JP2004153197A - 磁性材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温焼結が可能な磁性材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一般式Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%))で表されるフェライトの一部をCuおよびMnで置換し、Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%)、0.13<y<0.80(5〜25mol%)、0<z<0.90(0〜90mol%)、0.02<a<0.40(2〜40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表される酸化物磁性材料によって、低温焼結が可能なLi−Cu−Znフェライトを作製する。
【選択図】 図1
【解決手段】一般式Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%))で表されるフェライトの一部をCuおよびMnで置換し、Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%)、0.13<y<0.80(5〜25mol%)、0<z<0.90(0〜90mol%)、0.02<a<0.40(2〜40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表される酸化物磁性材料によって、低温焼結が可能なLi−Cu−Znフェライトを作製する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、積層電子部品等に使用する磁性材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェライトは、多くの電子産業で使用されており、特に高周波機器には、フェライトが不可欠の電子材料となっている。フェライトは酸化鉄を主成分とするため、電気抵抗が金属よりもはるかに大きく、渦電流の影響がほとんどないため、安定した磁気特性を高い周波領域まで保持する。
【0003】
積層フェライト部品として、従来より、銀(Ag)内部導体と同時焼成できる低温焼結型酸化物磁性材料であるニッケル−銅−亜鉛(Ni−Cu−Zn)フェライトが用いられている。しかし、近年において、EU諸国やアメリカ合衆国の一部の州において、厳しい環境規制が行われ、Ni−Cu−Znフェライトに含まれるNiが、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr)等、人体への悪影響が明らかになっている重金属元素に継ぐ、特定有害物質として認知される可能性がある。
【0004】
一方、軟磁性を持つとともに、Niを含まず、かつ、Ni−Cu−Znフェライトと同等、あるいはそれ以上の磁気特性を発揮する磁性材料として、Li−Cu−Znフェライトが考えられる。なお、Ni−Cu−Znフェライトは、Li−Cu−Znフェライトよりも磁歪定数が大きく、応力の影響を受けやすい(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Li系フェライトは、本来的にソフトフェライトでありながら角型ヒステリシス性を持ち、ソフトフェライトとしての電子部品への用途が限られている。Li系フェライトは、その原料であるLi2CO3の水溶性に起因する製造上の問題や、誘電体損失が大きい等の問題がある(例えば、非特許文献2参照)。
【0006】
また、Li−Znフェライトは、焼結中にLiが蒸発することが原因となって、本来その抵抗率が低く、漏れ電流や渦電流損失が発生するため、例えば、積層部品としての用途には不向きであるという問題もある。
【0007】
Liを含むフェライトについて、例えば、特許文献1では、Liを含むフェライトが高抵抗率を示すとされているが、同文献に記載されたNi−Cu−Znフェライトの場合、Li2Oを添加することで、Liによってフェライトの磁気損失が低下し、結果として高抵抗率を示すとしているだけである。
【0008】
また、特許文献2は、酸化リチウム(Li2O)を含有させることで低温焼成(例えば、850℃、900℃)が可能なフェライト焼結体等を開示しているが、かかる焼結体は、透磁率や機械的な強度において優れた特性を有していても、同文献内には抵抗率についての直接的な言及がない。
【0009】
【非特許文献1】
近角聡信他、「磁性体ハンドブック」、朝倉書店、第9版、1990年、pp.850−854
【非特許文献2】
橋本忠士、「マイクロ波フェライトとその応用技術」、総合電子出版、第1版、1997年、pp.23−25
【特許文献1】
特開2000−269017号公報
【特許文献2】
特公平6−30297号公報
