JP2010223514A - 熱交換器用アルミニウムフィン材 - Google Patents
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Abstract
【課題】エアコン等の設置環境によって生ずる熱交換器用アルミニウムフィン材の腐食による性能劣化、故障、不快臭の発生等の問題を防止するために、加工部分が腐食することを防ぐことができる熱交換器用アルミニウムフィン材を提供する。
【解決手段】アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基板2と、基板2の表面に形成された下地処理層3と、下地処理層3の表面に形成された耐食性樹脂塗膜層4とを備える熱交換器用アルミニウムフィン材1であって、耐食性樹脂塗膜層4は、下地処理層3の表面に形成された第1耐食性樹脂塗膜層4aと、第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に形成された第2耐食性樹脂塗膜層4bとからなり、第1耐食性樹脂塗膜層4aおよび第2耐食性樹脂塗膜層4bの少なくとも一方が、エチレンアクリル共重合体樹脂を含むと共に、膜厚が1μm以上であり、耐食性樹脂塗膜層4の総膜厚が1.1μm以上10μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基板2と、基板2の表面に形成された下地処理層3と、下地処理層3の表面に形成された耐食性樹脂塗膜層4とを備える熱交換器用アルミニウムフィン材1であって、耐食性樹脂塗膜層4は、下地処理層3の表面に形成された第1耐食性樹脂塗膜層4aと、第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に形成された第2耐食性樹脂塗膜層4bとからなり、第1耐食性樹脂塗膜層4aおよび第2耐食性樹脂塗膜層4bの少なくとも一方が、エチレンアクリル共重合体樹脂を含むと共に、膜厚が1μm以上であり、耐食性樹脂塗膜層4の総膜厚が1.1μm以上10μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、その表面に塗膜が形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなるアルミニウムフィン材に係り、特に、エアコン等の熱交換器に好適に使用される熱交換器用アルミニウムフィン材に関する。
熱交換器は、ルームエアコン、パッケージエアコン、冷凍ショーケース、冷蔵庫、オイルクーラーおよびラジエータ等を代表として様々な分野に利用されている。そして、ルームエアコンおよびパッケージエアコン等の熱交換器において、そのフィン材には、熱伝導性および加工性が優れることからアルミニウム材が使用されている。
エアコン等に供される熱交換器には、室内において熱交換することを目的とする室内機と、その熱を室外の大気と交換することを目的とする室外機がある。室外機においては、フィン材は大気中に曝露されることとなるため、腐食発生防止を目的として、フィン材表面には、耐食性処理が施されている。さらに、運転条件によっては結露水がフィン(フィン材)の間に留まり、送風時の抵抗となって熱交換器特性を低下させるため、これを防止するために、結露水のフィン材表面での流動性を高める目的で、フィン材の表面には、親水性処理も施されている。
しかし、エアコン等の熱交換器が設置される環境には、室外機の場合は、高湿度環境、沿岸地域等の塩害環境、酸性雨による酸性環境、室内機の場合は、高湿度環境、特殊施設等の様々な腐食促進環境が存在し、こうした環境に熱交換器を設置することによってフィン材の腐食が進行しやすく、熱交換器の故障や劣化の促進、アルミニウム基板の腐食による不快臭発生の原因になるという問題を有していた。
そこで、エアコン用等のフィン材に耐食性を付与する方法として、フィン材表面に耐食性皮膜を設ける方法、例えば、クロメート処理剤、チタンあるいはジルコニウム化合物によるノンクロメート処理剤、アクリル樹脂等の有機系塗布剤等を使用し、耐食性処理を施すことが提案されている。
このような耐食性処理を施されたフィン材は、熱交換器に組み込まれる際に、プレス加工、絞り加工、しごき加工等の成形加工を受けることになる。この成形加工においては、各種の潤滑剤または潤滑技術を実施しても、アルミニウム材と耐食性塗膜との密着性の低下は避けられず、さらには耐食性についても低下が避けられないという問題が発生していた。
このような問題を解決する手段として、例えば特許文献1には、架橋性を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂またはこれらの共重合体、あるいはこれらの混合物からなる基材樹脂に対し、メラミン樹脂、尿素樹脂またはフェノール樹脂からなる硬化剤および非架橋性アクリル樹脂および/またはエポキシ化合物からなる軟化剤を配合した組成物を塗布することによって、加工による塗膜の傷の発生、剥離、座屈、カラー飛び等の問題を解決する技術が提案されている。
