JP2010238866A - 発光装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金型にガラス材が付着したり、ガラス材の上面が所期形状に対し変形することのない発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】搭載部3上の発光素子2がガラス材60により封止される発光装置の製造方法であって、ガラス材60の上面にガラス材60よりも融点が高い非ガラス材のコート膜7を形成するコート膜形成工程と、コート膜7を介してガラス材60の上面に金型92の成型面92aを接触させるとともにガラス材60の下面を搭載部3に接触させてガラス材60を加熱により軟化させて搭載部3上の発光素子2を封止する封止工程と、を含むようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、搭載部上の発光素子が金型を用いてガラスにより封止される発光装置の製造方法に関する。
搭載部上の発光素子がガラスにより封止された発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の発光装置は、GaN系半導体化合物からなるフリップチップタイプのLED素子と、LED素子と電気的に接続される配線層を有する基板と、LED素子を封止して基板の表面に接着されるガラス封止部と、ガラス封止部の表面を覆うAlのコート膜と、を有している。コート膜の材質としては、Alの他に、SiO、SiN、MgF等を用いても良いとされている。
この発光装置は、基板に回路パターンを形成する配線形成工程、基板の回路パターンにLED素子をフリップ実装するLED素子実装工程、板状の低融点ガラス基板3に対して平行にセットする低融点ガラス準備工程、低融点ガラスのホットプレス加工を行い、プレス金型の形状に応じた光学形状部を有するガラス封止部を成形するガラス封止工程と、ガラス封止部の表面を覆うようにスパッタリング処理を行ってコート膜を形成するコート膜形成工程と、を経て製造される。
特開2006−202962号公報
ところで、特許文献1に記載の発光装置を製造するにあたり、ガラス封止部の上面と密着する金型を用いてプレス成形すると、金型をガラス材から離隔する際に金型にガラス材が付着し、ガラス封止部の上面の形状が所期形状に対して変形するおそれがある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金型にガラス材が付着したり、ガラス材の上面が所期形状に対し変形することのない発光装置の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明では、搭載部上の発光素子がガラス材により封止される発光装置の製造方法であって、前記ガラス材の上面に、当該ガラス材の軟化点よりも融点が高い非ガラス材のコート膜を形成するコート膜形成工程と、前記コート膜を介して前記ガラス材の上面に金型の成型面を接触させるとともに、当該ガラス材の下面を前記搭載部に接触させて、前記ガラス材を加熱により軟化させて前記搭載部上の前記発光素子を封止する封止工程と、を含む発光装置の製造方法が提供される。
上記発光装置の製造方法において、前記コート膜は、前記ガラス材の軟化点よりも融点が100℃以上高くてもよい。
上記発光装置の製造方法において、前記金型の成型面は、湾曲形状を有してもよい。
上記発光装置の製造方法において、前記コート膜形成工程の前に、前記ガラス材の上面を予め湾曲させるプレ成型工程を含み、前記コート膜形成工程にて、湾曲した前記ガラス材の上面に前記コート膜を形成してもよい。
上記発光装置の製造方法において、前記コート膜形成工程にて、前記コート膜は蒸着により形成されてもよい。
上記発光装置の製造方法において、前記コート膜形成工程にて、前記コート膜はゾルゲル法により形成されてもよい。
本発明によれば、金型にガラス材が付着したり、ガラス材の上面が所期形状に対し変形することはない。
