JP2010225260A - モールドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Si原盤の凹凸形状に成膜した複版を凸部に欠けが生じることなく剥離し得るモールドおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】表面に微細な凹凸パターンを有するモールド10の製造方法において、凹凸パターンを有するSi原盤26の表面に、イオン化傾向が水素よりも小さい金属、例えば、Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜からなる剥離層16を形成する剥離層形成工程と、剥離層16の形成後にモールドを構成する金属基板12を電鋳形成する電鋳工程と、電鋳工程の後、剥離層16と金属基板12とを備える複版をSi原盤26から剥離する剥離工程とを備える。
【選択図】図3
【解決手段】表面に微細な凹凸パターンを有するモールド10の製造方法において、凹凸パターンを有するSi原盤26の表面に、イオン化傾向が水素よりも小さい金属、例えば、Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜からなる剥離層16を形成する剥離層形成工程と、剥離層16の形成後にモールドを構成する金属基板12を電鋳形成する電鋳工程と、電鋳工程の後、剥離層16と金属基板12とを備える複版をSi原盤26から剥離する剥離工程とを備える。
【選択図】図3
Description
本発明はモールドおよびその製造方法に係り、特に、ハードディスク装置に用いられる磁気ディスク等の磁気記録媒体の製造工程の1つである、被転写媒体(スレーブ媒体ともいう)にフォーマット情報等の磁気情報パターンを磁気転写する工程の際に用いる磁気転写用モールド(マスター担体)やディスクリートトラックメディア(DTM)の作製に用いるモールド、ナノインプリントに用いるモールドなど、表面に微細な凹凸パターンを有するモールドの製造方法および該方法により作製されたモールドに関する。
ハードディスクドライブに使用される磁気ディスクは、ドライブに組み込まれる前に、スレーブ媒体にフォーマット情報やアドレス情報が書き込まれることにより製造されるのが一般的である。この書き込みは、磁気ヘッドにより行うこともできるが、これらのフォーマット情報やアドレス情報を担持したマスター担体より一括転写する方法が効率的であり、好ましい。
この磁気転写技術は、磁性層による凹凸パターンを有するマスター担体とスレーブ媒体とを密着させた状態で、片側または両側に電磁石装置、永久磁石装置等の磁界生成手段を配設して転写用磁界を印加し、マスター担体の有する情報(たとえばサーボ信号)に対応する磁化パターンの転写を行うものである。
このような磁気転写に使用するマスター担体の一例としては、基板の表面に情報信号に対応する凹凸パターンを形成し、この凹凸パターンの表面に薄膜磁性層を被覆形成してなるものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
このマスター担体の凹凸パターンは、フォトレジストが塗布されたSi原盤を回転させながら情報に応じて変調したレーザーまたは電子ビームを照射してパターンを描画し、このフォトレジストを現像した凹凸を有するSi原盤の表面にスパッタリング等により電鋳メッキ用の導電層を形成し、次いで、この導電層の上に電鋳メッキを行って複版となる金属の型をとった後、この複版を剥離することで基板表面に凹凸形状を複写しているモールドを作製してなる。
前述の磁気転写用のモールド(マスター担体)においては、透磁率の高い物質からなる磁性層が必要であり、特許文献1に記載の技術では、Si原盤の凹凸パターンに直接磁性層が成膜され、この磁性層を導電層とするか、別に導電層を成膜してから、モールドの基板となる金属盤を電鋳メッキにより形成しているため、Si原盤と磁性層との接合力が大きく、複版の剥離が困難となる問題を有している。
また、Si原盤の凹凸パターンに直接モールドの基板を電鋳するためには、予め導電層を成膜する必要があり、例えばNi導電層をスパッタリング等によって成膜し、その後にモールドの基板を電鋳メッキにより形成するものであり、この場合においても、Ni導電層は上記磁性層よりは剥離しやすいが、Si原盤の凹凸パターンの微細化が進展すると、モールドの複製凸部が欠けてしまい、パターン形状の精度が低下することが問題となっている。
さらに、上記モールドの基板を電鋳処理により形成する場合において、その電鋳液は酸性であり、この電鋳液に導電層を成膜したSi原盤を浸漬して通電したときに、上記導電層が電鋳液の酸で溶解して通電不良が発生し、所望の基板が形成できないことも問題となる。
このような課題は、磁気転写用マスター担体に限らず、表面に微細な凹凸パターンを持つモールド構造体について共通する課題である。
特に、Si原盤の微細凹凸パターンにおける凸部のアスペクト比が大きくなると、つまり凸部の幅が狭く高さが高い凹凸形状を有するモールドの作製については、当該モールド(複版)のSi原盤からの良好な剥離性を確保して、凸部に欠けが発生することを抑制する必要がある。
つまり、高アスペクト比の凹凸パターンを有するSi原盤からのモールド(複版)の複製において、モールドの剥離が困難な理由としては、第1にSi原盤の凹部パターン内に形成されたモールドの高アスペクト比形状の凸部に応力が集中することが挙げられ、特に凸部の先端両側面においてSi原盤に対する結合力が大きいことが、剥離時にこの部分に応力が集中して凸部先端が欠ける要因となっている。
しかも前述のように、磁気転写用モールドにおいては、Si原盤の凹部パターン内に磁性層を形成する場合があり、この磁性層としてのFeCo層等とSi原盤との密着結合力が強いことも要因となっている。
一方、上記のようなSi原盤に対するモールドの剥離性を高めるには、Si原盤に予め有機系離型剤を塗布することが考えられるが、剥離性が向上する効果が得られる反面、この離型剤がSi原盤およびモールド表面に残存し、それに伴う磁気転写工程等で付着欠陥を生起する問題を有している。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、Si原盤の凹凸形状に成膜した複版を凸部に欠けが生じることなく剥離し、1枚の原盤を繰り返し使用可能とするモールドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のモールドの製造方法は、凹凸パターンを有するSi原盤の表面に、イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜からなる剥離層を形成する剥離層形成工程と、
前記剥離層の形成後に、前記凹凸パターンの凹部を埋めるように、金属基板を電鋳形成する電鋳工程と、
前記電鋳工程の後、前記剥離層と前記金属基板とを備えた複版を前記Si原盤から剥離する剥離工程とを備え、前記複版であるモールドを得ることを特徴とするものである。
前記剥離層の形成後に、前記凹凸パターンの凹部を埋めるように、金属基板を電鋳形成する電鋳工程と、
前記電鋳工程の後、前記剥離層と前記金属基板とを備えた複版を前記Si原盤から剥離する剥離工程とを備え、前記複版であるモールドを得ることを特徴とするものである。