【0010】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、低温焼結ができる低温焼結材料としての磁性材料およびその製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、人体および環境に悪影響を与える物質を含有せず、従前のフェライトと同等、あるいはそれ以上の磁気特性を示す磁性材料およびその製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として、本発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、磁性材料であって、少なくともリチウム(Li)と、亜鉛(Zn)と、銅(Cu)と、鉄(Fe)と、マンガン(Mn)の酸化物粉体または炭酸塩粉体を含む化合物粉体を、一般式Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%)、0.13<y<0.80(5〜25mol%)、0<z<0.90(0〜90mol%)、0.02<a<0.40(2〜40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表される組成比で混合してなることを特徴とする。
【0013】
また、例えば、上記リチウム化合物は、少なくとも炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化リチウム(Li2O)のいずれかよりなり、上記亜鉛化合物は、少なくとも酸化亜鉛(ZnO)よりなり、上記銅化合物は、少なくとも酸化第二銅(CuO)よりなり、上記鉄化合物は、少なくとも酸化第二鉄(Fe2O3)よりなり、上記マンガン化合物は、少なくとも一酸化マンガン(MnO)と二酸化マンガン(MnO2)と三酸化二マンガン(Mn2O3)と四酸化三マンガン(Mn3O4)のいずれかよりなることを特徴とする。
【0014】
上述した課題を解決する一手段として、他の発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、磁性材料であって、一般式Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%))で表されるフェライトの一部をCuおよびMnで置換して、一般式Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%)、0.13<y<0.80(5〜25mol%)、0<z<0.90(0〜90mol%)、0.02<a<0.40(2〜40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表されるLi−Cu−Znフェライトとしたことを特徴とする。
【0015】
さらには、上述した課題を解決する一手段として、他の発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、磁性材料の製造方法であって、少なくともリチウム(Li)と、亜鉛(Zn)と、銅(Cu)と、鉄(Fe)と、マンガン(Mn)の酸化物粉体または炭酸塩粉体を含む化合物粉体を、一般式Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%)、0.13<y<0.80(5〜25mol%)、0<z<0.90(0〜90mol%)、0.02<a<0.40(2〜40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表される組成比で混合するステップと、上記混合された材料を850〜930℃の温度範囲で焼結するステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面、および表を参照して、本発明に係る実施の形態例を詳細に説明する。最初に、本実施の形態例に係る磁性体材料(酸化物磁性材料)に使用する粉体、およびその組成比について、具体的な化学式を使用して説明する。
【0017】
Li−Znフェライトとして、下記の一般式(1)で表されるフェライトは、軟磁性を示す磁性材料であり、人体等に有害といわれるNiを含まない。
【0018】
x(Li0.5Fe2.5O4)−(1−x)(ZnFe2O4)=Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4 …(1)
ここで、0.10<x<1.00(10〜100mol%)である。
【0019】
本実施の形態例では、上記の化学式(1)において、その一部をCuおよびMnで置換し、以下の式(2)で表されるフェライト(酸化物磁性材料)を作製する。
【0020】
Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4 …(2)
ここで、0.10<x<1.00(10〜100mol%)
0.13<y<0.80(5〜25mol%)
0<z<0.90(0〜90mol%)
0.02<a<0.40(2〜40mol%)
0.5x+z+a≒1
である。
【0021】
図1は、本実施の形態例に係るLi−Cu−Znフェライト粉体の製造工程を示すフローチャートである。本実施の形態例では、Li−Cu−Znフェライト粉体を作製する最初の工程として、図1のステップS11において、以下に示す材料の秤量を行う。
【0022】
例えば、炭酸リチウム(Li2CO3)あるいは酸化リチウム(Li2O)等のリチウム化合物、酸化亜鉛(ZnO)等の亜鉛化合物、酸化第二銅(CuO)あるいは酸化第一銅(Cu2O)等の銅化合物、酸化第二鉄(Fe2O3)あるいは酸化第一鉄(FeO)あるいは四酸化三鉄(Fe3O4)等の鉄化合物、そして、四酸化三マンガン(Mn3O4)等のマンガン化合物を、上記の式(2)に対して、表1、および表2に示す組成比(x,y,z,aで示す)となるように秤量する。
【0023】
続くステップS12において、組成物の混合を行う。具体的には、上記のステップで秤量した組成物を、例えば、鉄製乾式アトライターに入れ、回転数100rpmで6時間、混合する。
