ba,Ca)SiOの針状結晶が生成されるため、GHz帯領域で比透磁率および比透磁率が高く、抗折強度も高くなる。
(a)本発明の電子部品の一実施例であるLC複合電子部品のEMIフィルタの縦断面図であり、(b)本発明の電子部品の一実施例であるチップコイルの縦断面図である。 (a)本発明の磁性体と誘電体との複合焼結体である試料No.19の反射電子顕微鏡像であり、(b)本発明の範囲外の磁性焼結体である試料No.20の反射電子顕微鏡像である。 本発明の磁性焼結体および本発明の範囲外の磁性焼結体のX線回折図である。 (a)本発明の電子部品の一実施例である外部電極のあるLC複合電子部品のEMIフィルタの縦断面図であり、(b)本発明の電子部品の一実施例である外部電極のあるチップコイルの縦断面図である。
本発明の電子部品は、六方晶Baフェライトを主結晶およびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とし、(Ba,Ca)SiOの針状結晶を含む磁性焼結体からなる絶縁基体の内部または表面に、インダクタ回路が形成されているもの、もしくは六方晶Baフェライトを主結晶およびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とし、アルカリ土類金属のチタン酸塩の誘電体を含むとともに、(Ba,Ca)SiOの針状結晶を含む磁性体と誘電体との複合焼結体からなる絶縁基体の内部または表面に、コンデンサ回路およびインダクタ回路が形成されているものである。
なお、(Ba,Ca)の表記は、BaとCaとの両方を含むことを意味している。
図1(a)は、本発明の電子部品の一実施例であるLC複合電子部品のEMIフィルタの縦断面図ある。絶縁層である磁性体と誘電体との複合焼結体層1(以下で、絶縁体層と呼ぶことがある)が複数積層され、複合焼結体層1の表面に銀系導体層2(以下で、導体層と呼ぶことがある)が形成されている。また、複合焼結体層1によって隔てられた銀系導体層2同士を電気的に接続する銀系ビアホール導体(以下で、ビアホール導体と呼ぶことがある)3が複合焼結体層1を貫通して形成されている。
複合焼結体層1は、六方晶BaフェライトおよびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とし、アルカリ土類金属のチタン酸塩の誘電体を含み、(Ba,Ca)SiOの針状結晶を含む。Y型六方晶BaフェライトおよびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とすることにより、GHz帯での比透磁率を高くできる。
六方晶Baフェライトは、六方晶系結晶構造を有しているとともに磁化容易軸を持っているもののことである。具体的には、六方晶フェライトは結晶方向により異なる異方性磁界を持つために回転磁化共鳴周波数(fr)が高くなるとともに、c軸に垂直な結晶面(c面)内のa軸が磁界の方向に容易に磁化され、かつ外部磁界の方向の変化に容易に追従して磁化の向きが変化する。このため、高い周波数領域(数百M〜数GHz)においても、比透磁率が高い状態を維持することが可能である。
Li−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶は、Zn:Cu:Feの元素比が5:2:26であり、CuKα特性X線回折での第1ピークが2θ=35.51°〜35.55°であるものである。また、組成式では、おおよそLi0.20Zn0.43Cu0.17Fe2.20と表されるものである。スピネル型フェライトは、一般的には、1GHz程度で比透磁率が急激に低下してしまうものであるが、前記Li−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶のフェライトでは、高い周波数領域(数百M〜数GHz)においても、比透磁率が高い状態を維持することが可能である。
複合焼結体層1は、アルカリ土類金属のチタン酸塩の誘電体を含むことにより、比誘電率を高くできる。
図2(a)は、本発明の磁性体と誘電体との複合焼結体の断面の反射電子像であり、Aは(Ba,Ca)SiOの針状結晶Aある。(Ba,Ca)SiOの針状結晶Aは磁性体結晶粒子および誘電体結晶粒子の結合を強くし、抗折強度を高くできる。針状結晶Aの焼結体の断面に占める面積は、10〜15%である場合、抗折強度がより高くなるとともに、比透磁率および比誘電率が高くなるため好ましい。また、断面における針状結晶Aの平均アスペクト比が10〜15である場合、より抗折強度を高くできる。