しかし、従来のアルミニウムフィン材では、以下に示すような問題点を有している。
特許文献1で提案された技術において示されたアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等を用いた場合であっても、実際には、加工を施した部分の塗膜は微細ながら割れを生じやすく、この加工部分の耐食性は本来期待される耐食性よりも低下し、結果として熱交換器の腐食による性能劣化、故障、不快臭の発生等の問題が生じている。特に、フィン材を熱交換器に組み立てるために施されるプレス加工、しごき加工、絞り加工、引張加工等における加工部分にあっては、塗膜の割れが生じやすく、耐食性低下の問題が生じやすい。
特許文献1で提案された技術において示されたアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等を用いた場合であっても、実際には、加工を施した部分の塗膜は微細ながら割れを生じやすく、この加工部分の耐食性は本来期待される耐食性よりも低下し、結果として熱交換器の腐食による性能劣化、故障、不快臭の発生等の問題が生じている。特に、フィン材を熱交換器に組み立てるために施されるプレス加工、しごき加工、絞り加工、引張加工等における加工部分にあっては、塗膜の割れが生じやすく、耐食性低下の問題が生じやすい。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたもので、エアコン等の設置環境によって生ずる熱交換器用アルミニウムフィン材の腐食による性能劣化、故障、不快臭の発生等の問題を防止するために、加工部分が腐食することを防ぐことができる熱交換器用アルミニウムフィン材を提供することを目的とする。
本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基板と、この基板の表面に形成された下地処理層と、この下地処理層の表面に形成された耐食性樹脂塗膜層とを備える熱交換器用アルミニウムフィン材であって、前記耐食性樹脂塗膜層は、前記下地処理層の表面に形成された第1耐食性樹脂塗膜層と、前記第1耐食性樹脂塗膜層の表面に形成された第2耐食性樹脂塗膜層とからなり、前記第1耐食性樹脂塗膜層および第2耐食性樹脂塗膜層の少なくとも一方が、エチレンアクリル共重合体樹脂を含むと共に、膜厚が1μm以上であり、前記耐食性樹脂塗膜層の総膜厚が1.1μm以上10μm以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、耐食性樹脂塗膜層を、第1耐食性樹脂塗膜層と第2耐食性樹脂塗膜層から構成し、第1耐食性樹脂塗膜層および第2耐食性樹脂塗膜層の少なくとも一方が、エチレンアクリル共重合体樹脂を含むと共に、膜厚が1μm以上であることによって、プレコートフィンを熱交換器として組み立てるために施されるしごき加工や引張加工等において、基板が受ける加工の程度に応じて、耐食性樹脂塗膜層も変形し、塗膜に割れや剥れが生じにくくなる。
また、第1耐食性樹脂塗膜層の表面に、別途、第2耐食性樹脂塗膜層が形成されていることによって、プレコートフィンに対して施されるしごき加工等の際に、加工に供する金型によって生ずる第1耐食性樹脂塗膜層の磨耗や剥離等による加工部の耐食性の低下が防止される。さらに、いずれか1層にエチレンアクリル共重合体以外の樹脂を使用した場合、エチレンアクリル共重合体を含む耐食性樹脂塗膜層が有する加工部分の耐食性に加えて、エチレンアクリル共重合体では耐食性が不足するような環境においても、加工部分の耐食性が向上する。
そして、前記第1耐食性樹脂塗膜層および第2耐食性樹脂塗膜層の総膜厚が1.1μm以上10μm以下であることによって、耐食性樹脂塗膜層の形成が容易になると共に、十分な耐食性が得られる。さらに、熱交換器における伝熱管の伝熱性能を低下させることもない。
本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、前記第1耐食性樹脂塗膜層および第2耐食性樹脂塗膜層のいずれもが、エチレンアクリル共重合体樹脂を含み、前記耐食性樹脂塗膜層の総膜厚が1.1μm以上7μm以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、前記第1耐食性樹脂塗膜層および第2耐食性樹脂塗膜層がいずれもエチレンアクリル共重合体樹脂を含むことによって、エチレンアクリル共重合体による加工部分の耐食性がより向上する。
請求項3に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、前記第2耐食性樹脂塗膜層の表面に親水性塗膜層が形成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、耐食性樹脂塗膜層の表面に親水性塗膜層が存在することで、エアコン等の使用により生ずる結露水や、使用環境から付着する水分が表面に濡れ拡がり、熱交換器用アルミニウムフィン材表面に水滴が停滞することが防止される。