【0024】
ステップS13で、上記の工程で混合された材料を乾燥し、続くステップS14において、乾燥して得られた混合粉を仮焼する。この仮焼は、例えば、温度がT=750〜800℃で、t=3時間行う。なお、ステップS13の乾燥工程は、省略してもよい。そして、続くステップS15において、仮焼粉を、鉄球メディアを入れた0.7L鉄製ボールミルに入れ、例えば、純水溶媒において、回転数130rpmで24時間、粉砕する。
【0025】
本実施の形態例では、このように粉砕した材料を乾燥して、平均粒径0.6μmの粉体を得た(ステップS16)。また、その粉体をX線回折により観察したところ、スピネル単相となっていることを確認した。このことは、得られた粉体が高い透磁率を持っていることを意味する。
【0026】
次に、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料の製造工程について説明する。図2は、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料の製造工程を示すフローチャートである。同図のステップS21では、図1に示す工程によって得られたLi−Cu−Znフェライト粉体に、PVA5重量パーセント+ポリプロピレングリコール5重量パーセントの水溶液を加えて造粒し、続くステップS22で成形する。
【0027】
ここでの成形圧は、例えば、2000kg/cm2のプレス圧力を使用し、それによって、φ10mm×2mm厚のペレット型成形品を得る。
【0028】
ステップS23において、上記の成形品を焼成する。具体的には、成形品を200℃/時間で昇温させ、900℃で2時間、保持した後、200℃/時間で降温するという温度サイクルによって、焼成品を得た。なお、焼成温度は、900℃に限定されず、例えば、850〜930℃としてもよい。
【0029】
ステップS24では、得られた焼成品の磁気特性を測定するための試料を作成する(焼成品の加工)。すなわち、焼成品を所定形状(例えば、φ7mm×φ3mm×1mm厚のトロイダルコア型)に切削して、磁気特性測定用試料を得た。そして、ステップS25において、その加工品について、後述する方法で磁気特性を測定する。
【0030】
他方、ステップS28において、上述したペレット型成形品を焼成したペレット焼成品の端面に、例えば、銀(Ag)電極ペーストを焼き付けて、抵抗率測定用試料を作製する。続くステップS29では、後述する方法で抵抗率を測定する。
【0031】
次に、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料の材料組成と、得られた焼成品の特性について説明する。表1、および表2は、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料(実施例1〜50)の具体的な材料組成比と、焼成によって得られた焼成品の電気的特性等を示している。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
本実施の形態例では、得られた酸化物磁性材料の複素透磁率(μ=μ’+jμ’’)の周波数特性を、ネットワークアナライザ、およびインピーダンスアナライザを使用して1kHz〜6GHzまで測定した。抵抗率については、絶縁抵抗計を用いて測定した。なお、表1、および表2に示す透磁率μ’は、1MHzにおける複素透磁率の実部の値である。
【0035】
また、表1、および表2において、軟磁性を示す試料については、「磁気特性の判定」の欄に○印を付し、抵抗率が108Ω・cm以上の試料に対して、「抵抗率の判定」の欄に○印を付してある。本実施の形態例では、「磁気特性の判定」、あるいは「抵抗率の判定」、あるいは「低温焼結の判定」のいずれかの欄に×印が付された実施例(試料)については、本発明が目的とする特性を有する酸化物磁性材料ではないとして、除外した。
【0036】
表1、および表2に示す実施例1〜50は、Liを一部Cuで置換した組成、Znを一部Cuで置換した組成、Li/Zn比を一定としてCuを加えた組成それぞれにおいて、低温焼結化を実現したときの特性である。また、Feの一部をMnで置き換えることにより、108Ω・cm以上の高抵抗率化を実現できた。
【0037】
具体的には、実施例1〜9の試料は、その組成比において、上記の式(2)において、a=0および/またはy=0としたときのフェライト、つまり、銅および/またはマンガンを含まないフェライトである。それらのうち、実施例1,3の試料は、900℃での焼結を実現できず、かつ、抵抗率も低かった。実施例2は、900℃での焼結が実現できなかった。また、実施例4〜9は、その組成全域において抵抗率が105Ω・cmと低かった。
【0038】
実施例10,15,22は、a=0.02としたときのフェライト、つまり、銅の添加量が少なく、900℃での低温焼結を実現できなかった。逆に、実施例14,21,26については、銅が過剰添加(a=0.40)となり、透磁率の著しい低下が起った。
【0039】
一方、実施例45は、Mnの添加量が少なく、低抵抗率(107Ω・cm)であった。また、実施例50のフェライトは、Mnの過剰添加となり、透磁率の低下が著しかった。結局、表1、および表2において、試料番号を太字で示した実施例11〜13,16〜20,23〜25,27〜44、そして、46〜49については、その抵抗率が108Ω・cm以上あり、良好な軟磁性特性を示すとともに、900℃での低温焼結化を実現できた。
【0040】
