JP4854643B2 - モールドの製造方法 - Google Patents
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また、複製の方法として1枚目に得られた金属盤を元に、剥離皮膜処理を施してから電鋳を行い、剥離することで繰り返し反転パターンを得る方法もあるが、剥離皮膜の取れ方がランダムであり、特に微細パターンではパターン寸法及び形状の精度が劣化するので使用に耐えないという課題がある。
このため、極微細パターン(線幅50nm以下)を有する原盤(Si、ガラス、石英)に導電層を形成し、金属溶液中で通電することにより金属盤を電鋳により堆積させ、該金属盤を原盤から剥離することで反転パターンを有するモールドを作製することが行われている。また、原盤と金属盤との剥離時の条件については、例えば特許文献1、及び特許文献2などに開示されている。
しかしながら、線幅が50nm以下の凹凸パターンを有する原盤を該極微細パターンの損壊がなく、表面欠陥のサイズ及び個数が少ない状態で繰り返し再生して再利用することは困難であるのが現状である。
<1> FWHM(Full Width at Half Maximum)で定義される線幅が50nm以下の凹凸パターンを有する電鋳対象物を硫酸過水で洗浄する洗浄工程と、
洗浄済みの電鋳対象物を用いて電鋳により表面に凹凸パターンを有する電鋳物を形成する電鋳工程と、を含むモールドの製造方法であって、
電鋳時の電鋳浴の温度をt1(℃)とし、洗浄時の硫酸過水の温度をT(℃)とすると、次式、t1−20℃≦T≦t1+20℃を満たすことを特徴とするモールドの製造方法である。
<2> 洗浄対象である凹凸パターンを有する電鋳対象物が、原盤作製工程におけるアッシング処理後の原盤である前記<1>に記載のモールドの製造方法である。
<3> 洗浄対象である凹凸パターンを有する電鋳対象物が、モールド作製工程における電鋳後の表面に凹凸パターンを有する電鋳物を剥離した原盤である前記<1>に記載のモールドの製造方法である。
<4> 洗浄工程において90℃以下の温度の硫酸過水を用いる前記<1>から<3>のいずれかに記載のモールドの製造方法である。
<5> 硫酸過水で洗浄後に、純水で洗浄を行う前記<1>から<4>のいずれかに記載のモールドの製造方法である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のモールドの製造方法により製造されたことを特徴とするモールドである。
<7> 磁気転写用マスター、DTM(ディスクリート・トラック・メディア)用インプリントモールド、及びBPM(ビット・パターンド・メディア)用インプリントモールドのいずれかである前記<6>に記載のモールドである。
本発明のモールドの製造方法は、少なくとも、洗浄工程と、電鋳工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明のモールドは、本発明のモールドの製造方法により製造される。
以下、本発明のモールドの製造方法の説明を通じて本発明のモールドの詳細についても明らかにする。
また、原盤から金属盤を剥離時の剥離液の温度をt2(℃)とし、原盤を洗浄時の硫酸過水の温度をT(℃)とすると、次式、t2−20℃≦T≦t2+20℃を満たすことが好ましく、t2−10℃≦T≦t2+10℃を満たすことがより好ましい。
前記洗浄工程は、FWHM(Full Width at Half Maximum)で定義される線幅が50nm以下の凹凸パターンを有する原盤を硫酸過水で洗浄する工程である。これにより、極微細パターンの損壊のない状態で原盤を繰り返し再生することができる。
前記線幅は、ドット状、ライン状等のパターンの断面形状におけるFWHM(Full Width at Half Maximum)をそのパターンの線幅と定義する。これにより、図7に示すようなパターンの断面形状(矩形、台形、裾引き等)によらず、線幅を一律に規定することができる。
本発明のモールドの製造方法においては、図1に示すように、原盤として、(1)原盤作製工程におけるアッシング処理後の原盤、及び(2)モールド作製工程における電鋳後の金属盤を剥離した原盤、のいずれをも洗浄対象として用いることができる。
前記(1)の原盤を洗浄対象として用いることにより、アッシング処理後のレジスト残渣やエッチング時の反応生成物の溶解除去により、表面パーティクルの低減を図ることができる。
前記(2)の原盤を洗浄対象として用いることにより、原盤を繰り返し利用できるので複製コストの低減を図ることができる。