このような構成によれば、耐食性樹脂塗膜層の表面に親水性塗膜層が存在することで、エアコン等の使用により生ずる結露水や、使用環境から付着する水分が表面に濡れ拡がり、熱交換器用アルミニウムフィン材表面に水滴が停滞することが防止される。
請求項1の発明によれば、熱交換器用アルミニウムフィン材のしごき加工や引張加工等の加工が施された部分の耐食性が向上する。このため、エアコン等の故障や劣化促進を防止することができる。また、基板の腐食を防止することができるため、アルミニウムが腐食することによって生じる不快臭の発生を防止することができる。さらに、耐食性の向上に加え、塗装性の確保、熱伝導率の確保等の実用面での要求を満足することができる。また、第1耐食性樹脂塗膜層および第2耐食性樹脂塗膜層のいずれか1層にエチレンアクリル共重合体以外の樹脂を使用することで、より広範な設置環境に対して優れた耐食性を付与することが可能となる。
請求項2の発明によれば、エチレンアクリル共重合体樹脂による耐食性向上効果が高まり、加工部分の耐食性をより向上させることができる。
請求項3の発明によれば、親水性塗膜層を備えることで、熱交換器用アルミニウムフィン材表面における水滴の停滞を防止することができるため、水分停滞による耐食性樹脂塗膜の溶出や基板の腐食を防止することができ、耐食性をさらに向上させることができる。
請求項3の発明によれば、親水性塗膜層を備えることで、熱交換器用アルミニウムフィン材表面における水滴の停滞を防止することができるため、水分停滞による耐食性樹脂塗膜の溶出や基板の腐食を防止することができ、耐食性をさらに向上させることができる。
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材の実施形態は、以下に示す第1および第2実施形態で示すいずれの形態であっても実施できる。
≪第1実施形態≫
<フィン材>
図1(a)に示すように、本発明の第1実施形態に係る熱交換器用アルミニウムフィン材(以下、適宜、フィン材という)1(1a)は、基板2と、この基板2の表面に形成された下地処理層3と、この下地処理層3の表面に形成された耐食性樹脂塗膜層4とを備える。ここで、耐食性樹脂塗膜層4は、前記下地処理層3の表面に形成された第1耐食性樹脂塗膜層4aと、この第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に形成された第2耐食性樹脂塗膜層4bとからなる。なお、基板2の表面とは、基板2の片面または両面(図示せず)を意味する。
以下、各構成について説明する。
<フィン材>
図1(a)に示すように、本発明の第1実施形態に係る熱交換器用アルミニウムフィン材(以下、適宜、フィン材という)1(1a)は、基板2と、この基板2の表面に形成された下地処理層3と、この下地処理層3の表面に形成された耐食性樹脂塗膜層4とを備える。ここで、耐食性樹脂塗膜層4は、前記下地処理層3の表面に形成された第1耐食性樹脂塗膜層4aと、この第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に形成された第2耐食性樹脂塗膜層4bとからなる。なお、基板2の表面とは、基板2の片面または両面(図示せず)を意味する。
以下、各構成について説明する。
(基板)
基板2は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる板材であって、熱伝導性および加工性が優れることから、JIS H4000規定の1000系のアルミニウムが好適に用いられ、より好ましくは、合金番号1050、1200のアルミニウムが使用される。なお、基板2は、熱交換器用アルミニウムフィン材1においては、強度、熱伝導性および加工性等を考慮して、板厚0.08〜0.3mm程度のものが使用される。
基板2は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる板材であって、熱伝導性および加工性が優れることから、JIS H4000規定の1000系のアルミニウムが好適に用いられ、より好ましくは、合金番号1050、1200のアルミニウムが使用される。なお、基板2は、熱交換器用アルミニウムフィン材1においては、強度、熱伝導性および加工性等を考慮して、板厚0.08〜0.3mm程度のものが使用される。
(下地処理層)
下地処理層3は、基板2の表面に形成されており、無機酸化物または有機−無機複合化合物よりなる。無機酸化物としては、主成分としてクロム(Cr)またはジルコニウム(Zr)を含むものが好ましく、例えば、リン酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理、クロム酸クロメート処理を行うことにより形成されたものである。しかし、本発明においては、耐食性を奏するものであれば、これに限定されず、例えば、リン酸亜鉛処理、リン酸チタン酸処理を行うことによっても下地処理層3を形成することができる。また、有機−無機複合化合物としては、塗布型クロメート処理または塗布型ジルコニウム処理を行なうことにより形成されたもので、アクリル−ジルコニウム複合体等が挙げられる。