図1は本発明の一実施形態を示す発光装置の概略縦断面図である。 図2はガラス材の封止加工前の状態を示す模式説明図である。 図3はガラス材の封止加工時の状態を示す模式説明図である。 図4は作製された中間体の平面図である。 図5は変形例を示すものであり、ガラス材の封止加工前の状態を示す模式説明図である。 図6は変形例を示すものであり、ガラス材の封止加工前の状態を示す模式説明図である。 図7は変形例を示すものであり、ガラス材の封止加工時の状態を示す模式説明図である。 図8は変形例を示す発光装置の概略縦断面図である。 図9は変形例を示すものであり、ガラス材の封止加工時の状態を示す模式説明図である。 図10は変形例を示す中間体の平面図である。 図11は変形例を示す発光装置の概略縦断面図である。 図12は変形例を示す中間体の平面図である。 図13は変形例を示す発光装置の概略縦断面図である。 図14は変形例を示す中間体の平面図である。 図15は発光装置の使用例を示す光源装置の概略縦断面図である。
図1から図4は本発明の一実施形態を示し、図1は発光装置の概略縦断面図である。
図1に示すように、この発光装置1は、フリップチップ型のGaN系半導体材料からなるLED素子2と、LED素子2を搭載する配線基板3と、配線基板3に形成されタングステン(W)−ニッケル(Ni)−金(Au)で構成される回路パターン4と、LED素子2を封止するとともに配線基板3と接着されるガラス封止部6と、ガラス封止部6の上面に形成されたコート膜7と、を有する。また、LED素子2と配線基板3との間には、ガラスがまわりこまない中空部5が形成されている。本実施形態においては、配線基板3および回路パターン4が、LED素子2を搭載しLED素子2へ電力を供給するための搭載部を構成している。
発光素子としてのLED素子2は、サファイア(Al)からなる成長基板の表面に、III族窒化物系半導体をエピタキシャル成長させることにより、バッファ層と、n型層と、MQW層と、p型層とがこの順で形成されている。このLED素子2は、700℃以上でエピタキシャル成長され、その耐熱温度は600℃以上であり、後述する低融点の熱融着ガラスを用いた封止加工における加工温度に対して安定である。また、LED素子2は、p型層の表面に設けられるp側電極と、p側電極上に形成されるp側パッド電極と、を有するとともに、p型層からn型層にわたって一部をエッチングすることにより露出したn型層に形成されるn側電極を有する。p側パッド電極とn側電極には、それぞれAuバンプ28が形成される。
p側電極は、例えばロジウム(Rh)からなり、発光層としてのMQW層から発せられる光を成長基板の方向に反射する光反射層として機能する。尚、p側電極の材質は適宜変更が可能である。本実施形態においては、p側電極上には2点のp側パッド電極が形成され、各p側パッド電極にAuバンプ28が形成される。尚、p側パッド電極は例えば3点であってもよく、p側電極上に形成するp側パッド電極の個数は適宜変更が可能である。
n側電極は、同一エリアにコンタクト層とパッド層とが形成されている。n側電極は、Al層と、このAl層を覆う薄膜状のNi層と、Ni層の表面を覆うAu層によって形成されている。尚、n側電極の材質は適宜変更が可能である。本実施形態においては、平面視にて、n側電極がLED素子2の隅部に形成され、p側電極がn側電極の形成領域を除いてほぼ全面的に形成されている。
LED素子2は、厚さ100μmで346μm角に形成されており、熱膨張率は7×10−6/℃である。ここで、LED素子2のGaN層の熱膨張率は5×10−6/℃であるが、大部分を占めるサファイアからなる成長基板の熱膨張率が7×10−6/℃であるため、LED素子2本体の熱膨張率は成長基板の熱膨張率と同等となっている。尚、各図においてはLED素子2の各部の構成を明確にするために実寸と異なるサイズで各部を示している。