前記洗浄は、硫酸過水中に浸漬、硫酸過水をシャワー、スピンコート、超音波付与などにより付与することにより行うことができる。
洗浄時の硫酸過水の温度T(℃)は90℃以下が好ましく、40℃〜70℃が好ましい。前記温度T(℃)が90℃を超えると、処理後の純水洗浄における温度差によるシミ状の硫酸系残渣の発生が問題となることがある。
前記硫酸過水による洗浄時間は5分間〜30分間が好ましい。
前記洗浄工程としては、具体的には、55℃に保温された硫酸過水(関東化学株式会社製、SH−303)に10分間浸漬し、超純水に1分間浸漬し、超純水シャワーで2分間洗浄、200rpmで回転させながら超純水で1分間のリンス洗浄し、1,000rpmで回転させて2分間の振り切り乾燥し、60℃の乾燥炉内で30分間乾燥させる。
前記硫酸過水処理により原盤表面に形成される酸化皮膜は、電鋳処理でのパターン形成に有利であり、電鋳後の離型を補助する効果があり、原盤からモールドへのパターン形状転写性の向上を図れる。
前記電鋳工程は、洗浄後の原盤を用いて電鋳により金属盤を形成する工程である。
洗浄後の原盤のパターン表面に導電膜を形成し、Ni電鋳を行う。前記Ni電鋳は、応力の小さなモールドが得られ易いスルファミン酸ニッケル浴を使用することが好ましい。このようなスルファミン酸ニッケル浴は、例えば、スルファミン酸ニッケルを400〜800g/L、ホウ酸を20〜50g/L(過飽和)をベースとして界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)等の添加物を必要に応じて添加したものである。メッキ浴の浴温度は40〜60℃が好適である。電鋳時の対極にはチタンケースに入れたニッケルボールを使用することが好ましい。
得られた金属盤を原盤から剥離し、この原盤を打ち抜いて、必要に応じて裏面を研磨して所定サイズのモールドが得られる。
図2(a)に示されるように、表面が平滑なシリコンウエハーである原板(Si基板)30を用意し、この原板30の上に、電子線レジスト液をスピンコート法等により塗布して、レジスト層32を形成し(図2(b)参照)、ベーキング処理(プレベーク)を行う。
ここで、原盤36を硫酸過水に浸漬して洗浄する。その後、純水で洗浄し、乾燥する。この際、適正な温度の硫酸過水による洗浄を行うことにより、原盤表面の異常及びパーティクルの残存の少ない状態を維持することができる。
なお、導電膜形成においては最終品質(磁気記録媒体の品質)に影響を与えない範囲で剥離を補助する下地層(剥離層、無機・有機を問わない)を基板と導電膜の界面に付与してもよい。
そして、上記のようにして金属盤40の積層された原盤36が電鋳装置の電解液から取り出され、剥離槽(不図示)内の純水に浸される。
ここで、剥離後の原盤は、硫酸過水に浸漬して洗浄を行い、純水で洗浄し、乾燥して再生する。再生した原盤は導電化処理からの工程を繰り返すことで同一原盤から複数の金属盤が作製できる。
また、適正な温度の硫酸過水による洗浄を行うことにより、原盤表面の異常及びパーティクルの残存の少ない状態を維持することができる。
前記保護層として、厚さが2nm〜30nmのカーボン膜を形成し、更にその上に潤滑剤層を形成した構成が好ましい。また、磁性層48と、保護層との密着性を強化するため、磁性層48上にSi等の密着強化層を形成し、その後に保護層を形成してもよい。
以上により得られたモールドをDTM(又はBPM)用モールドとして利用する場合には金属盤のパターン面に離型処理(離型剤の薄膜形成)を行い、別途準備した基板上の樹脂膜と密着させてインプリント(加熱又は紫外線(UV)照射)処理を行ってパターン形状の転写を行う。
樹脂膜の凹パターンの底部の残膜をエッチングによって取り除き、更に樹脂膜パターンをマスクとしてエッチングを行って基板を加工する。アッシング処理によって樹脂膜を取り除き、必要に応じて平坦化処理(磁性層又は非磁性層をパターン溝内に充填し、CMPなどで表面を平坦化する)を行って磁気記録媒体(DTM又はBPM)を作製する。
まず、図4Aに示すように、スピンコート法等により、表面に磁性層72を具備した磁気記録媒体基板71上にレジスト層73を形成した後、このレジスト層73に本発明のモールド(スタンパー)50を押し付けて凹凸形状を転写する。この際、レジスト層を形成している樹脂のガラス転移温度よりも高温に加熱処理することにより、レジスト層が軟化して容易に変形可能な状態となる。