本実施の形態例では、Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%))で表されるLi−Znフェライトにおいて、その一部をCuおよびMnで置換した試料は、抵抗率が高いだけでなく、900℃という低温焼結が可能となる。これは、かかる試料(酸化物粉体の合成粉)が、Ag内部導体と同時焼成できる酸化物磁性材料であることを意味している。
【0041】
図3は、表1、表2に示した実施例のうち、実施例2,15,16,18,20の収縮曲線である。同図の横軸が焼結温度、縦軸が収縮率である。本実施の形態例では、図3に示すように、被試験材料系において吸水がなくなって緻密化したと考えられる、14%以上の収縮率が900℃以下で発生した場合を焼結と判断した。
【0042】
実施例2は、表1に示すようにa=0、すなわち、銅を含有しないLi−Znフェライト材料であり、図3に示すように、その焼結温度は、1150℃程度である。しかし、図3の実施例15,16,18,20から分かるように、かかるフェライト材料への銅の添加により、300℃の温度低下、つまり、低温焼結化が実現できたことになる。これにより、例えば、銅添加材料による積層電子部品等の製造において、融点が約960℃のAgとの同時焼成が可能となる。
【0043】
図4は、表1、表2に示す実施例のうち、実施例2(Li−Znフェライト)、および、実施例12,30,32(Li−Cu−Znフェライト)各々の複素透磁率(μ=μ’+jμ’’)の実部μ’の周波数特性(周波数スペクトル)である。
【0044】
上述したように、Li−Cu−Znフェライトは、その焼結温度が低いため、極端な粒成長を伴わない焼結になること、および、抵抗率がLi−Znフェライトよりも、さらに1桁大きい109Ω・cmで推移している。このため、図4に示すように、Li−Cu−Znフェライトのスヌークの限界線が、Li−Znフェライトよりも高周波側へシフトしている。これは、Li−Cu−Znフェライトが、より高周波部品用の材料に適していることを意味する。
【0045】
一方、Li−Znフェライトは、高温で焼結されたため焼結体における粒子径が大きく、磁壁が多い、特に影響を受ける高透磁率の実施例において、図4に示すように、スヌークの限界線が、Li−Cu−Znフェライトよりも低周波側にある。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態例によれば、一般式Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%))で表されるフェライトにおいて、その一部をCuおよびMnで置換して、Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%)、0.13<y<0.80(5〜25mol%)、0<z<0.90(0〜90mol%)、0.02<a<0.40(2〜40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表される酸化物磁性材料とすることで、低温焼結が可能なLi−Cu−Znフェライトを作製することができる。
【0047】
従って、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料により、例えば、積層電子部品の製造の際、900℃程度の温度で、磁性材料とAg内部導体との同時焼成ができる。
【0048】
また、磁歪定数と応力の影響についてLi−ZnフェライトとNi−Znフェライトとの関係が、そのままLi−Cu−ZnフェライトとNi−Cu−Znフェライトにおいても成り立つため、本実施の形態例に係るLi−Cu−Znフェライトも、例えば、積層電子部品製造における内部電極との間に発生する内部応力や、実装における応力の影響を受けにくいという効果がある。
【0049】
その結果、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料が、Ni等の人体および環境に有害な物質を含有せず、かかる材料により、従前のNi−Cu−Znフェライトと同等、あるいはそれ以上の磁気特性を示す、低温焼結性の酸化物磁性材料を提供することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、環境に悪影響を与える物質を含有せず、かつ、低温焼結が可能な酸化物磁性材料、およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例に係るLi−Cu−Znフェライト粉体の製造工程を示すフローチャートである。
【図2】実施の形態例に係る酸化物磁性材料の製造工程を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態例に係る実施例(Li−Cu−Znフェライト)の一部についての収縮曲線を示す図である。
【図4】実施の形態例に係る実施例(Li−Cu−Znフェライト)の一部について、その複素透磁率の実部の周波数スペクトルを示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、積層電子部品等に使用する磁性材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェライトは、多くの電子産業で使用されており、特に高周波機器には、フェライトが不可欠の電子材料となっている。フェライトは酸化鉄を主成分とするため、電気抵抗が金属よりもはるかに大きく、渦電流の影響がほとんどないため、安定した磁気特性を高い周波領域まで保持する。