なお、ここでアスペクト比とは、断面において、1つの結晶粒子の断面積を二等分する直線の線分の中で最も長いものを断面における結晶粒子の長径とし、最も短いものを断面における結晶粒子の短径とした場合の短径に対する長径の比率(長径/短径)のことである。
図4(a)は、本発明の電子部品の一実施例であるLC複合電子部品のEMIフィルタの縦断面図あり、図1(a)の電子部品の表面に端子電極である外部電極26を焼き付けたものである。絶縁層である磁性体と誘電体との複合焼結体層21(以下で、絶縁体層と呼ぶことがある)が複数積層され、複合焼結体層21の表面に銀系導体層22(以下で、導体層と呼ぶことがある)が形成されている。また、複合焼結体層21によって隔てられた銀系導体層22同士を電気的に接続する銀系ビアホール導体(以下で、ビアホール導体と呼ぶことがある)23が複合焼結体層11を貫通して形成されている。
外部電極26は、絶縁体層21、導体層22およびビアホール導体23からなる焼成された積層体の外部に、導体ペーストなどとして塗布され、焼成することにより、積層体に焼付けられたもので、銀を主成分とするものである。ここで主成分とするとは、銀の含有量が60質量%以上であることを意味する。導体抵抗を低くするため、銀の含有量は80%以上、さらに90%、特に95%以上であることが好ましい。外部電極26となる導体ペーストには銀以外に、白金、パラジウム、ガラス粉末などが入っていてもよい。白金やパラジウムはマイグレーション抑制に効果がある。ガラス粉末は、組成や添加量を変えることで焼付け温度を変えることができる。
銀を主成分とする外部電極26を焼き付けることにより、外部電極26に接している絶縁体層21に結晶生成状態が変わる。焼付けが進む過程で、(Ba,Ca)SiOの針状結晶Aの生成量が増え、アスペクト比が低くなる。そして、絶縁体層21の断面における針状結晶Aの面積比率が13.0〜18.6%であることにより、引き剥がし強度を高くできる。面積比率が大きくなりすぎると、引き剥がし強度が弱くなる傾向があるが、これは結晶生成により体積が減って空隙に近くなった部分に応力が集中するようになり、破壊の起点になるからだと考えられる。
絶縁体層21のうち外部電極26との界面から50μm以内の部分にある絶縁体層21において針状結晶生成がさらに進むことにより、外部電極26の引き剥がし強度を強くできる。針状結晶が進む領域は、外部電極26から積層体の内部に向かっていく方向、および積層体の表面を平面方向に広がっていく方向のいずれにも広がっている。針状結晶の生成が進む領域が平面方向にも広がっているため、外部電極26の端部に応力が集中するような場合にも、外部電極26が剥がれ難くなる。外部電極26から100μm以上離れた場所では、針状結晶の生成状態は外部電極26を焼き付ける前と差はほとんどない。内部に形成された銀系導体層22の近傍でも若干針状結晶の生成が進むが、外部電極26の付近ほどではない。また、絶縁体層21、内部に形成された銀系導体層22および銀系ビアホール導体により構成されたコンデンサ回路やインダクタ回路には、外部電極26を焼き付ける前との特性の変動は見られない。
図1(b)は、本発明の電子部品の一実施例であるチップコイルの縦断面図ある。絶縁層である磁性焼結体層11(以下で、絶縁体層と呼ぶことがある)が複数積層され、磁性焼結体層11の表面に銀系導体層12(以下で、導体層と呼ぶことがある)が形成されている。また、磁性焼結体層11によって隔てられた銀系導体層12同士を電気的に接続する銀系ビアホール導体(以下で、ビアホール導体と呼ぶことがある)13が磁性焼結体11を貫通して形成されている。
磁性焼結体層11は、Y型六方晶BaフェライトおよびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とし、(Ba,Ca)SiOの針状結晶を含む。Y型六方晶BaフェライトおよびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とすることにより、GHz帯での比透磁率を高くできる。
磁性焼結体層11には図2(a)で示したのと同様の(Ba,Ca)SiOの針状結晶Aを含む。これにより針状結晶は磁性体結晶粒子の結合を強くし、抗折強度を高くできる。針状結晶Aの焼結体の断面に占める面積は、10〜15%である場合、抗折強度がより高くなるとともに、比透磁率および比誘電率が高くなるため好ましい。また、針状結晶Aのアスペクト比が10〜15である場合、より抗折強度を高くできる。