ここで、上記「モールド」とは、表面に所望の凹凸パターン形状を有する構造体であり、その凹凸パターンの形状に応じた磁化パターンを被転写媒体に転写するための磁気転写用のマスター担体、その凹凸パターンの形状を被転写媒体に転写するための、ディスクリートトラックメディアやビットパターンメディアの製造におけるモールド、ナノインプリントにおけるモールドなどであるとともに、光ディスク等の製造におけるスタンパーなどが含まれる。
また、上記「金属基板」とは、モールドを構成する層のうち電鋳により形成された層を意味するものとする。
前記製造方法における剥離層形成工程のイオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜は、Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜で構成することが好適である。その際、前記金属基板は、Ni電鋳により形成するのが好適である。
前記製造方法において前記剥離層形成工程と前記電鋳工程との間に、前記剥離層の凹凸パターンに沿って磁性層を形成する磁性層形成工程を有してもよい。
また、前記剥離層は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、ALD(原子層堆積法)、CVD(化学気相成長法)、無電解メッキから選ばれる方法で成膜することができる。
また、前記剥離層形成工程と前記電鋳工程との間に、前記剥離層の凹凸パターンに沿って導電性金属からなる導電層を形成する導電層形成工程を有するようにしてもよい。
さらに、本発明のモールドの製造方法は、凹凸パターンを有するSi原盤の表面に、イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜からなる剥離層を形成する剥離層形成工程と、
前記剥離層の形成後に、前記凹凸パターンの凹部を埋めるように充填層を形成する充填層形成工程と、
前記充填層の形成後に、金属基板を電鋳形成する電鋳工程と、
前記電鋳工程の後に、前記剥離層、前記充填層および前記金属基板を備えた複版を前記Si原盤から剥離する剥離工程とを備え、前記複版であるモールドを得ることを特徴とするものである。なお、上記充填層は金属材料からなることが好適である。
前記剥離層の形成後に、前記凹凸パターンの凹部を埋めるように充填層を形成する充填層形成工程と、
前記充填層の形成後に、金属基板を電鋳形成する電鋳工程と、
前記電鋳工程の後に、前記剥離層、前記充填層および前記金属基板を備えた複版を前記Si原盤から剥離する剥離工程とを備え、前記複版であるモールドを得ることを特徴とするものである。なお、上記充填層は金属材料からなることが好適である。
前記製造方法における剥離層形成工程のイオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜は、Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜で構成することが好適である。その際、前記金属基板は、Ni電鋳により形成するのが好適である。
また、前記剥離層は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、ALD、CVD、無電解メッキから選ばれる方法で成膜することができる。
前記製造方法において前記剥離層形成工程と前記充填層形成工程との間に、前記剥離層の凹凸パターンに沿って磁性層を形成する磁性層形成工程を有してもよい。
なお、前者の方法における前記導電層形成工程または後者の方法における前記充填層形成工程は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、ALD、CVD、無電解メッキから選ばれる方法により前記導電層または前記充填層を成膜するものであることが好適である。
そして、上記スパッタリングは、バイアススパッタリングまたはイオンビームスパッタリングであることが好適である。
一方、本発明のモールドは、凹凸パターンを有するモールドであって、
電鋳によって形成された金属基板と、該金属基板上における凹凸パターンの表面に、イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜により形成された剥離層とを備えることを特徴とするものである。
電鋳によって形成された金属基板と、該金属基板上における凹凸パターンの表面に、イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜により形成された剥離層とを備えることを特徴とするものである。
ここで「金属基板上における凹凸パターンの表面」とは、金属基板自体の形状としての凹凸パターンの表面若しくは凹凸パターン形状を有しない金属基板上に形成された層の形状としての凹凸パターンの表面、又はこれらの凹凸パターン上に形成された他の層の表面を意味するものとする。
前記モールドにおける剥離層のイオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜は、Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜で構成することが好適である。
前記金属基板と前記剥離層との間に、凹凸パターンに沿う磁性層を備えてもよい。その際、前記金属基板は、Ni電鋳により形成されたNi基板で構成するのが好適である。
また、前記剥離層の膜厚は、1〜30nmであることが好ましく、より好ましくは1〜20nmであり、特に好ましくは2〜10nmである。
また、前記剥離層と前記金属基板との間に、凹凸パターンに沿う導電性金属からなる導電層を備えてもよい。
剥離層に用いる金属は、イオン化傾向が水素よりも小さい金属、例えば、上記Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdから選ばれる金属であり、より好ましくはPt、Os、Irであり、特に好ましくはPtである。
上記剥離層は、前記のように1〜30nmと膜厚が薄いために、酸化されると電気抵抗が大きく増加しやすい。電気抵抗が大きくなると電鋳の初期に通電不良が起きたり、Si原盤凹部をきれいに埋める形で電鋳膜が成長しなかったりする不具合が生じやすくなる。このため、上記剥離層には、イオン化傾向が水素よりも小さく、酸化物を生成しにくい金属を用いる必要がある。
本発明のモールドの製造方法によれば、イオン化傾向が水素よりも小さい金属、例えば、Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜からなる剥離層が存在することにより、Si原盤に対する複版の剥離性が向上する。つまり、イオン化傾向が水素よりも小さく酸化されにくい剥離層の存在に起因して、複版の剥離時にSi原盤と複版との結合力が低下し、複版の凸部への応力集中が軽減されて凸部パターンの欠けが防止されることにより、高アスペクト比の凹凸パターン形状であっても、形状安定性のよいモールドを得ることができる。
また、上記剥離層は、その後に形成された金属基板または磁性層または導電層と一体となって、複版としてSi原盤より剥離されるため、凹凸パターンの形状母材となるSi原盤は複数回の繰り返し使用が可能である。
さらに、前記剥離層は、イオン化傾向が水素よりも小さい金属で形成されているため、金属基板の電鋳時における酸性の電鋳液に浸漬されて通電された際に、溶解することなく剥離性および導電性を維持することができる。これにより、その後の良好な電鋳処理および剥離処理を実施することができる。
一方、本発明のモールドによれば、剥離した複版であるモールドの凹凸表面が剥離層で被覆されていることにより、有機系離型剤を使用したときのような付着欠陥の発生を防止することができる。