下地処理層3は、基板2の表面に形成されており、無機酸化物または有機−無機複合化合物よりなる。無機酸化物としては、主成分としてクロム(Cr)またはジルコニウム(Zr)を含むものが好ましく、例えば、リン酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理、クロム酸クロメート処理を行うことにより形成されたものである。しかし、本発明においては、耐食性を奏するものであれば、これに限定されず、例えば、リン酸亜鉛処理、リン酸チタン酸処理を行うことによっても下地処理層3を形成することができる。また、有機−無機複合化合物としては、塗布型クロメート処理または塗布型ジルコニウム処理を行なうことにより形成されたもので、アクリル−ジルコニウム複合体等が挙げられる。
この下地処理層3の形成により、フィン材1に耐食性が付与される。また、第1耐食性樹脂塗膜層4aを形成する際に、基板2の上に第1耐食性樹脂塗膜層4aが存在する場合よりも、下地処理層3の上に第1耐食性樹脂塗膜層4aを存在させる方が、第1耐食性樹脂塗膜層4aの密着性が向上し、プレコートフィンの加工時の密着性を高めることができる。また、エアコン等の設置環境によるフィン材1の腐食をより抑制することができる。
下地処理層3は、CrまたはZrを1〜100mg/m2の範囲で含有するものが好ましく、また、下地処理層3の膜厚としては、10〜1000Åとするのが好ましいが、使用目的等に合わせて適宜変更が可能であることはいうまでもない。膜厚が10Å未満では、耐食性が低下しやすくなり、1000Åを超えると、第1耐食性樹脂塗膜層4aとの密着性が低下しやすくなる。また、経済的な観点からも、1000Å以下とするのが好ましい。
(耐食性樹脂塗膜層)
耐食性樹脂塗膜層4は、下地処理層3の表面に形成されており、この耐食性樹脂塗膜層4は、下地処理層3の表面に形成された第1耐食性樹脂塗膜層4aと、この第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に別途形成された第2耐食性樹脂塗膜層4bとからなる。
耐食性樹脂塗膜層4は、下地処理層3の表面に形成されており、この耐食性樹脂塗膜層4は、下地処理層3の表面に形成された第1耐食性樹脂塗膜層4aと、この第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に別途形成された第2耐食性樹脂塗膜層4bとからなる。
耐食性樹脂塗膜層4は、これを構成する第1耐食性樹脂塗膜層4aおよび第2耐食性樹脂塗膜層4bの少なくとも一方が、エチレンアクリル共重合体樹脂を含む層である。エチレンアクリル共重合体樹脂は、多くの環境条件下で、耐食性を向上させることができる樹脂である。また、展延性に優れるため、エチレンアクリル共重合体樹脂を用いると共に、耐食性樹脂塗膜層4を、第1耐食性樹脂塗膜層4aおよび第2耐食性樹脂塗膜層4bの2層構造とすることで、1層構造とする場合に比べ、しごき加工や引張加工等による基板2の変動の際に、この変動に伴う耐食性樹脂塗膜層4の変形が容易に起こり、塗膜に割れや剥れが生じにくくなる。また、しごき加工等の際に、加工に供する金型によって、第1耐食性樹脂塗膜層4aの磨耗や剥離等が生じても、第2耐食性樹脂塗膜層4bを備えることで、加工部の耐食性の低下が防止される。そのため、耐食性樹脂塗膜層4を、第1耐食性樹脂塗膜層4aおよび第2耐食性樹脂塗膜層4bの2層構造とし、第1耐食性樹脂塗膜層4aおよび第2耐食性樹脂塗膜層4bの少なくとも一方が、エチレンアクリル共重合体樹脂を含むことで、加工部分の耐食性が向上する。
ここで、本発明でいうエチレンアクリル共重合体樹脂を含む層とは、主成分としてエチレンアクリル共重合体樹脂を含んでいる層のことであり、エチレンアクリル共重合体樹脂以外の種類の耐食性樹脂、硬化剤等の添加剤を適宜含有していても良い。エチレンアクリル共重合体樹脂とそれ以外の耐食性樹脂を混在させる場合、耐食性樹脂全体(エチレンアクリル共重合体樹脂+それ以外の耐食性樹脂)に占めるエチレンアクリル共重合体樹脂の量は、薬剤の固形分質量(塗膜層になる質量)で50質量%以上とするのが好ましい。エチレンアクリル共重合体樹脂以外の耐食性樹脂を混在させてもよい理由は、エアコン用熱交換器が設置される環境は、使用する地域や使用者の用途によって様々であり、ある環境に対する耐食性は耐食性樹脂によって異なるため、より広範な設置環境に対して優れた耐食性を付与するためである。エチレンアクリル共重合体樹脂以外の耐食性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。これらは、エチレンアクリル共重合体樹脂を使用しない層にも適用することができる。なお、耐食性樹脂塗膜層4は、前記したような樹脂、添加剤以外には、少量の不純物を含む。