図4(b)は、本発明の電子部品の一実施例であるチップコイルの縦断面図あり、図1(b)の電子部品の表面に端子電極である外部電極36を焼き付けたものである。絶縁層である磁性焼結体層31(以下で、絶縁体層と呼ぶことがある)が複数積層され、磁性焼結体層31の表面に銀系導体層32(以下で、導体層と呼ぶことがある)が形成されている。また、磁性焼結体層31によって隔てられた銀系導体層32同士を電気的に接続する銀系ビアホール導体(以下で、ビアホール導体と呼ぶことがある)33が磁性焼結体31を貫通して形成されている。
図4(a)の電子部品における外部電極26と同様に、外部電極36は、絶縁体層31、導体層32およびビアホール導体33からなる焼成された積層体の外部に、導体ペーストなどとして塗布され、焼成することにより、積層体に焼付けられたもので、銀を主成分とするものである。そして、外部電極36の焼付けにより、(Ba,Ca)SiOの針状結晶Aの生成量が増え、断面における(Ba,Ca)SiOの針状結晶Aの面積比率が13.0〜18.6%であることにより、引き剥がし強度が高くなる。
次に、本発明の磁性焼結体、および磁性体と誘電体との複合焼結体の製造方法について説明する。
いずれの場合も、まず六方晶Baフェライト粉末を作成する。六方晶Baフェライト粉末は、原料として、それぞれ酸化物換算でFeを57〜63モル%、MOを18〜22モル%(ただし、MはCo、CuおよびZnから選ばれる1種以上の金属元素)、BaOを残部となるように調合する。この際、各原料はこれに限定されず、焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等の金属塩を用いても良い。
なお、Mは単独の元素でも、2種以上の元素が混在した形態であってもよい。Mとして2種以上を混合して用いる場合には、混合した総計モル%を18〜22モル%とすればよい。ただし、後述の焼成(本焼成)でLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶を生成させる場合には、MとしてCuおよびZnを含んだものを使用する。
また、Y型六方晶Baフェライト単相の合成温度(約1050℃)は、Z型六方晶Baフェライト単相(1300℃)およびW型六方晶Baフェライト単相(1200℃)それぞれの合成温度に比べて低く、また、Y型六方晶Baフェライトは、比透磁率の周波数限界が3GHz以上と高くなっているため、六方晶Baフェライトの中でもY型六方晶Baフェライトを使用するのが好ましい。
このような配合比率で混合した粉末を、大気中で900〜1300℃の温度範囲で、1〜10時間仮焼した後、粉砕することによって六方晶Baフェライト粉末を得ることができる。
粉砕に際しては振動ミル、回転ミル、バレルミル等を用いて、磁性体材料を鋼鉄ボール、セラミックボール等のメディアと、水またはイソプロピルアルコール(IPA)、メタノール等の有機溶剤を用いて湿式で行なうことができる。
その際、六方晶Baフェライトの素原料となる粉末は、平均粒子径が0.1〜5μm、より好ましくは0.1〜1μmであることが仮焼時の焼結性を高める点で望ましい。なお、「平均粒子径」とは、粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒径d50を意味する。粉体の粒度分布は、例えばレーザ回折・散乱法によるマイクロトラック粒度分布測定装置X−100(日機装株式会社製)を用いて測定できる。
かくして得られる六方晶Baフェライト粉末を、後述のガラス粉末と混合し、焼成(本焼成)することで、本発明の磁性焼結体が得られる。また、六方晶Baフェライト粉末と、アルカリ土類金属のチタン酸塩の粉末と後述のガラス粉末と混合し、焼成(本焼成)することで、本発明の磁性体と誘電体との複合焼結体が得られる。
次に、本焼成で使用するガラスについて説明する。使用するガラス粉末は、LiO換算で5.0モル%以上のLiと、BaO換算およびCaO換算の合量で15.4モル%以上のBaおよびCaと、SiO換算で17.0〜24.1モル%のSiとを含み、軟化点が400〜470℃のものである。このガラスは、六方晶Baフェライトの焼成温度を低くさせることができるとともに、このガラスから析出する(Ba,Ca)SiOの針状結晶により焼結体の抗折強度を高くすることができる。組成の残部は、軟化点を低くする点からBであることが好ましいが、他の組成や、Bと他の組成が混ざったものであってもかまわない。