さらに、本発明によれば、モールドに微細形状の凹凸パターンを精度よく形成できるため、磁気転写または形状転写の転写特性に優れたモールドを得ることができる。また、本発明に係るモールドを用いることにより、品質の安定した転写を実現できる。
つまり、本発明によれば、凹凸パターンにおける線幅が狭くなったり高さが高くなったりしても、凸部のパターン崩れが無く、凹凸形状の再現性が高いモールドを得ることができる。これにより、例えば磁気転写用のモールドでは、磁気転写後の信号品位に優れるマスター担体が得られ、例えば形状転写用のモールドでは、転写形状の再現性に優れるナノインプリント、ディスクリートトラックメディア、ビットパターンメディア用のモールドまたは高品質の光ディスク用スタンパーを得ることができる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1および図2に示す本発明の実施の形態としてのモールドは磁気転写用マスター担体の例である。
〔マスター担体の説明〕
図1は一実施形態に係る磁気転写用マスター担体の部分拡大斜視図であり、図2は図1の磁気転写用マスター担体の全体平面図である。なお、各図は説明の便宜上、実際の寸法とは異なる比率で示している。
図1は一実施形態に係る磁気転写用マスター担体の部分拡大斜視図であり、図2は図1の磁気転写用マスター担体の全体平面図である。なお、各図は説明の便宜上、実際の寸法とは異なる比率で示している。
図1に示すように、本実施形態に係る磁気転写用マスター担体10は、金属製のマスター基板12と磁性層14と剥離層16とで構成されている。マスター基板12は表面に転写情報に応じた微細な凹凸パターンを有しており、この凹凸面に磁性層14が被覆形成され、該磁性層14の上に更に剥離層16が被覆形成されてなる。なお、図には示さないが、剥離層16の上に保護層や潤滑層を設ける態様が好ましい。
微細な凹凸パターンの凸部は、平面視で長方形であり、トラック方向(図1の矢印方向)の長さAと、トラック幅方向(半径方向)の長さL、並びに突起の高さ(厚さ)Hの値は、記録密度や記録信号波形等により設計される。例えば、長さAが80nmに、長さLが200nmに設定される。
ハードディスク装置に用いられる磁気ディスクのサーボ信号の場合、この微細パターンは、トラック方向の長さAに比べてトラック幅方向の長さLの方が長く形成される。例えば、トラック幅方向の長さLが0.05〜20μm、トラック方向(円周方向)の長さAが0.05〜5μmであることが好ましい。この範囲でトラック幅方向の方が長いパターンを選ぶことが、サーボ信号の情報を担持するパターンとしては好ましい。
凸部パターンの高さH(凹部パターンの深さ)は、20〜800nmの範囲が好ましく、30〜600nmの範囲がより好ましい。
また、図2に示すように、マスター担体10の全体形状は、中心孔12aを有する円盤状のディスクに形成されており、内周部および外周部を除く片面の円環状領域12bに図1のような凹凸パターンが形成される。
なお、マスター担体10において、マスター基板12がNi等を主体とした強磁性体の場合には、このマスター基板12のみで磁気転写が可能であり、磁性層14は被覆しなくてもよいが、転写特性のよい磁性層14を設けることにより、より良好な磁気転写が行える。
本例のマスター担体10は、後述するように、転写すべき情報に応じた凹凸パターンが形成されたSi原盤(反転型原盤)に、剥離層16と磁性層14を形成し、次いで、Ni電鋳によって所定厚さのNi金属層によるマスター基板12を積層し、剥離層16、磁性層14およびマスター基板12が一体となった複版を、原盤から剥離した後、外周部分および中心孔12aの部分を所望のサイズに打ち抜いて作製してなるものである。
〔第1のマスター担体の製造方法の説明〕
次に、上記マスター担体10(モールド)の製造方法を、図3に基づいて説明する。先ず、図3(a)に示すように、表面が平滑なシリコンウエハーである原板20(ガラス板、石英ガラス板でもよい)の上に、電子線レジスト液をスピンコート法等により塗布してレジスト層22を形成し(レジスト塗布工程)、ベーキング処理(プレベーク)を行う。
次に、上記マスター担体10(モールド)の製造方法を、図3に基づいて説明する。先ず、図3(a)に示すように、表面が平滑なシリコンウエハーである原板20(ガラス板、石英ガラス板でもよい)の上に、電子線レジスト液をスピンコート法等により塗布してレジスト層22を形成し(レジスト塗布工程)、ベーキング処理(プレベーク)を行う。
次いで、高精度な回転ステージまたはX−Yステージを備えた不図示の電子ビーム露光装置のステージ上に原板20をセットし、この原板20を回転させながら、サーボ信号に対応して変調した電子ビーム24を照射し(図3(b))、レジスト層22の略全面に所定のパターン、たとえば各トラックに回転中心からトラック幅方向に線状に延びるサーボ信号に相当するパターン(図1の凸部パターン形状)を円周上の各トラックの各フレームに対応する部分に描画露光する(電子線描画工程)。
次いで、図3(c)に示すように、レジスト層22を現像処理し、露光部分を除去して、残ったレジスト層22による所望厚さの被覆層を形成する。この被覆層が次工程(エッチング工程)のマスクとなる。現像処理の後には、レジスト層22と原板20との密着力を高めるためにベーキング処理(ポストベーク)を行う。
次いで、図3(d)に示すように、レジスト層22の開口部25より原板20を表面より所定深さだけ除去(エッチング)する。このエッチングにおいては、アンダーカット(サイドエッチ)を最小にすべく、異方性のエッチングが望ましい。このような、異方性のエッチングとしては、反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)が好ましく採用できる。
次いで、図3(e)に示すように、レジスト層22を除去する。レジスト層22の除去方法は、乾式法としてアッシングが採用でき、湿式法として剥離液による除去法が採用できる。このアッシング工程により、所望の凹凸パターンの反転型が形成されたSi原盤26が作製される。
次いで、図3(f)に示すように、Si原盤26の凹凸面に均一厚さで導電性を有する剥離層16を形成する剥離層形成工程を実施する。この剥離層16を形成する材料としては、イオン化傾向が水素よりも小さい金属、具体的には、白金族に属する白金Pt、オスミウムOs、イリジウムIr、ルテニウムRu、パラジウムPdに金Auを加えたグループから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜、つまり、単金属または合金(このグループから選ばれた金属と、その他の金属との合金(例:PtNi、RuNi)を含む。)により形成される。この剥離層16に用いる金属としては、より好ましくはPt、Os、Irであり、特に好ましくはPtである。
上記剥離層16は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、ALD(原子層堆積法:Atomic Layer Deposition)、CVD(化学気相成長法:Chemical Vapor Deposition)、無電解メッキから選ばれる金属成膜方法で成膜することができる。本例では剥離層16として、スパッタ法によりPt膜が形成される。ここで、上記スパッタリングは、凹凸パターンの被覆性および材料選択の観点から、バイアススパッタリングまたはイオンビームスパッタリングであることが好適である。