また、エチレンアクリル共重合体樹脂を含む層(第1耐食性樹脂塗膜層4aおよび第2耐食性樹脂塗膜層4bの少なくとも一方)の膜厚は、1μm以上とする。膜厚が1μm未満では、エチレンアクリル共重合体樹脂による耐食性向上効果が発揮されない。なお、第1耐食性樹脂塗膜層4aおよび第2耐食性樹脂塗膜層4bのいずれもがエチレンアクリル共重合体樹脂を含む場合は、どちらか一方の層が1μm以上であればよい。
さらに、第1耐食性樹脂塗膜層4aと、第2耐食性樹脂塗膜層4bとからなる耐食性樹脂塗膜層4の総膜厚は、1.1μm以上10μm以下とする。総膜厚が1.1μm未満では、第1耐食性樹脂塗膜層4aおよび第2耐食性樹脂塗膜層4bのいずれかの膜厚が0.1μm未満となり、十分な耐食性を得られない。また、膜厚が0.1μm未満の樹脂塗膜層を形成するのは現実的に難しい。一方、一般的な熱交換器においては、フィン材1を貫いて構成される伝熱管には銅管が使用されることが多いことから、耐食性樹脂塗膜層4の総膜厚が10μmを超えると、耐食性樹脂塗膜層4による銅管との接触熱抵抗が大きくなり、伝熱性能が低下してしまう恐れがある。また、10μmを超えて付与することは、経済的にも好ましくない。
エチレンアクリル共重合体樹脂を含む層は、その耐久性を向上させるために、エチレンアクリル共重合体樹脂に有機系架橋剤を添加したもので構成するのが好ましい。また、例えば、塗装により、エチレンアクリル共重合体樹脂を含む層を容易に形成させるため、耐食性樹脂に界面活性剤および有機系架橋剤を添加したもので構成するのが好ましい。
耐食性樹脂塗膜層4は、これを構成する第1耐食性樹脂塗膜層4aおよび第2耐食性樹脂塗膜層4bのいずれもが、エチレンアクリル共重合体樹脂を含むものであってもよい。このようにすれば、エチレンアクリル共重合体樹脂による耐食性向上効果が高まり、加工部分の耐食性をより向上させることができる。なお、この場合には、1層のみにエチレンアクリル共重合体樹脂を含む場合に比べて、エチレンアクリル共重合体樹脂による加工部分の耐食性が得られやすくなるため、製造コストの観点から、耐食性樹脂塗膜層の総膜厚を7μm以下とするのが好ましく、4μm以下とするのがより好ましい。なお、下限については、耐食性をより向上させる観点から、3μm以上とするのが好ましい。
≪第2実施形態≫
図1(b)に示すように、本発明の第2実施形態に係る熱交換器用アルミニウムフィン材1(1b)は、基板2と、この基板2の表面に形成された下地処理層3と、この下地処理層3の表面に形成された、第1耐食性樹脂塗膜層4a、および、この第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に形成された第2耐食性樹脂塗膜層4bからなる耐食性樹脂塗膜層4と、第2耐食性樹脂塗膜層4bの表面に形成された親水性塗膜層5を備える。
以下、各構成について説明する。なお、第2実施形態で示すフィン材1bを構成している基板2、下地処理層3、第1耐食性樹脂塗膜層4a、第2耐食性樹脂塗膜層4bは、第1実施形態で示すフィン材1aを構成している基板2、下地処理層3、第1耐食性樹脂塗膜層4a、第2耐食性樹脂塗膜層4bとそれぞれ同様なため、ここでは説明を省略する。
図1(b)に示すように、本発明の第2実施形態に係る熱交換器用アルミニウムフィン材1(1b)は、基板2と、この基板2の表面に形成された下地処理層3と、この下地処理層3の表面に形成された、第1耐食性樹脂塗膜層4a、および、この第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に形成された第2耐食性樹脂塗膜層4bからなる耐食性樹脂塗膜層4と、第2耐食性樹脂塗膜層4bの表面に形成された親水性塗膜層5を備える。
以下、各構成について説明する。なお、第2実施形態で示すフィン材1bを構成している基板2、下地処理層3、第1耐食性樹脂塗膜層4a、第2耐食性樹脂塗膜層4bは、第1実施形態で示すフィン材1aを構成している基板2、下地処理層3、第1耐食性樹脂塗膜層4a、第2耐食性樹脂塗膜層4bとそれぞれ同様なため、ここでは説明を省略する。
(親水性塗膜層)
親水性塗膜層5は、第2耐食性樹脂塗膜層4bの表面に形成されるものであり、フィン材1bの親水性を向上させる。
親水性塗膜層5は、第2耐食性樹脂塗膜層4bの表面に形成されるものであり、フィン材1bの親水性を向上させる。
親水性塗膜層5は、主に親水性樹脂からなる。親水性樹脂としては、親水性官能基を有する有機化合物または親水性官能基誘導体であることが好ましい。なお親水性官能基としては、スルホン酸基、スルホン酸基誘導体、カルボキシル基、カルボキシル基誘導体、水酸基、水酸基誘導体等の親水性官能基を有するモノマーの共重合体や、前記親水性官能基を有するポリマーをブレンドしたものが挙げられる。例えば、カルボキシル基を有するポリマーとしては、ポリアクリル酸等、水酸基を有するポリマーとしては、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