【0003】
積層フェライト部品として、従来より、銀(Ag)内部導体と同時焼成できる低温焼結型酸化物磁性材料であるニッケル−銅−亜鉛(Ni−Cu−Zn)フェライトが用いられている。しかし、近年において、EU諸国やアメリカ合衆国の一部の州において、厳しい環境規制が行われ、Ni−Cu−Znフェライトに含まれるNiが、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr)等、人体への悪影響が明らかになっている重金属元素に継ぐ、特定有害物質として認知される可能性がある。
【0004】
一方、軟磁性を持つとともに、Niを含まず、かつ、Ni−Cu−Znフェライトと同等、あるいはそれ以上の磁気特性を発揮する磁性材料として、Li−Cu−Znフェライトが考えられる。なお、Ni−Cu−Znフェライトは、Li−Cu−Znフェライトよりも磁歪定数が大きく、応力の影響を受けやすい(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Li系フェライトは、本来的にソフトフェライトでありながら角型ヒステリシス性を持ち、ソフトフェライトとしての電子部品への用途が限られている。Li系フェライトは、その原料であるLi2CO3の水溶性に起因する製造上の問題や、誘電体損失が大きい等の問題がある(例えば、非特許文献2参照)。
【0006】
また、Li−Znフェライトは、焼結中にLiが蒸発することが原因となって、本来その抵抗率が低く、漏れ電流や渦電流損失が発生するため、例えば、積層部品としての用途には不向きであるという問題もある。
【0007】
Liを含むフェライトについて、例えば、特許文献1では、Liを含むフェライトが高抵抗率を示すとされているが、同文献に記載されたNi−Cu−Znフェライトの場合、Li2Oを添加することで、Liによってフェライトの磁気損失が低下し、結果として高抵抗率を示すとしているだけである。
【0008】
また、特許文献2は、酸化リチウム(Li2O)を含有させることで低温焼成(例えば、850℃、900℃)が可能なフェライト焼結体等を開示しているが、かかる焼結体は、透磁率や機械的な強度において優れた特性を有していても、同文献内には抵抗率についての直接的な言及がない。
【0009】
【非特許文献1】
近角聡信他、「磁性体ハンドブック」、朝倉書店、第9版、1990年、pp.850−854
【非特許文献2】
橋本忠士、「マイクロ波フェライトとその応用技術」、総合電子出版、第1版、1997年、pp.23−25
【特許文献1】
特開2000−269017号公報
【特許文献2】
特公平6−30297号公報
【0010】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、低温焼結ができる低温焼結材料としての磁性材料およびその製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、人体および環境に悪影響を与える物質を含有せず、従前のフェライトと同等、あるいはそれ以上の磁気特性を示す磁性材料およびその製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として、本発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、磁性材料であって、少なくともリチウム(Li)と、亜鉛(Zn)と、銅(Cu)と、鉄(Fe)と、マンガン(Mn)の酸化物粉体または炭酸塩粉体を含む化合物粉体を、一般式Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%)、0.13<y<0.80(5〜25mol%)、0<z<0.90(0〜90mol%)、0.02<a<0.40(2〜40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表される組成比で混合してなることを特徴とする。
【0013】
また、例えば、上記リチウム化合物は、少なくとも炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化リチウム(Li2O)のいずれかよりなり、上記亜鉛化合物は、少なくとも酸化亜鉛(ZnO)よりなり、上記銅化合物は、少なくとも酸化第二銅(CuO)よりなり、上記鉄化合物は、少なくとも酸化第二鉄(Fe2O3)よりなり、上記マンガン化合物は、少なくとも一酸化マンガン(MnO)と二酸化マンガン(MnO2)と三酸化二マンガン(Mn2O3)と四酸化三マンガン(Mn3O4)のいずれかよりなることを特徴とする。
【0014】
上述した課題を解決する一手段として、他の発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、磁性材料であって、一般式Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%))で表されるフェライトの一部をCuおよびMnで置換して、一般式Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%)、0.13<y<0.80(5〜25mol%)、0<z<0.90(0〜90mol%)、0.02<a<0.40(2〜40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表されるLi−Cu−Znフェライトとしたことを特徴とする。