剥離層16の膜厚は、1〜30nmであり、より好ましくは1〜20nmであり、特に好ましくは2〜10nmである。なお、本明細書において「剥離層の膜厚」とは、凹凸パターンの影響を受けない平坦面における剥離層の膜厚を意味するものとし、凹凸パターンの影響を受ける部分における実際の膜厚はこれらの範囲から外れることを許容する。以下膜厚について、後述する導電層、磁性層、充填層および金属基板についても同様である。
剥離層16の膜厚が上記範囲より厚すぎると剥離性が大きくなりすぎるため、電鋳を開始した直後に電鋳膜自身の応力で複版(モールド)側がSi原盤から剥離してしまい、「シワ」や「穴あき」といった不具合が発生する問題を有する。
また、上記剥離層16のみでは導電性が不足するなど膜厚が足りない場合は、剥離層16を成膜した後に、Ni等の導電性金属による導電層を重ねて成膜するようにしてもよい。つまり、前記剥離層形成工程の後に、剥離層16の上に導電性金属をスパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、ALD、CVD、無電解メッキなどの金属成膜方法で成膜する導電層形成工程を実施してもよい。例えば、厚さ2nmのPt剥離層を成膜した後に、厚さ6nmのNi導電層を成膜する。ここで、剥離層形成と同様に、上記スパッタリングは、凹凸パターンの被覆性および材料選択の観点から、バイアススパッタリングまたはイオンビームスパッタリングであることが好適である。
また、上記Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdの単一金属のみでは剥離性が高すぎて、かえってパターン形成が難しくなるために剥離力を制御したい場合は、これらの金属を含む合金、例えばPt30Ni70を剥離層として用いてもよい。
次いで、図3(g)に示すように、上記剥離層16の上に磁性材料による磁性層14を形成する磁性層形成工程を実施する。なお、磁性層14は、剥離層16と上記導電層との間に形成してもよい。この場合、磁性層形成工程は、剥離層形成工程と導電層形成工程との間で実施される。または、磁性層14は、上記導電層を形成した後に形成してもよい。この場合、磁性層形成工程は、導電層形成工程の後に実施される。
磁性層14の形成は、磁性材料を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、ALD、CVD等の真空成膜手段、メッキ(無電解メッキを含む)などにより成膜する。磁性層14の磁性材料としては、Co、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN)、Ni、Ni合金(NiFe)を用いることができる。特に、FeCo、FeCoNiが好ましく用いることができる。磁性層14の厚さは、10nm〜500nmの範囲が好ましい。
次いで、図3(h)に示すように、Si原盤26の表面に形成された剥離層16および磁性層14を陰極として電鋳(電着)を行い、所望の厚さのマスター基板(金属基板)12(ここでは、Ni電鋳膜)を形成する電鋳工程を実施する。
この電鋳工程は、電鋳装置の電解液中にSi原盤26を浸し、Si原盤26上の導電性を担う層(本実施形態では、剥離層16および磁性層14)を陰極として、この陰極と陽極との間を通電することにより行われる。このとき、電解液の濃度、pH、電流のかけ方等は、形成されるマスター基板12となるNi電鋳膜に歪みのない最適条件となるように調整されることが求められる。
そして、上記のようにして電鋳が終了した後、所定厚のマスター基板12が積層されたSi原盤26が電鋳装置の電解液から取り出され、剥離槽(図示略)内の純水に浸される。
次いで、剥離槽内において、剥離層16、磁性層14およびマスター基板12が一体となった複版としてのマスター担体10をSi原盤26から剥離する剥離工程を実施し、図3(i)に示すようなマスター担体10を得る。このマスター担体10の表面には、Si原盤26に形成した凹凸パターンから反転複製した凹凸パターンが形成されている。
剥離層16の上に保護層を形成する場合には、打抜き加工により、Si原盤26から剥離した後のマスター担体10の内径および外径を所定のサイズに打抜き、その後にカーボン膜をスパッタ法で形成する。
このようにして、磁気転写用マスター担体10が製造される。また、磁気強度を大きくしたい場合には、Si原盤26から剥離し、打抜き加工した後のマスター担体10に、もう1度磁性層を形成(後載せ)し、その後に保護層を形成する。
上記の製造方法によれば、剥離工程における複版としてのマスター担体10の剥離性がよく、凹凸パターンの凸部先端の欠けの発生を防止できる。これにより、Si原盤26の凹凸形状を正確に現出させた磁気転写用マスター担体10を得ることができ、信号品質の良好な磁気転写が可能となる。
また、図1に示したとおり、マスター担体10における凹凸パターンの凸部は、トラック方向断面で台形であり、凸部の立ち上がり角度が90°に近づくほど(断面矩形に近づくほど)、マスター担体10をSi原盤26から剥離しにくくなる。
本例の製造方法によれば、従来に比べて複版であるマスター担体10の剥離性が改善されるため、凸部の形状を矩形に近づけることができ、凹凸パターンの高密度化および高精度化を実現でき、磁気記録媒体に転写記録する情報の高密度化および高精度化が図れることになる。また、磁気転写用マスター担体の場合には、少なくともサーボパターンを含んだ磁性層による高密度かつ高精度な微細凹凸パターンを表面上に有するため、このマスター担体を磁気記録媒体と重ねて磁気転写技術を用いて磁界を印加することにより、磁気記録媒体に磁性層のパターンに対応した磁化パターンを高密度かつ高精度に転写することができ、特性の優れたメディアを簡易に作製することができる。
また、本例の製造方法によれば、Si原盤26上に離型剤を使用したときのような残留物が残らないため1つのSi原盤26を繰り返し使用することができ、同じSi原盤26より複数(例えば30枚)のマスター担体10が作製でき、製造コストの低減化が図れる。
〔凸部の好ましい形態について〕
上記図3においては、マスター担体10に形成する凹凸パターンの形状は、矩形状に略記しているが、実際には、図1に示す形状から、記録情報の高密度化に伴って、図4に示すように、凸部のトップ幅が狭くかつ高く、つまりアスペクト比がさらに高く形成されるようになっている。これに応じて、Si原盤26からのマスター担体10の剥離性も変化するものである。
上記図3においては、マスター担体10に形成する凹凸パターンの形状は、矩形状に略記しているが、実際には、図1に示す形状から、記録情報の高密度化に伴って、図4に示すように、凸部のトップ幅が狭くかつ高く、つまりアスペクト比がさらに高く形成されるようになっている。これに応じて、Si原盤26からのマスター担体10の剥離性も変化するものである。
図4は、上記マスター担体10の凸部の台形形状を示す断面模式図である。なお、便宜上マスター担体10の層構造は省略している。凸部の「高さ」および台形斜面の「傾斜角」は図示の通りであり、後述の「半値幅」は半分の高さ位置での凸部幅を示すものとして定義され、また、凸部の台形形状のアスペクト比は「高さ/半値幅」と定義される。
そして、本実施形態におけるマスター担体の凸部の高さ・半値幅について実施上好ましい範囲は、高さ:5〜800nm、半値幅:3〜20000nmである。より好ましい範囲は、高さ:10〜600nm、半値幅:7〜5000nmである。特に好ましい範囲は、高さ20〜400nm、半値幅:10〜500nmである。具体的には、例えば、高さ100nmで半値幅40nm〜250nmの複数の凸部パターンが同一のマスター担体10内に存在している。