親水性塗膜層5の耐久性を向上させるために、また、例えば塗装等により、親水性塗膜層5を第2耐食性樹脂塗膜層4bの上に容易に形成させるために、親水性塗膜層5は、必要に応じて、親水性樹脂に有機系架橋剤を添加したもので構成してもよい。このような構成とすることで、親水性塗膜層5の密着性が向上し、エアコン等の運転により生じる結露水による親水性塗膜層5の溶出を、より一層生じにくくすることができ、親水性塗膜層5の耐久性を向上させることができる。その結果、親水性塗膜層5による親水性の持続性を向上させることができる。
さらに、親水性塗膜層5は、アクリルアミド系樹脂等の窒素化合物を含有しないことが好ましい。なお、窒素化合物を含有する場合には、含有量は、GD−OESによる窒素存在比率測定において1原子%以下が好ましい。窒素化合物が1原子%を超えて含まれていると、厳しい環境下では窒素化合物が酸化されて、異臭の原因となりやすい。
親水性塗膜層5の膜厚は特に限定されないが、好ましくは0.1〜10μmである。膜厚が0.1μm未満では、フィン材1の親水性が低下しやすくなる。一方、膜厚が10μmを超えると、親水性のさらなる向上は認められず、また、10μmを超えて付与することは、経済的にも好ましくない。なお、特に好ましくは、膜厚が0.5〜2μmである。このような膜厚により、経済性を損なわずに、フィン材1の親水性がより一層高くなる。
<塗膜中の不純物>
本発明に係るフィン材1は、第1耐食性樹脂塗膜層4a、第2耐食性樹脂塗膜層4bおよび、親水性塗膜層5に含まれる不純物としてのアルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトおよびこれらの水和物の少なくとも一種を含有しないことが好ましい。なお、これら不純物を含有する場合には、不純物(アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトおよびこれらの水和物の少なくとも1種)の合計量が1質量%以下であることが好ましい。不純物が1質量%を超えて含まれていると、汚染物質を吸着、吸蔵してしまうため、異臭またはフィン材表面の撥水化(親水性低下)の原因となりやすい。
本発明に係るフィン材1は、第1耐食性樹脂塗膜層4a、第2耐食性樹脂塗膜層4bおよび、親水性塗膜層5に含まれる不純物としてのアルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトおよびこれらの水和物の少なくとも一種を含有しないことが好ましい。なお、これら不純物を含有する場合には、不純物(アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトおよびこれらの水和物の少なくとも1種)の合計量が1質量%以下であることが好ましい。不純物が1質量%を超えて含まれていると、汚染物質を吸着、吸蔵してしまうため、異臭またはフィン材表面の撥水化(親水性低下)の原因となりやすい。
不純物の合計質量は、例えば、以下のようにして測定する。まず、第1耐食性樹脂塗膜層4a、第2耐食性樹脂塗膜層4b、および、親水性塗膜層5を、発煙硝酸等を用いて、基板2から剥離する。剥離された塗膜層を完全燃焼させ、その残渣を純水中に注ぐ。そして、純水に溶解しない不溶物の質量を測定し、不純物の合計質量とする。
次に、本発明に係るフィン材の製造方法の一例について、図1を参照して説明する。
≪フィン材の製造方法≫
前記のとおり、フィン材1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基板2の片面または両面(図示せず)に、下地処理層3と、この下地処理層3の表面に形成された、第1耐食性樹脂塗膜層4a、および、この第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に形成された第2耐食性樹脂塗膜層4bからなる耐食性樹脂塗膜層4を形成している。さらに、第2耐食性樹脂塗膜層4bの表面に親水性塗膜層5を形成してもよい。
≪フィン材の製造方法≫
前記のとおり、フィン材1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基板2の片面または両面(図示せず)に、下地処理層3と、この下地処理層3の表面に形成された、第1耐食性樹脂塗膜層4a、および、この第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に形成された第2耐食性樹脂塗膜層4bからなる耐食性樹脂塗膜層4を形成している。さらに、第2耐食性樹脂塗膜層4bの表面に親水性塗膜層5を形成してもよい。