【0015】
さらには、上述した課題を解決する一手段として、他の発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、磁性材料の製造方法であって、少なくともリチウム(Li)と、亜鉛(Zn)と、銅(Cu)と、鉄(Fe)と、マンガン(Mn)の酸化物粉体または炭酸塩粉体を含む化合物粉体を、一般式Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%)、0.13<y<0.80(5〜25mol%)、0<z<0.90(0〜90mol%)、0.02<a<0.40(2〜40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表される組成比で混合するステップと、上記混合された材料を850〜930℃の温度範囲で焼結するステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面、および表を参照して、本発明に係る実施の形態例を詳細に説明する。最初に、本実施の形態例に係る磁性体材料(酸化物磁性材料)に使用する粉体、およびその組成比について、具体的な化学式を使用して説明する。
【0017】
Li−Znフェライトとして、下記の一般式(1)で表されるフェライトは、軟磁性を示す磁性材料であり、人体等に有害といわれるNiを含まない。
【0018】
x(Li0.5Fe2.5O4)−(1−x)(ZnFe2O4)=Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4 …(1)
ここで、0.10<x<1.00(10〜100mol%)である。
【0019】
本実施の形態例では、上記の化学式(1)において、その一部をCuおよびMnで置換し、以下の式(2)で表されるフェライト(酸化物磁性材料)を作製する。
【0020】
Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4 …(2)
ここで、0.10<x<1.00(10〜100mol%)
0.13<y<0.80(5〜25mol%)
0<z<0.90(0〜90mol%)
0.02<a<0.40(2〜40mol%)
0.5x+z+a≒1
である。
【0021】
図1は、本実施の形態例に係るLi−Cu−Znフェライト粉体の製造工程を示すフローチャートである。本実施の形態例では、Li−Cu−Znフェライト粉体を作製する最初の工程として、図1のステップS11において、以下に示す材料の秤量を行う。
【0022】
例えば、炭酸リチウム(Li2CO3)あるいは酸化リチウム(Li2O)等のリチウム化合物、酸化亜鉛(ZnO)等の亜鉛化合物、酸化第二銅(CuO)あるいは酸化第一銅(Cu2O)等の銅化合物、酸化第二鉄(Fe2O3)あるいは酸化第一鉄(FeO)あるいは四酸化三鉄(Fe3O4)等の鉄化合物、そして、四酸化三マンガン(Mn3O4)等のマンガン化合物を、上記の式(2)に対して、表1、および表2に示す組成比(x,y,z,aで示す)となるように秤量する。
【0023】
続くステップS12において、組成物の混合を行う。具体的には、上記のステップで秤量した組成物を、例えば、鉄製乾式アトライターに入れ、回転数100rpmで6時間、混合する。
【0024】
ステップS13で、上記の工程で混合された材料を乾燥し、続くステップS14において、乾燥して得られた混合粉を仮焼する。この仮焼は、例えば、温度がT=750〜800℃で、t=3時間行う。なお、ステップS13の乾燥工程は、省略してもよい。そして、続くステップS15において、仮焼粉を、鉄球メディアを入れた0.7L鉄製ボールミルに入れ、例えば、純水溶媒において、回転数130rpmで24時間、粉砕する。
【0025】
本実施の形態例では、このように粉砕した材料を乾燥して、平均粒径0.6μmの粉体を得た(ステップS16)。また、その粉体をX線回折により観察したところ、スピネル単相となっていることを確認した。このことは、得られた粉体が高い透磁率を持っていることを意味する。
【0026】
次に、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料の製造工程について説明する。図2は、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料の製造工程を示すフローチャートである。同図のステップS21では、図1に示す工程によって得られたLi−Cu−Znフェライト粉体に、PVA5重量パーセント+ポリプロピレングリコール5重量パーセントの水溶液を加えて造粒し、続くステップS22で成形する。
【0027】
ここでの成形圧は、例えば、2000kg/cm2のプレス圧力を使用し、それによって、φ10mm×2mm厚のペレット型成形品を得る。
【0028】
ステップS23において、上記の成形品を焼成する。具体的には、成形品を200℃/時間で昇温させ、900℃で2時間、保持した後、200℃/時間で降温するという温度サイクルによって、焼成品を得た。なお、焼成温度は、900℃に限定されず、例えば、850〜930℃としてもよい。
【0029】
ステップS24では、得られた焼成品の磁気特性を測定するための試料を作成する(焼成品の加工)。すなわち、焼成品を所定形状(例えば、φ7mm×φ3mm×1mm厚のトロイダルコア型)に切削して、磁気特性測定用試料を得た。そして、ステップS25において、その加工品について、後述する方法で磁気特性を測定する。