アスペクト比について好ましい範囲は、0.05〜50.0である。より好ましい範囲は、0.02〜10.0である。特に好ましい範囲は、0.2〜5.0である。具体的には、例えば、アスペクト比0.5(=100/250)〜2.5(=100/40)の複数の凸部パターンが同一のマスター担体10内に存在している。
台形斜面の傾斜角について好ましい範囲は、20〜90°である。より好ましい範囲は、30〜89°である。特に好ましい範囲は、40〜88°である。具体的には、例えば、約82°に設計する。
なお、厳密な台形ではなく、凸形状のボトム部を裾引き形状にする(角を丸くする)と複版の剥離性が一層向上する。
マスター担体10における凸部パターンの台形形状は、RIE(リアクティブイオンエッチング)によって実現できる。エッチングレート、エンチングガスの種類、混合比などを変えることで台形の傾斜角を制御する。
〔第2のマスター担体の製造方法の説明〕
次に、別の実施形態のマスター担体の製造方法を、図5に基づいて説明する。この製造方法は、剥離層形成後マスター基板(金属基板)形成前に、Si原盤の凹凸パターンの凹部を埋めるための充填層を形成する点で、図3を用いて前述した上記製造方法と異なる。すなわち、図3(g)までの工程は上記製造方法と同一であり、同一の構成要素については同一の符号を付し、同一の要素についての説明は特に必要のない限り省略する。
次に、別の実施形態のマスター担体の製造方法を、図5に基づいて説明する。この製造方法は、剥離層形成後マスター基板(金属基板)形成前に、Si原盤の凹凸パターンの凹部を埋めるための充填層を形成する点で、図3を用いて前述した上記製造方法と異なる。すなわち、図3(g)までの工程は上記製造方法と同一であり、同一の構成要素については同一の符号を付し、同一の要素についての説明は特に必要のない限り省略する。
図5(a)は、シリコンウエハー原板20の表面に凹凸パターン形状を形成した後、剥離層16および磁性層14を順に形成する工程を経たときのSi原盤の状態を示す概略断面図である。すなわち、図3(g)に示す状態に相当するものである。
そして、本実施形態の製造方法では、図5(a)に示す状態からさらに充填層13を形成し(図5(b))、電鋳によりマスター基板12を形成し(図5(c))、複版をSi原盤26から剥離することにより、マスター担体30が得られる(図5(d))。
充填層13は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、ALD、CVD、無電解メッキから選ばれる金属成膜方法で成膜することができる。ここで、上記スパッタリングは、凹凸パターンの充填性および材料選択の観点から、バイアススパッタリングまたはイオンビームスパッタリングであることが好適である。充填層13の形成方法として特に好適なのは、凹凸パターンの凹部の充填性が優れているバイアススパッタリング若しくはイオンビームスパッタリングまたはALDである。充填層13の材料としては、特に制限されず、導電層、磁性層または電鋳により形成される金属基板の材料と同様のものが挙げられる。すなわち、上記導電層や磁性層が、この充填層を兼ねてもよい。
前述したように、微細な凹凸パターンを有するモールドの製造において、原盤から複版を剥離する際に生じる複版の凸部の欠損が問題となっている。その主な要因として原盤と複版との接合力が大きいことを挙げたが、さらに複版凸部内部に充填されない領域(非充填領域)が形成されることもその要因の1つとして考えられる。例えば、この非充填領域は、図6に示すように、凹凸パターン上に形成された比較的厚い膜(例えば磁性層14とする)が凹部の開口を狭めることにより(図6(a))、その後の電鋳工程において金属材料が凹部の深部にまで充填されにくくなることが原因で形成される。そこで、充填層13は、特に凹凸パターンの凹部を埋めることを目的として形成される。例えば、バイアススパッタリングにより充填層を形成した場合には、スパッタ粒子による膜の堆積とバイアス印加によるArイオンエッチングとが膜形成面上で同時に進行しているため、凹部の開口付近に堆積した膜の一部が再スパッタされて、凹部の深部まで充填することが可能となる。なお、十分な厚さの膜を堆積すれば埋め込み面は平坦になる。
このように、本実施形態マスター担体も、イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む剥離膜を有していることにより、前述した実施形態と同様の効果を奏する。また、凹部の充填を目的とした充填層13を有することにより、本実施形態のマスター担体は、凹凸パターン線幅が細くなっても非充填領域を生じることなく良好に凹部を充填することができるため、上記複版の凸部の欠損をさらに防止することが可能となる。
〔他の形態のモールドについて〕
上記の実施形態では、磁気転写用マスター担体に係るモールドについて説明したが、本発明は前述のように、ディスクリートトラックメディア用のモールド、ナノインプリント用のモールドなどについても適用可能である。
上記の実施形態では、磁気転写用マスター担体に係るモールドについて説明したが、本発明は前述のように、ディスクリートトラックメディア用のモールド、ナノインプリント用のモールドなどについても適用可能である。
これらの微細凹凸パターンを有するディスクリートトラックメディア用のモールド、ナノインプリント用のモールドは、その微細凹凸面を対象物に押圧してその形状転写を行う方式のものである。これらのモールドは、例えば前記マスター担体10において磁性層14を除いた構造、すなわち剥離層16に重ねてマスター基板12に相当する金属基板を電鋳により形成してなるものである。
したがって、その製造方法は、図3の工程において図3(g)の磁性層形成工程を省略する以外は同様の工程によって製造できるものである。なお、凹凸パターンの形状は上記磁気転写用マスター担体のものとは異なっているが、それに対応した剥離層の形成により良好な剥離性を確保して、ベース材となる金属基板上に高密度かつ高精度に凹凸パターンを形成し、表面に剥離層が一体に付着しているモールドをSi原盤より剥離形成する点では異ならない。光ディスク製造用のモールド(スタンパー)についても同様である。
そして、上記モールドの製造方法によれば、Ptなどのイオン化傾向が水素よりも小さい金属を含有する剥離層を有すると共に、表面に高密度かつ高精度の凹凸パターン形状を有するモールドが簡易に得られる。これにより、このモールドを押圧転写する際にも剥離性が確保される。特に、インプリントモールドの場合には、インプリント技術を用いて形状パターニングを行う際に、このモールドを磁気記録媒体の形成過程でのマスクとなる樹脂層表面に圧接することにより、媒体表面に一括して形状転写することができる。同様の方式で、特性の優れたディスクリートトラックメディアやビットパターンメディアなどの磁気記録媒体を簡易に作製することができる。
上記のように各種モールドの形態に応じて、その層構成は、例えば次のようなパターンがある。第1パターンは、[剥離層/導電層/磁性層/金属基板]の順に構成された層構成である。第2パターンは、[剥離層/磁性層/導電層/金属基板]の順に構成された層構成である。第3パターンは、[剥離層/磁性層/金属基板]の順に構成された層構成である。第4パターンは、[剥離層/導電層/金属基板]の順に構成された層構成である。第5パターンは、[剥離層/金属基板]の順に構成された層構成である。さらに、第6パターンは、[剥離層/磁性層/充填層(導電層を兼ねる)/金属基板]の順に構成された層構成である。第7パターンは、[剥離層/充填層(導電層および磁性層を兼ねる)/金属基板]の順に構成された層構成である。