軟化点が400〜470℃以上であることにより、低温で焼結が進むようになるとともに、適切な温度で焼成が進むことで(Ba,Ca)SiOの針状結晶が析出する。軟化点が400℃より低くい場合、低温での焼結はできるが、針状結晶は析出しなくなる。軟化点が470℃より高い場合、低温での焼結が難しくなるとともに、針状結晶も析出しなくなる。
Liはガラスの軟化点を下げる役目をはたすとともに、六方晶Baフェライトと反応する。ガラスが軟化して焼結が進む際に、Liは六方晶Baフェライトと反応し、六方晶Baフェライトの一部、もしくはほとんどがLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶に変わる。また、この反応が進む中でガラス組成からLiが減っていくため、残部のガラスから(Ba,Ca)SiOの針状結晶が析出する。
(Ba,Ca)SiOの針状結晶を析出させるため、BaO換算およびCaO換算の合量で15.4モル%以上のBaおよびCaを含有するガラスを用いる。また、LiがLiO換算で5.0モル%より少ないガラスでは、上述の針状結晶生成がほとんど起こらず、(Ba,Ca)SiOの結晶が生成しても、図2(a)に示すような針状結晶とはならない。
生成される(Ba,Ca)SiOの針状結晶は、典型的には、Ba1.55Ca0.55SiOである。
また、ガラス中のSi量が多いと、焼成の際に六方晶Baフェライトを分解する反応が大きく進む。この反応の生成物は比透磁率が低いので、この反応を抑制するため、SiO換算で24.1モル%以下のSiを含有するガラスを用いる。また、SiOは、ガラスの骨材であり、(Ba,Ca)SiOの結晶のもとでもあるので、SiO換算で17.0モル%以上のSiを含有するガラスを用いる。
さらに、ガラスの軟化点を低くするため、B換算のB量は、25.6モル%以上であることが好ましい。また、Bが多くなると、焼成過程で六方晶Baフェライトの分解が顕著になるので、B換算のB量は、43.5モル%以下であることが好ましい。
ガラス粉末の量は、ガラス粉末以外の焼結体の原料とガラス粉末を合わせた中で10〜30体積%とする。10体積%以上とすることで、焼結体を十分焼結させることができる。30体積%以下することで、焼結体中のガラスの体積が増えること、および焼成過程での六方晶Baフェライトあるいはアルカリ土類金属のチタン酸塩の分解量が増えることによる、比透磁率あるいは比誘電率の低下を抑制できる。
ガラス粉末は、平均粒子径が0.3〜2.0μmのもの使用する。
磁性体と誘電体との複合焼結体を製造する場合の、誘電体としてアルカリ土類金属のチタン酸塩の誘電体を用いることで、上述のガラス粉末と焼成した場合において、焼成過程での誘電体の分解が比較的少なく、高い比誘電率が得られる。アルカリ土類金属のチタン酸塩としては、SrTiO3、BaTiO、CaTiOおよびMgTiOなどが例示できる。SrTiOはBaTiOより、100MHzにおける誘電損失が小さいために好ましい。また、SrTiOは、CaTiOおよびMgTiOより、100MHzにおける比誘電率が大きいために好ましい。
誘電体としてはSrTiOを主成分とするものが好ましく、BaTiO、CaTiOおよびMgTiOが混合したものであってもよい。混合は、それぞれの粉末を混ぜたものでも、所望の組成比の素原料を仮焼などで合成して固溶体にしたものでもよい。誘電体材料中のSrTiOの比率は、90質量%以上、好ましくは95質量%以上であり、特に99質量%以上(残部は不純物)が好ましい。
SrTiO粉末の平均粒子径は、誘電体と磁性体との複合焼結体層の透磁率、誘電率を高くするために、0.1〜3.0μm、さらには1.2〜2.2μmであることが好ましい。
アルカリ土類金属のチタン酸塩の誘電体の量は、必要とされる比誘電率および比透磁率に変わるが、誘電率を高くするためには、原料粉末全体の中で5体積%以上、特に10体積%以上が好ましい。また、アルカリ土類金属のチタン酸塩の誘電体が増えると焼結性が低くなるため、原料粉末全体の中で25体積%以下、特に15体積%以下が好ましい。また、25体積%以下であれば、残部の六方晶Baフェライトとガラスから(Ba,Ca)SiOの針状結晶が生成される。
SrTiO粉末の平均粒子径が細かすぎると、六方晶Baフェライト粉末間の至るところにSrTiO粉末が分散配置され、六方晶Baフェライトの焼結を阻害し、所望の透磁率を得られないことになる。また、高い比透磁率を得るためには誘電体材料の量をそれほど多くできなく、そのような状態でも比誘電率を高くするため、SrTiO粉末は、ある程度平均粒子径が大きい方が好ましい。すなわち、原料の混合時のSrTiO粉末の平均粒子径は1.2〜2.2μmが好ましい。