【0030】
他方、ステップS28において、上述したペレット型成形品を焼成したペレット焼成品の端面に、例えば、銀(Ag)電極ペーストを焼き付けて、抵抗率測定用試料を作製する。続くステップS29では、後述する方法で抵抗率を測定する。
【0031】
次に、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料の材料組成と、得られた焼成品の特性について説明する。表1、および表2は、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料(実施例1〜50)の具体的な材料組成比と、焼成によって得られた焼成品の電気的特性等を示している。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
本実施の形態例では、得られた酸化物磁性材料の複素透磁率(μ=μ’+jμ’’)の周波数特性を、ネットワークアナライザ、およびインピーダンスアナライザを使用して1kHz〜6GHzまで測定した。抵抗率については、絶縁抵抗計を用いて測定した。なお、表1、および表2に示す透磁率μ’は、1MHzにおける複素透磁率の実部の値である。
【0035】
また、表1、および表2において、軟磁性を示す試料については、「磁気特性の判定」の欄に○印を付し、抵抗率が108Ω・cm以上の試料に対して、「抵抗率の判定」の欄に○印を付してある。本実施の形態例では、「磁気特性の判定」、あるいは「抵抗率の判定」、あるいは「低温焼結の判定」のいずれかの欄に×印が付された実施例(試料)については、本発明が目的とする特性を有する酸化物磁性材料ではないとして、除外した。
【0036】
表1、および表2に示す実施例1〜50は、Liを一部Cuで置換した組成、Znを一部Cuで置換した組成、Li/Zn比を一定としてCuを加えた組成それぞれにおいて、低温焼結化を実現したときの特性である。また、Feの一部をMnで置き換えることにより、108Ω・cm以上の高抵抗率化を実現できた。
【0037】
具体的には、実施例1〜9の試料は、その組成比において、上記の式(2)において、a=0および/またはy=0としたときのフェライト、つまり、銅および/またはマンガンを含まないフェライトである。それらのうち、実施例1,3の試料は、900℃での焼結を実現できず、かつ、抵抗率も低かった。実施例2は、900℃での焼結が実現できなかった。また、実施例4〜9は、その組成全域において抵抗率が105Ω・cmと低かった。
【0038】
実施例10,15,22は、a=0.02としたときのフェライト、つまり、銅の添加量が少なく、900℃での低温焼結を実現できなかった。逆に、実施例14,21,26については、銅が過剰添加(a=0.40)となり、透磁率の著しい低下が起った。
【0039】
一方、実施例45は、Mnの添加量が少なく、低抵抗率(107Ω・cm)であった。また、実施例50のフェライトは、Mnの過剰添加となり、透磁率の低下が著しかった。結局、表1、および表2において、試料番号を太字で示した実施例11〜13,16〜20,23〜25,27〜44、そして、46〜49については、その抵抗率が108Ω・cm以上あり、良好な軟磁性特性を示すとともに、900℃での低温焼結化を実現できた。
【0040】
本実施の形態例では、Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%))で表されるLi−Znフェライトにおいて、その一部をCuおよびMnで置換した試料は、抵抗率が高いだけでなく、900℃という低温焼結が可能となる。これは、かかる試料(酸化物粉体の合成粉)が、Ag内部導体と同時焼成できる酸化物磁性材料であることを意味している。
【0041】
図3は、表1、表2に示した実施例のうち、実施例2,15,16,18,20の収縮曲線である。同図の横軸が焼結温度、縦軸が収縮率である。本実施の形態例では、図3に示すように、被試験材料系において吸水がなくなって緻密化したと考えられる、14%以上の収縮率が900℃以下で発生した場合を焼結と判断した。
【0042】
実施例2は、表1に示すようにa=0、すなわち、銅を含有しないLi−Znフェライト材料であり、図3に示すように、その焼結温度は、1150℃程度である。しかし、図3の実施例15,16,18,20から分かるように、かかるフェライト材料への銅の添加により、300℃の温度低下、つまり、低温焼結化が実現できたことになる。これにより、例えば、銅添加材料による積層電子部品等の製造において、融点が約960℃のAgとの同時焼成が可能となる。
【0043】
図4は、表1、表2に示す実施例のうち、実施例2(Li−Znフェライト)、および、実施例12,30,32(Li−Cu−Znフェライト)各々の複素透磁率(μ=μ’+jμ’’)の実部μ’の周波数特性(周波数スペクトル)である。
【0044】
上述したように、Li−Cu−Znフェライトは、その焼結温度が低いため、極端な粒成長を伴わない焼結になること、および、抵抗率がLi−Znフェライトよりも、さらに1桁大きい109Ω・cmで推移している。このため、図4に示すように、Li−Cu−Znフェライトのスヌークの限界線が、Li−Znフェライトよりも高周波側へシフトしている。これは、Li−Cu−Znフェライトが、より高周波部品用の材料に適していることを意味する。
【0045】