配線基板3は、アルミナ(Al)の多結晶焼結材料からなり、厚さ0.25mmで1.0mm角に形成されており、熱膨張率αが7×10−6/℃である。図1に示すように、配線基板3の回路パターン4は、基板表面に形成されてLED素子2と電気的に接続される表面パターン41と、基板裏面に形成されて外部端子と接続可能な裏面パターン42と、を有している。表面パターン41は、LED素子2の電極形状に応じてパターン形成されたW層4aと、W層4aの表面を覆う薄膜状のNi層4bと、Ni層4bの表面を覆う薄膜状のAu層4cと、を含んでいる。裏面パターン42は、後述する外部接続端子44に応じてパターン形成されたW層4aと、W層4aの表面を覆う薄膜状のNi層4bと、Ni層4bの表面を覆う薄膜状のAu層4cと、を含んでいる。表面パターン41と裏面パターン42は、配線基板3を厚さ方向に貫通するビアホール3aに設けられWからなるビアパターン43により電気的に接続されている。外部接続端子44はアノード側とカソード側で1つずつ設けられる。各外部接続端子44は、配線基板3に平面視にて対角に配されている。
ガラス封止部6は、ZnO−B−SiO−Nb−NaO−LiO系の熱融着ガラスからなる。尚、ガラスの組成はこれに限定されるものではなく、例えば、熱融着ガラスは、LiOを含有していなくてもよいし、任意成分としてZrO、TiO等を含んでいてもよい。この熱融着ガラスは、ガラス転移温度(Tg)が490℃で、屈伏点(At)が520℃であり、軟化点が545℃であり、LED素子2のエピタキシャル成長層の形成温度よりも、ガラス転移温度(Tg)が十分に低くなっている。本実施形態においては、エピタキシャル成長層の形成温度よりも、ガラス転移温度(Tg)が200℃以上低くなっている。また、熱融着ガラスの100℃〜300℃における熱膨張率(α)は6×10−6/℃である。熱膨張率(α)は、ガラス転移温度(Tg)を超えるとこれより大きな数値となる。これにより、熱融着ガラスは約550℃で配線基板3と接着し、ホットプレス加工が可能となっている。また、ガラス封止部6の熱融着ガラスの屈折率は1.7である。
また、熱融着ガラスの組成は、ガラス転移温度(Tg)がLED素子2の耐熱温度よりも低く、熱膨張率(α)が配線基板3と同等であれば任意である。ガラス転移温度が比較的低く、熱膨張率が比較的小さいガラスとしては、例えば、ZnO−SiO−RO系(RはLi、Na、K等のI族の元素から選ばれる少なくとも1種)のガラス、リン酸系のガラス及び鉛ガラスが挙げられる。これらのガラスでは、ZnO−SiO−RO系のガラスが、リン酸系のガラスに比して耐湿性が良好で、鉛ガラスのように環境的な問題が生じることがないので好適である。
ここで、熱融着ガラスとは加熱により軟化状態として成形したガラスであり、ゾルゲル法により成形されるガラスと異なる。ゾルゲルガラスでは成形時の体積変化が大きいのでクラックが生じやすくガラスによる厚膜を形成することが困難であるところ、熱融着ガラスはこの問題点を回避することができる。また、ゾルゲルガラスでは細孔を生じるので気密性を損なうことがあるが、熱融着ガラスはこの問題点を生じることもなく、LED素子2の封止を的確に行うことができる。
また、熱融着ガラスは、一般に、樹脂において高粘度といわれるレベルより、桁違いに高い粘度で加工される。さらに、ガラスの場合には、屈伏点を数十℃超えても粘度が一般の樹脂封止レベルまで低くはならない。また、一般の樹脂成型時レベルの粘度にしようとすると、LED素子の結晶成長温度を超える温度を要するものとなるため、10ポアズ以上で加工することが好ましい。
図1に示すように、ガラス封止部6は、発光素子2及び配線基板3を全面的に覆い、最大厚さが0.5mmとなっている。ガラス封止部6は、上方へ凸の湾曲面をなす上面6aと、上面6aの下端から配線基板3と平行に延びる平坦面6bと、を有している。本実施形態においては、配線基板3の表面は、全てガラス封止部6により覆われている。
コート膜7は、透明な非ガラス材から構成され、ガラス封止部6の上面に全面的に形成されている。コート膜7は、ガラス封止部6のガラス材の軟化点よりも融点が高い材料により構成される。本実施形態においては、コート膜7の融点は、ガラス材の軟化点よりも100℃以上高くなっている。本実施形態においては、コート膜7は、アルミナ(Al)により構成され、融点が2050℃であり、膜厚が0.1μmである。尚、コート膜7の材料は任意であり、例えば、SiO(融点:1600℃)、TiO(融点:1870℃)、ZrO(融点:2700℃)、MgO(融点:2800℃)、Y(融点:2410℃)等の他の透明酸化物であってもよいし、例えばMgF(融点:1248℃)のような透明フッ化物であってもよい。