前記磁気記録媒体基板71は、基板上に、磁性層72を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。前記磁性層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt、NiPtなどが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記レジスト層の材料としては、ポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料のいずれであってもよい。
次に、図4Cに示すように、反応性イオンエッチングを用いて、レジスト凹部底のレジスト残渣を除去し、磁性層72を露出させる。
次に、図4Dに示すように、Ar等のイオンミリングを用いて、レジスト層73の凹凸形状をマスクとし、磁性層露出部を凹部について基板垂直方向に切削する。
次に、図4Eに示すように、磁性層72凸部上のレジスト層73を除去することにより、凹凸パターンを有するディスクリート型の磁気記録媒体70を得る。前記磁性層の凹部をSiO2、カーボン、アルミナ;ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)等のポリマー;円滑油等の非磁性材料で埋めてもよい。
次に、表面を平坦化する。平坦化した表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等で保護膜を形成し、最後に潤滑剤を塗布する。これにより、磁気記録媒体が作製される。
前記モールドを磁気転写用マスターディスクとして形成する場合には、前記金属盤の凹凸パターン表面に磁性層を有することが好ましい。
前記磁性層の磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばCo、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN等)、Ni、Ni合金(NiFe等)などが挙げられる。これらの中でも、FeCo、FeCoNiが特に好ましい。
前記磁性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜法、メッキ法、塗布法などにより成膜することができる。
前記磁性層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5nm〜200nmが好ましく、10nm〜150nmがより好ましい。
なお、前記磁性層上に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、スパッタカーボン等の保護膜を設けることが好ましく、該保護膜の上に更に潤滑剤層を設けてもよい。この場合、保護膜として厚みが3nm〜30nmのDLC膜と潤滑剤層とする構成が好ましい。また、磁性層と保護膜との間に、Si等の密着強化層を設けるようにしてもよい。潤滑剤はスレーブディスクとの接触過程で生じるずれを補正する際の、摩擦による傷の発生などの耐久性の劣化を改善する効果を有する。
磁気転写時には初期直流磁化を行った後のスレーブディスク14のスレーブ面(磁気記録面)を、マスターディスク10の情報担持面に接触させ、所定の押圧力で密着させる。そして、このスレーブディスク14とマスターディスク10との密着状態で、磁界生成手段30により転写用磁界を印加して、マスターディスク10の凹凸パターンPをスレーブディスク14に転写する。
−原盤の作製−
8インチのSi(シリコン)ウェハ(基板)上に、電子線レジストを、スピンコート法により、100nmの厚みで塗布した。塗布後、基板上の該レジストを、回転式電子線露光装置を用いて露光し、露光後の該レジストを現像して、凹凸パターンを有するレジストSi基板を作製した。
その後、該レジストをマスクとして用い、該基板に対して、反応性イオンエッチング処理を行い、凹凸パターンの凹部を掘り下げた。該エッチング処理後、該基板上に残存するレジストを可溶溶剤で洗浄した(アッシング処理)。次に、35℃に保温された硫酸過水(SH−303)に10分間浸漬した。その後、超純水に1分間浸漬し、超純水シャワーで2分間洗浄、200rpmで回転させながら超純水で1分間のリンス洗浄し、1,000rpmで回転させて2分間の振り切り乾燥し、60℃の乾燥炉内で30分間乾燥させた。以上により、原盤を作製した。
上記原盤上に、スパッタ法を用いてNi(ニッケル)導電性膜を20nm形成した。該導電性膜を形成した後の原盤を、55℃に保温されたスルファミン酸Ni浴に浸漬し、電解メッキにより、200μmの厚みのNi膜を形成した。その後、55℃に保温された剥離槽内の純水に浸漬し原盤よりNi膜を剥離した。以上により、Ni製のモールドを作製した。
実施例1において、硫酸過水の洗浄時の温度を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜3及び比較例1〜3のモールドを作製した。