原料組成中にはAlを実質的に含まないことが好ましい。Alは、磁性体材料や誘電体材料を作る際の仮焼合成後の粉砕などに、アルミナのメディアを用いることなどで、不純物として混じることがある。また、Y型六方晶Baフェライトの原料となる鉄の中に微量含まれていることもある。Alが含まれると、複合焼結体層の焼成時にAlを含む複合酸化物結晶(例えば、ZnAl結晶など)が生成され、その際にY型六方晶BaフェライトまたはSrTiOが分解されることがある。Al量を少なくすることにより、この分解を抑制できるので、100MHzにおける比透磁率あるいは100MHzにおける比誘電率を高くすることができる。そのため、原料組成中あるいは複合焼結体層中のAlの量はAl換算で0.05質量%以下、特に0.03質量%以下であることが好ましい。また、Al量を少なくすることにより、ZnAl結晶などの誘電損失の大きい結晶の生成を抑制できるので、誘電損失を低くすることができる。
また、複合焼結体層をX線回折で測定した際に、複合焼結体層に含まれているAlを含む結晶のピーク強度が、複合焼結体層に含まれている結晶のうち最も高いピーク強度を有する結晶のピーク強度に対して100分の1以下であるようにするのが好ましい。ZnAl結晶以外のAlを含む結晶としては、不純物などとして含まれることがあるSiと反応して生じるBaAlSi結晶が挙げられる。
このような焼結体を用いた電子部品を製造するには、原料として、例えば、50〜85体積%のY型六方晶Baフェライト粉末、5〜25体積%のSrTiO粉末および10〜30質量%の、組成がSiO換算で17.0質量%のSiと、B換算で29.2質量%のBと、CaO換算で21.5質量%のCaと、BaO換算で19.84質量%のBaと、LiO換算で12.5質量%で軟化点が410℃のガラス粉末を用いる。
これらの原料に対して、適当な有機バインダ、分散剤、溶媒を添加、混合してスラリーを調製し、これを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プレス成形法により、シート状に成形し、厚さ25μmのグリーンシートを作製する。
そして、前述のグリーンシートに所望によりスルーホールを形成した後、スルーホール内に、導体ペーストを充填する。
続いて、導体ペーストをスクリーン印刷で、前述のグリーンシートに塗布して、乾燥し、銀系導体層となる導体を形成する。なお、銀系導体層の厚さは焼成後2〜15μm程度である。
複数の導体を形成されたグリーンシートを、所望の銀系導体層が形成されるように位置合わせして積層圧着し、積層体を作製する。酸化性雰囲気中、または低酸化性雰囲気中、200〜500℃で脱バインダ処理した後、酸化性雰囲気または非酸化性雰囲気で900〜1200℃で焼成され、電子部品となる。
この電子部品にさらに、端子電極となる外部電極を形成してもよい。端子電極は、銀、銀とパラジウムとの合金あるいは銀と白金との合金等の銀を主成分とする導電材料等から成り、かかる導電材料を用いて作製した導体ペーストを積層体の表面に従来周知のディップ法やスクリーン印刷等によって所定パターンに塗布し、これを高温で焼付けることによって形成さる。この端子電極には、さらにニッケルメッキや金メッキ、すずメッキ、半田メッキ等のメッキ処理を施してもよい。
外部電極に接する絶縁体層の断面における(Ba,Ca)SiOの針状結晶の面積比率を13.0〜18.6%とするには、外部電極の焼付け温度を750〜810℃にすることが好ましい。750℃以上であることにより針状結晶Aの生成が進む。また、外部電極を焼き付ける前の針状結晶Aの面積比率にもよるが、810℃以下であることにより、針状結晶Aの生成が過剰になることを抑制できる。
上述したような工程を経ることによって、前述したように高い透磁率、および誘電率を有するとともに、数百MHz〜数GHzの高周波数帯域でもノイズの減衰特性が高いとともに、抗折強度の高い電子部品を得ることができる。
このようにして作製した電子部品であるEMIフィルタ部品を、図1(a)をもとに説明する。複数の複合焼結体層1が積層され、この複合焼結体層1の表面に導体層2が形成されている。また、複合焼結体層1によって隔てられた導体層2同士を電気的に接続するビアホール導体3が複合焼結体層1を貫通して形成されている。
さらに、これらの導体層2およびビアホール導体3により複数の複合焼結体層1からなる絶縁基体の内部には、回路的にインダクタ部4およびコンデンサ部5が形成され、フィルタ回路をなしている。