以上のように構成される発光装置1は、以下の工程を経て製造される。
まず、ガラス成分の酸化物粉末を1200℃に加熱し、溶融状態で撹拌する。そして、ガラス材60を固化した後、ガラス封止部6の最大厚さに対応するようスライスして板状に加工する(板状加工工程)。この後、ガラス材60の上面に、アルミナのコート膜7を形成する(コート膜形成工程)。本実施形態においては、コート膜7は蒸着により形成され、具体的にはスパッタリングにより形成される。尚、コート膜7の蒸着は、スパッタリング以外の方法を用いてもよい。さらには、コート膜7を、蒸着以外の方法で形成することもできる。例えば、ガラス材60の上面にアルコキシドを塗布しておき、ゾルゲル法によりコート膜7を形成するようにしてもよい。
一方、ビアホール3aが形成された配線基板3を用意し、配線基板3の表面に回路パターンに応じてWペーストをスクリーン印刷する。次いで、Wペーストを印刷された配線基板3を1000℃余で熱処理することによりWを配線基板3に焼き付け、さらに、W上にNiめっき、Auめっきを施すことで回路パターン4を形成する(パターン形成工程)。
本実施形態においては、配線基板3は、セラミックを焼成した後に、回路パターン4が形成される。これは、焼成前のセラミック(例えばグリーンシート)に回路パターン4を形成してから焼成すると、焼成時及び焼成後の加熱・冷却による熱膨張及び熱収縮に起因し、回路パターン4の精度が悪くなるからである。
尚、焼成されたセラミックに回路パターン4を形成するにあたっては、Wペーストを印刷して熱処理したものに代えて、Cr,Ti等の金属を蒸着したもの、Cu箔を貼り付けた後に所定形状にエッチングしたもの等とし、これにNiめっき及びAuめっきを施すようにしてもよい。
次いで、複数のLED素子2を縦及び横について等間隔で配線基板3に実装する(素子実装工程)。具体的には、配線基板3の回路パターン4の表面パターン41に複数のLED素子2を各Auバンプ28によって電気的に接合する。本実施形態においては、p側2点、n側1点の合計3点のバンプ接合が施される。
図2は、ガラス材の封止加工前の状態を示す模式説明図である。
各LED素子2が搭載された配線基板3の上方に、コート膜7が形成されたガラス材60を配置して、配線基板3及びガラス材60を下側のヒータ91と上側の金型92により上下から挟み込む。ヒータ91は上面91aが平坦に形成され、金型92は成型面92aが湾曲形状を有している。本実施形態においては、金型92に加熱装置が内蔵され、ヒータ91と金型92は独立して温度調整される。
図3は、ガラス材の封止加工時の状態を示す模式説明図である。
次いで、図3に示すように、コート膜7を介してガラス材60の上面に金型92の成型面92aを接触させるとともに、ガラス材60の下面を搭載部3に接触させて、ガラス材60を加熱により軟化させて搭載部3上のLED素子2を封止する(封止工程)。ガラス材60は、ガラス材60の軟化点より高い温度で、コート膜7の融点より低い温度に加熱される。このとき、コート膜7の融点は、ガラス材60の封止温度より低いため、コート膜7が融解して金型92に付着するようなことはない。すなわち、コート膜7の融点は、ガラス材60の封止温度より高いことが必要である。尚、条件にもよるが、ガラス材60は、軟化点より低い温度であっても、例えば屈伏点付近の温度のように、ガラス転移温度より高い温度であれば封止加工が可能である。
また、ガラス封止は、極力低温で行うことがLED素子2のダメージを軽減するために望ましいが、このダメージの影響を無視してもよい場合は、プレス加工が可能な10ポアズ程度までガラス材60を加熱してもよい。このときのガラス材60の封止温度は、軟化点より100℃高い温度となる。この場合、コート膜7の融点は、ガラス材60の軟化点より100℃以上高くなければならない。
また、LED素子2の発光層の結晶成長温度以上でガラス封止を行うと、LED素子2の破壊が生じるので、この条件で発光装置1を製造することはできない。これにより、ガラス封止加工は、LED素子2の発光層の結晶成長温度より低い温度で行われる。従って、コート膜7の融点は、LED素子2の発光層の結晶成長温度より高ければ、確実にガラス封止加工に対応することができる。