原盤表面に異常(金属、硫酸痕等のパーティクル)が発生しているものを×、異常がなく、表面上のパーティクルが少ないものを○とした。
なお、×のサンプルは金属盤でも同様の異常が発生する(表面異常が金属盤に形状転写される)ことを確認済みである。
磁気転写ディスクをドライブに組み込み、アドレスエラーの発生率を求めた。全アドレス信号に対してエラー率1×10−2以上を示すディスクを×とし、エラー率1×10−2未満のディスクを○とした。
DTMをドライブに組み込んでサーボ信号を元に磁気ヘッドのトラッキングテストを実施した。ディスク全面にわたってヘッド位置ずれ量が20nm未満のものを○、局所的及び部分的でもヘッド位置ずれ量が20nm以上のものを×とした。
−原盤の作製−
8インチのSi(シリコン)ウェハ(基板)上に、電子線レジストを、スピンコート法により、100nmの厚みで塗布した。塗布後、基板上の該レジストを、回転式電子線露光装置を用いて露光し、露光後の該レジストを現像して、凹凸パターンを有するレジストSi基板を作製した。
その後、該レジストをマスクとして用い、該基板に対して、反応性イオンエッチング処理を行い、凹凸パターンの凹部を掘り下げた。該エッチング処理後、該基板上に残存するレジストを可溶溶剤で洗浄し、除去した。除去後、該基板を乾燥したものを、モールドを作製するための原盤とした。
上記原盤上に、スパッタ法を用いてNi(ニッケル)導電性膜を20nm形成した。該導電性膜を形成した後の原盤を、55℃に保温されたスルファミン酸Ni浴に浸漬し、電解メッキにより、200μmの厚みのNi膜を形成した。その後、55℃に保温された剥離槽内の純水に浸漬し原盤よりNi膜を剥離した。次に、35℃に保温された硫酸過水(SH−303)に10分間浸漬した。その後、超純水に1分間浸漬し、超純水シャワーで2分間洗浄、200rpmで回転させながら超純水で1分間のリンス洗浄し、1,000rpmで回転させて2分間の振り切り乾燥し、60℃の乾燥炉内で30分間乾燥させた。以上により、Ni製のモールドを作製した。
原盤表面に異常(金属、硫酸痕等のパーティクル)が発生しているものを×、異常がなく、表面上のパーティクルが少ないものを○とした。結果を表1に示す。
なお、×のサンプルは金属盤でも同様の異常が発生する(表面異常が金属盤に形状転写される)ことを確認済みである。
実施例4において、硫酸過水の洗浄時の温度を表2に示すように変えた以外は、実施例4と同様にして、実施例5〜6及び比較例4〜6の各モールドを作製した。
剥離し、洗浄した後の原盤に割れや欠けがなく、集中的な欠陥も検出されないことを確認して、原盤の耐久性をOK(○)と評価した。
また、表面欠陥×の項目については初期から品質上の性能劣化(磁気転写品のアドレスエラー増大、DTMでのトラッキングエラー増大)があるので原盤耐久性の評価は行っていない。言い換えれば1枚目から品質面でNGであると言える。
32 レジスト層
33 パターン
34 開口部
36 原盤
38 導電層
40 金属盤
42 複製金属盤
48 磁性層
Claims (6)
- FWHM(Full Width at Half Maximum)で定義される線幅が50nm以下の凹凸パターンを有する電鋳対象物を硫酸過水で洗浄する洗浄工程と、
洗浄済みの電鋳対象物を用いて電鋳により表面に凹凸パターンを有する電鋳物を形成する電鋳工程と、を含むモールドの製造方法であって、
電鋳時の電鋳浴の温度をt1(℃)とし、洗浄時の硫酸過水の温度をT(℃)とすると、次式、t1−20℃≦T≦t1+20℃を満たすことを特徴とするモールドの製造方法。 - 洗浄対象である凹凸パターンを有する電鋳対象物が、原盤作製工程におけるアッシング処理後の原盤である請求項1に記載のモールドの製造方法。
- 洗浄対象である凹凸パターンを有する電鋳対象物が、モールド作製工程における電鋳後の表面に凹凸パターンを有する電鋳物を剥離した原盤である請求項1に記載のモールドの製造方法。
- 洗浄工程において90℃以下の温度の硫酸過水を用いる請求項1から3のいずれかに記載のモールドの製造方法。
- 硫酸過水で洗浄後に、純水で洗浄を行う請求項1から4のいずれかに記載のモールドの製造方法。
- 磁気転写用マスター、DTM(ディスクリート・トラック・メディア)用インプリントモールド、及びBPM(ビット・パターンド・メディア)用インプリントモールドのいずれかを製造する請求項1から5のいずれかに記載のモールドの製造方法。
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