このインダクタ部4は、導体層2およびビアホール導体3により多層のコイル状に形成されているが、通常、回路のインダクタンスを増加させるためには、このコイルの巻き数を増加させる必要がある。しかし、本実施形態の複合磁性材料のような透磁率の高い磁性材料を用いた場合、コイルの巻き数を増やさずとも必要なインダクタンスを得ることが可能となる。これより、導体層2の積層数を減らすことができるため、電子部品の小型、低背化が可能になる。
また、同様に作製した電子部品であるチップコイルを、図1(b)をもとに説明する。ただし、絶縁層である磁性焼結体層11は、原料として、例えば、70〜90体積%のY型六方晶Baフェライト粉末および10〜30質量%の、組成がSiO換算で17.0質量%のSiと、B換算で29.2質量%のBと、CaO換算で21.5質量%のCaと、BaO換算で19.84質量%のBaと、LiO換算で12.5質量%のLiを含む、軟化点が410℃のガラス粉末を用いて作製する。
図1(b)のチップコイルは複数の磁性焼結体層11が積層され、磁性焼結体層11の表面に銀系導体層12が形成されている。また、磁性焼結体層11によって隔てられた銀系導体層12同士を電気的に接続する銀系ビアホール導体13が磁性焼結体11を貫通して形成されている。これらの導体層12およびビアホール導体3により複数の複合焼結体層1からなる絶縁基体の内部には、回路的にインダクタ部14が形成されている。
このようなチップコイルは、例えばチップコンデンサなどの容量部品と組み合わせてフィルタなどとして使用できる
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、Fe粉末、CoO粉末、CuO粉末、ZnO粉末およびBaCO粉末を出発原料とし、組成比がBa2.05Zn1.4Cu0.5Co0.05Fe1222となるように調合をした。調合した粉末に、有機溶媒としてIPA、メディアとして鋼鉄ボールを加えて湿式混合し、乾燥した後、大気中、950℃で仮焼し、さらに湿式で72時間粉砕し、平均粒子径1μmのY型六方晶Baフェライトを主結晶とする磁性体材料(100MHzにおける比誘電率:25、100MHzにおける比透磁率:15)を得た。
なお、比較例で使用する磁性体材料として、ニッケル亜鉛スピネルフェライト(Ni,Zn)Fe)粉末を準備した。
次に、誘電体材料として、SrTiO粉末(平均粒子径0.9μm、100MHzにおける比誘電率:180、100MHzにおける比透磁率:1.0)を準備した。
次に、ガラス粉末として表1に記載のものを準備した。ガラス粉末の平均粒子径はいずれも0.6μmのものを用いた。以上の粉末を表1に示す混合比となるように、有機溶媒にIPA、メディアに鋼鉄ボールを用いて湿式混合し、乾燥した後、比透磁率、比誘電率、誘電損失、嵩密度および吸水率を評価できるようにプレス成形し、大気中、表1に記載の温度で2時間焼成し、焼結体を得た。なお、試料No.19はY型六方晶BaフェライトとSrTiOとガラスとの体積比は60:15:25である。
また、調合は、各粉末の密度をあらかじめ測定し、その密度から体積比を質量比に換算して行なった。なお、Y型六方晶Baフェライトの密度は、5.4g/cm、SrTiOの密度は5.1g/cm、試料No1などに使用したガラスの密度は3.0g/cmであった。
かくして得られた磁性焼結体、もしくは誘電体と磁性体との複合焼結体について、比透磁率、抗折強度および吸水率を評価した。比透磁率については、100MHzと1GHzでの値を測定した。ここで測定した比透磁率の値は、次に作製した子部品評価のフィルタ特性の評価結果と整合した。なお、この比透磁率は、同軸管を用いたSパラメータ法により測定した。
その後、作製した試料のうち表2に示すものには、銀系導体ペーストを塗布し、焼き付けて外部電極を形成し、外部電極の引き剥がし強度を測定した。なお、試料No.21および22は、表1の試料No.12と同じ絶縁体層の組成・焼成温度で作製した試料であり、表2の試料No.12とは外部電極の焼付け温度を変えた試料である。
焼結体の断面における(Ba,Ca)SiOの針状結晶の観察は、焼結体の断面を鏡面研磨(研磨は#6000のダイヤモンドペーストを用いて行ない、5000倍の反射電子顕微鏡観察を行なった際に明確な傷が確認されない状態にした)し、その断面を反射電子顕微鏡を用いて観察した。400μm×400μmの視野の範囲を任意の10箇所を300倍で観察し、視野に存在する針状結晶の数の平均が1に満たないものは針状結晶無しと判定した。ここでいう針状結晶とは、アスペクト比が2以上の結晶のことであり、アスペクト比とは、断面において、1つの結晶粒子の断面積を二等分する線分の中で最も長いものを断面における結晶粒子の長径とし、最も短いものを断面における結晶粒子の短径とした場合の長径/短径のことである。