本実施形態においては、ヒータ91及び金型92により配線基板3及びガラス材60を加熱しつつ挟圧して、窒素雰囲気中でホットプレス加工を行う。ガラス材60は、配線基板3への配置前に加熱されていてもよいし、配置後に加熱されるようにしてもよい。ガラス材60の上面は、コート膜7とともに、金型92の成型面92aに沿って変形する。
ここで、ホットプレス加工は、各部材に対して不活性な雰囲気中で行えばよく、窒素雰囲気の他に例えば真空中で行うようにしてもよい。以上の工程で、複数の発光装置1が横方向に連結された状態の図3に示すような中間体10が作製される。この後、金型92をガラス封止部6から離隔して、中間体10を取り出す(離隔工程)。
図4は、作製された中間体の平面図である。
図4に示すように、平面視にて、中間体10は四角形状を呈し、各発光装置1のガラス封止部6には湾曲した上面6aが形成され、各ガラス封止部6は平坦面6cが連続的に形成された状態となっている。この後、ガラス封止部6と一体化された配線基板3をダイシング装置にセットして、ガラス封止部6及び配線基板3を各LED素子2ごとに分割するようダイシングして発光装置1が完成する(分割工程)。
以上のように構成された発光装置1では、回路パターン4を通じてLED素子2に電圧が印加されると、LED素子2から青色光が発せられる。LED素子2から発せられた青色光は、ガラス封止部6の上面6aを通じて外部へ放射される。このとき、ガラス封止部6の上面6aは、上方へ凸な湾曲面をなしていることから、LED素子2から斜め上方へ放射される光のガラス封止部6と外部(空気)との界面への入射角を臨界角以内にできるので、平坦面である場合と比べて、光の取り出し効率が向上している。
また、LED素子2の封止加工時に、金型92とガラス材60の間にコート膜7が介在するようにしたので、ガラス材60から金型92を離隔する際に、金型92にガラス材60が付着して上面6aの表面形状が所期形状に対し変形することはない。特に、本実施形態においては、金型92の成型面92aが湾曲しており成型面92aの凹部にガラス材60が付着しやすいため、コート膜7を設けることにより離型性を飛躍的に向上させることができる。従って、ガラス封止部6の上面6aを所期形状として、所望の光学特性を得ることができる。
さらにまた、セラミックを焼成した後に、配線基板3に回路パターン4を形成したので、回路パターン4の位置精度を高くすることができ、回路パターン4と電気的に接続されるLED素子2の位置精度も高くすることができる。この結果、金型92と配線基板3の各回路パターン4との相対的な位置関係のずれを最小限とし、製造される発光装置1のLED素子2とガラス封止部6の上面6aの中心軸とのずれを抑制することができる。尚、LED素子2とガラス封止部6の上面6aとの相対的な位置関係につき、精度が要求されない場合は、配線基板3のセラミックの焼成前に回路パターン4を形成してしまってもよい。
また、ガラス封止部6としてZnO−B−SiO−Nb−NaO−LiO系の熱融着ガラスを用いたので、ガラス封止部6の安定性及び耐候性を良好とすることができる。従って、発光装置1が過酷な環境下等で長期間にわたって使用される場合であっても、ガラス封止部6の劣化が抑制され、光取り出し効率の経時的な低下を効果的に抑制することができる。さらに、ガラス封止部6が高屈折率でかつ高透過率特性のため、高信頼性と高発光効率の両立を実現できる。
また、ガラス封止部6として屈伏点(At)がLED素子2の半導体層のエピタキシャル成長温度より低いガラスを用いたので、ホットプレス時にLED素子2が熱的なダメージにより損なわれることがなく、半導体層の結晶成長温度に対して充分に低い加工が可能である。