一方、Li−Znフェライトは、高温で焼結されたため焼結体における粒子径が大きく、磁壁が多い、特に影響を受ける高透磁率の実施例において、図4に示すように、スヌークの限界線が、Li−Cu−Znフェライトよりも低周波側にある。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態例によれば、一般式Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%))で表されるフェライトにおいて、その一部をCuおよびMnで置換して、Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10〜100mol%)、0.13<y<0.80(5〜25mol%)、0<z<0.90(0〜90mol%)、0.02<a<0.40(2〜40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表される酸化物磁性材料とすることで、低温焼結が可能なLi−Cu−Znフェライトを作製することができる。
【0047】
従って、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料により、例えば、積層電子部品の製造の際、900℃程度の温度で、磁性材料とAg内部導体との同時焼成ができる。
【0048】
また、磁歪定数と応力の影響についてLi−ZnフェライトとNi−Znフェライトとの関係が、そのままLi−Cu−ZnフェライトとNi−Cu−Znフェライトにおいても成り立つため、本実施の形態例に係るLi−Cu−Znフェライトも、例えば、積層電子部品製造における内部電極との間に発生する内部応力や、実装における応力の影響を受けにくいという効果がある。
【0049】
その結果、本実施の形態例に係る酸化物磁性材料が、Ni等の人体および環境に有害な物質を含有せず、かかる材料により、従前のNi−Cu−Znフェライトと同等、あるいはそれ以上の磁気特性を示す、低温焼結性の酸化物磁性材料を提供することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、環境に悪影響を与える物質を含有せず、かつ、低温焼結が可能な酸化物磁性材料、およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例に係るLi−Cu−Znフェライト粉体の製造工程を示すフローチャートである。
【図2】実施の形態例に係る酸化物磁性材料の製造工程を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態例に係る実施例(Li−Cu−Znフェライト)の一部についての収縮曲線を示す図である。
【図4】実施の形態例に係る実施例(Li−Cu−Znフェライト)の一部について、その複素透磁率の実部の周波数スペクトルを示す図である。
Claims (4)
- 少なくともリチウム(Li)と、亜鉛(Zn)と、銅(Cu)と、鉄(Fe)と、マンガン(Mn)の酸化物粉体または炭酸塩粉体を含む化合物粉体を、一般式Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10乃至100mol%)、0.13<y<0.80(5乃至25mol%)、0<z<0.90(0乃至90mol%)、0.02<a<0.40(2乃至40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表される組成比で混合してなることを特徴とする磁性材料。
- 前記リチウム化合物は、少なくとも炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化リチウム(Li2O)のいずれかよりなり、前記亜鉛化合物は、少なくとも酸化亜鉛(ZnO)よりなり、前記銅化合物は、少なくとも酸化第二銅(CuO)よりなり、前記鉄化合物は、少なくとも酸化第二鉄(Fe2O3)よりなり、前記マンガン化合物は、少なくとも一酸化マンガン(MnO)と二酸化マンガン(MnO2)と三酸化二マンガン(Mn2O3)と四酸化三マンガン(Mn3O4)のいずれかよりなることを特徴とする請求項1記載の磁性材料。
- 一般式Li0.5xZn1−xFe2+0.5xO4(0.10<x<1.00(10乃至100mol%))で表されるフェライトの一部をCuおよびMnで置換して、一般式Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10乃至100mol%)、0.13<y<0.80(5乃至25mol%)、0<z<0.90(0乃至90mol%)、0.02<a<0.40(2乃至40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表されるLi−Cu−Znフェライトとしたことを特徴とする磁性材料。
- 少なくともリチウム(Li)と、亜鉛(Zn)と、銅(Cu)と、鉄(Fe)と、マンガン(Mn)の酸化物粉体または炭酸塩粉体を含む化合物粉体を、一般式Li0.5xZnzCuaFe2+0.5x−yMnyO4(0.10<x<1.00(10乃至100mol%)、0.13<y<0.80(5乃至25mol%)、0<z<0.90(0乃至90mol%)、0.02<a<0.40(2乃至40mol%)、0.5x+z+a≒1)で表される組成比で混合するステップと、
前記混合された材料を850乃至930℃の温度範囲で焼結するステップとを備えることを特徴とする磁性材料の製造方法。
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