外部電極が焼き付けられた部分の絶縁体層の断面における(Ba,Ca)SiOの針状結晶の観察は、外部電極が焼き付けられた表面から20μm研磨した部部分の断面に対して上述の方法で行なった。なお、外部電極が焼き付けられた部分の絶縁体層は、外部電極から100μm以上離れた場所では、外部電極の焼付けを行なう前と針状結晶の生成状態に差はなかった。
針状結晶が観察されるものについては、前述の10箇所観察したもののうち任意のひとつを撮影し、画像処理することにより測定した。反射電子組成像の撮影においては、加速電圧を15kVに設定し、5000倍の拡大像を撮影し、撮影した像において、(Ba,Ca)SiOの針状結晶の占める面積を測定し、任意に選んだ(Ba,Ca)SiOの針状結晶10個のアスペクト比を測定して、その平均を算出した。なお、誘電体としてSrTiOを含む焼結体では、針状結晶A付近にSrも存在するが、Srの量は微量でX線回折では針状結晶Aの結晶中に存在するとは同定できなかった。
また、X線回折を行ない、その結果をリートベルト解析し、複合焼結体層に含まれている結晶の種類と含まれている結晶全体に対するそれらの割合を求めた。全ての試料でフェライトが50質量%以上を占める主結晶であり、フェライト、SrTiOおよび(Ba,Ca)SiO以外の結晶は10質量%以下であった。また、表1のフェライトの欄には、10質量%以上検出されたフェライトを多い順に示した。
図2(a)は試料No.19の焼結体の断面の反射電子顕微鏡像であり、針状結晶Aが観察された。針状結晶Aは、元素の同定とX線回折の結果からBa1.55Ca0.55SiOであった。
外部電極の引き剥がし強度は、面積1.6mm×0.8mmで厚み0.5mmの積層体の1.6mm×0.5mmの側面に形成された、一方の1.6mmの辺の中央から垂直に他方の1.6mmの辺までの達する幅0.2mmの外部電極を、プラスチック基板上に形成された電極に半田付けし、1.6mm×0.8mmの面の上端を押して、外部電極が剥がれる強度を測定した。
六方晶BaフェライトおよびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とし、(Ba,Ca)SiOの針状結晶を含む本発明の試料No.1、2、5、8、11〜16および19は、抗折強度が154MPa以上と高くなった。
特に、焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積の割合が10〜15%である試料No.12〜16は、抗折強度が166MPa以上と高くなった。
また、焼結体の断面における前記針状結晶の平均アスペクト比が10〜15である試料No.13および14は、抗折強度が181MPa以上と高くなった。
これに対して、本発明の範囲外の試料No.3、4、6、7、9、10、17、18および20では、(Ba,Ca)SiOの針状結晶を含んでおらず、抗折強度が146MPa以下となった。
なお、試料No.3および7ではY型六方晶Baフェライトが分解して、比透磁率も低くなっている。
図3は、本発明の焼結体である試料A、Bおよび本発明の範囲外の焼結体である試料CのCuKα特性X線回折図である。試料Aは試料No.19である。試料B、Cはそれぞれ、Y型六方晶BaフェライトとSrTiOとガラスとの体積比を70:15:15、85:15:0とした以外は試料No.19と同様に作製した焼結体である。
試料Cでは、焼成過程で、Y型六方晶Baフェライトの一部は分解し、亜鉛スピネルフェライト(ZnFe)が生成されているが、(Ba,Ca)SiOの結晶の析出は観察されない。
試料Bでは、Y型六方晶Baフェライトの一部はガラスと反応しLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶が生成されており、Y型六方晶BaフェライトとLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶とがそれぞれ多く観察されるとともに、Ba1.55Ca0.55SiO結晶が観察された。これは、断面を反射電子顕微鏡で観察したところ針状結晶であった。