さらに、配線基板3とガラス封止部6の熱膨張率が同等であるので、高温で接着された後、常温あるいは低温状態としても剥離、クラック等の接着不良が生じにくい。さらに、一般にガラスはTg点以上の温度において熱膨張率が増大する特性を有しており、Tg点以上の温度でガラス封止が行われる場合には、Tg点以下だけでなくTg点以上の温度における熱膨張率も考慮することが安定したガラス封止を行うにあたり望ましい。すなわち、ガラス封止部6を構成するガラス材は、上記したTg点以上の温度における熱膨張率を含む熱膨張率と、配線基板3の熱膨張率とを考慮した同等の熱膨張率とすることで、配線基板3に反りを発生させる内部応力を小にでき、配線基板3とガラス封止部6との接着性が得られているにもかかわらずガラスのせん断破壊が生じることを防ぐことができる。従って、配線基板3やガラス封止部6のサイズを大きくとり、一括生産できる数量を大にすることができる。また、発明者の確認では、−40℃←→100℃の液相冷熱衝撃試験1000サイクルでも剥離、クラックは生じていない。さらに、5mm×5mmサイズのガラス片のセラミック基板への接合基礎確認として、ガラス、セラミック基板とも種々の熱膨張率の組み合わせで実験を行ったところ、熱膨張率が高い方の部材に対する低い方の部材の熱膨張率の比が0.85以上ではクラックを生じることなく接合が行えることを確認した。部材の剛性やサイズ等にも依存するが、熱膨張率が同等というのは、この程度の範囲を示す。
さらに、LED素子2とガラス封止部6の熱膨張率が同等であるので、配線基板3を含めた部材の熱膨張率が同等となり、ガラス封止における高温加工と常温との温度差においても内部応力は極めて小さく、クラックを生じることのない安定した加工性が得られる。また、内部応力を小にできるので、耐衝撃性が向上し、信頼性に優れるガラス封止型LEDとできる。
配線基板3の表面パターン41は、ビアパターン43により裏面パターン42に引き出されるので、ガラスが不必要な箇所へ入り込むことや、電気端子が覆われること等への特別な対策を要することなく、製造工程を簡略化できる。また、板状の封止前ガラス11を複数のLED素子2に対して一括封止加工できるので、ダイサーカットにより複数の発光装置1を容易に量産することができる。なお、熱融着ガラスは高粘度状態で加工されるため、樹脂のように封止材料の流れ出しに対して充分な対策をとる必要はなく、ビアホールによらなくても外部端子が裏面に引き出されていれば充分に量産対応可能である。
尚、前記実施形態においては、板状のガラス材60にコート膜7を形成し、ガラス材60の上面をコート膜7とともに変形させるものを示したが、例えば図5に示すように、コート膜形成工程の前に、ガラス材60の上面を予め湾曲させるプレ成型工程を含ませ、予めガラス材60の上面を所期形状に成型しておくようにしてもよい。この場合、コート膜7は、ガラス材60の上面の成型後に当該上面に形成される。これにより、封止時におけるガラス材60の上面の変形量を小さくし、コート膜7に加わる応力を小さくすることができる。プレ成型工程における成型は、溶融したガラス材60を型に流し込んで行ってもよいし、板状のガラス材60を金型でプレスして行ってもよい。
さらに、例えば図6に示すように、封止工程の前に、ガラス材60の下面にLED素子2の収容部61を形成する収容部形成工程を含ませ、ガラス材60の下面がLED素子2と接触せずにヒータ91と接触するようにしてもよい。収容部形成工程は、コート膜形成工程の前であっても後であってもよいし、ガラス材60の上面を湾曲させるプレ成型工程と同時、あるいはプレ成型工程の後であってもよい。この場合、LED素子2を介さずに、ヒータ91からガラス材60に直接的に伝熱することができるので、ガラス材60を速やかに加熱することができる。この場合、ガラス材60の上面を予め変形させておくことにより、ガラス材60の下面側を優先的に加熱してLED素子2の封止を行えばよく、金型92に加熱装置を設けずとも、封止加工に大きな影響はない。図6に示すように、ガラス材60の上面が既に所期形状に成型されている場合は、ガラス材60の上面側を加熱する必要はなく、金型92に加熱装置を設けずにガラス材60の上面側の温度を低くすることにより、ガラス材60の金型92に対する離型性をさらに向上することができる。
また、前記実施形態においては、板状に形成された一のガラス材60により複数のLED素子2を一括して封止するものを示したが、例えば図7に示すように、各LED素子2ごとに別個のガラス材60を配置するようにしてもよい。この場合、金型92は、各LED素子2の間にて配線基板3と接触することとなる。そして、図8に示すように、配線基板3の上面外縁には、ガラス封止部6が接合されない露出部31が形成される。