例えば、前述の磁気転写用のマスター担体では、剥離層にPtを使用した場合に、その剥離性は厚さ2〜5nmで良好な結果が得られ、6nmを越えて厚くなるとNi基板の電鋳条件によっては複版にシワが発生する場合がある。一方、厚さが2〜3nmのPtでは、連続膜とはなっていないので、磁性層を成膜しない場合には、電鋳に必要とされる通電性が不足することになる。そのため、例えば、剥離層としてPtを厚さ2nmに成膜した後に、導電層としてNiを厚さ6nmに成膜して電鋳時の導電性を確保している。また、磁性層を成膜する場合でも導電層を形成してもよく、例えば、Pt剥離層(3nm厚)/Ni導電層(6nm厚)/FeCo磁性層(30nm厚)/Ni電鋳層(150μm厚)のように構成してもよい。なお、上記に例示した各層の厚さは、モールドの種類、各層の材質、各層の厚さの比率等の組み合わせに応じて変化するものであり、最適値を示すものではない。
〔実施例1〕
磁気転写用のモールド(マスター担体)の層構成の例であり、半値幅30nm、高さ100nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ3nmのPtからなる剥離層を形成し、次いで、同じくスパッタ法にて、FeCoからなる厚さ20nmの磁性層を形成した。このPt剥離層(3nm)とFeCo層(20nm)の2層を形成したSi原盤の上にマスター基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面に磁性層およびPt剥離層が形成された磁気転写用マスター担体を得た。
磁気転写用のモールド(マスター担体)の層構成の例であり、半値幅30nm、高さ100nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ3nmのPtからなる剥離層を形成し、次いで、同じくスパッタ法にて、FeCoからなる厚さ20nmの磁性層を形成した。このPt剥離層(3nm)とFeCo層(20nm)の2層を形成したSi原盤の上にマスター基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面に磁性層およびPt剥離層が形成された磁気転写用マスター担体を得た。
〔実施例2〕
ディスクリートトラックメディア用のモールドの層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ9nmのRuからなる剥離層を形成し、次いで、Ru剥離層(9nm)を形成したSi原盤の上に基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面にRu剥離層が形成された形状転写用のモールドを得た。
ディスクリートトラックメディア用のモールドの層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ9nmのRuからなる剥離層を形成し、次いで、Ru剥離層(9nm)を形成したSi原盤の上に基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面にRu剥離層が形成された形状転写用のモールドを得た。
〔実施例3〕
磁気転写用のモールド(マスター担体)の層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ3nmのPtからなる剥離層を形成し、次いで、バイアススパッタ法にて、FeCoからなる厚さ60nmの磁性層をSi原盤の凹部を充填するように形成した。このPt剥離層(3nm)とFeCo層(60nm)の2層を形成したSi原盤の上にマスター基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面に磁性層およびPt剥離層が形成された磁気転写用マスター担体を得た。
磁気転写用のモールド(マスター担体)の層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ3nmのPtからなる剥離層を形成し、次いで、バイアススパッタ法にて、FeCoからなる厚さ60nmの磁性層をSi原盤の凹部を充填するように形成した。このPt剥離層(3nm)とFeCo層(60nm)の2層を形成したSi原盤の上にマスター基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面に磁性層およびPt剥離層が形成された磁気転写用マスター担体を得た。
〔実施例4〕
ディスクリートトラックメディア用のモールドの層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ9nmのRuからなる剥離層を形成し、次いで、バイアススパッタ法にて、Ruからなる厚さ60nmの導電層をSi原盤の凹部を充填するように形成した。このRu剥離層(9nm)とRu導電層(60nm)の2層を形成したSi原盤の上に基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面にRu導電層およびRu剥離層が形成された形状転写用のモールドを得た。
ディスクリートトラックメディア用のモールドの層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ9nmのRuからなる剥離層を形成し、次いで、バイアススパッタ法にて、Ruからなる厚さ60nmの導電層をSi原盤の凹部を充填するように形成した。このRu剥離層(9nm)とRu導電層(60nm)の2層を形成したSi原盤の上に基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面にRu導電層およびRu剥離層が形成された形状転写用のモールドを得た。
〔実施例5〕
磁気転写用のモールド(マスター担体)の層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ3nmのPtからなる剥離層を形成し、次いで、イオンビームスパッタ法にて、FeCoからなる厚さ60nmの磁性層をSi原盤の凹部を充填するように形成した。このPt剥離層(3nm)とFeCo層(60nm)の2層を形成したSi原盤の上にマスター基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面に磁性層およびPt剥離層が形成された磁気転写用マスター担体を得た。
磁気転写用のモールド(マスター担体)の層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ3nmのPtからなる剥離層を形成し、次いで、イオンビームスパッタ法にて、FeCoからなる厚さ60nmの磁性層をSi原盤の凹部を充填するように形成した。このPt剥離層(3nm)とFeCo層(60nm)の2層を形成したSi原盤の上にマスター基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面に磁性層およびPt剥離層が形成された磁気転写用マスター担体を得た。
〔実施例6〕