(1)基板2の表面に下地処理層3を形成する際には、リン酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理等を施すことにより、無機酸化物または有機−無機複合化合物よりなる下地処理層3を形成し、このとき、リン酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理等は、基板2に化成処理液をスプレー等により塗布することで行われる。その塗布量としては、CrまたはZr換算で1〜100mg/m2の範囲で塗布するのが好ましく、形成される膜厚としては、10〜1000Åとするのが好ましい。また、下地処理層3を形成する前に、基板2の表面にアルカリ水溶液をスプレー等して、基板2の表面を予め脱脂するのが好ましい。脱脂により基板2と下地処理層3との密着性が向上する。
(2)下地処理層3の表面に第1耐食性樹脂塗膜層4aを形成する際には、エチレンアクリル共重合体樹脂や、それ以外の耐食性樹脂が含まれる樹脂溶液を塗布した後、焼付を行い、下地処理層3の上に第1耐食性樹脂塗膜層4aを形成する。ここで、塗布はバーコータ、ロールコータ等の従来公知の塗布方法で行い、塗布量は、第1耐食性樹脂塗膜層4aと、後記する第2耐食性樹脂塗膜層4bの合計膜厚が1.1μm以上10μm以下であり、かつ、エチレンアクリル共重合体樹脂を含む場合には、その層が1μm以上の膜厚となるように適宜設定する。焼付温度は、塗布する樹脂溶液によって、適宜設定する。
(3)第1耐食性樹脂塗膜層4aの表面に第2耐食性樹脂塗膜層4bを形成する際には、エチレンアクリル共重合体樹脂や、それ以外の耐食性樹脂が含まれる樹脂溶液を塗布した後、焼付を行い、第1耐食性樹脂塗膜層4aの上に第2耐食性樹脂塗膜層4bを形成する。ここで、塗布はバーコータ、ロールコータ等の従来公知の塗布方法で行い、塗布量は、第2耐食性樹脂塗膜層4bと、前記した第1耐食性樹脂塗膜層4aの合計膜厚が1.1μm以上10μm以下であり、かつ、エチレンアクリル共重合体樹脂を含む場合には、その層が1μm以上の膜厚となるように適宜設定する。焼付温度は、塗布する樹脂溶液によって、適宜設定する。
(4)第2耐食性樹脂塗膜層4bの表面に親水性塗膜層5を形成する際には、親水性樹脂の樹脂溶液を塗布した後、焼付を行う。ここで、塗布はバーコータ、ロールコータ等の従来公知の塗布方法で行い、塗布量は、親水性塗膜層5の膜厚が0.1〜10μmとなるように適宜設定する。焼付温度は、塗布する樹脂溶液によって、適宜設定する。
以上、本発明を実施するための最良の形態について述べてきたが、以下に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
まず、以下の方法により、フィン材を作製した。基板としては、いずれもJIS H4000に規定する合金番号1200のアルミニウムよりなる板厚0.1mmのアルミニウム板を用いた。
このアルミニウム板の表面(両面)に、表1、2に示す下地処理層を形成するための処理を行った。リン酸クロメート処理については、化成処理液として、日本ペイント株式会社製アルサーフ(登録商標)401/45、リン酸、クロム酸を使用した。このとき、下地処理層の膜厚は400Åとした(蛍光X線法で測定したCr換算値は20mg/m2であった)。また、リン酸ジルコニウム処理、クロム酸クロメート処理、塗布型クロメート処理については、それぞれ公知の方法によって施した。また、塗布型ジルコニウム処理については、化成処理液として、日本ペイント株式会社製サーフコート(登録商標)147/148を使用した。このとき、下地処理層の膜厚はZr換算値で40mg/m2とした。なお、一部については、下地処理層は設けなかった。
次に、基板または下地処理層の上に、表1、2に示す種類の樹脂を含む第1耐食性樹脂塗膜層を形成するための塗料をそれぞれ塗布し、焼き付けを実施して、表1、2に示す膜厚の第1耐食性樹脂塗膜層を形成した。なお、焼付温度はアルミニウム板の到達温度で230℃となるように実施した。
そして、第1耐食性樹脂塗膜層の上に、表1、2に示す種類の樹脂を含む第2耐食性樹脂塗膜層を形成するための塗料をそれぞれ塗布し、焼き付けを実施して、表1、2に示す膜厚の第2耐食性樹脂塗膜層を形成した。なお、焼付温度はアルミニウム板の到達温度で230℃となるように実施した。また、一部については、第2耐食性樹脂塗膜層を設けなかった。また、第1耐食性樹脂塗膜層および第2耐食性樹脂塗膜層において、樹脂を2種類用いているものは、薬剤の固形分質量(塗膜層になる質量)で、1:1になるように調整した。
このようにして作製したフィン材について、以下の方法により、模擬加工を施した部分の耐食性(模擬加工部分の耐食性)について評価した。さらに、参考として、模擬加工を施さない平坦部分の耐食性(非模擬加工部分の耐食性)について調べた。
<模擬加工部分の耐食性>