また、前記実施形態においては、例えば図7及び図8に示すようにガラス封止部6に蛍光体8を含有させてもよい。蛍光体8は、LED素子2から発せられる光により励起されると、当該光より長波長の可視光を発する。LED素子2が青色光を発し、蛍光体8が黄色光を発するようにすれば、白色光を発する発光装置1とすることができる。また、例えば、LED素子2が紫外光を発し、青色、緑色及び赤色の3種類の蛍光体8を用いて白色光を発する発光装置1としてもよい。
さらに、図9に示すようにガラス材60のLED素子2の直上部分を金型92により押し込んでLED素子2の直上部分に凹部62を形成し、ガラス材60の上面におけるLED素子2の直上部分が凹む湾曲面を形成してもよい。これにより、図10に示すように、縦方向及び横方向に複数のLED素子2が並んで配線基板3に搭載され、縦方向へ延びる凹部62が各LED素子2の直上に形成される中間体10が作製される。
この中間体10をダイシングにより分割することにより、図11に示すような発光装置1が製造される。図11においては、ガラス封止部6の側面6cは、配線基板3と面一に形成されている。この発光装置1では、LED素子2から放射された光が湾曲面をなす上面6aにて反射し、ガラス封止部6の側面6cから光が取り出されるようになる。図11の発光装置1では、コート膜7の屈折率をガラス封止部6より小さくすることにより、上面6aにおける全反射の条件が成立し、光取り出し効率が向上する。この発光装置1では、コート膜7の上面に汚れが付着したとしても、コート膜7とガラス封止部6の界面で光が全反射するので、光取り出し効率が低下するようなことはない。
また、図12に示すように、LED素子2の直上部分にのみ凹部62を形成するようにしてもよい。図12においては、LED素子2の直上部分に平面視円形の平坦面6dが形成されている。これにより製造される発光装置1は、LED素子2から発せられた光を周方向にわたって均一に放射する。また、LED素子2の直上の平坦面6dにおいては、全反射することなく光が配線基板3に対して略垂直な方向へ透過する。
また、図13に示すように、発光装置1が複数のLED素子2を有するものであってもよい。図13の発光装置1は、一列に9つのLED素子2が並べられた線状光源をなしている。図13の発光装置1では、ガラス封止部6の上面6aは、長尺方向にわたって同じ断面で形成され、幅方向については上方にへに湾曲して形成されている。図14に示すように、この発光装置1は、中間体10にて幅方向に複数の長尺な発光装置1を連続的に形成しておき、幅方向にダイシングすることにより製造することができる。図14に示す中間体10では、各発光装置1の分割箇所に、ガラス材60の凹部62が形成されている。
また、図15に示すように、複数のLED素子2が搭載されたガラス封止部6の上面6aが湾曲形成された発光装置1を、開口102を有する筐体101の内部に実装して使用する光源装置100に用いることができる。筐体101の内面には、発光装置1から出射した光を反射する反射面103が形成されている。この場合、発光装置1には蛍光体8を含有させず、開口102に蛍光体8を含有する蛍光体層104を設ける構成とすることが望ましい。これにより、発光装置1においてはガラス封止部6の上面6aから光を効率良く取り出し、取り出された光を蛍光体層104にて均一に変換することができる。
また、前記実施形態においては、サファイアをGaN系半導体材料の基板と用いるものを例示したが、サファイア以外にGaN、SiCなどを基板を用いてもよい。また、LED素子2としてGaN系半導体材料からなるものを用いた発光装置1を説明したが、LED素子はGaN系のLED素子2に限定されず、例えばZnSe系やSiC系のように他の半導体材料からなる発光素子であってもよい。また、LED素子2の発光波長も任意であり、LED素子2は緑色光、黄色光、橙色光、赤色光等を発するものであってもよい。さらに、LED素子2の上面に化学処理を施す等して、LED素子2の上面からの放射比率を高め、LED素子2の上方に形成されたガラス封止部6の光学面への放射光量を多くしてもよい。