ディスクリートトラックメディア用のモールドの層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ9nmのRuからなる剥離層を形成し、次いで、イオンビームスパッタ法にて、Ruからなる厚さ60nmの導電層をSi原盤の凹部を充填するように形成した。このRu剥離層(9nm)とRu導電層(60nm)の2層を形成したSi原盤の上に基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面にRu導電層およびRu剥離層が形成された形状転写用のモールドを得た。
ディスクリートトラックメディア用のモールドの層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ9nmのRuからなる剥離層を形成し、次いで、イオンビームスパッタ法にて、Ruからなる厚さ60nmの導電層をSi原盤の凹部を充填するように形成した。このRu剥離層(9nm)とRu導電層(60nm)の2層を形成したSi原盤の上に基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面にRu導電層およびRu剥離層が形成された形状転写用のモールドを得た。
〔実施例7〕
ディスクリートトラックメディア用のモールドの層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ9nmのRuからなる剥離層を形成し、次いで、ALD法にて、Ruからなる厚さ60nmの導電層をSi原盤の凹部を充填するように形成した。このRu剥離層(9nm)とRu導電層(60nm)の2層を形成したSi原盤の上に基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面にRu導電層およびRu剥離層が形成された形状転写用のモールドを得た。
ディスクリートトラックメディア用のモールドの層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、スパッタ法にて厚さ9nmのRuからなる剥離層を形成し、次いで、ALD法にて、Ruからなる厚さ60nmの導電層をSi原盤の凹部を充填するように形成した。このRu剥離層(9nm)とRu導電層(60nm)の2層を形成したSi原盤の上に基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面にRu導電層およびRu剥離層が形成された形状転写用のモールドを得た。
〔実施例8〕
ディスクリートトラックメディア用のモールドの層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、ALD法にて厚さ69nmのRuからなる剥離層を形成し、次いで、このRu剥離層(69nm)を形成したSi原盤の上に基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面にRu剥離層が形成された形状転写用のモールドを得た。
ディスクリートトラックメディア用のモールドの層構成の例であり、半値幅20nm、高さ60nmの微細な凹状パターンが形成されたSi原盤の表面に、ALD法にて厚さ69nmのRuからなる剥離層を形成し、次いで、このRu剥離層(69nm)を形成したSi原盤の上に基板として厚さ150μmとなるようにNiを電鋳して複版を形成した。この複版をSi原盤から剥離することにより、その表面に凸状反転パターンを有するとともに当該反転パターンの表面にRu剥離層が形成された形状転写用のモールドを得た。
〔比較例1〕
上記実施例1におけるPt剥離層を、Ni剥離層(厚さ3nm)に変更して、その他の磁性層、Ni基板は同様に形成して、比較例1の複版を作製した。なお、Niはイオン化傾向が水素よりも大きい金属である。
上記実施例1におけるPt剥離層を、Ni剥離層(厚さ3nm)に変更して、その他の磁性層、Ni基板は同様に形成して、比較例1の複版を作製した。なお、Niはイオン化傾向が水素よりも大きい金属である。
〔比較例2〕
上記実施例2におけるRu剥離層を、Ni剥離層(厚さ9nm)に変更して、その他のNi基板は同様に形成して、比較例2の複版を作製した。
上記実施例2におけるRu剥離層を、Ni剥離層(厚さ9nm)に変更して、その他のNi基板は同様に形成して、比較例2の複版を作製した。
〔測定1〕
磁気転写用のモールド(マスター担体)の例である上記実施例1(Pt:3nm/FeCo:20nm/Ni:150μm)、比較例1(Ni:3nm/FeCo:20nm/Ni:150μm)の複版について、Si原盤からの剥離後における凸パターンの表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した結果を、図7に示す。
磁気転写用のモールド(マスター担体)の例である上記実施例1(Pt:3nm/FeCo:20nm/Ni:150μm)、比較例1(Ni:3nm/FeCo:20nm/Ni:150μm)の複版について、Si原盤からの剥離後における凸パターンの表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した結果を、図7に示す。
パターン形状は、高さ100nm、半値幅30nmの凸状のラインパターンとドットパターンとし、そのパターンピッチを80nm,100nm,120nmと変更してモールドを作製し、測定観察している。
図7のSEM写真に見られるように、実施例1においては、比較例1に比べて、ラインパターンの凸形状(写真で白く見える部位)の幅が細く明確であり、またドットパターンの凸部の点が小さく明確であり、良好なパターン形状が再現できており、Pt剥離層による適正な剥離性が得られたことを確認した。なお、比較例1では、凸形状に欠けが見られ、Ni剥離層では剥離性能が不足することが分かった。
〔測定2〕
ディスクリートトラックメディア用のモールドの例である上記実施例2(Ru:9nm/Ni:150μm)、比較例2(Ni:9nm/Ni:150μm)の複版について、Si原盤からの剥離後における凸パターンの表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した結果を、図8に示す。
ディスクリートトラックメディア用のモールドの例である上記実施例2(Ru:9nm/Ni:150μm)、比較例2(Ni:9nm/Ni:150μm)の複版について、Si原盤からの剥離後における凸パターンの表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した結果を、図8に示す。
パターン形状は、高さ60nm、半値幅20nmの凸状のラインパターンとドットパターンとして比較している。
図8のSEM写真に見られるように、実施例2においては、比較例2に比べて、ラインパターンの凸形状(写真で白く見える部位)の幅が細く明確であり、またドットパターンの凸部の点が小さく明確であり、良好なパターン形状が再現できており、Ru剥離層による適正な剥離性が得られたことを確認した。
〔剥離試験について〕
上記のような剥離面の観察による剥離状態の測定観察に加えて、模擬的に剥離力を測定することによっても効果が確認できた。
上記のような剥離面の観察による剥離状態の測定観察に加えて、模擬的に剥離力を測定することによっても効果が確認できた。
この剥離試験方法は、試験片と金属リベットと引張試験機を用いる。試験片は、Siウエハに対しドット状またはライン状の凹部が近接配置された模擬的な凹凸パターンを形成し、その凹凸パターン上にスパッタリングによって各種材質の剥離層を成膜し、さらにこの剥離層上にNiベース膜をスパッタリングすることにより得られる。この試験片のNiベース膜に対し、形状が同一の金属リベットの一端を接着剤(エポキシ系接着剤)によって固着し、金属リベットの他端に引張治具を固着し、この引張治具を引張試験機で引っ張り、試験片を剥離したときの引張試験機による引張力を測定して、剥離に要する力つまり剥離力[MPa]として対比するものである。