まず、作製したフィン材(供試材)について、塗装面を75mm×150mmの長方形となるように調整し、JIS K 5600−5−3に示された塗膜の機械的性質である耐おもり落下性試験のうち、デュポン式試験方法を行ない、この試験方法によって衝撃加工を施すことで模擬加工を施した。デュポン式試験方法における条件は、おもりの先端径を16分の3インチ、おもりの質量を300グラム、落下高さを2.5センチメートルとした。
まず、作製したフィン材(供試材)について、塗装面を75mm×150mmの長方形となるように調整し、JIS K 5600−5−3に示された塗膜の機械的性質である耐おもり落下性試験のうち、デュポン式試験方法を行ない、この試験方法によって衝撃加工を施すことで模擬加工を施した。デュポン式試験方法における条件は、おもりの先端径を16分の3インチ、おもりの質量を300グラム、落下高さを2.5センチメートルとした。
この模擬加工を施したフィン材について、JIS Z 2371に示された塩水噴霧試験方法のうち、酢酸塩水噴霧試験(以下、AASSという)およびキャス試験(以下、CASSという)を行なうことで、模擬加工部分の耐食性を評価した。試験時間は、AASSは500時間、CASSは96時間とした。
耐食性試験後の耐食性の評価は、模擬加工によって塗膜が引き伸ばされた部分の腐食状況を目視によって観察し、点数を付した。点数は当該加工部分の腐食面積率に応じて決定し、10%未満であれば5点、10%以上20%未満であれば4点、20%以上30%未満であれば3点、30%以上50%未満であれば2点、50%以上であれば1点とし、3点以上であれば耐食性は良好であると判断した。
<非模擬加工部分の耐食性>
非模擬加工部分の耐食性については、模擬加工を施さない平坦部分について、前記AASS試験および前記CASS試験後の供試材の腐食状況を目視によって観察し、腐食面積率に応じて、JIS Z 2371に規定されたレイティングナンバ法によって点数を付した。
これらの結果を表1、2に示す。なお、表2において、本発明の範囲を満たさないものについては、物質名等に下線を引いて示す。
非模擬加工部分の耐食性については、模擬加工を施さない平坦部分について、前記AASS試験および前記CASS試験後の供試材の腐食状況を目視によって観察し、腐食面積率に応じて、JIS Z 2371に規定されたレイティングナンバ法によって点数を付した。
これらの結果を表1、2に示す。なお、表2において、本発明の範囲を満たさないものについては、物質名等に下線を引いて示す。
表1に示すように、実施例1〜28は、本発明の範囲を満たすため、模擬加工を施した部分の耐食性の評価において、いずれも、AASS、CASS共に3点以上であり、良好な耐食性を示した。
一方、表2に示すように、比較例1〜22に記載のフィン材では、本発明の範囲を満たさないため、模擬加工を施した部分の耐食性の評価において、いずれも、AASS、CASSのいずれか1つ以上が2点以下であり、耐食性が良好とはいえなかった。
なお、実施例1〜28、比較例1〜22において、模擬加工を施さない平坦部分の耐食性については、表1、2に示すとおりの点数となった。
以上、本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。
1 熱交換器用アルミニウムフィン材(フィン材)
2 基板
3 下地処理層
4 耐食性樹脂塗膜層
4a 第1耐食性樹脂塗膜層
4b 第2耐食性樹脂塗膜層
5 親水性塗膜層
2 基板
3 下地処理層
4 耐食性樹脂塗膜層
4a 第1耐食性樹脂塗膜層
4b 第2耐食性樹脂塗膜層
5 親水性塗膜層
Claims (3)
- アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基板と、この基板の表面に形成された下地処理層と、この下地処理層の表面に形成された耐食性樹脂塗膜層とを備える熱交換器用アルミニウムフィン材であって、
前記耐食性樹脂塗膜層は、前記下地処理層の表面に形成された第1耐食性樹脂塗膜層と、前記第1耐食性樹脂塗膜層の表面に形成された第2耐食性樹脂塗膜層とからなり、
前記第1耐食性樹脂塗膜層および第2耐食性樹脂塗膜層の少なくとも一方が、エチレンアクリル共重合体樹脂を含むと共に、膜厚が1μm以上であり、
前記耐食性樹脂塗膜層の総膜厚が1.1μm以上10μm以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。 - 前記第1耐食性樹脂塗膜層および第2耐食性樹脂塗膜層のいずれもが、エチレンアクリル共重合体樹脂を含み、
前記耐食性樹脂塗膜層の総膜厚が1.1μm以上7μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。 - 前記第2耐食性樹脂塗膜層の表面に親水性塗膜層が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
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