試料Aでは、Y型六方晶Baフェライトは、ほとんどLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶になっており、Li−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶以外のフェライトは、焼結体中の10質量%以下しか観察されない。また、(Ba,Ca)SiOの針状結晶は、試料Bよりも多く析出している。
なお、観察されたLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の第1ピークは2θ=35.51°〜35.55°であった。Zn:Cu:Feの元素のモル比が5:2:26であった。
外部電極を形成した試料のうち、(Ba,Ca)SiOの針状結晶が存在する試料No.1、8、11、12、15、16、21および22では、針状結晶が存在しない試料No.4より外部電極の引き剥がし強度が高くなった。特に、外部電極から20μmの場所における焼結体の断面に占める(Ba,Ca)SiOの針状結晶の面積の割合が13.0〜18.6%である試料No.1、8、12、15、21および22では、電極の引き剥がし強度が0.71N以上と高くなった。
1、21・・・磁性体と誘電体との複合焼結体層
11、31・・・磁性焼結体層
2、12、22、32・・・導体層
3、13、23,33・・・ビアホール導体
4、15、24、35・・・インダクタ部
5、25・・・コンデンサ部
26、36・・・外部電極

Claims (10)

  1. 六方晶BaフェライトおよびLi−Zn−Cu−Fe−Oスピネル型結晶の少なくとも一方を主結晶とし、(Ba,Ca)SiOの針状結晶を含むことを特徴とする磁性焼結体。
  2. 前記磁性焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積の割合が10〜15%であることを特徴とする請求項1に記載の磁性焼結体。
  3. 前記磁性焼結体の断面における前記針状結晶の平均アスペクト比が10〜15であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性焼結体。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の磁性焼結体とアルカリ土類金属のチタン酸塩の誘電体とを含むことを特徴とする磁性体と誘電体との複合焼結体。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の磁性焼結体からなる絶縁基体の内部または表面に、インダクタ回路が形成されていることを特徴とする電子部品。
  6. 請求項5に記載の電子部品の表面に銀を主成分とする外部電極が焼き付けられており、前記外部電極付近の磁性焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積が13.0〜18.6%であることを特徴とする電子部品
  7. 請求項4記載の磁性体と誘電体との複合焼結体からなる絶縁基体の内部または表面に、コンデンサ回路およびインダクタ回路が形成されていることを特徴とする電子部品。
  8. 請求項7に記載の電子部品の表面に銀を主成分とする外部電極が焼き付けられており、前記外部電極付近の磁性焼結体の断面に占める前記針状結晶の面積が13.0〜18.6%であることを特徴とする電子部品
  9. 六方晶Baフェライト粉末と、LiO換算で5.0モル%以上のLi、BaO換算およびCaO換算の合量で15.4モル%以上のBaおよびCa、およびSiO換算で17.0〜24.1モル%のSiを含み、軟化点が400〜470℃のガラス粉末とを、前記六方晶Baフェライト粉末および前記ガラス粉末の合量に対して前記ガラス粉末が10〜30体積%となるように混合し、成形した成形体を焼成することを特徴とする磁性焼結体の製造方法。
  10. 六方晶Baフェライト粉末と、アルカリ土類金属のチタン酸塩粉末と、LiO換算で5.0モル%以上のLi、BaO換算およびCaO換算の合量で15.4モル%以上のBaおよびCa、およびSiO換算で17.0〜24.1モル%のSiを含み、軟化点が400〜470℃のガラス粉末とを、前記六方晶Baフェライト粉末、前記アルカリ土類金属のチタン酸塩粉末および前記ガラス粉末の合量に対して前記ガラス粉末が10〜30体積%となるように混合し、成形した成形体を焼成することを特徴とする磁性体と誘電体との複合焼結体の製造方法。
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