その試験結果において、Pt剥離層は格段に剥離力が小さく、Ni剥離層の約1/3程度であり、FeCo層の1/6以下の値であった。これは、実際の磁気転写用マスター担体の複版モールドの作製における剥離状態と適合した特性を示している。
上記のような剥離試験を実施している際に、その試験結果を解析している段階で、剥離性と剥離層の金属の酸化度合(金属元素に対する酸素元素の割合)との関連性を有することが推測された。したがって、剥離層の金属として、イオン化傾向が水素よりも小さい金属、つまり、酸化しにくい金属を使用することが、剥離性を高めると考えられる。その要因としては、剥離層中の金属が酸化されることにより形成される金属酸化物とSi原盤中の酸化珪素との結合力が密着力の起源となっていることが推定され、その点より、前述のPt剥離層がNi剥離層に比べて酸化程度が低いことより高い剥離性が得られることが推定される。同様の要因を考慮すると、イオン化傾向が水素よりも小さい金属としては、白金族に属する白金Pt、オスミウムOs、イリジウムIr、ルテニウムRu、パラジウムPdに金Auを加えたグループから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜、つまり、単金属または合金により形成された剥離層が有効である。
10、30 磁気転写用マスター担体(モールド)
12 マスター基板(金属基板)
13 充填層
14 磁性層
16 剥離層
20 原板
22 レジスト層
24 電子ビーム
26 原盤
12 マスター基板(金属基板)
13 充填層
14 磁性層
16 剥離層
20 原板
22 レジスト層
24 電子ビーム
26 原盤
Claims (19)
- 凹凸パターンを有するSi原盤の表面に、イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜からなる剥離層を形成する剥離層形成工程と、
前記剥離層の形成後に、前記凹凸パターンの凹部を埋めるように、金属基板を電鋳形成する電鋳工程と、
前記電鋳工程の後、前記剥離層と前記金属基板とを備えた複版を前記Si原盤から剥離する剥離工程とを備え、前記複版であるモールドを得ることを特徴とするモールドの製造方法。 - 前記イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜が、Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜であることを特徴とする請求項1記載のモールドの製造方法。
- 前記剥離層形成工程と前記電鋳工程との間に、前記剥離層の凹凸パターンに沿って磁性層を形成する磁性層形成工程を有することを特徴とする請求項1または2記載のモールドの製造方法。
- 前記剥離層形成工程は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、ALD(原子層堆積法)、CVD(化学気相成長法)、無電解メッキから選ばれる方法で成膜することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のモールドの製造方法。
- 前記スパッタリングが、バイアススパッタリングまたはイオンビームスパッタリングであることを特徴とする請求項4記載のモールドの製造方法。
- 前記剥離層形成工程と前記電鋳工程との間に、前記剥離層の凹凸パターンに沿って導電性金属からなる導電層を形成する導電層形成工程を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のモールドの製造方法。
- 凹凸パターンを有するSi原盤の表面に、イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜からなる剥離層を形成する剥離層形成工程と、
前記剥離層の形成後に、前記凹凸パターンの凹部を埋めるように充填層を形成する充填層形成工程と、
前記充填層の形成後に、金属基板を電鋳形成する電鋳工程と、
前記電鋳工程の後に、前記剥離層、前記充填層および前記金属基板を備えた複版を前記Si原盤から剥離する剥離工程とを備え、前記複版であるモールドを得ることを特徴とするモールドの製造方法。 - 前記イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜が、Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜であることを特徴とする請求項7記載のモールドの製造方法。
- 前記剥離層形成工程は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、ALD、CVD、無電解メッキから選ばれる方法で成膜することを特徴とする請求項7または8記載のモールドの製造方法。
- 前記スパッタリングが、バイアススパッタリングまたはイオンビームスパッタリングであることを特徴とする請求項9記載のモールドの製造方法。
- 前記充填層が金属材料からなることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項記載のモールドの製造方法。
- 前記剥離層形成工程と前記充填層形成工程との間に、前記剥離層の凹凸パターンに沿って磁性層を形成する磁性層形成工程を有することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項記載のモールドの製造方法。
- 前記導電層形成工程または前記充填層形成工程が、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、ALD、CVD、無電解メッキから選ばれる方法により前記導電層または前記充填層を成膜することを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項記載のモールドの製造方法。
- 前記スパッタリングが、バイアススパッタリングまたはイオンビームスパッタリングであることを特徴とする請求項13記載のモールドの製造方法。
- 凹凸パターンを有するモールドであって、
電鋳によって形成された金属基板と、該金属基板上における凹凸パターンの表面に、イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜により形成された剥離層とを備えることを特徴とするモールド。 - 前記イオン化傾向が水素よりも小さい金属を含む金属膜が、Pt、Os、Ir、Au、RuおよびPdから選ばれる少なくとも一種の金属を含む金属膜であることを特徴とする請求項15記載のモールド。
- 前記金属基板と前記剥離層との間に、凹凸パターンに沿う磁性層を備えたことを特徴とする請求項15または16記載のモールド。
- 前記剥離層の膜厚は、1〜30nmであることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項記載のモールド。
- 前記剥離層と前記金属基板との間に、凹凸パターンに沿う導電性金属からなる導電層を備えたことを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項記載のモールド。
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