また、前記実施形態のガラス封止部6について、B−SiO−LiO−NaO−ZnO−Nb系の熱融着ガラスのZnO組成の一部をBiとし、熱融着ガラスの屈折率をさらに高くしてもよい。熱融着ガラスの屈折率は、1.8であることが好ましい。そして、屈折率が1.8の熱融着ガラスを用いる場合、基板の屈折率(nd)が1.8以上である発光素子を用いることが、発光素子からの光の取り出し効率を向上させて発光効率の向上を図ることができ好ましい。基板の屈折率が1.8以上である発光素子としては、例えば、Ga基板、GaN基板、SiC基板等の上にGaN系半導体が形成された発光素子がある。
また、前記実施形態においては、搭載部としての配線基板3がアルミナ(Al)からなるものを示したが、アルミナ以外のセラミックから構成するようにしてもよい。さらには、搭載部を、金属製のリードフレームとしてもよいことは勿論である。ここで、アルミナより熱伝導性に優れる高熱伝導性材料からなるセラミック基板として、例えば、BeO(熱膨張率α:7.6×10−6/℃、熱伝導率:250W/(m・k))を用いても良い。このBeOからなる基板においても封止前ガラスにより良好な封止性を得ることができる。
さらに、他の高熱伝導性基板として、例えばW−Cu基板を用いても良い。W−Cu基板としては、W90−Cu10基板(熱膨張率α:6.5×10−6/℃、熱伝導率:180W/(m・k))、W85−Cu15基板(熱膨張率α:7.2×10−6/℃、熱伝導率:190W/(m・k))を用いることにより、ガラス封止部との良好な接合強度を確保しながら高い熱伝導性を付与することができ、LEDの大光量化、高出力化に余裕をもって対応することが可能になる。
また、前記実施形態においては、発光素子としてLED素子を用いた発光装置を説明したが、発光素子はLED素子に限定されるものではない。また、前記実施形態においては、中間体10を作製してこれを分割し、複数の発光装置1を同時に得るものを示したが、1つ発光素子1ごとに封止加工を行うようにしてもよいし、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
1 発光装置
2 LED素子
3 配線基板
3a ビアホール
4 回路パターン
4a W層
4b Ni層
4c Au層
4d Ag層
5 中空部
6 ガラス封止部
6a 上面
6b 平坦面
6c 側面
6d 平坦面
7 コート膜
8 蛍光体
10 中間体
28 Auバンプ
41 表面パターン
42 裏面パターン
43 ビアパターン
44 外部接続端子
60 ガラス材
61 収容部
62 凹部
91 ヒータ
91a 上面
92 金型
92a 成型面
100 光源装置
101 筐体
102 開口
103 反射面
104 蛍光体層

Claims (6)

  1. 搭載部上の発光素子がガラス材により封止される発光装置の製造方法であって、
    前記ガラス材の上面に、当該ガラス材の軟化点よりも融点が高い非ガラス材のコート膜を形成するコート膜形成工程と、
    前記コート膜を介して前記ガラス材の上面に金型の成型面を接触させるとともに、当該ガラス材の下面を前記搭載部に接触させて、前記ガラス材を加熱により軟化させて前記搭載部上の前記発光素子を封止する封止工程と、を含む発光装置の製造方法。
  2. 前記コート膜は、前記ガラス材の軟化点よりも融点が100℃以上高い請求項1に記載の発光装置の製造方法。
  3. 前記金型の成型面は、湾曲形状を有する請求項2に記載の発光装置の製造方法。
  4. 前記コート膜形成工程の前に、前記ガラス材の上面を予め湾曲させるプレ成型工程を含み、
    前記コート膜形成工程にて、湾曲した前記ガラス材の上面に前記コート膜を形成する請求項3に記載の発光装置の製造方法。
  5. 前記コート膜形成工程にて、前記コート膜は蒸着により形成される請求項4に記載の発光装置の製造方法。
  6. 前記コート膜形成工程にて、前記コート膜はゾルゲル法により形成される請求項4に記載の発光装置の製造方法。
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